説明

マルチチャンネル現像システム

半導体基板処理動作中に流体を吐出する第1側部および第2側部を有する筐体を備える。筐体は第1処理ステーションおよび第2処理ステーションを備える。第2処理ステーションは第1処理ステーションと隣り合って配置される。さらに、基板処理装置は、第1側部と第1処理ステーションとの間に配置され、第1処理ステーションに流体を供給するように構成された第1吐出アームと、第2側部と第2処理ステーションとの間に配置され、第2処理ステーションに流体を供給するように構成された第2吐出アームと、を含む。基板処理装置は、第1処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第1リンスアームおよび第2処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第2リンスアームをも含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
[0001]本発明は、一般に、半導体処理装置の分野に関する。特に、本発明は、半導体基板の上に流体を吐出する方法および装置に関する。単なる一例として、その方法および装置は、塗布/現像モジュールの1つのチャンバー内の2つの処理ステーションに適用されてきた。しかしながら、本発明がより広い適用範囲を有することは理解されるであろう。
【0002】
[0002]一般に、電子デバイス形成処理の一部は、基板(例えば、半導体ウェハー)を順次に処理することができるマルチチャンバー処理システム(例えば、クラスターツール)にて制御された処理環境中で実行される。フォトレジスト材料の堆積(すなわち、塗布)および現像に用いられる典型的なクラスターツールは、一般にはトラックリソグラフィーツールとして知られ、複数の基板搬送ロボットを収容するメインフレームを有する。その基板搬送ロボットは、メインフレームに連結された複数の処理チャンバーとポッド/カセット載置装置との間で基板を搬送する。クラスターツールは、しばしば、制御された処理環境中で繰り返し基板が処理できるように用いられる。制御された処理環境は、搬送中および種々の基板処理工程中における基板表面の汚染を最小限にすることを含む多くの利点を有している。かくして制御された処理環境中での処理は、生成される欠陥の数を減少させるとともにデバイスの歩留まりを改善する。
【0003】
[0003]トラックリソグラフィーツールに一般的に備えられる2種類の処理チャンバーは、基板塗布モジュールおよび基板現像モジュールである。これらは、時々、一纏めにして塗布/現像モジュールと称される。典型的には、塗布モジュールにおいては、基板の上面にフォトレジストまたは他の塗布材料の層を形成するためにスピンコーティング処理が用いられる。一つの方法では、スピンチャックの上に基板が載置され、そのスピンチャックが数千回転/分(RPM)にて回転される。そして、基板の中央領域に数ミリリットルの液体(例えば、フォトレジスト)が滴下され、スピンチャックの回転動作がその液体を基板の表面に渡って拡布する。当業者にはよく知られているように続く工程にて塗布されたものが処理されて基板上に特徴が形成される。現像モジュールにおいては、フォトレジストが露光された後に、基板の表面に現像液が滴下される。塗布/現像モジュールは、多くの共通点を含むとともに、他にも要因があるが、吐出する液体の粘度の種別に対応した異なるノズル構造を含む相違点も有している。
【0004】
[0004]従来より知られた幾つかの塗布/現像モジュールにおいては、フォトレジストまたは他の塗布液を吐出するためのシステムに単一のスピンボウル(spin bowl)が取り付けられる。幾つかのフォトレジスト塗布用途においては、異なる厚さおよび材料を含む多くの異なる塗布材料を供給するのが望ましい。特に、300mm基板への生産移行は異なる塗布液の数の増加を導いた。これにより、幾つかの塗布/現像モジュール、特にフォトレジスト塗布モジュールにおいては、吐出システムが異なるフォトレジストを吐出する多くの異なる吐出ノズルを含むこともある。加えて、様々な濃度の溶液および溶媒のフォトレジストを供給する他の多数の吐出ノズルが含まれることもある。
【0005】
[0005]幾つかの塗布/現像モジュールにおいては、特定の半導体プロセスに関連した公差に対応する正確な公差にて吐出ノズルが製造される。これらのモジュールのうちの幾つかにおける吐出ノズルの数および質の結果として、吐出システムのコストがスピンボウルのコストよりも大きくなることがある。
【0006】
[0006]一般に、塗布/現像用途では、基板を回転させて所定の回転数を達成し、塗布流体を吐出し、そして吐出工程が完了した後、所定時間基板を回転させ続ける。上述したように、基板の回転は、塗布/現像流体を基板の表面に渡って拡げるために利用される。これらのプロセスにおいて、基板回転がレジストを分配する間、吐出システムは作動していない。それゆえ、幾つかの吐出システムにおいては、最も高価なシステム構成要素すなわち吐出装置に含まれる構成要素が処理時間のかなり部分にわたってアイドル状態である。
【0007】
[0007]デバイス製造の複雑さが増すにつれて、正確かつ効率的な装置の必要性も増大する。伝統的に、現像システムのスループット(時間当たりの基板処理枚数)はシステム内に存在する現像チャンバーの数によって制限されていた。より低いコストオブオーナーシップ(CoO)への要求は、半導体装置の連続する各世代とともに増大してきている。CoOを算定するに際しての重要な要素の一つはシステムのスループットである。システムのスループットは、そのCoOに反比例する。より低いCoOへの要求を満たすためには、より高いシステムのスループットが望ましい。かくして、より小さなフットプリントで一時間当たりより大きくのウェハーを処理することができる基板処理システムを展開することが産業に必要とされている。これはスループットの増大によって得られる利点がシステムのより大きなフットプリントによって相殺されることなく結果としてより低いフットプリントでの生産性に結びつくことを確約する。
【0008】
[0008]それゆえ、改良された塗布/現像モジュールおよびそれを操作する改良された方法のための技術に必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明によれば、半導体処理装置の分野に関する技術が提供される。特に、本発明は、半導体基板の上に流体を吐出する方法および装置を含む。例に過ぎないが、その方法および装置は、独立した吐出アームとともに2つの現像ステーションを有する現像モジュールに適用されてきた。しかし、本発明はより広い応用範囲を有することは理解されるであろう。
【0010】
[0010]本発明の特定の実施形態においては、半導体基板処理動作中に流体を吐出する装置が提供される。その装置は、第1側部および第2側部を有する筐体を含む。筐体は、第1側部に近接して基板を保持するように構成された第1処理ステーションおよび第2側部に近接して基板を保持するように構成された第2処理ステーションを含む。第2処理ステーションは第1処理ステーションと隣り合って配置される。さらに、基板処理装置は、第1側部と第1処理ステーションとの間に配置され、第1処理ステーションに流体を供給するように構成された第1吐出アームと、第2側部と第2処理ステーションとの間に配置され、第2処理ステーションに流体を供給するように構成された第2吐出アームと、を含む。基板処理装置は、第1処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第1リンスアームおよび第2処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第2リンスアームをも含む。
【0011】
[0011]本発明の別の実施形態においては、基板処理装置を用いて半導体基板の上に流体を吐出する方法が提供される。その方法は、基板を基板支持部上に配置する工程と、その基板の上方に吐出アームを位置させる工程と、吐出アームを用いて基板の表面上に流体を吐出する工程と、を含む。流体の吐出は所定時間実行される。その方法は、所定時間の満了前に、リンスアームを第1の位置に移動させる工程を含む。その第1の位置はリンスアームのホームポジションとは異なる。さらに、その方法は、リンスアームを基板の上方の第2の位置に移動させるのと同時に吐出アームを戻す工程と、基板の上にリンス流体を吐出する工程と、を含む。
【0012】
[0012]本発明のさらなる別の実施形態においては、流体を吐出する吐出アームが提供される。その吐出アームは、1つ以上のノズルを保持するように構成されたノズルヘッドアッセンブリーと、ノズルヘッドアッセンブリーに連結され、内部流路を有するアームアッセンブリーと、内部流路に配置され、ノズルヘッドアッセンブリーに現像流体を送給するように構成された可撓性の長管と、を含む。
【0013】
[0013]本発明のさらなる別の実施形態においては、トラックリソグラフィーツールが提供される。トラックリソグラフィーツールは、複数の基板を収容するFOUPを受け入れるように適合された前端モジュールと、複数の処理ツールを備える中央モジュールと、スキャナーに連結された後部モジュールと、を含む。トラックリソグラフィーツールは、前端モジュールから基板を受け取るように適合されるとともにその基板を処理ツールおよび/または後部モジュールに配送する少なくとも1つのロボットをも含む。複数の処理ツールのうちの1つは、半導体基板処理動作中に流体を吐出する基板処理装置である。
【0014】
[0014]その基板処理装置は、第1側部および第2側部を有する筐体を含む。筐体は、第1側部に近接して基板を保持するように構成された第1処理ステーションおよび第2側部に近接して基板を保持するように構成された第2処理ステーションを含む。第2処理ステーションは第1処理ステーションと隣り合って配置される。さらに、基板処理装置は、第1処理ステーションに流体を供給するように構成された第1吐出アームを含む。第1吐出アームは、第1側部と第1処理ステーションとの間に配置される。基板処理装置は、第2処理ステーションに流体を供給するように構成された第2吐出アームをも含む。第2吐出アームは、第2側部と第2処理ステーションとの間に配置される。基板処理装置は、第1処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第1リンスアームおよび第2処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第2リンスアームをも含む。
【0015】
[0015]本発明によって従来技術に対する多くの利点が達成される。例えば、本発明によれば同じフットプリントにて1時間当たりにより多くのウェハーを処理することができ、そのためシステムのフットプリント生産性を向上させることができる。さらには、本発明の実施形態はシステムの信頼性およびスループットを向上させる。本発明のこれらおよび他の実施形態は多数の利点および特徴とともに以下の文書および添付の図面と併せてさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施形態が実施されても良いトラックリソグラフィーツールの概略図である。
【図2A】図2Aは、本発明の1つの実施形態に係る基板処理装置の概略図である。
【図2B】図2Bは、本発明の1つの実施形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図2C】図2Cは、基板処理装置の部分斜視図であり、本発明の実施形態に係るフィルターアッセンブリーおよびパネルを示す。
【図2D】図2Dは、図2Cに示した基板処理装置の部分断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態に係る基板処理装置の基板処理ステーションに連結された排気機構の概略図である。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に係る吐出アームアッセンブリーの概略図である。
【図6】図6は、本発明の1つの実施形態に係る基板処理方法を示す簡易フローチャートである。
【具体的な実施形態の詳細な説明】
【0017】
[0025]図1は、本発明の実施形態に係るトラックリソグラフィーツールの平面図である。図1に示す実施形態において、トラックリソグラフィーツールには液浸スキャナーが連結されている。図1には、方向関係を明確にするために、XY平面を水平面とし、Z軸が鉛直方向に延びるXYZ直交座標系が追記されている。
【0018】
[0026]特定の実施形態において、このトラックリソグラフィーツールは、塗布プロセスを用いて基板、例えば半導体基板上に反射防止膜(AR)およびフォトレジスト膜を形成するために使用される。また、トラックリソグラフィーツールは、パターン露光プロセスが施された後の基板に現像プロセスを行うためにも使用される。このトラックリソグラフィーツールによって処理される基板は、半導体基板に限定されるものではなく、液晶表示装置用のガラス基板などであっても良い。
【0019】
[0027]図1に示したトラックリソグラフィーツール100は、ファクトリーインターフェイスブロック1と、BARC(Bottom Anti-Reflection Coating)ブロック2と、レジスト塗布ブロック3と、現像処理ブロック4と、スキャナーインターフェイスブロック5と、を備える。このトラックリソグラフィーツールにおいて、5つの処理ブロック1〜5が連設されている。トラックリソグラフィーツールとは別体の外部装置である露光ユニット(すなわち、ステッパー)EXPは、スキャナーインターフェイスブロック5に連結されて設けられている。加えて、トラックリソグラフィーツールおよび露光ユニットEXPはLAN回線162を介してホストコンピュータ160に接続されている。
【0020】
[0028]ファクトリーインターフェイスブロック1は、トラックリソグラフィーツールの外部から受け取った未処理基板をBARCブロック2およびレジスト塗布ブロック3に搬送するための処理ブロックである。ファクトリーインターフェイスブロック1は、現像処理ブロック4から受け取った処理済み基板をトラックリソグラフィーツールの外部に搬出するためにも有用である。ファクトリーインターフェイスブロック1は、複数の(図示の実施形態では4つ)カセット(或いはキャリア)Cを載置するように構成されたテーブル112、および、各カセットCから未処理基板Wを取り出すとともに各カセットCに処理済み基板を収納する基板移送機構113を備える。基板移送機構113は、テーブル112に沿ってY方向(水平方向)に移動可能な可動ベース114と、可動ベース114に搭載されたロボットアーム115とを含む。
【0021】
[0029]ロボットアーム115は、基板移送動作中に基板Wを水平姿勢に支持するように構成される。さらに、ロボットアーム115は、可動ベース114に対するZ方向(鉛直方向)の移動、水平面内での旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動が可能である。このように、基板移送機構113を用いることにより、保持アーム115は各カセットCにアクセスして各カセットCから未処理基板Wを取り出すとともに各カセットCに処理済み基板を収納することができる。カセットCは、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッド、収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)、または基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)を含む1つ或いは複数のタイプであっても良い。
【0022】
[0030]BARCブロック2はファクトリーインターフェイスブロック1に隣接して設けられている。ファクトリーインターフェイスブロック1とBARCブロック2との間の雰囲気を遮断するために隔壁20が用いられても良い。隔壁20には上下に積層された一対の基板載置部30,31が設けられている。基板載置部30,31のそれぞれはファクトリーインターフェイスブロック1とBARCブロック2との間で基板Wを搬送するときに受け渡しポジションとして用いられる。
【0023】
[0031]上側の基板載置部30は、ファクトリーインターフェイスブロック1からBARCブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部30は3本の支持ピンを含む。ファクトリーインターフェイスブロック1の基板移送機構113は、カセットCの一つから取り出した未処理基板Wを基板載置部30の3本の支持ピンの上に載置する。BARCブロック2(詳細は後述する)の搬送ロボット101は、基板載置部30に載置された基板Wを受け取るように構成されている。一方、下側の基板載置部31は、BARCブロック2からファクトリーインターフェイスブロック1に基板Wを搬送するために使用される。基板載置部31も3本の支持ピンを含む。BARCブロック2の搬送ロボット101は、処理済みの基板Wを基板載置部31の3本の支持ピンの上に載置する。基板移送機構113は、基板載置部31に置かれた基板Wを受け取ってカセットCの一つに格納するように構成されている。一対の基板載置部32〜39(詳細は後述する)は一対の基板載置部30,31と同様の構成を備えて同様の動作を行う。
【0024】
[0032]基板載置部30,31は、隔壁20を貫通している。基板載置部30,31のそれぞれは、載置される基板Wの有無を検出するための光学センサ(図示省略)を含む。各センサからの検出信号に基づいて、基板移送機構113およびBARCブロック2の基板搬送ロボット110の制御が行われて基板載置部30,31に対する基板Wの受け渡しが行われる。
【0025】
[0033]再び図1に戻り、BARCブロック2もトラックリソグラフィーツール100に含まれる。BARCブロック2は、塗布プロセスを用いて基板にAR膜(BARCとも称する)を形成するための処理ブロックである。BARCは膜の積層においてフォトレジスト膜の下層に形成される。フォトレジスト膜は続けて付着される。BARCは露光時に発生する定在波やハレーションを減少させる。BARCブロック2は、基板Wの表面にAR膜を塗布形成するように構成された下地塗布処理部124と、AR膜の形成に付随する1つ以上の熱処理を実行するための一対の熱処理タワー122と、下地塗布処理部124および一対の熱処理タワー122に対して基板Wの受け渡しを行うのに用いられる搬送ロボット101と、を備える。
【0026】
[0034]BARCブロック2においては、下地塗布処理部124と一対の熱処理タワー122とが搬送ロボット101を挟んで対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部124がトラックリソグラフィーツールの前面側に位置し、一対の熱処理タワー122がトラックリソグラフィーツールの背面側に位置している。さらに、一対の熱処理タワー122の前面側には熱隔壁(図示省略)が設けられている。このように、下地塗布処理部124と一対の熱処理タワー122とを隔てて配置するとともに熱隔壁を用いることにより一対の熱処理タワー122から下地塗布処理部124への熱的混合を減少している。
【0027】
[0035]一般に、下地塗布処理部124は同様の構成を備えて上下に積層配置された3つの塗布処理ユニットを含んでいる。特に別な方法で特定されなければ、3つの塗布処理ユニットはまとめて下地塗布処理部124として参照する。それぞれの塗布処理ユニットは、基板Wを実質的に水平姿勢に吸着保持しつつ実質的に水平面内にて回転させるスピンチャック126を含む。また、各塗布処理ユニットは、スピンチャック126に保持された基板W上にAR膜用の塗布液を吐出するために用いられる塗布ノズル128、スピンチャック126を回転駆動するように構成されたスピンモータ(図示省略)およびスピンチャック22上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を含んでいる。
【0028】
[0036]熱処理タワー122は、基板Wを所定の温度にまで加熱するために用いられる多数のベークプレート、および、加熱された基板を所定の温度にまで冷却してその後当該所定温度に基板を維持するために用いられる多数のクールプレートを含む。ベークプレートとクールプレートとは上下に積層されており、通常クールプレートはベークプレートの下方に配置される。また、熱処理タワーは、上下に積層された多数の密着強化処理ユニット(例えば、HMDS処理ユニット)を含む。処理ユニットを上下に積層することによってツールのフットプリントを減少するとともに補助装置(例えば、温度および湿度の制御装置、電力供給など)の総計も減少する。
【0029】
[0037]再度図1に戻り、レジスト塗布ブロック3はBARCブロック2にてAR膜が形成された後の基板W上にレジスト膜を形成するための処理ブロックである。特定の実施形態において、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いる。レジスト塗布ブロック3は、AR膜の上面にレジスト膜を形成するために用いられるレジスト塗布処理部134と、レジスト塗布処理に付随する1つ以上の熱処理を実行するための一対の熱処理タワー132と、レジスト塗布処理部134および一対の熱処理タワー132に対して基板Wの受け渡しを行うのに用いられる搬送ロボット102と、を備える。
【0030】
[0038]BARCブロック2における処理部の構成と同様に、レジスト塗布処理部134と一対の熱処理タワー132とが搬送ロボット102を挟んで対向して配置されている。熱隔壁(図示省略)が設けられて処理部間の熱混合が減少される。一般に、レジスト塗布処理部134は同様の構成を備えて上下に積層配置された3つの塗布処理ユニットを含んでいる。それぞれの塗布処理ユニットは、スピンチャック136、基板Wにレジストを吐出する塗布ノズル138、スピンモータ(図示省略)およびカップ(図示省略)等を含んでいる。
【0031】
[0039]熱処理タワー132は上下に積層された多数のベークチャンバーおよびクールプレートを含む。特定の実施形態において、ファクトリーインターフェイスブロック1に近い熱処理タワーはベークチャンバーを含み、ファクトリーインターフェイスブロック1から遠い熱処理タワーはクールプレートを含む。図1に示す実施形態においては、ベークチャンバーは、ローカル搬送機構134とともに上下に積層されたベークプレートおよび基板仮置き部を含む。ローカル搬送機構134は、鉛直方向および水平方向に移動してベークプレートと基板仮置き部との間で基板Wを搬送するように構成されるとともに能動的に冷却された搬送アームを含んでも良い。搬送ロボット102は幾つかの実施形態において搬送ロボット101と同様の構成である。搬送ロボット102は、基板載置部32,33、熱処理タワー132、レジスト塗布処理部134に設けられた塗布処理ユニット、および、基板載置部34,35に独立してアクセスすることができる。
【0032】
[0040]現像処理ブロック4は、レジスト塗布ブロック3とスキャナーインターフェイスブロック5との間に位置している。レジスト塗布ブロック3の雰囲気から現像処理ブロックを遮断する隔壁22が設けられている。上側の基板載置部34はレジスト塗布ブロック3から現像処理ブロック4に基板Wを搬送するために用いられる。一方、下側の基板載置部35は現像処理ブロック4からレジスト塗布ブロック3に基板Wを搬送するために用いられる。上述したように、基板載置部32〜39は、載置される基板Wの有無を検出するための光学センサを含んでも良い。各センサからの検出信号に基づいて、基板搬送処理時における各種基板搬送機構および各種処理ブロックの搬送ロボットの制御が実行される。
【0033】
[0041]現像処理ブロック4は、スキャナーEXPにて露光された後の基板Wに現像液を供給するための現像処理部144と、一対の熱処理タワー141,142と、搬送ロボット103と、を備える。現像処理部144は、互いに同様の構成を備えて上下に積層配置された5つの現像処理ユニットを含んでいる。それぞれの現像処理ユニットは、スピンチャック146、基板Wに現像液を供給するノズル148、スピンモータ(図示省略)およびカップ(図示省略)等を含んでいる。
【0034】
[0042]熱処理タワー142は、上述の如きベークチャンバーおよびクールプレートを含む。さらに、熱処理タワー142は搬送ロボット104と同様に搬送ロボット103をも受け入れ可能である。熱処理ユニット141は搬送ロボット103を受け入れ可能である。加えて、熱処理タワー142は、現像処理ブロック4とスキャナーインターフェイスブロック5との間で基板の受け渡しを行うときに使用される基板載置部36,37を含む。
【0035】
[0043]インターフェイスブロック5は、塗布後の基板WをスキャナーEXPに搬送するとともに露光後の基板を現像処理ブロック5に搬送するために用いられる。本実施形態に示されたインターフェイスブロック5は、露光ユニットEXPに対して基板Wの受け渡しを行うための搬送機構154と、塗布後の基板の周縁部を露光する一対のエッジ露光ユニットEEWと、搬送ロボット104と、を備える。スキャナーと現像処理ユニット4との間で基板を搬送するために一対のエッジ露光ユニットEEWとともに基板載置部38,39が設けられている。
【0036】
[0044]搬送機構154は、可動ベース154Aと、可動ベース154Aに搭載された保持アーム154Bと、を備える。保持アーム154Bは、可動ベース154Aに対する鉛直方向の移動、旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動が可能である。センドバッファSBFは、露光ユニットEXPが基板Wを受け入れることができない場合に露光処理に先行して基板Wを一時的に収納するために設けられている。センドバッファSBFは複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚を含む。
【0037】
[0045]コントローラ160は、クラスターツールで実行されるプロセスおよび構成要素の全てを制御するために使用される。コントローラ160は通常スキャナー5と通信を行い、クラスターツールで実行されるプロセスの状況の監視および制御を行うとともに、完全な基板処理シーケンスの全体を制御する。コントローラ160は、典型的にはマイクロプロセッサベースの制御部であり、ユーザおよび/または処理チャンバーのうちの1つの種々のセンサーからの入力を受け、コントローラのメモリに保持されたソフトウェア命令および種々の入力に従って処理チャンバーの構成要素を適切に制御するように構成されている。コントローラ160は、種々のプログラムを保持し、プログラムを処理し、必要ならばプログラムを実行するためにコントローラによって利用されるメモリおよびCPU(図示省略)を一般に備える。そのメモリ(図示省略)は、CPUに接続され、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、或いは、ローカルまたはリモートタイプの任意の他の形態のディジタル記憶媒体などの容易に利用可能なメモリの1つ以上であって良い。ソフトウェアの命令およびデータは、CPUに命令するためにコード化されてメモリ内に格納可能とされている。また、支援回路(図示しない)は、従来と同様にプロセッサを支援するためにCPUに接続されている。支援回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステムなどの周知のものを含んで良い。コントローラ160によって読み出し可能なプログラム(またはコンピュータ命令)は、処理チャンバーにおいていずれのタスクが実行可能か決定する。好ましくは、プログラムはコントローラ160によって読み出し可能なソフトウェアであり、定められたルールおよび入力データに基づいて処理の監視および制御を行う命令を含む。
【0038】
[0046]本発明の実施形態に係る基板処理装置の追加の説明は、"Substrate Processing Apparatus"というタイトルの米国特許出願公開第2006/0245855および"Integrated Thermal Unit Having A Shuttle With A Temperature Controlled Surface"というタイトルの米国特許第7,282,675B2に記載されており、これらの開示内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。ここでは本発明の実施形態を図1に示したトラックリソグラフィーツールに関して記載しているが、トラックリソグラフィーツールの他のアーキテクチャが本発明の実施形態の範囲に含まれる。例えば、デカルト座標を用いたアーキテクチャを利用するトラックリソグラフィーツールは、本明細書において記述するような実施形態で使用するのに好適である。特定の実施形態において、日本国、京都のSokudo Co.,Ltd.から入手可能なRF3iに対して実装が実行される。
【0039】
[0047]図2Aは、本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略図である。基板処理装置200は筐体201を備える。筐体201は、従来の製作技術を用いて、アルミニウムなどの適切な素材により構成することができる。筐体201内においては、2つの処理ステーション202,203が互いに隣り合って配置されている。それぞれの処理ステーションは基板を保持するように構成されている。1つの実施形態では、基板処理ステーションは円形基板用に構成されるが、当業者であれば他の形状の基板、例えば、正方形または長方形の基板を保持するように基板ステーションを変更できることを理解するであろう。
【0040】
[0048]パネル204が2つの処理ステーション202および203の中央に配置されてそれらを仕切る。しかし、図2Aに示した実施形態において、パネル204は完全には2つの処理ステーションを分離しない。各処理ステーションはもう一方のミラーイメージである。特定の実施形態においては双方の処理ステーションが同一の構成を備える。以降、処理ステーション202を参照しつつ各処理ステーションの構成について説明する。処理ステーション203についても同様の説明が適用できることは理解されるべきである。
【0041】
[0049]処理ステーション202は、基板を保持するように構成された基板保持部205を備える。1つの実施形態では、基板を支持または保持するのに加えて、基板保持部が所定速度で基板を回転するように構成されている。1つの実施形態では、ステーション202の基板保持部は時計回りに回転し、ステーション203の基板保持部は反時計回りに回転すれば良い。他の実施形態では、基板保持部は静止していても良い。処理ステーション202は、基板保持部に載せられた基板上に流体を吐出するように構成された吐出アーム206をさらに備える。吐出アームは、センターパネル204と筐体201の外壁との間で基板を超える水平方向に移動するように構成されている。1つの実施形態では、吐出アーム206は現像液を吐出する。しかし、吐出アームは現像液を吐出するのに限定されるものではなく、当業者であればフォトレジストなどの他の種類の流体も吐出できることを理解するであろう。各吐出アームは、アームを移動可能な機械アッセンブリー207に連結されている。機械アッセンブリーは、吐出アームを鉛直方向(Z方向)にも移動させるように構成されている。
【0042】
[0050]処理ステーション202はリンスアーム208も含む。リンスアーム208は、リンス液、例えば、純水を基板上に吐出するように構成される。リンスアームはセンターパネル204に連結され、センターパネル204から円弧状に離れるように移動可能である。1つの実施形態では、リンスアームが移動できる最大半径は基板の中心より約10mm遠い。加えて、処理ステーション202は応用形態によっては第2の吐出アーム209を備えていても良い。第2の吐出アーム209は第1の吐出アームに対して垂直な方向に沿って後述するシャッター210の近くに配置されている。第2の吐出アームは、基板上に流体を吐出するために基板の中心に向けて円弧状に移動するように構成されている。1つの実施形態では、図2Aに示すように、第2の吐出アームはトラックリソグラフィーツールの基板搬送エリア250の近くに配置される。1つの実施形態では第2の吐出アームは現像液を吐出するように構成することができる。しかし、当業者であれば第2の吐出アーム209からフォトレジストなどの他の種類の流体も吐出できることを理解するであろう。
【0043】
[0051]第2の吐出アーム209には、基板の表面に流体を供給する多数の独立したノズル(図示しない)を含むノズルヘッドアッセンブリーが連結されている。第2の吐出アームのノズルの数は2から10の範囲とすることができる。応用形態によって、基板処理ステーションは第1の吐出アームまたは第2の吐出アームのいずれかを含むことができるし、或いは双方を含むこともできる。
【0044】
[0052]図2Bに示すように、シャッター210は処理ステーション202をウェハー搬送エリア250から分離する位置に設けられる。1つの実施形態では、シャッターはL字形状とされ、基板搬送ロボットが基板処理ステーション202に基板を渡すためにアクセスできるように構成されている。シャッター210は、センターパネル204との組み合わせにより、処理ステーション202をウェハー搬送エリア250および他の処理ステーション203から実質的に分離する役割を果たす。典型的にはシャッターは処理ステーションで使用される処理用化学物質に耐えられる適切な素材にて作製されている。1つの実施形態では、シャッターは従来よりのプロセスを用いてアルミニウムにて作製される。
【0045】
[0053]既に述べたように、処理ステーション203はステーション202と同様の構成を備えている。同様にシャッター211は処理ステーション203をウェハー搬送エリア250および処理ステーション202から分離する。これは2つの処理ステーションを互いに独立して操作することを可能にする。かくして、もし処理ステーション202が故障したとしても、他方の処理ステーション203が基板を処理できることによって基板処理装置を動作可能に維持する。典型的なフォトリソグラフィーツールは、それぞれが2つの処理ステーションを備える基板処理装置を多数含んでいても良い。1つの実施形態においては、基板処理装置は互いの上面に鉛直方向に積み重ねられる。1つの実施形態において、この積層体は約4つの基板処理装置を含む。ツールを動作させる関連ソフトウェアは積層体に含まれる任意の故障した処理ステーションに選択的に能力を与える。
【0046】
[0054]図2Cおよび図2Dに示すように、センターパネル204は完全には2つの処理ステーションを分離しない。フィルターアッセンブリー212が少なくとも2つの処理ステーションのそれぞれの部位を覆うように横方向に延びて配設されている。鉛直方向におけるフィルターアッセンブリー212とセンターパネル204との間には小さな隙間が存在している。いくつかの場合、1つの処理ステーションでの基板処理動作において使用された流体から生じたミストが他方の処理ステーションに移動することができ、パーティクルを生成して隣の処理ステーションの基板に処理欠陥をもたらす。この問題を無くす或いは最小限にするために、一方の処理ステーションから他方に空気およびパーティクルが流れるのを防ぐためのスプラッシュガードパネル213が用いられる。スプラッシュガードパネル213はフィルターアッセンブリー212に連結される。フィルターアッセンブリー212は、基板処理装置内における定常的な空気流を維持するのを補助する。スプラッシュガードパネル213は筐体201の深さのほとんどに及び、鉛直方向においてセンターパネル204と重なる。これは一方の処理ステーションから他方に流れる空気のためのラビリンス214を形成する。このラビリンス214が空気の自由な流れを妨げることによって、2つの処理ステーション間を移動するパーティクルが減少またはある場合には消滅する。1つの実施形態では、スプラッシュガードパネル213はセンターパネル204と約5〜6mm重なり、横方向にはセンターパネル204から4〜5mm離れる。スプラッシュガードパネル213がセンターパネル204ではなくフィルターアッセンブリーに連結されているため、スプラッシュガードパネル213が2つの基板処理ステーションへのアクセス性を妨げることはなく、また基板処理ステーションを組み込んだ機器の利便性を改善する。上記の各基板処理ステーションは独立した吐出アームを備えるものとして説明したが、別の実施形態においては1つの吐出アームが全ての処理ステーションに流体を吐出するように用いられる。また、基板処理装置の他の形態は2つ以上の処理ステーションを備える。これらの処理ステーションのそれぞれは独立した吐出アームを有するか、または、全ての処理ステーションに作動する1つの吐出アームを組み込む。
【0047】
[0055]上述した基板処理装置を用いることによる多くの利点が理解される。2つの処理ステーションを互いに独立して動作できることは、処理機器の全体耐用時間を維持するのを助ける。さらに、これは処理装置の平均故障間隔(MTBF:Mean Time between Failure)を長くし、それによって基板処理装置を組み込んだ機器における生産性を向上させる。加えて、多数の基板処理装置を供給することで基板処理装置を組み込んだ機器のスループット(時間当たりの基板処理枚数)を向上させ、それによって生産性における顕著な利点が得られる。
【0048】
[0056]図3は、本発明の実施形態に係る基板処理装置300の斜視図である。より具体的には、図3は基板処理装置の底部を示している。複数の排気ポート301が基板処理装置の床に連結されており、それらは各処理ステーション302,303の周縁に沿って配置されている。排気ポート301は基板処理装置から空気を排気するための開口を備える。排気ポートは周縁に沿った円形パターンに配置するように描かれているが、当業者であれば排気ポート301は任意のパターンかつ基板処理装置内の任意の所定位置に配置可能であることを理解するであろう。各排気ポート301は支柱304によって基板処理装置の床から引き起こされている。1つの実施形態では、支柱の高さは約19mmである。異なる実施形態においては、支柱の高さは5mm〜25mmの範囲とすることができる。例えば、支柱の高さは25mm,20mm,15mm,10mm,5mmなどとすることができる。排気ポートの開口を基板処理装置の床の上に起こすことで基板処理装置内の流体が排気ポートに入り込むのを防止することを補助している。さらに、排気ポートの開口は、当該開口における排気速度を減少するように設計されている。これは排気システムに吸引できる流体小滴の総量を低減する。加えて、各排気ポート301はキャップ305によって覆われている。1つの実施形態においては、キャップはキノコ形状であるが、当業者であれば任意の他の好適なキャップ形状も可能であることを理解するであろう。さらにキャップ305は基板の処理中に飛散する流体および/またはミストが排気ポートに入り込むのを防止する。排気ポート301のそれぞれは排気開口を終端とする排気マニフォールド(図示しない)に接続されている。各処理ステーションはそのような排気開口を少なくとも1つ備えている。後述する排気ダクト401,402が処理ステーション302,303の排気開口にそれぞれ連結され、排気能力を供給している。
【0049】
[0057]基板処理装置の床のチャネル306は、処理ステーション302および303の双方での基板の処理中に飛散した全ての流体を回収する。チャネル306はドレインポート307に連結されている。ドレインポート307は2つの処理ステーション302,303によって共有されている。ドレインポートはドレイン管308に連結されている。1つの実施形態において、ドレイン管308は110mmの長さで基板処理装置300の底部から鉛直方向下方に延びる。ドレイン管308は、基板処理装置内からの飛散した流体を外部ドレイン出口(図示省略)に運ぶドレインアッセンブリー(図示省略)に連結されている。その外部ドレイン出口は主排気/ドレインアッセンブリーに連結されている。ドレイン管308は、金属、PVCなどを含む任意の好適な材料から作製することができる。共通のドレインポートの利点の一つは基板処理装置の設計を簡素化して次には製造コストを下げることである。さらに、ドレイン管308を鉛直に落とし込むことによってドレインポート307の内部および周囲にサイフォン効果を生み出す。これは基板処理装置から流体の大部分を効果的に排出するのを助ける。基板処理動作中に飛散した流体の大部分を効果的に排除することによって、基板処理ステーションは如何なる流体からも実質的に解放された状態に維持され、このことが基板処理ステーションを物理的に洗浄しなければならなくなる前により長い期間システムを動作可能とする。このことについてシステムの効率を測定する一般的なパラメータは平均洗浄間隔(MTBC:Mean Time Between Clean)と称される。ドレイン管308とともにドレインポート307を使用することがMTBCの向上を助け、それによってシステムの効率および生産性が向上して全体のコストオブオーナーシップ(CoO)が減少する。さらに、これによってシステムの全体の信頼性改善も助けられる。さらには、ドレインと排気アッセンブリーとを分離することによって、従来設計における主たる問題であった排気システムへの流体の流入を防止することができる。
【0050】
[0058]図4に描くように、各基板処理ステーションは排気ダクトに連結されている。1つの実施形態では、処理ステーション202が排気ダクト401に連結され、処理ステーション203が排気ダクト402に連結される。このようにして、各排気ダクトは2つの処理ステーションに対して独立した排気能力を与える。全ての処理ステーションに共通の排気ポートを用いる従来の設計においては、処理ステーションが共通の排気ポートの存在に起因した不均衡な排気流を受けていた。各処理ステーションに独立した排気能力を与えることによって、処理ステーションが受けていた混入の量を低減した。さらに、独立した排気ダクトは各処理ステーションに均衡のとれた排気を与える。排気ダクト401および402のそれぞれは排気アッセンブリー(図示省略)に連結されている。多数の基板処理装置を互いに上下に積み重ねた1つの実施形態においては、各基板処理装置が2つの排気ダクトに接続されていても良く、そのような排気ダクトの対のそれぞれは異なる高さ方向距離にて排気アッセンブリーに連結されている。
【0051】
[0059]排気ダクト401および402は同様の構造であり、これからは排気ダクト401を参照して同じものの構造上の詳細を与える。排気ダクト401は第1の端部406にエリア排気開口405を有する。エリア排気405に加えて、排気ダクトは第2の端部408に向けてボウル排気開口407をも有する。エリア排気開口405は、ボウル排気開口407が閉止されているとき、例えば、現像処理中に基板処理ステーションに排気能力を与える。別の実施形態においては、エリア排気はノズルの移動中に発生したパーティクルを捕集するように適合されていても良い。ボウル排気407は各処理ステーションから空気を排気するように適合されている。ボウル排気開口407はボウル排気マニフォールド(図示しない)に連結されている。ボウル排気マニフォールドは各処理ステーションの基板保持部の内部周辺に排気能力を均一に分配する。ボウル排気は、例えば、リンスサイクル中に生じたミストを捕集するために用いられる。別の実施形態においては、ボウル排気は、現像処理中に現像液から生じた蒸気の幾ばくかを捕集するために用いられても良い。開口407は、排気される空気の流量を調整できるようにドアおよびダンパー機構(図示省略)によって制御されている。排出量は、処理ステーションで実行されている処理の要求に応じてドアおよびダンパー機構を用いて制御することができる。例えば、ボウル排気開口407は、基板端縁部での空気流に起因して生じる均一性の問題を回避するために現像サイクル中は閉止されている。そのような状況では、基板処理ステーションから空気を排出するのにエリア排気を用いても良い。
【0052】
[0060]さらに、エリア排気405にはダンパー(図示省略)が設けられている。このダンパーは、エリア排気405およびボウル排気407からの等しい排気流を促進することにより排気流の調整を補助する。これは他方の処理ステーションがエリア排気とボウル排気との間を移行するときに一方の処理ステーションでの排気の変動を減少または消滅させるのに役立つ。排気ダクトの第2の端部408は共通の排気ダクト409に連結されている。第2の処理ステーションからの排気ダクト401もまたこの共通の排気ダクト409に連結される。共通の排気ダクト409は、次には、上下に積み重ねられた基板処理装置の全ての排気ダクトに接続されたより大きな排気ダクト(図示省略)に接続される。その排気ダクトは、全ての基板処理ステーションにわたって安定かつ再現性のある排気特性を確保するように設計されている。
【0053】
[0061]図5は、発明の実施形態に係る吐出アームアッセンブリー500を示す。吐出アームアッセンブリー500は、供給ホース502およびアーム部材503に連結されたノズル501を含む。供給ホース502は流体源(図示省略)に連結されてノズル501に流体を送給する。アーム部材503は内部チャンバー504を備える。供給ホース502はこの内部チャンバー504を通る。この設計によって実現される一つの利点は、吐出アームアッセンブリーの動作中に供給ホースが受けるよじれ或いはねじれが無くなることである。アーム部材503の内部には、供給ホース502が過度に延ばされるのを防ぐのに役立つストレス軽減スリーブ505が有り、これによって基板処理装置の信頼性が向上している。吐出アームアッセンブリー500は、図2Aに述べた吐出アーム206または吐出アーム209のいずれかのように構成することもできる。
【0054】
[0062]図6は、本発明の1つの実施形態に係る基板の処理方法600を示す簡易フローチャートである。ステップ601では、基板処理ステーション内に設置された基板保持部の上に基板が位置される。1つの実施形態では、基板処理ステーション202の基板保持部205を時計回りまたは反時計回りに回転させることによって基板は所定の方位に向きを調整される。他の基板処理ステーション203の基板保持部が同様に基板の向きを調整するように回転することもできる。次にステップ602にて、吐出アームが能動化されて基板の上方の第1の位置に移動する。1つの実施形態では、その位置はウェハーの中心の上方で良い。しかしながら、当業者であれば吐出アームの移動軌跡に沿った任意の他の位置も可能であることを理解するであろう。次にステップ603にて、吐出アームが露光された基板の表面上に所定時間流体を吐出する。さらに、応用形態によっては、流体を吐出している間、所定速度にて基板を回転させるようにしても良い。1つの実施形態では、基板は1000〜5000RPMの速度にて回転され、流体は現像流体によって特徴付けられる。しかし、同様の技術は他の種類の流体、例えば、塗布流体またはリンス流体を吐出するのにも使用することができる。ステップ604では、リンスアームが能動化されて第1の円弧上位置に移動する。リンスアームは、吐出サイクルが完了する前に、当該第1の円弧上位置に移動する。ステップ605では、吐出サイクルが完了した後に、吐出アームがそのホームポジションに帰還する。ステップ605で吐出アームがそのホームポジションに帰還するのと同時に、リンスアームは基板上方の第2の円弧上位置に移動する。これはリンス工程が開始されるまでの遅れ時間を最小にし、それによって基板処理装置のスループットを高め、吐出された流体が漂った液滴が基板上に落下することに起因した欠陥ができる機会を最小限にとどめる。ステップ606では、リンスサイクルが能動化されてリンスアームが基板上に所定期間リンス流体を吐出する。次にステップ607では、リンスアームがそのホームポジションに帰還する。
【0055】
[0063]図6に示した特定の工程は本発明の1つの実施形態に係る特定の基板上への流体吐出方法を与えることを認識すべきである。異なる実施形態によれば他の処理シーケンスが実行されても良い。例えば、本発明の他の実施形態においては、上記概説した工程を異なる順序にて実行するようにしても良い。さらに、図6に示した個別の工程は、その工程に適切とされる種々のシーケンスで実行しても良い多数のサブステップを含んでいても良い。さらに、特定の応用形態によっては追加の工程を追加しても良いし削除しても良い。当業者であれば多くの変形、変更および選択を理解するであろう。
【0056】
[0064]ここで述べた例および実施形態は単に説明のためのものであることは理解される。また、それに鑑みて種々の変形または変更が当業者に想起され、それらの変形または変更はこの出願の思想および範囲並びに添付の請求項の範囲内に含められるべきであることも理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1側部および第2側部を有し、前記第1側部に近接して基板を保持するように構成された第1処理ステーションおよび前記第2側部に近接して基板を保持するように構成された第2処理ステーションを備える筐体と、
前記第1側部と前記第1処理ステーションとの間に配置され、前記第1処理ステーションに第1の流体を供給するように構成された第1吐出アームと、
前記第2側部と前記第2処理ステーションとの間に配置され、前記第2処理ステーションに前記第1の流体を供給するように構成された第2吐出アームと、
前記第1処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第1リンスアームと、
前記第2処理ステーションに前記リンス流体を供給するように構成された第2リンスアームと、
を備え、
前記第2処理ステーションが前記第1処理ステーションと隣り合って配置された半導体基板処理装置。
【請求項2】
前記第1吐出アームおよび前記第2吐出アームは長手方向に移動するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1処理ステーションと前記第2処理ステーションとを分離するように構成された複数のシャッターをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1処理ステーションの動作は前記第2処理ステーションの動作から独立している、請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記基板処理装置は、前記筐体の外部に配置された基板搬送エリアをさらに備え、
前記複数のシャッターは、
前記第1処理ステーションを前記基板搬送エリアから分離するように構成された第1シャッターと、
前記第2処理ステーションを前記基板搬送エリアから分離するように構成された第2シャッターと、
前記第1処理ステーションを前記第2処理ステーションから分離するように構成された第3シャッターと、
を備える、請求項3記載の装置。
【請求項6】
前記第3シャッターの上方に設置されたパネルをさらに備え、
少なくとも前記パネルの一部は少なくとも前記第3シャッターの一部と重なる、請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記第1処理ステーションに連結された第1排気開口および前記第2処理ステーションに連結された第2排気開口をさらに含み、
前記第1排気開口は第1排気流路に連結され、前記第2排気開口は第2排気流路に連結される、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記第1排気流路および前記第2排気流路のそれぞれは第1排気区画および第2排気区画を含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記第1処理ステーションおよび前記第2処理ステーションによって共有されるドレインポートをさらに含み、
前記ドレインポートは現像流体の排出経路を形成するように構成され、
前記排出経路はサイフォン効果を有することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
5mmから約25mmの範囲の高さを有する支柱を備える、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記第1処理ステーションに前記第1の流体を供給するように構成された第3吐出アームおよび前記第2処理ステーションに前記第1の流体を供給するように構成された第4吐出アームをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記第3吐出アームおよび前記第4吐出アームは円弧状に移動するように構成される、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記第3吐出アームは前記第1吐出アームに対して垂直に配置され、
前記第4吐出アームは前記第2吐出アームに対して垂直に配置される、請求項11記載の装置。
【請求項14】
基板上に流体を吐出する吐出アームであって、
1つ以上のノズルを保持するように構成されたノズルヘッドアッセンブリーと、
前記ノズルヘッドアッセンブリーに連結され、内部流路を有するアームアッセンブリーと、
前記内部流路に配置され、前記ノズルヘッドアッセンブリーに前記流体を送給するように構成された可撓性の長管と、
を備える吐出アーム。
【請求項15】
複数の基板処理装置を含むトラックリソグラフィーツールであって、
それぞれの基板処理装置は、
第1側部および第2側部を有し、前記第1側部に近接して基板を保持するように構成された第1処理ステーションおよび前記第2側部に近接して基板を保持するように構成された第2処理ステーションを備える筐体と、
前記第1側部と前記第1処理ステーションとの間に配置され、前記第1処理ステーションに現像流体を供給するように構成された第1吐出アームと、
前記第2側部と前記第2処理ステーションとの間に配置され、前記第2処理ステーションに前記現像流体を供給するように構成された第2吐出アームと、
前記第1処理ステーションにリンス流体を供給するように構成された第1リンスアームと、
前記第2処理ステーションに前記リンス流体を供給するように構成された第2リンスアームと、
を備え、
前記第2処理ステーションが前記第1処理ステーションと隣り合って配置されたトラックリソグラフィーツール。
【請求項16】
複数の前記基板処理装置が上下に積層配置されている、請求項15記載のトラックリソグラフィーツール。
【請求項17】
上下の積層は4つの基板処理装置を備える、請求項16記載のトラックリソグラフィーツール。
【請求項18】
半導体処理装置にて基板上に流体を吐出する方法であって、
基板を基板支持部上に配置する工程と、
前記基板の上方に吐出アームを位置させる工程と、
前記吐出アームを用いて前記基板の表面上に流体を所定時間吐出する工程と、
前記所定時間の満了前に、リンスアームをそのホームポジションとは異なる第1の位置に移動させる工程と、
前記リンスアームを前記基板の上方の第2の位置に移動させるのと同時に前記吐出アームを戻す工程と、
前記基板の上にリンス流体を吐出する工程と、
を備える方法。
【請求項19】
前記流体を吐出する前に所定の方位に基板の向きを調整する工程をさらに備える、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記基板の向きの調整は前記基板支持部を回転させて行うことを特徴とする請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−510732(P2012−510732A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539781(P2011−539781)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/067038
【国際公開番号】WO2010/068597
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】