説明

マッサージ機

【課題】 被施療部を温めるヒータ52の温度を制御する温度センサ58と、外気温度を検出する温度センサを共通化して、部品点数の削減とコストの削減が可能なマッサージ機を提供することを目的とする。
【解決手段】 足裏を温めるヒータ52と、該ヒータの温度制御を行うための温度センサであるサーミスタ58を具えたマッサージ機で、温度センサにより外気温度も検出し、検出した外気温度に応じたヒータの温度制御を行なう。そして、ヒータ52への通電をオフした後、所定時間経過後(例えば1時間経過後)は、温度センサにより外気温度を再検出し、再検出した外気温度に応じてヒータの温度制御を行い、所定時間以内であれば、検出済みの外気温度に応じてヒータの温度制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータで被施療部を温めることのできるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の被施療部をヒータで温めることのできるマッサージ機は広く知られている。例えば、特許文献1には、足先(踝より先の部分)を置く凹状受部の裏面にヒータを配備して、被施療部である足裏を温めるようになっている。そしてヒータには温度センサが配備されていて、ヒータの温度を、マッサージの動作に応じて制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−51062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ機は、ヒータの温度を外気温度により制御するものではない。外気温度によりヒータの温度を制御するものは、ヒータを用いる電気器具では一般的であるが、従来の一般的な電気器具では、外気温度を検出する温度センサは、ヒータを温度制御する温度センサとは別個のものを用いている。
【0005】
本発明は、ヒータの温度を制御する温度センサと、外気温度を検出する温度センサを共通化して、部品点数の削減とコストの削減が可能なマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ機は、被施療部を温めるヒータと、該ヒータの温度制御を行うための温度センサを具えたマッサージ機において、
前記温度センサにより外気温度も検出し、検出した外気温度に応じたヒータの温度制御を行なうようにしたものである。
【0007】
このようにヒータの温度を制御する温度センサと、外気温度を検出する温度センサを共通化したことにより、ヒータへの通電がオフされた後、所定時間経過後は、前記温度センサにより外気温度を再検出し、再検出した外気温度に応じてヒータの温度制御を行い、所定時間以内であれば、検出済みの外気温度に応じてヒータの温度制御を行なうようにすることが好ましい。ここでの前記所定時間とは、マッサージ終了後の経過時間を例示することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外気温度に応じた最適な温度で被施療部を温めることができると共に、ヒータの温度を制御する温度センサでもって、外気温度を検出するようにしているので、部品点数の削減とコストの削減を図ることができる。
【0009】
その上、ヒータへの通電をオフした後、所定時間経過後は、温度センサにより外気温度を再検出し、再検出した外気温度に応じてヒータの温度制御を行い、所定時間以内であれば、検出済みの外気温度に応じてヒータの温度制御を行なうようにすれば、ヒータの温度を制御する温度センサと、外気温度を検出する温度センサを共通化しても、外気温度に基づいたヒータの温度制御を正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のマッサージ機の一例として示す足用マッサージ機を、マッサージ本体が起立した状態で斜め前方から見た斜視図である。
【図2】同足用マッサージ機の正面図で、円内を断面して内部の構造を示すと共に、その拡大図を示す。
【図3】ヒータの平面図を示すと共に、その一部である円内の拡大図を示す。
【図4】制御系のブロック回路図である。
【図5】ヒータの温度制御のフローチャートである。
【図6】温度センサの検知温度とヒータのオン、オフ設定温度の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施した足用マッサージ機(1)は、図1に示すように、被施療者がふくらはぎを挿入し、マッサージを受けるふくらはぎ用マッサージユニット(20)と、被施療者が足裏及び足の甲(足先)を挿入し、マッサージを受ける足先用マッサージユニット(60)が一体に構成されたマッサージ本体(11)と、該マッサージ本体(11)を支持するベース(14)から構成される。
【0012】
マッサージ本体(11)には、前側に左右一対の略L字型の凹み(17)が形成されている。各凹み(17)は、被施療者のふくらはぎを挿入する凹部(21)と、該凹部(21)の下端側から前方に向けて延びる足先を挿入する凹部(61)から構成される。ここで、凹み(17)に被施療者が膝よりも下の脚部分を挿入した状態で足先の向く方向を以下「前」とする。
【0013】
ふくらはぎを凹部(21)に挿入したときに、ふくらはぎの左右側面と対向する各凹部(21)の左右両側面には、エアバッグ(30)(30)が配備されている。エアバッグ(30)(30)は、エアポンプ(18)(図4参照)からの圧縮空気の供給を受けて膨張してふくらはぎの側面を押圧マッサージする。
【0014】
凹部(61)は、凹部(21)の底面から前方に向けて連続して延びる底壁(62)と、凹部(21)の側面から前方に向けて連続して延びる側壁(66)(66)を有する。足先を凹部(61)に挿入したとき、足裏が底壁(62)に当り、足先の側面や甲が側壁(66)(66)と対向する。
【0015】
凹部(61)の底壁(62)には、図2に示す如く、足裏に沿う前後方向に延びる2本の長孔(67)(67)が開口されており、足裏を指圧マッサージする2本の指圧子(72)(72)が、長孔(67)(67)より出没自在に且つ、長孔(67)(67)に沿って前後方向に移動可能に配備されている。指圧子(72)の前後方向の移動は、モータ(19)(図4参照)の駆動力によって回転するネジ軸(図示しない)のネジ推力により行なわれ、指圧子(72)の長孔(67)からの出没は、エアバッグ(図示せず)の膨張収縮により行なわれる。
【0016】
各凹部(61)の側壁(66)(66)には、エアバッグ(50)(50)が配備されている。エアバッグ(50)(50)は、エアポンプ(18)からの圧縮空気の供給を受けて膨張して、足先の側面や甲を押圧してマッサージする。
【0017】
図2から分かるように、エアバッグ(30)(50)や指圧子(72)は、布製カバー(52)や(54)で覆われている。
【0018】
マッサージ本体(11)とベース(14)は、一方に設けられたローラ(図示せず)に、他方に設けられた円弧状レール(図示せず)が転動可能に嵌まり、マッサージ本体(11)が、ベース(14)に対して前後に傾動可能となっており、被施療者は、椅子に腰掛けた状態だけでなく、寝転んだ状態で、マッサージ本体(11)を後ろ向きに傾動させてマッサージを受けることができるようになっている。
【0019】
図2に示すように、凹部(61)の底壁(62)の裏面には、足裏を温めるヒータ(52)が配備されている。ヒータ(52)は、電熱線(53)の上下をアルミニウムパネル(54)(54)で挟持保持した面ヒータを例示できる。図3はヒータ(52)の平面図で、内部が分かるように、上側のアルミニウムパネル(54)を除いた状態を示している。電熱線(53)はコネクタ(56)を介してリード線(55)に接続されている。リード線(55)には温度フューズ(57)が介在されている。図3において、上側(リード線(55)がある側)が踵側であり、下側がつま先側である。
【0020】
図3から明らかなように、ヒータ(52)の平面形状は、足裏の周囲に沿うように略コ字型をしているが、足裏の外側の方が内側よりも長くなった変則のコ字型をしている。これは、足裏の内側には土踏まずがあり、この部分はヒータ(52)から遠ざかるので、ヒータ(52)で温められているという感覚は、足裏の内側の方が外側よりも弱く、外側の方が強い。従ってこの内側のヒータの長さを短くして外側を長くすることにより、ヒータ(52)のコストダウンが図られると共に、温められているという感覚が最小限のヒータ(52)で得ることができる。
【0021】
電熱線(53)の近傍には、電熱線(53)に囲まれるようにして、ヒータ(52)の温度制御を行なうための温度センサであるサーミスタ(58)が配置されている。サーミスタ(58)は図3に示すように、保護チューブ(59)の中に通されて保護されている。
(51)はサーミスタ(58)のリード線である。
【0022】
サーミスタ(58)は図3に示すように、足裏の内側に相当する長さの短いヒータ(52)の電熱線(53)に囲まれるように設置されている。この部分はほぼ土踏まずに対応する位置となっている。
【0023】
図4は制御系のブロック回路図を示す。(80)はマイコンからなる制御部で、足用マッサージ機(1)の適所に配備され、操作部(82)(図1参照)からの操作入力信号により、足用マッサージ機の全ての動作を制御するものである。(84)はヒータ(52)とヒータ(52)をオン・オフするヒータ駆動回路部から構成されるヒータ部、(86)は、指圧子(72)を前後方向に移動させるモータ(19)と、モータ(19)の駆動回路部から構成されるモータ部、(88)は、エアポンプ(18)とエアポンプ(18)を駆動させるポンプ駆動回路部から構成されるポンプ部、(58)は前記温度センサであるサーミスタを示す。
【0024】
本発明の特徴は、温度センサであるサーミスタ(58)で、ヒータ(52)の温度制御をする他に、外気温度(室温)も検出して、外気温度に見合ったヒータの温度制御を行なうものであり、以下、図5のフローチャート及び図6の温度センサの検知温度とヒータのオン、オフ設定温度の関係を示す説明図に基づいて説明する。
【0025】
初めに制御部(80)のマイコンがリセットされた状態で、電源を入れると(ステップ1)、サーミスタ(58)により外気温度(室温)を検知する。そして検知した室温に応じて、ヒータ(52)をオン、オフする温度を設定する(ステップ2)。
【0026】
例えば図6に示すように、室温Tが20℃未満と、Tが20℃以上〜25℃未満と、Tが25℃以上の場合とで、ヒータ(52)がオン、オフする温度を変化させている。図6から分かるように、室温が低いほど、ヒータ(52)をオフさせる温度を高くし、且つオンさせる温度も高くして、被施療者が温かく感じるようにしており、室温が高いほど、ヒータ(52)をオフさせる温度を低くし、且つオンさせる温度も低くして、被施療者が熱すぎることのないようにしている。
【0027】
例えば、室温が20℃未満のときは、ヒータ(52)の温度をサーミスタ(58)で検知して、61℃以上になるとヒータ(52)をオフし、57℃以下になるとヒータ(52)をオンするという動作を繰り返すのに対し、室温が25℃以上のときは、ヒータ(52)の温度が57℃以上になるとヒータ(52)をオフし、53℃以下になるとヒータ(52)をオンするという動作を繰り返す。
【0028】
このようにヒータ(52)のオン、オフを繰り返すことにより外気温度に適したヒータ温度で被施療部を温めながらマッサージを行なう(ステップ3)。
【0029】
予め定められたマッサージ時間が経過するとマッサージを停止すると共にヒータ(52)をオフし、運転停止時間をカウントするタイマのカウントを開始する。(ステップ4)
運転停止時間が所定時間(実施例では1時間)経過したかどうかをみて、所定時間経過しないうちに電源を再び入れてマッサージを開始する場合は(ステップ5のYES、ステップ6のNO)、ヒータ(52)がまだ温かく冷め切っていない状態なので、この状態では外気温度を正確に検知することは困難である。従って、前回運転開始時に測定した外気温度をそのまま外気温度として用いて、ヒータ(52)のオン、オフ設定温度も前回運転時のままで、マッサージを行なう。
【0030】
運転停止時間が1時間以上経過した状態で、電源を入れてマッサージを再び開始する場合は(ステップ5のYES、ステップ6のYES)、ヒータ(52)の温度も充分に低くなっているので、サーミスタ(58)で外気温度を再検知して、外気温度に見合ったヒータ(52)のオン、オフ温度を再設定して、外気温度に相応しいヒータの温度制御を行なう。
【0031】
ここで、サーミスタ(58)は図3に示すように、足裏の内側に相当する長さの短いヒータ(52)の電熱線(53)に囲まれるように設置されているので、マッサージが終了してヒータ(52)がオフされてからの温度下降が早くなり、マッサージを終了してから再運転する場合、外気温度を再測定できるまでの上記所定時間を短くすることができる。従って、外気温度を再測定して、正確な外気温度に基づく温度制御が可能になるまでの時間を短くすることができる。
【0032】
本実施例では、サーミスタ(58)は、ほぼ土踏まずに対応する位置に配置されているので、マッサージ終了後、仮に足先を凹部(61)に置いたままでも、土踏まずによって形成される空間によりサーミスタ付近の放熱が促進され、早く冷却することができる。このことは足裏の内側に沿う部分と外側に沿う部分のヒータの長さには関係なく、土踏まずに対応する位置にサーミスタ(58)を配置することによりなし得る効果である。
【0033】
このように本発明によれば、外気温度に応じた最適な温度で被施療部を温めることができると共に、ヒータの温度を制御する温度センサ(58)でもって、外気温度を検出するようにしているので、部品点数の削減とコストの削減を図ることができる。
【0034】
その上、ヒータ(52)への通電をオフした後、所定時間経過後は、温度センサ(58)により外気温度を再検出し、再検出した外気温度に応じてヒータの温度制御を行い、所定時間以内であれば、検出済みの外気温度に応じてヒータの温度制御を行なうようにすれば、ヒータの温度を制御する温度センサと、外気温度を検出する温度センサを共通化しても、外気温度に基づいたヒータの温度制御を正確に行なうことができる。
【0035】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0036】
例えば、所定時間とは、マッサージ終了後に計測した時間をいっているが、長時間マッサージする場合などで、マッサージ中にヒータを一旦オフして再びオンする場合、一旦オフしてからの時間を計測してもよい。
【0037】
またヒータの種類や、温度センサの種類、あるいは、ヒータを配置する位置は実施例のものに限定されることはない。
【符号の説明】
【0038】
(52) ヒータ(面ヒータ)
・ 電熱線
(58) サーミスタ(温度センサ)
(80) 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療部を温めるヒータと、該ヒータの温度制御を行うための温度センサを具えたマッサージ機において、
前記温度センサにより外気温度も検出し、検出した外気温度に応じたヒータの温度制御を行なうようにしたマッサージ機。
【請求項2】
ヒータへの通電をオフした後、所定時間経過後は、前記温度センサにより外気温度を再検出し、再検出した外気温度に応じてヒータの温度制御を行い、所定時間以内であれば、検出済みの外気温度に応じてヒータの温度制御を行なうようにした請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記所定時間は、マッサージ終了後の経過時間である請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記ヒータは、足裏を温める面ヒータであり、前記温度センサは、面ヒータに配備されている請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記面ヒータは、足裏の周囲に沿う平面形状がコ字型で、足裏の内側に沿う部分の長さが足裏の外側に沿う部分の長さに比べて短くなった変則のコ字型をしている請求項4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記温度センサは、面ヒータの足裏の内側に沿う長さの短い部分に配備されている請求項5に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記面ヒータは、足裏の周囲に沿う平面形状がコ字型で、足裏の内側に沿う部分の土踏まずに対応する位置に、前記温度センサを配置した請求項4に記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−172528(P2010−172528A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19364(P2009−19364)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】