マッサージ機
【課題】施療者の腕、手のひら、指先のストレッチ効果を促すことができるマッサージ機を提供すること。
【解決手段】施療者が座るための座部2と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたものであって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有するマッサージ機1である。
【解決手段】施療者が座るための座部2と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたものであって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有するマッサージ機1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療者の腕部をマッサージするマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、施療者が座るための座部と、施療者が後傾姿勢を維持するための背もたれと、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部とを備えたマッサージ機において、腕先部を腕部の延伸方向に移動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、施療者の腕部を圧迫してマッサージするための駆動機構を備えたマッサージ機も知られている。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら従来では、施療者の腕部を部分的に圧迫してマッサージする、所謂揉み動作を行うことは可能であるが、腕部全体を伸ばしてストレッチをするものはなく、特に施療者の腕、手のひら、指先を重点的にストレッチするためのマッサージ機は存在しなかった。
【特許文献1】特開2006−87830号公報
【特許文献2】特開2003−325616号公報
【特許文献3】特開2003−180774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかを固定する機能とその固定している部位以外を動かしてストレッチする機能とを備え、腕、手のひら、指先のストレッチ効果を促すことができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を移動機構9により移動させることで、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)することができる。
【0008】
また、前記移動機構9による移動方向が上下方向Aであるのが好ましく、この場合、関節に対して逆方向にストレッチさせることができ、よりストレッチ効果が期待できる。
【0009】
また、前記移動機構9による移動方向が、固定機構8による固定方向と平行な方向で且つ逆方向であるのが好ましく、この場合、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを、より反らせる方向にストレッチすることが可能である。
【0010】
また、前記固定機構8は手のひら7bを空気圧で固定する機能を有し、前記移動機構9は指先7cを上方向に押し上げる機能を有するのが好ましく、この場合、空気圧によるソフトな刺激感でありながら、指先7cの高いストレッチ効果が得られる。
【0011】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10を有するのが好ましく、この場合、手のひら7bや腕7aの平らな部分を固定機構8により上下方向Aから挟み込んで固定しやすくなる。
【0012】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を左右方向Bから挟み込むための左右挟み込み部11を有するのが好ましく、この場合、左右からの挟み込みであるため、固定機構8を簡素化できる。
【0013】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10と、上下挟み込み部10に横方向から腕部7を挿入するための側面開口部10aとを備えているのが好ましく、この場合、固定機構8は上下方向Aからの挟み込み式と、施療者6の腕7aを横方向から側面開口部10aを介して出し入れできる方式との組み合わせであるので取り扱いがしやすく、且つ低コストになる。
【0014】
また、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0015】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を偏りが生じる方向に移動させることができ、これにより腕7a、手のひら7b、指先7cを回転方向にストレッチできる。しかも、固定していない部位を偏りが生じる方向に動かすことで、単に上下方向Aに移動させるストレッチとは違った方向により効果的にストレッチすることができ、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【0016】
また、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷量を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向Bに移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0017】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を横方向に移動させることができ、これにより腕7a、手のひら7b、指先7cを横方向にストレッチできる。しかも、固定していない部位を横方向に動かすことで、単に上下方向Aに移動させるストレッチとは違った方向により効果的にストレッチすることができ、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先を所定方向に移動させてストレッチ効果を促すことができるマッサージ機を提供できるものである。
【0019】
また本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先を回転方向にストレッチでき、これにより多彩なストレッチ効果が期待できる。
【0020】
また本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先の筋を左右(横方向)にストレッチでき、これにより、これにより多彩なストレッチ効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本実施形態の椅子型マッサージ機1は、図1、図2に示すように、施療者6が座るための座部2と、リクライニング機構を有する背もたれ3と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、足載部5(オットマン)とを備えている。
【0023】
前記肘掛部4には、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージするための機構が設けられている。
【0024】
図3は、本発明の請求項1に対応する実施形態の一例であり、肘掛部4には、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構9とが設けられている。
【0025】
肘掛部4は、肘掛け本体4aと、肘掛け本体4aの上面に配置されるカバー片4bとからなり、カバー片4bの前端部が肘掛け本体4aの前端部に連結ピン50を介して上下回りに回動自在に接続され、カバー片4bが上方に向かって所定角度まで開閉可能となっている。これにより使用時にはカバー片4bを上に開いて、施療者6が腕部7をカバー片4bと肘掛け本体4aとの間に挿入して腕7aのストレッチ及びマッサージができるようになっている。またカバー片4bは、図3に示すように、カバー片4bの下面と肘掛け本体4aの上面とが略平行となる角度でそれ以上開かないように保持されている。
【0026】
肘掛け本体4aの上面及びカバー片4bの下面には、それぞれ、固定機構8及び移動機構9が設けられている。
【0027】
本例の固定機構8及び移動機構9は、それぞれ、膨張・収縮する空気袋で構成されている。図3の例では、施療者6の腕7aの上下に配置される腕上空気袋12及び腕下空気袋13と、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら上空気袋14及び手のひら下空気袋15と、施療者6の指先7cの上下に配置される指先上空気袋16及び指先下空気袋17とを備えており、これら空気袋は図12に示す腕上電磁弁18、腕下電磁弁19、手のひら上電磁弁20、手のひら下電磁弁21、指先上電磁弁22、指先下電磁弁23をそれぞれ介して、ポンプ24に連通しており、各電磁弁18〜23のON/OFFで各空気袋13〜17の膨張・収縮の制御が行なわれるようになっている。なお空気袋の数及びその設置位置は図3の例に限らず、適宜変更自在である。また空気袋は、各人の腕7aや手のひら7b、指先7cの形状に柔軟に対応しつつ最も適度な押圧外力をかけることができる材質、例えば弾性樹脂で構成されている。
【0028】
ここで図4は、本発明の請求項3に対応する実施形態の一例であり、前記移動機構9による移動方向が、固定機構8による固定方向イと平行な方向で且つ逆方向ロである場合を示している。本例では施療者6の手のひら7bの上方に配置される手のひら上空気袋14が固定機構8として機能し、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17が移動機構9として機能する。
【0029】
次に、図4の動作を説明する。マッサージ機1の座部2に施療者6が座った状態で、手や腕7aのマッサージをする場合、カバー片4bを開き、肘掛け本体4aの上面に腕7aを置いた状態でカバー片4bを下げた状態で、固定機構8及び移動機構9を構成する空気袋17,14をそれぞれ膨張・収縮させる。ここでは、指先下空気袋17が膨張して図4(a)の状態から(b)の状態となり、その後、手のひら上空気袋14が膨張して図4(c)のように指先7cが伸ばされた状態となり、指のストレッチができる。このように、指先7cを固定する指先下空気袋17は上方向イに膨張し、手のひら7bを移動させる手のひら上空気袋14は下方向ロに膨張させることにより、つまり、両空気袋14,17を対極に移動させることによって、指をより反らせることができ、高いストレッチ効果が得られる。なお、マッサージを行わないときは、カバー片4bを閉じてカバー片4bの上面に手や腕を置くようにすれば、窮屈を感じることなくリラックス状態でカバー片4bを肘掛けとして使用できる。
【0030】
しかして、上記構成の固定機構8の空気袋17で指先7cを固定しながら、固定していない手のひら7bを移動機構9の空気袋14により移動させることで、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)ができる。また本例では空気袋14,17の移動方向が関節とは逆の上下方向イ,ロであるので、ストレッチ効果がより期待できる。
【0031】
また本例ではカバー片4bの開き角度が図3に示す角度で固定されるので、各空気袋14,17の少ない膨張量で腕7aに圧迫を与えることが可能となり、空気袋14,17の制御のためのエネルギー消費量を抑えることができるようになり、そのうえ吸気、排気に要する時間の短縮により、より効果の高いテンポのよいストレッチが可能となる。
【0032】
図5は、本発明の請求項4に対応する実施形態の一例であり、施療者6の手のひら7bの下方に配置される手のひら下空気袋15(固定機構8)と、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17(移動機構9)とを備えている。他の構成は図3と同様である。本例では、最初に手のひら下空気袋15が膨張すると、図5(a)の状態から(b)の状態となり、その後、指先下空気袋17が膨張することで、同(c)のように指が伸ばされた状態となる。このように上方向に向かって指先7cが持ち上げられると共に、その方向が人の関節とは逆の方向であることから、高いストレッチ効果が期待できる。
【0033】
図6、図7は、本発明の請求項5に対応する実施形態の一例であり、前記固定機構8が、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10を有する場合を示している。他の構成は図3と同様である。先ず図6の例では、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら下空気袋15、手のひら上空気袋14と、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17とを備えている。最初に手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14がそれぞれ膨張すると、図6(a)の状態から(b)のように手のひら7bが上下から挟み込まれた状態となり、その後、指先下空気袋17が膨張することで、同(c)のように指が伸ばされた状態となる。一方、図7の例では、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら下空気袋15、手のひら上空気袋14と、施療者6の腕7aの下方に配置される腕下空気袋13とを備えている。最初に手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14がそれぞれ膨張すると、図7(a)の状態から(b)のように手のひら7bが上下から挟み込まれた状態となり、その後、腕下空気袋13が膨張することで、同(c)のように腕7aが伸ばされた状態となる。このように、上下2箇所の手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14と、指先下空気袋17との組み合わせ、或いは腕下空気袋13との組み合わせによって、指先7c、手のひら7b、腕7aのどこか1箇所以上を固定しながら、固定しない部位を上方向(或いは下方向)に移動させることにより、ストレッチ効果を高めることができる。さらに固定機構8の空気袋(本例では手のひら上空気袋14、手のひら下空気袋15)による固定方向が上下方向Aであるので、手のひら7bや腕7aの平らな部分を固定しやすいという利点もある。なお本例では上下方向Aから腕7aを挟み込む場合を説明しているが、上方向に向かって下側の空気袋のみで腕7aを押し上げる場合、或いは、下方向に向かって上側の空気袋のみで腕7aを押し下げる場合も含まれるものである。
【0034】
前記図1〜図7の実施形態では肘掛部4を肘掛け本体4aとカバー片4bとで構成したが、カバー片4bに代えて、以下の上下挟み込み部10或いは左右挟み込み部11を取り付けてもよい。
【0035】
図8は、本発明の請求項6に対応する実施形態の一例であり、肘掛け本体4a上面に、施療者6の固定される部位を左右方向Bから挟み込むための左右挟み込み部11を設けた場合を示している。他の構成は図3と同様である。本例では肘掛部4が、肘掛け本体4aと、肘掛け本体4aに固定された左右挟み込み部11とからなり、左右挟み込み部11の上方は開口している。左右挟み込み部11の内側には、左右一対の腕用空気袋12,13が設けられている。さらに、肘掛け本体4aの左右挟み込み部11よりも前方位置には、手のひら下空気袋15が配置されている。図8(a)(b)のように、使用時には左右挟み込み部11の上方から施療者6が腕7aを挿入して左右の腕用空気袋12,13間に配置する。この状態で、左右の腕用空気袋12,13をそれぞれ膨張させて、同(c)のように左右方向Bから腕7aを挟み込んで固定する。その後、手のひら下空気袋15を膨張させることにより同(d)のように手のひら7b全体を押し上げるストレッチを行なうことができる。このように腕7aを固定する方向を左右方向Bとした場合でも、固定の機構が簡素化でき、安価にて施療者6に提供することができる。しかも、左右方向Bからの挟み込み式と、腕7aを上方向から出し入れする上出し入れ式とを組み合わせたことで取り扱いがしやすく且つ低コスト化になる利点もある。なお本例では左右方向Bから腕7aを挟み込む場合を説明しているが、左方向に向かって右側の空気袋のみで腕7aを押す場合、或いは、右方向に向かって左側の空気袋のみで腕7aを押す場合も含まれるものである。
【0036】
図9は、本発明の請求項7に対応する実施形態の一例であり、肘掛け本体4aの上面に、施療者6の固定される部位を左右方向Bから上下挟み込み部10を設けるようにしてもよい。この上下挟み込み部10には横方向から腕部7を挿入するための側面開口部10aが形成されている。他の構成は図3と同様である。本例では上下挟み込み部10の内側に、上下一対の腕用空気袋12,13が設けられている。さらに、肘掛け本体4aの上下挟み込み部10よりも前方位置には、手のひら下空気袋15が配置されている。図9(a)(b)のように、使用時には上下挟み込み部10の横方向から施療者6が腕7aを挿入して上下の腕用空気袋12,13間に配置する。この状態で、上下の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように上下方向Aから腕7aを挟み込んで固定する。その後、手のひら下空気袋15を膨張させることにより同(d)のように手のひら7b全体を押し上げるストレッチを行なうことができる。しかも腕7aを固定する方向を上下方向Aとし、横方向からの腕7aの出し入れができるようにしたので、取り扱いがしやすく且つ低コストになる利点もある。
【0037】
図10は本発明の請求項8に対応する実施形態を示し、腕7aを固定するための上下挟み込み部10と、手のひら7bに対して回転(偏り)が生じる方向に移動させる手のひら下空気袋15とが設けられている。他の構成は図9と同様であり、対応する部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。本例では、肘掛け本体4aの上下挟み込み部10よりも前方位置に、手のひら下空気袋15が配置されているが、図9の場合と異なり、手のひら下空気袋15の位置は図10(b)のように上下挟み込み部10の中央線Mよりも左右いずれかの方向(図10(b)では手のひら7bの外端部)にずれて配置されている。これにより、上下の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように上下方向Aから腕7aを挟み込んで固定した後に、手のひら下空気袋15を膨張させるのであるが、このとき、手のひら7bの外端部にずれて配置された手のひら下空気袋15が、手のひら7bを回転させる方向に移動させる。これにより、図9の上下方向Aに手のひら7bを押し上げるストレッチではなく、手のひら7bを捻る方向(回転する方向)に伸ばすストレッチが可能となるので、ストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【0038】
図11は本発明の請求項9に対応する実施形態を示し、肘掛け本体4aの上下2箇所に、左右挟み込み部11をそれぞれ設け、各左右挟み込み部11の内側にはそれぞれ、空気袋14,15が設けられている。他の構成は図8と同様であり、対応する部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。本例では、図11(a)(b)のように、使用時には各左右挟み込み部11の上方から施療者6が腕7aを挿入し、最初に、後方の左右挟み込み部11の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように左右方向Bから腕7aを挟み込んで固定する。その後、例えば外側の手のひら用空気袋14(又は内側の手のひら用空気袋15)のみを膨張させることにより同(d)のように手のひら7bを内側方向(或いは外側方向)に移動させるストレッチを行なうことができる。このように腕7aを左右から固定し、さらに左右いずれかの方向に手のひら7bを移動させることによって、腕7aに対して手のひら7bが偏る方向に押されるようになり、単に左右(横方向)に移動させるストレッチとは違った多彩なストレッチ効果が得られるようになる。
【0039】
なお前記実施形態では、固定機構8及び移動機構9として空気袋を例示したが、モータやソレノイドを利用した機械式のものであってもよい。図13にその一例を示す。図13の例では、施療者6の腕7aの上下に配置される腕上モータ30及び腕下モータ31と、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら上モータ32及び手のひら下モータ33と、施療者6の指先7cの上下に配置される指先上モータ34及び指先下モータ35とを備えており、各モータ30〜35には例えば、成形品、ゴムなどからなる押さえ部材36がそれぞれ取り付けられており、各モータ30〜35の制御により各押さえ部材36が個別に移動して、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを押さえつけることにより、空気袋のようなエアー式に代えて、機構式を採用することが可能となる。なお押さえ部材36の数及びその設置位置は図12の例に限らず、適宜変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に用いるマッサージ機の斜視図である。
【図2】同上のマッサージ機に施療者が座って腕、手のひら、指先のストレッチを行なう場合を説明する側面図である。
【図3】同上の肘掛部に固定機構の空気袋及び移動機構の空気袋を設けた場合の一例を説明する概略側面図である。
【図4】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの動作説明図である。
【図5】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの他例の動作説明図である。
【図6】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図7】(a)〜(c)は同上の腕ストレッチの動作説明図である。
【図8】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの動作説明図である。
【図9】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの他例の動作説明図である。
【図10】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図11】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図12】同上の固定機構及び移動機構を構成する複数の空気袋の給排気システムの説明図である。
【図13】本発明の他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 マッサージ機
2 座部
4 肘掛部
6 施療者
7 腕部
7a 腕
7b 手のひら
7c 指先
8 固定機構
9 移動機構
10 上下挟み込み部
10a 側面開口部
11 左右挟み込み部
A 上下方向
B 左右方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療者の腕部をマッサージするマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、施療者が座るための座部と、施療者が後傾姿勢を維持するための背もたれと、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部とを備えたマッサージ機において、腕先部を腕部の延伸方向に移動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、施療者の腕部を圧迫してマッサージするための駆動機構を備えたマッサージ機も知られている。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0004】
しかしながら従来では、施療者の腕部を部分的に圧迫してマッサージする、所謂揉み動作を行うことは可能であるが、腕部全体を伸ばしてストレッチをするものはなく、特に施療者の腕、手のひら、指先を重点的にストレッチするためのマッサージ機は存在しなかった。
【特許文献1】特開2006−87830号公報
【特許文献2】特開2003−325616号公報
【特許文献3】特開2003−180774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかを固定する機能とその固定している部位以外を動かしてストレッチする機能とを備え、腕、手のひら、指先のストレッチ効果を促すことができるマッサージ機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0007】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を移動機構9により移動させることで、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)することができる。
【0008】
また、前記移動機構9による移動方向が上下方向Aであるのが好ましく、この場合、関節に対して逆方向にストレッチさせることができ、よりストレッチ効果が期待できる。
【0009】
また、前記移動機構9による移動方向が、固定機構8による固定方向と平行な方向で且つ逆方向であるのが好ましく、この場合、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを、より反らせる方向にストレッチすることが可能である。
【0010】
また、前記固定機構8は手のひら7bを空気圧で固定する機能を有し、前記移動機構9は指先7cを上方向に押し上げる機能を有するのが好ましく、この場合、空気圧によるソフトな刺激感でありながら、指先7cの高いストレッチ効果が得られる。
【0011】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10を有するのが好ましく、この場合、手のひら7bや腕7aの平らな部分を固定機構8により上下方向Aから挟み込んで固定しやすくなる。
【0012】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を左右方向Bから挟み込むための左右挟み込み部11を有するのが好ましく、この場合、左右からの挟み込みであるため、固定機構8を簡素化できる。
【0013】
また、前記固定機構8は、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10と、上下挟み込み部10に横方向から腕部7を挿入するための側面開口部10aとを備えているのが好ましく、この場合、固定機構8は上下方向Aからの挟み込み式と、施療者6の腕7aを横方向から側面開口部10aを介して出し入れできる方式との組み合わせであるので取り扱いがしやすく、且つ低コストになる。
【0014】
また、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0015】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を偏りが生じる方向に移動させることができ、これにより腕7a、手のひら7b、指先7cを回転方向にストレッチできる。しかも、固定していない部位を偏りが生じる方向に動かすことで、単に上下方向Aに移動させるストレッチとは違った方向により効果的にストレッチすることができ、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【0016】
また、施療者6が座るための座部2と、施療者6の腕部7の荷量を支持するための肘掛部4と、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向Bに移動させるための移動機構9とを有することを特徴としている。
【0017】
このような構成とすることで、固定機構8で腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定しながら、固定していない部位を横方向に移動させることができ、これにより腕7a、手のひら7b、指先7cを横方向にストレッチできる。しかも、固定していない部位を横方向に動かすことで、単に上下方向Aに移動させるストレッチとは違った方向により効果的にストレッチすることができ、腕7a、手のひら7b、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先を所定方向に移動させてストレッチ効果を促すことができるマッサージ機を提供できるものである。
【0019】
また本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先を回転方向にストレッチでき、これにより多彩なストレッチ効果が期待できる。
【0020】
また本発明のマッサージ機は、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向に移動させるための移動機構とを有することにより、腕、手のひら、指先の筋を左右(横方向)にストレッチでき、これにより、これにより多彩なストレッチ効果が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
本実施形態の椅子型マッサージ機1は、図1、図2に示すように、施療者6が座るための座部2と、リクライニング機構を有する背もたれ3と、施療者6の腕部7の荷重を支持するための肘掛部4と、足載部5(オットマン)とを備えている。
【0023】
前記肘掛部4には、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかをマッサージするための機構が設けられている。
【0024】
図3は、本発明の請求項1に対応する実施形態の一例であり、肘掛部4には、腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを固定するための固定機構8と、該固定機構8で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構9とが設けられている。
【0025】
肘掛部4は、肘掛け本体4aと、肘掛け本体4aの上面に配置されるカバー片4bとからなり、カバー片4bの前端部が肘掛け本体4aの前端部に連結ピン50を介して上下回りに回動自在に接続され、カバー片4bが上方に向かって所定角度まで開閉可能となっている。これにより使用時にはカバー片4bを上に開いて、施療者6が腕部7をカバー片4bと肘掛け本体4aとの間に挿入して腕7aのストレッチ及びマッサージができるようになっている。またカバー片4bは、図3に示すように、カバー片4bの下面と肘掛け本体4aの上面とが略平行となる角度でそれ以上開かないように保持されている。
【0026】
肘掛け本体4aの上面及びカバー片4bの下面には、それぞれ、固定機構8及び移動機構9が設けられている。
【0027】
本例の固定機構8及び移動機構9は、それぞれ、膨張・収縮する空気袋で構成されている。図3の例では、施療者6の腕7aの上下に配置される腕上空気袋12及び腕下空気袋13と、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら上空気袋14及び手のひら下空気袋15と、施療者6の指先7cの上下に配置される指先上空気袋16及び指先下空気袋17とを備えており、これら空気袋は図12に示す腕上電磁弁18、腕下電磁弁19、手のひら上電磁弁20、手のひら下電磁弁21、指先上電磁弁22、指先下電磁弁23をそれぞれ介して、ポンプ24に連通しており、各電磁弁18〜23のON/OFFで各空気袋13〜17の膨張・収縮の制御が行なわれるようになっている。なお空気袋の数及びその設置位置は図3の例に限らず、適宜変更自在である。また空気袋は、各人の腕7aや手のひら7b、指先7cの形状に柔軟に対応しつつ最も適度な押圧外力をかけることができる材質、例えば弾性樹脂で構成されている。
【0028】
ここで図4は、本発明の請求項3に対応する実施形態の一例であり、前記移動機構9による移動方向が、固定機構8による固定方向イと平行な方向で且つ逆方向ロである場合を示している。本例では施療者6の手のひら7bの上方に配置される手のひら上空気袋14が固定機構8として機能し、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17が移動機構9として機能する。
【0029】
次に、図4の動作を説明する。マッサージ機1の座部2に施療者6が座った状態で、手や腕7aのマッサージをする場合、カバー片4bを開き、肘掛け本体4aの上面に腕7aを置いた状態でカバー片4bを下げた状態で、固定機構8及び移動機構9を構成する空気袋17,14をそれぞれ膨張・収縮させる。ここでは、指先下空気袋17が膨張して図4(a)の状態から(b)の状態となり、その後、手のひら上空気袋14が膨張して図4(c)のように指先7cが伸ばされた状態となり、指のストレッチができる。このように、指先7cを固定する指先下空気袋17は上方向イに膨張し、手のひら7bを移動させる手のひら上空気袋14は下方向ロに膨張させることにより、つまり、両空気袋14,17を対極に移動させることによって、指をより反らせることができ、高いストレッチ効果が得られる。なお、マッサージを行わないときは、カバー片4bを閉じてカバー片4bの上面に手や腕を置くようにすれば、窮屈を感じることなくリラックス状態でカバー片4bを肘掛けとして使用できる。
【0030】
しかして、上記構成の固定機構8の空気袋17で指先7cを固定しながら、固定していない手のひら7bを移動機構9の空気袋14により移動させることで、指先7cをストレッチ(筋を伸ばす)ができる。また本例では空気袋14,17の移動方向が関節とは逆の上下方向イ,ロであるので、ストレッチ効果がより期待できる。
【0031】
また本例ではカバー片4bの開き角度が図3に示す角度で固定されるので、各空気袋14,17の少ない膨張量で腕7aに圧迫を与えることが可能となり、空気袋14,17の制御のためのエネルギー消費量を抑えることができるようになり、そのうえ吸気、排気に要する時間の短縮により、より効果の高いテンポのよいストレッチが可能となる。
【0032】
図5は、本発明の請求項4に対応する実施形態の一例であり、施療者6の手のひら7bの下方に配置される手のひら下空気袋15(固定機構8)と、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17(移動機構9)とを備えている。他の構成は図3と同様である。本例では、最初に手のひら下空気袋15が膨張すると、図5(a)の状態から(b)の状態となり、その後、指先下空気袋17が膨張することで、同(c)のように指が伸ばされた状態となる。このように上方向に向かって指先7cが持ち上げられると共に、その方向が人の関節とは逆の方向であることから、高いストレッチ効果が期待できる。
【0033】
図6、図7は、本発明の請求項5に対応する実施形態の一例であり、前記固定機構8が、施療者6の固定される部位を上下方向Aから挟み込むための上下挟み込み部10を有する場合を示している。他の構成は図3と同様である。先ず図6の例では、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら下空気袋15、手のひら上空気袋14と、施療者6の指先7cの下方に配置される指先下空気袋17とを備えている。最初に手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14がそれぞれ膨張すると、図6(a)の状態から(b)のように手のひら7bが上下から挟み込まれた状態となり、その後、指先下空気袋17が膨張することで、同(c)のように指が伸ばされた状態となる。一方、図7の例では、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら下空気袋15、手のひら上空気袋14と、施療者6の腕7aの下方に配置される腕下空気袋13とを備えている。最初に手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14がそれぞれ膨張すると、図7(a)の状態から(b)のように手のひら7bが上下から挟み込まれた状態となり、その後、腕下空気袋13が膨張することで、同(c)のように腕7aが伸ばされた状態となる。このように、上下2箇所の手のひら下空気袋15及び手のひら上空気袋14と、指先下空気袋17との組み合わせ、或いは腕下空気袋13との組み合わせによって、指先7c、手のひら7b、腕7aのどこか1箇所以上を固定しながら、固定しない部位を上方向(或いは下方向)に移動させることにより、ストレッチ効果を高めることができる。さらに固定機構8の空気袋(本例では手のひら上空気袋14、手のひら下空気袋15)による固定方向が上下方向Aであるので、手のひら7bや腕7aの平らな部分を固定しやすいという利点もある。なお本例では上下方向Aから腕7aを挟み込む場合を説明しているが、上方向に向かって下側の空気袋のみで腕7aを押し上げる場合、或いは、下方向に向かって上側の空気袋のみで腕7aを押し下げる場合も含まれるものである。
【0034】
前記図1〜図7の実施形態では肘掛部4を肘掛け本体4aとカバー片4bとで構成したが、カバー片4bに代えて、以下の上下挟み込み部10或いは左右挟み込み部11を取り付けてもよい。
【0035】
図8は、本発明の請求項6に対応する実施形態の一例であり、肘掛け本体4a上面に、施療者6の固定される部位を左右方向Bから挟み込むための左右挟み込み部11を設けた場合を示している。他の構成は図3と同様である。本例では肘掛部4が、肘掛け本体4aと、肘掛け本体4aに固定された左右挟み込み部11とからなり、左右挟み込み部11の上方は開口している。左右挟み込み部11の内側には、左右一対の腕用空気袋12,13が設けられている。さらに、肘掛け本体4aの左右挟み込み部11よりも前方位置には、手のひら下空気袋15が配置されている。図8(a)(b)のように、使用時には左右挟み込み部11の上方から施療者6が腕7aを挿入して左右の腕用空気袋12,13間に配置する。この状態で、左右の腕用空気袋12,13をそれぞれ膨張させて、同(c)のように左右方向Bから腕7aを挟み込んで固定する。その後、手のひら下空気袋15を膨張させることにより同(d)のように手のひら7b全体を押し上げるストレッチを行なうことができる。このように腕7aを固定する方向を左右方向Bとした場合でも、固定の機構が簡素化でき、安価にて施療者6に提供することができる。しかも、左右方向Bからの挟み込み式と、腕7aを上方向から出し入れする上出し入れ式とを組み合わせたことで取り扱いがしやすく且つ低コスト化になる利点もある。なお本例では左右方向Bから腕7aを挟み込む場合を説明しているが、左方向に向かって右側の空気袋のみで腕7aを押す場合、或いは、右方向に向かって左側の空気袋のみで腕7aを押す場合も含まれるものである。
【0036】
図9は、本発明の請求項7に対応する実施形態の一例であり、肘掛け本体4aの上面に、施療者6の固定される部位を左右方向Bから上下挟み込み部10を設けるようにしてもよい。この上下挟み込み部10には横方向から腕部7を挿入するための側面開口部10aが形成されている。他の構成は図3と同様である。本例では上下挟み込み部10の内側に、上下一対の腕用空気袋12,13が設けられている。さらに、肘掛け本体4aの上下挟み込み部10よりも前方位置には、手のひら下空気袋15が配置されている。図9(a)(b)のように、使用時には上下挟み込み部10の横方向から施療者6が腕7aを挿入して上下の腕用空気袋12,13間に配置する。この状態で、上下の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように上下方向Aから腕7aを挟み込んで固定する。その後、手のひら下空気袋15を膨張させることにより同(d)のように手のひら7b全体を押し上げるストレッチを行なうことができる。しかも腕7aを固定する方向を上下方向Aとし、横方向からの腕7aの出し入れができるようにしたので、取り扱いがしやすく且つ低コストになる利点もある。
【0037】
図10は本発明の請求項8に対応する実施形態を示し、腕7aを固定するための上下挟み込み部10と、手のひら7bに対して回転(偏り)が生じる方向に移動させる手のひら下空気袋15とが設けられている。他の構成は図9と同様であり、対応する部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。本例では、肘掛け本体4aの上下挟み込み部10よりも前方位置に、手のひら下空気袋15が配置されているが、図9の場合と異なり、手のひら下空気袋15の位置は図10(b)のように上下挟み込み部10の中央線Mよりも左右いずれかの方向(図10(b)では手のひら7bの外端部)にずれて配置されている。これにより、上下の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように上下方向Aから腕7aを挟み込んで固定した後に、手のひら下空気袋15を膨張させるのであるが、このとき、手のひら7bの外端部にずれて配置された手のひら下空気袋15が、手のひら7bを回転させる方向に移動させる。これにより、図9の上下方向Aに手のひら7bを押し上げるストレッチではなく、手のひら7bを捻る方向(回転する方向)に伸ばすストレッチが可能となるので、ストレッチ(筋を伸ばす)する効果をより高めることができる。
【0038】
図11は本発明の請求項9に対応する実施形態を示し、肘掛け本体4aの上下2箇所に、左右挟み込み部11をそれぞれ設け、各左右挟み込み部11の内側にはそれぞれ、空気袋14,15が設けられている。他の構成は図8と同様であり、対応する部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。本例では、図11(a)(b)のように、使用時には各左右挟み込み部11の上方から施療者6が腕7aを挿入し、最初に、後方の左右挟み込み部11の腕用空気袋12,13を膨張させて、同(c)のように左右方向Bから腕7aを挟み込んで固定する。その後、例えば外側の手のひら用空気袋14(又は内側の手のひら用空気袋15)のみを膨張させることにより同(d)のように手のひら7bを内側方向(或いは外側方向)に移動させるストレッチを行なうことができる。このように腕7aを左右から固定し、さらに左右いずれかの方向に手のひら7bを移動させることによって、腕7aに対して手のひら7bが偏る方向に押されるようになり、単に左右(横方向)に移動させるストレッチとは違った多彩なストレッチ効果が得られるようになる。
【0039】
なお前記実施形態では、固定機構8及び移動機構9として空気袋を例示したが、モータやソレノイドを利用した機械式のものであってもよい。図13にその一例を示す。図13の例では、施療者6の腕7aの上下に配置される腕上モータ30及び腕下モータ31と、施療者6の手のひら7bの上下に配置される手のひら上モータ32及び手のひら下モータ33と、施療者6の指先7cの上下に配置される指先上モータ34及び指先下モータ35とを備えており、各モータ30〜35には例えば、成形品、ゴムなどからなる押さえ部材36がそれぞれ取り付けられており、各モータ30〜35の制御により各押さえ部材36が個別に移動して、施療者6の腕7a、手のひら7b、指先7cのいずれかを押さえつけることにより、空気袋のようなエアー式に代えて、機構式を採用することが可能となる。なお押さえ部材36の数及びその設置位置は図12の例に限らず、適宜変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に用いるマッサージ機の斜視図である。
【図2】同上のマッサージ機に施療者が座って腕、手のひら、指先のストレッチを行なう場合を説明する側面図である。
【図3】同上の肘掛部に固定機構の空気袋及び移動機構の空気袋を設けた場合の一例を説明する概略側面図である。
【図4】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの動作説明図である。
【図5】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの他例の動作説明図である。
【図6】(a)〜(c)は同上の指先ストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図7】(a)〜(c)は同上の腕ストレッチの動作説明図である。
【図8】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの動作説明図である。
【図9】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの他例の動作説明図である。
【図10】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図11】(a)〜(d)は同上の手のひらストレッチの更に他例の動作説明図である。
【図12】同上の固定機構及び移動機構を構成する複数の空気袋の給排気システムの説明図である。
【図13】本発明の他の実施形態の説明図である。
【符号の説明】
【0041】
1 マッサージ機
2 座部
4 肘掛部
6 施療者
7 腕部
7a 腕
7b 手のひら
7c 指先
8 固定機構
9 移動機構
10 上下挟み込み部
10a 側面開口部
11 左右挟み込み部
A 上下方向
B 左右方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記移動機構による移動方向が上下方向であることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記移動機構による移動方向が、固定機構による固定方向と平行な方向で且つ逆方向であることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記固定機構は手のひらを空気圧で固定する機能を有し、前記移動機構は指先を上方向に押し上げる機能を有することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を上下方向から挟み込むための上下挟み込み部を有することを特赦とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を左右方向から挟み込むための左右挟み込み部を有することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を上下方向から挟み込むための上下挟み込み部と、上下挟み込み部に横方向から腕部を挿入するための側面開口部とを備えていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項8】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項9】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷量を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向に移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項1】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を相対的に移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記移動機構による移動方向が上下方向であることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記移動機構による移動方向が、固定機構による固定方向と平行な方向で且つ逆方向であることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記固定機構は手のひらを空気圧で固定する機能を有し、前記移動機構は指先を上方向に押し上げる機能を有することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を上下方向から挟み込むための上下挟み込み部を有することを特赦とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を左右方向から挟み込むための左右挟み込み部を有することを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記固定機構は、施療者の固定される部位を上下方向から挟み込むための上下挟み込み部と、上下挟み込み部に横方向から腕部を挿入するための側面開口部とを備えていることを特徴とする請求項1記載のマッサージ機。
【請求項8】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷重を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して偏りが生じる方向に固定していない部位を移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【請求項9】
施療者が座るための座部と、施療者の腕部の荷量を支持するための肘掛部と、施療者の腕、手のひら、指先のいずれかをマッサージする機構を備えたマッサージ機であって、腕、手のひら、指先のいずれかを固定するための固定機構と、該固定機構で固定した部位に対して固定していない部位を左右方向に移動させるための移動機構とを有することを特徴とするマッサージ機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−289445(P2007−289445A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121308(P2006−121308)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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