説明

マニキュア組成物およびその製造方法

本発明は、(1)液体マニキュア樹脂系、又は液体マニキュア副樹脂系、および(2)容積平均長さが0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmの範囲のアラミドマイクロパルプを含んでなる、改善されたマニキュア組成物、および前記組成物を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された液体マニキュア組成物およびその製造方法に関し、特に、マイクロパルプを含有する液体マニキュア組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マニキュアは、ファッションアクセサリーであり、そのようなものとして、表す全体的な外観を増すか、又は減ずることができる。フランクフォート(Frankfort)らに付与された特許文献1は、長さ2〜4mmのアラミドパルプを含有するマニキュア組成物を開示している。この組成物は、パルプの性質およびサイズのため、爪に僅かに粗い表面外観を付与する。粗い表面は、マニキュア組成物にアラミドパルプを単純に添加し、2つを一緒に混合した結果である。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,370,866号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非常に滑らかなテキスチャと外観を有する爪にしたいときもある。滑らかな外観を有し、手触りが滑らかで、通常の装着で光沢のある外観を保持する、処理有機繊維マニキュア組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、溶媒、副樹脂、場合により可塑剤、および容積平均長さ0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmのマイクロパルプを含んでなる液体マニキュア樹脂系を含んでなる、改善されたマニキュア組成物に関する。液体マニキュア樹脂系は、更に主樹脂を含んでなることができ、好ましい主樹脂はニトロセルロースであり、マイクロパルプは、一般に、本組成物の0.001〜2重量%である。マニキュアは、更に、着色剤、および他の添加剤(UV安定剤など)を含んでもよい。
【0006】
本発明は、また、容積平均長さ0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmのマイクロパルプが酢酸ブチル中に分散した分散体を含んでなるマニキュア溶媒系に関する。
【0007】
本発明は、更に、滑らかなマニキュア表面を提供し、副樹脂および固体構成成分を含んでなる液体マニキュア樹脂系と有機繊維を接触させ、有機繊維、液体マニキュア樹脂系、および固定構成成分を撹拌し、有機繊維を、液体マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプに変形させることを含んでなる、マニキュア組成物の製造方法に関する。液体マニキュア系は、UV安定剤および着色剤を更に含有してもよい。
【0008】
本発明の別の実施形態は、液体溶媒および第1の固体構成成分と有機繊維を接触させ、有機繊維、液体溶媒、および第1の固定構成成分を撹拌し、有機繊維を、溶媒中に分散したマイクロパルプの分散体に変形させ、場合により、溶媒中に分散したマイクロパルプの分散体から溶媒の一部を除去し、マイクロパルプおよび溶媒の分散体を副マニキュア樹脂と、場合により第2の溶媒と接触させ、マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプを作り出すことを含んでなる、マニキュア組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、マイクロパルプが混入されている改善されたマニキュア組成物、および本組
成物を製造する方法に関する。
【0010】
具体的には、マニキュア組成物の製造方法は、有機繊維を液体マニキュア樹脂系および固体構成成分と接触させ、有機繊維、液体マニキュア樹脂系、および固体構成成分を撹拌し、有機繊維を、液体マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプの混合物に変形させ、そして、場合により、希釈剤、UV安定剤、可塑剤、および/又は着色剤と前記混合物を接触させてマニキュア組成物を製造することを含んでなる。マイクロパルプは、一般に、最終組成物の0.001〜2重量%である。
【0011】
本明細書で使用する場合、マイクロパルプは、容積平均長さが0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmの範囲の処理有機繊維である。一般に、このようなマイクロパルプの平均表面積は、25〜500m/gの範囲である。「有機繊維」の用語は、パルプ、短繊維、又はフィブリドを含むことを意味する。「処理有機繊維」の語は、液体構成成分および固体構成成分を含んでなる媒体と有機繊維を接触させた後、撹拌して有機繊維のサイズを減少させ、改質したことを意味する。例えば、有機繊維を媒体の液体構成成分と合わせて、プレミックスを形成してもよい。必要に応じて、プレミックスを従来のミキサーで混合し、有機繊維を液体媒体中に分布させてもよい。次いで、プレミックスを撹拌デバイス中で固体構成成分と合わせてもよい。固体構成成分は、好ましくは撹拌デバイス内で撹拌された状態に保持される多数のセラミック又は鋼製のボールであってもよい。撹拌デバイスは、例えば、アトリター又はミルであってもよい。一般に、最初に固体構成成分をアトリターチャンバに入れた後、他の成分を添加する。しかし、成分のどれについても添加順番は重要ではない。例えば、必要に応じて、有機繊維を添加する前に液体構成成分を固体構成成分と合わせても、又は撹拌デバイス内で有機繊維と固体構成成分を合わせた後、液体構成成分を添加してもよい。固体構成成分と同様に、最初に液体構成成分と有機繊維を合わせた後、撹拌デバイスに送ってもよい。
【0012】
本発明で使用するマイクロパルプは、他のマニキュア成分と適合性がなければならず、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフルオロカーボン、フェノール類、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレントリアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、芳香族ポリアミド、又はこれらの混合物を含んでなる有機繊維から製造することができる。とりわけ有用なポリマーは、芳香族ポリアミド、ポリベンゾキサジアゾール、ポリベンズイミダゾール、又はこれらの混合物から製造される。好ましい有機繊維は、アラミド繊維としても知られている芳香族ポリアミド(ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)、又はこれらの混合物)を含んでなる。このような有機繊維は、米国特許第3,869,430号明細書、同第3,869,429号明細書、同第3,767,756号明細書、および同第2,999,788号明細書に開示されている。好ましい芳香族ポリアミド有機繊維は、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)繊維、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)アラミドパルプ、スタイル1F543;1.5mmケブラー(KEVLAR)(登録商標)アラミドフロックスタイル6F561;および、ノメックス(NOMEX)(登録商標)アラミドフィブリドスタイルF25Wの商標で知られ、これらは全てデラウェア州ウィルミントン、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware)から入手可能である。他の好適な市販の有機繊維には、ザイロン(ZYLON)(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維、ザイロン(ZYLON)(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、ダイニーマ(DYNEEMA)(登録商標)SK60およびSK71超硬強度ポリエチレン繊維(これらは全て日本、東洋紡(Toyobo,Japan)により供給される);セラニーズ・ベクト
ラン(Celanese VECTRAN)(登録商標)HSパルプ、EFT1063−178(コネチカット州シェルトン、エンジニアリング・ファイバーズ・テクノロジー(Engineering Fibers Technology,Shelton,Connecticut)により供給される);CFFフィブリル化アクリル繊維(CFF Fibrillated Acrylic Fiber)(フロリダ州ペイス、スターリング・ファイバーズ社(Sterling Fibers Inc,Pace,Florida)により供給される);および、ティアラ・アラミドKY−400Sパルプ(Tiara Aramid KY−400S Pulp)(日本、堺市鉄砲町1、ダイセル化学工業株式会社(Daicel Chemical Industries,Ltd,1
Teppo−Cho,Sakai City,Japan)により供給される)が挙げられる。本発明に使用するのに好適な他の有機繊維には、セルロース、木綿、絹、および/又は羊毛繊維などの天然繊維が挙げられる。
【0013】
好ましいマイクロパルプは、アラミドポリマーを含んでなる有機繊維から製造される。本明細書で使用する場合、「アラミド」は、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合しているポリアミドを意味する。アラミドと共に添加剤を使用することができる。実際、他のポリマー材料を10重量%までもアラミドとブレンドできるということ、又は、アラミドのジアミンの代わりに用いられる他のジアミンを10パーセントも、もしくは、アラミドの二酸塩化物の代わりに用いられる他の二酸塩化物を10%も有するコポリマーを使用できるということが分かった。本発明の実施において、アラミドは、好ましくは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)およびポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である。
【0014】
マイクロパルプの製造に使用される有機繊維には、パルプ、短繊維、および/又はフィブリドが挙げられる。パルプは、回転ディスク間で短繊維を叩解し、繊維を切断および剪断して更に小さい片にすることによって製造できる。アラミドパルプは、当該技術分野で周知であり、繊維を叩解し、アラミド繊維材料の短片をフィブリル化することによって製造できる。このようなパルプは、表面積が4.2〜15m/gの範囲であり、カヤーニ(Kajaani)重量平均長さが0.6〜1.1ミリメートル(mm)の範囲であると報告されている。このようなパルプは、本発明のマイクロパルプと比較して容積平均長さが大きい。例えば、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)から入手可能なスタイル1F543アラミドパルプは、カヤーニ(Kajaani)重量平均長さが0.6〜0.8mmの範囲であり、レーザー回折を使用してこのパルプを測定すると、容積平均長さは500〜600μm(0.5〜0.6mm)である。重合溶液から直接アラミドパルプを製造する代替の方法が、米国特許第5,028,372号明細書に開示されている。パルプ粒子は、各パルプ粒子の本体から延びている多数のフィブリル又は触毛を有するため、短繊維とは異なる。これらのフィブリル又は触毛は、複合材料を補強するための微細な毛のような固定具を提供し、また、それによってパルプの表面積が非常に大きくなる。
【0015】
短繊維(フロックと呼ばれることもある)は、繊維を著しくフィブリル化することなく、連続フィラメントを短い長さに切断することによって製造される。短繊維の長さは、典型的には約0.25mm〜12mmの範囲である。本発明で使用するのに好適な短繊維は、米国特許第5,474,842号明細書に開示されている補強用繊維である。
【0016】
フィブリドは、平均最大長さ又は寸法が0.2〜1mmの範囲、長さ対幅のアスペクト比が5:1〜10:1の範囲の非粒状膜状粒子である。厚さ寸法は、およそミクロンの何分の一である。アラミドフィブリドは当該技術分野で周知であり、米国特許第5,209,877号明細書、同第5,026,456号明細書、同第3,018,091号明細書
、および同第2,999,788号明細書に開示されている方法により製造できる。本方法は、典型的には、溶媒中に溶解した有機ポリマーの溶液を、ポリマーの溶媒ではないが、溶媒と混和性のある別の液体に添加すること、および、激しく撹拌してフィブリドの凝集を引き起こすことを含む。凝集したフィブリドをミルで湿式粉砕し、分離し、乾燥させると、表面積の大きいフィブリドの凝集塊が得られ、次いで、この凝集塊を解すと粒子状フィブリド生成物が得られる。
【0017】
本発明のマニキュア組成物を形成する方法では、有機繊維は1つもしくはそれ以上のマニキュア組成物構成成分の存在下で、容積平均長さが0.01μm〜100μmの範囲、平均表面積が25〜500m/gのマイクロパルプに処理される。これは、有機繊維を液体媒体および固体構成成分と接触させ、撹拌することによって達成される。固体構成成分の存在下で有機繊維を撹拌すると、有機繊維はサイズが減少し、改質される。有機繊維は、例えば、アトリターの1つもしくはそれ以上の撹拌アームで撹拌状態に維持された固体構成成分と繰返し接触し、破砕される。主に繊維長だけを減少させるが、表面積およびフィブリル化は幾分増大する傾向がある、従来の粉砕又は切断方法とは異なり、本発明の方法におけるサイズ減少は、長さの減少と共に、有機繊維を直径が実質的に更に小さい繊維にする、縦方向の分離からも生じる。1桁、2桁、又は更にそれ以上の平均繊維長減少を達成することができる。撹拌工程は、有機繊維をマイクロパルプに変形させるのに十分な持続時間、継続される。更に、有機繊維を含有する媒体を撹拌デバイスに繰り返し通すことにより、有機繊維を数回パスさせて徐々にマイクロパルプに変形させることが望ましい場合がある。本発明の撹拌工程中に製造されて得られるマイクロパルプは、2つもしくはそれ以上のウェブ状、樹枝状、分岐状、マッシュルーム状、又はフィブリルの構造が絡合した組合せを含む繊維状有機材料である。
【0018】
有機繊維をマイクロパルプにする処理は、アトリター又はミルを含む、いずれかの1種類もしくはそれ以上の撹拌デバイスで達成されてもよく、デバイスは、バッチ運転されても又は連続運転されてもよい。バッチアトリターは、当該技術分野で既知であり、オハイオ州アクロンのユニオン・プロセス社(Union Process, Inc., of Akron, Ohio)により供給されるアトリターモデル01、1−S、10−S、15−S、30−S、100−S、および200−Sなどのものが、本発明の方法に好適である。このようなデバイスの別の供給業者は、ニュージャージー州クリフトンのグレン・ミルズ社(Glen Mills Inc. of Clifton, New Jersey)である。媒体ミルは、ペンシルバニア州リーディング、プレミア・ミルズ(Premier Mills, Reading Pennsylvania)により供給されており、その好適なミルの幾つかには、スーパーミル(Supermill)HMおよびEHPモデルが挙げられる。
【0019】
好ましい撹拌デバイスは、アトリターであり、好ましくは、固体構成成分をアトリターの撹拌チャンバに注入した後、撹拌アームで撹拌し、この後、有機繊維と液体構成成分のプレミックスをチャンバに注入する。変形速度を加速するため、撹拌工程中、固体構成成分を外部通路を通して循環させるが、外部通路は、縦型媒体ミルでは、典型的には、チャンバの底部および上部近傍で接続されている。固体構成成分が撹拌される速度は、変形される有機繊維の物理的および化学的構成、固体構成成分のサイズおよび種類、変形の持続時間、並びに、所望するマイクロパルプのサイズに依存する。アトリター内での固体構成成分の撹拌は、一般に、撹拌アームの先端速度および提供される撹拌アームの数によって制御される。典型的なアトリターは、4〜12のアームを有し、撹拌アームの先端速度は、一般に、約150fpm〜約1200fpm(約45m/分〜約366m/分)の範囲である。好ましいアトリターは、6つのアームを有し、約200fpm〜約1000fpm(約61m/分〜約305m/分)、更に好ましくは約300fpm〜約500fpm(約91m/分〜約152m/分)の範囲の先端速度で運転される。媒体ミルを使用する
場合、撹拌アームの先端速度は、一般に、約1500fpm〜約3500fpm(約457m/分〜約1067m/分)、好ましくは約2000fpm〜約3000fpm(約610m/分〜約914m/分)の範囲である。通常、撹拌チャンバの冷却ジャケットを使用して、撹拌プロセス中に発生した過剰な熱を取り除く。
【0020】
撹拌チャンバで使用される固体構成成分の量は、装填量と呼ばれ、撹拌チャンバの実際の容積ではなく、嵩容積で測定される。従って、固体構成成分内には、かなりのエアポケットが存在するため、100%装填量は、チャンバ容積の約60%を意味する。媒体ミル又はアトリターに対する装填量は、全装填量を基準にして40%〜90%、好ましくは75%〜90%の範囲である。ボールミルに対する装填量は、全装填量を基準にして30%〜60%の範囲である。実際、装填率は、最初にチャンバに固体構成成分を完全に充填し、全装填量の重量を決定することによって決定される。次いで、所望の装填量を、全装填量のパーセントとして重量で測定する。
【0021】
固体構成成分の形状は重要ではなく、スフェロイド、ダイアゴナル(diagonals)、形状の不規則な粒子、又はこれらの組合せを挙げることができる。スフェロイドが好ましい。固体構成成分の最大平均サイズは、10μm〜127,000μmの範囲とすることができ、マイクロパルプの製造に使用される撹拌デバイスの種類に依存する。例えば、アトリターを使用するとき、サイズは、一般に、直径約0.6mm〜約25.4mmの範囲である。媒体ミルを使用するとき、直径は、一般に、約0.1mm〜約2.0mm、好ましくは0.2〜2.0mmの範囲である。ボールミルを使用するとき、直径は、一般に、約3.2mm(1/8インチ)〜約76.2mm(3.0in)、好ましくは約3.2mm(1/8インチ)〜約9.5mm(3/8in)の範囲である。固体構成成分は、一般に、液体マニキュア組成物に使用される溶媒と化学的適合性があり、典型的な固体構成成分は、ガラス、アルミナ、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、セリウム安定化酸化ジルコニウム、溶融ジルコニアシリカ、鋼、ステンレス鋼、砂、タングステンカーバイド、窒化ケイ素、炭化ケイ素、メノウ、ムライト、フリント、ガラス質シリカ、硝酸ボラン(borane nitrate)、セラミックス、クロム鋼、炭素鋼、鋳造ステンレス鋼、可塑性樹脂、又はこれらの組合せから製造される。固体構成成分に好適な可塑性樹脂の幾つかには、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびポリアミドが挙げられる。固体構成成分に好適なガラスの幾つかには、無鉛ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、および黒ガラス(black glass)が挙げられる。ケイ酸ジルコニウムは、溶融されていても、又は焼結されていてもよい。
【0022】
最も有用な固体構成成分は、炭素鋼、ステンレス鋼、タングステンカーバイド、又はセラミックスから製造されるボールである。また、必要に応じて、サイズは同じであるが異なる組成を有するボールの混合物、又は様々なサイズを有するボールの混合物を使用してもよい。ボールの直径は、約0.1mm〜76.2mm、好ましくは約0.4mm〜9.5mm、更に好ましくは約0.7mm〜3.18mmの範囲とすることができる。固体構成成分は、様々な供給源から容易に入手可能であり、その幾つかには、ニュージャージー州クリフトン、グレン・ミルズ社(Glenn Mills Inc., Clifton, New Jersey);ニュージャージー州フェアフィールド、フォックス・インダストリーズ社(Fox Industries Inc., Fairfield,
New Jersey);および、オハイオ州アクロン、ユニオン・プロセス(Union Process, Akron, Ohio)が挙げられる。
【0023】
有機繊維をマイクロパルプに変形させた後、通常、固体構成成分を除去し、液体構成成分中に混在するマイクロパルプのスラリーを形成する。典型的には、固体構成成分は、撹拌チャンバ内に残存する。しかし、必要に応じて、従来の分離プロセスの幾つかは、固体構成成分はメッシュスクリーン上に保持されるが、マイクロパルプを含有する液体構成成
分が通過するのに十分な小さい開口部を有するメッシュスクリーンを備える。その後、分散したマイクロパルプを含有するスラリーを直接使用することができる。好ましいマイクロパルプのスラリーは、ガラス上の254μ(10mil)のドローダウンを肉眼で観察すると、極僅かなグリット又はシードを含有している。
【0024】
液体マニキュア樹脂系は、溶媒中に溶解する多数の樹脂を含み、マニキュアに必要な他の添加剤を含んでもよい。溶媒は、一般に、液体マニキュア組成物の総重量を基準にして55〜90重量%の量で存在する。しかし、液体マニキュア組成物の粘度は、撹拌チャンバ内で使用する所望の溶媒量を規定する。実際、マイクロパルプ形成中、液体マニキュア組成物中に溶媒を55重量%以下〜70重量%までの濃度で使用した後、例えば、追加の溶媒で組成物を希釈し、所望の最終濃度にすることが好都合である。溶媒は、様々な揮発性有機溶媒の混合物で構成されてもよい。有用な溶媒には、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸アミル、および、酢酸イソプロピルが挙げられる。また、溶媒は、好ましくは飽和直鎖もしくは分岐炭化水素(ヘキサンもしくはオクタンなど)又は芳香族炭化水素(トルエンもしくはキシレンなど)である希釈剤を、一般に、液体マニキュア組成物の総重量の10重量%〜30重量%の範囲の割合で含有してもよい。また、エタノール、n−ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、又はこれらの混合物、又は前述の溶媒を含む他の揮発性溶媒が溶媒系に存在してもよい。
【0025】
液体マニキュア樹脂系は、溶媒中に溶解する2種類の樹脂、主樹脂および副樹脂を有することができる。主樹脂は、硬質で靭性と耐摩耗性がある皮膜を提供し、一般に、液体マニキュア組成物の総重量を基準にして5〜20重量%、好ましくは10〜20重量%の濃度で存在する。好ましい主樹脂は、ニトロセルロースである。有用なニトロセルロース主樹脂には、「RS」又は「SS」タイプのニトロセルロース(タイプ1/4秒RSニトロセルロース、タイプ1/2秒RSニトロセルロース、タイプ1/2秒SSニトロセルロース、およびタイプ3/4秒SSニトロセルロースなど)、および、ポリビニル誘導体(ポリビニルブチラールなど)が挙げられる。他の主樹脂、および報告されている主樹脂の組合せには、セルロースアセテートイソブチレート、メタクリレートおよびニトロセルロース、エチルセルロースおよびニトロセルロース、ニトロスターチおよびポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルおよびニトロセルロース、アルキルビニルエチル−無水マレイン酸コポリマー、メタクリル酸メチル又はエチルおよびメタクリル酸プロピル又はブチル、メタクリル酸ブチル−アクリル酸エチル−4−スチレンスルホンアミドコポリマー、アクリルアミド−メタクリル酸ブチル−アクリル酸エチルコポリマー、ポリビニルブチラール、シス−4−シクロヘキセン−1,2−アンヒドロジカルボン酸−2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールコポリマー、シロキサニルアルキルエステル−アクリレート−メタクリレートコポリマー、ポリアクリルおよびポリエポキシドで架橋されたポリエチレンイミン、酢酸セルロース、並びに、セルロースアセテートプロピオネートが挙げられる。ニトロセルロースのような主樹脂は、溶媒と組み合わせて液体主樹脂系を形成することができる。次いで、液体主樹脂系に有機繊維を添加し、固体構成成分と共に撹拌して液体主樹脂系中でマイクロパルプを形成することができる。
【0026】
副樹脂は、爪に対する主樹脂の改善された塗布および接着、並びに、マニキュアの改善された光沢などの更なる特性をマニキュアに付与する。副樹脂は、一般に、液体マニキュア組成物の総重量を基準にして0.5〜10重量%の割合で存在する。アリール−スルホンアミド−ホルムアルデヒド又はアリール−スルホンアミド−エポキシタイプの樹脂、特に、好ましいトルエンスルホンアミド−ホルムアルデヒドタイプの樹脂を含む、多数の樹脂を単独で又は組み合わせて使用することができる。他の副樹脂、および報告される組合せには、ポリビニルブチラール、サンダラック、ポンティアナック(pontianac)、エステルガム、ヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、アクリ
ルエステルオリゴマー、アルキッド樹脂、ポリテトラヒドロフラン、ポリアミド、ラウロラクタム−カプロラクタム−ヘキサメチレンジアミンアジペートターポリマー、およびメラミン樹脂が挙げられる。
【0027】
液体マニキュア樹脂系に含むことができる添加剤は、物理的力に対する抵抗を弱めることなく皮膜の可撓性を調節できるようにする、可塑剤を含むことができる。液体マニキュア樹脂組成物の総重量を基準にして2〜10重量%の範囲の可塑剤濃度が典型的である。好適な可塑剤には、リン酸トリクレジル、安息香酸ベンジル、リン酸トリブチル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルリシノール酸グリセリル、フタル酸ジブチル、グリコール酸ブチル、フタル酸ジオクチル、ステアリン酸ブチル、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリフェニル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸2−トリエチルヘキシル、酒石酸ジブチル、フタル酸ジメトキシエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、カンファー、三酢酸グリセロール、およびこれらの混合物が挙げられる。また、液体マニキュア樹脂系に加える添加剤には、有機又は無機着色剤を挙げることができ、これは、典型的には液体マニキュア組成物の総重量を基準にして約2重量%までの量で存在する。
【0028】
本発明のとりわけ望ましい実施形態の1つは、有機繊維を液体構成成分および固体構成成分を接触させることによりマニキュア組成物を製造する方法に関し、ここで、液体構成成分は、溶媒中の副樹脂の副マニキュア樹脂系である。次いで、有機繊維、液体副マニキュア樹脂系および固体構成成分を撹拌し、有機繊維を、液体副マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプに変形させる。マイクロパルプを含有するこのような副樹脂系は、好ましくは、0.025〜5重量%の分散したマイクロパルプを有する。次いで、場合により、分散体を主樹脂、添加剤(可塑剤、希釈剤、UV安定剤、着色剤など)、および/又は追加の溶媒と接触させて、最終液体マニキュア組成物を製造してもよい。マイクロパルプは、副樹脂系中に既に完全に分散しているため、単純な混合で、主樹脂、添加剤、および/又は溶媒を添加することができる、即ち、マイクロパルプを更に破砕するのに固体構成成分を必要としない。
【0029】
或いは、マイクロパルプをマニキュア樹脂系に用いる溶媒中で製造した後、マニキュア樹脂系に添加してもよい。この場合、媒体中の液体構成成分は、また、溶媒およびマニキュア樹脂系と適合性のある他の有機液体を含んでもよい。このような有機液体には、芳香族炭化水素(石油ナフサ又はキシレンなど)、ケトン(メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、又はアセトンなど)、エステル(酢酸ブチル又は酢酸ヘキシルなど)、グリコールエーテルエステル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、又はこれらの組合せが挙げられる。通常は、マニキュア組成物に使用される典型的な溶媒と適合性はないが、マニキュア組成物が水と適合性のあるタイプである場合、水、又は水を含有する1つもしくはそれ以上の混和性溶媒(アルコールなど)を使用してもよい。液体構成成分は、最終マニキュア組成物に使用される溶媒であることが好ましい。
【0030】
マイクロパルプを溶媒中で製造した後、濃縮液体マニキュア樹脂系をマイクロパルプ含有溶媒分散体と合わせ、その後、合わせたものを、マイクロパルプが樹脂系全体に均一に混入されるのに十分な時間、撹拌デバイス中で固体構成成分と共に更に撹拌することによって、分散体を最終液体マニキュア組成物に混入させてもよい。しかし、樹脂系の粘度および相対的な溶媒の量に応じて、マイクロパルプ含有溶媒分散体を液体マニキュア樹脂系と接触させ、単純に混合することにより、適切な混入を達成することができる。副樹脂が含まれる場合、マイクロパルプ含有分散体の混入は、2段階で達成することができる。即ち、分散体を最初に副マニキュア樹脂と接触させ、固体構成成分と共に撹拌することができ、その後、残りの成分および主樹脂および/又は溶媒を添加し、単純に混合して最終マ
ニキュア組成物を製造することができる。しかし、一般に、これらのプロセス中ほとんどいつでも、必要に応じて添加剤および追加の溶媒を添加することができる。
【0031】
溶媒経由でマイクロパルプを混入させる代替の方法は、第1の液体媒体又は溶媒中でマイクロパルプを製造し、場合により、その第1の溶媒の一部を除去し、その後、マイクロパルプ分散体を固体の副マニキュア樹脂と接触させ、その後、これを第1の溶媒中で単純に混合し、溶液化することを含む。或いは、副マニキュア樹脂を、第2の溶媒中の副樹脂の液体樹脂系として添加することができ、場合により、その後、これを固体構成成分と共に更に撹拌して、液体マニキュア組成物中でマイクロパルプを更に分散させ、そのサイズを減少させる。これは、多くの異なるマニキュア樹脂系で用途を有するマイクロパルプ含有溶媒分散体を製造することを所望する場合、有用な方法である。その場合、第1の溶媒と第2の溶媒は同じであっても、又は異なってもよい。また、別々の撹拌工程で使用される固体構成成分は、同じであっても、又は異なってもよい。
【0032】
前述のように、本発明の所望のマニキュア組成物を得るため、有機繊維は、マニキュア組成物の樹脂系に単純に添加され、混合又は撹拌されるのではなく、組成物中にマイクロパルプを作り出すため、固体構成成分と共に撹拌することによって処理される。マイクロパルプがこの形態で混入されると、液体マニキュア組成物中における様々な固体構成成分の沈降が遅延され、追加の粘度調整剤の必要がなくなり、マニキュアが滑らかで長持ちする特性を有することが確実になる。
【0033】
試験方法
容積平均長さの測定は、ベックマンLS粒度分析器(Beckman LS Particle Size Analyzer)を使用し、レーザー回折を使用して行われる。シュトローライン面積計量器(Strohlein Area Meter)を使用して、窒素吸着BET一点法による表面積測定を行う。本明細書で使用する場合、容積平均長さは、次式で計算する。
【0034】
【数1】

【実施例】
【0035】
以下の実施例では、防爆ブレンダー中で主樹脂ニトロセルロースを酢酸n−ブチル溶媒および希釈剤と混合した(顔料を添加する場合、添加前に顔料を濡らすため、酢酸n−ブチル約17%を取っておいた)。次いで、(1種類又は複数種類の)副樹脂を可塑剤、UV安定剤およびレオロジー調整剤と合わせ、混合した。これをニトロセルロース/酢酸n−ブチル混合物と合わせ、混合缶に移し、全て合わせたものを1缶当り10の混合媒体と共に振盪器上で2回、合わせて2時間、完全に混合し、振盪器を停止させ、その2回の間に缶を冷却した。混合媒体は円筒状で、長さ1/2インチ(12.7mm)、直径1/2インチ(12.7mm)であった。
【0036】
マイクロパルプをプレミア(Premier)SML(1.5Lスーパーミル(Supermill))媒体ミル内で製造し、ここで、有機繊維を、固体構成成分および前述の液体マニキュア樹脂系又は溶媒(酢酸ブチル)のいずれかと共に撹拌した。球状固体構成成分1Lを媒体ミル内で使用した(1.0mmミル・メイツ(Mill Mates)セ
ラミック媒体)。ミルは、プラスチックディスク6枚の構成と、1.36Lの有効容量を有し、固体構成成分の装填量が80%であった。液体マニキュア樹脂系又は溶媒に添加した有機繊維は、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)パルプタイプ1F543(イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により販売)であった。所与のミル構成(即ち、ミルタイプ、媒体タイプ、処理速度など)では、ミル粉砕チャンバ内での滞留時間によって粒度が制御された。滞留時間は、ミルの空き容積、全液体バッチサイズ、および全運転時間の関数である。酢酸n−ブチル溶媒中で製造したマイクロパルプ(2%パルプスラリー)に関して、ミル運転時間を下記の表Iに示す。
【0037】
最初に溶媒中でマイクロパルプを製造する場合、溶媒中に分散したマイクロパルプの分散体を液体マニキュア樹脂系に添加したが、固体構成成分と共にミルで再粉砕せず、振盪器で2回、合わせて2時間、混合した。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1
この実施例は、本発明のマニキュア組成物の滑らかさを例証する。パラアラミドマイクロパルプ(容積平均長さ19μ)を酢酸ブチル溶媒中で製造し、次いで、それを濃縮液体マニキュア樹脂系に添加して本発明の液体マニキュア組成物を製造した。液体マニキュア組成物は表2の成分を含有した。
【0040】
【表2】

【0041】
この無色の液体マニキュア組成物を透明なプラスチックシートに塗布し(湿潤時5mil又は127μ)、室温で空気乾燥させて、乾燥マニキュア組成物を形成した。検査すると、肉眼ではマイクロパルプを見ることができず、表面は手触りが滑らかであった。図1は、対比を示すため、無地の色の背景に対してこの無色又は透明なマニキュア組成物を配したデジタル画像の複写である。図1は、均一な灰色の面積を示し、これは表面が滑らかであることを示している。
【0042】
実施例2(比較例)
この実施例は、粗い表面を呈する従来技術の繊維含有マニキュアを例証する。従来技術の方法の典型的なマニキュア組成物を製造した、即ち、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)パルプスタイル1F543(容積平均長さ500〜600μm(0.5〜0.6mm))液体マニキュア樹脂系に添加し、単純に混合することによって、表3に列記される成分を含有するマニキュア組成物を製造した。
【0043】
【表3】

【0044】
この無色液体マニキュア組成物を透明なプラスチックシートに塗布し(湿潤時5mil又は127μ)、室温で空気乾燥させて乾燥マニキュア組成物を形成した。検査すると、肉眼で繊維を容易に見ることができ、表面は手触りが粗かった。図2は、対比を示すため、無地の色の背景に対してこの無色又は透明なマニキュア組成物を配したデジタル画像の複写である。図2では、色の濃い灰色の面積全体に、色の薄い斑点が見られ、表面は均一ではなく、表面が平坦でないために光が様々に反射されたことが分かる。
【0045】
実施例3
この実施例は、滑らかな表面が得られるがマイクロパルプを含有しないマニキュア組成物に優る、本発明の液体マニキュア組成物が呈する知覚される改善を例証する。ニトロセルロース、イソプロパノール、トルエンスルホンアミド/エポキシ樹脂、フタル酸ジブチル、ベンゾフェノン−1、酢酸n−ブチル、および酢酸エチルを含有する液体マニキュア樹脂系にケブラー(KEVLAR)(登録商標)パルプタイプ1F543を添加し、パルプおよび液体マニキュア系を固体構成成分と共に撹拌し、マイクロパルプを有するマニキュア樹脂系を形成することによって、液体マニキュア組成物をマイクロパルプと配合した。液体マニキュア系中のパルプ濃度は、0.5重量%(樹脂/溶媒溶液7465.9g中にパルプ37.5g)であった。
【0046】
直径1mmの球状セラミック媒体1リットルの装填量(73.5%装填量)で、前述のプレミア(Premier)SML媒体ミルを使用した。有機繊維を有する液体マニキュア系の1回目のパスは、ミルを先端速度1800fpm(549mpm)で運転し、284g/分の速度でミルを通流させた。次いで、ミルを先端速度1800〜2000fpm(549〜610mpm)で運転し、材料を620g/分の速度でミルを通して3時間37分再循環させた。この時間中、出力レベルは6.0〜8.0kwの範囲であった。撹拌中ずっと、マイクロパルプの容積平均長さを測定した。この実施例で使用したマイクロパルプの容積平均長さは22μmであった。
【0047】
【表4】

【0048】
固体構成成分をマニキュア樹脂系から除去し、追加の顔料、トルエンスルホンアミド/エポキシ樹脂、および追加の溶媒を添加して、表4に記載の組成を有する有色液体マニキュア組成物を製造した。マイクロパルプの添加以外は同じ成分を有する、対照の液体マニキュア組成物を製造した。マイクロパルプを含有する本発明の組成物ではレオロジー調整剤(ステアラルコニウムヘクトライト)を必要としなかったが、対照ではそれを使用した。
【0049】
【表5】

【0050】
マニキュアをAおよびBと標識し、ここで、Aは対照マニキュアであり、Bは本発明のマニキュアであった。盲検で15人の使用者のパネルにより、両方のマニキュアを評価した。プロのマニキュアリストが各マニキュアを使用者の指の爪に交互に塗布した。マニキュアリストは、試験する有色マニキュア層の他に、市販のベース層およびトップ層を各指の爪に塗布した。マニキュアリストは、最初にエッシー「プロテイン・ベース・コート」(Essi“Protein Base Coat”)のベース層を塗布した後、試験マニキュアA又はBのいずれかを塗布し、その後、エッシー「トゥ・ドライ・フォー」(Essi“To Dry For”)のトップ層を塗布した。更に、甘皮の健康および爪の成長を促進するため、甘皮にソーラー・オイル(Solar Oil)を塗布した。通常
の装着で6〜10日間(平均8日間)の試験期間の終了時に、使用者に表5の質問をしてマニキュアを1〜5の尺度でランク付けしてもらったが、ここで、5は「非常に」で、1は「全く」であった。本発明のマニキュア組成物、「B」の方がどの部類でも好ましかった。
【0051】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】マイクロパルプを含有する本発明の滑らかなマニキュア組成物のデジタル画像の複写である。
【図2】従来技術の粗いマニキュア組成物のデジタル画像の複写である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒、副樹脂、マイクロパルプ、および場合により可塑剤を含んでなる液体マニキュア樹脂系を含んでなり、マイクロパルプの容積平均長さが0.01〜100μmである、液体マニキュア組成物。
【請求項2】
マイクロパルプの容積平均長さが0.1〜50μmである請求項1に記載のマニキュア組成物。
【請求項3】
マイクロパルプが、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフルオロカーボン、フェノール類、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレントリアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、芳香族ポリアミド、およびこれらの混合物よりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項1に記載のマニキュア組成物。
【請求項4】
マイクロパルプが、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、又はポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)ポリマーを含んでなる請求項1に記載のマニキュア組成物。
【請求項5】
副樹脂が、アリール−スルホンアミド−ホルムアルデヒド、アリール−スルホンアミド−エポキシ、ポリビニルブチラール、サンダラック、ポンティアナック(pontianac)、エステルガム、ヘキシルメタクリレート−メチルメタクリレートコポリマー、アクリルエステルオリゴマー、アルキッド、ポリテトラヒドロフラン、ポリアミド、ラウロラクタム−カプロラクタム−ヘキサメチレンジアミンアジペートターポリマー、メラミン、およびこれらの樹脂の混合物よりなる群から選択される請求項1に記載のマニキュア組成物。
【請求項6】
主樹脂を更に含んでなる請求項1に記載のマニキュア組成物。
【請求項7】
マイクロパルプが、組成物の0.001〜2重量%の量で存在する請求項6に記載のマニキュア組成物。
【請求項8】
主樹脂が、ニトロセルロース樹脂である請求項6に記載のマニキュア組成物。
【請求項9】
容積平均長さ0.01μm〜100μmの範囲のマイクロパルプが酢酸ブチル中に分散した分散体を含んでなる、マニキュア溶媒系。
【請求項10】
マニキュア組成物を製造する方法であって、
a)有機繊維を、固体構成成分、並びに、溶媒、副樹脂、および場合により可塑剤を含んでなる液体マニキュア樹脂系と接触させ、
b)有機繊維、液体マニキュア樹脂系、および固体構成成分を撹拌して、有機繊維を、液体マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプに変形させ、そして
c)場合により、固体構成成分を除去する
ことを含んでなる方法。
【請求項11】
液体マニキュア樹脂系を紫外線安定剤又は着色剤と接触させる追加の工程を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
有機繊維が、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリ
フルオロカーボン、フェノール類、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレントリアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、芳香族ポリアミド、およびこれらの混合物よりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
液体マニキュア樹脂系が、ニトロセルロース樹脂を更に含んでなる請求項10に記載の方法。
【請求項14】
マニキュア組成物を製造する方法であって、
a)有機繊維を第1の溶媒および第1の固体構成成分と接触させ、
b)有機繊維、第1の溶媒、および第1の固体構成成分を撹拌して、有機繊維を、第1の溶媒中に分散したマイクロパルプの分散体に変形させ、
c)場合により、第1の固体構成成分を除去し、
d)場合により、第1の溶媒中に分散したマイクロパルプの分散体から第1の溶媒の一部を除去し、そして
e)マイクロパルプを副マニキュア樹脂と合わせて混合し、マニキュア樹脂系中に分散したマイクロパルプを作り出す
ことを含んでなる方法。
【請求項15】
副マニキュア樹脂が、第2の溶媒中の副樹脂の液体系として合わせられる請求項14に記載の方法。
【請求項16】
マイクロパルプおよび液体マニキュア樹脂系を、第2の固体構成成分と接触させて撹拌し、マイクロパルプを更に分散させ、そのサイズを減少させる追加の工程を含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の溶媒と第2の溶媒が同じ溶媒である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
有機繊維が、脂肪族ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリフルオロカーボン、フェノール類、ポリベンズイミダゾール、ポリフェニレントリアゾール、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキサジアゾール、ポリイミド、芳香族ポリアミド、およびこれらの混合物よりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第2の固体構成成分が、撹拌後に除去される請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第1の固体構成成分と第2の固体構成成分が同じ固体構成成分である請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521392(P2006−521392A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509299(P2006−509299)
【出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/009185
【国際公開番号】WO2004/087079
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】