説明

マスク、偏光露光装置、液晶装置の製造方法

【課題】小さなスペースに配置可能な、偏光分離機能を有するマスク、偏光露光装置、及び液晶装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】偏光露光装置は、被露光基板を載置するステージと、平面視でステージ上の被露光基板に重なる位置に配置されたマスク5と、光源と、光源からの光を、マスク5を経てステージ上の被露光基板に至る光路に沿って導く光学系と、を備える。マスク5は、複数の基板保持部53を有する基部51と、各基板保持部53において、光の入射方向に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板9と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る一態様は、マスク、偏光露光装置、液晶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液晶装置は、シール材を介して貼り合わされた一対の基板と、この一対の基板の間に封入された液晶とを有して構成される。また、一対の基板の対向面には、液晶を所定の方向に配向させるための配向膜が形成されている。従来、配向膜に対する配向処理の方法としては、配向膜を直接布等で擦るラビング処理が用いられているが、近年では、光配向材料に偏光を露光することにより配向処理を行う光配向が注目されている(例えば特許文献1)。
【0003】
図12は、従来より光配向処理に用いられている偏光露光装置4の模式図である。偏光露光装置4は、ワークWを水平に載置するためのステージ33と、光源32と、光源32からの光をワークWに導く光学系とを有している。光学系は、ミラー41,42,43、コリメータレンズ34、インテグレータレンズ38から構成されている。ここで、コリメータレンズ34とインテグレータレンズ38との間の光路上には、偏光子36が配置されている。偏光子36は、光軸に対して傾斜した状態で重ねられた多数の石英基板からなる反射型偏光子である。偏光子36は、s偏光を反射させ、かつp偏光を透過する。偏光露光装置4は、偏光子36の偏光分離機能によりワークWに直線偏光を露光することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−347668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成においては、偏光子36を透過した光がワークWの全面に照射されるよう、偏光子36を構成する石英基板の面積を大きくする必要がある。このように大面積の石英基板が用いられることに起因して、偏光度を上げるために石英基板の枚数を増加させることが困難であるという課題がある。また、光学系による偏光解消を回避するために偏光子36をワークWの直上に配置すると、自重により石英基板が撓み、かえって透過光の偏光度が低下してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]複数の基板保持部を有する基部と、各前記基板保持部において、前記基部の主面に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を備えるマスク。
【0008】
このような構成によれば、基部の主面に垂直な方向から基板保持部に入射した光は、透光性基板に斜めに入射し、各透光性基板において、s偏光はp偏光より高い反射率で反射される。したがって、入射光が複数の透光性基板を連続して透過する際に、入射光からはs偏光が多段的に取り除かれてゆき、最終的な透過光には、ほぼp偏光のみが含まれる。このように、上記マスクによれば、基板保持部に入射した光のうちのp偏光を選択的に透過させることができる。ここで、基部は複数の基板保持部を有し、基板保持部のそれぞれにおいて複数の透光性基板を保持する構成であるため、1枚の透光性基板の大きさを必要に応じて小さくすることができる。このため、小さなスペースで透光性基板を多数重ねることができ、容易に消光比を上げることが可能となる。また、多数の透光性基板を重ねても、各透光性基板が小さいために撓みが生じにくく、高い偏光度の光を取り出すことができる。
【0009】
[適用例2]上記マスクであって、前記基部は、透光性を有する板状の部材であり、前記基板保持部は、前記基部に設けられた、前記基部の主面に対して傾斜した面を有する凹部であり、前記透光性基板は、前記凹部の前記傾斜した面に沿って配置されているマスク。
【0010】
このような構成によれば、基部の一部に透光性基板を埋める形で透光性基板が保持されるため、マスクの全体が占めるスペースを小さく抑えながら多数の透光性基板を配置することができる。
【0011】
[適用例3]上記マスクであって、前記基部は板状の部材であり、前記基板保持部は、前記基部の表面と、前記基部上に設けられた、一対の凸状の支持板とから構成され、前記透光性基板は、前記支持板に立て掛けられた状態で配置されているマスク。
【0012】
このような構成によれば、容易に基板支持部を構成することができる。また、一対の凸状の支持板の間隔を調整することにより、透光性基板の配置角度を容易に設定することができる。
【0013】
[適用例4]被露光基板に偏光を露光する偏光露光装置であって、前記被露光基板を載置するステージと、平面視で前記ステージ上の前記被露光基板に重なる位置に配置されたマスクと、光源と、前記光源からの光を、前記マスクを経て前記ステージ上の前記被露光基板に至る光路に沿って導く光学系と、を備え、前記マスクは、複数の基板保持部を有する基部と、各前記基板保持部において、前記光の入射方向に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を有する偏光露光装置。
【0014】
このような構成によれば、光源からの光のうち、マスクを透過した光を被処理基板に露光することができる。ここで、マスクに入射した光は、基板保持部に保持された透光性基板に斜めに入射し、各透光性基板において、s偏光はp偏光より高い反射率で反射される。したがって、マスクへの入射光が複数の透光性基板を連続して透過する際に、入射光からはs偏光が多段的に取り除かれてゆき、最終的な透過光には、ほぼp偏光のみが含まれる。よって、上記マスクからは、基板保持部に入射した光のうちのp偏光が選択的に透過され、被処理基板に露光される。ここで、基部は複数の基板保持部を有し、基板保持部のそれぞれにおいて複数の透光性基板を保持する構成であるため、1枚の透光性基板の大きさを必要に応じて小さくすることができる。このため、小さなスペースで透光性基板を多数重ねることができ、容易に消光比を上げることが可能となる。また、多数の透光性基板を重ねても、各透光性基板が小さいために撓みが生じにくく、高い偏光度の光を取り出すことができる。なお、本明細書において平面視とは、ステージ上の被露光基板の法線方向から見ることをいう。
【0015】
[適用例5]上記偏光露光装置であって、前記基部は、透光性を有する板状の部材であり、前記基板保持部は、前記基部に設けられた、前記光の入射方向に対して傾斜した面を有する凹部であり、前記透光性基板は、前記凹部の前記傾斜した面に沿って配置されている偏光露光装置。
【0016】
このような構成によれば、基部の一部に透光性基板を埋める形で透光性基板が保持されるため、マスクの全体が占めるスペースを小さく抑えながら多数の透光性基板を配置することができる。
【0017】
[適用例6]上記偏光露光装置であって、前記基部は板状の部材であり、前記基板保持部は、前記基部の表面と、前記基部上に設けられた、一対の凸状の支持板とから構成され、前記透光性基板は、前記支持板に立て掛けられた状態で配置されている偏光露光装置。
【0018】
このような構成によれば、容易に基板支持部を構成することができる。また、一対の凸状の支持板の間隔を調整することにより、透光性基板の配置角度を容易に設定することができる。
【0019】
[適用例7]上記偏光露光装置であって、前記透光性基板の法線と前記光の入射方向とがなす角はブリュースター角である偏光露光装置。
【0020】
このような構成によれば、マスクの基板保持部に入射した光は、各透光性基板において、s偏光は一部が反射するのに対し、p偏光は反射せずすべて透過する。よって、マスクの消光比を高め、マスクを透過する光の偏光度をより大きくすることができる。
【0021】
[適用例8]上記偏光露光装置であって、前記被露光基板は、複数の被処理領域を有し、前記マスクの各前記基板保持部は、平面視で少なくとも1つの前記被処理領域を覆う大きさに構成されている偏光露光装置。
【0022】
このような構成によれば、各被処理領域に一様な偏光を露光することができる。
【0023】
[適用例9]上記偏光露光装置であって、前記光学系は、前記光源から前記マスクに至る光路上に配置された偏光子を有する偏光露光装置。
【0024】
このような構成によれば、マスクに入射する光を、偏光子によりあらかじめ所定の消光比を有する偏光とすることができる。すなわち、マスクによる偏光選択機能と偏光子による偏光選択機能とを掛け合わせることとなり、さらに高い消光比を有する偏光を被処理基板に露光することができる。
【0025】
[適用例10]被露光基板を載置するステージと、平面視で前記ステージ上の前記被露光基板に重なる位置に配置されたマスクと、光源と、前記光源からの光を、前記マスクを経て前記ステージ上の前記被露光基板に至る光路に沿って導く光学系と、を備え、前記マスクは、複数の基板保持部を有する基部と、各前記基板保持部において、前記光の入射方向に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を有する偏光露光装置を用いた液晶装置の製造方法であって、一対の基板の少なくとも一方に光配向材料を塗布して前記被露光基板を製造する工程と、前記被露光基板上の前記光配向材料に、前記偏光露光装置によって偏光を露光する工程と、前記一対の基板を、シール材を介して貼り合わせる工程と、前記一対の基板の間に液晶を封入する工程と、を有する液晶装置の製造方法。
【0026】
このような方法によれば、偏光露光装置によって光配向処理された配向膜を有する液晶装置を製造することができる。ここで、偏光露光装置は、マスクに含まれる透光性基板を必要に応じて小さくすることができるため、小さなスペースで高い消光比の偏光を被露光基板に露光することができる。このため、配向膜の配向規制力を均一にすることが可能となり、液晶の配向乱れによる表示不良の少ない、高品位な液晶装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照し、マスク、偏光露光装置及び液晶装置の製造方法の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図においては、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。
【0028】
(第1の実施形態)
<A.液晶装置>
まず、本実施形態に係る液晶装置1の構成について説明する。図1は、液晶装置1の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図である。液晶装置1は、枠状のシール材12を介して対向して貼り合わされた、一対の基板としての素子基板10、対向基板20を有している。素子基板10、対向基板20、シール材12によって囲まれた空間には、液晶14が封入されている。素子基板10は、対向基板20より大きく、一部が対向基板20に対して張り出した状態で貼り合わされている。この張り出した部位には、液晶14を駆動するためのドライバIC16が実装されている。
【0029】
素子基板10のうち対向基板20に対向する面には、TFT(Thin Film Transistor)素子、各種配線、透光性を有する画素電極等を含む回路素子層(不図示)が形成されており、回路素子層の上に配向膜11が形成されている。また、対向基板20のうち素子基板10に対向する面には、カラーフィルタ、共通電極等(不図示)が形成されており、これらの構成要素の上に配向膜21が形成されている。配向膜11,21は、光配向材料に直線偏光の紫外線を露光することにより形成され、直線偏光の方向に沿った配向規制力が付与されている。ここで、光配向材料は、偏光を照射することにより、偏光の方向に沿った配向規制力が生じる部材である。詳しくは、光配向材料に偏光を照射することにより、光配向材料を構成する分子の光反応部位のうち、照射光の偏光方向に平行な成分が光化学反応を起こし、当該分子近傍の液晶分子の配向方向を規制することが可能となる。光配向材料としては、例えば、吸収波長が313nmの樹脂材料を用いることができる。このように、配向膜11,21は、光配向処理の方向に沿って液晶14を配向させる機能を有する。配向膜11,21の配向方向は、例えば互いに直交する方向とする。このとき液晶14は、例えばTN(Twisted Nematic)モードとすることができる。
【0030】
なお、液晶装置1の構成はTNモードに限られず、この他にも、液晶分子を基板と垂直に配向させるVA(Vertical Alignment)モードや、素子基板10側に画素電極及び共通電極を備え、素子基板10に平行な成分を有する電界により液晶14を駆動するFFS(Fringe Field Switching)モード又はIPS(In Plane Switching)モード等の構成とすることができる。また、駆動方式としてはTFT素子等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス型に限られず、パッシブマトリクス型としてもよい。パッシブマトリクス型における液晶モードとしては例えばSTN(Super Twisted Nematic)モードとすることができる。
【0031】
液晶14は、印加される駆動電圧の大きさに応じて配向方向を変える。液晶装置1は、液晶14の配向方向に応じた偏光変換機能と、素子基板10及び対向基板20を挟んで配置された偏光板(不図示)の偏光選択機能とによって入射光を変調することにより、種々の表示を行うことができる。
【0032】
図2は、液晶装置1を製造する際に用いられるマザー基板100a,100bの平面図である。液晶装置1を製造する際には、このようなマザー基板100a,100b上に複数の液晶装置1に対応する構成要素を形成していく。より詳しくは、マザー基板100aには、複数の素子基板10に対応する構成要素が形成され、マザー基板100bには、複数の対向基板20に対応する構成要素が形成される。液晶装置1の製造工程は、マザー基板100a,100bを貼り合わせた後に、個々の液晶装置1の大きさにブレイク(切断)する工程を含む。以下では、マザー基板100a,100bのいずれかを指す場合には、単にマザー基板100とも表記する。
【0033】
<B.偏光露光装置及びマスク>
続いて、液晶装置1の製造に用いられる偏光露光装置3について説明する。図3は、偏光露光装置3の構成を示す模式図である。偏光露光装置3は、被露光基板としてのマザー基板100を水平に載置するためのステージ33と、マスク5と、光源32と、光源32からの光を、マスク5を経てステージ33上のマザー基板100に至る光路に沿って導く光学系と、を有している。偏光露光装置3は、マスク5等の機能により、光源32から射出された光から直線偏光を取り出して、ステージ33上のマザー基板100に露光する装置である。図3中の破線の矢印は、光路を示している。
【0034】
光源32は、紫外線を含む光を射出するものであり、例えば超高圧水銀灯を用いることができる。また、マスク5は、平面視でステージ33上のマザー基板100に重なる位置に配置されている。マザー基板100は、マスク5に対向する面に光配向材料が塗布された状態でステージ33上に載置される。
【0035】
上記光学系は、ミラー41,42,43、コリメータレンズ34、インテグレータレンズ38を含んで構成されている。コリメータレンズ34とインテグレータレンズ38との間の光路上には、偏光子6が配置されている。偏光子6は、光軸に対して傾斜した状態で重ねられた多数の石英基板からなる反射型偏光子である。より詳しくは、偏光子6は、石英基板への光の入射角がブリュースター角となるように配置されている。
【0036】
ブリュースター角とは、屈折率の異なる物質の界面において、反射光が完全に偏光となるような光の入射角を言う。ブリュースター角で入射した光のうち、入射面に垂直な振動方向を有するs偏光は一定の反射率で反射される一方で、入射面に平行な振動方向を有するp偏光は反射せず、吸収等の損失がなければすべて透過される。ブリュースター角(θbとする)は、光入射側の物質の屈折率をn1、射出側の物質の屈折率をn2とすると、θb=arctan(n2/n1)で表される。本実施形態では、空気の屈折率(n1=1.0)と石英の屈折率(n2=1.5)とから定まり、ブリュースター角は約56度である。
【0037】
このような構成の偏光子6は、s偏光を反射させ、かつp偏光を透過する。すなわち、偏光子6は、偏光分離機能を有している。石英基板の積層数を増やすことによって、消光比を大きくすることができる。本実施形態では、偏光子6における石英基板の積総数は、45枚である。
【0038】
上記において消光比とは、偏光分離機能を有する素子に関する特性値であって、素子を透過した光における、特定の偏光成分(上記ではp偏光)の強度の、これに直交する偏光成分(上記ではs偏光)の強度に対する比である。したがって、上記の例では、消光比が高いほど、透過光に含まれるp偏光の割合が高くなる。
【0039】
光源32から射出された光は、ミラー41によって反射され、コリメータレンズ34によって平行光に変換された後に偏光子6に入射する。偏光子6は、入射した光のうち大部分のs偏光を反射し、p偏光を透過する。ここで、偏光子6によるこうした偏光分離は不完全であってもよい。後にマスク5によっても偏光分離が行われるためである。偏光子6を透過した光は、フライアイレンズを用いて構成されたインテグレータレンズ38によって面内強度分布が均一化された後に、ミラー42,43によって反射され、マスク5に入射する。そして、マスク5の偏光分離機能によってより偏光度の高い直線偏光となってステージ33上のマザー基板100に露光される。ステージ33の面、マザー基板100、マスク5は、互いに平行に配置されており、光源32から光学系により導かれた光は、これらの各構成要素の面に垂直に入射する。
【0040】
ここで、マスク5の構成について説明する。図4は、マスク5の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図である。マスク5は、複数の基板保持部53を有する基部51と、各基板保持部53において、基部51の主面51aに対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板9と、を備えている。基板保持部53は、基部51に設けられた、基部51の主面51aに対して傾斜した面53aを有する凹部であり、透光性基板9は、この凹部の傾斜した面53aに沿って配置されている。図4(a)では、説明の便宜上、1つの基板保持部53にのみ透光性基板9が描かれているが、実際にはすべての基板保持部53に透光性基板9が配置されている。マスク5は、基部51の主面51aがステージ33と平行となるように配置される(図3)。したがって、マスク5には、主面51aに垂直な方向から光が入射する。
【0041】
上記のうち基部51は、透光性を有する板状の部材であり、例えばガラスからなる。また、透光性基板9は、空気との間で屈折率に差を有する部材であり、本実施形態では石英基板が用いられている。図4では、透光性基板9の枚数を省略して描いており、本実施形態では、実際には透光性基板9は15枚重ねられている。そして、透光性基板9は、若干の隙間を有した状態で重ねられており、隣り合う透光性基板9の間には空気層が設けられている。このような構成とするためには、例えば微細なスペーサを介して透光性基板9を重ねればよい。透光性基板9の厚さは、例えば0.4mmのものを用いることができる。
【0042】
図4(b)に示すように、基板保持部53は、基部51の表面を一部除去することによって形成されている。基板保持部53は、例えば基部51を構成するガラスをエッチングすることにより形成することができる。このような構成によれば、基部51の一部に透光性基板9を埋める形で透光性基板9が保持されるため、マスク5の全体が占めるスペースを小さく抑えながら多数の透光性基板9を配置することができる。基板保持部53の面53aの法線は、光の入射角に対して角度θだけ傾いている。したがって、基板保持部53に配置された透光性基板9の法線も、光の入射角に対して角度θだけ傾いている。換言すれば、光は、透光性基板9に対して入射角θで入射する。ここで、角度θは、上述したブリュースター角となるように設定されている。
【0043】
このような構成にすれば、透光性基板9に入射した光のうち、s偏光は一部が反射され、p偏光は反射されずに透過する。この現象が、15枚の透光性基板9においてそれぞれ生じるため、すべての透光性基板9を透過した光にはほとんどs偏光が含まれず、p偏光が透過する。このように、マスク5は、透光性基板9の作用により偏光分離を行うことができる。すなわち、マスク5のうち透光性基板9が配置された基板保持部53は、偏光子として機能する。なお、上述した偏光子6も、同様の作用により偏光分離を行う素子である。マスク5に入射する光は、偏光子6を透過してあらかじめp偏光成分を多く含むが、マスク5を透過することによりさらに偏光度を高めることができる。すなわち、偏光子6に加えてマスク5を配置することにより、偏光露光装置3の全体の消光比を高めることができる。
【0044】
ところで、マスク5の基部51は複数の基板保持部53を有し、基板保持部53のそれぞれにおいて複数の透光性基板9を保持する構成であるため、1枚の透光性基板9の大きさを、マスク5の大きさとは無関係に、必要に応じて小さくすることができる。このため、小さなスペースで透光性基板9を多数重ねることができ、容易にマスク5の消光比を上げることが可能となる。このとき、透光性基板9が小さいため、透光性基板9を容易に取り扱うことができる。また、多数の透光性基板9を重ねても、各透光性基板9が小さいために撓みが生じにくく、高い偏光度の偏光を取り出すことができる。
【0045】
また、マスク5は、大面積の石英基板を用いる偏光子6と比較して占有体積が小さいため、ステージ33(マザー基板100)の直上に対向する位置に容易に配置することができる。このようにすることで、他の光学素子を介在させることなくマスク5とマザー基板100とを対向させることができるため、マスク5から射出された偏光が他の光学素子により一部解消してしまう不具合を抑制することができる。
【0046】
マスク5を透過した光は、表面に光配向材料が塗布されたマザー基板100に露光される。マスク5とマザー基板100とは、マスク5が透過するp偏光の偏光軸と、マザー基板100上の光配向材料に付与すべき配向規制力の方向とが一致するように配置されている。すなわち、マスク5に含まれる透光性基板9の法線をマザー基板100に投影させた線と配向規制力の方向とが一致するようになっている。
【0047】
マザー基板100上の光配向材料は、照射される光の偏光度の高いほど、生じる配向規制力の方向が均一となる。本実施形態の偏光露光装置3によれば、マスク5により偏光度が高められた光が光配向材料に露光されるため、配向規制力の方向が揃った高品位な配向膜11,21が得られる。よって、マザー基板100を用いて製造される液晶装置1の表示品位を高めることができる。
【0048】
図5は、マザー基板100において、マスク5により偏光度が高められた光が露光される露光領域7を示す図である。露光領域7は、マスク5の基板保持部53の領域をマザー基板100上に投影して得られる領域となる。露光領域7以外の領域には、より偏光度の低い光が照射される。
【0049】
図6は、マザー基板100上における素子基板10又は対向基板20の構成要素の形成領域と、露光領域7との関係を示す平面図である。ここで、素子基板10又は対向基板20の構成要素の形成領域は、偏光露光装置3により光配向処理がなされるべき領域を含む領域、すなわち被処理領域である。各露光領域7は、上記被処理領域を包含している。つまり、マスク5の各基板保持部53は、平面視で少なくとも1つの被処理領域を覆う大きさに構成されている。このようにすれば、少なくとも偏光を露光することが必要な領域に対して、漏れなく偏光露光装置3による露光を行うことができる。
【0050】
なお、マスク5の各基板保持部53に保持される透光性基板9の数は、15枚に限られず、さらに多数としてもよい。これにより、マスク5の消光比を高めることができる。また、マスク5によって所望の偏光分離がなされている場合には、図3に示した偏光子6は省略することもできる。又は、必要に応じて偏光子6を構成する石英基板の数を減少させることができる。これにより、偏光露光装置3を小型化することが可能となる。
【0051】
<C.液晶装置の製造方法>
続いて、偏光露光装置3を用いた液晶装置1の製造方法について説明する。図7は、液晶装置1の製造方法を示すフローチャートである。工程S11から工程S14は、素子基板10に関する製造工程であり、工程S21から工程S23は、対向基板20に関する製造工程である。工程S11から工程S14と、工程S21から工程S23とは、互いに独立した工程であるため、どちらかを先に行ってもよいし、並行して行ってもよい。工程S31から工程S34は、得られた素子基板10及び対向基板20を用いて液晶装置1を製造する工程である。
【0052】
工程S11では、マザー基板100a(図2(a))上の、各素子基板10に対応する領域に、回路素子層を形成する。この工程は、プラズマCVD法やスパッタ法、各種エッチング法等の種々の成膜方法、パターニング方法を用いて行うことができる。
【0053】
工程S12では、回路素子層が形成されたマザー基板100a上の、各素子基板10に対応する領域に、光配向材料を塗布する。この工程は、スピンコート法、フレキソ印刷法等によって行うことができる。この工程は、被露光基板を製造する工程に対応する。
【0054】
工程S13では、マザー基板100a(被露光基板)上に塗布された光配向材料に紫外線の偏光を露光して光配向処理を行う。より詳しくは、まずマザー基板100aを、光配向材料が塗布された面をマスク5に対向させた状態で、偏光露光装置3のステージ33上に載置する。この状態で、光源32から紫外線を射出する。これにより、偏光子6及びマスク5によって偏光分離された紫外線の直線偏光をマザー基板100aに露光する。これにより、光配向材料に、偏光方向に応じた配向規制力が付与され、配向膜11(図1(b))が形成される。
【0055】
工程S14では、各素子基板10に対応する領域を囲む枠状の領域に、シール材12(図1(a))を形成する。この工程は、スクリーン印刷法、ディスペンサ塗布法等によって行うことができる。
【0056】
工程S21では、マザー基板100b(図2(b))上の、各対向基板20に対応する領域に、カラーフィルタ及び共通電極を形成する。カラーフィルタは、例えばスピンコート法等による成膜法や、フォトリソグラフィー法等によるパターニングを経て形成される。共通電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料をスパッタ法等により成膜することで形成することができる。この工程では、カラーフィルタを覆うオーバーコート等を適宜形成してもよい。
【0057】
工程S22では、マザー基板100b上の、各対向基板20に対応する領域に、光配向材料を塗布する。この工程は、スピンコート法、フレキソ印刷法等によって行うことができる。この工程は、被露光基板を製造する工程に対応する。
【0058】
工程S23では、マザー基板100b(被露光基板)上に塗布された光配向材料に紫外線の偏光を露光して光配向処理を行う。この工程S23は、工程S13と同様の工程により行われる。この工程を経て、光配向材料に配向規制力が付与され、配向膜21(図1(b))が形成される。
【0059】
以上の工程S11から工程S14、及び工程S21から工程S23により、マザー基板100a,100b上にそれぞれ素子基板10、対向基板20の構成要素が形成される。
【0060】
次に、工程S31では、マザー基板100aとマザー基板100bとをシール材12を介して貼り合わせて複合マザー基板を形成する。
【0061】
続く工程S32では、複合マザー基板を、個々の液晶装置1に対応する大きさ、又は一列に並んだ液晶装置1が含まれる短冊状にブレイク(切断)する。ブレイクは、例えばガラス基板の表面をスクライブした後に応力を印加することで行うことができる。
【0062】
次に、工程S33では、枠状のシール材12に囲まれた各領域に液晶14(図1(b))を注入し、その後注入口を紫外線硬化性樹脂等で封止する。
【0063】
最後に、工程S34では、素子基板10にドライバIC16(図1(a))を実装する。工程S34の開始時に基板が短冊状となっている場合には、あらかじめ液晶装置1の大きさにブレイクする。
【0064】
以上の工程を経て液晶装置1が完成する。なお、上記ではマザー基板100a,100bの貼り合わせ後に液晶14を注入する方法を例に説明したが、これに代えて、まずマザー基板100a上又はマザー基板100b上に液晶14を滴下し、その後に貼り合わせを行うことにより、貼り合わせと同時に液晶14を封入する方法を採用することもできる。
【0065】
上記製造方法においては、非接触の光配向処理によって配向膜に配向規制力が付与される。このため、配向処理の際に配向膜11,21に異物が付きにくく、また異物による傷が生じにくいため、配向不良の少ない高品位の配向膜11,21が得られる。また、非接触の工程であるため静電気による不具合が生じることもない。これらにより、高い歩留りで液晶装置1を製造することができる。
【0066】
そして、マスク5を有する偏光露光装置3により、高い偏光度の偏光をマザー基板100に露光することができるため、配向規制力の方向の揃った高品位の配向膜11,21が得られる。これにより、良好な表示特性を有する液晶装置1を製造することができる。
【0067】
(第2の実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態は、偏光露光装置3のうちマスク5の構成が第1の実施形態と異なり、その他の部分は同様である。したがって、得られる液晶装置1の構成、及び液晶装置1の製造方法も、第1の実施形態と同様である。以下では主に、マスク5の構成のうち、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0068】
図8は、第2の実施形態に係るマスク5の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図である。マスク5は、複数の基板保持部53を有する基部51と、各基板保持部53において、基部51の主面51aに対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板9と、を備えている。基部51は、透光性を有する板状の部材であり、例えばガラス基板からなる。各基板保持部53は、基部51の表面と、基部51上に設けられた、一対の凸状の支持板55とから構成される。支持板55は、ガラス、樹脂、金属等、種々の素材のものを用いることができる。また、支持板55の基部51への取り付け方法は、接着、溶接等により行ってもよいし、基部51に凹部を形成しておき、その凹部へ支持板55を差し込む形で取り付けてもよい。透光性基板9は、支持板55に立て掛けられた状態で配置されている。
【0069】
基板保持部53に配置された透光性基板9の法線は、光の入射角に対して角度θだけ傾いている。換言すれば、光は、透光性基板9に対して入射角θで入射する。ここで、角度θは、ブリュースター角に設定されている。このような構成にすれば、透光性基板9に入射した光のうち、p偏光を選択的に透過させることができる。
【0070】
このような構成によれば、基部51上に支持板55を取り付けることによって、容易に基板保持部53を構成することができる。また、一対の支持板55の間隔を調整することにより、透光性基板9の配置角度を容易に設定することができる。
【0071】
図8(b)に示すように、本実施形態において、透光性基板9により偏光分離された光が露光される幅Lpは、Lp=Lcosθ−dsinθで表される。ここで、Lは透光性基板9の長さ、dは透光性基板9の厚さである。図8(b)から分かるように、支持板55の配置領域は、幅Lpに含まれておらず、露光に関与しない。したがって、支持板55は透光性を持たない材料で構成することもできる。
【0072】
図9は、マザー基板100において、マスク5により偏光度が高められた光が露光される露光領域7を示す図である。露光領域7は、マスク5の基板保持部53の領域をマザー基板100上に投影して得られる領域となる。ここで、露光領域7のうち、支持板55の面に直交する方向についての長さは、上記の幅Lpである。露光領域7以外の領域には、より偏光度の低い光が照射される。
【0073】
本実施形態においても、マザー基板100上における素子基板10又は対向基板20の構成要素の形成領域と、露光領域7との関係は、図6に示す関係となる。すなわち、各露光領域7は、素子基板10又は対向基板20の構成要素の形成領域(被処理領域)を包含している。
【0074】
支持板55を有する本実施形態のマスク5によっても、1枚の透光性基板9の大きさを、マスク5の大きさとは無関係に、必要に応じて小さくすることができる。このため、小さなスペースで透光性基板9を多数重ねることができ、容易にマスク5の消光比を上げることが可能となる。このとき、透光性基板9が小さいため、透光性基板9を容易に取り扱うことができる。また、多数の透光性基板9を重ねても、各透光性基板9が小さいために撓みが生じにくく、高い偏光度の偏光を取り出すことができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、図10に示すように、基部51のうち基板保持部53に相当する部分に開口57を設ける構成としてもよい。このようにすれば、透光性基板9を透過した光が基部51の構成部材を透過しないため、より偏光度の高い光が得られる。また、この場合には、基部51には透光性を持たない材料(例えば金属)を用いることもできる。
【0076】
(第3の実施形態)
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態は、偏光露光装置3のうちマスク5の構成が第1の実施形態と異なり、その他の部分は同様である。したがって、得られる液晶装置1の構成、及び液晶装置1の製造方法も、第1の実施形態と同様である。以下では主に、マスク5の構成のうち、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0077】
図11は、第3の実施形態に係るマスク5の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のD−D線における断面図である。マスク5は、複数の基板保持部53を有する基部51と、各基板保持部53において、基部51の主面51aに対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板9と、を備えている。ここで、基部51は、透光性基板9を側面から保持するためのフレームから構成されている。したがって、透光性基板9に平面視で重なる領域、すなわち光が入射及び射出される領域には、基部51その他の構成要素は配置されていない。このため、基部51は、金属等の透光性を持たない材料から構成することもできる。基板保持部53は、基部51のうち、透光性基板9を三方から囲む、主面51aと直交する壁面から構成される。壁面には、透光性基板9を所定の高さにおいて支持するための溝59が多数設けられている。各透光性基板9は、いずれかの溝59に嵌め込まれる形で配置されている。溝59のピッチは、隣り合う透光性基板9の間に若干の空気層が形成されるような幅となっている。
【0078】
基板保持部53に配置された透光性基板9の法線は、光の入射角に対して角度θだけ傾いている。換言すれば、光は、透光性基板9に対して入射角θで入射する。ここで、角度θは、ブリュースター角に設定されている。このような構成にすれば、透光性基板9に入射した光のうち、p偏光を選択的に透過させることができる。
【0079】
こうした構成によれば、透光性基板9を保持するためのフレームのみから基部51を構成することができるため、マスク5の重量を軽減することができる。また、透光性基板9を透過した光が基部51の構成部材を透過しないため、より偏光度の高い光が得られる。また、各透光性基板9は、溝59によって支持されているため、透光性基板9に対して他の透光性基板9の重力がかかることがない。このため、透光性基板9の撓みをより低減させて、透過光の偏光度をさらに高めることができる。
【0080】
上記実施形態に対しては、様々な変形を加えることが可能である。変形例としては、例えば以下のようなものが考えられる。
【0081】
(変形例1)
上記実施形態では、一対の基板としての素子基板10、対向基板20の双方において光配向処理による配向膜形成を行っているが、少なくとも一方を光配向処理、他方をその他の配向処理(例えばラビング処理)としてもよい。
【0082】
(変形例2)
マスク5に含まれる透光性基板9の材料は、石英に限定されず、透光性を有しかつ屈折率が空気と異なる材料であれば種々のものを用いることができる。例えば、ガラスや透明樹脂等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の実施形態に係る液晶装置の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のA−A線における断面図。
【図2】液晶装置を製造する際に用いられるマザー基板の平面図。
【図3】偏光露光装置の構成を示す模式図。
【図4】マスクの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のB−B線における断面図。
【図5】マザー基板において、マスクにより偏光度が高められた光が露光される露光領域を示す図。
【図6】マザー基板上における素子基板又は対向基板の構成要素の形成領域と、露光領域との関係を示す平面図。
【図7】液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態に係るマスクの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のC−C線における断面図。
【図9】マザー基板において、マスクにより偏光度が高められた光が露光される露光領域を示す図。
【図10】基部のうち基板保持部に相当する部分に開口を設けた構成のマスクを示す斜視図。
【図11】第3の実施形態に係るマスクの構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)中のD−D線における断面図。
【図12】従来より光配向処理に用いられている偏光露光装置の模式図。
【符号の説明】
【0084】
1…液晶装置、3…偏光露光装置、5…マスク、6,36…偏光子、7…露光領域、9…透光性基板、10…素子基板、11,21…配向膜、12…シール材、14…液晶、16…ドライバIC、20…対向基板、32…光源、33…ステージ、34…コリメータレンズ、38…インテグレータレンズ、41,42,43…ミラー、51…基部、51a…主面、53…基板保持部、55…支持板、59…溝、100…被露光基板としてのマザー基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板保持部を有する基部と、
各前記基板保持部において、前記基部の主面に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を備えることを特徴とするマスク。
【請求項2】
請求項1に記載のマスクであって、
前記基部は、透光性を有する板状の部材であり、
前記基板保持部は、前記基部に設けられた、前記基部の主面に対して傾斜した面を有する凹部であり、
前記透光性基板は、前記凹部の前記傾斜した面に沿って配置されていることを特徴とするマスク。
【請求項3】
請求項1に記載のマスクであって、
前記基部は板状の部材であり、
前記基板保持部は、前記基部の表面と、前記基部上に設けられた、一対の凸状の支持板とから構成され、
前記透光性基板は、前記支持板に立て掛けられた状態で配置されていることを特徴とするマスク。
【請求項4】
被露光基板に偏光を露光する偏光露光装置であって、
前記被露光基板を載置するステージと、
平面視で前記ステージ上の前記被露光基板に重なる位置に配置されたマスクと、
光源と、
前記光源からの光を、前記マスクを経て前記ステージ上の前記被露光基板に至る光路に沿って導く光学系と、を備え、
前記マスクは、
複数の基板保持部を有する基部と、
各前記基板保持部において、前記光の入射方向に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を有することを特徴とする偏光露光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の偏光露光装置であって、
前記基部は、透光性を有する板状の部材であり、
前記基板保持部は、前記基部に設けられた、前記光の入射方向に対して傾斜した面を有する凹部であり、
前記透光性基板は、前記凹部の前記傾斜した面に沿って配置されていることを特徴とする偏光露光装置。
【請求項6】
請求項4に記載の偏光露光装置であって、
前記基部は板状の部材であり、
前記基板保持部は、前記基部の表面と、前記基部上に設けられた、一対の凸状の支持板とから構成され、
前記透光性基板は、前記支持板に立て掛けられた状態で配置されていることを特徴とする偏光露光装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の偏光露光装置であって、
前記透光性基板の法線と前記光の入射方向とがなす角はブリュースター角であることを特徴とする偏光露光装置。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載の偏光露光装置であって、
前記被露光基板は、複数の被処理領域を有し、
前記マスクの各前記基板保持部は、平面視で少なくとも1つの前記被処理領域を覆う大きさに構成されていることを特徴とする偏光露光装置。
【請求項9】
請求項4から8のいずれか一項に記載の偏光露光装置であって、
前記光学系は、前記光源から前記マスクに至る光路上に配置された偏光子を有することを特徴とする偏光露光装置。
【請求項10】
被露光基板を載置するステージと、
平面視で前記ステージ上の前記被露光基板に重なる位置に配置されたマスクと、
光源と、
前記光源からの光を、前記マスクを経て前記ステージ上の前記被露光基板に至る光路に沿って導く光学系と、を備え、
前記マスクは、
複数の基板保持部を有する基部と、
各前記基板保持部において、前記光の入射方向に対して傾斜した状態で互いに平行に保持された複数の透光性基板と、を有する偏光露光装置を用いた液晶装置の製造方法であって、
一対の基板の少なくとも一方に光配向材料を塗布して前記被露光基板を製造する工程と、
前記被露光基板上の前記光配向材料に、前記偏光露光装置によって偏光を露光する工程と、
前記一対の基板を、シール材を介して貼り合わせる工程と、
前記一対の基板の間に液晶を封入する工程と、を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−198536(P2009−198536A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36964(P2008−36964)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】