説明

マクロライド系抗菌剤の調製プロセス

本明細書中には、式(I)の化合物、ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスが記載される。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載される発明は、マクロライド系抗菌剤を調製するためのプロセスに関連する。具体的には、本発明は、ケトライドおよび1,2,3−トリアゾール置換側鎖を含む他のマクロライドを調製するための、中間体およびプロセスに関連する。
【背景技術】
【0002】
様々な感染性疾患のためのマクロライドの使用が広く知られている。エリスロマイシンが、臨床診療に導入されたこの類の最初の化合物であった。それ以降、ケトライド化合物を含めて、さらなるマクロライドが、広範囲の様々な疾患状態を治療することができるその能力のために、多くの関心を集めている。特に、マクロライドは、細菌感染症、原虫感染症およびウイルス感染症を治療するための、治療法の重要な要素となっている。加えて、マクロライドは、しばしば、ペニシリンアレルギーの患者において使用される。
【0003】
これらの広範囲にわたる使用の実例として、マクロライド化合物が、広範囲の細菌感染および原虫感染によって引き起こされる、感染症の治療および防止のために有効であることが見出されている。それらはまた、気道感染および軟組織感染の感染症について有用である。マクロライド系抗生物質が、β溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、ブドウ球菌および腸球菌に対して有効であることが見出されている。それらはまた、マイコプラズマ、マイコバクテリア、一部のリケッチア、および、クラミジアに対して有効であることが見出されている。
【0004】
マクロライド系化合物は、一般には14員、15員または16員の大環状ラクトンである大きいラクトン環の存在によって特徴づけられ、このラクトン環には、例えば、クラジノースおよびデソサミンなどのデオキシ糖を含めた、1つまたは複数の糖類が結合する場合がある。例えば、エリスロマイシンは、2つの糖部分を含む14員マクロライド化合物である。スピラマイシンは、16員環を含むマクロライド化合物の、第二世代に属する。第三世代のマクロライド系化合物には、例えばアジスロマイシンおよびクラリスロマイシンなどのエリスロマイシンAの半合成誘導体が、例えば含まれる。加えて、ケトライドは、それらの酸安定性のために、また、最も重要なことには、他のマクロライドに対して耐性がある微生物に関して優れた活性を有するために、近年多くの注目を集めているマクロライド系抗生物質のより新しいクラスを、代表している。エリスロマイシンのように、ケトライドは、C−3位におけるケト基によって特徴づけられる14員環マクロライド誘導体である(非特許文献1を参照)。いくつかのケトライド系化合物が現在、臨床試験中である。しかしながら、テリスロマイシン(特許文献1を参照)が、使用のために承認された、このファミリーにおける最初の化合物である。
【0005】
Liangらは、特許文献2(その開示は参照によって本明細書中に組み込まれる)において、新しい一連の化合物およびそれらの例示的な合成を記載している。これらの新しい化合物は、現在の治療法に対して耐性を既に示している病原性微生物を含めた、様々な病原性微生物に関して、優れた活性を示す。具体的には、Liangらは、下記の式(I)の化合物、ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を含む、複数の化合物を記載している:
【0006】
【化1】

(式中、
は単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素(ureyl、ウレイルともいう。以下に同じ。)およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルから選択され;かつ、R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;かつ、
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、アミノ糖またはハロ糖を含む単糖類もしくは二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、例えば4−ニトロフェニルアセチルおよび2−ピリジルアセチルなどのアシル、または−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)。
【0007】
具体的には、11−N−[[4−(3−アミノフェニル)−1,2,3−トリアゾール−1−イル]−ブチル]−5−デソサミニル−2−フルオロ−3−オキソエリスロノリドA,11,12−環状カルバメートである化合物が、Liangらによって記載される。
【0008】
これらの新しい化合物、および、病原性微生物を処置するための有益な治療法を提供するために使用され続けている他の化合物の重要性のために、これらの化合物を調製するための代替プロセスおよび/または改善されたプロセスが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,635,485号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0100164号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Curr.Med.Chem.、「Anti−Infective Agents(抗感染剤)」、1:15〜34(2002)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
例えば、本発明者らは、式(I)の化合物の従来的合成を使用する場合、副反応が生じ、また、望ましくない副生成物および不純物が形成されることを、見出した。そのような副反応は、所望される化合物の全収率を低下させ、また、そのような副生成物および不純物は、所望される化合物の精製を複雑にすることがある。本明細書中には、このような副生成物を回避し、かつ/または、より高いレベルの純度に精製することができる、式(I)の化合物を調製することにおいて好都合であり得る新しいプロセスが記載される。
【0012】
本発明の1つの例示的な実施形態において、下記の式(I)の化合物、ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスが記載される:
【化2】

(式中、
は単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、アミノ糖またはハロ糖を含む単糖類もしくは二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、例えば4−ニトロ−フェニルアセチルおよび2−ピリジルアセチルなどのアシル、または−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)。
【0013】
式(I)の化合物の1つの態様において、VがC=Oであり;XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する。別の態様において、Rが、任意に保護された2’−ヒドロキシ基を含む単糖類である。別の態様において、Rが、保護された2’−ヒドロキシ基を含む単糖類であり、この場合、保護基は立体障害アシル基であり、例えば、分岐アルキルアシル基、アリールアシル基、ヘテロアリールアシル基、アリールアルキルアシル基、アリールアルキルアシル基またはヘテロアリールアルキルアシル基(これらのそれぞれが任意に置換される)である。別の態様において、−A−B−が、アルキレン、シクロアルキレンまたはアリーレンであり;かつ、Cが、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールである。別の態様において、Rがデソサミンであり;−A−B−が、1,4−ブチレンであり、かつ、Cが、4−(3−アミノフェニル)である。別の態様において、WがFである。別の態様において、Rが、保護された2’−ヒドロキシル基を含むデソサミンであり、この場合、保護基は立体障害アシル基である。別の態様において、立体障害アシル基がベンゾイルまたは置換ベンゾイルである。
【0014】
別の例示的な実施形態において、下記の式(II)の化合物を調製するためのプロセスが記載される:
【化3】

式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、A、B、CおよびVは本明細書中に記載される通りである。式(II)の化合物の1つの態様において、−A−B−が、アルキレン、シクロアルキレンまたはアリーレンであり;かつ、Cが、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールである。別の態様において、R1aがベンゾイルであり;−A−B−が、1,4−ブチレンであり、かつ、Cが、4−(3−アミノフェニル)である。
【0015】
別の例示的な実施形態において、下記の式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される:
【化4】

式中、A、B、CおよびVは、本明細書中に記載される通りである。式(III)の化合物の1つの態様において、−A−B−が、アルキレン、シクロアルキレンまたはアリーレンであり;かつ、Cが、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールである。別の態様において、−A−B−が、1,4−ブチレンであり、かつ、Cが、4−(3−アミノフェニル)である。
【0016】
別の例示的な実施形態において、下記の(a)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(a)工程は、下記の式(IV)の化合物:
【化5】

(式中、Rは、2’−ヒドロキシル基を含む単糖類であり、かつ、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである)を、立体障害アシル化剤R1a−L(式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、Lは脱離基または活性化基である)と反応させることによって、対応する2’−アシル誘導体を形成する工程である。例示として、このプロセスは、下記のように、化合物(1)を立体障害アシル化剤と反応させることによって、対応する2’−アシル誘導体または2’,4’’−ジアシル誘導体、すなわち、化合物(2)を形成する、(a)工程を含む:
【化6】

式中、WおよびR1aは本明細書中で定義される通りである。
【0017】
別の例示的な実施形態において、下記の(b)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(b)工程は、式(IV)の化合物を、カルボニル化試薬と反応させることによって、式(V)の化合物を形成する工程である:
【化7】

式中、Lは脱離基であり、かつ、R、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである。例示として、このプロセスは、化合物(2)をカルボニルジイミダゾールと反応させることによって、下記の化合物(3)を調製する、(b)工程を含む:
【化8】

式中、R1aおよびWは、本明細書中で定義される通りである。
【0018】
別の例示的な実施形態において、下記の(c)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(c)工程は、式(V)の化合物を、式N−B−A−NHの化合物と反応させることによって、下記の式(VI)の化合物を得る工程である:
【化9】

式中、R、A、B、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである。1つの変形例において、AおよびBは一緒になって、アルキレン、スピロシクロアルキレンを含むシクロアルキレン、またはアリーレン(これらのそれぞれが任意に置換される)を形成する。例示として、このプロセスは、化合物(3)を、N−B−A−NHと反応させることによって、下記の化合物(4)を得る、(c)工程を含む:
【化10】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。
【0019】
別の例示的な実施形態において、下記の(d)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(d)工程は、式(I)の化合物(式中、Xが水素であり、かつ、YがORであり;式中、Rは単糖類または二糖類である)を、酸と反応させることによって、式(I)の対応する化合物(式中、Rが水素である)を調製する工程である。例示として、このプロセスは、化合物(4)を酸と反応させることによって、下記の化合物(5)を調製する、(d)工程を含む:
【化11】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。
【0020】
別の例示的な実施形態において、下記の(e)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(e)工程は、式(I)の化合物(式中、Xが水素であり、かつ、YがOHである)を酸化することによって、式(I)の対応する化合物(式中、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)を調製する工程である。例示として、このプロセスは、化合物(5)を酸化剤により酸化することによって、下記の化合物(6)を調製する(e)工程を含む:
【化12】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。
【0021】
別の例示的な実施形態において、下記の(f)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(f)工程は、式(I)の化合物(式中、Wが水素である)を、フッ素化剤と反応させることによって、式(I)の対応する化合物(式中、WがFである)を調製する工程である。例示として、このプロセスは、化合物(6)をフッ素化剤と反応させることによって、下記の化合物(7)を調製する、(f)工程を含む:
【化13】

式中、R1a、AおよびBは、本明細書中に記載される通りである。
【0022】
別の例示的な実施形態において、式(VI)の化合物におけるアジド基を、1,2,3−トリアゾール基を有する式(I)の対応する化合物に変換する工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。例示として、下記の(g)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(g)工程は、式(VI)の化合物を、R,R−置換されたアルキンと反応させることによって、下記の式(VII)の化合物を得る工程である:
【化14】

式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリール(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択され、かつ、R、A、B、V、W、XおよびYは本明細書中に記載される通りである。1つの態様において、RおよびRはともに、水素ではない。別の態様において、RおよびRの少なくとも1つが水素である。1つの変形例において、AおよびBは一緒になって、アルキレン、スピロシクロアルキレンを含むシクロアルキレン、または、アリーレン(これらのそれぞれが任意に置換される)を形成する。例示として、このプロセスは、銅触媒および塩基の存在下で、Huisgen環化を化合物(7)に対して行うことによって、下記の化合物(8)を調製する、(g)工程を含む:
【化15】

式中、R1a、AおよびBは本明細書中に記載される通りである。
【0023】
別の例示的な実施形態において、下記の(h)工程を含む、式(I)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(h)工程は、式(I)の化合物(式中、Rが、アシル保護基を有する、単糖類または多糖類である)を、アルコールと反応させることによって、式(I)の対応する脱保護された化合物を調製する工程である。1つの変形例において、式(II)の化合物をアルコールと反応させる工程を含む、式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。例示として、このプロセスは、化合物(8)をアルコールと反応させることによって、下記の化合物(9)を調製する、(h)工程を含む:
【化16】

式中、AおよびBは、本明細書中で定義される通りである。
【0024】
本明細書中に記載されるプロセスは、簡便かつ費用効果的に有利に行われ得ることが理解される。本明細書中に記載されるプロセスは、大きい製造バッチに規模が拡大され得ることがさらに理解される。本明細書中に記載されるプロセスは、従来のプロセスよりも少ない工程で行われることがさらに理解される。本明細書中に記載されるプロセスは、従来のプロセスよりも集中的な工程、および、従来のプロセスよりも少ない直線的な工程で行われることがさらに理解される。本明細書中に記載されるプロセスは、知られているプロセスよりも、少ない副生成物、または、異なる副生成物を付随して生じさせ得ることがさらに理解される。本明細書中に記載されるプロセスは、本明細書中に記載される化合物を、知られているプロセスよりも高い純度でもたらし得ることがさらに理解される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1つの例示的な実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物であって、式中、Rが単糖類または多糖類である化合物を調製するためのプロセスが、本明細書中に記載される。1つの態様において、単糖類は、アミノ糖またはその誘導体であり、例えば、C−4’位において誘導体化されるミカミノース、デソサミン、C−6’位において誘導体化される4−デオキシ−3−アミノ−グルコース、クロラムフェニコールおよびクリンダマイシンなど、あるいは、これら前記のアナログまたは誘導体などである。別の態様において、多糖類は、例えば、別の糖によりC−4’位において誘導体化されるミカミノース、または、別の糖によりC−6’位において誘導体化される4−デオキシ−3−アミノ−グルコースである二糖類、例えばアミノ糖またはハロ糖である三糖類、あるいは、これら前記のアナログまたは誘導体である。別の実施形態において、Rはデソサミンあるいはそのアナログまたは誘導体である。この実施形態および他の実施形態において、誘導体には、単糖類または多糖類の保護された形態が含まれることを理解されたい。
【0026】
別の例示的な実施形態において、下記の(a)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(a)工程は、下記の式(IV)の化合物:
【化17】

(式中、Rは、2’−ヒドロキシル基を含む単糖類であり、かつ、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである)を、立体障害アシル化剤R1a−L(式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、Lは脱離基または活性化基である)と反応させることによって、対応する2’−アシル誘導体を形成する工程である。Rに存在するか、または、基Yに含まれるさらなるヒドロキシル基もまた、このプロセスではアシル化され得ることが理解される。
【0027】
例示的な立体障害アシル誘導体または立体障害ジアシル誘導体は、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイルおよびピバロイルなどを含むが、これらに限定されない。要求されるアシル化剤を調製するために、アシル誘導体を形成するための広範囲の様々な活性化基を使用することができ、このような活性化基には、無水物、クロリド、トリフラートおよびブロミドなどが含まれるが、これらに限定されない。1つの態様において、立体障害アシル化剤は安息香酸無水物であるか、あるいは、式(IV)の化合物または代替的には化合物(1)の、2’位、または、2’位および4’位の両方においてベンゾイルエステルを形成することができる同等に活性化されたベンゾイル試薬である。例示として、このプロセスは、化合物(1)を立体障害アシル化剤と反応させることによって、対応する2’−アシル誘導体または2’,4’’−ジアシル誘導体、すなわち、化合物(2)を形成する、下記の(a)工程を含む:
【化18】

式中、WおよびR1aは、本明細書中で定義される通りである。式(IV)、式(1)および式(2)の化合物の別の態様において、WがFである。(1)を(2)に変換する1つの態様において、R1aは、任意に置換されたベンゾイル基であり、かつ、工程(a)は、安息香酸無水物、あるいは、式(IV)の化合物または代替的には化合物(1)の、2’位、または、2’位および4’位の両方においてベンゾイルエステルを形成することができる同等に活性化されたベンゾイル試薬を含む。
【0028】
工程(a)は一般には、溶媒および塩基の存在下で行われる。例示的には、溶媒には、酢酸エチル、ジクロロメタン、アセトンおよびピリジンなど、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な塩基には、無機塩基、例えば、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなど、ならびに、それらの混合物;そしてまた、アミン塩基、例えば、ピリジン、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、ヒューニッヒ塩基)および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)など、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。この反応は様々な温度で行うことができ、例えば、約0℃〜約60℃の範囲において行うことができ、かつ、例示的には、約10℃〜約30℃で行うことができる。
【0029】
別の例示的な実施形態において、下記の(b)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(b)工程は、式(IV)の化合物をカルボニル化試薬と反応させることによって、式(V)の化合物を形成する工程である:
【化19】

式中、Lは脱離基であり、かつ、R、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである。工程(b)は一般には、極性溶媒および塩基の存在下で行うことによって、式(V)の化合物を得る。例示的なカルボニル化剤には、クロロギ酸メチル、クロロギ酸ベンジルおよびクロロギ酸フェニル、カルボニルジイミダゾール、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール)、[[1,1’−カルボニルジピペリジン,ビス(ペンタメチレン)ウレア]]、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナートおよびジプロピルカルボナートなどが含まれる。例示的な極性溶媒には、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、THFおよびメチルテトラヒドロフランなど、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な塩基には、DBU、DABCO、TEAおよびDIPEAなど、ならびに、それらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。この反応は様々な温度で行うことができ、例えば、約0℃〜約60℃の範囲において行うことができ、例示的には室温で行うことができる。例示として、このプロセスは、化合物(2)をカルボニルジイミダゾールと反応させることによって、下記の化合物(3)を調製する、(b)工程を含む:
【化20】

式中、R1aおよびWは、本明細書中で定義される通りである。別の例示的な例において、このプロセスは、化合物(2)を、DBUの存在下でカルボニルジイミダゾールと反応させることによって、化合物(3)を調製する工程を含む。式(V)および式(3)の化合物の別の態様において、WがFである。1つの変形例において、化合物(IV)が、最初にMsO/ピリジンで処理され、その後にDBU/アセトン、その後にNaH/CDI/DMFと−10℃で処理されることによって、化合物(V)が調製される。
【0030】
別の例示的な実施形態において、下記の(c)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(c)工程は、式(V)の化合物を、式N−B−A−NHの化合物と反応させることによって、下記の式(VI)の化合物を得る工程である:
【化21】

式中、R、A、B、V、W、XおよびYは、本明細書中に記載される通りである。1つの変形例において、AおよびBは一緒になって、アルキレン、スピロシクロアルキレンを含むシクロアルキレンまたはアリーレン(これらのそれぞれが任意に置換される)を形成する。−A−B−の例示的な基には、1,4−ブチレン、1,4−ペンチレン、1,5−ペンチレン、1,1−シクロプロピリデン、1,1−シクロペンチリデンおよび1−シクロプロパ−1−イルプロピルなどが含まれるが、これらに限定されない。1つの態様において、−A−B−は、直線状のC〜C10アルキレンである。別の態様において、−A−B−は、直線状のC〜Cアルキレンである。別の態様において、−A−B−は、1,4−ブチレンである。
【0031】
工程(c)は一般には、プロトン性極性溶媒および非プロトン性極性溶媒、または、それらの混合物を含めた、極性溶媒の存在下で行われる。例示的なプロトン性極性溶媒には、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ペンタノール、neo−ペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、および、ベンジルアルコール)、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミドおよびグリセロールなど、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。例示的な非プロトン性極性溶媒には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリジノン(NMP)、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピオニトリル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ヘキサクロロアセトン、HMPA、HMPT、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸t−ブチル、スルホラン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ニトロメタン、ニトロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサンおよびポリエーテル、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。加えて、工程(c)は、さらなる塩基の存在下で行うことができる。例示的な塩基には、DBU、DABCO、TEAおよびDIPEAなど、ならびに、それらの混合物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
例示として、このプロセスは、化合物(3)を、N−B−A−NHと反応させることによって、下記の化合物(4)を得る、(c)工程を含む:
【化22】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。1つの例示的な実施形態において、N−B−A−NH対化合物(3)のモル当量比が、約4対1から約3対1までである。別の例示的な実施形態において、N−B−A−NH対化合物(3)のモル当量比が、約3対1である。別の例示的な実施形態において、N−B−A−NH対化合物(3)のモル当量比が、約3対1であり、かつ、さらなる塩基が、DBUであり、DBU対化合物(3)のモル当量比は、約1対1から約0.75対1までである。別の例示的な実施形態において、N−B−A−NH対化合物(3)のモル当量比が、約3対1であり、かつ、さらなる塩基が、DBUであり、DBU対化合物(3)のモル当量比は、約0.75対1である。
【0033】
別の例示的な実施形態において、下記の(d)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(d)工程は、式(I)の化合物(式中、Xが水素であり、かつ、YがORであり;式中、Rは単糖類または二糖類である)を、酸と反応させることによって、式(I)の対応する化合物(式中、Rが水素である)を調製する工程である。例示的な酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸およびフッ化水素酸など、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。1つの変形例において、酸が塩酸である。工程(d)は一般には溶媒中で行われ、例えば、水、極性の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、tert−ブタノールおよびn−ブタノールなどのアルコールを含む)、および、それらの混合物などの中において行われる。工程(d)は、約0℃〜約70℃の範囲の温度を含めて、広範囲の様々な温度で行うことができ、例示的には、約20℃〜約60℃の範囲の温度で行うことができる。
【0034】
例示として、このプロセスは、化合物(4)を酸と反応させることによって、下記の化合物(5)を調製する、(d)工程を含む:
【化23】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。式(VI)、式(4)および式(5)の化合物の1つの態様において、WがFである。工程(d)において使用される例示的な酸には、トリフルオロ酢酸、ギ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸およびフッ化水素酸など、ならびに、それらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
別の例示的な実施形態において、下記の(e)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(e)工程は、式(I)の化合物(式中、Xが水素であり、かつ、YがOHである)を酸化することによって、式(I)の対応する化合物(式中、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)を調製する工程である。工程(e)は一般には、Corey−Kim酸化(例えば、ジメチルスルフィド/N−クロロスクシンイミド(DMS/NCS)、および、ジ−n−ブチルスルフィド/N−クロロスクシンイミド)、Dess−Martin試薬、Pfitzner−Moffat法およびその改変法、Swern条件(例えば、DMSO/オキサリルクロリド、DMSO/五酸化リン、DMSO/p−トルエンスルホニルクロリド、DMSO/無水酢酸、DMSO/トリフルオロ酢酸無水物、および、DMSO/塩化チオニル)、マンガン試薬、クロム試薬、セレン試薬、第三級アミンオキシド、Ni(Ac)/次亜塩素酸塩、ならびに、DMSO/EDAC・HCl/ピリジン・TFAなど、そしてまた、例えば、1つまたは複数の相間移動触媒を含むことなどによるそれらの変法を含めて、従来の酸化剤および条件を使用して行われるが、これらに限定されない。
【0036】
例示として、このプロセスは、化合物(5)を酸化剤により酸化することによって、下記の化合物(6)を調製する、(e)工程を含む:
【化24】

式中、R1a、A、BおよびWは、本明細書中に記載される通りである。式(6)の化合物の1つの態様において、WがFである。1つの例示的な態様において、酸化剤が、Swern条件(例えば、DMSO/EDAC・HCl/ピリジン・TFA)、Dess−Martin条件、Corey−Kim条件(例えば、ジメチルスルフィド/N−クロロスクシンイミド)、Jones試薬および他のクロム系酸化剤、過マンガン酸塩および他のマンガン系酸化剤、ならびに、Ni(Ac)/次亜塩素酸塩などからなる群から選択される。例示的には、酸化が、ジメチルスルフィド、N−クロロスクシンイミドおよびトリエチルアミンを使用して、塩化メチレン中、約−20℃〜0℃の温度で行われる。別の例示的な実施形態において、酸化が、Dess−Martinペルヨージナンを使用して、塩化メチレン中、約5℃〜約30℃の温度で行われる。別の例示的な実施形態において、酸化が、Dess−Martinペルヨージナンを使用して、塩化メチレン中、約5℃〜約30℃の温度で行われ、かつ、Dess−Martinペルヨージナン対化合物(5)のモル当量比が、約3.3対1から約1.3対1までである。別の例示的な実施形態において、酸化が、Dess−Martinペルヨージナンを使用して、塩化メチレン中、約5℃〜約30℃の温度で行われ、かつ、Dess−Martinペルヨージナン対化合物(5)のモル当量比が、約1.3対1である。
【0037】
別の例示的な実施形態において、下記の(f)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(f)工程は、式(I)の化合物(式中、Wが水素である)を、フッ素化剤と反応させることによって、式(I)の対応する化合物(式中、WがFである)を調製する工程である。例示として、このプロセスは、化合物(6)を、溶媒および例えばt−BuOKである塩基の存在下において、例えば(PhSON−F(NFSIまたはN−フルオロスルホンイミド)、F−TEDA、F−TEDA−BFおよび1−フルオロ−4−ヒドロキシ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボラート)などであるフッ素化剤と反応させることによって、下記の化合物(7)を調製する(f)工程を含む:
【化25】

式中、R1a、AおよびBは、本明細書中に記載される通りである。フッ素化剤および塩基の他の組合せによっても、化合物(7)が調製され得ることが理解される。このフッ素化反応は一般には、例えば、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたはカリウム、および、重炭酸ナトリウムまたはカリウムなどである無機塩基;例えば、トリエチルアミン、DABCOおよびカリウムtert−ブトキシドなどである有機塩基;または、それらの組合せの存在下において行われる。このフッ素化反応は一般には、テトラヒドロフランおよびメチルテトラヒドロフランなど、または、それらの混合物を含めて、溶媒の存在下で行われるが、これらに限定されない。1つの例示的な実施形態において、フッ素化剤がN−フルオロスルホンイミドであり、塩基がカリウムtert−ブトキシドであり、かつ、溶媒がテトラヒドロフランである。別の例示的な実施形態において、N−フルオロスルホンイミド対化合物(6)のモル当量比が、約1.3対1から約1.2対1までである。
【0038】
別の例示的な実施形態において、式(VI)の化合物におけるアジド基を、1,2,3−トリアゾール基を有する式(I)の対応する化合物に変換する工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。例示として、下記の(g)工程を含む、式(I)、式(II)または式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(g)工程は、式(VI)の化合物を、R,R−置換されたアルキンと反応させることによって、下記の式(VII)の化合物を得る工程である:
【化26】

式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリール(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択され、かつ、R、A、B、V、W、XおよびYは、本明細書中に記載される通りである。1つの態様において、RおよびRはともに、水素ではない。別の態様において、RおよびRの少なくとも1つが水素である。式(VII)の化合物の別の態様において、WがFである。1つの変形例において、AおよびBは一緒になって、アルキレン、スピロシクロアルキレンを含むシクロアルキレンまたはアリーレン(これらのそれぞれが任意に置換される)を形成する。例示的な置換されたアルキンには、芳香族基、置換された芳香族基、複素環式基、置換された複素環式基、アルキル基、分岐したアルキル基、置換されたアルキル基(例えば、第一級アミノ基、第二級アミノ基および第三級アミノ基を含むアミノ基により置換されるアルキル基など)、1つまたは複数のハロゲン、ヒドロキシル、アルキルエーテルおよび芳香族エーテルを含むエーテル、ケトン、チオエーテル、エステル、カルボン酸、シアノおよびエポキシドなどにより置換される、アルキンが含まれる。
【0039】
例示として、このプロセスは、銅触媒および塩基の存在下でHuisgen環化を化合物(7)に対して行うことによって、下記の化合物(8)を調製する、(g)工程を含む:
【化27】

式中、R1a、AおよびBは、本明細書中に記載される通りである。工程(g)におけるHuisgen環化は、塩基の存在下で、無溶媒、水中、または、例えばアセトニトリルまたはトルエンである有機溶媒中のいずれかにおいて行われる。例示的な塩基には、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DABCO、ピリジンおよびルチジンなどの、アルキル塩基およびヘテロアリール塩基を含む有機塩基、ならびに、例えば、NaOH、KOH、KCOおよびNaHCOなどの無機塩基が含まれるが、これらに限定されない。塩基は例示的には、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)である。1つの実施形態において、3−アミノフェニルエチン対化合物(7)の比率が、約1.5対1から約1.2対1までであり、かつ、DIPEA対化合物(7)の比率が、約10対1から約4対1までである。反応は、20℃から80℃までの温度で行われる。この反応はまた、触媒の使用により促進させることができ、そのような触媒には、例示的にはヨウ化銅であるハロゲン化銅が含まれるが、これらに限定されない。CuIの、アジド(VI)または(7)に対する比率が、例示的には、約0.01対1から約0.1対1である。1つの例示的な実施例において、CuIの、アジド(VI)または(7)に対する比率が、0.03対1である。代替的な実施形態において、触媒は、例えばフェノールフタレインである有機触媒である。さらなる反応条件が、Sharplessらによって米国特許出願公開第2005/0222427号に、Liangらによって、Bioorg.Med.Chem.Lett.、15(2005)、1307〜1310に、また、Romeroらによって、Tetrahedron Letters、46(2005)、1483〜1487に記載される(これらの開示は参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0040】
別の例示的な実施形態において、下記の(h)工程を含む、式(I)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。ここで、(h)工程は、式(I)の化合物(式中、Rが、アシル保護基を有する単糖類または多糖類である)を、アルコールと反応させることによって、式(I)の対応する脱保護された化合物を調製する工程である。1つの変形例において、式(II)の化合物をアルコールと反応させる工程を含む、式(III)の化合物を調製するためのプロセスが記載される。例示として、このプロセスは、化合物(8)をアルコールと反応させることによって、下記の化合物(9)を調製する、(h)工程を含む:
【化28】

式中、AおよびBは、本明細書中で定義される通りである。工程(h)において使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、n−ブタノールまたはそれらの混合物から選択することができる。例示的には、アルコールはメタノールである。反応は、約0℃〜約100℃の温度で行われ、好ましくは、約20℃〜約70℃で行われる。この反応はまた、HClおよびHSOなど、ならびに、それらの混合物からなる群から選択される、鉱酸の存在下で行うことができる。1つの例示的な実施形態において、反応が、メタノール中、約55℃の温度で行われる。
【0041】
これらの様々なプロセスについて上記に記載される工程は一般に、異なる順序で行われ得ることを理解されたい。
【0042】
別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を調製するためのプロセスが本明細書中に記載され、この場合、プロセスは下記の工程を含む:
【化29】

式中、Rは、立体障害アシル化剤R1a−L(式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、Lは脱離基または活性化基である)によりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む、単糖類であり;かつ、R、R、A、B、V、W、XおよびYは、本明細書中で定義される通りである。工程(b)、工程(c)および工程(g)は、本明細書中に記載されるように行われる。
【0043】
別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を調製するためのプロセスが本明細書中に記載され、この場合、プロセスは下記の工程を含む:
【化30】

式中、Rは、立体障害アシル化剤R1a−L(式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、Lは脱離基または活性化基である)によりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む、単糖類であり;かつ、A、BおよびWは、本明細書中で定義される通りである。工程(a)、工程(b)、工程(c)、工程(d)、工程(e)、工程(f)、工程(g)および工程(h)は、本明細書中に記載されるように行われる。
【0044】
別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を調製するために有用な中間体が、本明細書中に記載される。このような中間体には、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)および化合物(9)のみならず、式(IV)、式(V)、式(VI)および式(VII)の化合物が含まれる。このような化合物はそれ自体が、例えば細菌感染症である、疾患などを治療することにおいて有用であることが理解される。このような化合物はまた、抗生物質組成物、抗菌組成物、抗感染組成物および/または抗ウイルス組成物の調製においても、有用であり得ることが理解される。
【0045】
別の実施形態において、本明細書中に記載されるプロセスは、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を、従来のプロセスよりも高い収率および/または純度で調製するのに有用である。1つの態様において、本明細書中に記載されるプロセスは、例えば、トシルクロリドまたは同等な活性化基を使用することによる側鎖ヒドロキシル基の事前の活性化、および、その後の対応する側鎖アジド基への変換を必要とすることなく、マクロライド化合物へのアジド側鎖の直接的な導入を可能にする。本明細書中に記載されるようなアジド側鎖の直接的な導入は、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を調製する際に行わなければならない合成工程の全体数を、少なくする。従来の合成では、少なくとも2工程におよぶ線形的な順序でアジドに変換されなければならないアルコール基を含有する、側鎖の導入が開示されている。
【0046】
別の態様において、本明細書中に記載されるプロセスは、副生成物反応の生じる数を減らし、それに対応して、式(I)、式(II)および式(III)の化合物の調製中に見出される、望まれない不純物の数を減らすことができる。本明細書中に記載されるプロセスでは、マクロライドの糖部分におけるヒドロキシル基を保護するために機能し、かつ、式(I)、式(II)および式(III)の化合物における糖から他の官能基へのアシル転移の可能性を低下させるためにも機能する、立体障害アシル基の使用が含まれる。例えば、C−5糖に存在する、例えばアセチル基である非立体障害アシル基は、マクロライド化合物における他の位置に転移し得ることが発見されている。具体的には、化合物(7)の場合、R1aがアセチルであるとき、アセチル保護基がデソサミンから側鎖のアニリンアミノ基に転移することが発見されており、この結果、望まれない生成物およびその後のさらなる精製工程が生じてしまう。本明細書中に記載されるように、立体障害アシル保護基の使用は、Huisgen環化時におけるアシル転移反応の問題を解決する。アシル転移を回避することにより、改善された純度のみならず、改善された収率の両方がもたらされ得ることが理解される。従って、式(I)の化合物、ならびに、特に、化合物(8)および化合物(9)が、クロマトグラフィーによる精製方法を必要とすることなく、沈降、ろ過、遠心分離、デカンテーションおよび同様のプロセスによって、単離され得ることが発見されている。式(I)の化合物、および、特に、化合物(9)が、固液吸着クロマトグラフィーによって、さらに精製され得ることが理解される。1つの例示的な実施形態において、固体吸着剤が、逆相の吸着剤、シリカゲル、アルミナまたはマグネシア−シリカゲルなどから選択され、かつ、展開溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、塩化メチレン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、エタノール、THF、水など、あるいは、それらの組合せから選択される。別の例示的な実施形態において、固体吸着剤がマグネシア−シリカゲルである。
【0047】
別の態様において、本明細書中に記載されるプロセスは、本明細書中に記載される式(I)、式(II)および式(III)の化合物の純度を改善し、かつ/または、本明細書中に記載される化合物の精製を改善する。本明細書中に記載されるプロセスでは、マクロライドの糖部分おけるヒドロキシル基を保護するために機能し、かつ、化合物のより効果的な精製を提供するためにも機能する、立体障害アシル基の使用が含まれる。例えば、Huisgen環化を行うことは、式(VII)のトリアゾール化合物と、未反応のエチン化合物との混合物をもたらすことが発見されている。式(VII)のトリアゾール化合物が、本明細書中に記載されるような保護がなされていないRで単糖類を含むとき、これら2つの化合物は、分離することが困難である。対照的に、式(VII)のトリアゾール化合物が2’−アシル保護の単糖類をRにおいて含むとき、式(VII)のトリアゾール化合物が予想外にも、未反応のエチン化合物からより容易に分離される。従って、式(VII)の化合物、ならびに、特に、化合物(8)および化合物(9)が、クロマトグラフィーによる精製方法を必要とすることなく、沈降、ろ過、遠心分離、デカンテーションおよび同様のプロセスによって、単離され得ることが発見されている。式(I)の化合物、および、特に、化合物(9)が、固液クロマトグラフィーによってさらに精製され得ることが理解される。1つの例示的な実施形態において、固体吸着剤が、逆相の吸着剤、シリカゲル、アルミナおよびマグネシア−シリカゲルなどから選択され、かつ、展開溶媒が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、塩化メチレン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、アセトニトリル、メタノール、イソプロパノール、エタノール、THF、水など、あるいは、それらの組合せから選択される。別の例示的な実施形態において、固体吸着剤がマグネシア−シリカゲルである。
【0048】
別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物は、約98%を超える純度、約99%を超える純度、および、約99.5%を超える純度を有するとして、本明細書中に記載される。別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物は、約1%未満のアミノフェニルエチン化合物、約0.5%未満のアミノフェニルエチン化合物、約0.2%未満のアミノフェニルエチン化合物、および、約0.1%未満のアミノフェニルエチン化合物を含むとして、本明細書中に記載される。別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物は、アミノフェニルエチン化合物を実質的に含まないとして、または、アミノフェニルエチン化合物を含まないとして、本明細書中に記載される。別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を含む組成物は、組成物中の式(I)、式(II)および式(III)の化合物と比較して、約1%未満のアミノフェニルエチン化合物、約0.5%未満のアミノフェニルエチン化合物、約0.15%未満のアミノフェニルエチン化合物、および、約0.1%未満のアミノフェニルエチン化合物を含むとして、本明細書中に記載される。別の実施形態において、式(I)、式(II)および式(III)の化合物を含む組成物は、アミノフェニルエチン化合物を実質的に含まないとして、または、アミノフェニルエチン化合物を含まないとして、本明細書中に記載される。
【0049】
用語「アリール」は、単独または組合せであっても、任意に置換された芳香族環系を示す。アリールという用語には、単環式の芳香族環および多環式の芳香族環が含まれる。アリール基の例には、フェニル環系、ビフェニル環系、ナフチル環系およびアントリル環系が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
用語「ヘテロアリール」は、例えば、酸素、窒素、イオウ、セレンおよびリンである1つまたは複数のヘテロ原子を有する、任意に置換された芳香族環系を示す。ヘテロアリールという用語には、5員または6員の複素環式の環、多環式の複素芳香族環系、および、多環式のヘテロ芳香族環系が含まれ得る。
【0051】
本明細書中で使用される場合、アラルキルという用語は、アリールアルキルという用語と等価であり、アルキル部分と結合する、1つまたは複数で非置換もしくは置換された単環式の芳香族環または非置換もしくは置換された多環式の芳香族環を意味する;例示的な例には、ベンジル、ジフェニルメチル、トリチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、2−ピリジルメチルおよび4,4’−ジメトキシトリチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
当業者はまた、構成要素が、共通する様式で、例えばマーカッシュ群などで、1つの群にまとめられる場合、本発明は、全体として列挙される群全体だけでなく、その群のそれぞれの構成要素を個々に、また、主群のすべての可能な部分群も包含することを、容易に認識する。従って、すべての目的のために、本発明は、主群だけでなく、群の構成要素の1つまたは複数を含まない主群もまた包含する。本発明ではまた、群の構成要素のいずれかの1つまたは複数が、請求項に記載される発明において明確に除外されることが想定される。
【0053】
糖という用語には、単糖類、二糖類および多糖類(これらのそれぞれが、任意に置換される)が含まれる。この用語にはまた、アミノ基、アミド基、尿素基、ハロゲン基、ニトリル基またはアジド基により任意に置換される糖およびデオキシ糖が含まれる。例示的な例には、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、デソサミン、ホロサミンおよびシアル酸などが含まれる。
【0054】
本明細書中に記載されるプロセスが、下記の実施例によってさらに例示される。下記の実施例は、例示であることが意図され、従って、いかなる様式でも、限定であると解釈してはならず、また、限定であると見なしてはならない。
【0055】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第60/982,446号(2007年10月25日出願、その開示は本明細書により参照によって本明細書中に組み込まれる)の、米国特許法第119条(e)項による利益を主張する。
【実施例】
【0056】
実施例1:2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−6−O−メチルエリスロマイシンAの調製。
125mLの酢酸エチルを、25gのクラリスロマイシンAに加えた。26.5gの安息香酸無水物、5.7gの4−ジメチルアミノピリジンおよび6.7gのトリエチルアミンを、25℃〜35℃で反応混合物に加えた。反応混合物を、室温で約70時間撹拌した。反応完了後、酢酸エチルを留去して、表題化合物を得た。
【0057】
実施例2:10,11−アンヒドロ−2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−12−O−イミダゾリルカルボニル−6−O−メチルエリスロマイシンAの調製。
ジメチルホルムアミド(DMF、100mL)を、2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−6−O−メチルエリスロマイシンAに25℃〜35℃で加え、その後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU、6.4g)を反応混合物に加え、室温で撹拌した。1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI、17g)を反応混合物に加え、反応が完了するまで室温で撹拌した。表題化合物が、水の添加、および、生じた沈殿物を回収することによって単離される。
【0058】
実施例3:2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−11−N
−(4−アジドブチル)−6−O−メチルエリスロマイシンA 11,12−環状カルバメートの調製。
DMF(50mL)を、10,11−アンヒドロ−2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−12−O−イミダゾリルカルボニル−6−O−メチルエリスロマイシンA(10g)に25℃〜35℃で加えた。4−アジドブチルアミン(4.4g)およびDBU(1.5g)を反応混合物に加え、その後、反応混合物を、反応が完了するまで25℃〜35℃で撹拌した。その後、反応混合物を冷水で処理し、生じた固体沈殿物を回収した。固体をジクロロメタンで処理し、続いて、抽出および溶媒除去を行うことによって、表題化合物を得た。4−アジドブチルアミン対10,11−アンヒドロ−2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−12−O−イミダゾリルカルボニル−6−O−メチルエリスロマイシンAのモル当量比は、約4:1から約3:1までであるように、任意に選択される。DBU対10,11−アンヒドロ−2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−12−O−イミダゾリルカルボニル−6−O−メチルエリスロマイシンAのモル比は、約1:1から約0.75:1までであるように、任意に選択される。
【0059】
実施例4:11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−ヒドロキシ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートの調製。
アセトン(10mL)を、2’,4’’−ジ−O−ベンゾイル−11−N−(4−アジドブチル)−6−O−メチルエリスロマイシンA 11,12−環状カルバメート(5g)に加えて、透明な溶液を25℃〜35℃で得た。希HCl(10mL)を反応混合物に加え、反応混合物を室温で24時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を酢酸エチルにより抽出し、水酸化ナトリウム溶液で処理することによって、表題化合物を得た。
【0060】
実施例5:11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートの調製。
ジクロロメタン(50mL)を、N−クロロスクシンイミド(2g)に窒素下において室温で加え、0℃に冷却した。ジメチルスルフィド(1.8mL)を、撹拌下、0℃で反応混合物にゆっくり加えた。ジクロロメタン(20mL)に溶解された11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−ヒドロキシ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメート(5g)を、撹拌下、0℃で反応混合物に滴下して加えた。反応混合物を約−20℃に冷却し、トリエチルアミン(4mL)をジクロロメタン(5mL)に溶解させた溶液を反応混合物に加え、30分間撹拌した。反応完了後、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理し、有機層を単離した。溶媒の留去によって、表題化合物を得た。さらなる反応条件が、Plataらによって、Tetrahedron、60(2004)、10171〜10180に記載される(その開示全体が参照によって本明細書中に組み込まれる)。
【0061】
実施例5A:11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートの調製。
11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−ヒドロキシ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメート(100g、0.1225モル)の、Dess−Martinペルヨージナン(170g、0.400モル)による酸化を、ジクロロメタン中、10℃〜15℃で行った。反応混合物を20℃〜25℃で2時間撹拌した。反応混合物を5%水酸化ナトリウム水溶液で処理し、反応を停止させた。有機層を、水および塩化ナトリウム飽和溶液により洗浄した。有機層の蒸留によって溶媒を取り除き、ジイソプロピルエーテルおよびヘキサンの混合物から生成物を単離した。分離された固体をろ過し、真空下、30℃〜35℃で乾燥することによって、表題化合物を得た。Dess−Martinペルヨージナン対11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−ヒドロキシ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートのモル当量比は、任意に、約3.3:1から約1.3:1までである。
【0062】
実施例6:11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−6−O−メチルエリスロノリドA,11,12−環状カルバメートの調製。
11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメート(5g)をテトラヒドロフラン(400mL)に溶解した溶液に、7.3mLのカリウムtert−ブトキシドを加え、続いて、2gのN−フルオロベンゼンスルホンイミドを加えた。約1時間後、反応混合物を水で処理することによって反応を停止させ、続いて、ジクロロメタンにより抽出した。有機層を分離し、濃縮することによって、表題化合物を得た。
【0063】
実施例6B:11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−6−O−メチルエリスロノリドA,11,12−環状カルバメートの調製。
11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメート(100g)をテトラヒドロフラン(2200mL)に溶解した溶液に、カリウムtert−ブトキシド(28g)を−20℃〜−5℃で加え、続いて、N−フルオロベンゼンスルホンイミド(54g)を加えた。約1時間後、反応混合物を5%重炭酸ナトリウム水溶液で処理することによって反応を停止させた。分離された有機層を、水および飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄した。溶媒を蒸留によって取り除き、残留物をイソプロピルアルコールおよび水の混合物から結晶化し、ろ過し、そして、真空下、40℃〜45℃で乾燥することによって、表題化合物を得た。N−フルオロベンゼンスルホンイミド対11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートのモル当量比は、任意に、約1.6:1から約1.2:1までである。溶媒(mL)対11−N−(4−アジドブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−6−O−メチルエリスロノリドA 11,12−環状カルバメートの比は、任意に、約22:1から約17:1までである。
【0064】
実施例7:11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメート。
11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−6−O−メチルエリスロノリドA,11,12−環状カルバメート(10g)、3−エチニルフェニルアミン(2.11g)、ヨウ化銅(0.3g)およびジイソプロピルエチルアミン(15.5g)をアセトニトリル(200mL)に加え、室温で20時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を希HClで処理することによって反応を停止させ、ジクロロメタンにより抽出した。有機層を重炭酸塩溶液で中和し、乾燥し、そして、濃縮することによって、表題化合物を得た。
【0065】
実施例7B:11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−デソサミニル−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメート。
11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−6−O−メチルエリスロノリドA,11,12−環状カルバメート(100g)、3−エチニルフェニルアミン(20g)、ヨウ化銅(10g)およびジイソプロピルエチルアミン(155g)をアセトニトリル(600mL)に加え、25℃〜30℃で12時間撹拌した。3−エチニルフェニルアミン対11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−6−O−メチルエリスロノリドA,11,12−環状カルバメートのモル当量比は、任意に、約1.5:1から約1.2:1までである。反応完了後、反応混合物を希HClに注ぎ、ジイソプロピルエーテルにより抽出した。水層をジクロロメタンにより抽出した。ジクロロメタン層を重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、乾燥し(NaSO)、そして、濃縮することによって、表題化合物を得た。この物質をメタノール(600mL)に加え、得られた混合物を50℃〜55℃で12時間加熱した。溶液を活性炭(10g)で処理し、ろ過し、そして、減圧下で濃縮した。残渣を水およびEtOAcの混合物に溶解した。水相のpHを約3.5に調節した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルにより抽出し(2回)、続いて、ジイソプロピルエーテルにより抽出した(2回)。得られた水層をアンモニア水(約4%アンモニアの1000mL)に加えた。析出した固体をろ過によって集め、洗浄液のpHが約7〜8になるまで水により洗浄し、そして、減圧下で乾燥することによって、表題化合物を得た。この物質は、任意に、エタノールから再結晶することによってさらに精製される。
【0066】
実施例8:11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−デソサミニル−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメート。
11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−(2’−ベンゾイルデソサミニル)−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメート(6g)をメタノール(60mL)に溶解し、還流下で7時間加熱した。反応完了後、反応混合物を濃縮し、ジイソプロピルエーテル(30mL)により希釈し、そして、室温で2時間撹拌した。得られた固体をろ過によって集めた。この固体は、沈降、結晶化またはクロマトグラフィーによって、任意に精製される。この物質は、酸を加え、引続き、生じた塩を沈殿させることによって、任意に塩に変換される。この物質の分析では、表題化合物が、98%を超える純度を有することが示された。実施例1から実施例8を繰り返すことによって、実施例8の表題化合物の5kgのサンプルを調製した。この多量のサンプルは、約0.1%未満のアミノフェニルエチンまたは約0.07%のアミノフェニルエチンを含有することが明らかになった。
【0067】
実施例9:11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−デソサミニル−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメートの精製。
Florisil(21kg)を、63Lの酢酸エチルを含むカラムに詰めた。1.4kgの11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−デソサミニル−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメートを、14Lの酢酸エチルおよび0.7Lのアセトニトリルに溶解させた溶液を、カラムに通す。溶出液を集める。酢酸エチル(112L)をカラムに通し、溶出液を最初の画分と一緒にする。このプロセスをさらに4回繰り返す。一緒にした溶出液を濃縮し、得られた残渣を、50℃〜55℃に加熱することによって39Lのエチルアルコールに溶解させた。体積を約22Lに減らし、25℃〜30℃に冷却する。溶液を5時間〜6時間、撹拌する。生じる固体を集め、冷エチルアルコールにより洗浄する。湿ったケークを、40℃〜45℃に加熱することによって、酢酸エチル/アセトニトリルの溶液(1kgの湿ったケークあたり15L/0.5L)に溶解する。さらなる酢酸エチル(1kgの湿ったケークあたり20L)を溶液に加える。この溶液をFlorisilのカラム(1kgの湿ったケークあたり15kg)に通す。溶出液を集める。カラムを酢酸エチル(1kgの湿ったケークあたり80L)によりフラッシュ洗浄する。溶出液を集め、最初の溶出液と一緒にする。一緒にした溶出液を濃縮し、得られた残渣を、50℃〜55℃に加熱することによって39Lのエチルアルコールに溶解した。体積を約22Lに減らし、25℃〜30℃に冷却する。溶液を5時間〜6時間、撹拌する。生じる固体を集め、冷エチルアルコールにより洗浄する。フィルターケークを、10℃〜15℃に冷却された50Lの水に加える。濃HCl(0.97L)を10℃〜15℃でゆっくり加えることによって、透明な溶液を得る。その溶液をろ過する。ろ液をアンモニア水溶液(0.79Lのアンモニアを28Lの水に溶解)に10℃〜25℃でゆっくり加える。得られる混合物を30分間撹拌し、固体を遠心分離によって集める。この固体を、水分含有量が1.5%以下になるまで、45℃〜50℃で乾燥した。
【0068】
実施例9A:11−N−(3−アミノ−フェニル−1−イルメチル−[1,2,3]−トリアゾール−1−イル]ブチル)−5−デソサミニル−3−オキソ−2−フルオロ−エリスロノリドA,11,12−環状カルバメートは、任意に、物質を最少量の溶媒に溶解し、得られる混合物に酸を加えることによって、溶媒から析出する固体、または、酸性化された混合物に第2の溶媒を加えた後で析出する固体を、形成させて精製される。
【0069】
実施例10:4−アジド−ブチルアミンの調製。
1,4−ジブロモブタンを温かいDMFに溶解し、アジ化ナトリウム(3モル当量)で処理した。反応が完了した後、反応混合物を水で希釈し、1,4−ジアジド−ブタンをメチルt−ブチルエーテルに抽出した。トリフェニルホスフィン(1.08モル当量)を、1,4−ジアジド−ブタンの溶液に加えた。反応が完了したとき、反応混合物を、加水分解が完了するまで5%塩酸により希釈した。酸性の水層を分離し、希水酸化ナトリウムで塩基性にした。得られた生成物を、塩化メチレンに抽出した。有機層を分離し、減圧下で濃縮することによって、表題物質を得た。1,4−ジアジド−ブタンの調製は、任意に、約1対3から約1対5までの、アジ化ナトリウムに対するモル当量比を用いて行われる。1,4−ジアジド−ブタンは、任意に、例えば水素化ホウ素ナトリウムである他の還元剤により、4−アジド−ブチルアミンに還元される。
【0070】
比較例1:マクロライドの調製について、Romeroらによって、Tetrahedron letters、46:1483〜1487(2005)に記載されるプロセスは下記の通りである:
【化31】

本比較例では、最初に、C−12における活性化されているアシル化されたアリル性アルコールを4−アミノ−1−ブタノールと反応させ、続いて、側鎖ヒドロキシル基をトシルクロリドにより活性化し、最後に、NaNと反応させて、アジド側鎖を導入することによって、対応する側鎖アジドを調製する(一般的には、米国特許出願公開第2006/0100164号を参照のこと)。この比較例のプロセスでは、アジド基を側鎖に導入するために、少なくとも2つの工程が必ず必要とされる。
【0071】
比較例2:マクロライドの調製について、LiangらおよびRomeroら(Tetrahedron letters、46:1483〜1487(2005))によって記載されるプロセスは下記の通りである:
【化32】

この場合、Huisgen反応が、保護されていないデソサミンに対して行われる。このような保護の欠如は、副生成物の形成をもたらすことが発見された。驚くべきことに、試薬の3−アミノフェニルエチンは、保護されていない最終生成物のトリアゾールから取り除くことが困難であることも、また発見された。さらに、対応する2’−アセチル保護された誘導体を、Huisgen環化で1,2,3−トリアゾールに変換することは、デソサミン糖から側鎖アニリンフラグメントのアミノ基へのアセチル転移を付随して引き起こし、このことは望まれない生成物形成をもたらし、それに対応して、収率の低下をもたらし、また、その後の精製工程の必要性をもたらすことが発見された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物:
【化1】

(式中、
は、単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは、−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、単糖類、二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシルまたは−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)
ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスであって、
下記の式(IV)の化合物:
【化2】

(式中、R1bは、2’−ヒドロキシル基を含む糖類である)
を、立体障害アシル化剤R1a−L(式中、R1aは立体障害アシル基であり、かつ、Lは脱離基または活性化基である)と反応させることによって、対応する2’−アシル誘導体を形成する、(a)工程を含む、プロセス。
【請求項2】
下記の式(I)の化合物:
【化3】

(式中、
は、単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは、−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、単糖類、二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシルまたは−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)
ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスであって、
式(IV)の化合物を、カルボニル化試薬と反応させることによって、式(V)の化合物を形成する、(b)工程を含む、プロセス。
【化4】

(式中、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類であり;かつ、Lは脱離基である)
【請求項3】
前記カルボニル化剤がカルボニルジイミダゾールである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
下記の式(I)の化合物:
【化5】

(式中、
は単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、単糖類、二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシルまたは−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)
ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスであって、
請求項2において定義される式(V)の化合物を、式N−B−A−NHの化合物と反応させることによって、下記の式(VI)の化合物:
【化6】

(式中、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類である)
を得る(c)工程を含む、プロセス。
【請求項5】
下記の式(I)の化合物:
【化7】

(式中、
は単糖類または多糖類であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、単糖類、二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシルまたは−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する)
ならびに、その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物および水和物を調製するためのプロセスであって、
式(VI)の化合物を、R,R−置換されたアルキンと反応させることによって、下記の式(VII)の化合物:
【化8】

(式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリール(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択され;かつ、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類である)
を得る(g)工程を含む、プロセス。
【請求項6】
請求項1において定義される式(IV)の化合物を、カルボニル化試薬と反応させることによって、式(V)の化合物を形成する下記の(b)工程:
【化9】

(式中、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類であり;かつ、Lは脱離基である)
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記カルボニル化剤がカルボニルジイミダゾールである、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
請求項2において定義される式(V)の化合物を、式N−B−A−NHの化合物と反応させることによって、下記の式(VI)の化合物:
【化10】

(式中、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類である)
を得る(c)工程をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項4において定義される式(VI)の化合物を、R,R−置換されたアルキンと反応させることによって、下記の式(VII)の化合物:
【化11】

(式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリール(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択され;かつ、R1bは、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む糖類である)
を得る(g)工程をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
VがC=Oであり;かつ、XおよびYが、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
が、任意に保護された2’−ヒドロキシ基を含む単糖類である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
1aが、分岐アルキルアシル基、アリールアシル基、ヘテロアリールアシル基、アリールアルキルアシル基およびヘテロアリールアルキルアシル基(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択される、請求項1から4または請求項7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
−A−B−が、アルキレン、シクロアルキレンまたはアリーレンであり;かつ、Cが、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールである、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
がデソサミンであり;−A−B−が1,4−ブチレンであり、かつ、Cが4−(3−アミノフェニル)である、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
WがFである、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
下記の式の化合物:
【化12】

(式中、
は、R1aによりアシル化される2’−ヒドロキシル基を含む単糖類であり、式中、R1aは立体障害アシル基であり;
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖であり;
Cは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノアリール、アルキルアミノアリール、アシル、アシルオキシ、スルホニル、尿素およびカルバモイル(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から、それぞれの場合において独立して選択される1個または2個の置換基を表し;
Vは、−C(O)−、−C(=NR11)−、−CH(NR1213)−または−N(R14)CH−であり;式中、R11はヒドロキシまたはアルコキシであり、R12およびR13はそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素およびカルバモイルからなる群から選択され;R14は、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、アルコキシ、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルであり;
Wは、水素、F、Cl、Br、IまたはOHであり;
Xは水素であり;かつ、YはORであり;式中、Rは、水素、単糖類、二糖類、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アシルまたは−C(O)NRであり、式中、RおよびRはそれぞれが独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、アラルキル、アルキルアリール、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、ジメチルアミノアルキル、アシル、スルホニル、尿素またはカルバモイルから選択され;あるいは、XおよびYは、結合する炭素と一緒になって、C=Oを形成し;かつ、
およびRはそれぞれが独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリール(これらのそれぞれが任意に置換される)からなる群から選択される)。
【請求項17】
下記の式を有する、請求項16に記載の化合物:
【化13】




(式中、R1aは立体障害アシル基である)。
【請求項18】
1aがベンゾイルである、請求項16から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
純度が約98%を超える下記の式の化合物:
【化14】

(式中、Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖である)。
【請求項20】
純度が約99%を超える、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
下記の式の化合物:
【化15】

(式中、
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;かつ、
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖である)
を含む組成物であって、前記化合物と比較して約0.15%未満のアミノフェニルエチンを含む、組成物。
【請求項22】
前記化合物と比較して約0.1%未満のアミノフェニルエチンを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
アミノフェニルエチンを実質的に含まない、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
下記の式の化合物:
【化16】

(式中、
Aは、−CH−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)NH−、−S(O)2−、−S(O)2NH−、または、−C(O)NHS(O)2−であり;かつ、
Bは−(CH−であって、式中、nは、0から10までの整数であるか、あるいは、Bは、任意のアルケニル基またはアルキニル基を含有し得る、2個〜10個の炭素の不飽和炭素鎖である)
を含む組成物であって、前記化合物と比較して約2%未満のアシルアミノフェニルを含む、組成物。
【請求項25】
前記化合物と比較して約1%未満のアシルアミノフェニルを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
前記化合物と比較して約0.15%未満のアシルアミノフェニルを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項27】
前記化合物と比較して約0.1%未満のアシルアミノフェニルを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
アシルアミノフェニルを実質的に含まない、請求項21に記載の組成物。

【公表番号】特表2011−500834(P2011−500834A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531238(P2010−531238)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/080936
【国際公開番号】WO2009/055557
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510115591)センプラ ファーマスーティカルズ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CEMPRA PHARMACEUTICALS,INC
【住所又は居所原語表記】6340 Quadrangle Drive,Suite 100,Chapel Hill,NC 27517 (US).
【Fターム(参考)】