説明

マンコンベア用安全装置の動作表示装置

【課題】異常発生時の復旧作業時間、および、据付時・保守時における動作確認作業時間を短縮したマンコンベア用安全装置の動作表示装置を得る。
【解決手段】停止スイッチ6に直列接続された安全装置群7と、停止スイッチ6、安全装置群7の開放動作に応答して検出信号Dを生成する検出装置11と、開放動作に応答して停止信号Cを生成する運転制御装置12と、通常/保守状態の切換スイッチ8と、切換スイッチ8のセット状態、停止信号Cおよび検出信号Dに基づく異常判定装置13と、異常判定装置13の出力信号により安全装置群7の動作状態を表示する本体表示装置1とを備えている。異常判定装置13は、通常時に停止信号Cが入力されれば、検出信号Dを記憶して本体表示装置1に表示させ、保守時には、停止信号Cとは無関係に、検出信号Dを記憶して表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンコンベア用安全装置の動作表示装置に関し、特に動作表示の信頼性を向上させた技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンコンベアには、乗客の安全のために、異常時にマンコンベアを停止させるための多数の安全装置が直列に設けられている。
しかし、このままでは、異常検出時に或る安全装置が開放動作してマンコンベアの運転が停止されても、多数の安全装置のうちのどの安全装置が動作したか否かが分からないので、一般管理者は、動作安全装置(動作中の安全装置)を確認することができない。
【0003】
この場合、マンコンベアの異常停止時にメンテナンス技術者を呼び、安全装置の動作箇所を特定して安全確認をしてもらう必要があり、マンコンベアの復旧までに多大な時間を要してしまう。
【0004】
そこで、従来より、動作安全装置を表示して、動作安全装置の確認を容易にするとともに、マンコンベアが起動できた場合に表示を解除するようにしたマンコンベア用安全装置の動作表示装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−32582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマンコンベア用安全装置の動作表示装置では、上記特許文献1の場合、異常発生後のマンコンベア再起動に応答して安全装置の動作表示を解除しているが、安全装置が実際に復帰していることを確認するためには、マンコンベアを再起動する必要があるので、マンコンベアの据付時や保守時などにおいて安全装置の動作/復帰状態を確認する場合や表示装置の表示動作を確認する場合には、マンコンベアの起動/停止を頻繁に繰り返す必要があり、作業員に煩わしさを感じさせるとともに多大な作業時間を要するという課題があった。
【0007】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、保守時の安全装置の動作確認を行う場合に、不要な表示信号を出力しないようにすることにより、一般管理者に誤解を招かないようにして、マンコンベアの据付/保守時の作業性を向上させたマンコンベア用安全装置の動作表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明によるマンコンベア用安全装置の動作表示装置は、外部操作により開放動作されてマンコンベアを停止させる常閉の停止スイッチと、停止スイッチに直列接続されて、マンコンベアの異常が検出されたときに開放動作する安全装置と、停止スイッチおよび安全装置の少なくとも一方の開放動作に応答して検出信号を生成する検出装置と、停止スイッチおよび安全装置の少なくとも一方の開放動作に応答してマンコンベアを停止させるための停止信号を生成する運転制御装置と、外部操作により動作されてマンコンベアの運転状態を通常状態または保守状態に切換える切換スイッチと、切換スイッチのセット状態、停止信号および検出信号に基づき、マンコンベアの異常状態および異常箇所を必要に応じて記憶して出力する異常判定装置と、マンコンベアの本体に設置され、異常判定装置からの出力信号により安全装置の動作状態を表示する本体表示装置とを備え、異常判定装置は、切換スイッチが通常状態にセットされているときに停止信号が入力された場合には、検出信号を記憶するとともに、検出信号に基づく出力信号を本体表示装置に伝送して表示させ、切換スイッチが保守状態にセットされているときには、停止信号の有無とは無関係に、検出信号を記憶するとともに、検出信号に基づく出力信号を本体表示装置に伝送して表示させるものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、据付・保守時における安全装置の動作確認および表示装置の動作確認を容易に行うことができ、据付および保守作業の効率化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係るマンコンベア用安全装置の動作表示装置を含む操作盤を示す正面図である。
また、図2は図1に示した操作盤のマンコンベア欄干部への配置例を示す斜視図、図3はこの発明の実施の形態1の全体構成を示すブロック図、図4はこの発明の実施の形態1による動作を示すフローチャートである。
【0011】
図1および図2において、操作盤4は、本体表示装置1、起動スイッチ2および警報/停止スイッチ3などを有し、マンコンベアの乗降口における欄干部5の下部に設けられている。
なお、本体表示装置1は、操作盤4に限らず、マンコンベア本体の表面、または、マンコンベア本体の内部に設置されてもよい。
【0012】
図3において、マンコンベア用安全装置の動作表示装置は、警報/停止スイッチ3(図1参照)に含まれる停止スイッチ6と、マンコンベアの異常を検出するための安全装置群7と、切換スイッチ8と、起動スイッチ2(図1参照)に含まれる上昇運転用起動スイッチ9および下降運転用起動スイッチ10と、安全装置群7の動作を検出する検出装置11と、マンコンベアの運転を制御する運転制御装置12と、マンコンベアの異常を判定する異常判定装置13とを備えている。
【0013】
常閉の停止スイッチ6は、外部操作により開放動作されて、マンコンベアを人為的に停止させるようになっている。
安全装置群7は、直列接続された複数の安全装置7a、7b、7c、・・・、7nにより構成されている。
また、停止スイッチ6および安全装置群7からなる直列回路の一端は、運転制御装置12に接続されるとともに、上昇運転用起動スイッチ9および下降運転用起動スイッチ10からなる並列回路(図1内の起動スイッチ2)を介して運転制御装置12に接続されている。
【0014】
安全装置7a〜7nは、マンコンベアの異常を検出したときに開放動作する。
切換スイッチ8は、外部操作により動作されて、マンコンベアの運転状態を通常状態または保守状態に切換える。
たとえば、切換スイッチ8は、通常状態においてはオフ(開放)状態にあり、保守状態においてはオン(閉成)されるものとする。
【0015】
検出装置11は、停止スイッチ6の両端間の電位差と、安全装置群7内の安全装置7a〜7nの各両端間との電位差とを検出し、電位差が発生した箇所が動作装置の箇所として検出する。
検出装置11は、停止スイッチ6および安全装置群7の少なくとも一方の開放動作を検出したときに検出信号Dを生成する。
【0016】
運転制御装置12は、停止スイッチ6および安全装置群7の少なくとも一方の開放動作に応答して、マンコンベアを停止させるための停止信号Cを生成するとともに、上昇/下降運転用起動スイッチ9、10の操作に応答した操作信号を生成する。
停止信号Cは、検出装置11および異常判定装置13に入力され、起動スイッチ操作信号は、異常判定装置13に入力される。
【0017】
異常判定装置13は、切換スイッチ8のセット(開閉)状態と停止信号Cおよび検出信号Dとに基づいて、マンコンベアの異常状態および異常箇所を判定し、これらの異常情報を必要に応じて記憶するとともに、記憶した検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送する。
本体表示装置1は、マンコンベアの本体に設置され、異常判定装置13からの出力信号により安全装置群7の動作表示を行う。
【0018】
異常判定装置13は、切換スイッチ8が通常状態(オフ)にセットされているときに停止信号Cが入力された場合には、検出信号Dを記憶するとともに、検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送し、検出結果を表示させる。
また、異常判定装置13は、切換スイッチ8が保守状態(オン)にセットされているときには、停止信号Cの有無とは無関係に、検出信号Dを記憶するとともに、検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送して表示させる。
【0019】
次に、図4を参照しながら、この発明の実施の形態1による本体表示装置1、検出装置11および異常判定装置13の動作について説明する。
図4において、まず、異常判定装置13は、切換スイッチ8のセット状態を検出し、通常状態にセットされているか否かを判定し(ステップS1)、保守状態にセットされている(すなわち、No)と判定されれば、ステップS7以降の処理(後述する)に進む。
【0020】
一方、ステップS1において、切換スイッチ8のセット状態が通常状態である(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、検出装置11は、安全装置群7内の安全装置7a〜7nの少なくとも1つが動作したか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2において、安全装置群7が動作していない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS1に戻り、安全装置群7が動作した(すなわち、Yes)と判定されれば、安全装置7a〜7nのうちから動作安全装置を検出する。
【0021】
また、ステップS3に続いて、異常判定装置13は、停止信号Cの有無によりマンコンベアが停止したか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4において、マンコンベアが停止していない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS1に戻る。
【0022】
一方、ステップS4において、マンコンベアが停止した(すなわち、Yes)と判定されれば、動作安全装置を記憶し(ステップS5)、動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に表示させて(ステップS6)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0023】
以上がマンコンベアの通常運転状態における表示処理動作である。
一方、前述のステップS1において、切換スイッチ8のセット状態が保守状態(オン)である(すなわち、No)と判定された場合には、検出装置11は、前述と同様に、安全装置群7内の安全装置7a〜7nの少なくとも1つが動作したか否かを判定する(ステップS7)。
【0024】
ステップS7において、安全装置群7が動作していない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS1に戻り、安全装置群7が動作した(すなわち、Yes)と判定されれば、検出装置11は、安全装置7a〜7nのうちから動作安全装置を検出する。
【0025】
続いて、異常判定装置13は、停止信号Cの有無にかかわらず、動作安全装置を記憶し(ステップS9)、動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に表示させて(ステップS10)、図4の処理ルーチンを終了する。
【0026】
以上のように、異常判定装置13は、切換スイッチ8のセット状態に応じて、本体表示装置1の表示方法を切換える。
また、検出装置11は、切換スイッチ8が通常運転側にセット(オフ)されているときに、安全装置群7が動作している場合には、安全装置群7の動作を検出して検出信号Dを生成する。
【0027】
このように、通常状態において安全装置群7が動作している場合に、運転制御装置12から停止信号C(マンコンベアの停止状態を示す)が生成され、停止信号Cが異常判定装置13に入力されていれば、異常判定装置13は、異常情報として動作安全装置を記憶する。
【0028】
また、異常判定装置13は、異常判定装置13に記憶された動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に伝送し、本体表示装置1は、異常判定装置13からの出力信号に応答して、動作安全装置に対応した番号を表示する。
たとえば、本体表示装置1は、安全装置7aが動作した場合には「001」と表示し、安全装置7bが動作した場合には「002」と表示する。
【0029】
一方、切換スイッチ8が保守側にセットされているときに、安全装置群7が動作している場合には、異常判定装置13は、停止信号Cの有無にかかわらず、検出装置11からの検出信号Dを安全装置群7の動作信号として取り込む。
【0030】
異常判定装置13は、検出装置11からの検出信号D(安全装置群7の動作)が入力されると、前述と同様に、検出信号Dに基づいて安全装置群7の動作状態(異常状態および異常箇所)を記憶するとともに、記憶した動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に伝送する。
これにより、本体表示装置1は、異常判定装置13からの出力信号に応答して、動作安全装置に対応する番号を表示する。
【0031】
この発明の実施の形態1に係るマンコンベア用安全装置の動作表示装置は、図3のように、停止スイッチ6と、安全装置群7と、検出信号Dを生成する検出装置11と、停止信号Cを生成する運転制御装置12と、通常/保守状態に切換える切換スイッチ8と、切換スイッチ8のセット状態、停止信号Cおよび検出信号Dに基づき出力信号を伝送する異常判定装置13と、安全装置群7の動作状態を表示する本体表示装置1とを備えている。
また、異常判定装置13は、図4のように、切換スイッチ8が通常状態にセットされているときに停止信号Cが入力された場合には、検出信号Dを記憶するとともに、検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送して表示させ、切換スイッチ8が保守状態にセットされているときには、停止信号Cの有無とは無関係に、検出信号Dを記憶するとともに、検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送して表示させる。
【0032】
したがって、この発明の実施の形態1によれば、マンコンベアの運転状態を保守状態または通常状態に切換える切換スイッチ8のセット状態に応じて、据付時・保守時と通常状態とで安全装置群7の動作表示条件を変更することにより、据付・保守時においては、本体表示装置1により安全装置群7の動作を確認する場合に、マンコンベアを起動・停止させることなく動作確認が可能なマンコンベア用安全装置の動作表示装置が得られる。
すなわち、通常状態においては、マンコンベアが停止した場合のみ動作表示を行い、保守状態においては、安全装置群7を動作させるごとに、動作表示を行うことができる。
【0033】
これにより、通常時には、停止に至らない安全装置群7の動作表示を行うことを回避することができるとともに、保守時などにおいて安全装置群7および本体表示装置1の動作確認を行う際には、マンコンベアの起動・停止を不要とすることができる。
また、マンコンベアが停止に至らない場合の安全装置動作を表示することなく、マンコンベアが停止した場合のみの安全装置動作を表示することができる。
【0034】
この結果、動作表示装置の信頼性を向上させるとともに、保守時などの動作確認の作業効率を向上させることができる。
また、保守時においては、マンコンベアの運転/停止を繰り返すことなく、安全装置群7の動作および復帰を確認できるので、安全装置群7の動作および復帰と本体表示装置1の動作を確認する作業時間を短縮することができ、異常停止した場合のマンコンベアの復旧時間を短縮することができる。
【0035】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1では、特に言及しなかったが、図5に示すように、停止スイッチ6の操作に応じて、または起動スイッチ2(上昇/下降運転用起動スイッチ9、10)の操作によるマンコンベアの動作に応じて、本体表示装置1の表示を消去するように異常判定装置13を構成してもよい。
図5はこの発明の実施の形態2による処理動作を示すフローチャートである。
【0036】
なお、この発明の実施の形態2に適用される本体表示装置1の構成および装置全体のブロック構成は、図1〜図3に示した通りである。
ただし、検出装置11からの検出信号Dは、停止スイッチ6の動作信号を含むものとする。また、運転制御装置12は、前述のように、停止信号Cのみならず、起動スイッチ2(上昇/下降運転用起動スイッチ9、10)の操作信号を異常判定装置13に入力する。
【0037】
図5において、ステップS1〜S10は、前述(図4参照)と同様の処理であり、ステップS6に続いてステップS11〜S15を追加した点およびステップS10に続いてステップS16〜S20を追加した点が前述と異なる。
この場合、停止スイッチ6の操作に応じて、または起動スイッチ2(9、10)による起動に応じて本体表示装置1の表示状態が解除可能に構成されている。
すなわち、作業員が停止スイッチ6を操作した場合、または、上昇/下降運転用起動スイッチ9、10の操作によりマンコンベアが起動できた場合には、本体表示装置1の表示が解除される。
【0038】
図5において、まず、異常判定装置13は、切換スイッチ8のセット状態により本体表示装置1の表示方法を切換える(ステップS1〜S10)。
すなわち、切換スイッチ8が通常運転側にセットされているときに、安全装置群7が動作している場合には、検出装置11からの検出信号Dにより安全装置群7の動作を検出し(ステップS1〜S3)、運転制御装置12からの停止信号Cが入力されれば、安全装置群7内で閉成動作している安全装置を動作安全装置として記憶し(ステップS4、S5)、記憶した動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に伝送して表示させる(ステップS6)。
【0039】
一方、切換スイッチ8が保守側にセットされているときに、安全装置群7が動作している場合には、停止信号Cの有無にかかわらず、検出信号Dから安全装置群7の動作を検出し、動作安全装置を記憶するとともに、記憶した動作安全装置に対応する番号を本体表示装置1に伝送して表示させる(ステップS1、S7〜S10)。
【0040】
また、異常判定装置13は、通常時の表示処理(ステップS6)に続いて、検出信号Dに基づき、停止スイッチ6が操作されたか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において、停止スイッチ6が操作された(すなわち、Yes)と判定されれば、異常判定装置13は、記憶している動作安全装置の番号を消去し(ステップS14)、本体表示装置1への出力信号の伝送を停止して表示を消去し(ステップS15)、ステップS1に戻る。
【0041】
一方、ステップS11において、停止スイッチ6が操作されていない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、起動スイッチ2(9、10)が操作されたか否かを判定する(ステップS12)。
ステップS12において、起動スイッチ2が操作された(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、マンコンベアが実際に起動できたか否かを判定する(ステップS13)。
【0042】
ステップS12において、起動スイッチ2が操作されていない(すなわち、No)と判定された場合、または、ステップS13において、マンコンベアが起動できていない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS11に戻る。
一方、ステップS13において、マンコンベアが起動できた(すなわち、Yes)と判定されれば、ステップS14、S15に進み、記憶している動作安全装置の番号を消去するとともに本体表示装置1の表示を消去し、ステップS1に戻る。
【0043】
同様に、異常判定装置13は、保守時の表示処理(ステップS10)に続いて、停止スイッチ6が操作されたか否かを判定し(ステップS16)、停止スイッチ6が操作された(すなわち、Yes)と判定されれば、記憶している動作安全装置の番号を消去し(ステップS19)、本体表示装置1への出力信号の伝送を停止して表示を消去し(ステップS20)、ステップS1に戻る。
【0044】
一方、ステップS16において、停止スイッチ6が操作されていない(すなわち、No)と判定されれば、続いて、起動スイッチ2(9、10)が操作されたか否かを判定し(ステップS17)、起動スイッチ2が操作された(すなわち、Yes)と判定されれば、続いて、マンコンベアが実際に起動できたか否かを判定する(ステップS18)。
【0045】
ステップS17において、起動スイッチ2が操作されていない(すなわち、No)と判定された場合、または、ステップS18において、マンコンベアが起動できていない(すなわち、No)と判定された場合には、ステップS1に戻る。
一方、ステップS18において、マンコンベアが起動できた(すなわち、Yes)と判定されれば、ステップS19、S20に進み、記憶している動作安全装置の番号を消去するとともに本体表示装置1の表示を消去し、ステップS1に戻る。
【0046】
このように、通常時での動作安全装置の識別用表示中(ステップS6)に、停止スイッチ6が操作されると、異常判定装置13は、記憶している動作安全装置の番号を消去して本体表示装置1の表示を消去する。また、通常時の動作表示中に停止スイッチ6が操作されない場合でも、起動スイッチ2(9、10)の操作によりマンコンベアが起動すると、同様に表示を消去する。
【0047】
また、保守時での動作安全装置の識別用表示中(ステップS10)に、停止スイッチ6が操作されると、異常判定装置13は、記憶している動作安全装置の番号を消去して本体表示装置1の表示を消去する。また、保守時の動作表示中に停止スイッチ6が操作されない場合でも、起動スイッチ2(9、10)の操作によりマンコンベアが起動すると、同様に表示を消去する。
【0048】
この発明の実施の形態2に係る異常判定装置13は、図5のように、停止スイッチ6が操作された場合、または、起動スイッチ2の操作によりマンコンベアが起動できた場合に、記憶した検出信号を消去するとともに、本体表示装置への出力信号の伝送を停止して表示を解除させ、マンコンベアの停止中における停止スイッチ6の操作によっても、安全装置群7の動作表示を解除するようになっている。
【0049】
したがって、この発明の実施の形態2によれば、前述と同様に、通常運転時には、停止に至らない安全装置の動作表示を回避するとともに、保守時などにおいて安全装置の動作確認と表示装置の動作確認を行う際には、マンコンベアの起動と停止を行う必要がなく、動作表示装置の信頼性を向上させるとともに、保守時などの動作確認の作業効率を向上させることができる。
【0050】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2では、特に言及しなかったが、図6に示すように、連続動作している安全装置を検出して表示させるように、異常判定装置13を構成してもよい。
図6はこの発明の実施の形態3による処理動作を示すフローチャートである。
図6において、ステップS1〜S20は、前述(図5参照)と同様の処理であり、ステップS4とS5の間にステップS21を追加した点が前述と異なる。
【0051】
図6において、通常時に安全装置群7が動作して検出装置11から検出信号Dが生成されたときに(ステップS1〜S3)、ステップS4でマンコンベアの停止信号Cが生成されていない(すなわち、No)と判定された場合に、異常判定装置13は、安全装置群7内の少なくとも1つ安全装置の動作状態が規定時間以上にわたって継続しているか否かを判定する(ステップS21)。
【0052】
ステップS21において、安全装置の動作状態が規定時間以上にわたって継続していない(すなわち、No)と判定されれば、ステップS1に戻る。
一方、ステップS21において、安全装置の動作状態が規定時間以上にわたって継続している(すなわち、Yes)と判定されれば、ステップS5に進み、動作安全装置を記憶し、本体表示装置1に表示させる(ステップS5、S6)。
【0053】
このように、動作安全装置が連続して規定時間以上にわたって開放動作を継続すると、停止信号Cが生成されない(マンコンベアが運転状態から停止状態に移行しない)場合であっても、異常判定装置13は、動作安全装置を記憶するとともに、本体表示装置1に対して表示用の出力信号を伝送する。
【0054】
この場合、検出装置11は、たとえば、停止スイッチ6が操作されて本体表示装置1の表示が解除された状態において、動作安全装置が開放動作を保持している場合には、検出信号Dを連続的に生成する。
発明の実施の形態3に係る異常判定装置13は、図6のように、連続的に生成される検出信号Dを記憶するとともに、連続的に生成される検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に伝送して表示させる。
【0055】
すなわち、異常判定装置13は、連続的に開放動作を保持している動作安全装置が存在し、マンコンベアを起動することができない場合には、通常時の停止スイッチ6の操作などにより表示が解除された後であっても、動作安全装置の表示を再開させて、起動を阻止している動作安全装置を容易に確認することができるようになっている。
【0056】
したがって、この発明の実施の形態3によれば、規定時間以上にわたって連続動作している安全装置については、マンコンベアの停止信号Cとは無関係に表示させることにより、電源投入時点で既に動作している安全装置についても動作状態を確認することができるので、マンコンベアの復旧作業のようにマンコンベアの電源を投入/遮断する場合にも、動作安全装置を速やかに確認することができる。
【0057】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1〜3では、特に言及しなかったが、図7に示すように、異常判定装置13に対して、本体表示装置1とは別に遠隔監視用表示装置15を設けてもよい。
図7はこの発明の実施の形態4の全体構成を示すブロック図であり、前述(図3参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して詳述を省略する。
また、図8はこの発明の実施の形態4による処理動作を示すフローチャートである。
【0058】
図7において、異常判定装置13には、遠隔監視用出力装置14を介して、遠隔監視用表示装置15が付加されている。
異常判定装置13は、検出信号Dと切換スイッチ8のセット状態とを遠隔監視用出力装置14に入力する。
【0059】
遠隔監視用出力装置14は、異常判定装置13に記憶された検出信号Dと切換スイッチ8のセット状態とにより遠隔監視用表示装置15への出力内容を決定する。
すなわち、遠隔監視用出力装置14は、切換スイッチ8のセット状態により出力内容を変更するようになっており、通常時にはマンコンベアの運転状態を出力し、保守時には、マンコンベアの運転・停止・安全装置の動作とは無関係に、保守状態であることを示す休止信号または保守信号を出力する。
【0060】
具体的には、遠隔監視用出力装置14は、切換スイッチ8が通常状態にセットされているときには、異常判定装置13からの出力信号(検出信号Dに基づく)を遠隔監視用表示装置15に出力し、切換スイッチ8が保守状態にセットされているときには、異常判定装置13の出力信号とは無関係に、休止信号または保守信号を遠隔監視用表示装置15に伝送する。
これにより、遠隔監視用表示装置15および本体表示装置1は、マンコンベアの運転状態に応じて独立した表示を行うようになっている。
【0061】
次に、図8を参照しながら、図7に示したこの発明の実施の形態4による処理動作について説明する。
図8において、前述(図6参照)と同様の処理については、前述と同一符号を付して詳述を省略する。なお、ステップS23、S24は、それぞれ前述のステップS6、S15に対応する処理である。
この場合、ステップS1とS2の間にステップS22を追加した点、および、ステップS1とS7の間にステップS25を追加した点が前述と異なる。
【0062】
まず、ステップS1において、切換スイッチ8が通常運転側にセットされている(すなわち、Yes)と判定された場合には、異常判定装置13は、遠隔監視用出力装置14に対して、遠隔監視盤用の出力信号としてマンコンベアの運転状態信号を出力し(ステップS22)、ステップS2に進む。このとき、保守信号の出力は停止されている。
ここで、運転状態信号とは、上昇運転・下降運転・休止・異常・異常内容といったマンコンベアの状態を、マンコンベアとは離れた場所で、直接認識できるようにするための信号である。
【0063】
以下、規定時間以上にわたって開放動作を継続している動作安全装置を記憶した後(ステップS21、S5)、本体表示装置1に動作安全装置に対応した番号を表示させるとともに、遠隔監視用出力装置14に遠隔監視盤用出力として異常信号を出力し(ステップS23)、ステップS11に進む。
このとき、遠隔監視用出力装置14は、異常信号を表示用信号に変換して遠隔監視用表示装置15に伝送する。
【0064】
その後、異常判定装置13は、停止スイッチ6の操作(ステップS11)、または、マンコンベアの起動(ステップS12、S13)に応答して、動作安全装置の記憶を消去した後(ステップS14)、本体表示装置1の表示を消去するとともに、遠隔監視用出力装置14への異常信号の出力を停止し(ステップS24)、ステップS1に戻る。
このとき、遠隔監視用出力装置14は、異常判定装置13からの異常信号が停止されることにより、遠隔監視用表示装置15への異常信号の出力を停止する。
【0065】
一方、ステップS1において、切換スイッチ8が保守側にセットされている(すなわち、No)と判定された場合には、異常判定装置13は、遠隔監視用出力装置14に対して、遠隔監視盤用の出力信号としてマンコンベアが保守中であることを示す保守信号を出力し(ステップS25)、ステップS7に進む。このとき、運転状態信号の出力は停止されている。
遠隔監視用出力装置14は、保守信号を受信すると、遠隔監視用表示装置15に対して、表示用信号に変換された保守信号を出力する。
【0066】
このように、切換スイッチ8のセット状態に応じて、据付時・保守時と通常状態とで、本体表示装置1による安全装置群7の動作表示条件と遠隔監視用表示装置15への出力条件とを変更することにより、据付時・保守時において、安全装置の動作確認および本体表示装置1の正常動作確認を行う場合には、マンコンベアを起動/停止させることなく、動作確認することができる。また、安全装置の動作確認中においても、遠隔監視用表示装置15においては、マンコンベアの異常表示をせずに、保守中であることを認識することができる。
【0067】
以上のように、この発明の実施の形態4によれば、マンコンベアの本体に設置された本体表示装置1の表示内容と、遠隔監視用出力装置14を介して遠隔監視用表示装置15に出力される表示内容とを、通常状態と保守状態とで変更することにより、保守時などにおける安全装置の動作確認時には、遠隔監視用出力装置14から遠隔監視用表示装置15に異常信号を出力しないようにして、遠隔監視用表示装置15を観察している一般管理者が異常発生状態であると誤認識することを防ぐことができる。
【0068】
実施の形態5.
なお、上記実施の形態1〜4では、特に言及しなかったが、図9に示すように、複数の安全装置17a〜17nに対応した複数の検出信号Dを、異常判定装置13Aを介して、本体表示装置1に順次伝送して表示させるようにしてもよい。
図9はこの発明の実施の形態5の全体構成を示すブロック図であり、前述(図7参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または、符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
【0069】
図9において、停止スイッチ16に直列接続された安全装置群17は、複数の安全装置17a〜17nを含む。
この場合、複数の安全装置17a〜17nの同時動作を認識できるように、停止スイッチ16の接点構成は、前述のb接点からc接点に変更され、安全装置17a〜17nの接点構成は、b接点からa−b接点に変更されている。
【0070】
検出装置11Aは、停止スイッチ16および安全装置群17から、動作信号を直接受取り、開放動作を検出する。
検出装置11Aは、開放動作が検出されたすべての情報を検出信号Dとして異常判定装置13に送信する。
【0071】
すなわち、検出装置11Aは、停止信号Cが異常判定装置13に伝送されたときに、安全装置群17内の複数の安全装置の開放動作を検出している場合には、複数の安全装置の開放動作に対応した複数の検出信号Dを生成する。
異常判定装置13は、切換スイッチ8のセット状態と、運転制御装置12からの停止信号Cとにより、動作安全装置を記憶する。
また、異常判定装置13は、複数の検出信号Dを記憶するとともに、複数の検出信号Dに基づく出力信号を本体表示装置1に順次伝送して表示させる。
【0072】
これにより、複数の異常状態が同時に発生した場合、または、表示が必要な内容が複数存在する場合には、単一の本体表示装置1による表示内容を順次変化させて、すべてを表示させることができる。
異常判定装置13の出力信号を本体表示装置1に伝送するときに、複数の安全装置が同時に動作していることが記憶されていると、あらかじめ決められた順番で、開放動作が記憶された動作安全装置に対応する番号を、1個ずつ、一定時間間隔で(たとえば、1秒間ごとに)本体表示装置1に伝送する。
これにより、本体表示装置1は、異常判定装置13からの出力信号に応じて、表示を行う。
【0073】
以上のように、この発明の実施の形態5によれば、安全装置群17の動作検出信号の検出装置11Aへの取込み方法を変更して、安全装置群17内の複数の安全装置の同時動作を認識できるように構成するとともに、単一の本体表示装置1で複数の動作安全装置を表示することにより、一度に複数の安全装置の動作を確認することができ、据付時・保守時における動作確認作業時間を短縮することができる。また、異常発生時に停止したマンコンベアの復旧作業時間を短縮することができる。
すなわち、複数の安全装置が同時動作した場合には、あらかじめ決められた順序にしたがって、本体表示装置1に順次表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】この発明の実施の形態1に係る本体表示装置を含む操作盤を示す正面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る本体表示装置を含む操作盤の配置状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るマンコンベア用安全装置の動作表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1による処理動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による処理動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3による処理動作を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態4に係るマンコンベア用安全装置の動作表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態4による処理動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態5に係るマンコンベア用安全装置の動作表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1 本体表示装置、2 起動スイッチ、3 警報/停止スイッチ、6、16 停止スイッチ、7、17 安全装置群、7a〜7n、17a〜17n 安全装置、8 切換スイッチ、9 上昇運転用起動スイッチ、10 下降運転用起動スイッチ、11、11A 検出装置、12 運転制御装置、13、13A 異常判定装置、14 遠隔監視用出力装置、15 遠隔監視用表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部操作により開放動作されてマンコンベアを停止させる常閉の停止スイッチと、
前記停止スイッチに直列接続されて、前記マンコンベアの異常が検出されたときに開放動作する安全装置と、
前記停止スイッチおよび前記安全装置の少なくとも一方の開放動作に応答して検出信号を生成する検出装置と、
前記停止スイッチおよび前記安全装置の少なくとも一方の開放動作に応答して前記マンコンベアを停止させるための停止信号を生成する運転制御装置と、
外部操作により動作されて前記マンコンベアの運転状態を通常状態または保守状態に切換える切換スイッチと、
前記切換スイッチのセット状態、前記停止信号および前記検出信号に基づき、前記マンコンベアの異常状態および異常箇所を必要に応じて記憶して出力する異常判定装置と、
前記マンコンベアの本体に設置され、前記異常判定装置からの出力信号により前記安全装置の動作状態を表示する本体表示装置とを備え、
前記異常判定装置は、
前記切換スイッチが通常状態にセットされているときに前記停止信号が入力された場合には、前記検出信号を記憶するとともに、前記検出信号に基づく出力信号を前記本体表示装置に伝送して表示させ、
前記切換スイッチが保守状態にセットされているときには、前記停止信号の有無とは無関係に、前記検出信号を記憶するとともに、前記検出信号に基づく出力信号を前記本体表示装置に伝送して表示させることを特徴とするマンコンベア用安全装置の動作表示装置。
【請求項2】
前記異常判定装置は、
前記停止スイッチが操作された場合または前記マンコンベアが起動できた場合に、記憶した前記検出信号を消去するとともに、前記本体表示装置への前記出力信号の伝送を停止して表示を解除させることを特徴とする請求項1に記載のマンコンベア用安全装置の動作表示装置。
【請求項3】
前記検出装置は、前記停止スイッチが操作されて前記本体表示装置の表示が解除された状態において、前記安全装置が開放動作を保持している場合には前記検出信号を連続的に生成し、
前記異常判定装置は、連続的に生成される前記検出信号を記憶するとともに、連続的に生成される前記出力信号を前記本体表示装置に伝送して表示させることを特徴とする請求項2に記載のマンコンベア用安全装置の動作表示装置。
【請求項4】
前記異常判定装置に付加された遠隔監視用出力装置および遠隔監視用表示装置を備え、
前記遠隔監視用出力装置は、
前記異常判定装置に記憶された検出信号と前記切換スイッチのセット状態とにより前記遠隔監視用表示装置への出力内容を決定し、
前記切換スイッチが通常状態にセットされているときには、前記異常判定装置からの出力信号を前記遠隔監視用表示装置に伝送し、
前記切換スイッチが保守状態にセットされているときには、前記異常判定装置の出力信号とは無関係に、休止信号または保守信号を遠隔監視用表示装置に伝送し、
遠隔監視用表示装置および前記本体表示装置は、前記マンコンベアの運転状態に応じて独立した表示を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のマンコンベア用安全装置の動作表示装置。
【請求項5】
前記安全装置は、複数の安全装置を含み、
前記検出装置は、前記停止信号が前記異常判定装置に伝送されたときに、前記複数の安全装置の動作を検出している場合には、前記複数の安全装置の開放動作に対応した複数の検出信号を生成し、
前記異常判定装置は、前記複数の検出信号を記憶するとともに、前記複数の検出信号に基づく出力信号を前記本体表示装置に順次伝送して表示させることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のマンコンベア用安全装置の動作表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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