説明

マラリアの治療のためのハイポエストキシド誘導体

癌、炎症性疾患、脂質異常症、マラリア及び糖尿病の治療及び予防のために、新規ジテルペン化合物、特に、ハイポエストキシド(hypoestoxide)関連化合物が、純粋な形態にある、または天然の植物起源中に含まれるものとして、提供される。実施形態は、様々な疾病及びこれらの疾病に関連する症状を治療するためのハイポエストキシド関連化合物の使用方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
US特許第5,801,193号、US特許第5,994,328号、US特許第6,001,871号及びUS特許第6,242,484号、PCT WO 98/46222及び現在放棄されている、以前に同時継続出願であったUS特許出願第09/298,653号が参照により本明細書中に明示的に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、癌、炎症性疾患、脂質異常症、マラリア及び糖尿病の治療及び予防のための、純粋な形態または天然の植物起源中に含まれるものである、新規ジテルペン化合物、特に、ハイポエストキシド(hypoestoxide)、その誘導体及び関連化合物の発見、特徴付け及び使用に関する。さらに、本発明の化合物は、これらの疾患の治療及び予防に有効なことが知られている他の治療剤と組み合わせて使用してもよい。さらに、本発明の化合物は、薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分として、例えば、心血管の再狭窄の予防及びそれに続くステント留置における使用のために、使用してよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US特許第5,801,193号
【特許文献2】US特許第5,994,328号
【特許文献3】US特許第6,001,871号
【特許文献4】US特許第6,242,484号
【特許文献5】PCT WO 98/46222
【特許文献6】US特許出願第09/298,653号
【特許文献7】US特許第4,938,949号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、新規化合物、並びに、癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病に罹患するヒトなどの宿主を治療する方法を開示し、あるいは、純粋な形態または天然の植物起源中に含まれるものである、ハイポエストキシド、その誘導体及び関連化合物を用いた、薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分としての、そのような病態疾患をそれにより改善するような、使用を開示する。参照される化合物である、ハイポエストキシドは、化学的命名の目的のために以下に示される:
【0005】
【化1】

【0006】
さらに、これらの疾患の発症に対する予防方法が提供される。従って、該方法は、治療的に、または予防上、有効量の式I〜IVの以下の化合物:
【0007】
【化2】

【0008】
またはそれらの混合物を罹患した宿主に投与する工程を含み、ここで、有効量とは、前記疾病の少なくとも1つの症状を改善するのに十分な量であり、化合物は、単独で、あるいは前記疾病の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。例えば、マラリアを予防する、またはマラリア原虫の発生を低減させるのに十分な、有効量の、前記化合物の1つまたは混合物を宿主に投与することにより、宿主におけるマラリアを治療する方法が提供される。これらの新規ハイポエストキシド関連化合物は、純粋な形態にある、あるいはハーブであるHypoestes rosea中に発見されるような、天然の植物起源中に含まれるもので使用してよい。最後に、本明細書に記載される化合物を、癌のための他の化学療法剤、マラリアのための他の駆虫剤、及び炎症性疾患のための他の抗炎症剤などの、これらの疾病及び/または疾患を治療しまたは予防するのに有用な他の薬剤と組み合わせて使用してもよいと理解される。
【0009】
さらに、式IVの化合物である還元(reduced)ハイポエストキシドは、親核の(parent)ハイポエストキシドとは異なって疾病を治療するのに使用してもよい。つまり、この還元化合物は、特定の疾病及び/または疾患に対して遥かに有効であることが予期せずに発見された。例えば、式IVは、このクラスの天然産物においてこれまで発見されたいずれの化合物よりもマラリアに対して遥かに有効であることが予期せずに発見された(実施例1を参照せよ)。逆に、この化合物は、非常に強い抗炎症活性を保有しているとは予測されない。従って、この還元化合物の生物活性プロファイルは、ハイポエストキシド自身を含む、ハイポエストキシドクラスにおける他の新規化合物のそれとは有意に異なる。式I、II及びIIIにより表される他の新規化合物は、式I〜IIIがIL-1β、IL-12またはTNF-α産生を阻害しないので、ハイポエストキシドに類似して約25%の生物活性のみであると予測される。逆に、ハイポエストキシドはすべて炎症反応促進(pro-inflammatory)サイトカインであるIL-1β、IL-6、IL-12及びTNF-αをそれぞれ阻害する。
【0010】
本明細書で用いられるように、用語「宿主」または「対象」はヒトのみならず他の動物を意味するものと解釈される。用語「改善する」は、改善し、重症度を減少させ、または和らげることを意味する。用語「炎症性疾病」は、急性であろうと慢性であろうと、免疫性であろうと非免疫性であろうと、いかなる疾患をも意味すると解釈され、ここで炎症は、制限はされないが、関節炎(arthritis)、全身性エリテマトーデス(SLE)、アテローム性動脈硬化症、多発性筋炎、動脈炎(arteritis)、座瘡及び乾癬などの重要な要素である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式I〜IVの新規化合物が、紫外分光光度法、質量分析法、核磁気共鳴分光法などの、当該技術分野に周知の標準的な化学的方法により記述され、かつ特徴付けされる。式I〜IIIの化合物が低木のHypoestes roseaの抽出物から単離され、一方、式IVの化合物は、パラジウム触媒を用いて、接触水素化により純粋なハイポエストキシドから製造される。
【0012】
【化3】

【0013】
従って、本実施形態は、
【0014】
【化4】

【0015】
からなる群から選択される式を有する化合物、またはそれらの混合物を有効量で宿主に投与する工程を含む、宿主における炎症性疾患の治療用または低減用組成物を提供する。
【0016】
また、癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病に罹患する宿主を、新規化合物を用いて治療する方法、あるいは、薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分としての新規化合物の使用方法もまた提供される。本方法において、前述のように有効量の薬剤が、癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病などの疾病に関連するかまたは付随する少なくとも1つの疾患または症状を改善させるのに十分な量で投与される。特定の実施形態は、
【0017】
【化5】

【0018】
からなる群から選択される式を有する化合物、またはそれらの混合物を有効量で宿主に投与する工程を含む、宿主における炎症性疾患の低減方法または治療方法を提供する。
【0019】
また、癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病に罹患する宿主を、新規化合物を用いて治療する方法、あるいは、薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分としての新規化合物の使用方法もまた提供される。本方法において、前述のように有効量の薬剤が、癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病などの疾病に関連するかまたは付随する少なくとも1つの疾患または症状を改善させるのに十分な量で投与される。特定の実施形態は、
【0020】
【化6】

【0021】
からなる群から選択される式を有する化合物、またはそれらの混合物を有効量で宿主に投与する工程を含む、宿主における炎症性疾患の低減方法または治療方法を提供する。
【0022】
実施形態において、該方法により、薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分として使用するために有効量の化合物を投与してもよい。例えば、化合物は血管内ステント上に被覆されて、再狭窄に罹患する宿主の血管腔に送達させてもよい。特定の実施形態において、血管内ステントは、約0.1マイクログラムから約1000マイクログラムの有効量での化合物で被覆される。特定の疾病を治療するのに有用な化学療法剤及び他のそのような薬剤を該ステント上に被覆してもよい。ステントは、蒸着による被覆など、様々な方法により被覆されてよい。
【0023】
また、肥満の遺伝的な傾向にある個体などの、これらの疾患のいずれかの危険性がある患者を、上述の薬剤を、単独で、または、シクロスポリンA、タクロリムス、及びこれらの混合物などの標準的な化学療法剤と組み合わせて用いて、予防的に治療する方法も提供される。本実施形態は、式I〜IVの化合物:
【0024】
【化7】

【0025】
またはこれらの混合物を有効量で、治療的に、または予防的に罹患した宿主に投与する工程を含む方法を提供する。
【0026】
癌、炎症性疾患(アテローム性動脈硬化症を含む)、脂質異常症、マラリアまたは糖尿病の治療または予防における式I〜IVの化合物の予防量または治療用の程度、あるいは薬剤溶出ステントなどの医療機器における成分としての使用に関する程度は、疾病の進行度、利用される化学療法剤または他の治療法、及び投与経路によって異なる。一般に、疾病が既に後期に進行している場合においては、より大量の化合物が必要になるであろう。
【0027】
実施形態において、癌に対する投薬量の傾向は、特定の実施形態において約5 mg/kgであり、他のすべての適応症に対するそれよりも多い。例えば、マラリアを治療する投薬量は1キログラムあたり約250マイクログラムであってよい。本明細書で議論される様々な適応症に対する他のすべての投薬量が、これら2つの例示的な実施形態の間に収まる。投薬量及び投薬頻度は、患者個人の年齢、体重及び反応によりまた変化する。一般に、本明細書に記載される疾患に対する、式I〜IVの化合物に関する1日の総投薬量の範囲は、単回投与または分割投与において、約0.1 mgから約5000 mgである。好ましくは、1日の投薬量の範囲は、単回投与または分割投与において、約1 mgから約4000 mgであるべきである。患者を管理する際には、治療は低用量で開始して、患者の総合的な反応に応じて増加させるべきである。幼児、子供、65歳を超える患者、及び腎臓もしくは肝臓の機能を損ねた患者は、最初に低用量で治療し、総合的な反応及び血中濃度に基づいて漸増されることがさらに推奨される。一部の場合には、これらの範囲を超える投薬量を使用することが必要であり得る。さらに、臨床医もしくは治療にあたる医師は、患者個人の反応に併せて、治療を、どのように、そして、いつ、中断し、調整し、または終了させるのか、例えば、治療する疾患または症状がいつ改善されるのかを認識していることに留意する。用語「有効量」は、前述の投薬量、投薬頻度のスケジュール、及び本明細書に開示される実験データにより網羅される。
【0028】
患者に有効投薬量の式I〜IVの化合物を提供するためにいずれの適当な投与経路も採用され得る。例えば、経口、直腸、非経口(皮下、静脈内、筋肉内)、髄腔内、経皮などの投与形態が採用されてよい。剤形には、錠剤、トローチ、分散体、懸濁物、溶液、カプセル、パッチなどが挙げられる。化合物は、他の化学療法に先行して、同時に、または投与後に、投与されてもよい。化合物は、連続的に、例えば、インスリン増感剤もしくは分泌促進剤などとともに、毎日の服用で、化学療法の投与計画のすべてまたは一部の間、投与されてもよい。一部の場合には、化合物は、他の化学療法剤を送達させるのに使用されるのと同じ担体または賦形剤と組み合わされてもよい。
【0029】
従って、本発明の化合物は、全身的に、例えば経口で、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体などの薬理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせて投与されてよい。それらは、硬質または軟質のゼラチンカプセル中に封入されてよく、錠剤中に圧縮されてもよく、または患者の食事の食品に直接組み込まれてもよい。経口による治療投与のために、活性化合物は1つまたは複数の賦形剤と組み合わされてよく、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁物、シロップ、ウエハース(wafer)などの形態で使用されてもよい。このような組成物及び製剤は、少なくとも0.1 %の活性化合物を含むべきである。組成物及び製剤の百分率は、当然ながら、変化してよく、所与の単位剤形の総重量に対して約2重量%から約60重量%であってよい。このような治療上または予防上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な投薬量のレベルが得られるような態様である。
【0030】
実施形態において、錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、また、以下のものを含んでよい:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤;第2リン酸カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;及び/またはスクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味剤またはペパーミント、ウインターグリーン油などの香味料、またチェリーの風味が加えられてもよい。単位剤形がカプセルである場合、前述の種類の材料に加えて、それは、植物油またはポリエチレングリコールなどの液体担体を含んでよい。他の様々な材料がコーティングとして、またはさもなければ固体の単位剤形の物理的形状を改変するために存在してよい。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルは、ゼラチン、ワックス、セラックまたは糖などで被覆してよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロースまたはフルクトース、保存剤としてのメチルパラベン及びプロピルパラベン、染料及びチェリーもしくはオレンジの風味などの香味料を含んでよい。当然のことながら、いずれの単位剤形を製造するのに使用されるいずれの材料も、使用される量において、薬理学的に許容可能であって、実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性の製剤及び機器中に組み込まれてよい。注入可能な組成物の持続的吸収は、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅らせる薬剤の組成物における使用によりもたらされてよい。
【0031】
活性化合物は、また、点滴(infusion)または注射(injection)により、静脈内に、または腹腔内に投与されてもよい。活性化合物またはその塩の溶液は、場合により非毒性の界面活性剤と混合されて、水中で調製されてよい。分散体は、また、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、それらの混合物中で、及び油中で調製されてよい。貯蔵及び使用の通常の条件下では、これらの製剤は、微生物の成長を妨げるために保存剤を含む。
【0032】
注射または点滴に適切な医薬剤形は、場合によりリポソーム中に封入されて、無菌の注射可能なもしくは点滴可能な溶液または分散体の即時調製に適合した活性成分を含む、無菌の水溶液もしくは分散体または無菌の粉末を含み得る。実施形態では、最高の剤形は、製造及び貯蔵の条件下において無菌の、流体であって、かつ安定であるべきである。液体担体または液体賦形剤は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性のグリセリルエステル、それらの適切な混合物を含む、溶媒または液体の分散媒体であってよい。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成により、分散体の場合には要求される粒子サイズの維持により、または界面活性剤の使用により、などの、異なる態様で維持され得る。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどである、様々な抗菌剤及び抗真菌剤によりもたらしてよい。多くの場合において、例えば、糖、緩衝剤または塩化ナトリウムである、等張剤を含むのが好ましい。
【0033】
無菌の注入可能な溶液は、濾過滅菌に続く、必要により、上に列挙した他の様々な材料とともに、適切な溶媒中で、必要量で活性化合物を組み入れることにより調製される。無菌の注入可能な溶液の調製のための無菌粉末の場合には、好ましい調製方法は、活性成分の粉末に加えて、既に滅菌濾過した溶液中に存在する任意の追加の望ましい材料を生じさせる、真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0034】
式I〜IVの化合物の有用な投薬量は、それらのin vivo活性を動物モデルにおいて比較することにより決定してよい。マウス及び他の動物において、ヒトに対する有効な投薬量を推定する方法は、当該技術分野において公知である;例えば、参照により本明細書中に援用される、US特許第4,938,949号を参照せよ。
【0035】
すべての刊行物、特許及び特許文書は、参照により個々が援用されるように、本明細書中に参照により援用される。前述の開示が特定の実施形態を参照しているが、それらの精神から逸脱することなしに多くの改変が為され得ると理解される。付随する特許請求の範囲は、本明細書に開示される実施形態の正確な範囲及び精神の内に収まるものとして、このような改変をカバーするように意図される。
【0036】
従って、本明細書に開示される実施形態は、例示であって、制限的でないものとあらゆる態様においてみなされるものであり、実施形態の範囲は、前述の開示よりはむしろ添付の特許請求の範囲により示される。特許請求の範囲の同等物の意味及び範囲内に存するあらゆる変化がそれらの中に包含されるものとして意図される。
【実施例】
【0037】
本明細書中に以下に説明される実施例は、本発明の実施形態を実行するのに使用され得る異なる組成物及び条件の例示である。すべての割合は特に明示されない限りは重量による。しかしながら、本発明の実施形態は、前述の開示に従い、及びこれより以降に指摘されるように、多くの種類の組成物を用いて実施可能であり、多くの異なる用途を有し得ると理解される。
【0038】
[実施例1]
環状期から始まっている寄生生物の培養物を、異なる濃度の式IVまたはハイポエストキシド(DMSO中100 x ストックより)に48時間さらした。50%阻害(IC50)を生じさせる濃度を、3H-ヒポキサンチンの取込みにより測定される、阻害剤の濃度に対する平均的な割合のネガティブコントロールの活性のプロットから推定した。データを対数変換後に解析し、幾何平均IC50及び95%の信頼区間として表した。
【0039】
表1は、マラリア原虫の発生に関する式IV (12,18-ジヒドロハイポエストキシド)のin vitro効果を示す。
【0040】
【表1】

【0041】
上記表1に示すように、親核の薬剤、ハイポエストキシドはP. falciparumマラリア原虫のクロロキン(CQ)耐性及びCQ感受性株の両方に対して弱い活性を有する。しかし、ハイポエストキシドに改変をして式IVにすることにより、改変された式IVは、CQ耐性マラリア原虫株に対して親核のハイポエストキシドの88倍もの活性を有し、CQ感受性株に対して約7倍もの活性を有する。マラリア原虫のCQ耐性及びCQ感受性株の両方に対する潜在的な活性を達成するための、ハイポエストキシドの12,18-ジヒドロハイポエストキシド(式IV)への改変は、予期せぬ結果を示す。セスキテルペン、アルテミシニン、クロロキン、それらの混合物などの他の駆虫剤は、式I〜IVの化合物と一緒に適切な用量で投与することも可能である。
【0042】
[実施例2]
1群あたり5匹の雌マウスを、腹腔内に、1 x 105のP. berghei berghei (E1株)に寄生された赤血球で感染させ、3日後に、経口療法を式IVまたはクロロキンのいずれかで、毎日1回、5mg/Kgで開始し3日間行った。感染後4日で、血液の寄生虫血をギムザ染色塗布(smear)により各マウスについて評価した。
【0043】
表2は、マラリア感染マウスの式IV(12,18-ジヒドロハイポエストキシド)のin vivo効果を示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表2は、式IVが、マラリア感染マウスの血中の寄生虫血を減少させるのにin vivoで有効であることを示す。結果は標準的な抗マラリア剤であるクロロキンのそれに匹敵する。
【0046】
[実施例3]
1 x 105のメラノーマ細胞を30匹のマウスのそれぞれの尾の側方の静脈内に静脈内注射した。治療前に、マウスを1群ごとに5匹のマウスの6群に無作為に分けた。治療を腫瘍細胞の静脈内摂取の1時間後に開始した。5mg/Kgで、薬剤を、経口経路により、毎日1回10日間投与した。治療を10日で止めた。16日で、肺を除去し、10%ホルムアルデヒド中に固定した。それぞれの肺について表面のメラノーマコロニーをカウントし、その平均を各群ごとに確立した。各群に対する平均を用いて賦形剤対照群に対する阻害%を計算した。
【0047】
【表3】

【0048】
表3は、メラノーマ癌細胞を摂取されたC57BL/6マウスにおけるハイポエストキシド誘導体及び関連化合物による、B16F1メラニン細胞の肺でのコロニー形成の阻害を示す。
【0049】
表3に示すように、ハイポエストキシド誘導体である式IV及び他の関連化合物(式I〜III)はすべて肺の転移性コロニーの著しい減少をもたらした。
【0050】
[実施例4]
ヒト末梢血のマクロファージを、LPSで24時間、単独、または10μMの式I、IIまたはハイポエストキシドの存在とともにのいずれかで、培養液中で刺激した。24時間の培養の終わりに、上清を取り除き、酵素免疫測定法によりIL-6の存在について試験した。産生されるIL-6の量を、ハイポエストキシド関連化合物による炎症促進サイトカインであるIL-6の産生の阻害を実証する、表4においてpg/mlで報告する。
【0051】
【表4】

【0052】
示すとおり、表4は、LPSにより刺激されたヒト末梢血のマクロファージにおいてインターロイキン-6 (IL-6)を阻害するそれらの能力により判断されるとおり、式I及びIIの抗炎症作用を示す。
【0053】
本明細書において参照されるすべての特許及び出願は、本明細書においてそれらの全体が参照により、具体的にかつ全体的に本明細書中に援用される。
【0054】
様々な前記開示及び他の特徴及び機能またはそれらの代替が、望ましくは組み合わされることにより他の多くの異なる系または用途となってよいことが理解される。また、本明細書中に記載の様々な本発明の予見せぬまたは予期せぬ代替、改変、変形または改良が、実質的に当業者によりなされ得るであろうし、それらは、以下の特許請求の範囲に包含されるものとしても意図される。請求項中に具体的に記載されない限り、請求項の工程または成分は、任意の特定の順番、番号、位置、サイズ、形、角度、色または材料に関して、本明細書または他のいずれかの請求項から示唆されまたは持ち込まれるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の、
【化1】

からなる群から選択される式を有する化合物またはそれらの混合物を含む、宿主におけるマラリアの治療用組成物であって、前記有効量がマラリアの少なくとも1つの症状を改善させるのに十分な量である、組成物。
【請求項2】
マラリア原虫の発生を減少させる活性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
錠剤、トローチ、分散体、懸濁物、溶液、カプセル、パッチ、シロップ、エリキシル剤及びウエハースからなる群から選択される剤形で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が、組成物の総重量の少なくとも0.1重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
有効量の、
【化2】

からなる群から選択される式を有する化合物またはそれらの混合物を宿主に投与する工程を含む、宿主におけるマラリアの治療方法であって、前記有効量がマラリアの少なくとも1つの症状を改善させるのに十分な量である、治療方法。
【請求項6】
マラリアに関連する症状の減少のために宿主をモニターする工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が他の駆虫剤と組み合わせて使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記他の駆虫剤が、セスキテルペン、アルテミシニン、クロロキン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、マラリアを予防する、またはマラリア原虫の発生を低減させる活性を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物がある形態にある、または天然の植物起源中に含まれるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物を錠剤、トローチ、分散体、懸濁物、溶液、カプセル、パッチ、シロップ、エリキシル剤及びウエハースからなる群から選択される剤形に組み入れる工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が液体担体をさらに含む剤形で投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、単回投与または分割投与において、約0.1 mgから約5000 mgの範囲の1日用量で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、単回投与または分割投与において、約1.0 mgから約4000 mgの範囲の1日用量で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記化合物が、所与の単位剤形の総重量に対して少なくとも0.1重量%の量で存在する、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、所与の単位剤形の総重量に対して約2重量%から約60重量%の量で存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記化合物が、結合剤、崩壊剤、潤滑剤及び甘味剤をさらに含む組成物で投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物を徐放性の製剤または機器中に組み入れる工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項19】
有効量の、
【化3】

からなる群から選択される式を有する化合物またはそれらの混合物を宿主に投与する工程を含む、宿主におけるマラリアの治療方法であって、前記有効量がマラリアの予防を提供し、またはマラリア原虫の発生を低減させるのに十分な量である、治療方法。
【請求項20】
前記マラリア原虫が、クロロキン耐性P. falciparumマラリア原虫、クロロキン感受性P. falciparumマラリア原虫、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2012−508232(P2012−508232A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535545(P2011−535545)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/012708
【国際公開番号】WO2010/056223
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511113523)イミューン・モジュレーション・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】