説明

マグネットコンベア及び搬送システム

【課題】長手方向と短手方向を有するボルト等の被搬送物を整列して搬送することができ、次工程における整列を簡単に行うことが可能となるマグネットコンベア及びこのマグネットコンベアを備えた搬送システムを提供すること。
【解決手段】被搬送物をその表面に乗せて回転することにより被搬送物を下方から上方に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、搬送ベルトの内側に設けられて被搬送物を搬送ベルト表面に吸着する磁力発生部を備えており、搬送ベルトの表面には、該ベルトの幅方向に延びて被搬送物を支持するリブが該ベルトの長さ方向に間隔をあけて設けられており、磁力発生部は、搬送ベルトの下端部から中途部までの範囲にのみ設けられ、搬送ベルトの中途部より上方において被搬送物が搬送ベルト表面に吸着されない非吸着区間が形成されている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト等の金属製の被搬送物を整列して搬送することができるマグネットコンベア及び搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁力を利用して被搬送物を搬送するマグネットコンベアは、例えば釘やねじ等の金属部品を搬送するための装置として製造現場で広く使用されており、その用途に応じて様々な形態のものが存在している。
【0003】
例えば、本願出願人は下記特許文献1において、被搬送物をその表面に載せて回転する無端状ベルトと、該無端状ベルト内側且つ前記被搬送物の搬送方向始端と終端に配置される一対の磁石回転用スプロケットと、これら一対の磁石回転用スプロケットに巻き掛けられ且つ前記ベルト幅方向両端部内側に設けられた一対の磁石回転用チェーンと、該一対の磁石回転用チェーン間に架設されるとともに磁石回転用チェーン長さ方向に断続的に取り付けられた磁石と、前記搬送方向始端部に前記被搬送物を供給するフィーダとを具備したマグネットコンベアを提案している。
【0004】
この特許文献1に開示されたマグネットコンベアは、異形物品であっても円滑に搬送することができ、設置スペースが小さくて済むという点で従来のマグネットコンベアに比べて優れたものであった。
しかしながら、このマグネットコンベアでは、無端状ベルトの表面に沿って下方から上方へと搬送される異形物品の向きが一定とはならない。例えば、ボルトを搬送した場合、ボルトの長手方向が上下方向を向いたボルト、左右方向を向いたボルト、斜め方向を向いたボルトが混在した状態で搬送されることとなるため(特許文献1の図4参照)、次工程において整列する(向きを揃える)ことが容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−249173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、長手方向と短手方向を有するボルト等の被搬送物を整列して搬送することができ、次工程における整列を簡単に行うことが可能となるマグネットコンベア及びこのマグネットコンベアを備えた搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、被搬送物をその表面に乗せて回転することにより、前記被搬送物を下方から上方に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトの内側に設けられて前記被搬送物を前記搬送ベルト表面に吸着する磁力発生部を備えており、前記搬送ベルトの表面には、該ベルトの幅方向に延びて前記被搬送物を支持するリブが、該ベルトの長さ方向に間隔をあけて設けられており、前記磁力発生部は、前記搬送ベルトの下端部から中途部までの範囲にのみ設けられ、前記搬送ベルトの中途部より上方において前記被搬送物が前記搬送ベルト表面に吸着されない非吸着区間が形成されていることを特徴とするマグネットコンベアに関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記磁力発生部が、前記搬送ベルトの内面に沿うように該搬送ベルトと同方向に回転する磁石付き無端状体からなることを特徴とする請求項1記載のマグネットコンベアに関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記磁力発生部が、磁石プレートからなることを特徴とする請求項1記載のマグネットコンベアに関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記リブの前記搬送ベルト表面からの突出高さは、前記被搬送物の短手方向の長さ以上であって且つ長手方向の長さより短いことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のマグネットコンベアに関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記リブ同士の間隔が、前記被搬送物の短手方向の長さの1倍以上2倍未満であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のマグネットコンベアに関する。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記搬送ベルトの搬送面が、上方に向かうにつれて前方に傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のマグネットコンベアに関する。
【0013】
請求項7に係る発明は、被搬送物を内部に収容するホッパと、該ホッパを振動させる振動機構を備えた振動フィーダと、前記振動フィーダから供給される被搬送物を下方から上方へと搬送するコンベアと、該コンベアにより搬送されてきた被搬送物を整列して搬送する整列搬送装置からなり、前記コンベアが請求項1乃至6いずれかに記載のマグネットコンベアからなることを特徴とする搬送システムに関する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、搬送ベルトの表面には、該ベルトの幅方向に延びて被搬送物を支持するリブが、該ベルトの長さ方向に間隔をあけて設けられており、磁力発生部は、搬送ベルトの下端部から中途部までの範囲にのみ設けられ、搬送ベルトの中途部より上方において被搬送物が搬送ベルト表面に吸着されない非吸着区間が形成されていることから、非吸着区間において、適正な向きでリブに乗っている被搬送物はそのまま上方へと搬送できる一方、適正な向きで乗っていない被搬送物は脱落させることができる。これにより、適正な向きでリブに乗った被搬送物のみを上方へと搬送させることが可能となるので、被搬送物を向きが揃った状態で次工程に供給することができ、次工程における整列を簡単に行うことが可能となる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、磁力発生部が、搬送ベルトの内面に沿うように該搬送ベルトと同方向に回転する磁石付き無端状体からなることから、磁石付き無端状体に取り付けられた磁石によって搬送ベルト表面に被搬送物を吸着させて搬送することができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、磁力発生部が磁石プレートからなることから、磁力発生部を簡易な構成とすることができ、部品点数を減らして製造コストを抑えることが可能となり、メンテナンスも容易となる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、リブの搬送ベルト表面からの突出高さが被搬送物の短手方向の長さ以上であって且つ長手方向の長さより短いことから、適正な向き(短手方向がリブの突出高さ方向と一致する向き)でリブに乗った被搬送物のみを確実に上方へと搬送することができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、リブ同士の間隔が被搬送物の短手方向の長さの1倍以上2倍未満であることから、リブとリブとの間に2つ以上の被搬送物が乗ることが防がれ、適正な向きでリブに乗った被搬送物のみを確実に上方へと搬送することができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、搬送ベルトの搬送面が、上方に向かうにつれて前方に傾斜していることから、適正な向きでリブに乗った被搬送物が非吸着区間において脱落することが防止できる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、振動フィーダにより被搬送物を少量ずつ連続的にマグネットコンベアへと供給することができるとともに、マグネットコンベアから整列搬送装置へと被搬送物を向きが揃った状態で供給することができるため、整列搬送装置による整列を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るマグネットコンベアの側面断面図である。
【図2】本発明に係るマグネットコンベアの正面図である。
【図3】本発明に係るマグネットコンベアを用いて被搬送物(ボルト)を搬送している様子を示す側面断面図である。
【図4】本発明に係るマグネットコンベアを用いて被搬送物(ボルト)を搬送している様子を示す正面図である。
【図5】本発明に係るマグネットコンベアの別の実施形態を示す側面断面図である。
【図6】(a)は本発明に係る搬送システムを示す概略平面図であり、(b)は本発明に係る搬送システムの基台を示す正面図である。
【図7】振動フィーダを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図8】振動フィーダを示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図9】整列搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図10】整列搬送装置を示す図であって、(a)は正面図、(b)は要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るマグネットコンベア及び搬送システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るマグネットコンベアの側面断面図、図2は本発明に係るマグネットコンベアの背面図である。
本発明に係るマグネットコンベア(1)は、被搬送物をその表面に乗せて回転することにより被搬送物を下方から上方に向けて搬送する無端状の搬送ベルト(2)と、搬送ベルト(2)の内面に沿うように該搬送ベルトと同方向に同速度で回転する磁石付き無端状体(3)と、搬送ベルト(2)により搬送される被搬送物を前工程から受け入れるホッパ(4)と、搬送ベルト(2)により搬送されてきた被搬送物を次工程へと供給する出口シュート(5)とを備えている。
【0023】
搬送ベルト(2)は、上端部と下端部に設けられたプーリ(6)に無端状に掛け渡された軟質素材(例えば軟質合成樹脂)製のベルトであって、プーリの回転に伴って一定方向(図1で反時計回り方向)に回転する。プーリ(6)及び後述するスプロケット(8)は同一のモータ(25)を駆動源として回転する。
搬送ベルト(2)の前方側(図1右側)の面は被搬送物を搬送する搬送面となり、後方側(図1左側)の面は被搬送物を搬送しない非搬送面となる。
搬送ベルト(2)の表面には、該ベルトの幅方向に延びて被搬送物を下方から支持するリブ(7)が、該ベルトの長さ方向に間隔をあけて設けられている。リブ(7)は少なくとも被搬送物を乗せることが可能な剛性を有しており、例えば金属や硬質合成樹脂等から形成される。
【0024】
本発明に係るマグネットコンベア(1)により搬送される被搬送物は、磁石により吸着することが可能な材質からなる物(磁性体)であればよいが、長手方向と短手方向を有する異形物が好適である。具体的には、ボルト、釘、リベット等の頭部と軸部を有する金属製部品が特に好適であるが、これらに限定はされない。
【0025】
リブ(7)の搬送ベルト(2)表面からの突出高さは、被搬送物の短手方向の長さ以上であって且つ長手方向の長さより短いことが好ましい。
このようにすると、リブ(7)の突出高さ方向と被搬送物の短手方向が一致したときには被搬送物がリブ(7)上から脱落しにくい安定した状態となる一方、一致しないときには被搬送物がリブ(7)上から脱落し易い不安定な状態となり、その結果、後述するように、適正な向き(短手方向がリブの突出高さ方向と一致する向き)でリブ(7)に乗った被搬送物のみを確実に上方へと搬送することができる。
具体的なリブ(7)の突出高さは、被搬送物の大きさや形状等に応じて設定すればよく特に限定されないが、例えば30〜50mmの範囲に設定することができる。
【0026】
隣り合うリブ(7)同士の間は、被搬送物の短手方向の長さの1倍以上2倍未満であることが好ましい。
これは、リブとリブとの間に2つ以上の被搬送物が乗ることが防がれ、適正な向きでリブに乗った被搬送物のみを確実に上方へと搬送することが可能となるためである。
【0027】
磁石付き無端状体(3)は、上下一対のスプロケット(8)に掛け渡されたチェーンの外周面に磁石(9)を取り付けたものである。磁石(9)は、チェーンの外周側の全長に亘って一定間隔で取り付けられており、被搬送物を磁力によって搬送ベルト(2)の表面に吸着させる磁力発生部として機能する。
【0028】
磁石付き無端状体(3)は、搬送ベルト(2)の下端部から上端部までの全範囲の内面に沿うように設けられているのではなく、図1に示すように、下端部から中途部までの範囲の内面にのみ沿うように設けられている。
これにより、搬送ベルト(2)の下端部から中途部までの範囲が、磁石(9)の磁力が及んで被搬送物が搬送ベルト(2)表面に吸着される吸着区間(A1)となる一方、搬送ベルト(2)の中途部より上方の範囲は、磁石(9)の磁力が及ばず被搬送物が搬送ベルト(2)表面に吸着されない非吸着区間(A2)となる。
【0029】
本発明に係るマグネットコンベアにおいて、吸着区間(A1)と非吸着区間(A2)の長さの比率は特に限定されず、図示例のように両区間を同程度の長さとしてもよいし、いずれか一方の区間を他方の区間より長くしてもよい。
【0030】
搬送ベルト(2)の搬送面は、図1に示すように、上方に向かうにつれて前方に傾斜している。傾斜角度は特に限定されないが、例えば設置面(水平面)に対する角度(α)が60〜80°の範囲(好ましくは約70°)に設定される。
このように、搬送面が前方に傾斜していることにより、適正な向きでリブ(7)に乗った被搬送物が非吸着区間(A2)において脱落することが防止できる。
【0031】
ホッパ(4)は搬送ベルト(2)の前方側(搬送面側)の下方位置に配設されており、出口シュート(5)は搬送ベルト(2)の後方側(搬送面と反対側)の上方位置に配設されている。
【0032】
以下、本発明に係るマグネットコンベア(1)の作用について、図1〜図4を参照しながら説明する。
前工程からホッパ(4)に供給された被搬送物(図示例ではボルト)(B)は、磁石(9)の磁力により搬送ベルト(2)の表面に吸着され、搬送ベルト(2)の回転に伴って下方から上方へと搬送される。このとき、吸着区間(A1)では被搬送物(B)に磁力が作用するため、被搬送物(B)は向きが揃っていなくともリブ(7)の上に乗った状態で搬送される。
搬送ベルト(2)の回転に伴って被搬送物(B)が非吸着区間(A2)に達すると、被搬送物(B)に磁力が作用しなくなるため、リブ(7)上の被搬送物(B)のうち、適正な向き(短手方向がリブの突出高さ方向と一致する向き)で乗った被搬送物(B1)はそのまま上方へと搬送されるが、適正な向きで乗っていない被搬送物(B2)は下方に脱落(落下)する。
これにより、リブ(7)上に適正な向きで乗った被搬送物(B1)のみが上方へと搬送され、向きが揃った状態で出口シュート(5)から次工程へと供給される。
【0033】
図5は本発明に係るマグネットコンベアの別の実施形態(第二実施形態)を示す側面断面図である。
第二実施形態のマグネットコンベアは、磁力発生部の構成のみが上記実施形態(第一実施形態)のものと異なっており、その他の構成は同じである。
具体的には、第二実施形態のマグネットコンベアは、磁力発生部が磁石付き無端状体(3)ではなく磁石プレート(30)から構成されている。
尚、磁石プレート(30)は、図示例では1枚のプレートから構成されているが、複数枚のプレートを並べて構成されていてもよい。
【0034】
磁石プレート(30)は、搬送ベルト(2)の内側において、搬送ベルト(2)の内面に沿うように上下方向に延びている。但し、磁石プレート(30)は、搬送ベルト(2)と独立してコンベア装置本体に固定されており、搬送ベルト(2)が回転しても磁石プレート(30)は移動しない。
【0035】
磁石プレート(30)は、第一実施形態の磁石付き無端状体(3)と同様に、搬送ベルト(2)の下端部から中途部までの範囲にのみ設けられている。これにより、搬送ベルト(2)の下端部から中途部までの範囲が、被搬送物が搬送ベルト(2)表面に吸着される吸着区間(A1)となる一方、搬送ベルト(2)の中途部より上方の範囲は、被搬送物が搬送ベルト(2)表面に吸着されない非吸着区間(A2)となる。
【0036】
第二実施形態のマグネットコンベアでも、上述した第一実施形態のマグネットコンベアと同様の作用が得られ、リブ(7)上に適正な向きで乗った被搬送物のみを上方へと搬送することができる。
【0037】
図6(a)は本発明に係る搬送システムを示す概略平面図であり、図6(b)は本発明に係る搬送システムの基台を示す正面図である。
本発明に係る搬送システムは、振動フィーダ(10)と、振動フィーダ(10)から供給される被搬送物を下方から上方へと搬送するコンベア(1)と、コンベア(1)により搬送されてきた被搬送物を整列して搬送する整列搬送装置(11)を備えており、コンベア(1)として上記したマグネットコンベア(1)が使用される。
【0038】
振動フィーダ(10)と、コンベア(1)と、整列搬送装置(11)は、同一の基台(12)上に、全体として平面視コの字状に配置されている。
基台(12)は、下部に移動用のキャスター(13)が取り付けられており、四隅部分には高さ調整用のアジャスタボルトを備えた床面固定用の固定具(14)が取り付けられている。
【0039】
図7及び図8は振動フィーダ(10)を示す図であって、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図、図8(a)は正面図、図8(b)は背面図である。
振動フィーダ(10)は、被搬送物を内部に収容するホッパ(14)と、該ホッパ(14)を前後方向に往復振動させる振動機構(16)を備えている。
【0040】
ホッパ(14)は、その底面が前方に向かって下向きに傾斜する傾斜面となっており(図7(b)参照)、その前端部にはホッパ(14)内の被搬送物をマグネットコンベア(1)のホッパ(4)に向けて供給するための排出シュート(15)が取り付けられている。
【0041】
ホッパ(14)の下方には振動機構(16)が連結されている。
振動機構(16)は、本願出願人が上記特許文献1にて開示したフィーダの振動機構と同様の機構であるため詳細な説明を省略するが、ホッパ(14)が載置されて往復に加速度差のある弧振動で振動する振動板(17)と、モータ(18)と、該モータ(18)に軸着された非線形カムと、一端部に該非線形カムに沿って従動するカムフォロアが設けられ且つ他端部に駆動軸が連結された駆動アームと、一端部が前記駆動軸に連結され且つ他端部に振動板(16)が連結された出力アームとを備えている。
但し、本発明において、振動機構(16)の構成は特許文献1に記載されたものに限定されず、ホッパ(14)を前後方向に往復振動させることができる公知の振動機構を適宜選択して採用することが可能である。
【0042】
振動フィーダ(10)のホッパ(14)に供給された被搬送物は、振動機構(16)によりホッパ(14)が前後方向に往復振動することにより、少量ずつ排出シュート(15)から取り出され、マグネットコンベア(1)のホッパ(4)に供給される。
【0043】
図9及び図10は整列搬送装置(11)を示す図であって、図9(a)は平面図、図9(b)は側面図、図10(a)は正面図、図10(b)は要部拡大図である。
整列搬送装置(11)は、互いに平行に隙間をあけて配置され且つ互いに反対方向に回転する一対の円柱(19)と、一対の円柱(19)の回転駆動源となるモータ(20)と、マグネットコンベア(1)の出口シュート(5)から排出された被搬送物を一対の円柱(19)の隙間に向けて送り込む一対のガイド部材(21)とを備えている。尚、図9(b)ではガイド部材(21)の図示を省略している。
【0044】
一対の円柱(19)は後端部から前端部に向けて下向きに傾斜しており、夫々の後端部には互いに噛み合う歯車(22)が取り付けられている。一方の円柱には歯車と同軸にプーリ(23)が取り付けられており、このプーリ(23)とモータ(20)の回転軸がベルト(24)により連結されている。これにより、モータ(20)の回転軸が回転すると、この回転軸とプーリ(23)を介してベルト(24)により連結された一方の円柱が回転し、この回転が歯車(22)を介して他方の円柱に伝達され、一対の円柱(19)は互いに反対方向に回転する。一対の円柱(19)の反対方向の回転は、安全性の観点から互いに外向きの回転であることが好ましいが、互いに内向きの回転であってもよい。
【0045】
一対の円柱(19)の後端部近傍には一対のガイド部材(21)が配置されている。
一対のガイド部材(21)は、傾斜板(21a)とローラ(21b)とから構成されており、出口シュート(5)から排出された被搬送物(B)は傾斜板(21a)の傾斜に沿って落下してローラ(21b)により受け止められ、図10(b)に示す如く一対の円柱(19)の隙間に入り込む。
このとき、マグネットコンベア(1)の出口シュート(5)から排出された被搬送物の向きが揃っているため、傾斜板(21a)の傾斜に沿って落下する被搬送物の向きも揃った状態となり、確実に被搬送物を一対の円柱(19)の隙間に入り込ませることができる。
尚、一対の円柱(19)の後端部の高さは、マグネットコンベア(1)の出口シュート(5)の高さよりも僅かに低い位置に設定される。
【0046】
一対の円柱(19)の前端部には、これら円柱より更に前方に向けて延びる互いに平行な一対の排出プレート(25)が設けられている。一対の排出プレート(25)は、一対の円柱(19)の隙間と略同じ幅の隙間を有しており、その上辺は前方に向けて下向きに傾斜している。尚、図10(a)では排出プレート(25)の図示を省略している。
一対の円柱(19)の隙間に入り込んだ被搬送物(B)は、円柱(19)の傾斜に沿って後端部から前端部へと一列に整列されて搬送された後、前端部の排出プレート(24)の隙間に保持されながら傾斜に沿って前方へと移動し、排出プレート(24)の前端部から排出される。
【0047】
但し、本発明において、整列搬送装置(11)は、図9及び図10に示したようなロールフィーダには限定されず、直進フィーダ等の他の種類の整列搬送装置を使用することもできる。
【0048】
上記構成からなる本発明に係る搬送システムによれば、振動フィーダ(19)により被搬送物を少量ずつ連続的にマグネットコンベア(1)のホッパ(4)へと供給することができる。更に、マグネットコンベア(1)の出口シュート(5)から整列搬送装置(11)へと被搬送物を向きが揃った状態で供給することができるため、整列搬送装置(11)による整列を確実に行わせることができ、最終的に整列状態で取り出すことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るマグネットコンベア及び搬送システムは、ボルト、釘、リベット等の長手方向と短手方向を有する金属製の被搬送物を整列して搬送するために好適に利用される。
【符号の説明】
【0050】
1 マグネットコンベア
2 搬送ベルト
3 磁石付き無端状体
7 リブ
9 磁石
10 振動フィーダ
11 整列搬送装置
14 ホッパ
16 振動機構
30 磁石プレート
A1 吸着区間
A2 非吸着区間
B 被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物をその表面に乗せて回転することにより、前記被搬送物を下方から上方に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内側に設けられて前記被搬送物を前記搬送ベルト表面に吸着する磁力発生部を備えており、
前記搬送ベルトの表面には、該ベルトの幅方向に延びて前記被搬送物を支持するリブが、該ベルトの長さ方向に間隔をあけて設けられており、
前記磁力発生部は、前記搬送ベルトの下端部から中途部までの範囲にのみ設けられ、前記搬送ベルトの中途部より上方において前記被搬送物が前記搬送ベルト表面に吸着されない非吸着区間が形成されていることを特徴とするマグネットコンベア。
【請求項2】
前記磁力発生部が、前記搬送ベルトの内面に沿うように該搬送ベルトと同方向に回転する磁石付き無端状体からなることを特徴とする請求項1記載のマグネットコンベア。
【請求項3】
前記磁力発生部が、磁石プレートからなることを特徴とする請求項1記載のマグネットコンベア。
【請求項4】
前記リブの前記搬送ベルト表面からの突出高さは、前記被搬送物の短手方向の長さ以上であって且つ長手方向の長さより短いことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のマグネットコンベア。
【請求項5】
前記リブ同士の間隔が、前記被搬送物の短手方向の長さの1倍以上2倍未満であることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のマグネットコンベア。
【請求項6】
前記搬送ベルトの搬送面が、上方に向かうにつれて前方に傾斜していることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のマグネットコンベア。
【請求項7】
被搬送物を内部に収容するホッパと、該ホッパを振動させる振動機構を備えた振動フィーダと、
前記振動フィーダから供給される被搬送物を下方から上方へと搬送するコンベアと、
該コンベアにより搬送されてきた被搬送物を整列して搬送する整列搬送装置からなり、
前記コンベアが請求項1乃至6いずれかに記載のマグネットコンベアからなることを特徴とする搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105508(P2011−105508A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265602(P2009−265602)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000140591)株式会社下西製作所 (21)
【Fターム(参考)】