マグネットローラ、現像剤担持体、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
【課題】長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できるマグネットローラ、かかるマグネットローラを有する現像剤担持体、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置の現像ローラはマグネットローラ33を備えている。マグネットローラ33は溝36が設けられたローラ本体35とマグネットブロックN1,S1,N2を備えている。溝36は溝底壁37と一対の溝側壁38a,38bとを備えている。マグネットブロックN1,S1,N2は底面40と一対の周面41a,41bとローラ本体35から露出した露出面39とを備えている。底面40は溝底壁37と相対する。一対の周面41a,41bそれぞれは一対の溝側壁38a,38bと相対する。周面41aの表面粗さは露出面39の表面粗さよりも大きい。
【解決手段】画像形成装置の現像ローラはマグネットローラ33を備えている。マグネットローラ33は溝36が設けられたローラ本体35とマグネットブロックN1,S1,N2を備えている。溝36は溝底壁37と一対の溝側壁38a,38bとを備えている。マグネットブロックN1,S1,N2は底面40と一対の周面41a,41bとローラ本体35から露出した露出面39とを備えている。底面40は溝底壁37と相対する。一対の周面41a,41bそれぞれは一対の溝側壁38a,38bと相対する。周面41aの表面粗さは露出面39の表面粗さよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に用いられるマグネットローラ、該マグネットローラを有する現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置、該現像装置を有するプロセスカートリッジ、及び、該プロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置には、種々の現像装置50が用いられる。この種の現像装置50は、図13に示すように、現像剤51を感光体ドラム52と対向する現像領域53に搬送し、感光体ドラム52上に形成された静電潜像を現像剤51により現像してトナー像を形成する現像ローラ54を備えている。
【0003】
この現像ローラ54は、円筒状に形成された現像スリーブ55と、前記現像スリーブ55内に収容されかつ、当該現像スリーブ55の表面に現像剤51の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラ56,60,64(図14ないし図16に示し、例えば、特許文献1ないし7参照)と、を備えている。この現像ローラ54には、現像剤51の穂立ちの際、現像剤51の磁性キャリアがマグネットローラ56,60,64で生じる磁力線に沿うように現像スリーブ55上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤51のトナーが付着する。
【0004】
図14に示されたマグネットローラ56は、芯金57を一体型に備えた円筒状磁石成形体としてのローラ本体58と、該ローラ本体58に貼り付けられる長尺磁石成形体としての焼結マグネット(希土類マグネットブロック)59と、を備えている。図14に示されたマグネットローラ56は、ローラ本体58に焼結マグネット59を貼り付けて組み立てられる。ローラ本体58は、金属または樹脂からなる。
【0005】
このマグネットローラ56は、ローラ本体58に焼結マグネット59を貼り付けるので、位置精度を高く磁極を配置できる反面、デメリットとしては、焼結マグネット59自体のコストが高いとともに、貼り付けるための工数が必要になって、製造コストが高くなっていた。
【0006】
図15に示されたマグネットローラ60は、芯金61と、該芯金61に貼り付けられる複数のフェライトブロック73で構成される円筒状磁石成形体としてのローラ本体62と、長尺磁石成形体としての希土類マグネットブロック63と、を備えている。図15に示されたマグネットローラ60は、複数のフェライトブロック73が芯金61に取り付けられて、前述したローラ本体62が組み立てられ、このローラ本体62に希土類マグネットブロック63が貼り付けられて組み立てられる。
【0007】
このマグネットローラ60は、ローラ本体62と芯金61とを別体に製造するので、図14に示されたマグネットローラ56よりも芯金61のコストを低減できる。しかしながら、図15に示されたマグネットローラ60は、複数のフェライトブロック73を芯金61に取り付けるので、高い位置精度で希土類マグネットブロック63を配置することが困難であるとともに、ローラ本体62を芯金61に貼り付け、さらに、希土類マグネットブロック63を貼り付けるため、これらの貼り付けるための工数が必要になって、製造コストが高くなっていた。
【0008】
図16に示されたマグネットローラ64は、芯金65と、該芯金65と一体成形または芯金65を成形後に圧入するフェライトなどからなる円筒状磁石成形体としてのローラ本体66と、長尺磁石成形体としての希土類マグネットブロック67と、を備えている。図16に示されたマグネットローラ64は、ローラ本体66に希土類マグネットブロック67が貼り付けられて組み立てられる。マグネットローラ64のローラ本体66を製造する際には、射出成形または押出成形などの従来から種々の成形方法を用いてきた。
【0009】
射出形成によるローラ本体66を備えたマグネットローラ64は、図14に示されたマグネットローラ56と同様に、位置精度を高く磁極を配置できる反面、デメリットとしては、射出成形のための設備が煩雑となるとともに形成にかかる時間が長い。さらに、押出成形によるローラ本体66を備えたマグネットローラ64は、成形にかかる時間が短い反面、デメリットとしては、ローラ本体66を押出して製造するので、ローラ本体66の形状がバラつくことがあった。
【特許文献1】特開2000−243620号公報
【特許文献2】特開2002−162831号公報
【特許文献3】特開2002−278279号公報
【特許文献4】特開2002−287504号公報
【特許文献5】特開2003−50510号公報
【特許文献6】特開2003−163111号公報
【特許文献7】特開2003−280394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したマグネットローラ56,60,64のローラ本体58,62,66に希土類マグネットブロック59,63,67を貼り付ける際には、図17に示すように、希土類マグネットブロック59,63,67を該希土類マグネットブロック59,63,67の幅方向に沿って一対のチャック68間に挟み、チャック68で保持した該希土類マグネットブロック59,63,67を該ローラ本体58,62,66に設けられた溝69に近づける。そして、希土類マグネットブロック59,63,67と溝69の内面70との間に接着剤71を塗布して、溝69に向かって希土類マグネットブロック59,63,67を押圧部材72で押し付けて、該希土類マグネットブロック59,63,67を溝69内に貼り付けていた。
【0011】
しかしながら、該希土類マグネットブロック59,63,67をローラ本体58,62,66の溝69の内面70に貼り付ける際に、図17に示すように、接着剤71が溝69内から溢れてチャック68に廻り込み、希土類マグネットブロック59,63,67とチャック68とが、貼り付いてしまうことがあった。このため、従来のマグネットローラ56,60,64は、貼り付け後に希土類マグネットブロック59,63,67が位置ずれすることがあって該希土類マグネットブロック59,63,67を所定の位置に貼り付けられないことがあった。さらに、マグネットローラ56,60,64は、チャック68に希土類マグネットブロック59,63,67が貼り付いて、希土類マグネットブロック59,63,67が破損して該希土類マグネットブロック59,63,67に折れ欠け不良が発生することがあるという問題が発生していた。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できるマグネットローラ、かかるマグネットローラを有する現像剤担持体、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のマグネットローラは、極に相当する部分に他の部材が埋設できるような凹状の溝が少なくとも一つ設けられた円筒状磁石成形体と、該溝に接着剤により接着された長尺磁石成形体と、を備えたマグネットローラにおいて、該長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、該長尺磁石成形体の該円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の本発明のマグネットローラは、請求項1に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記一対の周面のうち少なくとも一方であることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の本発明のマグネットローラは、請求項1に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記接着剤が塗布される部分のみであることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の本発明のマグネットローラは、請求項3に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記接着剤が塗布される部分が、前記一対の周面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の本発明の現像剤担持体は、マグネットローラと、該マグネットローラの外周に回転自在に設けられた非磁性円筒体と、を少なくとも備えた現像剤担持体において、前記マグネットローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の本発明の現像装置は、現像剤担持体を少なくとも備えた現像装置において、前記現像剤担持体として、請求項5に記載の現像剤担持体を備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の本発明のプロセスカートリッジは、現像装置を少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項6に記載の現像装置を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の本発明の画像形成装置は、プロセスカートリッジを少なくとも備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、長尺磁石成形体の円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいので、長尺磁石成形体と溝とを密着させるようにしても、これらの面の間に隙間ができ、その隙間に接着剤が侵入することになり、接着剤が溝内から溢れなくなる。接着剤が溢れなくなるので、長尺磁石成形体や該長尺磁石成形体を互いの間に挟む一対のチャック等に円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。また、接着剤が溢れることを防止できるので、長尺磁石成形体と、該長尺磁石成形体を互いの間に挟む一対のチャック等とが、互いに貼り付くことを防止でき、長尺磁石成形体が破損することを防止できる。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、表面粗さが円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい接着面の少なくとも一部は、一対の周面のうち少なくとも一方であるので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、本発明のマグネットローラは、貼り付け後に、長尺磁石成形体が、位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、表面粗さが円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい接着面の少なくとも一部は、接着剤が塗布される部分のみであるので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。また、接着剤が溢れることを防止できるので、長尺磁石成形体と、該長尺磁石成形体を互いの間に挟むチャックとが、互いに貼り付くことを防止でき、長尺磁石成形体が破損することを防止できる。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、接着剤が塗布される部分が、一対の周面のうち少なくとも一方に設けられているので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0026】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の現像剤担持体を備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0027】
請求項7に記載の本発明は、請求項6に記載の現像装置を備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0028】
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置の要部を示す断面図である。図2は、図1に示された画像形成装置の現像装置を示す断面図である。図3は、図2中のA−B−C−D線に沿う断面図である。図4は、図3に示された現像ローラを示す断面図である。図5は、図4に示されたマグネットローラのマグネットブロックを示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。図6は、図5に示されたマグネットブロックを溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。図7は、図5に示されたマグネットブロックに一対のチャックのうち少なくとも一方を近づける状態を示す断面図である。図8は、図7に示されたマグネットブロックを一対のチャック間に挟んだ状態を示す断面図である。図9は、図8に示されたマグネットブロックを押圧部材で溝に押し付ける状態を示す断面図である。図10は、図9に示されたマグネットブロックからチャック及び押圧部材を離す状態を示す断面図である。
【0030】
画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2(図1に一部のみ示す)と、給紙ローラ3と、転写部材4と、定着装置5と、図示しないレーザ書き込み装置と、プロセスカートリッジ6と、を少なくとも備えている。
【0031】
装置本体2は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体2は、給紙ローラ3と、転写部材4と、定着装置5と、レーザ書き込み装置と、プロセスカートリッジ6とを収容している。給紙ローラ3は、記録紙7を転写部材4と後述する感光体ドラム8との間に送り出す。
【0032】
転写部材4は、無端状のベルトであり、後述の感光体ドラム8の接線方向に往動する。転写部材4は、給紙ローラ3から繰り出された記録紙7を感光体ドラム8の外表面に押し付けて、感光体ドラム8上のトナー像を記録紙7に転写する。転写部材4は、トナー像を転写した記録紙7を定着装置5に向けて送り出す。定着装置5は、転写部材4から送られた記録紙7を押圧加熱することで、感光体ドラム8から記録紙7上に転写されたトナー像を該記録紙7に定着させる。レーザ書き込み装置は、後述の帯電ローラ9により一様に帯電された感光体ドラム8の外表面にレーザ光10を照射して、静電潜像を形成する。
【0033】
プロセスカートリッジ6は、装置本体2に着脱自在である。プロセスカートリッジ6は、カートリッジケース11と、帯電ローラ9と、像担持体としての感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を備えている。このため、画像形成装置1は、帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を少なくとも備えている。
【0034】
カートリッジケース11は、装置本体2に着脱自在で、かつ帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を収容している。帯電ローラ9は、感光体ドラム8の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム8は、現像装置13の後述する現像ローラ15と間隔をあけて配されている。感光体ドラム8は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム8は、レーザ書き込み装置により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム8は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが付着して現像し、こうして得られたトナー像を転写部材4との間に位置付けられた記録紙7に転写する。クリーニングブレード12は、記録紙7にトナー像を転写した後に、感光体ドラム8の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0035】
現像装置13は、図1ないし図3に示すように、現像剤供給部14と、現像剤担持体としての現像ローラ15と、規制ブレード16と、を少なくとも備えている。
【0036】
現像剤供給部14は、収容槽17と、一対の攪拌スクリュー18と、を備えている。収容槽17は、感光体ドラム8と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽17内には、該収容槽17の長手方向に沿って延びた仕切壁19が設けられている。仕切壁19は、収容槽17内を第1空間20と、第2空間21とに区画している。また、第1空間20と第2空間21とは、両端が互いに連通している。
【0037】
収容槽17は、第1空間20と第2空間21との双方に現像剤26(図2に示す)を収容する。現像剤26は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とからなる。トナーは、第1空間20と、第2空間21とのうち現像ローラ15から離れた側の第1空間20の一端に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。磁性キャリアは、第1空間20と第2空間21との双方に収容されている。磁性キャリアの粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
【0038】
攪拌スクリュー18は、第1空間20と第2空間21それぞれに収容されている。攪拌スクリュー18の長手方向は、収容槽17、現像ローラ15及び感光体ドラム8の長手方向と平行である。攪拌スクリュー18は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤26を搬送する。
【0039】
前述した構成によれば、現像剤供給部14は、第1空間20の一端に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、第2空間21に搬送する。そして、現像剤供給部14は、第2空間21内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、軸心方向に搬送しながら、現像ローラ15の外表面に現像剤26を供給する。
【0040】
現像ローラ15は、図3及び図4に示すように、非磁性円筒体としての円筒状の現像スリーブ32と、円柱状のマグネットローラ(磁石体ともいう)33と、を備えている。現像ローラ15は、第2空間21と、感光体ドラム8と、の間に設けられている。現像ローラ15は、感光体ドラム8と収容槽17との双方と平行である。現像ローラ15は、感光体ドラム8と間隔をあけて配されている。現像ローラ15と感光体ドラム8との間の空間は、現像剤26のトナーを感光体ドラム8に付着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域31をなしている。現像領域31では、現像ローラ15と感光体ドラム8とが相対する。
【0041】
現像スリーブ32は、非磁性体からなり、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ32は、後述するマグネットローラ33を内包し(収容し)、その内周面が後述のマグネットブロックN2,S1,N1と順に相対するように、図2中の反時計回りの矢印Gに沿って回転される。現像スリーブ32は、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)などからなる。アルミニウムは、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウムを用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。
【0042】
また、現像スリーブ32の外表面には、該現像スリーブ32即ち現像ローラ15の軸芯に沿って延びた溝が複数形成されている。また、現像スリーブ32の外表面には、周知のブラスト処理が施されて、細かい凹凸が形成されても良い。
【0043】
マグネットローラ33は、図4に示すように、芯金34と、磁性体からなる円筒状のローラ本体35と、該ローラ本体35に取り付けられる複数のマグネットブロックN1,S1,N2と、を備えている。マグネットローラ33は、現像スリーブ32内に収容されている(内包されている)。
【0044】
芯金34は、長手方向が感光体ドラム8の長手方向と平行に配され、軸芯周りに回転することなく固定されている。
【0045】
ローラ本体35は、芯金34の外周に軸芯周りに回転することなく固定されている。ローラ本体35には、図6に示すように、複数の溝36が設けられている。ローラ本体35は、射出成形及び押出成形にて製造したものである。ローラ本体35は、原料としてはSrもしくはBaを含む磁性粉に高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。また、ローラ本体35は、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。ローラ本体35は、現像極以外の磁気特性を形成する。ローラ本体35は、本明細書の円筒状磁石成形体をなしている。
【0046】
溝36は、図6に示すように、溝底壁37と、溝底壁37から立設した一対の溝側壁38a,38bとを備えている。側壁38aと側壁38bとは、互いに平行かつ相対している。溝36は、ローラ本体35の外表面から凹でかつ該ローラ本体35即ちマグネットローラ33の軸芯(長手)方向に沿って直線状に延びている。即ち、溝36は、樋状に形成されて、極に相当する部分に設けられている。溝36には、現像領域31に所望の磁力を得るのに必要な量の後述するマグネットブロックN1,S1,N2が埋設される。
【0047】
マグネットブロックN1,S1,N2は、図5に示すように、それぞれ、溝36即ちマグネットローラ33の外側に露出した露出面39と、底面40と、底面40から立設した一対の周面41a,41bと、を備えており、長尺の棒状に形成されている。マグネットブロックN1,S1,N2は、前述した溝36内に挿入されて、前記ローラ本体35に取り付けられる。マグネットブロックN1,S1,N2は、マグネットローラ33即ち現像ローラ15の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ33の全長に亘って埋設されている。
【0048】
また、マグネットブロックN1,S1,N2は、幅を狭くし、且つ高い磁気特性を得るためにBr>0.5Tの材料を用いることが望ましく、多くはNd系(Nd‐Fe‐B等)またはSm系(Sm‐Co、Sm‐Fe‐N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。さらに、後述するSLIC現像装置の場合、例えばφ16〜φ20の現像ローラ15であると、現像スリーブ32表面の磁束密度として80〜90mTが必要となるので、現像極部のマグネットブロックN1,S1,N2としては、構成上、巾2mm・高さ3mm程度の大きさに収める必要がある。マグネットブロックN1,S1,N2は、本明細書の長尺磁石成形体をなしている。
【0049】
露出面39は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されても、溝36即ちマグネットローラ33の外側に露出している。このように、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち全体がマグネットローラ33の外側に露出する外表面を、本明細書では、マグネットローラより露出した面という。
【0050】
底面40は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されると、溝底壁37と相対する。このように、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち少なくとも一部が溝36内に収容される外表面を、本明細書では、接着面という。
【0051】
周面41a,41bの少なくとも一部は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されると、溝側壁38a,38bと相対する。即ち、周面41a,41bは、本明細書の接着面をなす。なお、本実施形態では、周面41a,40bのうち全てが、溝側壁38a,38bと相対してはいない。つまり、周面41a,40bの一部が、溝36から露出している。
【0052】
周面41a,41bのうち一方の周面41aの表面粗さは、表面粗さが前述した露出面39の表面粗さよりも大きくなっている(図5中にPで示す)。周面41aには、接着剤(例えば、シアノアクリレート系接着剤)42が塗布されて、溝側壁38aと接着される。即ち、接着面としての周面41aの表面粗さが、露出面39の表面粗さよりも、大きい。
【0053】
接着剤42は、図6に示すように、溝側壁38a即ち溝36と、周面41a即ちマグネットブロックN1,S1,N2と、の間に塗布される。接着剤42は、溝36とマグネットブロックN1,S1,N2との間で挟まれると、図6に示すように、接着剤42が溝側壁38aと周面41aとの間で拡がる。つまり、接着剤42は、溝36内から溢れる方向に拡がる。拡がった接着剤42は、表面の粗い周面41a上で芯金34に向かって付勢される。即ち、拡がった接着剤42は、図6に示すように、溝36から溢れることを規制される。このように、接着面内で接着剤42が拡がる領域を、本明細書では、接着剤が塗布される部分という。
【0054】
規制ブレード16は、現像装置13の感光体ドラム8寄りの端部に設けられている。規制ブレード16は、現像スリーブ32の外表面と間隔をあけている。規制ブレード16は、所望の厚さを超える現像スリーブ32の外表面上の現像剤26を収容槽17内にそぎ落として、現像領域31に搬送される現像スリーブ32の外表面上の現像剤26を所望の厚さにする。
【0055】
前述した構成のマグネットローラ33は、以下に示すように、製造される。まず、図7に示すように、ローラ本体35の溝36に接着剤42を塗布して、互いの間にマグネットブロックN1,S1,N2を挟む一対のチャック43をマグネットブロックN1,S1,N2に近づける。次に、図8に示すように、マグネットブロックN1,S1,N2を一対のチャック43の間に挟んで固定する。そして、チャック43で固定した該マグネットブロックN1,S1,N2を溝36の溝底壁37に向かって近づけて、押圧部材44で溝底壁37に向かって押圧する。すると、接着剤42は、溝36内から溢れる方向に拡がる。拡がった接着剤42は、表面の粗い周面41a上で芯金34に向かって付勢される。即ち、拡がった接着剤42は、図9に示すように、周面41aにより溝36から溢れることを規制される。そして、図10に示すように、チャック43及び押圧部材44をマグネットブロックN1,S1,N2から離すとともにチャック43を開放する。
【0056】
前述した構成の現像装置13は、現像剤供給部14でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤26をマグネットブロックN1,S1,N2により現像スリーブ32の表面に吸引する。そして、現像装置13は、現像スリーブ32が矢印Gに沿って回転して、複数のマグネットブロックN1,S1,N2により付着した現像剤26を現像領域31に向かって搬送する。現像装置13は、規制ブレード16で所望の厚さになった現像剤26を感光体ドラム8に付着させる。こうして、現像装置13は、現像剤26を現像ローラ15に担持し、現像領域31に搬送して、感光体ドラム8上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。なお、本実施形態の現像装置13は、SLIC現像装置と呼ばれる「トナー及び磁性粒子からなる二成分現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像する高機能現像装置」となっている。
【0057】
前述した構成の画像形成装置1は、以下に示すように、記録紙7に画像を形成する。まず、画像形成装置1は、感光体ドラム8を回転して、この感光体ドラム8の外表面を一様に帯電ローラ9により帯電する。感光体ドラム8の外表面にレーザ光10を照射して、該感光体ドラム8の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域31に位置付けられると、現像装置13の現像スリーブ32の外表面に付着した現像剤26が感光体ドラム8の外表面に付着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム8の外表面に形成する。
【0058】
そして、画像形成装置1は、給紙ローラ3などにより搬送されてきた記録紙7が転写部材4と感光体ドラム8との間に位置して、感光体ドラム8の外表面上に形成されたトナー像を記録紙7に転写する。画像形成装置1は、定着装置5で、記録紙7にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置1は、記録紙7に画像を形成する。
【0059】
本実施形態によれば、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41aの表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きいので、マグネットブロックN1,S1,N2と溝36とを密着させるようにしても、これらの面41a,38aの間に隙間ができ、その隙間に接着剤42が侵入することになり、接着剤42が溝36内から溢れなくなる。接着剤42が溢れなくなるので、マグネットブロックN1,S1,N2や該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟む一対のチャック43等にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。また、接着剤42が溢れることを防止できるので、マグネットブロックN1,S1,N2と、該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟む一対のチャック43等とが、互いに貼り付くことを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2が破損することを防止できる。
【0060】
また、マグネットブロックN1,S1,N2が、底面40と該底面40から立設した一対の周面41a,41bとを備え、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面としての周面41aの少なくとも一部は、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方であるので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、本発明のマグネットローラ33は、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が、位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。
【0061】
また、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面としての周面41aの少なくとも一部は、接着剤42が塗布される部分のみであるので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。また、接着剤42が溢れることを防止できるので、マグネットブロックN1,S1,N2と、該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟むチャック43とが、互いに貼り付くことを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2が破損することを防止できる。
【0062】
また、マグネットブロックN1,S1,N2が、底面40と該底面40から立設した一対の周面41a、41bとを備え、接着剤42が塗布される部分が、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方に設けられているので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0063】
また、前述したマグネットローラ33を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0064】
また、前述した現像ローラ15を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0065】
また、前述した現像装置13を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0066】
また、前述したプロセスカートリッジ6を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0067】
また、前述した実施形態のマグネットブロックN1,S1,N2は、周面41aの全表面の表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39よりも大きかったが、本発明では、図11に示すように、周面41aの全表面のうち一部分(図11中にPで示す)の表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくても良い。なお、一部分とは、接着剤42が拡がる領域即ち接着剤が塗布される部分である。即ち、本明発明では、接着剤が塗布される部分のみの表面粗さを、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくすれば良い。
【0068】
要するに、本発明では、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面の少なくとも一部は、接着剤が塗布される部分のみであっても良いし、また、接着剤が塗布される部分が、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方に設けられていても良い。
【0069】
また、前述した実施形態のマグネットブロックN1,S1,N2は、一対の周面41a,41bのうち一方の周面41aの表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きかったが、本発明のマグネットブロックN1,S1,N2は、図12に示すように、一対の周面41a,41bのうち両方の周面41a,41bの表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくても良い(図12中にPで示す)。さらに、本発明のマグネットブロックN1,S1,N2は、底面40の表面粗さが、ローラ本体35から露出した露出面39よりも大きくても良い。即ち、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち少なくとも一部が溝36内に収容される接着面の少なくとも一部の表面粗さが、ローラ本体35から露出した露出面39よりも大きくても良い。
【0070】
また、前述した実施形態では、図5に示すように、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a全体即ち接着面全体の表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きくしており、図11に示ように、マグネットブロックN1,S1,N2の接着剤が塗布される部分のみの表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きくても良い。
【0071】
要するに、本発明では、マグネットブロックN1,S1,N2の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きければ良い。
【0072】
また、前述した実施形態では、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a,41bのうち一部がローラ本体35の溝36から露出していたが、本発明の周面41a,41bは、ローラ本体35の溝36から露出していなくても良い。即ち、本発明のマグネットローラ33は、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a,41b全体が溝36に収容されていても良い。
【0073】
また、前述した実施形態では、接着剤42は、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41aに塗布されていたが、図7及び図8に示すように、溝36に塗布しても良い。即ち、本発明では、接着剤42は、溝36と、マグネットブロックN1,S1,N2と、の間に塗布されていれば良い。さらに、接着剤42は、溝36とマグネットブロックN1,S1,N2とを接着固定できれば接着剤42は少量でも良いし、接着面全体に塗布しなくても良い。即ち、本発明のマグネットローラ33は、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい本明細書の接着剤が塗布される部分に、接着剤42が塗布されて溝36と、マグネットブロックN1,S1,N2と、が互いに接着されれば良い。
【0074】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置の要部を示す断面図である。
【図2】図1に示された画像形成装置の現像装置を示す断面図である。
【図3】図2中のA−B−C−D線に沿う断面図である。
【図4】図3に示された現像ローラを示す断面図である。
【図5】図4に示されたマグネットローラのマグネットブロックを示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図6】図5に示されたマグネットブロックを溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。
【図7】図5に示されたマグネットブロックに一対のチャックを近づける状態を示す断面図である。
【図8】図7に示されたマグネットブロックを一対のチャック間に挟んだ状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたマグネットブロックを押圧部材で溝に押し付ける状態を示す断面図である。
【図10】図9に示されたマグネットブロックからチャック及び押圧部材を離す状態を示す断面図である。
【図11】本発明のマグネットブロックの変形例を示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本発明のマグネットブロックの他の変形例を示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図13】従来の現像装置の動作状況を示す断面図である。
【図14】従来のマグネットローラを示す断面図である。
【図15】従来の他のマグネットローラを示す断面図である。
【図16】従来のさらに他のマグネットローラを示す断面図である。
【図17】従来のマグネットローラのマグネットブロックをローラ本体の溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
6 プロセスカートリッジ
13 現像装置
15 現像ローラ(現像剤担持体)
32 現像スリーブ(非磁性円筒体)
33 マグネットローラ
35 ローラ本体(円筒状磁石成形体)
36 溝
39 露出面(円筒状磁石成形体より露出した面)
40 底面
41a,41b 周面
42 接着剤
N1,S1,N2 マグネットブロック(長尺磁石成形体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に用いられるマグネットローラ、該マグネットローラを有する現像剤担持体、該現像剤担持体を有する現像装置、該現像装置を有するプロセスカートリッジ、及び、該プロセスカートリッジを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置には、種々の現像装置50が用いられる。この種の現像装置50は、図13に示すように、現像剤51を感光体ドラム52と対向する現像領域53に搬送し、感光体ドラム52上に形成された静電潜像を現像剤51により現像してトナー像を形成する現像ローラ54を備えている。
【0003】
この現像ローラ54は、円筒状に形成された現像スリーブ55と、前記現像スリーブ55内に収容されかつ、当該現像スリーブ55の表面に現像剤51の穂立ちを生じさせるように磁界を形成するマグネットローラ56,60,64(図14ないし図16に示し、例えば、特許文献1ないし7参照)と、を備えている。この現像ローラ54には、現像剤51の穂立ちの際、現像剤51の磁性キャリアがマグネットローラ56,60,64で生じる磁力線に沿うように現像スリーブ55上に穂立ちすると共に、この穂立ちした磁性キャリアに現像剤51のトナーが付着する。
【0004】
図14に示されたマグネットローラ56は、芯金57を一体型に備えた円筒状磁石成形体としてのローラ本体58と、該ローラ本体58に貼り付けられる長尺磁石成形体としての焼結マグネット(希土類マグネットブロック)59と、を備えている。図14に示されたマグネットローラ56は、ローラ本体58に焼結マグネット59を貼り付けて組み立てられる。ローラ本体58は、金属または樹脂からなる。
【0005】
このマグネットローラ56は、ローラ本体58に焼結マグネット59を貼り付けるので、位置精度を高く磁極を配置できる反面、デメリットとしては、焼結マグネット59自体のコストが高いとともに、貼り付けるための工数が必要になって、製造コストが高くなっていた。
【0006】
図15に示されたマグネットローラ60は、芯金61と、該芯金61に貼り付けられる複数のフェライトブロック73で構成される円筒状磁石成形体としてのローラ本体62と、長尺磁石成形体としての希土類マグネットブロック63と、を備えている。図15に示されたマグネットローラ60は、複数のフェライトブロック73が芯金61に取り付けられて、前述したローラ本体62が組み立てられ、このローラ本体62に希土類マグネットブロック63が貼り付けられて組み立てられる。
【0007】
このマグネットローラ60は、ローラ本体62と芯金61とを別体に製造するので、図14に示されたマグネットローラ56よりも芯金61のコストを低減できる。しかしながら、図15に示されたマグネットローラ60は、複数のフェライトブロック73を芯金61に取り付けるので、高い位置精度で希土類マグネットブロック63を配置することが困難であるとともに、ローラ本体62を芯金61に貼り付け、さらに、希土類マグネットブロック63を貼り付けるため、これらの貼り付けるための工数が必要になって、製造コストが高くなっていた。
【0008】
図16に示されたマグネットローラ64は、芯金65と、該芯金65と一体成形または芯金65を成形後に圧入するフェライトなどからなる円筒状磁石成形体としてのローラ本体66と、長尺磁石成形体としての希土類マグネットブロック67と、を備えている。図16に示されたマグネットローラ64は、ローラ本体66に希土類マグネットブロック67が貼り付けられて組み立てられる。マグネットローラ64のローラ本体66を製造する際には、射出成形または押出成形などの従来から種々の成形方法を用いてきた。
【0009】
射出形成によるローラ本体66を備えたマグネットローラ64は、図14に示されたマグネットローラ56と同様に、位置精度を高く磁極を配置できる反面、デメリットとしては、射出成形のための設備が煩雑となるとともに形成にかかる時間が長い。さらに、押出成形によるローラ本体66を備えたマグネットローラ64は、成形にかかる時間が短い反面、デメリットとしては、ローラ本体66を押出して製造するので、ローラ本体66の形状がバラつくことがあった。
【特許文献1】特開2000−243620号公報
【特許文献2】特開2002−162831号公報
【特許文献3】特開2002−278279号公報
【特許文献4】特開2002−287504号公報
【特許文献5】特開2003−50510号公報
【特許文献6】特開2003−163111号公報
【特許文献7】特開2003−280394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したマグネットローラ56,60,64のローラ本体58,62,66に希土類マグネットブロック59,63,67を貼り付ける際には、図17に示すように、希土類マグネットブロック59,63,67を該希土類マグネットブロック59,63,67の幅方向に沿って一対のチャック68間に挟み、チャック68で保持した該希土類マグネットブロック59,63,67を該ローラ本体58,62,66に設けられた溝69に近づける。そして、希土類マグネットブロック59,63,67と溝69の内面70との間に接着剤71を塗布して、溝69に向かって希土類マグネットブロック59,63,67を押圧部材72で押し付けて、該希土類マグネットブロック59,63,67を溝69内に貼り付けていた。
【0011】
しかしながら、該希土類マグネットブロック59,63,67をローラ本体58,62,66の溝69の内面70に貼り付ける際に、図17に示すように、接着剤71が溝69内から溢れてチャック68に廻り込み、希土類マグネットブロック59,63,67とチャック68とが、貼り付いてしまうことがあった。このため、従来のマグネットローラ56,60,64は、貼り付け後に希土類マグネットブロック59,63,67が位置ずれすることがあって該希土類マグネットブロック59,63,67を所定の位置に貼り付けられないことがあった。さらに、マグネットローラ56,60,64は、チャック68に希土類マグネットブロック59,63,67が貼り付いて、希土類マグネットブロック59,63,67が破損して該希土類マグネットブロック59,63,67に折れ欠け不良が発生することがあるという問題が発生していた。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できるマグネットローラ、かかるマグネットローラを有する現像剤担持体、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のマグネットローラは、極に相当する部分に他の部材が埋設できるような凹状の溝が少なくとも一つ設けられた円筒状磁石成形体と、該溝に接着剤により接着された長尺磁石成形体と、を備えたマグネットローラにおいて、該長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、該長尺磁石成形体の該円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の本発明のマグネットローラは、請求項1に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記一対の周面のうち少なくとも一方であることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の本発明のマグネットローラは、請求項1に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記接着剤が塗布される部分のみであることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の本発明のマグネットローラは、請求項3に記載のマグネットローラにおいて、前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記接着剤が塗布される部分が、前記一対の周面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項5に記載の本発明の現像剤担持体は、マグネットローラと、該マグネットローラの外周に回転自在に設けられた非磁性円筒体と、を少なくとも備えた現像剤担持体において、前記マグネットローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の本発明の現像装置は、現像剤担持体を少なくとも備えた現像装置において、前記現像剤担持体として、請求項5に記載の現像剤担持体を備えたことを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の本発明のプロセスカートリッジは、現像装置を少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項6に記載の現像装置を備えたことを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の本発明の画像形成装置は、プロセスカートリッジを少なくとも備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明は、長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、長尺磁石成形体の円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいので、長尺磁石成形体と溝とを密着させるようにしても、これらの面の間に隙間ができ、その隙間に接着剤が侵入することになり、接着剤が溝内から溢れなくなる。接着剤が溢れなくなるので、長尺磁石成形体や該長尺磁石成形体を互いの間に挟む一対のチャック等に円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。また、接着剤が溢れることを防止できるので、長尺磁石成形体と、該長尺磁石成形体を互いの間に挟む一対のチャック等とが、互いに貼り付くことを防止でき、長尺磁石成形体が破損することを防止できる。
【0022】
請求項2に記載の本発明は、長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、表面粗さが円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい接着面の少なくとも一部は、一対の周面のうち少なくとも一方であるので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、本発明のマグネットローラは、貼り付け後に、長尺磁石成形体が、位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0023】
請求項3に記載の本発明は、表面粗さが円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい接着面の少なくとも一部は、接着剤が塗布される部分のみであるので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。また、接着剤が溢れることを防止できるので、長尺磁石成形体と、該長尺磁石成形体を互いの間に挟むチャックとが、互いに貼り付くことを防止でき、長尺磁石成形体が破損することを防止できる。
【0024】
請求項4に記載の本発明は、長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、接着剤が塗布される部分が、一対の周面のうち少なくとも一方に設けられているので、接着剤が溢れなくなり、長尺磁石成形体やチャックに円筒状磁石成形体の溝から溢れた接着剤が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、長尺磁石成形体が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0025】
請求項5に記載の本発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0026】
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の現像剤担持体を備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0027】
請求項7に記載の本発明は、請求項6に記載の現像装置を備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【0028】
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えているので、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に貼り付けることができるとともに、該長尺磁石成形体の破損を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態を、図1ないし図10に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置の要部を示す断面図である。図2は、図1に示された画像形成装置の現像装置を示す断面図である。図3は、図2中のA−B−C−D線に沿う断面図である。図4は、図3に示された現像ローラを示す断面図である。図5は、図4に示されたマグネットローラのマグネットブロックを示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。図6は、図5に示されたマグネットブロックを溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。図7は、図5に示されたマグネットブロックに一対のチャックのうち少なくとも一方を近づける状態を示す断面図である。図8は、図7に示されたマグネットブロックを一対のチャック間に挟んだ状態を示す断面図である。図9は、図8に示されたマグネットブロックを押圧部材で溝に押し付ける状態を示す断面図である。図10は、図9に示されたマグネットブロックからチャック及び押圧部材を離す状態を示す断面図である。
【0030】
画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2(図1に一部のみ示す)と、給紙ローラ3と、転写部材4と、定着装置5と、図示しないレーザ書き込み装置と、プロセスカートリッジ6と、を少なくとも備えている。
【0031】
装置本体2は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体2は、給紙ローラ3と、転写部材4と、定着装置5と、レーザ書き込み装置と、プロセスカートリッジ6とを収容している。給紙ローラ3は、記録紙7を転写部材4と後述する感光体ドラム8との間に送り出す。
【0032】
転写部材4は、無端状のベルトであり、後述の感光体ドラム8の接線方向に往動する。転写部材4は、給紙ローラ3から繰り出された記録紙7を感光体ドラム8の外表面に押し付けて、感光体ドラム8上のトナー像を記録紙7に転写する。転写部材4は、トナー像を転写した記録紙7を定着装置5に向けて送り出す。定着装置5は、転写部材4から送られた記録紙7を押圧加熱することで、感光体ドラム8から記録紙7上に転写されたトナー像を該記録紙7に定着させる。レーザ書き込み装置は、後述の帯電ローラ9により一様に帯電された感光体ドラム8の外表面にレーザ光10を照射して、静電潜像を形成する。
【0033】
プロセスカートリッジ6は、装置本体2に着脱自在である。プロセスカートリッジ6は、カートリッジケース11と、帯電ローラ9と、像担持体としての感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を備えている。このため、画像形成装置1は、帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を少なくとも備えている。
【0034】
カートリッジケース11は、装置本体2に着脱自在で、かつ帯電ローラ9と、感光体ドラム8と、クリーニングブレード12と、現像装置13と、を収容している。帯電ローラ9は、感光体ドラム8の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム8は、現像装置13の後述する現像ローラ15と間隔をあけて配されている。感光体ドラム8は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム8は、レーザ書き込み装置により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム8は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが付着して現像し、こうして得られたトナー像を転写部材4との間に位置付けられた記録紙7に転写する。クリーニングブレード12は、記録紙7にトナー像を転写した後に、感光体ドラム8の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0035】
現像装置13は、図1ないし図3に示すように、現像剤供給部14と、現像剤担持体としての現像ローラ15と、規制ブレード16と、を少なくとも備えている。
【0036】
現像剤供給部14は、収容槽17と、一対の攪拌スクリュー18と、を備えている。収容槽17は、感光体ドラム8と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽17内には、該収容槽17の長手方向に沿って延びた仕切壁19が設けられている。仕切壁19は、収容槽17内を第1空間20と、第2空間21とに区画している。また、第1空間20と第2空間21とは、両端が互いに連通している。
【0037】
収容槽17は、第1空間20と第2空間21との双方に現像剤26(図2に示す)を収容する。現像剤26は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とからなる。トナーは、第1空間20と、第2空間21とのうち現像ローラ15から離れた側の第1空間20の一端に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。磁性キャリアは、第1空間20と第2空間21との双方に収容されている。磁性キャリアの粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
【0038】
攪拌スクリュー18は、第1空間20と第2空間21それぞれに収容されている。攪拌スクリュー18の長手方向は、収容槽17、現像ローラ15及び感光体ドラム8の長手方向と平行である。攪拌スクリュー18は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤26を搬送する。
【0039】
前述した構成によれば、現像剤供給部14は、第1空間20の一端に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、第2空間21に搬送する。そして、現像剤供給部14は、第2空間21内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、軸心方向に搬送しながら、現像ローラ15の外表面に現像剤26を供給する。
【0040】
現像ローラ15は、図3及び図4に示すように、非磁性円筒体としての円筒状の現像スリーブ32と、円柱状のマグネットローラ(磁石体ともいう)33と、を備えている。現像ローラ15は、第2空間21と、感光体ドラム8と、の間に設けられている。現像ローラ15は、感光体ドラム8と収容槽17との双方と平行である。現像ローラ15は、感光体ドラム8と間隔をあけて配されている。現像ローラ15と感光体ドラム8との間の空間は、現像剤26のトナーを感光体ドラム8に付着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域31をなしている。現像領域31では、現像ローラ15と感光体ドラム8とが相対する。
【0041】
現像スリーブ32は、非磁性体からなり、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ32は、後述するマグネットローラ33を内包し(収容し)、その内周面が後述のマグネットブロックN2,S1,N1と順に相対するように、図2中の反時計回りの矢印Gに沿って回転される。現像スリーブ32は、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)などからなる。アルミニウムは、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウムを用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが好ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが好ましい。
【0042】
また、現像スリーブ32の外表面には、該現像スリーブ32即ち現像ローラ15の軸芯に沿って延びた溝が複数形成されている。また、現像スリーブ32の外表面には、周知のブラスト処理が施されて、細かい凹凸が形成されても良い。
【0043】
マグネットローラ33は、図4に示すように、芯金34と、磁性体からなる円筒状のローラ本体35と、該ローラ本体35に取り付けられる複数のマグネットブロックN1,S1,N2と、を備えている。マグネットローラ33は、現像スリーブ32内に収容されている(内包されている)。
【0044】
芯金34は、長手方向が感光体ドラム8の長手方向と平行に配され、軸芯周りに回転することなく固定されている。
【0045】
ローラ本体35は、芯金34の外周に軸芯周りに回転することなく固定されている。ローラ本体35には、図6に示すように、複数の溝36が設けられている。ローラ本体35は、射出成形及び押出成形にて製造したものである。ローラ本体35は、原料としてはSrもしくはBaを含む磁性粉に高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。また、ローラ本体35は、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。ローラ本体35は、現像極以外の磁気特性を形成する。ローラ本体35は、本明細書の円筒状磁石成形体をなしている。
【0046】
溝36は、図6に示すように、溝底壁37と、溝底壁37から立設した一対の溝側壁38a,38bとを備えている。側壁38aと側壁38bとは、互いに平行かつ相対している。溝36は、ローラ本体35の外表面から凹でかつ該ローラ本体35即ちマグネットローラ33の軸芯(長手)方向に沿って直線状に延びている。即ち、溝36は、樋状に形成されて、極に相当する部分に設けられている。溝36には、現像領域31に所望の磁力を得るのに必要な量の後述するマグネットブロックN1,S1,N2が埋設される。
【0047】
マグネットブロックN1,S1,N2は、図5に示すように、それぞれ、溝36即ちマグネットローラ33の外側に露出した露出面39と、底面40と、底面40から立設した一対の周面41a,41bと、を備えており、長尺の棒状に形成されている。マグネットブロックN1,S1,N2は、前述した溝36内に挿入されて、前記ローラ本体35に取り付けられる。マグネットブロックN1,S1,N2は、マグネットローラ33即ち現像ローラ15の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ33の全長に亘って埋設されている。
【0048】
また、マグネットブロックN1,S1,N2は、幅を狭くし、且つ高い磁気特性を得るためにBr>0.5Tの材料を用いることが望ましく、多くはNd系(Nd‐Fe‐B等)またはSm系(Sm‐Co、Sm‐Fe‐N等)の希土類マグネットもしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。さらに、後述するSLIC現像装置の場合、例えばφ16〜φ20の現像ローラ15であると、現像スリーブ32表面の磁束密度として80〜90mTが必要となるので、現像極部のマグネットブロックN1,S1,N2としては、構成上、巾2mm・高さ3mm程度の大きさに収める必要がある。マグネットブロックN1,S1,N2は、本明細書の長尺磁石成形体をなしている。
【0049】
露出面39は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されても、溝36即ちマグネットローラ33の外側に露出している。このように、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち全体がマグネットローラ33の外側に露出する外表面を、本明細書では、マグネットローラより露出した面という。
【0050】
底面40は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されると、溝底壁37と相対する。このように、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち少なくとも一部が溝36内に収容される外表面を、本明細書では、接着面という。
【0051】
周面41a,41bの少なくとも一部は、マグネットブロックN1,S1,N2が溝36に収容されると、溝側壁38a,38bと相対する。即ち、周面41a,41bは、本明細書の接着面をなす。なお、本実施形態では、周面41a,40bのうち全てが、溝側壁38a,38bと相対してはいない。つまり、周面41a,40bの一部が、溝36から露出している。
【0052】
周面41a,41bのうち一方の周面41aの表面粗さは、表面粗さが前述した露出面39の表面粗さよりも大きくなっている(図5中にPで示す)。周面41aには、接着剤(例えば、シアノアクリレート系接着剤)42が塗布されて、溝側壁38aと接着される。即ち、接着面としての周面41aの表面粗さが、露出面39の表面粗さよりも、大きい。
【0053】
接着剤42は、図6に示すように、溝側壁38a即ち溝36と、周面41a即ちマグネットブロックN1,S1,N2と、の間に塗布される。接着剤42は、溝36とマグネットブロックN1,S1,N2との間で挟まれると、図6に示すように、接着剤42が溝側壁38aと周面41aとの間で拡がる。つまり、接着剤42は、溝36内から溢れる方向に拡がる。拡がった接着剤42は、表面の粗い周面41a上で芯金34に向かって付勢される。即ち、拡がった接着剤42は、図6に示すように、溝36から溢れることを規制される。このように、接着面内で接着剤42が拡がる領域を、本明細書では、接着剤が塗布される部分という。
【0054】
規制ブレード16は、現像装置13の感光体ドラム8寄りの端部に設けられている。規制ブレード16は、現像スリーブ32の外表面と間隔をあけている。規制ブレード16は、所望の厚さを超える現像スリーブ32の外表面上の現像剤26を収容槽17内にそぎ落として、現像領域31に搬送される現像スリーブ32の外表面上の現像剤26を所望の厚さにする。
【0055】
前述した構成のマグネットローラ33は、以下に示すように、製造される。まず、図7に示すように、ローラ本体35の溝36に接着剤42を塗布して、互いの間にマグネットブロックN1,S1,N2を挟む一対のチャック43をマグネットブロックN1,S1,N2に近づける。次に、図8に示すように、マグネットブロックN1,S1,N2を一対のチャック43の間に挟んで固定する。そして、チャック43で固定した該マグネットブロックN1,S1,N2を溝36の溝底壁37に向かって近づけて、押圧部材44で溝底壁37に向かって押圧する。すると、接着剤42は、溝36内から溢れる方向に拡がる。拡がった接着剤42は、表面の粗い周面41a上で芯金34に向かって付勢される。即ち、拡がった接着剤42は、図9に示すように、周面41aにより溝36から溢れることを規制される。そして、図10に示すように、チャック43及び押圧部材44をマグネットブロックN1,S1,N2から離すとともにチャック43を開放する。
【0056】
前述した構成の現像装置13は、現像剤供給部14でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤26をマグネットブロックN1,S1,N2により現像スリーブ32の表面に吸引する。そして、現像装置13は、現像スリーブ32が矢印Gに沿って回転して、複数のマグネットブロックN1,S1,N2により付着した現像剤26を現像領域31に向かって搬送する。現像装置13は、規制ブレード16で所望の厚さになった現像剤26を感光体ドラム8に付着させる。こうして、現像装置13は、現像剤26を現像ローラ15に担持し、現像領域31に搬送して、感光体ドラム8上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。なお、本実施形態の現像装置13は、SLIC現像装置と呼ばれる「トナー及び磁性粒子からなる二成分現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像する高機能現像装置」となっている。
【0057】
前述した構成の画像形成装置1は、以下に示すように、記録紙7に画像を形成する。まず、画像形成装置1は、感光体ドラム8を回転して、この感光体ドラム8の外表面を一様に帯電ローラ9により帯電する。感光体ドラム8の外表面にレーザ光10を照射して、該感光体ドラム8の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域31に位置付けられると、現像装置13の現像スリーブ32の外表面に付着した現像剤26が感光体ドラム8の外表面に付着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム8の外表面に形成する。
【0058】
そして、画像形成装置1は、給紙ローラ3などにより搬送されてきた記録紙7が転写部材4と感光体ドラム8との間に位置して、感光体ドラム8の外表面上に形成されたトナー像を記録紙7に転写する。画像形成装置1は、定着装置5で、記録紙7にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置1は、記録紙7に画像を形成する。
【0059】
本実施形態によれば、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41aの表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きいので、マグネットブロックN1,S1,N2と溝36とを密着させるようにしても、これらの面41a,38aの間に隙間ができ、その隙間に接着剤42が侵入することになり、接着剤42が溝36内から溢れなくなる。接着剤42が溢れなくなるので、マグネットブロックN1,S1,N2や該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟む一対のチャック43等にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。また、接着剤42が溢れることを防止できるので、マグネットブロックN1,S1,N2と、該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟む一対のチャック43等とが、互いに貼り付くことを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2が破損することを防止できる。
【0060】
また、マグネットブロックN1,S1,N2が、底面40と該底面40から立設した一対の周面41a,41bとを備え、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面としての周面41aの少なくとも一部は、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方であるので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、本発明のマグネットローラ33は、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が、位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。
【0061】
また、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面としての周面41aの少なくとも一部は、接着剤42が塗布される部分のみであるので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に位置決めできる。また、接着剤42が溢れることを防止できるので、マグネットブロックN1,S1,N2と、該マグネットブロックN1,S1,N2を互いの間に挟むチャック43とが、互いに貼り付くことを防止でき、マグネットブロックN1,S1,N2が破損することを防止できる。
【0062】
また、マグネットブロックN1,S1,N2が、底面40と該底面40から立設した一対の周面41a、41bとを備え、接着剤42が塗布される部分が、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方に設けられているので、接着剤42が溢れなくなり、マグネットブロックN1,S1,N2やチャック43にローラ本体35の溝36から溢れた接着剤42が貼りつくことが無くなる。このため、貼り付け後に、マグネットブロックN1,S1,N2が位置ずれすることを防止でき、長尺磁石成形体を高精度に円筒状磁石成形体に位置決めできる。
【0063】
また、前述したマグネットローラ33を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0064】
また、前述した現像ローラ15を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0065】
また、前述した現像装置13を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0066】
また、前述したプロセスカートリッジ6を備えているので、マグネットブロックN1,S1,N2を高精度にローラ本体35に貼り付けることができるとともに、該マグネットブロックN1,S1,N2の破損を防止できる。
【0067】
また、前述した実施形態のマグネットブロックN1,S1,N2は、周面41aの全表面の表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39よりも大きかったが、本発明では、図11に示すように、周面41aの全表面のうち一部分(図11中にPで示す)の表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくても良い。なお、一部分とは、接着剤42が拡がる領域即ち接着剤が塗布される部分である。即ち、本明発明では、接着剤が塗布される部分のみの表面粗さを、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくすれば良い。
【0068】
要するに、本発明では、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい接着面の少なくとも一部は、接着剤が塗布される部分のみであっても良いし、また、接着剤が塗布される部分が、一対の周面41a,41bのうち少なくとも一方に設けられていても良い。
【0069】
また、前述した実施形態のマグネットブロックN1,S1,N2は、一対の周面41a,41bのうち一方の周面41aの表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きかったが、本発明のマグネットブロックN1,S1,N2は、図12に示すように、一対の周面41a,41bのうち両方の周面41a,41bの表面粗さが、ローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも大きくても良い(図12中にPで示す)。さらに、本発明のマグネットブロックN1,S1,N2は、底面40の表面粗さが、ローラ本体35から露出した露出面39よりも大きくても良い。即ち、マグネットブロックN1,S1,N2の外表面のうち少なくとも一部が溝36内に収容される接着面の少なくとも一部の表面粗さが、ローラ本体35から露出した露出面39よりも大きくても良い。
【0070】
また、前述した実施形態では、図5に示すように、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a全体即ち接着面全体の表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きくしており、図11に示ように、マグネットブロックN1,S1,N2の接着剤が塗布される部分のみの表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きくても良い。
【0071】
要するに、本発明では、マグネットブロックN1,S1,N2の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、マグネットブロックN1,S1,N2のローラ本体35より露出した露出面39の表面粗さよりも、大きければ良い。
【0072】
また、前述した実施形態では、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a,41bのうち一部がローラ本体35の溝36から露出していたが、本発明の周面41a,41bは、ローラ本体35の溝36から露出していなくても良い。即ち、本発明のマグネットローラ33は、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41a,41b全体が溝36に収容されていても良い。
【0073】
また、前述した実施形態では、接着剤42は、マグネットブロックN1,S1,N2の周面41aに塗布されていたが、図7及び図8に示すように、溝36に塗布しても良い。即ち、本発明では、接着剤42は、溝36と、マグネットブロックN1,S1,N2と、の間に塗布されていれば良い。さらに、接着剤42は、溝36とマグネットブロックN1,S1,N2とを接着固定できれば接着剤42は少量でも良いし、接着面全体に塗布しなくても良い。即ち、本発明のマグネットローラ33は、表面粗さがローラ本体35より露出した露出面39よりも大きい本明細書の接着剤が塗布される部分に、接着剤42が塗布されて溝36と、マグネットブロックN1,S1,N2と、が互いに接着されれば良い。
【0074】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる画像形成装置の要部を示す断面図である。
【図2】図1に示された画像形成装置の現像装置を示す断面図である。
【図3】図2中のA−B−C−D線に沿う断面図である。
【図4】図3に示された現像ローラを示す断面図である。
【図5】図4に示されたマグネットローラのマグネットブロックを示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図6】図5に示されたマグネットブロックを溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。
【図7】図5に示されたマグネットブロックに一対のチャックを近づける状態を示す断面図である。
【図8】図7に示されたマグネットブロックを一対のチャック間に挟んだ状態を示す断面図である。
【図9】図8に示されたマグネットブロックを押圧部材で溝に押し付ける状態を示す断面図である。
【図10】図9に示されたマグネットブロックからチャック及び押圧部材を離す状態を示す断面図である。
【図11】本発明のマグネットブロックの変形例を示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本発明のマグネットブロックの他の変形例を示す説明図であり、(a)は断面図であり、(b)は側面図である。
【図13】従来の現像装置の動作状況を示す断面図である。
【図14】従来のマグネットローラを示す断面図である。
【図15】従来の他のマグネットローラを示す断面図である。
【図16】従来のさらに他のマグネットローラを示す断面図である。
【図17】従来のマグネットローラのマグネットブロックをローラ本体の溝に接着剤で接着する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
6 プロセスカートリッジ
13 現像装置
15 現像ローラ(現像剤担持体)
32 現像スリーブ(非磁性円筒体)
33 マグネットローラ
35 ローラ本体(円筒状磁石成形体)
36 溝
39 露出面(円筒状磁石成形体より露出した面)
40 底面
41a,41b 周面
42 接着剤
N1,S1,N2 マグネットブロック(長尺磁石成形体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極に相当する部分に他の部材が埋設できるような凹状の溝が少なくとも一つ設けられた円筒状磁石成形体と、該溝に接着剤により接着された長尺磁石成形体と、を備えたマグネットローラにおいて、
該長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、該長尺磁石成形体の該円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいことを特徴とするマグネットローラ。
【請求項2】
前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部が、前記一対の周面のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のマグネットローラ。
【請求項3】
前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記接着剤が塗布される部分のみであることを特徴とする請求項1に記載のマグネットローラ。
【請求項4】
前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記接着剤が塗布される部分が、前記一対の周面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のマグネットローラ。
【請求項5】
マグネットローラと、該マグネットローラの外周に回転自在に設けられた非磁性円筒体と、を少なくとも備えた現像剤担持体において、前記マグネットローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えたことを特徴とする現像剤担持体。
【請求項6】
現像剤担持体を少なくとも備えた現像装置において、前記現像剤担持体として、請求項5に記載の現像剤担持体を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
現像装置を少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項6に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
プロセスカートリッジを少なくとも備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
極に相当する部分に他の部材が埋設できるような凹状の溝が少なくとも一つ設けられた円筒状磁石成形体と、該溝に接着剤により接着された長尺磁石成形体と、を備えたマグネットローラにおいて、
該長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが、該長尺磁石成形体の該円筒状磁石成形体より露出した面の表面粗さよりも、大きいことを特徴とするマグネットローラ。
【請求項2】
前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部が、前記一対の周面のうち少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のマグネットローラ。
【請求項3】
前記長尺磁石成形体の接着面の少なくとも一部の表面粗さが前記円筒状磁石成形体より露出した面よりも大きい該接着面の少なくとも一部は、前記接着剤が塗布される部分のみであることを特徴とする請求項1に記載のマグネットローラ。
【請求項4】
前記長尺磁石成形体が、底面と該底面から立設した一対の周面とを備え、そして、前記接着剤が塗布される部分が、前記一対の周面のうち少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のマグネットローラ。
【請求項5】
マグネットローラと、該マグネットローラの外周に回転自在に設けられた非磁性円筒体と、を少なくとも備えた現像剤担持体において、前記マグネットローラとして、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のマグネットローラを備えたことを特徴とする現像剤担持体。
【請求項6】
現像剤担持体を少なくとも備えた現像装置において、前記現像剤担持体として、請求項5に記載の現像剤担持体を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
現像装置を少なくとも備えたプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置として、請求項6に記載の現像装置を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
プロセスカートリッジを少なくとも備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項7に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−259222(P2006−259222A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76478(P2005−76478)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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