説明

マルチキャスト冗長経路ルータ、マルチキャスト冗長化方式

【課題】IGMP/MLD Proxyでは上位ルータへのリンクが一本の木構造である必要がある。しかし、それでは上位ルータへのリンクが障害を起こすと、そこより下位のネットワークへのマルチキャストがすべて不通になってしまう。PIMなどのルーティングプロトコルを用いれば上位ルータへのリンクを複数にすることが可能だが、IGMP/MLD Proxyの軽快さ・簡便さを失ってしまう。
【解決手段】上位ルータへのリンクとして通常使用するものの他に代替リンクを設定できるようにする。通常は通常使用するリンクでのみIGMP/MLDのやり取りを行い、代替リンクではIGMP/MLDのやり取りを行わない。通常使う上位ルータへのリンク断を検出した場合、代替リンク側にIGMP Membership Report/MLD Listener Reportパケットを送信し、以後代替リンク側とのみIGMP/MLDのやり取りを行うことで上位ルータを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPマルチキャストのルーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のIPパケット転送は、1対1の通信が基本である。これをIPユニキャストと呼ぶ。これに対して、ネットワークを用いて映像配信のような放送サービスを実現するための技術として、IPマルチキャスト技術がある。これは、情報発信サーバから送出されたIPパケットを、IPネットワーク上のルータで分岐することにより多数のホストに到達させる仕組みである。これにより、情報発信サーバはホストの数だけ送信を繰り返す必要が無くなり、負荷が軽くなる。また、同一内容のパケットが同一経路を何度も経由することがなくなるので、ネットワーク全域としても負荷が減少する。
【0003】
マルチキャストルーティングにはPIMやDVMRPなどのプロトコルがあるが、もっとも手軽に設定でき、動作も軽いのがIGMP/MLD Proxyである。これは、ホストがマルチキャストグループに参加するためのプロトコルであるIGMP(IPv4)/MLD(IPv6)をLANのゲートウェイルータがまとめて、上位のルータに転送するという仕組みである。IGMPが IPv4マルチキャスト、MLDが IPv6マルチキャストで使用するプロトコルである。ゲートウェイルータはマルチキャストグループごとにホストからの参加・離脱メッセージを処理し、参加者が存在するインタフェース全てに対してマルチキャストパケットを送信する。また、ルータからは定期的に参加者が存在しているかの確認なども行われる。
【0004】
ネットワーク構成が木構造になっていることが前提であるので、インターネット全域で使えるものではないが、動作も軽快で、設定も比較的容易であるので、プロバイダ網の末端などで広く利用されている。
【0005】
【非特許文献1】draft-ietf-magma-igmp-proxy-04.txt: IGMP/MLD-based Multicast Forwarding (”IGMP/MLD Proxying”)
【0006】
【非特許文献2】RFC3376: Internet Group Management Protocol, Version 3
【非特許文献3】RFC2710: Multicast Listener Discovery (MLD) for IPv6
【非特許文献4】draft-vida-mld-v2-08.txt: Multicast Listener Discovery Version 2 (MLDv2) for IPv6
【非特許文献5】RFC1075: Distance Vector Multicast Routing Protocol
【非特許文献6】RFC2362: Protocol Independent Multicast-Sparse Mode (PIM-SM): Protocol Specification
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下、本発明の課題を説明する。
図2はIGMP/MLD Proxyが使われるネットワークの模式図である。1はIGMP/MLD Proxyを行ってマルチキャスト配送を行うルータである。2,7はインターネット内でPIMやDVMRPなどを用いてマルチキャスト配送を行うルータである。5a,5bはマルチキャストを最終的に受信する端末である。6はPIMやDVMRPなどを用いてインターネット上に形成されたマルチキャスト配送ルートである。8はマルチキャストパケット送信を最初に行うサーバである。1はリンク3を用いてルータ2からマルチキャストパケットを受け取り、リンク4a,4bを用いてそれぞれ端末5a,5bにマルチキャストパケットを送信する。インターネット9内ではネットワーク構成が木構造ではないが、特定事業者が管理するIPネットワーク10内では、ネットワーク構造はルータ2を頂点とした木構造となっている。
【0008】
図3は図2におけるIGMP/MLD Proxyを用いたマルチキャストルーティングの基本的な仕組みをあらわしたシーケンス図である。
ルータ2はマルチキャスト端末を収容するインターフェイスとして設定しているリンク3に対して定期的にIGMP Membership Query / MLD Listener Query(以下Queryメッセージ)という問い合わせメッセージを送信する。このメッセージはリンク3を経由してルータ1に到達する(S301)。これに対しルータ1は、自身の管理下にマルチキャスト端末が存在すればIGMP Membership Report / MLD Listener Report(以下Reportメッセージ)を返答する。しかし、この段階では存在しないので応答しない(S302)
ルータ1はまた自身がマルチキャスト端末を収容するインターフェイスとして設定しているリンク4a,4bに対してルータ2がするのと同様に定期的にQueryメッセージを送信する。このメッセージはリンク4a,4bを経由して端末5a,5bにそれぞれ到達する(S303a、S303b)。しかし、この段階では端末がマルチキャストパケットを受信する体制になっていないので、応答は無い(S304a,S304b)。よって、サーバ8からルータ7経由で送信されたマルチキャストパケットはマルチキャスト経路6を経由してルータ2までは到達するが、そこから先には送信されない(S305)。端末5aがマルチキャスト受信体制になると、リンク4aにReportメッセージを臨時に送信する。このメッセージはリンク4aを経由してルータ1に到達する(S306)。Reportメッセージを受け取ったルータ1は、リンク4aに対してマルチキャスト転送設定を行うと同時に、受け取った情報を用いてReportメッセージを作成し、ルータ2に対して臨時に送信する。Reportメッセージはリンク3を経由してルータ2に届き、ルータ2はリンク3に対してマルチキャスト転送設定を行う(S307)。
【0009】
これにより、サーバ8から送信されたマルチキャストパケットは、ルータ2、ルータ1を経由して端末5aに到達する。5bには到達しない(S308)。端末5bがマルチキャスト受信体制になると、リンク4bにReportメッセージを臨時に送信する。このメッセージはリンク4bを経由してルータ1に到達する(S309)。Reportメッセージを受け取ったルータ1は、リンク4bに対してマルチキャスト転送設定を行う。すでにルータ2に対してはReportメッセージを送出済みなので、この場合は臨時のReportメッセージは送出しない(S310)。これにより、サーバ8から送信されたマルチキャストパケットは、ルータ2、ルータ1を経由して端末5a,5bに両方に到達する(S311)。ルータ1の配下にマルチキャスト端末が存在する状態でルータ2からのQueryメッセージが到達すると(S312)、ルータ1はルータ2に対してReportメッセージを返信して、マルチキャストグループ内の存在を表明する(S313)。また、マルチキャスト受信体制にある端末5a,5bはルータ1からのQueryメッセージ(S314a,S314b)に対してReportメッセージを返信して、マルチキャストグループ内の存在を表明する(S315a,S315b)。
【0010】
上で述べたとおり現在、IGMP/MLD Proxyでは上位ルータへのリンクが一本の木構造である必要がある。しかし、それでは上位ルータへのリンクが障害を起こすと、そこより下位のネットワークへのマルチキャストがすべて不通になってしまう。PIMなどのルーティングプロトコルを用いれば上位ルータへのリンクを複数にすることが可能だが、IGMP/MLD Proxyの軽快さ・簡便さを失ってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上位ルータへのリンクとして通常使用するものの他に代替リンクを設定できるようにする。通常は通常使用するリンクでのみIGMP/MLDのやり取りを行い、代替リンクではIGMP/MLDのやり取りを行わない。通常使う上位ルータへのリンク断を検出した場合、代替リンク側にIGMP Membership Report/MLD Listener Reportパケットを送信し、以後代替リンク側とのみIGMP/MLDのやり取りを行うことで上位ルータを切り替える。
【0012】
リンク断の検出には、
1)物理インターフェイスのリンク切れを監視
2)ユニキャストルーティングの情報を流用
3)IGMP/MLD Queryの有無を監視
などの方法がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、IGMP/MLD Proxyの軽快さ、簡便さをほぼ保ったまま上位ルータへのリンクを冗長化できる。
【実施例1】
【0014】
図4は本発明を適用した場合のネットワーク構成の模式図である。図2と比較して、ルータ1の上位ルータが2aと2bの二つになり、それに伴いリンクも3a,3bの二つとなっている。ルータ1は、上位ルータへのリンクとして3aを設定し、代替上位ルータへのリンクとして3bを設定する。
【0015】
図1は、本発明のネットワーク全体のシーケンス図である。この図の一番上の段階ですでに端末5aおよび5bはルータ1へのマルチキャスト配信登録を済ませており、ルータ1はルータ2aへのマルチキャスト配信登録を済ませている。この状態で、ルータ2aからのQueryメッセージがリンク3a経由で到達(S101a)すると、ルータ1はReportメッセージをリンク3a経由で応答する(S102a)。ルータ2bからもリンク3b経由でQueryメッセージが到達(S101b)するが、2bは現段階においては上位ルータでは無いのでReportメッセージを応答しない(S102b)。この状態でサーバ8から発信されたマルチキャストパケットはルータ7、マルチキャスト経路6経由でルータ2a、2b両方に到達するが、ルータ2aだけがルータ1にマルチキャスト配信を行い、端末5a,5bはルータ1経由でマルチキャストパケットを受信する(S103)。ここで、リンク3aに障害が発生する(S104)。リンク障害を検知したルータ1は、配下の端末のマルチキャスト配信登録状況から臨時のReportメッセージを作成し、リンク3b経由でルータ2bに送信する(S105)。
【0016】
これにより、ルータ1へのマルチキャストパケット配送がS103のルータ2a経由からルータ2b経由に変わる(S106)。この状態でルータ2bからQueryがルータ1に到達(S107)すると、ルータ1はルータ2bにReportを応答する(S108)。リンク3aがリンク障害から復旧(S109)すると、リンク復旧を検知したルータ1は、マルチキャストグループ脱退を表すIGMP Leave Group / MLD Listener doneメッセージ(IGMPv3 / MLDv2の場合は、グループ脱退用のReportメッセージ。以下Leaveメッセージ)を作成し、リンク3b経由でルータ2bに送信する(S110)。それと同時に、配下の端末のマルチキャスト配信登録状況から臨時のReportメッセージを作成し、リンク3a経由でルータ2aに送信する(S111)。これにより、ルータ1へのマルチキャスト配送経路はS103と同様にルータ2a経由に復旧する(S112)。なお、この例ではリンク3a復旧と同時にルータ2a経由に配送経路を戻す処理を行ったが、リンク3bが障害を起こすまでルータ2b経由のままにしておくことも考えられる。その場合は、二重登録を避けるためリンク3a復旧時にLeaveメッセージをルータ2aに送信する。
【0017】
図5は図4のルータ1の内部構造の模式図である。メモリ11とCPU12と回線部13が内部伝送部14により接続されている。メモリ11には、ルータを構成するプログラムとルーティングに必要なデータが格納されている。CPU12はメモリ11上のプログラムとデータを元に実際にルーティングを行う。回線部13a、13bはリンク3,4と物理的に接続する。これによりルータ2や端末5とルータ1との通信を物理層から支える。内部伝送部14はバスかスイッチを用いるのが一般的である。メモリ11内部には種々のプログラムおよびデータ領域が存在する。この図では特に特徴的なものだけを抜き出している。IGMP/MLD Proxy111は、ルータ1を特徴づけるプログラムであり、IGMP/MLD Proxy処理を実際に行って、その結果をルーティングテーブル113に書き込む。ルーティングプロトコル処理部112は、近隣のルータとルーティングプロトコルメッセージのやり取りを行い、その結果をルーティングテーブル113に書き込む。TCP/IPプロトコルスタック114はルーティングテーブル113のデータに基づき、実際にIPパケットの転送や終端処理を行う。回線管理部115は、回線部13a、13bの状態を監視し、IGMP/MLD Proxy111やルーティングプロトコル処理部112に回線状態情報を提供する。これらのプログラムはCPU12で処理されるのが基本であるが、近年はルーティングテーブル113とTCP/IPプロトコルスタック114の機能のうち転送にかかわる部分だけを、その実現に特化した設計の別プロセッサを用意してそこで処理するのも一般的である。15はパケット転送プロセッサである。簡略化されたプログラムにより単純な転送処理を非常に高速に行うパケット転送エンジン151と、151では処理しきれないやや複雑な処理を行う高機能部152を内部に持っており、この組み合わせでパケット転送を行う。
【0018】
図6はIGMP/MLD Proxyプログラム111の機能ブロック図である。端末管理部1113はTCP/IPプロトコルスタック114および回線部13a,13bを経由して端末5とつながっており、端末からのReportメッセージおよびLeaveメッセージを受けてグループデータベース1111に端末の存在情報を書き込む。また、グループデータベース1111の情報を元にQueryメッセージを作成し定期的に端末に送信する。上位リンク通信部1112はTCP/IPプロトコルスタック114および回線部13を経由してルータ2とつながっており、グループアドレスごとにグループデータベース1111の情報の論理和を取って上位向けReportメッセージ(論理和を取った結果が空の場合はLeaveメッセージの場合もある)をつくり、上位ルータに向けて臨時に、またはQueryメッセージの応答として送信する。上位リンク情報保持部11121は、実際にどの回線がIGMP/MLD Proxyの上位ルータへのリンクとして設定されているかの情報を保持する。
【0019】
さらに、上位リンク通信部1112に代替上位リンク情報保持部11122と上位リンク回線監視部11123を有する。代替上位リンク情報保持部11122は代替上位ルータへのリンク情報を保持する。上位リンク回線監視部11123は上位リンクとして設定されている回線の物理回線情報を監視し、障害が発生した場合に上位ルータへのリンクを代替上位リンク情報保持部に保持されている情報で置き換える。上位リンク回線監視部11123が物理回線情報を監視する方法としては、回線管理部115に上位ルータへのリンクとして設定されている回線の回線状態情報を定期的に問い合わせるか、回線状態情報が変化した場合に通報するように回線管理部115に設定を行うことが考えられる。
【0020】
この方式の場合、上位ルータ自体の障害といったIP層での障害に対応できないが、リンク障害を最もすばやく察知できる可能性がある。
図9は図4におけるグループデータベースの例である。メンバーシップレコードは、(マルチキャストアドレス,フィルターモード,ソースアドレスリスト)の組で表される。なお、これはIGMPv3/MLDv2対応であり、IGMPv2/MLDv1ではフィルターモードは、ソースアドレスを含まないという意味の”EXCLUDE”、ソースアドレスが空という意味の”NULL”になる。図4の例では、マルチキャストアドレスが224.10.1.1、ソースアドレスリストが(100.1.1.1)、フィルターモードが、ソースアドレスを含むという意味の”INCLUDE”となり、転送先は、それぞれの端末のアドレスである1.1.1.2と1.1.2.2となる。
【実施例2】
【0021】
ネットワーク構成およびネットワーク全体のシーケンスは実施例1と同様である。
図7は本発明のIGMP/MLD Proxyプログラムの機能ブロック図であり、図6の例の変形例である。上位リンク通信部に代替上位リンク情報保持部11122と上位リンクルーティング情報監視部11124を有している。代替上位リンク情報保持部11122は代替上位ルータへのリンク情報を保持する。上位リンクルーティング監視部11124は上位リンクとして設定されている回線で動作しているOSPFやBGPといったIPユニキャストルーティングプロトコルが持つリンク情態情報を監視し、障害が発生した場合に上位ルータへのリンクを代替上位リンク情報保持部に保持されている情報で置き換える。上位リンクルーティング情報監視部11124がIPユニキャスト情報を監視する方法としては、ルーティングテーブル113に上位ルータへのリンクとして設定されているリンクのルーティング状態情報を定期的に問い合わせるか、リンクのルーティング状態情報が変化した場合に通報するようにルーティングプロトコル処理部112に設定を行うことが考えられる。
【0022】
この方式の場合、実施例1と違いユニキャストルーティングプロトコルによるリンク断判定処理(通常タイムアウトを用いる)が入るため実施例1よりリンク障害判定に時間がかかる可能性があるが、上位ルータ自体の障害といったIP層での障害に対応できる。
【実施例3】
【0023】
ネットワーク構成およびネットワーク全体のシーケンスは実施例1と同様である。
図8は本発明のIGMP/MLD Proxyプログラムの機能ブロック図であり図6の例の変形例である。上位リンク通信部に代替上位リンク情報保持部11122とQuery監視タイマ11125を有している。代替上位リンク情報保持部11122は代替上位ルータへのリンク情報を保持する。Query監視タイマ11125は上位リンクとして設定されている回線からのQueryメッセージの間隔を計時し、一定時間にわたってQueryメッセージが到達しない場合は障害が発生したとみなして上位ルータへのリンクを代替上位リンク情報保持部に保持されている情報で置き換える。
【0024】
通常ユニキャストルーティングプロトコルによるリンク断判定にかかる時間より、Queryメッセージの間隔のほうが長いので、この方式の場合、実施例2よりさらにリンク障害判定に時間がかかる可能性があるが、上位ルータにおいてマルチキャスト機能のみに障害発生といった特殊なIP層での障害にも対応できる。
なお、上記実施例1,2,3を同時に実装して、すべての状況に対応することも可能である。
【0025】
また、上記実施例ではメモリに内蔵されたデータとプログラムをCPUで処理してルーティングを行う例を説明したが、メモリとCPUは共同して制御装置として動作するものであり、ソフトウエア部分をハードウエア構成として同様の機能を実現することも可能である。また、機能の一部分を別の専用ハードウエアとソフトウエア(例えばパケット転送プロセッサ15)で置き換えても良いことは先に述べたとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のネットワーク全体の挙動を表したシーケンス図。
【図2】発明の問題点を示すネットワーク構成図。
【図3】発明の問題点を示すネットワーク全体の挙動を表したシーケンス図。
【図4】本発明のネットワーク構成図。
【図5】本発明のIGMP/MLD Proxyルータの内部構成模式図。
【図6】本発明のIGMP/MLD Proxyプログラムの機能ブロック図。
【図7】本発明のIGMP/MLD Proxyプログラムの機能ブロック図。
【図8】本発明のIGMP/MLD Proxyプログラムの機能ブロック図。
【図9】本発明のグループデータベースの図。
【符号の説明】
【0027】
1 IGMP/MLD Proxyルータ
2 上位マルチキャストルータ
2a 通常利用する上位マルチキャストルータ
2b 代替上位マルチキャストルータ
3 上位リンク
3a 通常利用する上位リンク
3b 代替上位リンク
4a,4b 下位リンク
5a,5b マルチキャスト端末
6 マルチキャスト経路
7 マルチキャストルータ
8 マルチキャストサーバ
9 インターネット
10 特定事業者の管理の下にあるIP網
11 メモリ
12 CPU
13a、13b 回線部
14 内部伝送部
15 パケット転送部
151 パケット転送エンジン
152 高機能部
111 IGMP/MLD Proxyプログラム
112ルーティングプロトコル処理部
113ルーティングテーブル
114 TCP/IPプロトコルスタック
115 回線管理部
1111 グループデータベース
1112 上位リンク通信部
1113 端末管理部
11121 上位リンク情報保持部
11122 代替上位リンク情報保持部
11123 上位リンク回線監視部
11124 上位リンクルーティング情報監視部
11125 Query監視タイマ
S101a,S101b Queryメッセージ
S102a Reportメッセージ
S102b 送信されなかったReportメッセージ
S103 マルチキャストパケット配送
S104 リンク障害
S105 Reportメッセージ
S106 マルチキャストパケット配送
S107 Queryメッセージ
S108 Reportメッセージ
S109 リンク障害回復
S110 Leaveメッセージ
S111 Reportメッセージ
S112 マルチキャストパケット配送
S301 Queryメッセージ
S302 送信されなかったReportメッセージ
S303a,S303b Queryメッセージ
S304a,S304b 送信されなかったレポートメッセージ
S305 マルチキャストパケット配送
S306 Reportメッセージ
S307 Reportメッセージ
S308 マルチキャストパケット配送
S309 Reportメッセージ
S310 送信されなかったReportメッセージ
S311 マルチキャストパケット配送
S312 Queryメッセージ
S313 Reportメッセージ
S314a,S314b Queryメッセージ
S315a,S315b Reportメッセージ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位リンク情報および代替上位リンク情報を格納するメモリと、
ルーティングの制御を行う処理装置と、
上位リンクおよび代替上位リンクと物理的に接続され上記処理装置の制御に従って通信を行う回線部と、
上記メモリ、処理装置および回線部を接続する内部伝送部と、を備えるIGMP/MLD Proxyルータであって、
上記処理装置は上記上位リンクの障害を検知した場合、上記代替上位リンクにIGMP/MLD Reportを送信し、以後、代替上位リンクからのQueryに応答することにより上位ルータを切り替える制御を行うことを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項2】
請求項1のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記処理装置は上位リンク回線の物理障害を検知することによりリンク障害を検知することを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項3】
請求項1のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記処理装置は上位ルータとのIPユニキャストルーティング情報を用いてリンク障害を検知することを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項4】
請求項1のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記処理装置は上位ルータからのIGMP/MLD Queryメッセージが一定時間届かない場合にリンク障害とみなすことを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項5】
メモリとCPUを備え、上記メモリ内の情報を元にルーティング制御を行う制御部と、
上位リンクおよび代替上位リンクと物理的に接続される回線部と、
上記メモリ、CPU、および回線部を互いに接続する内部伝送部と、を有する通信装置であって、
上記制御部は、
IGMP/MLD Proxy処理を行うIGMP/MLD Proxyと、
他の通信装置とルーティングプロトコルメッセージのやり取りを行いルーティングプロトコル処理を行うルーティングプロトコル処理部と、
上記IGMP/MLD Proxy処理の結果と上記ルーティングプロトコル処理の結果を記憶するルーティングテーブルと、
上記ルーティングテーブルに記憶されたデータに基づいてIPパケットの転送および終端処理を行うTCP/IPプロトコルスタックと、
上記回線部の状態を監視し、上記IGMP/MLD Proxyとルーティングプロトコル処理部に回線状態情報を提供する回線管理部と、を有し、
上記IGMP/MLD Proxyは、
端末からのマルチキャストグループへの参加・脱退メッセージを受信する端末管理部と、
上記端末管理部の受信結果に基づいて端末の情報が記憶されるグループデータベースと、
実際にどの回線がIGMP/MLD Proxyの上位ルータへのリンクとして設定されているかの情報を保持する上位リンク情報保持部と、上位リンクとして設定されている回線の物理回線情報を監視し、障害が発生した場合に上位ルータへのリンクを代替上位リンク情報保持部に保持されている情報で置き換える上位リンク回線監視部とを有し、上記上位リンクまたは代替上位リンクと通信を行う上位リンク通信部を有する通信装置。
【請求項6】
ルーティング制御を行う制御部と、
上位リンクおよび代替上位リンクと物理的に接続される回線部と、
上記制御部および回線部を互いに接続する内部伝送部と、を有し、
端末から受信したIGMP/MLDパケットを終端し、該端末の代理としてIGMP/MLDパケットを上位リンクに送信し、マルチキャストパケットのルーティングを行うIGMP/MLD Proxyルータであって、
上記制御部は、
上記端末からのマルチキャストグループへの参加・脱退メッセージを受信する端末管理部と、
上記端末管理部の受信結果に基づいて端末の情報が記憶されるグループデータベースと、
上記上位リンクの障害を検知した場合、上記代替上位リンクにIGMP/MLD Reportを送信し、以後、代替上位リンクからのQueryに応答することにより上位ルータを切り替える制御を行う上位リンク通信部を有するIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項7】
請求項6のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記上位リンク通信部は上位リンク回線の物理障害を検知することによりリンク障害を検知することを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項8】
請求項6のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記上位リンク通信部は上位ルータとのIPユニキャストルーティング情報を用いてリンク障害を検知することを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。
【請求項9】
請求項6のIGMP/MLD Proxyルータであって、上記上位リンク通信部は上位ルータからのIGMP/MLD Queryメッセージが一定時間届かない場合にリンク障害とみなすことを特徴とするIGMP/MLD Proxyルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−101471(P2006−101471A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46438(P2005−46438)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】