説明

マッサージ機

【課題】施療子によるマッサージ動作開始時から好適な温熱施療を行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】起動スイッチと、この起動スイッチがオン状態である場合において操作可能になるとともに予め設定されたコースプログラムを開始するか選択可能なコース選択スイッチとを有する操作器を備える。操作器の起動スイッチがオン状態で前記コース選択スイッチが操作されるより前にPTCヒータの予備加熱を行うよう制御部によりPTCヒータが制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源を用いて使用者に対して温熱施療を行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば背もたれ部に施療子を有するマッサージ機構を組み込んだ椅子型のマッサージ機は、背中のつぼや経絡に施療子の揉み玉を当てて所定の動作をさせ、血行を促進させることで肩や背中の凝りを解消させるものであって、従来より提案されており、このようなマッサージ機は一般家庭・公的施設等にも多く普及している。
【0003】
また、近年のマッサージ機では、マッサージ機構に熱源を収容する熱伝達手段を設けることで揉み玉の押圧動作等によるマッサージに加えて温熱療法を行うものが開発されている(例えば特許文献1参照)。このようなマッサージ機では、操作器の起動スイッチを操作した後にコース選択スイッチが操作されて予め設定された各種コースプログラムが選択されることで、前記熱源に電力が供給されて温熱施療を行うとともにマッサージ機構によるマッサージを施すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−284338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなマッサージ機では、操作器のコース選択スイッチが選択されることで初めて熱源に対して電力供給が行われる。そのため、熱源が温まるまでに時間を要することかた、施療子(揉み玉)によるマッサージのコースプログラム開始時には依然として熱源の熱が低い状態のときがあり、コースによる施療当所から使用者に対して好適な温熱施療を行うことが難しかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施療子によるマッサージ動作開始時から好適な温熱施療を行うことができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者の背部に対してマッサージを行うための施療子を有するマッサージ機構と、前記使用者に対して熱を付与して温熱施療を行うための熱源と、前記マッサージ機構及び前記熱源を制御する制御部とを備えたマッサージ機であって、起動スイッチと、該起動スイッチがオン状態である場合において操作可能になるとともに予め設定されたコースプログラムを選択可能なコース選択スイッチとを有する操作部とを備え、前記制御部は、前記操作部の起動スイッチがオン状態で前記コース選択スイッチが操作されるより前に前記熱源の予備加熱を行うよう駆動するよう制御することをその要旨とする。
【0008】
この発明では、起動スイッチと、この起動スイッチがオン状態である場合において操作可能になるとともに予め設定されたコースプログラムを選択可能なコース選択スイッチとを有する操作部を備える。操作部の起動スイッチがオン状態でコース選択スイッチが操作されるより前に熱源の予備加熱を行うよう熱源が制御部により制御される。このように、コース選択スイッチが操作されてコースプログラムが開始するよりも前に、熱源を駆動させて熱源を温めることで、コースプログラム開始時(施療子によるマッサージ動作開始時)における熱源の温度を高めることができる。このため、施療子によるマッサージ動作開始時から好適な温熱施療を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ機において、前記熱源は、前記施療子と一体移動可能に設けられたことをその要旨とする。
この発明では、熱源は、施療子と一体動作可能に設けられるため、施療子の可動範囲と同程度の範囲において使用者に熱源からの熱を付与することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記起動スイッチがオン状態とされてから前記コース選択スイッチが操作されるまでの予備加熱期間の目標温度である第1設定温度範囲で前記熱源を制御するとともに、前記温熱施療時には前記第1設定温度範囲よりも高い目標温度である第2設定温度範囲を含む温度で前記熱源を制御することをその要旨とする。
【0011】
この発明では、起動スイッチがオン状態とされてからコース選択スイッチが操作されるまでの予備加熱期間の目標温度である第1設定温度範囲で熱源が制御部により制御されるとともに、温熱施療時には第1設定温度範囲よりも高い目標温度である第2設定温度範囲を含む温度で熱源が制御部により制御される。このように、コース選択スイッチが操作されるまでに予備加熱を行うべく第1設定温度範囲まで熱源を加熱しておくことで、コース選択スイッチが操作されると従来よりも迅速に熱源をその時の目標温度である第2設定温度範囲まで加熱することができる。このため、施療子によるマッサージ動作開始時から好適な温熱施療を行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のマッサージ機において、前記制御部は、前記コースプログラムに応じて前記第1設定温度範囲若しくは前記第2設定温度範囲に切替えて前記熱源を制御することをその要旨とする。
【0013】
この発明では、コースプログラムに応じて第1設定温度範囲若しくは第2設定温度範囲に切替えて熱源が制御部により制御される。ここで、コースプログラムの内容によっては温熱施療を並行動作してもよい場合と、施療子による機械式マッサージのみの場合とに分けられる。そのため、温熱施療を機械式マッサージと並行して行わせたい場合には比較的高めの第2設定温度範囲で制御できる。また、施療子によるマッサージのみの場合には例えば第1設定温度範囲を使用者が体感できない程度に設定することで温熱施療の効果を抑えることができるとともに、コースプログラムが変更された場合に熱源が第1設定温度範囲まで温まっているため第2設定温度範囲まで温度を高めることが容易となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のマッサージ機において、前記操作部には、前記熱源の駆動状態を選択可能な熱源用スイッチを備え、前記制御部は、前記熱源用スイッチがオン状態である場合には前記第2設定温度範囲を含む温度となるように前記熱源を制御するとともに、前記熱源用スイッチがオフ状態である場合には前記第1設定温度範囲となるように前記熱源を制御することをその要旨とする。
【0015】
この発明では、操作部には、熱源の駆動状態を選択可能な熱源用スイッチが備えられる。このように、熱源の駆動を使用者が操作可能な熱源用スイッチによって行うことで、使用者の好みによって温熱施療をするか否かを選択することができる。また熱源用スイッチがオン状態である場合には第2設定温度範囲となるように制御部により熱源が制御されるとともに、熱源用スイッチがオフ状態である場合には第1設定温度範囲となるように制御部により熱源が制御される。このような構成とすることで、例えば第1設定温度範囲を使用者が体感できない程度の温度に設定する温熱施療の効果を抑えることができるとともに、熱源用スイッチがオン状態に変更された場合に熱源が第1設定温度範囲まで温まっているため第2設定温度範囲まで温度を高めることが容易となる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機において、前記制御部は、前記施療子の動作と連動して前記熱源を駆動するよう制御することをその要旨とする。
【0017】
この発明では、施療子の動作と連動して制御部により熱源の駆動が制御される。このように、施療子の動作と連動して熱源による温熱施療を実施することができる。また、施療子の動作と熱源の駆動とを連動させることで、予めコーステーブル等に設定される施療子の動作から熱源駆動時の温度を推定することが可能となるため、熱源を計測する温度センサ等を省略することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、施療子によるマッサージ動作開始時から好適な温熱施療を行うことができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略構成図。
【図2】施療子の正面図。
【図3】施療子の分解斜視図。
【図4】施療子の断面図。
【図5】操作器の正面図。
【図6】マッサージ機の特に温熱施療に関する電気的構成を説明するためのブロック図。
【図7】PTCヒータの駆動制御について説明するためのタイミングチャート。
【図8】PTCヒータの駆動制御について説明するためのタイミングチャート。
【図9】別例におけるPTCヒータの駆動制御について説明するためのタイミングチャート。
【図10】別例におけるコーステーブルについて説明するためのテーブル。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ機の概略構成を示す。図1に示すように、マッサージ機10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後部には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられるとともに、座部12の前部には使用者の脚を載せることができるオットマン14が傾動可能に設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。また、背もたれ部13の側面には使用者によるマッサージ機10の各部を操作可能な操作器16が設けられている。
【0021】
背もたれ部13は、背もたれ部本体13aと、この背もたれ部本体13aの前面を覆うカバー部13bとで構成される。背もたれ部本体13aは、前面が開口された硬質樹脂材料からなる図示しない本体ケース内に、背もたれ部13の上下方向に沿って図示しないガイドレールが設けられるとともにこのガイドレールに沿って上下方向に移動可能にマッサージ機構20が組み付けられている。マッサージ機構20には、図示しない各種駆動モータが備えられるとともに、これら各種駆動モータの駆動によってマッサージ機構20の上下動や、このマッサージ機構20に備えられる一対の施療子21による所定の施療動作が行われるようになっている。
【0022】
図2に示すように、一対の施療子21は、一対のアーム22(1つのみ図示)と、アーム22のそれぞれに設けられるヒータユニット23と、ヒータユニット23に接続される揉み玉24と、この揉み玉24をヒータユニット23とで挟持する固定部材25とを有している。なお、この固定部材25は熱伝導性の高いアルミニウムにて構成されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、各ヒータユニット23は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ30が第1ケース部材31及び第2ケース部材32に挟持されて構成され、一対のアーム22の幅方向内側にそれぞれに設けられている。なお、各PTCヒータ30を収容する熱伝達手段としての各ケース部材31,32は、熱伝導性及び剛性の高い材質としてアルミニウムを採用している。
【0024】
幅方向外側の第1ケース部材31は、アーム22にねじ33a,33bにて固定されている。また第1ケース部材31の幅方向内側の内表面は、図3及び図4に示すように、PTCヒータ30との対応位置の当接部31aが幅方向内側に突出するように形成されている。また、各PTCヒータ30は、図6に示すように制御部51に電気的に接続されて各PTCヒータ30への電力供給の有無が決定されるようになっている。
【0025】
第2ケース部材32は、幅方向外側の内表面の前記PTCヒータ30との対応位置に、例えば高熱伝導率且つ弾性を有するシリコン系の材質からなるゴムパッド41が設けられている。図4に示すように第1ケース部材31の当接部31a及び第2ケース部材32のゴムパッド41にて、PTCヒータ30が挟持されるようになっている。この時、ゴムパッド41は当接部31aとでPTCヒータ30を挟持した際にその圧力に応じて弾性変形するように構成されている。つまり、PTCヒータ30は第2ケース部材32に圧接されており、効率よく第2ケース部材32側に熱を伝達可能に構成されている。
【0026】
第2ケース部材32は、使用者の身体をカバー部13bを介して当接する当接部32aが使用者側に凸となるように湾曲形状に形成されている。また、この当接部32aは、第1ケース部材31の略厚み(幅方向長さ)程度、幅方向外側に延出するように形成されており、第2ケース部材32側にPTCヒータ30の熱を集約させ、当接部32a以外への熱の拡散を極力抑えた設計がなされている。なお、第1ケース部材31及び第2ケース部材32は当接部32a以外の部分が極力PTCヒータ30の形状に倣った形状とすることが望ましい。
【0027】
また、第2ケース部材32の幅方向内側には、サーミスタ42がねじ32bにて固定されるとともに、これらサーミスタ42は図6に示すように前記制御部51に電気的に接続されている。このため、PTCヒータ30の熱がヒータユニット23の第2ケース部材32に伝達され、その熱の温度をサーミスタ42にて監視することができるようになっている。
【0028】
第2ケース部材32には、幅方向内側に突出する延出部32cが形成されるとともに、その延出方向先端には略四角形状の係合凸部32dが形成されている。第2ケース部材32の延出部32cには、略円筒状の固定部材25の円筒部25aが外嵌されるとともに、延出部32cに形成されているねじ孔32eにねじ46が螺合されて固定部材25の抜け止めがなされている。
【0029】
円筒部25aの内側面における軸方向端部側は、第2ケース部材32の外表面から幅方向内側に突出する延出部32cの係合凸部32dが係合する略四角形状の係合孔25cが形成されている。そして、この係合凸部32dと係合孔25cとが回転方向で係合するため、固定部材25の回り止めがなされている。
【0030】
また、固定部材25を構成する円筒部25aの外周面には2つの軸受24a,24bにて回転可能に支持される揉み玉24が設けられている。この時、この円筒部25aの軸方向端部側において外径が拡径される拡径部25bが揉み玉24よりも幅方向内側に突出するように構成されており、この拡径部25bにて揉み玉24の幅方向(軸方向)への抜け止めがなされている。また、揉み玉24は、第2ケース部材32の延出部32cの軸中心から同ケース部材32の当接部32aまでの距離より僅かに(例えば3mm程度)大きい半径となるように構成されている。このため、揉み玉24が使用者の身体とカバー部13bを介して当接する際に、揉み玉24が接触圧によって変形するため、剛体で構成される第2ケース部材32の当接部32aが使用者に対して軽接触して極力熱のみを好適に伝達させる構成となっている。
【0031】
図1、図5及び図6に示すように、使用者による操作が可能な操作器16は、主電源スイッチ60がオン状態とされて図示しない外部電源からの電力供給に基づいて操作可能とされるものである。また、操作器16には、現在のマッサージ部位やその強さ等のマッサージ機10の状態が表示される表示部61が設けられている。また、操作器16には、複数のマッサージ駆動パターンから選択可能なコース選択スイッチ62,63と、マッサージ機構20のモータ等に対して電力を供給するか否かを選択する起動スイッチ64と、PTCヒータ30の動作を高電流駆動・低電流駆動に切替えるヒータスイッチ65とが設けられている。そして、使用者にて操作器16の各スイッチ62〜65が選択されることで制御部51に適宜信号が出力され、制御部51による各部の制御が行われるようになっている。コース選択スイッチ62,63は、「自動コースプログラム」を選択するコース選択スイッチ62と、「繰返しプログラム」を選択するコース選択スイッチ63とで構成されている。ここで「自動コースプログラム」とは、揉み玉24による施療可能範囲の内の全体に亘って揉み玉24を動作させて使用者の背部を首から腰の比較的広い範囲をマッサージするコースプログラムである。また「繰返しプログラム」とは、揉み玉24による施療可能範囲の内の一部の範囲において揉み玉24を動作させて、使用者の背・肩・腰のいずれかを中心とした比較的狭い範囲においてマッサージを繰返し行うコースプログラムである。
【0032】
上記のように構成されたマッサージ機10では、主電源スイッチ60がオン状態である場合に、操作器16や制御部51に電力が供給された状態となっている。この状態において、図7に示すように所定時間Tm1において操作器16に設けられる起動スイッチ64がオフ状態からオン状態にされることで、制御部51は操作器16の各コース選択スイッチ62,63による各種コースプログラム等の選択が可能な状態に移行させる。このように所定時間Tm1において起動スイッチ64がオフ状態からオン状態にされることで、ヒータスイッチ65がオン状態に変更されるとともに、制御部51はヒータスイッチ65がオン状態に変更されるとPTCヒータ30に所定の電流A1を印加するようになっている。これにより、コース選択前においてPTCヒータ30(サーミスタ42)の温度が第1設定温度Tp1(例えば約40℃程度)となるまでPTCヒータ30が加熱されるようになっている。その後、使用者によりコース選択スイッチ62,63にていずれかのコースプログラムが選択されると、制御部51はPTCヒータ30に対して前記電流A1よりも高電流の電流A2を印加するようになっている。これにより、PTCヒータ30(サーミスタ42)の温度が第2設定温度Tp2(例えば約55℃程度)となるまでPTCヒータ30が加熱されるようになっている。
【0033】
また、制御部51では、コース選択スイッチ62,63が操作された後、つまりコースプログラム実施中において、ヒータスイッチ65がオフ状態に操作される(図7において所定時間Tm2)とPTCヒータ30の駆動を高電流駆動から低電流駆動に変更されると、制御部51は図8に示すようにPTCヒータ30に対して電流A1を印加するようになっている。このため、PTCヒータ30はその温度が第1設定温度Tp1となるように制御部51により制御される。このように、ヒータスイッチ65がオフ状態されてもPTCヒータ30が低電流駆動されている、所定温度範囲(第1設定温度Tp1)でPTCヒータ30の温度を維持できる。このため、ヒータスイッチ65の操作によりPTCヒータ30の駆動が高電流駆動状態に変更されても、即座にPTCヒータ30の温度を高めることができ、好適な温熱施療を即座に実施することができる。また、PTCヒータ30の低電流駆動状態の温度を使用者が体感できない程度の温度(本実施形態では約40℃)とすることで温熱施療の効果を作用させないようにすることができるため、使用者の要望に合わせたマッサージを実施することができるようになっている。
【0034】
上述したように、本実施形態のマッサージ機10では、操作器16の起動スイッチ64が操作されて使用者にてコース選択スイッチ62,63が操作される間にPTCヒータ30に電流Aを印加して駆動するようになっている。このため、コース選択スイッチ62,63がオン状態に操作されて各コースプログラムが実施される際には、従来品(図7にyr2点鎖線で図示)と比較して迅速に使用者が体感できる程度の温度(第2設定温度Tp2)まで加熱させることができ、より好適な温熱施療を実施することができるようになっている。
【0035】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)起動スイッチ64と、この起動スイッチ64がオン状態である場合において操作可能になるとともに予め設定されたコースプログラムを開始するか選択可能なコース選択スイッチ62,63とを有する操作器16を備える。操作器16の起動スイッチ64がオン状態で前記コース選択スイッチ62,63が操作されるより前にPTCヒータ30の予備加熱を行うよう制御部51によりPTCヒータ30が制御される。このように、コース選択スイッチ62,63が操作されてコースプログラムが開始するよりも前に、PTCヒータ30を駆動させてPTCヒータ30を温めることで、コースプログラム開始時(施療子21によるマッサージ動作開始時)において従来品(図7にて2点鎖線で)よりも迅速に第2設定温度Tp2までPTCヒータ30の温度を高めることができる。このため、施療子21によるマッサージ動作開始時においてPTCヒータ30からの熱をより好適に付与することができる。
【0036】
(2)PTCヒータ30は、施療子21と一体動作可能に設けられるため、施療子21の可動範囲と同程度の範囲において使用者に熱源からの熱を付与することができる。
(3)操作器16には、PTCヒータ30の駆動状態(高電流駆動と低電流駆動)を選択可能なヒータスイッチ65が備えられる。このように、PTCヒータ30の駆動を使用者が操作可能なヒータスイッチ65によって行うことで、使用者の好みによって温熱施療をするか否かを選択することができる。またヒータスイッチ65がオン状態である場合には第2設定温度Tp2となるように制御部51により熱源が制御されるとともに、ヒータスイッチ65がオフ状態である場合には第1設定温度Tp1となるように制御部51により熱源が制御される。このような構成とすることで、第1設定温度Tp1を使用者が体感できない程度の温度(例えば40℃程度)に設定する温熱施療の効果を与えずに施療子21(揉み玉24)によるマッサージ効果を付与することができる。また、ヒータスイッチがオン状態に変更された場合に熱源が第1設定温度Tp1まで温まっているため第2設定温度Tp2まで温度を高めることを容易とすることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、操作器16の起動スイッチ64が使用者により押圧操作されてオン状態とされると同時に、制御部51によりPTCヒータ30に所定の電流A1を印加するように構成したがこれに限らない。起動スイッチ64がオン状態とされ、且つコース選択スイッチ62,63が操作されるよりも前にPTCヒータ30に電力を供給するような構成であればよい。このように、コース選択スイッチ62,63が操作されるまでにPTCヒータ30が駆動されることで、各種コースプログラム開始時において使用者が体感できる温度までPTCヒータ30を迅速に加熱することができるとともにPTCヒータ30による温熱施療を好適に行うことが可能となる。
【0038】
・上記実施形態では、PTCヒータ30に印加する電流量を変化させることでPTCヒータ30の温度を変更する構成としたが、これに限らない。PTCヒータ30に印加する電流は一定として、PTCヒータ30を駆動・非駆動(停止)とを繰り返すことでPTCヒータ30の温度を変更する構成を採用してもよい。この場合、例えば図9に示すようにヒータスイッチ65がオフ状態である場合において、制御部51によりPTCヒータ30を所定期間T毎にオン状態として駆動させる構成とすることで、PTCヒータ30の温度を第1設定温度範囲である所定範囲での動作を実施することができる。
【0039】
・上記実施形態では、特に言及していないが、PTCヒータ30を施療子21(揉み玉24)の動作と連動する構成を採用してもよい。ここで、各コースプログラム(コーステーブル)の一部を図10に示す。図10に示すように、ステップ1において制御部51(図6参照)は、使用者の肩部に対して左右の揉み玉24を交互に動作させるたたき動作を3回実施するとともにPTCヒータ30をオン状態で動作させる。その後、ステップ2において制御部51は、使用者の背中表面を軽押圧した状態で揉み玉24を上下駆動させて揉み玉24を背部表面上において転がすようなさすり動作を2回実施するとともにPTCヒータ30をオフ状態で動作させる。そして、ステップ3において制御部51は、使用者の腰部に対して略垂直となる方向から揉み玉24によって押圧する指圧動作を1回実施するとともにPTCヒータ30をオン状態で動作させる。その後、ステップ4において制御部51は、使用者の首に対して左右の揉み玉24にて挟み込むよう動作させるもみ動作を5回実施するとともにPTCヒータ30を継続してオン状態で動作させる。このように、予め揉み玉24の動作が規定されたコースプログラム(コーステーブル)にPTCヒータ30の駆動制御に関する情報を組み込んでおくことで、連動感を増した好適な施療を行うことができる。また、揉み玉24の動作及びその回数に応じて要する時間が既知であるため、PTCヒータ30の温度をその時間から類推することができるため、サーミスタ42等の温度センサを省略することが可能となる。これにより、部品点数の削減ができマッサージ機10全体としてのコスト低減に寄与することができる。
【0040】
また上記構成に限らず、単に揉み玉24が使用者を押圧する方向(背もたれ部13の前方)に突出させた時に、PTCヒータ30を駆動させるように連動動作させる構成であってもよい。このように、揉み玉24を突出させた際に使用者の首・肩・背中・腰等の背部に対して接触圧が大きくなるため、PTCヒータ30からの熱を効率よく付与することができる。また、揉み玉24を背もたれ部13内に収容させる際においては、使用者の背部に対する接触圧は小さいため、PTCヒータ30を停止させたり、低電流駆動させるなどして効率のよい温熱施療を行うことが可能となる。
【0041】
・上記実施形態では、本発明を椅子型のマッサージ機10に適用したが、使用者が寝た姿勢で使用するマッサージ機やその他のマッサージ機に適用してもよい。
・上記実施形態では、座部12の前部にオットマン14を設ける構成としたが、オットマン14を省略した構成を採用してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、ヒータユニット23の熱源としてPTCヒータ30を用いた構成を採用したが、これ以外の熱源を採用してもよい。
・上記実施形態では、特に言及していないが、オットマン14や座部12等にエアバッグ等のマッサージ手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…マッサージ機、16…操作器(操作部)、20…マッサージ機構、21…施療子、24…施療子を構成する揉み玉、30…PTCヒータ(熱源)、51…制御部、62,63…コース選択スイッチ、64…起動スイッチ、65…ヒータスイッチ(熱源用スイッチ)、Tp1…第1設定温度(第1設定温度範囲)、Tp2…第2設定温度(第2設定温度範囲)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の背部に対してマッサージを行うための施療子を有するマッサージ機構と、前記使用者に対して熱を付与して温熱施療を行うための熱源と、前記マッサージ機構及び前記熱源を制御する制御部とを備えたマッサージ機であって、
起動スイッチと、該起動スイッチがオン状態である場合において操作可能になるとともに予め設定されたコースプログラムを選択可能なコース選択スイッチとを有する操作部を備え、
前記制御部は、前記操作部の起動スイッチがオン状態で前記コース選択スイッチが操作されるより前に前記熱源の予備加熱を行うよう制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記熱源は、前記施療子と一体移動可能に設けられたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記起動スイッチがオン状態とされてから前記コース選択スイッチが操作されるまでの予備加熱期間の目標温度である第1設定温度範囲で前記熱源を制御するとともに、前記温熱施療時には前記第1設定温度範囲よりも高い目標温度である第2設定温度範囲を含む温度で前記熱源を制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項3に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記コースプログラムに応じて前記第1設定温度範囲若しくは前記第2設定温度範囲に切替えて前記熱源を制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマッサージ機において、
前記操作部には、前記熱源の駆動状態を選択可能な熱源用スイッチを備え、
前記制御部は、前記熱源用スイッチがオン状態である場合には前記第2設定温度範囲とを含む温度となるように前記熱源を制御するとともに、前記熱源用スイッチがオフ状態である場合には前記第1設定温度範囲となるように前記熱源を制御することを特徴とするマッサージ機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記制御部は、前記施療子の動作と連動して前記熱源を駆動するよう制御することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−172641(P2011−172641A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37164(P2010−37164)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】