説明

マンノシル−1ホスフェート、その製造方法および特にCDG−Ia症候群の治療方法

【課題】この発明は、CDG-I 症候群、特に CDG-Ia 症候群に対する Man-1P 細胞内ソースとして使用することができる一般式 [I] 、[II] または [III]:
【化57】


(式中、R11 〜 R14 、R21 〜 R24, R31 〜 R34 は H または OH 保護基であり、R ならびに R' は前記と同じ意味を有する)
でそれぞれ表される(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体である。
また、この発明は、工業製品としてのこれらの誘導体およびその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンノシル-1ホスフェート、その製造方法およびタイプ I、特にタイプ Ia CDG(先天性グリコシル化障害)症候群の治療に対する新規な技術的解決方法に関するものである。この発明によれば、この新規な解決方法は、マンノシル-1ホスフェート誘導体、つまり、下記一般式でそれぞれ示されるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、ジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびにトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェートに関するものである。さらに詳細には、この発明は、下記に関するものである:
・ タイプ I、特にタイプ Ia CDG 症候群に対して使用できる医薬としての一般式 [I] で表わされるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、一般式 [II] 表わされるジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびに一般式 [III] で表わされるトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェート;
・ 一般式 [I] で表わされるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、一般式 [II] で表わされるジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびに一般式 [III] で表わされるトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェートの CDG-I 症候群、特に CDG-Ia 症候群の治療への使用;
・新規な工業生産物としての一般式 [I] で表わされるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、一般式 [II] で表わされるジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびに一般式 [III] で表わされるトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェート;および
・上記の工業生産物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
CDG 症候群は、グリコタンパク質合成に影響を及ぼす劣性常染色体疾患の一つのグループである。これらの疾患は、様々な酵素欠損に関連していて、多臓器障害に関連する神経性障害の起因になる。これらの分類はグリコシル化を制限する段階のレベルに基づいている。統計的に最も頻繁に発生する CDG-I 症候群については、その障害は、不十分な細胞内N-グリコシル化の起因になり、CDG-II 症候群に対するペプチド鎖上でのオリゴサッカライドの移動上流に局在するとともに、他方ではその移動下流にも局在している。CDG-I 症候群の症例のなかでも、最も頻繁に発生するのは CDG-Ia 症候群(上記症例の70%)であり、その疾患は、全世界において約500名の患者しかいない稀な疾患であり、ホスホマンノムターゼ(PMM)活性の欠乏ならびに 16p13 に局在するPMM2遺伝子(つまり、ホスホマンノムターゼ2を発現する遺伝子)の上の変異によって特徴づけられる。これに対して、他の CDG-I ならびに CDG-II 症候群は相対的に少数の症例しかない。
【0003】
その細胞内代謝の概要は非特許文献1に記載されている下記式のとおりである。
【化1】

【0004】
CDG-I 症候群、例えば CDG-Ia 症候群の場合、PMM2活性レベルでの欠損は細胞内N-グリコシル化の欠損または不全の原因となる。
かかる代謝欠損を克服するためには、細胞にマンノース-1ホスフェート(「Man-1P」と略称する)を賦与するのが適当である。しかしながら、 Man-1P は、経口投与または注射すると、細胞外体液の酵素によって分解されるが、非分解 Man-1P が、必要な細胞レベルに到達すると、リン原子上に存在するそれ以上の酸性OH基の存在による高極性のために細胞壁を透過することができない(非特許文献2)。
【0005】
Man-1P の極性を低下させるために考えられる解決方法として、次の解決方法が下記文献に記載されている:
・ 非特許文献2(特許文献1に対応し、発展された方法);
・ 非特許文献1;および
・ 非特許文献3。
これらの文献に記載の方法は、モノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体に関するものであって、(i)そのホスフェート残基のそれ以上の酸OH基のそれぞれが、除去される酸機能性基 PO-OH に対する保護基によって有利に保護されていて(一般的には、同一基 R = R' が各酸 OH 基(PO-OH)に使用されている)、また(ii)そのマンノピラノシル残基の少なくとも1個のOH基が除去可能な保護OH基によって一般的に保護されている(一般的には、上記マンノピラノシル残基の 4OH 基が保護される)。
【0006】
非特許文献2と特許文献1との組み合わせには、CDG-Ia 症候群に対する治療剤として、細胞外で安定なモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート類が記載されている。このモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート類は、Man-1P の細胞内レベルでのソースを提供するために細胞壁を透過することができ、かつ、下記一般式 [I] (式中、R11、R12、R13 ならびに R14 は、それぞれ同一もしくは異なっていて、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基もしくはアリールオキシカルボニル基を表し、R11、R12、R13 ならびに R14 はさらに水素原子であってもよく、また基 R ならびに基 R' は、それぞれ同一もしくは異なっていて、OH 基もしくはオキシメチレンオキシカルボニルアルキル基(式中、O-CH2-O-CO-Alk基:Alkは、直鎖状もしくは分岐状 C1-C20炭化水素鎖を有し、アリール基は置換されていてもよい芳香族炭化水素残基である)で表される構造を有している。
【0007】
非特許文献2と特許文献1との上記組み合わせに記載された化合物は、(i)細胞外体液中で比較的安定であり、(ii)細胞壁を少なくとも部分的に透過することができ(ただし、過度に極性の高い化合物 R = R' = OH を除く)、(iii)細胞内エステラーゼの作用下で、上記基 R =オキシメチレンオキシカルボニルアルキル基がホルムアルデヒドを放出するという意味で細胞毒性を有している(非特許文献2の4045頁のスキーム1を参照のこと)。したがって、これらの生成物の細胞壁透過能が高ければ高いほど、それらの細胞内毒性が高くなる。そのようなことは上記文献の組み合わせに記載されている下記の化合物についても同様である。
【0008】
CP-1:ジ(ピバロイルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート
CP-2:ジ(ピバロイルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-ブチリル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(上記組合せの化合物11)
CP-3:ジ(ピバロイルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-ピバロイル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(上記組合せの化合物13)
CP-4:ジ(ピバロイルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-イソプロピルカルボニル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(上記組合せの化合物15)
【0009】
非特許文献3には、CDG-Ia 症候群に対して有用な同様の下記化合物が記載されている。
CP-5:ジ(アセチルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(上記文献の化合物5(C-I参照))
CP-6:ジ(アセチルオキシメチル)(2,3,4,6-テトラ-O-エチルオキシカルボニル)-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(上記文献の化合物10(C-II参照))
【0010】
非特許文献1には、下記化学構造式を有するシクロサリゲニル-マンノピラノシル-1ホスフェート基を有するリン酸の環状エステルを使用する別の解決方法が記載されている:
【化2】


(式中、Q' はH、5-Cl、3-Meまたは3、5-ジMeを表わされる)。
【0011】
合成の観点からいえば、これらの化合物の合成方法は既知である(非特許文献3、4)。非特許文献4には、1-ブロモ(2、3、4、6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノースを Ag3PO4と反応させてトリ[(2、3、4、6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノシル-1]ホスフェートの製造が記載されているが、この生成物が医薬品として使用されることは記載されていない。また、非特許文献3には、(2、3、4、6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノースを Ag2CO3の存在下でジベンジルホスフェート [HOP(=O)(OCH2C6H5)2] と反応させてトリ[(2、3、4、6-テトラ-O-アセチル)-α-D-マンノピラノシル-1]ホスフェート誘導体の製造が記載されている。
【非特許文献1】Muus, U., et al., Eur. J. Org. Chem., 2004, 1228-1235
【非特許文献2】Rutschow, S., et al., Bioorg. Med. Chem., 2002, 10: 4043-4049
【非特許文献3】Eklund, E. A., et al., Glycobiology, 2005, 15 (No. 11): 1084-1093
【非特許文献4】Colowick, S. P., J. Biol. Chem., 1938, 124: 557-558
【特許文献1】WO 2003/104247 A (Marqiardt T., et al.)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は、(i)細胞外体液中において本質的に安定で、(ii)細胞壁を実質的に透過可能であり、かつ、(iii)上記化合物CP-1からCP-6で表される最良の先行技術化合物よりも毒性が低くまたは細胞毒性が低いMan-1P 誘導体を提供することを目的としている。
【0013】
特に分解生成物による細胞内毒性の必要に応じて求められる低下は、上記誘導体の細胞壁透過能と、それらの酵素的分解生成物の細胞内特性との妥協の産物の結果であるとすることができる。
【0014】
また、この発明は、かかる Man-1P 誘導体を新規医薬品として使用することを目的としている。これらの誘導体は、細胞内酵素的分解によって、必要な細胞内 N-グリコシル化を復元するために CDG-I 症候群、特に CDG-Ia 症候群に必要な Man-1P を生成するための Man-1P のプロドラッグとしてそれぞれ Man-1P の細胞内ソースとしての役割を果たしている。
【0015】
さらに、この発明は、モノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、ジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートまたはトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェートで表される上記 Man-1P 誘導体の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、この発明は、その一つの形態として、医薬品としての使用が推奨される組成物であって、該組成物が、生理学的に許容可能な賦形剤と組み合わせた下記組み合わせから選択される活性物質を含有している:
【0017】
(α)一般式 [I]:
【化3】


(式中、R11、R12、R13 ならびに R14 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R および基 R' は、同一もしくは異なっていて、それぞれ下記の意味を有している)で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであって、
【0018】
基 R および基 R' が、
・ 1個もしくはそれ以上の C-Cアルキル基、C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基もしくは2-ナフチルオキシ基);
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、OCHCH、OCH、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C-Cであり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C-C アルキル基、 C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:-O-CH(CH3)-O-CO- アルキル基もしく -O-CH(CH3)-O-CO-O- アルキル基(式中、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表わす);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);もしくは
【0019】
・ 一般式 [VIIa]:
【化4】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1-を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表わされる)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表す)
で表されるアミノ酸基;もしくは
【0020】
・ 一般式 [VIIb]:
【化5】


(式中、Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表わす)もしくは保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を表わす)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を意味する)
で表されるアミノ酸基をそれぞれ有するモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;または
【0021】
(β)一般式 [II]:
【化6】


(式中、R21, R22, R23 および R24 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R は下記を意味する)で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであって、基 R が、
・ OH 基;
・ C1-C20 (好ましくは C1-C5) アルコキシ基;
・ 1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10 アリールオキシ基;
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C1-C5であり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい;
・ 一般式:
-O-CH(Q)-O-CO-アルキル基もしくは -O-CH(Q)-O-CO-O-アルキル基
(式中、Qは水素原子またはメチルを表し、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表す);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);
【0022】
・ 一般式 [VIIa]:
【化7】

(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基はC1-C5 アルキレン基を意味する)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表わす)
で表されるアミノ酸基;もしくは
・ 一般式 [VIIb]:
【化8】

(式中、Y は水素原子または C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表す)または保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を意味する)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表す)
で表されるアミノ酸基を有するジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;または
【0023】
(γ)一般式 [III]:
【化9】


(式中、R31, R32, R33および R34 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味する)
で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;
または(δ)これらの混合物。
【0024】
上記組成物において、上記活性成分は、治療的に有効な量で存在し、Man-1P の細胞内ソースとして作用する。定義された基Rと図示した分子構造によって、Man-1P は、モノ、ジまたはトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートのいずれであっても、細胞内エステラーゼ類の作用下で、非常に毒性のあるホルムアルデヒドを生成せずに、比較的毒性の低い他の分子を生成することから、それらの細胞内毒性、すなわち細胞毒性は非常に低い。全般的には、この発明の組成物は、細胞外体液中で安定であり、かつ、細胞壁を透過でき、かつ、上記化合物CP-1からCP-6で表される最良の先行技術化合物よりも特に細胞内において毒性、つまり細胞毒性が低い Man-1P を得ることができる。
【0025】
この発明の別の形態は、(マンノシル-1)ホスフェート誘導体の用途に関するものであって、下記化合物からなる組み合わせから選ばれる Man-1P の細胞内ソースとして作用する物質を、CDG-I 症候群、特にCDG-Ia 症候群に対する療法的用途を意図した医薬製剤としての使用に関するものである:
(α)一般式 [I] で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;
(β)一般式 [II] で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;
(γ)一般式 [III] で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;および
(δ)上記の混合物。
【0026】
この発明のさらに別の形態は、CDG-I 症候群、特に CDG-Ia 症候群に対して使用することができる(マンノシル-1)ホスフェート誘導体を新規な工業生産物として提供することであって、その(マンノシル-1)ホスフェート誘導体が下記組み合わせから選択されることを特徴とする:
【0027】
(α)一般式 [I]:
【化10】


(式中、R11, R12, R13 および R14 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R または基 R’ は下記で表される意味を有する)で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであって;
基 R および基 R’ が、
・ 1個もしくはそれ以上の C-C アルキル基、C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基もしくは2-ナフチルオキシ基);
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、OCHCH、OCH、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C-C であり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上のC-C アルキル基、C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:-O-CH(CH3)-O-CO- アルキル基もしく -O-CH(CH3)-O-CO-O- アルキル基(式中、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表す);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を表す);もしくは
【0028】
・ 一般式 [VIIa]:
【化11】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表す)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ意味する)
で表されるアミノ酸基;もしくは
【0029】
・ 一般式 [VIIb]:
【化12】


(式中、Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表す)もしくは保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を表す)を意味し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表す)
を意味するアミノ酸基をそれぞれ有するモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;または
【0030】
(β)一般式 [II]:
【化13】


(式中、R21, R22, R23 および R24 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R は下記で表される)で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであって;
基 R が、
・ OH 基;
・ C1-C20 (好ましくは C1-C5) アルコキシ基;
・ 1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10 アリールオキシ基;
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C1-C5であり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい;
・ 一般式:
-O-CH(Q)-O-CO-アルキル基もしくは -O-CH(Q)-O-CO-O-アルキル基
(式中、Qは水素原子またはメチルを表し、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表す);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);
【0031】
・ 一般式 [VIIa]:
【化14】

(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基はC1-C5 アルキレン基を意味する)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表わす)
で表されるアミノ酸基;もしくは
【0032】
・ 一般式 [VIIb]:
【化15】

(式中、Y は水素原子または C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表す)または保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を意味する)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表す)
で表されるアミノ酸基を有するジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート;または
【0033】
(γ)一般式 [III’]:
【化16】


(式中、R31, R32, R33および R34 は、同一もしくは異なっていて、水素原子または少なくとも3炭素原子を有するOH-保護基をそれぞれ意味する)
で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであり;
および(δ)これらの混合物である。
【0034】
この発明のさらに別の形態は、一般式 [I]、[II] または [III] で表される化合物の製造方法であって、その製造方法はそれぞれ次から構成されていることを特徴とする:
【0035】
(a)一般式 [IVa]:
【化17】


(式中、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ上記と同じ意味を有する)
で表される1-ブロモマンノピラノースを一般式 [Va]:
【化18】


(式中、RおよびR'はそれぞれ上記と同じ意味を有する)
で表されるモノ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [I] で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法;
【0036】
(b)一般式 [IVb]:
【化19】


(式中、R21、R22、R23およびR24はそれぞれ上記と同じ意味を有する)
で表される1-ブロモマンノピラノースを一般式 [Vb]:
【化20】


(式中、Rは上記と同じ意味を有する)
で表されるジ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [II] で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法;または
【0037】
(c)一般式 [IVc]:
【化21】


(式中、R31、R32、R33およびR34は、同一または異なっていて、C3-C6アシル基であるOH-保護基をそれぞれ表わす)
で表される1-ブロモマンノピラノースを一般式 [Vc]:
【化22】


で表されるトリ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [III’] で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法からなつている。
【0038】
この方法においては、マンノピラノシル-1残基のヒドロキシ基および/またはPO-OHの酸性OH基の保護、脱保護ならびに再保護の任意の慣用操作は便宜的に省略した。
【0039】
別の方法として、一般式 [Va]、[Vb] または [Vc] で表される銀ホスフェートは、一般式 [VIa]、[VIb] または [VIc] でそれぞれ表される下記構造式で表されるホスフェートで代替することができる。
【化23】


(式中、RおよびR'は上記と同じ意味を有し、Aは水素原子またはR''N(式中、R''は水素原子、N-アルキル基、シクロアルキル基もしくは芳香族基を意味する)で表される)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本明細書において、用語「ハロゲン基」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味すると理解すべきである。合成の観点からすれば、塩素と臭素が好ましく、臭素が特に好ましい。薬理学的性質の観点からすれば、芳香族基上の好ましいハロゲン基はフッ素および塩素が好ましく、CF基もまた薬理学的性質の点で興味がある置換基である。
【0041】
この発明において、α-D-マンノピラノシル残基の少なくとも1個のヒドロキシル基を保護するためのOH-保護基は、化学合成の分野で慣用されている残基であってよく、例えば、(i)糖の保護基ならびに(ii)ヒドロキシル化された側鎖基を含むペプチドの保護基であるのがよい。これらの保護基は、一般に、保護に関与したヒドロキシル基を復元するために除去することができる。この発明に適当なOH-保護基としては、好ましくはアシル基、さらに好ましくは C2-C20 アシル基などが挙げられ、脂肪族、芳香族または脂肪芳香族のものであって、例えば次のタイプのものが挙げられる:
【0042】
-CO-アルキル基(該アルキル基は C1-C19アルキル基、好ましくは C1-C5 基である);
-CO-アリール基(該アリール基は好ましくは C6-C10 アリール基であり、1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル、C1-C5 アルコキシ、ハロゲン基、CF3 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい)および
-CO-アルキレンアリール基(該アルキレン基は好ましくは C1-C5 アルキレン基であり、該アリール基は1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF3基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C6-C10 アリール基である)。
【0043】
一般式 [I]、[II] および [III] において、マンノシル環の2位、3位、4位および6位のOH機能基に対するOH-保護基は、主に脂肪族 C2-C6 アシル基(例えば、COCH3, COCH2CH3, COCH2CH2CH3, COCH(CH3)2, CO(CH2)3CH3, COC(CH3)3, COCH(CH3)CH2CH3または COCH2CH(CH3)2)などが好ましい。
【0044】
一般式 [III'] において、マンノシル環の2位、3位、4位および6位のOH機能基に対するOH-保護基は、主に脂肪族 C3-C6アシル基(例えば、COCH2CH3, COCH2CH2CH3, COCH(CH3)2, CO(CH2)3CH3, COC(CH3)3, COCH(CH3)CH2CH3 または COCH2CH(CH3)2)などが好ましい。
【0045】
この発明において使用される酸性機能基 PO-OH の OH 基に対する保護基は、有機化学分野において慣用されているものである。任意で一時的な関連保護は、主に、アルコール(もしくはその誘導体)タイプまたはフェノール(もしくはその誘導体)タイプのヒドロキシ基を有する化合物による酸機能性基 PO-OH のエステル化によって行われる。各酸機能性基 PO-OH (つまり、R ならびに/もしくは R' = OH)のかかる保護基の例は下記に示すとおりである。さらに、一般式 [VII] に関連する N-保護基はペプチド化学においては周知のものである。
【0046】
一般式 [I] および[II] の基 R (これは一般式 [I] の R'にも適用される)は、一般的には、下記のものを意味している:
・ OH 基(特に他のマンノピラノシル-1ホスフェート類の合成のため);
・ OT 基(式中、T は酸機能性基 PO-OH のための保護残基である);または
・ アミノ残基(特に、Rが一般式 [VII]の残基(式中、基 X が -NZ1- である)であるとき)。
【0047】
したがって、この発明において、基 R は下記のとおりである:
(a) 一般式 [II] の化合物の場合、C1-C20 アルコキシ基(つまり T = C1-C20アルキル基)、好ましくは C1-C5 アルコキシ基;
(b) C6-C10 アリールオキシ基(つまり T = C6-C10 アリール基)であって、1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF3 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基(例えば、フェノキシ、4-メトキシフェノキシ、3,4-ジメトキシフェノキシ、4-ニトロフェノキシ、3-クロロフェノキシ、4-クロロフェノキシ、3,5-ジメチルフェノキシ、3-トリフルオロメチルフェノキシ、1-ナフチルオキシまたは2-ナフチルオキシ);
(c) (C1-C5) アリール (C6-C10) アルキレンオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基(式中、アリール基は、1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF3 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい);
(d) -O-CH(Q)-O-CO-(C1-C5) アルキル基(式中、Q は、メチル基(一般式 [I] において)および水素原子もしくはメチル基(一般式 [II] において)を意味する)または -O-CH(Q)-O-CO-O-(C1-C5) アルキル基(式中、Q は水素原子またはメチル基を意味する);
(e) -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
(f) OB 基(式中、B は、エチレン不飽和(1個もしくはそれ以上の二重結合 C=C を含んでいてもよい)直鎖状もしくは分岐状脂肪族 C2-C21 炭化水素残基もしくはシクロ脂肪族 C5-C21 残基(例えば、基 -O-CH2-CH=C(CH3)2もしくはテルペンオキシ基(テルペン部分は環状もしくは非環状であって、適当な非環状基 R = テルペンオキシ基としては、例えば次のものが挙げられる:
【0048】
式 [VIII] :
【化24】


で表されるファメシルオキシ基(別の命名としては、(3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-イル)オキシ基)ならびに式 [IX]:
【化25】


で表されるゲラニルオキシ基(別の命名としては、((E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イル)オキシ基);
【0049】
(g) 一般式 [VIIa]:
【化26】


(式中、X は -O-, -S- もしくは-NZ1- を意味し、A、Y、Z2 ならびに Z3 は上記と同じ意味を有する)
で表される基;および
【0050】
(h) 一般式 [VIIb]:
【化27】


(式中、Y は水素原子または C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 は、アルキレン基、フェニレン基もしくはフェニルアルキレン基(各アルキレン基は C1-C5 である)または保護基で保護されたもしくは保護されていない天然アミノ酸の側鎖を意味する)を表し、
Z2 は水素原子、C1-C5 アルキル基またはN-保護基を意味する)
で表されるアミノ酸基。
【0051】
好ましくは、上記一般式 [VIIa] ならびに [VIIb] で表される化合物は、アミンもしくはヒドロキシル側鎖機能性基を含む天然アミノ酸(好ましくは天然アミノ酸)から調製することができ、塩基性もしくはヒドロキシル化アミノ酸をリン原子に結合させることができる。
【0052】
適当なアミノ酸のうち、好ましいアミノ酸としては、塩基性側鎖を有するアミノ酸、例えばリジンや、ヒドロキシル化側鎖を有するアミノ酸、例えばチロシン、セリンならびにスレオニンなどが挙げられる。システインやホモシステインも、セリンやホモセリンと同様に好ましいアミノ酸である。
【0053】
この発明において、一般 [I] または [II] で表される化合物における好ましい基 R (もしくは R') は次のとおりである:
(α) フェノキシ基もしくは1-ナフチルオキシ基、
(β) ベンジルオキシ基にもしくは1-ナフチルメトキシ基、
(γ) -O-CH(Q)-O-CO-O-(C1-C5)アルキル基(式中、Q は水素原子またはメチル基を意味するが、一般式 [I] で表される化合物においては、化合物の分解時にホルムアルデヒドの生成を避けるために水素原子を除く)、
(δ) -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は置換されていてもよい)、
(ε) εLys、pTyr、βSer もしくはβThr (これらの基(ここで NH2 基もしくは COOH 基は置換されていてもよい)は下記のとおりである:
εLys: -NH-(CH2)4-CH(NH2)COOH,
pTyr: -(p-O)-C6H4-CH2-CH(NH2)COOH,
βSer: -O-CH2-CH(NH2)COOH,ならびに
βThr: -O-CH(CH3)-CH(NH2)COOH、および
(ζ) -NH-(CH2)3-CH(NH2)COOH 基もしくは -NH-(CH2)2-CH(NH2)COOH 基
(式中、NH2 もしくは COOH 機能性基は保護されていてもよい)。
【0054】
一般式 [II] で表される化合物については、別の好ましい基 R として次のものが挙げられる:
(η) -O-CH(Q)-O-CO-(C1-C5) アルキル基(式中、Q は水素原子もしくはメチル基を意味する)。
【0055】
前述したように、この発明は、例えば、(a)医薬品として、下記一般式 [I] で表わされるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、下記一般式 [II] で表わされるジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびに下記一般式 [III] で表わされるトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェートに関し、また(b)新規な工業製品として、下記一般式 [I] で表わされるモノ(マンノピラノシル-1)ホスフェート、下記一般式 [II] で表わされるジ(マンノピラノシル-1)ホスフェートならびに下記一般式 [III] で表わされるトリ(マンノピラノシル-1)ホスフェートに関するものである。
【0056】
【化28】

【0057】
上記一般式 [I] で表わされる化合物(式中、R11 = R12= R13 = R14 = H および R = R' = OH)、上記一般式 [II] で表わされる化合物(式中、R21 = R22= R23 = R24 = H および R = OH)ならびに上記一般式 [III] で表わされる化合物(式中、R31 = R32= R33 = R34 = H)は、(i)この発明の他の化合物合成の観点から有用であり、かつ(ii)薬理学的観点からも有利である。
【0058】
しかしながら、そのマンノピラノシル環ならびにリン原子上の全ての OH 基が保護されている一般式 [I] 、[II] ならびに [III] で表わされる化合物は、前述した化合物よりも、細胞壁を透過した後、Man-1P の細胞内ソースとしてより効果的に作用し、かつ、CDG-I 症候群、特にCDG-Ia 症候群において要求される Man-1P を提供するために酵素的経路にて主に脱保護される。
【0059】
実用的には、DG-Ia 症候群に罹患している患者の処置のために、この発明において特に有利な化合物は次のとおりである(下降順)。
(1)一般式 [II] で表わされるジ(2,3,4,6-テトラ-O-アシル-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(式中、マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基の OH-保護基が、R21 = R22 = R23= R24 = 脂肪族 C2-C6 アシル基である);
(2)一般式 [I] で表わされるモノ(2,3,4,6-テトラ-O-アシル-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(式中、R = R' であり、 マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基の OH-保護基が、R11 = R12= R13 = R14 = 脂肪族 C2-C6 アシル基である);
(3)一般式 [III] で表わされるトリ((2,3,4,6-テトラ-O-アシル-α-D-マンノピラノシル-1))ホスフェート(式中、マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基の OH-保護基が、R31 = R32= R33 = R34 = 脂肪族 C2-C6 アシル基である)。
【0060】
下表1、2ならびに3において、この発明の典型的な(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体の数を示している。便宜的に、基R11 〜 R14、R21 〜 R24 ならびに R31 〜 R34 は記号 R1 で表し、一般式 [I] 、[II] ならびに [III] は Ia、IIa ならびに IIIa とそれぞれ表している。
【0061】
下表1、2ならびに3において、略字は下記の意味を表わされる。
Ac: アシル基、
Bu: ブチル基 [CH2CH2CH2CH3],
iBu: イソブチル基 [CH2CH(CH3)2],
sBu: sec-ブチル基 [CH(CH3)CH2CH3],
tBu: tert-ブチル基 [C(CH3)3],
Far: ファメシル基(上記参照)、
Ger: ゲラニル基(上記参照)
εLys: εLys 残基 [NH-(CH2)4-CH(NH2)COOH] (式中、NH2 ならびに COOH 機能性基は保護されていてもよい)、
Me: メチル基、
1Napht : 1-ナフチル基、
Pr: プロピル基 [CH2CH2CH3],
iPr: イソプロピル基 [CH(CH3)2],
βSer: β-セリニル残基 [O-CH2-CH(NH2)COOH] (式中、NH2 ならびに COOH 機能性基は保護されていてもよい)、
βThr: β-スレオニル残基 [O-CH(CH3)-CH(NH2)COOH] (式中、NH2 ならびに COOH 機能性基は保護されていてもよい)、
pTyr: p-チロシル残基 [(p-O-C6H4CH2)-CH(NH2)COOH] (式中、NH2 ならびに COOH 機能性基は保護されていてもよい)。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】
一般式 [I] 、[II] または [III] で表わされる化合物は、従来の反応機構を使用したそれ自体公知の方法によって調製することができる。この発明において好ましい合成方法は、下記に示す親核置換反応(1)、(2)または(3)を使用するのがよい。
【化29】

【0066】
【化30】

【0067】
【化31】

【0068】
これら反応(1)、(2)および(3)のいずれも、温度15〜40℃、好ましくは室温(RT=15〜25℃)で適切な不活性溶媒中モレキュラーシーブの存在下で行われる。かかる溶媒としてはトルエンが好ましい。好ましいモレキュラーシーブは4Å(つまり0.4μm)モレキュラーシーブである。
【0069】
保護、脱保護および再保護操作ステップは、この発明の製造方法の反応機構に含まれるのがよい:
(1)反応(1)、(2)または(3)の上流での、一般式 [IVa]、[IVb] または [IVc] で表わされる化合物の合成中のマンノピラノシル残基の2位、3位、4位ならびに6位の OH 基のアシル化による保護;
(2)反応(1)、(2)または(3)の上流での、例えば、基 R (もしくはR') = アルコキシ基(例えばエチルオキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基、1-ナフチルオキシ基もしくは2-ナフチルオキシ基)またはアリールアルコキシ基(例えばベンジルオキシ基、1-ナフチルメトキシ基もしくは2-ナフチルメトキシ基)による一般式 [Va]、[Vb] または [Vc] 中のリン原子に結合した酸性基 R (もしくは R') = OH の、アルコール類もしくはその誘導体での酸性基 PO-OH のエステル化による保護;
(3)反応(1)、(2)または(3)の実施;
(4)酸機能性基 PO-OH を得るための、OH基とは異なるアルコキシ基 R (もしくはR')の脱保護(必要に応じて);
(5)上記ステップ(2)とは異なるアルコール類もしくはその誘導体とのエステル化反応による、または PO-NZ1-A-CH(NH2)COOH タイプ(式中、Z1 は前記の意味を有し、NH2 ならびに COOH 機能性基は保護されていてもよい)の新規アミド類を得るためのアミンとのアミド化による上記酸性基 R = OH の再保護。
【0070】
実際には、マンノピラノシル残基の2位、3位、4位ならびに6位の OH 基の保護、脱保護および再保護は認識する必要はない。2位、3位、4位ならびに6位に所望の最終的なアシル基を有する一般式 [IVa]、[IVb] または [IVc] で表わされる化合物を出発物質として使用するだけでよい。
【0071】
この発明において、合成形態を複雑にしないために、下記のように設定するのがよい:
(1)R11 = R12 = R13= R14
R21 = R22 = R23= R24 ならびに
R31 = R32 = R33= R34;および
(2)R = R'。
【0072】
簡単に言えば、この発明において好ましい(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体は次のような特徴を有している:
・ 一般式 [I] においては、R = R' であり、マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基に対する OH 保護基は、R11 = R12 = R13= R14 = C2-C6 アシル基であり;
・ 一般式 [II] においては、マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基に対する OH 保護基は、R21 = R22= R23 = R24 = C2-C6 アシル基であり;
・ 一般式 [III] においては、マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のヒドロキシル基に対する OH 保護基は、R31 = R32= R33 = R34 = C2-C6 アシル基である。
【0073】
この発明の生成物は、CDG-Ia 症候群の患者に最も簡単でかつ大多数の患者に対して最も適切な経口経路によって投与することができる。現在の知見によれば、その酵素欠損が、PPM2 の基質であるマンノース-6-ホスフェートとなる代謝配列のすぐ上流であるCDG-Ib 症候群の経口投与による治療に対するマンノース用量を前提として、Man-1P の1日当たり用量は、体重 kg 当たり約 300 〜 750 mg であるのがよい。
【0074】
前述したように、(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体(R (もしくは R') = OH)は、一般式 [I] または [II] で表わされる化合物(R は OH とは異なる)の合成のための中間体として使用することができる。
【0075】
この発明のその他の利点および特徴は、下記明細書に記載する(i)実施例のおよび(ii)薬理試験の結果によりより明白に理解されるであろう。当然のことながら、これらの要素全ては、この発明を制限するものではなく、例示として提供されるものである。
【0076】
(製造例1)
下記構造式を有する銀モノエチルホスフェート)
【化32】

【0077】
亜リン酸(5 g; 61 mmol)を、エタノール(53 mL)とトリエチルアミン(30 mL; 6.75 mmol)の溶液に溶解し、この溶液を5℃に冷却し、ヨウ素(23.2 g; 91.4 mol)を少しずつ添加した。30分間攪拌した後、混合物を0℃でアセトン(400 mL)中に滴下し、過剰量のシクロヘキシルアミン(20 mL)を添加した。生成した沈殿物はろ取し、アセトンで洗浄し、熱アセトンで再結晶した。ジシクロヘキシルアンモニウムエチルホスフェートの収量は80%であった。
得られたジシクロヘキシルアンモニウムエチルホスフェートを蒸留水に溶解し、その溶液を Dowex 50W x 8 - 100 カラム(5 x 3.5 cm)でNa+ 形に交換した。樹脂は5倍容量の純水で洗浄し、溶出液を濃縮した後、得られたナトリウム塩形の生成物(1.684 mg; 1 mmol)を水(2 mL)に溶解し、その溶液に AgNO3 (378.8 mg; 2.23 mmol)水溶液(2 mL )を添加した。得られた混合物を暗所において室温で攪拌し、生成した沈殿物をろ過し、0℃で連続的に水、エタノール、エーテルで洗浄した後、乾燥した。得られた銀モノエチルホスフェートは20℃で保存した。
【0078】
製造例2(Ex.1)
下記構造式のエチルジ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート
【化33】

【0079】
上記製造例1で得た銀モノエチルホスフェート(333 mg; 0.9 mmol)を無水トルエン((3 ml)と活性化4Åモレキュラーシーブとの懸濁液中で30分間15-20℃で攪拌した。これに、1-ブロモ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノース(732.3 mg; 1.78 mmol)のトルエン(2 mL)溶液を添加し、この混合液を室温で6時間攪拌した。セライト(celite)でろ過し、トルエンを蒸発させた後、得られた混合物をシリカカラムクロマトグラフィー(溶出液:シクロヘキサン/酢酸エチル:5/5 v/v 3‰ トリエチルアミン)で精製した。期待された純品の生成物が収率65%(455 mg; 0.59 mmol)で得られた。
【0080】
[a]D20= + 38 (c 1,0; CH2Cl2)

1H NMR (CDCl3, 250 MHz): δ 5.72 (d, 2 H, J1,2 = 5.5 Hz, H-1), 5.32-5.39 (m, 6 H, H-2, H-3, H-4), 4.12-4.42 (m, 8 H, H-5, 2H-6, CH2-CH3), 2.02; 2.08; 2.12; 2.19 (s, 24 H, 4 acetyls), 1.43 (t, 3 H, J = 7.25 Hz, CH2-CH3)

13C-NMR (CDCl3, 63 MHz): d 170.6; 169.9; 169.8; 169.6 (CO acetates), 95.6; 95.5 (2 d, JC1-P = 6.3 Hz, C-1A, C-1B), 70.8; 70.6 (C-5A, C-5B), 68.9; 68.7 (2 d, JC2-P = 3 Hz, C-2A, C-2B), 68.2 (C-4A, C-4B), 65.5 (d, JC-P = 6.3 Hz, CH2CH3), 65.4; 65.2 (C-3A, C-3B), 62.0; 61.8 (C-6A, C-6B), 20.7 (CH3 acetates), 16.2 (d, JC-P = 6.2 Hz, CH3CH2)

31P-NMR (CDCl3, 250 MHz): δ -15 ppm

Electrospray HRMS (positive mode): calculated for C30H47O22NP [M + NH4]+: 804.2327; found: 804.2329.
【0081】
製造例3(Ex.12)
下記構造式のベンジルジ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート
【化34】

【0082】
ジ銀モノエチルホスフェート(148.08 mg; 0.368 mmol)を、無水トルエン(3 ml)と活性化4Åモレキュラーシーブ(0.5 g)との懸濁液中で30分間室温で攪拌した。これに、1-ブロモ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノース(350 mg; 0.67 mmol)溶液をアルゴン下で添加し、この混合液を室温で一夜攪拌した。ろ過し、溶媒を蒸発させた後、得られた残渣を CH2Cl2 に添加し、Sephadex LH-20 カラムで精製し、CH2Cl2/メタノール混液(7/3 v/v )で溶出した。期待された生成物が収率80%(280 mg; 0.26 mmol)で単離された。
【0083】
[α]D20 = + 44 (c 1.0, CH2Cl2)

1H NMR (CDCl3, 250 MHz): δ 5.71 (d, 1 H, JH1a-P = 7.5 Hz, H-1A), 5.69 (dd, 1 H, JH1B-P = 5.6 Hz, JH1B-2 = 1.5 Hz, H-1B), 5.52; 5.47 (2 dd, 2 H, JH4-5 = 10 Hz, JH4-3 = 10 Hz, H-4), 5.42-5.34 (m, 2H, H-3), 5.29 (t, 2 H, JH2-3 = 2.5 Hz, H-2), 5.19 (d, 2 H, J = 8.8 Hz, CH2benzyl), 4.40 (dd, 1 H, JH6a-5a = 2.5 Hz, JH6a-6b = 12.5 Hz, H-6A), 4.27 (d, 1 H, JH5b-4 = 10 Hz, H-5B), 4.15- 4.00 (m, 3 H, H-5A, H-6B, H-6’A), 3.90 (d, 1 H, JH6’a-6’b = 10 Hz, H-6’B), 2.64- 2.36 (m, 8 H, CH(CH3)2), 1.26 -1.00 (m, 48 H, CH(CH3)2).

13C-NMR (CDCl3, 63 MHz): δ 176.7; 176.6; 175.8; 175.6 (CO isobutyrates), 135.1 (d, JC-P = 6.8 Hz, aromatic Cquat), 129.4; 129.2; 128.6 (aromatic CH), 96.0; 96.3 (C-1A, C-1B), 71.4; 71.2 (C-5A, C-5B), 70.9 (d, JC-P = 6.3 Hz, CH2Ph), 68.7 (C-2, C-3), 64.5 (C-4), 61.2 (C-6), 34.2 (CH(CH3)2), 19.3; 19.1 (CH(CH3)2)

31P-NMR (CDCl3, 250 MHz): δ -15.5 ppm

Electrospray HRMS (positive mode): calculated for C51H77O22PNa [M+Na]+: 1095.4542; found: 1095.4521
【0084】
製造例4(Ex.4)
下記構造式のジ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノシル-1)ハイドロゲンホスフェート
【化35】

【0085】
上記製造例3で得たベンジルジ(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート(48 mg; 44.8 μmol)をメタノール(2 mL)に添加して、10% Pd/C (20 mg)の存在下で水素雰囲気中で5時間攪拌した。得られた反応生成物をろ過し、溶媒を蒸発させると、期待された生成物が収率93%(41 mg; 41.7 μmol)で得られた。
【0086】
[a]D20= + 9 (c 1,0; CH2Cl2).

1H NMR (CDCl3, 250 MHz): δ 5.58 (d, 2 H, H-1, JH1-P = 5 Hz), 5.20-5.50 (m, 6 H, H-2, H-3, H-4), 4.32 (dl, 4 H, JH6-6’ = 10 Hz, H-6, H-6’), 4.20 (m, 2H, H-5), 2.69-2.41 (m, 8H, CH(CH3)2), 1.27-1.00 (m, 48 H, CH(CH3)2)

13C-NMR (CDCl3, 63 MHz): δ 175.7; 176.4; 177.0 (CO isobutyrates), 94.4 (C-1), 70.0-69.0 (C-2, C-3, C-5), 66.0 (C-4), 62.0 (C-6), 34.2 (CH(CH3)2), 18.8; 19.2; 19.4 (CH(CH3)2)

31P-NMR (CDCl3, 250 MHz): δ -20 ppm

Electrospray HRMS (positive mode): calculated for C44H70O22PNa2 [M-H+2Na]+:1027.3892; found: 1027.3905
【0087】
薬理試験
一般式 [I] 、[II] および [III] で表わされる化合物は、それらの毒性を評価するため、また、2[3H] マンノースの細胞グリココンジュゲート中への導入を阻止する能力を評価するために、プロドラッグとして(つまり、Man-1P の細胞内ソースとして)試験に供した。これらの化合物は細胞中で Man-1P の生成ができるけれども、グリコタンパク質の生合成経路に入るためには 2[3H] マンノース-1ホスフェートと競合するであろう(非特許文献4参照)。
【0088】
得られた第一の結果は下記表IVに示す。化合物は、CDG-Ia 症候群疾患のリンパ芽球について試験した(化合物ならびに用量毎に5例)。またそれらの化合物の活性(「放射能」、つまり、2[3H] マンノース-1ホスフェートの競合による結合抑制、および細胞「毒性」)についてコントロールに対する百分率として評価した(10例)。
これらの結果は、最良の先行技術化合物CP1、CP3ならびにCP6(用量500 μM)が 2[3H] マンノースのグリコタンパク質への導入を少なくとも90%抑制することを示している。それにもかかわらず、この効果は、少なくとも2倍の細胞死亡率を伴っている。これらの効果も全ては、健常人ならびにCDG-Ia 症候群患者に由来するリンパ芽球について観測された。他方、Ex.5、11、12ならびに13の化合物では(用量500 μMで使用した場合)、第一の結果は非常に良好であった。Ex.5、11、12ならびに13の化合物は、放射性マンノースのグリコタンパク質への導入抑制についてはCP1、CP3ならびにCP6よりも効果が弱かったけれども、それらの先行技術化合物よりも毒性が非常に低かった。Ex.4の化合物(一般式 [II] の酸化合物(R = OH))は、CP1、CP3ならびにCP6よりも毒性が低く、治療的にはより有利であるが、Ex.5、11、12ならびに13の化合物よりも治療効果が低いようである。
【0089】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容可能な賦形剤と、(α)モノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、(β)ジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、(γ)トリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートまたは(δ)これらの混合物とから選択される活性物質とを含有していることを特徴とする医薬組成物であって、:
(α)上記モノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [I]:
【化36】


(式中、R11、R12、R13 ならびに R14 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R および基 R' は、同一もしくは異なっていて、それぞれ下記の意味を有している)で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートであって、
基 R および基 R' が、
・ 1個もしくはそれ以上の C-Cアルキル基、C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基もしくは2-ナフチルオキシ基);
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、OCHCH、OCH、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C-Cであり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C-C アルキル基、 C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:-O-CH(CH3)-O-CO- アルキル基もしく -O-CH(CH3)-O-CO-O- アルキル基(式中、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表わす);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);もしくは
・ 一般式 [VIIa]:
【化37】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表わされる)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表す)
で表されるアミノ酸基;もしくは
・ 一般式 [VIIb]:
【化38】


(式中、Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 は、アルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基も C1-C5 アルキレン基を表わす)もしくは保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を表わす)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を意味する)
で表されるアミノ酸基をそれぞれ意味し;または
(β)上記ジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [II]:
【化39】


(式中、R21, R22, R23 および R24 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R は下記を意味する)で表されるであって、基 R が、
・ OH 基;
・ C1-C20 (好ましくは C1-C5) アルコキシ基;
・ 1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10 アリールオキシ基;
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C1-C5であり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:
-O-CH(Q)-O-CO-アルキル基もしくは -O-CH(Q)-O-CO-O-アルキル基
(式中、Qは水素原子またはメチル基を表し、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表す);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);
・ 一般式 [VIIa]:
【化40】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基もC1-C5 アルキレン基を意味する)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表わす)
で表されるアミノ酸基;もしくは
・ 一般式 [VIIb]:
【化41】

(式中、Y は水素原子または C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基も C1-C5 アルキレン基を表す)または保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を意味する)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表す)
で表されるアミノ酸基を意味し;または
(γ)上記トリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [III]:
【化42】


(式中、R31, R32, R33および R34 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味する)
で表され;および
(δ)これらの混合物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物において、前記医薬組成物が CDG-I 症候群に対する医薬であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の医薬組成物において、前記医薬組成物が CDG-Ia 症候群に対する医薬であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬組成物において、該マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに5位のヒドロキシル基のOH保護基がアシル基であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の医薬組成物において、一般式 [I] 、[II] もしくは [III] において、該マンノピラノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のOH機能性基が脂肪族 C2-C6 アシル基であることを特徴とする医薬組成物。
【請求項6】
(マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体の使用であって、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の
(α)一般式 [I] で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、
(β)一般式 [II] で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、
(γ)一般式 [III] で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートおよび
(δ)これらの混合物
から選択される Man-1P の細胞内ソースとして作用する物質を、CDG-I 症候群、特に CDG-Ia 症候群治療用医薬の製造に使用するために使用することを特徴とする(マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体の使用。
【請求項7】
医薬として使用する(マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、該誘導体が、(α)一般式 [I] で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、(β)一般式 [II] で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート、(γ)一般式 [III] で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートまたは(δ)これらの混合物とから選択されることを特徴とする(マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体であって:
(α)上記モノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [I]:
【化43】


(式中、R11、R12、R13 ならびに R14 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R および基 R' は、同一もしくは異なっていて、それぞれ下記の意味を有している)で表され、
基 R および基 R' が、
・ 1個もしくはそれ以上の C-Cアルキル基、C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基もしくは2-ナフチルオキシ基);
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、OCHCH、OCH、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C-Cであり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C-C アルキル基、 C-C アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:-O-CH(CH3)-O-CO- アルキル基もしく -O-CH(CH3)-O-CO-O- アルキル基(式中、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表わす);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);もしくは
・ 一般式 [VIIa]:
【化44】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基は C1-C5 アルキレン基を表わされる)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表す)
で表されるアミノ酸基;もしくは
・ 一般式 [VIIb]:
【化45】


(式中、Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 は、アルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基も C1-C5 アルキレン基を表わす)もしくは保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を表わす)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を意味する)
で表されるアミノ酸基をそれぞれ意味し;または
(β)上記ジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [II]:
【化46】


(式中、R21, R22, R23 および R24 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味し;
基 R は下記を意味する)で表されるであって、基 R が、
・ OH 基;
・ C1-C20 (好ましくは C1-C5) アルコキシ基;
・ 1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい C-C10 アリールオキシ基;
・ アリールアルキレンオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基、1-ナフチルメチルオキシ基もしくは2-ナフチルメチルオキシ基)であって、該アルキレン基が C1-C5であり、また該アリール基が C6-C10 であって、それぞれが1個もしくはそれ以上の C1-C5 アルキル基、C1-C5 アルコキシ基、ハロゲン基、CF 基ならびに/もしくはニトロ基で置換されていてもよい基;
・ 一般式:
-O-CH(Q)-O-CO-アルキル基もしくは -O-CH(Q)-O-CO-O-アルキル基
(式中、Qは水素原子またはメチル基を表し、アルキル基は C1-C5 アルキル基を表す);
・ -O-CH2-CH(OH)-CH2OH 基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
・ OB 残基(式中、B は、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖または C5-C21シクロ脂肪族残基を含有するエチレン性不飽和脂肪族 C2-C21残基を意味する);
・ 一般式 [VIIa]:
【化47】


(式中、Xは -O-, -S- または -NZ1- を表し、
Y は水素原子もしくは C2-C5 アルキル基を表し、
A はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基もC1-C5 アルキレン基を意味する)を表し、
Z1 は水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表し、
Z2 ならびに Z3 は、同一もしくは異なっていて、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基をそれぞれ表わす)
で表されるアミノ酸基;もしくは
・ 一般式 [VIIb]:
【化48】


(式中、Y は水素原子または C2-C5 アルキル基を表し、
Z4 はアルキレン基、フェニレン基またはフェニルアルキレン基(式中、いずれのアルキレン基も C1-C5 アルキレン基を表す)または保護基で保護されていてもよい天然アミノ酸の側鎖を意味する)を表し、
Z2 は、水素原子、C1-C5 アルキル基または N-保護基を表す)
で表されるアミノ酸基を意味し;または
(γ)上記トリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートが、一般式 [III’]:
【化49】


(式中、R31, R32, R33および R34 は、同一もしくは異なっていて、水素原子またはOH-保護基をそれぞれ意味する)
で表される。
【請求項8】
請求項7に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、該誘導体が CDG-I 症候群に対して使用する医薬であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項9】
請求項8に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体の使用において、該誘導体が、CDG-Ia 症候群に対して使用する医薬であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、一般式 [I] および [II] においては、マンノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のOH機能性基のOH保護基が脂肪族 C2-C6 ァシル基であり、また一般式 [III’] においては、マンノシル環の2位、3位、4位ならびに6位のOH機能性基のOH保護基が脂肪族 C-C6 ァシル基であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項11】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、基 R (または R' )が、基 OB (式中、Bは、エチレン性不飽和脂肪族 C2-C21 残基であって、直鎖状もしくは分岐状炭化水素鎖を含む1個もしくはそれ以上の二重結合 C=C を含んでいてもよい)であって、例えば、基 -O-CH2-CH=C(CH3)2、基 O-(CH2)2 -CH=C(CH3)2 もしくはテルペンオキシ基であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項12】
請求項7ないし9または11のいずれか1項に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、基 R (または R' )が、基 OB (式中、Bはテルペンオキシ基であって、該テルペン部分が環状もしくは非環状である)であり、例えば、ファメシルオキシ基またはゲラニルオキシ基であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項13】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、基 R (または R' )が、アミン類もしくはヒドロキシル側鎖官能性基を有するアミノ酸から得られる一般式 [VII] で表される構造を有する基であることを特徴とする(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体。
【請求項14】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェート誘導体において、基 R (または R' )が、一般式 [I] または [II] において、下記基を有する:
(α) フェノキシ基もしくは1-ナフチルオキシ基;
(β) ベンジルオキシ基もしくは1-ナフチルメトキシ基;
(γ) -O-CH(Q)-O-CO-O-(C1-C5) アルキル基(式中、Q は H もしくは CH3である);
(δ) -O-CH2-CH(OH)-CH2OH基(式中、OH 基は保護されていてもよい);
(ε) 下記構造式を有するεLys、pTyr、βSer もしくはβThr (式中、NH2 基もしくは COOH 基は保護されていてもよい):
εLys:-NH-(CH2)4-CH(NH2)COOH;
pTyr:-(p-O)-C6H4-CH2-CH(NH2)COOH;
βSer:-O-CH2-CH(NH2)COOH;もしくは
βThr:-O-CH(CH3)-CH(NH2)COOH;または
(ζ) -NH-(CH2)3-CH(NH2)COOH もしくは -NH-(CH2)2-CH(NH2)COOH (式中、NH2もしくは COOH 機能性基は保護されていてもよい);
(η) 基 R は、一般式 [II] において、-O-CH(Q)-O-CO-(C1-C5) アルキル基(式中、Q は H もしくは CH3である)。
【請求項15】
請求項7ないし9のいずれか1項に記載の一般式 [I] 、[II] または [III] で表わされる化合物の製造方法であって、該方法が、
(a)一般式 [IVa]:
【化50】


(式中、R11, R12, R13 および R14 は前記と同じ意味を有する)
で表される1-ブロモマンノピラノースと一般式 [Va]:
【化51】


(式中、R および R' は前記と同じ意味を有する)
で表されるモノ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [Ia] で表されるモノ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法;
(b)一般式 [IVb]:
【化52】


(式中、R21、R22、R23および R24は前記と同じ意味を有する)
で表される1-ブロモマンノピラノースと一般式 [Vb]:
【化53】


(式中、R は前記と同じ意味を有する)
で表されるジ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [II] で表されるジ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法;または
(c)一般式 [IVc]:
【化54】


(式中、R31、R32、R33および R34, は、同じもしくは異なっていて、OH保護基である C3-C6 アシル基を意味する)で表される1-ブロモマンノピラノースと一般式 [Vc]:
【化55】


で表されるトリ銀ホスフェートと反応させて、一般式 [III’] で表されるトリ(α-D-マンノピラノシル-1)ホスフェートを得る方法であることを特徴とする化合物の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物の製造方法において、一般式 [IVa] の化合物と一般式 [Va] の化合物との反応、一般式 [IVb] の化合物と一般式 [Vb] の化合物との反応、または一般式 [IVc] の化合物と一般式 [Vc] の化合物との反応は、モレキュラーシーブの存在下、温度15℃〜40℃、好ましくは室温(15℃〜25℃)で、適切な不活性溶媒、好ましくはトルエン中で行うことを特徴とする化合物の製造方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、一般式 [Va]、[Vb] または [Vc] で表される銀ホスフェートが、一般式 [IVa]、[IVb] または [IVc]:
【化56】


(式中、R および R' は前記と同じ意味を有し、A は水素原子または R''4N (式中、R'' は水素原子、 N-アルキル基、シクロアルキル基または芳香族基である))
でそれぞれ表されるホスフェートと置換されることを特徴とする化合物の製造方法。

【公表番号】特表2009−527537(P2009−527537A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555843(P2008−555843)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000332
【国際公開番号】WO2007/096532
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508256488)
【氏名又は名称原語表記】OE OPERATIONS
【住所又は居所原語表記】Immeuble Le Wilson, 70, avenue du General de Gaulle, F−92800 Puteaux FRANCE
【出願人】(508256499)ユニベルシテ ルネ デカルト パリ サンク (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE RENE DESCARTES (PARIS V)
【住所又は居所原語表記】12,rue de l’Ecole de Medecine, F−75006, Paris FRANCE
【出願人】(508256503)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャーンティフィク セエンエールエス (1)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (CNRS)
【住所又は居所原語表記】3,rue Michel Ange,F−75016 Paris FRANCE
【Fターム(参考)】