説明

マニピュレータ及びその制御方法

【課題】減速機を使用せずに、バックドライバビリティを高めることができるマニピュレータを提案する。
【解決手段】マニピュレータ11は、第1乃至第5のリンク12乃至14並びに20及び21と、第1の可動スライダ15と、第2の可動スライダ22と、第1乃至第4の固定スライダ16及び17並びに23及び24と、第1乃至第4の駆動源8及び9並びに25及び26とを備える。第2乃至第4のリンクをスライドさせて、第1及び第2の可動スライダ15、22をスライドさせることにより、第1のリンク12を枢軸運動させて、第1のリンク12の速度を可変にして、しかもトルクを可変にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆駆動性を有するマニピュレータ及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図1(A)に示すようなシリアルリンク機構を用いマニピュレータと図1(B)に示した手先までのリンクを並列に繋いでいるパラレルリンク機構を備えたマニピュレータがロボットに使用されている。シリアルリンク機構でロボットの手先力を大きくするためには各関節についているモータの出力を大きくする必要がある。その場合には、モータが重くなるためマニピュレータの可動部分の慣性が大きくなる。そして慣性が大きい状態で他の物体に衝突する可能性を考えずに速い動作をするとマニピュレータが大きな運動量を持ち、マニピュレータがある物体に衝突したときにその物体を破壊してしまう可能性がある。なお可動部の慣性を小さくする方法として、モータを土台部分に設置し、関節をワイヤー及びプーリにより動かし、可動部を軽量化、柔軟化する技術が提案されている[非特許文献1]。しかしワイヤーの塑性変形による伸び、摩擦によるワイヤーの消耗、といった問題がある。産業用ロボットの安全性が低い理由の一つとして回転モータの減速機がある。大きな手先力を確保するためには各関節の回転トルクを大きくする必要がある。そのため回転モータのトルク出力を減速機により増幅している。減速機を使ってトルクの増幅を行った場合、モータ慣性の影響が増大し、また減速機による摩擦が増大するために、外力でモータを回転させてロボットの位置、姿勢を変位させることが困難になる。つまり、バックドライバビリティ(逆可動性)が低いためマニピュレータの安全性の確保が難しくなる。なお、マニピュレータに力覚センサを設置して外力フィードバックし、機械インピーダンスを制御することでマニピュレータは望ましい剛性や柔軟さを実現することが提案されている[非特許文献2及び3]。しかし力覚センサは高価であり大きな力に対して壊れやすい。また関節部分なども含め衝突する可能性がある部分すべてに力覚センサを設置することは難しく、また重量も大きくなるという問題がある。さらに、衝突によりセンサが壊れてしまうという問題もある。機械インピーダンスの制御では衝突で発生する激力の周波数が高いため、激力に反応して激力を軽減する制御を行うことは困難である。
【0003】
また特許文献1には、入力された駆動力を摩擦力に頼ることなく出入力することができ、且つ、減速比を可変にすることが可能な可変減速機を備えたマニピュレータが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−14145号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】斉藤俊:“ワイヤープーリ系を利用した多関節ロボットアームの駆動と制御”、山口大学工学部研究報告50(2)、pp。93-98、2000-03。
【非特許文献2】吉川恒夫:“ロボット制御基礎論”、コロナ社、1988。
【非特許文献3】川崎晴久:“ロボット工学の基礎”、森北出版株式会社、1991。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
安全なロボットに使用可能マニピュレータにはバックドライバビリティが必要である。しかしながら従来は、減速機を使用せずに、バックドライバビリティと剛性の両方を満たすマニピュレータはなかった。
【0007】
本発明の目的は、減速機を使用せずに、バックドライバビリティを高めることができるマニピュレータ及びその制御方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、出力用のリンクの動きとは独立に出力用のリンクを変速できるマニピュレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明のマニピュレータは、第1乃至第3のリンクと、可動スライダと、第1及び第2の固定スライダと、第1及び第2の駆動源とを備えている。第1のリンクは、第1の支点に自由度が1の回り対偶により連結される。可動スライダは、第1のリンクに滑り対偶により連結される。第2のリンクは、可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第3のリンクは、可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第1の固定スライダは、第2のリンクに滑り対偶により連結され且つ第2の支点に自由度が1の回り対偶により連結される。第2の固定スライダは、第3のリンクに滑り対偶により連結され且つ第3の支点に自由度が1の回り対偶により連結される。第1の駆動源は、第2のリンクを第1の固定スライダに対してスライドさせる第1の駆動力を発生する。第2の駆動源は、第3のリンクを第2の固定スライダに対してスライドさせる第2の駆動力を発生する。そして本発明では、第1の駆動力及び第2の駆動力の少なくとも一方により第2及び第3のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、可動スライダが第1のリンクに沿ってスライドするように、第1の支点、第2の支点及び第3の支点の位置関係が定められている。
【0010】
第1の発明のアクチュエータでは、第1のリンク(出力用のリンク)が揺動運動し、しかも第1及び第2のリンクにより剛性を確保して、第1のリンクの速度を可動スライダの位置を変えることにより可変することができる。
【0011】
また本発明のマニピュレータによれば、可動スライダの位置が低い場合と高い場合を比較すると、低い場合では、第1のリンクの速度が大きくなり、行き過ぎ量が大きくなって整定時間が長くなるため第1のリンクの剛性が低くなる。また、可動スライダの位置が高い場合には、第1のリンクの速度は小さくなり、行き過ぎ量が小さくなって整定時間が小さくなり、第1のリンクの剛性が高くなる。したがって本発明のマニピュレータを用いれば、第1のリンクと周囲の物体との接触などの外乱により、第1のリンクの先端位置を変化させたくない場合は、可動スライダの位置を高い状態にしておき、移動中など周囲の物体の安全性を考える必要がある場合は、可動スライダの位置を低い状態にしておく、など場合に応じて第1のリンクの先端が周囲に対して及ぼす特徴を自由に変化させることができる。
【0012】
なお位置関係を、第1の支点が第2の支点と第3の支点との間に位置し且つ第1の支点、第2の支点及び第3の支点が第1のリンクの可動領域を含む共通仮想平面上に位置する関係にすれば、第1及び第2の駆動源の制御が容易になる。
【0013】
第1の駆動源としては、第2のリンクが可動子となり第1の固定スライダが固定子となる第1の直動アクチュエータを用いることができる。また第2の駆動源としては、第3のリンクが可動子となり第2の固定スライダが固定子となる第2の直動アクチュエータを用いることができる。直動アクチュエータは、リニアモータ技術により構成することができるので、制御が容易でしかも安価である。
【0014】
第1の発明のアクチュエータでは、第1のリンク(出力用のリンク)は揺動運動をするが、以下に説明する第2の発明のアクチュエータは、第1のリンクが枢軸運動をする。第2の発明のアクチュエータは、第1乃至第5のリンク、第1及び第2の可動スライダと、第1乃至第4の固定スライダと、第1乃至第4の駆動源とを備えている。第1のリンクは第1の支点に自由度が2の回り対偶により連結される。第1の可動スライダは、第1のリンクに滑り対偶により連結される。第2のリンクは、第1の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第3のリンクは、第1の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第1の固定スライダは、第2のリンクに滑り対偶により連結され且つ第2の支点に自由度が2の回り対偶により連結される。第2の固定スライダは、第3のリンクに滑り対偶により連結され且つ第3の支点に自由度が2の回り対偶により連結される。第1の駆動源は、第2のリンクを第1の固定スライダに対してスライドさせる第1の駆動力を発生する。第2の駆動源は、第3のリンクを第2の固定スライダに対してスライドさせる第2の駆動力を発生する。第2の可動スライダは、第1のリンクに滑り対偶により連結される。第4のリンクは、第2の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第5のリンクは、第2の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結される。第3の固定スライダは、第4のリンクに滑り対偶により連結され且つ第4の支点に自由度が2の回り対偶により連結される。第4の固定スライダは、第5のリンクに滑り対偶により連結され且つ第5の支点に自由度が2の回り対偶により連結される。第3の駆動源は、第4のリンクを第3の固定スライダに対してスライドさせる第3の駆動力を発生する。第4の駆動源は、第5のリンクを第4の固定スライダに対してスライドさせる第4の駆動力を発生する。そして第2の発明では、第1の駆動力及び第2の駆動力の少なくとも一方により第2及び第3のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、第1の可動スライダが第1のリンクに沿ってスライドし、且つ第3の駆動力及び第4の駆動力の少なくとも一方により第4及び第5のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、第2の可動スライダが第1のリンクに沿ってスライドするように、第1の支点乃至第5の支点の位置関係が定められている。
【0015】
マニピュレータを制御するためには、第1の直動アクチュエータ及び第2の直動アクチュエータを連係して制御する制御装置をさらに必要とする。制御装置は、第1のリンク上における可動スライダの位置と第1のリンクの姿勢角度により定まる可動スライダの目標位置を入力として、可動スライダが目標位置に達するように第1の直動アクチュエータの第2のリンク及び第2の直動アクチュエータの前記第3のリンクの位置を制御する。このような制御装置を用いれば、構造的に発揮可能な手先力(第1のリンクの先端の力)を位置制御によって変更可能になるため、推力やトルク制御モードの機能を持たず、位置や速度制御モードのみを有する比較的安価なモーションコントローラなどでも、位置制御による手先力の変更が可能になる。
【0016】
なお制御装置は、目標位置を入力として求めた可動スライドを目標位置に移動させるために必要な第1の直動アクチュエータの推力f1及び第2の直動アクチュエータの推力f2 の合成力fに基づいて、第1の直動アクチュエータの位置指令または速度指令及び第2の直動アクチュエータの位置指令または速度指令を生成するように構成することができる。このようにすると簡単に制御を行うことができる。
【0017】
第2の発明のマニピュレータでは、第1のリンクを枢軸運動させて、しかも第1乃至第4のリンクにより剛性を確保して、第1のリンクの速度を第1及び第2の可動スライダの位置を変えることにより可変することができる。
【0018】
なお位置関係を、第1の支点が第2の支点と第3の支点との間に位置し且つ第1の支点、第2の支点及び前記第3の支点が第1の共通仮想平面上に位置しており、第1の支点が第4の支点と第5の支点との間に位置し且つ第1の支点、第4の支点及び第5の支点が、第1の共通仮想平面と交差する第2の共通仮想平面上に位置している関係にするのが好ましい。
【0019】
また第1の駆動源としては、第2のリンクが可動子となり第1の固定スライダが固定子となる第1の直動アクチュエータを用いることができる。第2の駆動源としては、第3のリンクが可動子となり第2の固定スライダが固定子となる第2の直動アクチュエータを用いることができる。第3の駆動源としては、第4のリンクが可動子となり第3の固定スライダが固定子となる第3の直動アクチュエータを用いることができる。第4の駆動源としては、第5のリンクが可動子となり第4の固定スライダが固定子となる第4の直動アクチュエータを用いることができる。
【0020】
本発明のマニピュレータの制御方法は、可動スライダの位置を第1のリンクの固定端から自由端に向かって変位させて第1のリンクの速度を加速し、スライダの位置を第1のリンクの自由端から固定端に向かって変位させて第1のリンクの速度を減速する。また可動スライダの位置を第1のリンクの固定端から自由端に向かって変位させて第1のリンクのトルクを増加し、スライダの位置を第1のリンクの自由端から固定端に向かって変位させて第1のリンクのトルクを減少させる。本発明の制御方法によれば、減速機を用いることなく、第1のリンク(出力用のリンク)の速度及びトルクを可変することができる。
【0021】
第2の発明のマニピュレータも、その制御のためには、第1の直動アクチュエータ乃至前記第4の直動アクチュエータを連係して制御する制御装置を有する。この制御装置は、第1のリンク上における可動スライダの位置と前記第1のリンクの姿勢角度により定まる可動スライダの目標位置を入力として、可動スライダが目標位置に達するように第1の直動アクチュエータの第2のリンク、第2の直動アクチュエータの第3のリンク、第3の直動アクチュエータの第4のリンク及び第4の直動アクチュエータの第5のリンクの位置を制御する。そして制御装置は、目標位置を入力として求めた可動スライドを目標位置に移動させるために必要な第1の直動アクチュエータの推力f1、第2の直動アクチュエータの推力f2 、第3の直動アクチュエータの推力f3及び第4の直動アクチュエータの推力f4 の合成力fに基づいて、第1の直動アクチュエータ乃至第4の直動アクチュエータのそれぞれの位置指令または速度指を生成するように構成するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(A)及び(B)は、従来のマニピュレータに用いる機構の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態のマニピュレータの基本構成を示す図である。
【図3】直動アクチュエータの構造を示す図である。
【図4】(A)乃至(C)は、可動スライダの位置の相違により速度が変わることを説明するために用いる図である。
【図5】可動スライダの位置の相違によりトルクが変わることを説明するために用いる図である。
【図6】第2の実施の形態のマニピュレータの基本構成を示す図である。
【図7】使用する定数を示す図である。
【図8】使用する定数を示す図である。
【図9】(A)及び(B)は、オフセットタイプのマニピュレータの基本構成を示す図である。
【図10】使用する定数を示す図である。
【図11】使用する定数を示す図である。
【図12】(A)乃至(C)は、使用する定数を示す図である。
【図13】使用する定数を示す図である。
【図14】運動学で用いた定数の値を示す図である。
【図15】手先位置の検出を説明するために用いる図である。
【図16】速度制限を説明するために用いる図である。
【図17】負荷が有る場合の応答特性を説明するために用いる図である。
【図18】応答特性の測定結果を示す図である。
【図19】第1の実施の形態のマニピュレータを制御装置により制御するステップを説明するために用いる定数を示す図である。
【図20】速度指令モードで制御装置を動作させる場合のソフトウエアのアルゴリズムの一例を示している。
【図21】(A)及び(B)は、それぞれ制御装置で制御する場合における変速比と、可動スライダの位置及び姿勢角度との関係を示す図である。
【図22】(A)は第1のリンクの姿勢角度を90 [deg] とした場合の変速比と可動スライダの位置の関係を示し、(B)は可動スライダの位置を0.1[m] とした場合の変速比と姿勢角度の関係を示す図である。
【図23】図6に示したマニピュレータを制御装置で制御する場合の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明のマニピュレータ及びその制御方法の実施の形態を詳細に説明する。図2は、第1の実施の形態のマニピュレータ1の基本構成を示す図である。このマニピュレータ1は、第1乃至第3のリンク2乃至4と、可動スライダ5と、第1及び第2の固定スライダ6及び7と、第1及び第2の駆動源8及び9とを備えている。第1のリンク2は、固定端が第1の支点S1に自由度が1の回り対偶により連結され、自由端が出力部となる出力用のリンクである。具体的に、第1のリンク2は、図の紙面と直交する方向に延びる仮想線を中心にして回る回り対偶により回動可能に支点S1に支持されている。可動スライダ5は、第1のリンク2に滑り対偶により連結されている。第2のリンク3は、可動スライダ5に自由度が1の回り対偶により一端(固定端)が連結されており、他端は自由端となっている。具体的には、第2のリンク3は、図の紙面と直交する方向に延びる仮想線を中心にして回る回り対偶により回動可能に可動スライダ5に連結されている。第3のリンク4は、可動スライダ5に自由度が1の回り対偶により一端(固定端)が連結されており、他端は自由端となっている。具体的には、第3のリンク4は、図の紙面と直交する方向に延びる仮想線を中心にして回る回り対偶により回動可能に可動スライダ5に連結されている。
【0024】
第1の固定スライダ6は、第2のリンク3に滑り対偶により連結され且つ第2の支点S2に自由度が1の回り対偶により連結されている。具体的には、第1の固定スライダ6は、図の紙面と直交する方向に延びる仮想線を中心にして回動する回り対偶により回動可能に支点S2に支持されている。第2の固定スライダ7は、第2のリンク4に滑り対偶により連結され且つ第3の支点S3に自由度が1の回り対偶により連結されている。具体的には、第1の固定スライダ7は、図の紙面と直交する方向に延びる仮想線を中心にして回動する回り対偶により回動可能に支点S3に支持されている。
【0025】
第1の駆動源8は、第2のリンク3を第1の固定スライダ6に対してスライドさせる第1の駆動力を発生する。本実施の形態では、第1の駆動源8として、第2のリンク3が可動子となり第1の固定スライダ6が固定子となる第1の直動アクチュエータを用いる。また第2の駆動源9は、第3のリンク4を第2の固定スライダ7に対してスライドさせる第2の駆動力を発生する。本実施の形態では、第2の駆動源9として、第3のリンク4が可動子となり第2の固定スライダ7が固定子となる第2の直動アクチュエータを用いる。第1及び第2の直動アクチュエータとしては、図3に示すようなリニアモータ(シャフトモータ)と同様の構造を備えたものを用いることができる。図3のリニアモータ(シャフトモータ)は、コイルCが取り付けてあるステータ部分(第1及び第2の固定スライダ6及び7)に対してシャフト部分(第2のリンク3または第4のリンク4)が直線的に動く。シャフトは磁石をN極同士、S極同士を接合した構造になっており、シャフトを中心に放射状に磁力線が延びるように磁力を発生する。このシャフトを取り囲むコイルCに電流が流れると、フレミングの左手の法則によりシャフトとステータ部分の間にローレンツ力が発生する。このローレンツ力により直動運動がおきる。このような直動アクチュエータ(シャフトモータ)の特徴は、ステータとシャフトとの間に摩擦がないことである。そのためバックドライバビリティが高く、静かな動作が可能である。
【0026】
第1の支点S1、第2の支点S2及び第3の支点S3は、第1の駆動力及び第2の駆動力の少なくとも一方により第2及び第3のリンク3及び4の少なくとも一方をスライドさせたときに、可動スライダ5が第1のリンク2に沿ってスライドするように定められている。具体的には、第1の支点S1が第2の支点S2と第3の支点S3との間に位置し且つ第1の支点S1、第2の支点S2及び第3の支点S3が第1のリンク2の可動領域を含む共通仮想平面(図の紙面を含む面)上に位置する位置関係が成立している。
【0027】
本実施の形態では、図4(A)に示すように可動スライダ5の位置が高い位置になるようにして且つ第1のリンク2を回動させるように、第1及び第2の駆動源8及び9を駆動して第2及び第3のリンク3及び4並びに可動スライダ5を移動させると、第1のリンク2の回転速度が遅くなるものの、第2のリンク2の回転トルクは大きくなる。逆に、図4(B)に示すように可動スライダ5の位置が低くなるようにして且つ第1のリンク2を回動させるように、第1及び第2の駆動源8及び9を駆動して第2及び第3のリンク3及び4並びに可動スライダ5を移動させると、第1のリンク2の回転速度が速くなるものの、第2のリンク2の回転トルクは小さくなる。従って本実施の形態のマニピュレータ1は、図4(C)に示すように、無段変速機構と同様に、第2のリンク2を移動させることと同時に、変速することができる。また、力が足りない場合は、図5に示すように可動スライダ5の位置を上げることにより、トルクを大きくすることができる。
【0028】
図6には、第2の発明のマニピュレータ11の実施の形態の斜視図を示している。図6には、図2の第1の実施の形態と同様の部材には、図2に付した符号と同じ符号を付してある。このマニピュレータ11は、第1乃至第5のリンク12乃至14並びに20及び21と、第1の可動スライダ15と、第2の可動スライダ22と、第1乃至第4の固定スライダ16及び17並びに23及び24と、第1乃至第4の駆動源18及び19並びに25及び26とを備えている。第1のリンク12は、固定端が第1の支点S1に自由度が2の回り対偶により連結され、自由端が出力部となる出力用のリンクである。具体的に、第1のリンク12は、球状対偶により回動可能に支点S1に支持されている。第1の可動スライダ15は、第1のリンク12に滑り対偶により連結されている。第2のリンク13は、第1の可動スライダ15に自由度が1の回り対偶により一端(固定端)が連結されており、他端は自由端となっている。第3のリンク14は、第1の可動スライダ15に自由度が1の回り対偶により一端(固定端)が連結されており、他端は自由端となっている。
【0029】
第1の固定スライダ16は、第2のリンク13に滑り対偶により連結され且つ第2の支点S2に自由度が2の回り対偶により連結されている。第2の固定スライダ17は、第2のリンク14に滑り対偶により連結され且つ第3の支点S3に自由度が2の回り対偶により連結されている。
【0030】
第1の駆動源18は、第2のリンク13を第1の固定スライダ16に対してスライドさせる第1の駆動力を発生する。本実施の形態では、第1の駆動源18として、第2のリンク13が可動子となり第1の固定スライダ16が固定子となる第1の直動アクチュエータを用いる。また第2の駆動源19は、第3のリンク14を第2の固定スライダ17に対してスライドさせる第2の駆動力を発生する。本実施の形態では、第1の駆動源19として、第3のリンク14が可動子となり第2の固定スライダ17が固定子となる第2の直動アクチュエータを用いる。
【0031】
第2の可動スライダ22は、第1のリンク12に滑り対偶により連結されている。第4のリンク20は、第2の可動スライダ22に自由度が1の回り対偶により一端が連結されている。第5のリンク21は、第2の可動スライダ22に自由度が1の回り対偶により一端が連結されている。第3の固定スライダ23は、第4のリンク20に滑り対偶により連結され且つ第4の支点S4に自由度が2の回り対偶により連結されている。第4の固定スライダ24は、第5のリンク21に滑り対偶により連結され且つ第5の支点S5に自由度が2の回り対偶により連結されている。第3の駆動源25は、第4のリンク20を第3の固定スライダ23に対してスライドさせる第3の駆動力を発生する。第4の駆動源26は、第5のリンク21を第4の固定スライダ24に対してスライドさせる第4の駆動力を発生する。本実施の形態では、第3及び第4の駆動源25及び26として第3及び第4の直動アクチュエータを用いている。
【0032】
そして本実施の形態では、第1の駆動力及び第2の駆動力の少なくとも一方により第2及び第3のリンク13及び14の少なくとも一方をスライドさせたときに、第1の可動スライダ15が第1のリンク12に沿ってスライドし、且つ第3の駆動力及び第4の駆動力の少なくとも一方により第4及び第5のリンク20及び21の少なくとも一方をスライドさせたときに、第2の可動スライダ22が第1のリンク12に沿ってスライドするように、第1の支点S1乃至第5の支点S5の位置関係が定められている。具体的な位置関係としては、第1の支点S1が第2の支点S2と第3の支点S3との間に位置し且つ第1の支点S1、第2の支点S2及び第3の支点S3が第1の共通仮想平面上に位置しており、第1の支点S3が第4の支点S4と第5の支点S5との間に位置し且つ第1の支点S1、第4の支点S4及び第5の支点S5が、第1の共通仮想平面と交差する第2の共通仮想平面上に位置している関係にある。
【0033】
このマニピュレータ11では、第1のリンク12を枢軸運動させて、しかも第1乃至第4のリンク12、14、20及び21により剛性を確保して、第1のリンク12の速度及びトルクを第1及び第2の可動スライダ15及び22の位置を変えることにより可変することができる。
【0034】
このマニピュレータ11は、第1のリンク12が2自由度を有する回り対偶で支点S1に支持されており、第1乃至第4の固定スライダ16,17,23及び24が支点S2乃至S5に2自由度を有する回り対偶によって支持されている。これらの自由度は独立しており、機構全体として4自由度有している。第1乃至第4の駆動源18,19,25及び26は、第1乃至第4のリンク12,14、20及び21のスライド量を独立に変えることができるようになっており、第1乃至第4のリンク12,14,20及び21のスライド長さを固定すると、第1及び第2の可動スライダ15及び22の位置及び第1のリンク12の位置は固定になる。第1及び第2の可動スライダ15及び22の位置を制御する場合、第1乃至第4のリンク12,14、20及び21のスライド長さと、第1及び第2の可動スライダ15及び22の位置の幾何学的関係を求める必要がある。このマニピュレータ11の機構の運動学を以下に導出する。
【0035】
図6に示す複数の変数と、中心関節部分(支点S1)に原点を合わせて固定した直行座標系を考え、第1乃至第4の駆動源18,19、25及び26により変えることのできる長さをl1,l2,l3,l4とし、制御したい部分である第1のリンク12の先端の位置をx,yとし、原点(S1)と第1及び第2の可動スライダ15及び22との間の距離をb,byとして幾何学的な関係を求める。
【0036】
図7に示すように、x軸上に位置を固定している第1及び第2の駆動源18及び19と中心関節(S1)と、可動スライダ(15,22)の接点を含む平面を考え、角度qと定数a、L(図6)を考える。l1とqとbの関係は余弦定理より、
【数1】

【0037】
となる。同様に、
【数2】

【0038】
となる。式(1)と式(2)から整理すると、
【数3】

【0039】
となる。また、
【数4】

【0040】
であり、この式(5)と式(3)から、
【数5】

【0041】
となる。また、式(1) 、式(2) 、式(6)から、
【数6】

【0042】
となる。
【0043】
y軸上の第1及び第2の駆動源25及び26、中心関節(S1)、第2の可動スライダ22を含む平面も同様に考えるとパラメータは図8及び式(9)〜(13)に示すようになる。
【数7】

【0044】
となる。また制御する位置をベクトルを、
【数8】

【0045】
と表現し、第3及び第4のリンク20及び21の位置をベクトルとして、
【数9】

【0046】
と表現する。式(7) ,式(8) ,式(12) ,式(13)から、
【数10】

【0047】
となる。また、式(4) ,式(6) ,式(10) ,式(11)から、
【数11】

【0048】
が導け、
【数12】

【0049】
となる。ここで
【数13】

【0050】
である。また式(18)から、
【数14】

【0051】
とすることができる。式(16)と式(20)の関係式を使い位置制御を行う。
【0052】
また、図9(A)及び(B)のようにオフセットc,cyを設けた場合は設けない場合に比べて接点の位置を低くとることができ、また2つの可動スライダ15及び22(図7点Aと図8の点B)が接近した場合も幾何学的な干渉を減らすことができる。オフセットがある場合、第2乃至第5のリンク13,14,20及び21のスライド長さは
【数15】

【0053】
であり、l1,l2,l3,l4との関係は余弦定理から、
【数16】

【0054】
となる。
【数17】

【0055】
とすると、式(21) ,式(22) ,式(23) ,式(24)を用いることで、
【数18】

【0056】
と導ける。図9(A)及び(B)のようにオフセットを設けた場合は位置制御をする際に、式(26) 、式(28)を用いる。
【0057】
なお第1のリンク12の先端にリンクを追加して追加リンクの位置を制御する場合や、動力学モデルを導出して制御則の安定性を評価するためのシミュレーションを行う場合は第1のリンク12や駆動源の姿勢や重心の位置を求める必要がある。図10のように変数、座標系をきめ、各座標系の姿勢RL,R1,R2,R3,R4と、重心の位置pL,p1,p2,p3,p4を求める。
【0058】
まず図11に示すようRLとpLを考えると、
【数19】

【0059】
となる。
【0060】
また、図中のφLx,φLyは、
【数20】

【0061】
から、
【数21】

【0062】
第1のリンクの姿勢RLは、RLをR0に一致させた状態からxL軸でφLx回転の後、zL軸で−(π/2−q)回転したものであるため、
【数22】

【0063】
となる。図12(A)からR1とp1を考える。余弦定理から、
【数23】

【0064】
となり、
【数24】

【0065】
となる。また、
【数25】

【0066】
であり、
【数26】

【0067】
となる。第2のリンク13の姿勢R1は、R1をR0に一致させた状態からx1軸でφ1x回転の後、z1軸で(π/2−θ1)回転したものであるため、
【数27】

【0068】
となる。図12(B)及び図12(C)及び図13から同様に考えて、
【数28】

【数29】

【数30】

【数31】

【0069】
となる。
【0070】
次に製作した機構を用いて、第1及び第2の可動スライダ15及び22の高さが高い場合と低い場合の評価を目的とした実験を行った。まず、高さの違いによる第1のリンクのトルク(力)の変化の測定を行う実験を行い、次に4つの駆動源のうち2つの駆動源を使い、2次元で第1のリンク12の先(手先)を振る動作により、手先速度の違いを計測する実験、手先に重りを付け手先位置の応答の特徴を評価する実験を行った。実験時の位置制御は第1のリンクの送り速度vを第2乃至第5のリンク13,14,20及び21のスライド速度をv1,v2,v3,v4とし、
【数32】

【0071】
とし、目標位置を
【数33】

【0072】
とする。式(28)に対応させて、制御則を
【数34】

【0073】
として、位置制御を行った。ここで,Kp、Kvは対角行列である。また、シャフトモータから返ってくるシャフトモータの位置データ、速度データから式(27) 、式(28) を用いて
【数35】

【0074】
を求める。この制御則を用いると、Kp,Kvを変化させるとx,y,b,byのゲインを独立に設定することができる。本実験機で運動学で用いた定数の値は図14に示す通りである。また、第1乃至第4の駆動源18,19,25及び26のモーションコントローラはさまざまなパラメータを設定できる。実験を行う上で多くのパラメータはデフォルトの値を用いたが、シリアル通信の通信速度は9600[baud]から15200[baud]に変更した。またシリアル通信の1つのチャンネルにモーションコントローラを4つ並列に接続しており、4つを区別するためのノードアドレスはデフォルトの0からシャフトモータのそれぞれに1,2,3,4と振り分けた。この条件で式(55)の制御則を用いたフィードバックループのサンプリングタイムは0.045[msec]程度より早くすることができなかったため、サンプリングタイムは0.05[msec]とした。また、式(55)の定数Kp,Kvはそれぞれ、
【数36】

【0075】
とした。
【0076】
次に第1のリンク12の先端の速度(手先速度)の計測を行った。この実験は第1及び第2の可動スライダ15及び22の高さの違いによる、手先速度の比較を目的として行った。図15においてbyの値を変えてy方向に手先を移動させたときの手先位置の測定をした。まず、
【数37】

【0077】
の位置に静止した状態から、目標位置を
【数38】

【0078】
とした場合のyの応答を計測している。このとき、機構の違いによる速度の違いを測定するために第1乃至第4の駆動源18,19,25及び26に送信する速度であるvに速度制限20[mm]を設けた。その結果が図16である。位置byが低い場合は速度が大きく、高い場合は速度が小さくなった。この結果から可動スライダ15及び22の位置を変えることは、手先に対して変速していることを意味しており、位置byが低い場合と比較すると高い場合は手先力が大きくなる。
【0079】
次に第1のリンク12の先端に重りを付けた場合の応答を実験した。この実験は可動スライダ15及び22の高さの違いによる、手先応答の特徴を比較することを目的として行った。図17に示すように第1のリンク12の先端に122[g]の重りをつけて、可動スライダの位置byの値を変えてy方向に第1のリンク12の先端を移動させたときの先端(手先位置)の測定をした。まず、
【数39】

【0080】
の位置に静止した状態から、目標位置を
【数40】

【0081】
とした場合のyの応答を計測した。その結果を図18に示す。可動スライダの位置byが低い場合と高い場合を比較すると、低い場合は行き過ぎ量が大きく整定時間が長くなっている。これは第1のリンク12の先(手先)が柔らかくなっていることを示している。また高い場合は行き過ぎ量が小さく整定時間が小さい。これは第1のリンク12の先(手先)の剛性が高くなっていることを示している。
【0082】
次に図19を参照して、上記第1のマニピュレータの制御を制御装置30を用いて実施する場合の一例について説明する。制御装置30は、第1のリンク2上における可動スライダ5の位置と第1のリンク2の姿勢角度θbにより定まる可動スライダ5の目標位置を入力として、可動スライダ5が目標位置に達するように第1の直動アクチュエータDA1の第2のリンク3及び第2の直動アクチュエータDA2の第3のリンク4の位置を制御する。このような制御装置30を用いれば、構造的に発揮可能な手先力(第1のリンク2の先端の力)を位置制御によって変更可能になるため、推力やトルク制御モードの機能を持たず、位置や速度制御モードのみを有する比較的安価なモーションコントローラなどでも、位置制御による手先力の変更が可能になる。
【0083】
なおこの制御装置30は、後に詳しく説明するように、目標位置を入力として求めた、可動スライド5を目標位置に移動させるために必要な第1の直動アクチュエータDA1(第1の駆動源8)の推力f1及び第2の直動アクチュエータDA2(第2の駆動源9)の推力f2 の合成力fに基づいて、第1の直動アクチュエータDA1の位置指令または速度指令及び第2の直動アクチュエータDA2の位置指令または速度指令を生成する。図20には、速度指令モードで制御装置30を動作させる場合のソフトウエアのアルゴリズムの一例を示している。なおこのアルゴリズムについては、後に説明する。
【0084】
図19においては、第1のリンク2の中心位置を慣性座標系原点Oとして向かって右方向をx軸、鉛直上向きをy 軸と設定し、重力はy 軸に対して負方向に働くとする。また、慣性座標系での第1のリンク2の先端位置ベクトルをx= [x,y]T ∈R2、第1及び第2の直動アクチュエータの第1及び第2の固定スライダ6及び7の回転中心と可動スライダ5との間の距離(シャフト変位量)及び第2のリンク3及び第3のリンク4とベース部分との間の角度をそれぞれli,φi とし、第1及び第2の直動アクチュエータの第2及び第3のリンク3及び4の変位量ベクトルをqi= [li, φi]T ∈R2 (i= 1,2) とする。ここで添え字i=1 は第2の直動アクチュエータ(右側)、i=2 は第1の直動アクチュエータ(左側)を表す。各第1及び第2の固定スライダ6及び7の回転中心と原点Oまでの距離をa、第1のリンク2の長さをLとし、ベース部分に対する第1のリンク2の姿勢角度をθa(θb )とする。また、原点Oを起点とした極座標をとり、可動スライダ5の極座標位置ベクトルをqb = [r,θb]T ∈ R2 とする。本実施の形態では、第1のリンク2の可動範囲を、ベース部分に接触しない範囲として0 [deg] < θa < 180 [deg] と定める。
【0085】
第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2の第2及び第3のリンク2及び4の並進方向変位量li(i= 1,2) と、可動スライダ5に関する極座標位置ベクトルqb との関係は、余弦定理を用いて以下のように表される。
【数41】

【0086】
式(62)を時間微分すると、以下の式を得る。
【数42】

【0087】
l= [l1,l2]T ∈ R2 とおくと、式(63)は以下のように表される。
【数43】

【0088】
ここで
【数44】

【0089】
であり、上記式中のJbは第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2の第2及び第3のリンク3及び4の伸縮速度ベクトルに関する可動スライダ5の極座標速度qb のヤコビ行列を表す。また、可動スライダ5の極座標位置ベクトルqb は、各直動アクチュエータの変位量li (i= 1,2) を用いて以下のように表される。
【数45】

【0090】
本実施の形態では、拘束条件をマニピュレータのモデル化において、以下のように仮定する。
【0091】
・第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2の第2及び第3のリンク3及び4の伸縮に伴う摩擦は微小として考慮しない。
【0092】
・可動スライダ5と第1のリンク1の間の摩擦は微小として考慮しない。
【0093】
・可動スライダ5は質点と見なし、自身の回転運動によるモーメントは微小として考慮しない。
【0094】
上記の仮定の下、システム全体を第1及び第2の直動アクチュエータ部分、可動スライダ部分、第1のリンク部分の3つに分割してモデル化を行う。その際、それぞれの部分間においてホロノミックな幾何拘束が成立する。以下に、これら3つの部分間における拘束条件を導出する。
【0095】
<可動スライダ5−第2のリンク3間の幾何拘束>
可動スライダは質点と仮定しており、その慣性座標系での位置は、極座標変数を用いて[r cos θb, r sin θb]T ∈R2として表される。第2のリンク3の先端位置と可動スライダ5の位置は等しいことから、以下のホロノミックな幾何拘束条件が成立する。
【数46】

【0096】
<可動スライダ5−第3のリンク4間の幾何拘束>
第2のリンク3と同様に、可動スライダ5の位置と第3のリンク4の先端位置の間のホロノミックな幾何拘束条件は以下のように表される。
【数47】

【0097】
<可動スライダ5−第1のリンク2間の幾何拘束>
可動スライダ5は、第1のリンク2上を滑るため,その位置は第1のリンク2の姿勢によるホロノミックな幾何拘束を受ける.すなわち,可動スライダ5の極座標角度θbは、第1のリンク2の姿勢角度θaと一致する。すなわちホロノミック拘束は、hθ=θa−θb=0 となる。上記式で表された3つのホロノミック拘束によって、各部分の運動が連動する。
【0098】
次に図19の制御装置30で採用する制御則について説明する。本実施の形態では、PD(比例微分)フィードバックによる第1のリンク2の先端(手先)の姿勢角度θaと、可動スライダ5の第1のリンク2上での位置r を同時に制御する。前述の式(64)により、第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2の第2のリンク3及び第3のリンク4の伸縮速度と可動スライダ5の速度がヤコビ行列によって関連づけられており、また、前述のhθ=θa−θb=0で表された拘束条件により、可動スライダ5の極座標角度θbは第1のリンク2の角度θaと等しいことから、以下のような制御入力を構築する。
【数48】

【0099】
上記式において、f = [f1, f2]T ∈R2であり、f1 及びf2 は第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2への入力(推力)であり、fは合成力である。また、Δqb= qb −qbd、qbd =[rd,θbd]T ∈R2であり、rd は第1のリンク2上における可動スライダ5の目標位置、θbd は可動スライダ5の目標姿勢角度(=第1のリンク2の目標姿勢角度θad)を表している。式(69)の右辺の第1項に含まれるKはK= diag[kr,kθ] > 0は、第1のリンク2の先端が動作する空間における比例フィードバックゲインを表しており、式(69)の右辺の第2項に含まれるC= diag[c1, c2] > 0は、第1及び第2の直動アクチュエータが動作する空間における微分フィードバックゲインをそれぞれ表している。
【0100】
ここで第1のリンク2の先端に加わる外力FをF=0として、式(69)で表された第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2への入力を第1及び第2の直動アクチュエータ、可動スライダ及び第1のリンクの運動方程式に代入し、出力ベクトルを各速度として入力との内積和をとると、以下の式を得る。
【数49】

【0101】
ここで
【数50】

【0102】
上記式で、U(t) は重力によるポテンシャルの総和を表す。今、V(t)>>U(t) となるように比例フィードバックゲインKを十分大きく設定し、前述のホロノミック拘束条件を考慮すると、W(t) は全ての状態変数について非負定となる。すなわち、W(t)≧0はLyapnov関数となり、La Salleの不変定理よりシステムの収束性が保証される。したがって上記式(69)により求められる推力f1及びf2からなる合成力fに基づく比例微分フィードバック制御が、収束性を有することが理論的に確認できた。なお上記の説明では、構造の変化(無段変速機構)による最大推力について考慮し、モータのサーボ剛性については考慮していない。したがって高ゲインによる比例微分フィードバックを前提としており、また、その値も一定であると仮定している。
【0103】
次に制御装置30によるマニピュレータの静力学解析について説明する。今、第1のリンク2の先端に加わる外力JT Fと第1のリンク2の先端の推力がつり合い、システム全体の運動が静止していると仮定すると、静力学モデルは以下のように表される。
【数51】

【0104】
上記式(74)より、第1及び第2の直動アクチュエータDA1及びDA2と可動スライダ5との間に発生する拘束力λ1及びλ2はそれぞれ以下のように求められる。
【数52】

【0105】
また、可動スライダ5と第1のリンク2の間の拘束力λθ は上記式(74)より以下のように求まる。
【数53】

【0106】
式(76),(77)を式(75)に代入して整理すると、第1のリンク2上の可動スライダ5の位置r についてのつり合い条件、及び可動スライダ5の姿勢角度θb(=第1のリンク2の姿勢角度θa)についてのつり合い条件として、それぞれ以下の関係式を得る。
【0107】
< r についてのつり合い条件>
【数54】

【0108】
<θb=(θa)についてのつり合いの条件>
【数55】

【0109】
ここで第1のリンク2の先端の推力Fの大きさをF [N] とし、外力F は第1のリンク2の軸方向に対して直交していると仮定する。すなわち、第1のリンク2の先端の位置ベクトルx に対してx ⊥ F が常に成立しており、その場合、外力JTF = LF と表される。
【0110】
今、第2及び第3のリンク3及び4の長さを0.082m、第1のリンク2の長さを0.150m、第1及び第2のアクチュエータと可動スライダ5との間の長さを0.041m、第1のリンク2上の可動スライダ5の位置を0.075m、第2及び第3のリンク3及び4の重量を0.034kg、可動スライダ5の重さを0.010kg、第1のリンク2の重さを0.016kg、第1及び第2のリンク3及び4のイナ−シャを1.91×10-5kg.m2、第1のリンク2のイナ−シャを3.00×10-5kg.m2で与えられるパラメータを有する具体的なシステムについて、直動アクチュエータの出力をf1 = 3.0 [N] として式(78),(79)で与えた力のつり合い条件が満たされており、運動が静止しているとする。ここで外力F は、自重によって発生する第1のリンク2の周りのモーメントと同じ方向に与えられるとする。すなわち、各直動アクチュエータの出力は外力Fと自重によるモーメントの合力に対してつり合っており、自重は見かけ上の最大推力を減少させる方向に働く。以上の条件の下、可動スライダ5の姿勢角度θb(第1のリンク2の姿勢角度θa)を0 [deg] < θb < 90 [deg]、可動スライダ5の位置を0 [m] < r < 0.1 [m] の範囲で変化させた場合の推力Fとの関係を図21(A)に示す。この図より、第1のリンク2の角度が90 [deg] に近いほど、また、第1のリンク2上の可動スライダ5の位置r が大きいほど、推力が大きくなることが分かる。また、第1のリンク2の角度が0 [deg] に近くなるにつれて非線形性が強くなり、特にr = a(= 0.067) [m] 近辺において、r の変化に対する推力の大きさFの変化の感度が大きいことが分かる。これは、θb=0 かつr = a で可動スライダ5の位置と直動アクチュエータのベースとの接続位置が重なることによるが、本実施の形態で考慮している可動範囲外であるため、特に問題とはならない。一方、図21(A)は直動アクチュエータ1の出力を3.0 [N] に固定した場合の推力とr、θbの関係を表している。この場合には、可動スライダ5の位置と角度の釣り合いから、直動アクチュエータの出力は一意に決まり、その力は3.0 [N] に固定される訳ではない。よって、図21(A)からだけ
では、推力Fの増減が単純に可動スライダ5の位置r及び姿勢角度θb だけに依存しているとは言い切れない。そこで、新たに変速機能を評価する指標として、推力Fと第1及び第2の直動アクチュエータの出力合計の比νを変速比として以下のように設定する。
【数56】

【0111】
式(80)で表された変速比νと、可動スライダ5の位置r及び姿勢角度θbとの関係を図21(B)に示す。この図より、図21(A)で示した力Fとの関係とほぼ同じ傾向を示している。すなわち、推力Fは可動スライダ5の位置rに依存して変化することを示しており、本実施の形態の構造が、無断変速機能を有していることが確認できる。また、図22(A)に第1のリンク2の姿勢角度をθb=90 [deg] とした場合の変速比νと可動スライダ5の位置rの関係を示し、図22(B)に可動スライダ5の位置をr=0.1[m]とした場合の変速比νと姿勢角度θbの関係をそれぞれ示す。これらの図より、第1のリンク2の直立姿勢周りにおいて、可動スライダ5の位置rに対する変速比νの変化は全体的に緩やかな弧を描いており、非線形性は比較的弱く、本実施の形態の機構による変速機能は扱いやすいことが判る。同様に姿勢角度θbに対する変速比νの変化についても緩やかな弧を描いており、特に第1のリンク2の姿勢角度θbが大きくなるほど線形に近い関係となっている。逆に、第1のリンク2の姿勢角度θbが小さい領域(< 40 [deg] 程度)では、変速比の変化率がやや大きくなっている。
【0112】
図20は、制御装置30を速度指令モードで動作させ場合のアルゴリズムの一例を示している。このアルゴリズムは、指令を発生する指令発生用コンピュータとモータコントローラとで実施される。ステップST1で可動スライダ5の目標位置を設定する。目標位置が設定されると、ステップST2で位置データ及び速度データの要求指令がモータコントローラに出力され、モータコントローラはステップST3で第1及び第2の直動アクチュエータから位置データ及び速度データを取得する。ステップST4では、モータコントローラから位置データ及び速度データを受信し、ステップST5でモータコントローラに送信する速度指令vを演算する。ステップST6で速度指令が0になっているか否かの判定を行い、速度指令が0でなければモータコントローラに速度指令を送信する。モータコントローラは、速度指令を受信すると、ステップST7で速度制御を実行する。ステップST6で速度指令が0になったことを判定すると、ステップST8で目標位置到達となり、動作を終了する。なお速度指令モードではなく、位置指令の発生を基準とする位置指令モードで制御装置30を動作させてもよいのは勿論である。
【0113】
図23に示すように、図6に示したマニピュレータ11を制御装置30で制御する場合には、第1の直動アクチュエータDA1乃至前記第4の直動アクチュエータDA4を連係して制御する。制御装置30は、第1のリンク12上における可動スライダ22の位置と第1のリンク12の姿勢角度により定まる可動スライダ22の目標位置を入力として、可動スライダ22が目標位置に達するように第1の直動アクチュエータDA1の第2のリンク13、第2の直動アクチュエータDA2の第3のリンク14、第3の直動アクチュエータDA3の第4のリンク20及び第4の直動アクチュエータDA4の第5のリンク21の位置を制御する。なおこの場合も、制御装置30は、目標位置を入力として求めた可動スライド22を目標位置に移動させるために必要な第1の直動アクチュエータDA1の推力f1、第2の直動アクチュエータDA2の推力f2 、第3の直動アクチュエータDA3の推力f3及び第4の直動アクチュエータDAの推力f4 の合成力fに基づいて、第1の直動アクチュエータDA1乃至第4の直動アクチュエータDA4のそれぞれの位置指令または速度指令を生成する。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明のマニピュレータは、バックドライバビリティを有した、人の肩関節や股関節のような一点で2自由度や3自由度の回転が可能である関節の駆動に利用できる。本発明のマニピュレータは1自由度の回転に対して2つの駆動源を用いてトルクを足し合わせることが可能である。また本発明のマニピュレータによれば、可動スライダの位置を変えることにより、無段変速機構となる。
【符号の説明】
【0115】
1、11 マニピュレータ
2、12 第1のリンク
3、13 第2のリンク
4、14 第3のリンク
5 可動スライダ
6、16 第1の固定スライダ
7、17 第2の固定スライダ
8、18 第1の駆動源
9、19 第2の駆動源
15、22 第1及び第2の可動スライダ
20 第4のリンク
21 第5のリンク
23 第3の固定スライダ
24 第2の固定スライダ
25 第3の駆動源
26 第2の駆動源
30 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第1のリンクと、
前記第1のリンクに滑り対偶により連結された可動スライダと、
前記可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第2のリンクと、
前記可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第3のリンクと、
前記第2のリンクに滑り対偶により連結され且つ第2の支点に自由度が1の回り対偶により連結された第1の固定スライダと、
前記第3のリンクに滑り対偶により連結され且つ第3の支点に自由度が1の回り対偶により連結された第2の固定スライダと、
前記第2のリンクを前記第1の固定スライダに対してスライドさせる第1の駆動力を発生する第1の駆動源と、
前記第3のリンクを前記第2の固定スライダに対してスライドさせる第2の駆動力を発生する第2の駆動源とを具備し、
前記第1の駆動力及び前記第2の駆動力の少なくとも一方により前記第2及び第3のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、前記可動スライダが前記第1のリンクに沿ってスライドするように、前記第1の支点、前記第2の支点及び前記第3の支点の位置関係が定められていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項2】
前記第1の支点が前記第2の支点と前記第3の支点との間に位置し且つ前記第1の支点、前記第2の支点及び前記第3の支点が前記第1のリンクの可動領域を含む共通仮想平面上に位置している請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項3】
前記第1の駆動源は、前記第2のリンクが可動子となり前記第1の固定スライダが固定子となる第1の直動アクチュエータからなり、
前記第2の駆動源は、前記第3のリンクが可動子となり前記第2の固定スライダが固定子となる第2の直動アクチュエータからなる請求項1に記載のマニピュレータ。
【請求項4】
前記第1の直動アクチュエータ及び前記第2の直動アクチュエータを連係して制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1のリンク上における前記可動スライダの位置と前記第1のリンクの姿勢角度により定まる前記可動スライダの目標位置を入力として、前記可動スライダが前記目標位置に達するように前記第1の直動アクチュエータの前記第2のリンク及び前記第2の直動アクチュエータの前記第3のリンクの位置を制御する請求項3に記載のマニピュレータ。
【請求項5】
前記制御装置は、前記目標位置を入力として求めた可動スライドを前記目標位置に移動させるために必要な前記第1の直動アクチュエータの推力f1及び前記第2の直動アクチュエータの推力f2 の合成力fに基づいて、前記第1の直動アクチュエータの位置指令または速度指令及び前記第2の直動アクチュエータの位置指令または速度指令を生成する請求項4に記載のマニピュレータ。
【請求項6】
第1の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第1のリンクと、
前記第1のリンクに滑り対偶により連結された第1の可動スライダと、
前記第1の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第2のリンクと、
前記第1の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第3のリンクと、
前記第2のリンクに滑り対偶により連結され且つ第2の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第1の固定スライダと、
前記第3のリンクに滑り対偶により連結され且つ第3の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第2の固定スライダと、
前記第2のリンクを前記第1の固定スライダに対してスライドさせる第1の駆動力を発生する第1の駆動源と、
前記第3のリンクを前記第2の固定スライダに対してスライドさせる第2の駆動力を発生する第2の駆動源と、
前記第1のリンクに滑り対偶により連結された第2の可動スライダと、
前記第2の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第4のリンクと、
前記第2の可動スライダに自由度が1の回り対偶により一端が連結された第5のリンクと、
前記第4のリンクに滑り対偶により連結され且つ第4の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第3の固定スライダと、
前記第5のリンクに滑り対偶により連結され且つ第5の支点に自由度が2の回り対偶により連結された第4の固定スライダと、
前記第4のリンクを前記第3の固定スライダに対してスライドさせる第3の駆動力を発生する第3の駆動源と、
前記第5のリンクを前記第4の固定スライダに対してスライドさせる第4の駆動力を発生する第4の駆動源とを具備し、
前記第1の駆動力及び前記第2の駆動力の少なくとも一方により前記第2及び第3のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、前記第1の可動スライダが前記第1のリンクに沿ってスライドし、且つ前記第3の駆動力及び前記第4の駆動力の少なくとも一方により前記第4及び第5のリンクの少なくとも一方をスライドさせたときに、前記第2の可動スライダが前記第1のリンクに沿ってスライドするように、前記第1の支点乃至前記第5の支点の位置関係が定められていることを特徴とするマニピュレータ。
【請求項7】
前記第1の支点が前記第2の支点と前記第3の支点との間に位置し且つ前記第1の支点、前記第2の支点及び前記第3の支点が第1の共通仮想平面上に位置しており、
前記第1の支点が前記第4の支点と前記第5の支点との間に位置し且つ前記第1の支点、前記第4の支点及び前記第5の支点が、前記第1の共通仮想平面と交差する第2の共通仮想平面上に位置している請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項8】
前記第1の駆動源は、前記第2のリンクが可動子となり前記第1の固定スライダが固定子となる第1の直動アクチュエータからなり、
前記第2の駆動源は、前記第3のリンクが可動子となり前記第2の固定スライダが固定子となる第2の直動アクチュエータからなり、
前記第3の駆動源は、前記第4のリンクが可動子となり前記第3の固定スライダが固定子となる第3の直動アクチュエータからなり、
前記第4の駆動源は、前記第5のリンクが可動子となり前記第4の固定スライダが固定子となる第4の直動アクチュエータからなる請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項9】
前記第1の直動アクチュエータ乃至前記第4の直動アクチュエータを連係して制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1のリンク上における前記可動スライダの位置と前記第1のリンクの姿勢角度により定まる前記可動スライダの目標位置を入力として、前記可動スライダが前記目標位置に達するように前記第1の直動アクチュエータの前記第2のリンク、前記第2の直動アクチュエータの前記第3のリンク、前記第3の直動アクチュエータの前記第4のリンク及び前記第4の直動アクチュエータの前記第5のリンクの位置を制御する請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項10】
前記制御装置は、前記目標位置を入力として求めた可動スライドを前記目標位置に移動させるために必要な前記第1の直動アクチュエータの推力f1、前記第2の直動アクチュエータの推力f2 、前記第3の直動アクチュエータの推力f3及び前記第4の直動アクチュエータの推力f4 の合成力fに基づいて、前記第1の直動アクチュエータ乃至第4の直動アクチュエータのそれぞれの位置指令または速度指令を生成するように構成する請求項6に記載のマニピュレータ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載のマニピュレータの制御方法であって、
前記可動スライダの位置を前記第1のリンクの固定端から自由端に向かって変位させて前記第1のリンクの速度を減速し、前記スライダの位置を前記第1のリンクの前記自由端から前記固定端に向かって変位させて前記第1のリンクの速度を加速することを特徴とするマニピュレータの制御方法。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1つに記載のマニピュレータの制御方法であって、
前記可動スライダの位置を前記第1のリンクの固定端から自由端に向かって変位させて前記第1のリンクのトルクを増加し、前記スライダの位置を前記第1のリンクの前記自由端から前記固定端に向かって変位させて前記第1のリンクのトルクを減少させることを特徴とするマニピュレータの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図22】
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【図6】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図21】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−56075(P2012−56075A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176350(P2011−176350)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】