説明

マーカータンパク質発現制御剤

【課題】 現代の開発先進国では、食生活及びライフスタイルの変化に伴う食の欧米化、過栄養及び運動不足が原因で内臓への脂肪の蓄積が原因となり、生活習慣病及び/またはメタボリック症候群に陥る確率が高くなっている。このような状況の下、少しでも生活習慣病に陥る確率を低下させて、健全な生活が送れるようにして生活の質(Quality of Life、QOL)を向上させることが、現代社会全体における大きな課題とされている。本発明は、耐糖能の低下、糖尿病の進行及びメタボリック症候群の進行に伴う疾病を防止する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用可能なマーカータンパク質発現制御剤を提供する事を目的とする。
【解決手段】 多糖類を有効成分として含有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多糖類を有効成分として含有し、耐糖能低下前、糖尿病発症前及び/またはメタボリック症候群の進行に伴って発現量が変化するマーカータンパク質の量を制御するマーカータンパク質発現制御剤、及びそれを含有する飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の開発先進国では、食生活及びライフスタイルの変化に伴う食の欧米化、過栄養及び運動不足が原因で内臓への脂肪の蓄積が原因となり、生活習慣病及び/またはメタボリック症候群に陥る確率が高くなっている。このような状況の下、少しでも生活習慣病に陥る確率を低下させて、健全な生活が送れるようにして生活の質(Quality of Life、QOL)を向上させることが、現代社会全体における大きな課題とされている。
【0003】
一般的に内臓脂肪の蓄積が進行すると生活習慣病及び/またはメタボリック症候群になりやすくなる。生活習慣病のなかで肥満症、糖尿病、高脂血症及び高血圧は一個人に重複して合併することが多く、重積することにより動脈硬化症に罹患する確率が高くなる。近年、これらの病態はメタボリック症候群と呼ばれ、問題となっている。
【0004】
また、肥満になるとインスリン抵抗性が低下し、高脂血症や糖尿病を発現したりする。さらに糖尿病になるとと白内障、腎炎、尿毒症及び心筋梗塞等の合併症を引き起こすことになる。
【0005】
例えば、厚生労働省の2003年発表の糖尿病実態調査によると、糖尿病が「強く疑われる人」が約740万人、「可能性を否定できない人」が約880万人である。また、2006年の国民栄養調査結果では、40〜74歳におけるメタボリック症候群の有病者数は約940万人、予備群者数は約1,020万人、併せて約1,960万人と報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0006】
これまで、例えば糖尿病では血糖値やヘモグロビンA1c、高脂血症では血中中性脂肪、高コレステロール血症では血中コレステロール等の指標が疾病の診断基準となっていた。しかしながら、これらのバイオマーカーを用いた診断では疾病に罹患しないと変動が生じなく、治療、すなわち薬剤による対処療法しか手段がなかった。そのために、一旦疾病に罹患すると合併症が生じる確率も高くなり、疾病が疾病を引き起こす問題点があった。
【0007】
ところで、近年、遺伝子及びタンパク質の解析技術が進歩し、ニュートリゲノミックス、プロテオミックス及びメタボロミックスといった概念が導入され、疾病に罹患する境界域における遺伝子、タンパク質及び代謝産物の量的変化を捉え、疾病を予防する手段が有効とされようとしている。
【非特許文献1】厚生労働省2006年国民栄養調査
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらのことから、疾病になってから治療を行うより、疾病になる前に変動するマーカータンパク質の量的変動を制御することで疾病を予防し、QOLを向上させることが現代社会では課題となっている。また、疾病を予防することにより、治療費を削減することで医療費や保険費用を削減することも課題となっている。
【0009】
ただし、たとえ疾病を予防する効果が期待できるマーカータンパク質発現制御剤を見出したとしても、風味や性状等に難点がある場合には、結局、幅広く食品等に応用できない可能性がある。従って、実用性の観点から、風味や性状等に難点が少ないものであることが望ましい。
【0010】
本願発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐糖能の低下、糖尿病の進行及びメタボリック症候群の進行に伴う疾病を防止する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、飼料、医薬部外品、医薬品等に幅広く使用可能なマーカータンパク質発現制御剤を提供することにある。また、本願発明の別の目的は、上記の優れたマーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本願発明者らは、耐糖能の低下、糖尿病の進行及びメタボリック症候群の進行がみられる生体内では特定のタンパク質及び/またはこれらの誘導体、もしくは質量分析計に供したときの特定の質量/電荷比のタンパク質の発現量が増加または減少するという事実を、動物実験から得るとともに、これに大いに着目した。即ち、このようなタンパク質は耐糖能低下、糖尿病及びメタボリック症候群のマーカータンパク質であると把握できるからである。それゆえ、耐糖能低下、糖尿病進行及びメタボリック症候群進行に伴って量的に変化するマーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に制御できれば、生活習慣病を有効に抑制できるものと予測し、本願発明者は様々な天然物のなかから上記のマーカータンパク質発現制御作用がある成分を模索すべく、鋭意研究を行った。その結果、多糖類、好ましくは、水溶性食物繊維、さらに好ましくは、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン及び/またはポリガラクトース、及びこれらの誘導体より選ばれる一種または二種以上に上記のマーカータンパク質発現制御作用があることを新規に知見した。そこで、本願発明者らはこの新規な知見をさらに発展させ、下記の発明を完成させるに到った。
【0012】
即ち、請求項1に記載の発明は、多糖類を有効成分として含有することを特徴とする耐糖能低下前、糖尿病発症前及び/またはメタボリックシンドロームの発症で変動するマーカータンパク質を制御するマーカータンパク質発現制御剤をその要旨とする。
【0013】
本願発明のマーカータンパク質発現制御剤は、耐糖能低下、糖尿病予備群及び/またはメタボリック症候群の進行に伴って発現量が増加するマーカータンパク質である場合にはその発現量を低減させる方向に制御し、または、耐糖能低下、糖尿病予備群及び/またはメタボリック症候群の進行に伴って発現量が減少するマーカータンパク質である場合にはその発現量を増加させる方向に制御する。つまり、このマーカータンパク質発現制御剤の上記マーカータンパク質発現制御作用が発揮されることにより、耐糖能低下、糖尿病予備群及び/またはメタボリック症候群の進行を有効に抑制でき、これらの疾病と合併症を予防することが可能となる。しかも、このマーカータンパク質発現制御剤は、長期にわたり人間に摂取されてきた実績のある天然物に由来するものであって、仮に大量に摂取したとしても強い副作用を誘発するおそれがなく、安全性が高い。また、風味に関して難点が少なく、同様に性状についても難点が少ない。そのため、当該制御剤は、実用性が高く、飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフード等に幅広く使用することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記マーカータンパク質が、血液、尿、及び糞便より選ばれる一種または二種以上で発現することをその要旨とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記マーカータンパク質がアポリポプロテインCII、アルブミン及び/またはトランスサイレチン及びこれらの誘導体より選ばれる一種または二種以上であることをその要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3において、前記マーカータンパク質発現制御剤が食物繊維であることをその要旨とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4において、前記マーカータンパク質発現制御剤がペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン及び/またはポリガラクトース、及びこれらの誘導体より選ばれる一種または二種以上であることをその要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品をその要旨とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する特定保健用食品をその要旨とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する医薬品及び/または医薬部外品をその要旨とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料及び/またはペットフードをその要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
従って、請求項1乃至5に記載の発明によると、耐糖能低下、糖尿病発症前及び/またはメタボリック症候群の進行を有効に抑制でき、これらの疾病と合併症を予防する効果が期待できることに加え、安全性及び実用性が高いことから飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフード等に幅広く使用可能なマーカータンパク質発現制御剤を提供することができる。
【0023】
また、請求項6乃至9に記載の発明によると、上記の優れたマーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフードをそれぞれ提供することができる。よって、このような飲食品等を摂取することにより、耐糖能低下、糖尿病発症前及び/またはメタボリック症候群の進行を有効に抑制でき、これらの疾病と合併症を予防することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本願発明を具体化した一実施形態のマーカータンパク質発現制御剤、及びそれを含有する飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフードを詳細に説明する。
【0025】
本願発明のマーカータンパク質発現制御剤に用いる多糖類とは、動物、植物及び微生物に含まれる成分であり、化学合成品及び微生物による醗酵代謝産物由来のものであり、これらの分解物でもよい。分解物は酸、アルカリもしくは酵素による加水分解により調製することができる。好ましくは、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリガラクトース及びポリガラクトース誘導体が例示でき、飲料への風味及びテクスチャへの影響の観点から、低分子アルギン酸、ポリガラクトマンノース、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン、ポリガラクトース及びポリガラクトース誘導体であり、最も好ましくはポリガラクトマンノースである。
【0026】
本願発明の難消化性デンプンとは、ヒトの消化酵素で分解されないデンプンを指す。
【0027】
本願発明のポリガラクトシルマンノースとは、主鎖のβ−(1→4)マンナン鎖のO−6位からα−ガラクトシル基が結合した櫛状の分岐構造を有するものを指し、化学合成品及び天然物由来のいずれのものも利用できるが、製造コスト及び食品の観点から天然物由来のものが好ましい。天然物としては、植物、動物、海藻及び微生物のいずれの原料も利用できるが、原料の入手のしやすさから植物が好ましい。植物としては、グアー(Cyamopsis tetragonolobus)、イナゴマメ(Ceratonia siliqua)、ケンタッキー・コーヒーマメ(Gymnocladus dioica)、コロハ(Trigohella foenumgracum)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)、クローバ(Trifolium pratense)及びダイズサヤ(Glycine hispida)、タラ(Actinidia callosa LINDLEY)、セスバニア(Sesbania bisibinonia)及びカシア(Cassia tora Linn)フェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)が例示でき、資源の豊富さと味の観点からグアー(Cyamopsis tetragonolobus)及びイナゴマメ(Ceratonia siliqua)、由来のグアーガム及びローカストビーンガムが好ましく、最も好ましくはグアー(Cyamopsis tetragonolobus)由来のグアーガムである。植物由来のポリガラクトシルマンノースの分子内のガラクトースに対するマンノースの割合は0.5〜5.0であり、好ましくは1.0〜3.0、最も好ましくは1.5〜2.5である。また、本願発明では、これら上記の植物由来で工業的利用できるグアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カシアガム及びセスバニアガム等の天然粘質物、好ましくは、グアーガム、ローカストビーンガム、セスバニアガム、さらに好ましくはグアーガム、ローカストビーンガム、最も好ましくはグアーガムを加水分解し低分子化することにより得られるものである。加水分解の方法としては酵素分解法及び酸分解法等があり、特に限定するものではないが、分解物の平均分子量が揃い易い点から酵素分解法が好ましい。酵素分解法に用いられる酵素は、マンノース直鎖を加水分解する酵素であれば市販のものでも天然由来のものでも特に限定されるものではないが、アスペルギルス属菌やリゾープス属菌等に由来するβ−マンナナーゼが好ましい。
【0028】
本願発明のポリガラクトシルマンノースの平均分子量分布は、1.8×10〜1.8×10であり、好ましくは8×10〜1.0×10、さらに好ましくは、1.5×10〜2.5×10である。平均分子量分布が1.8×10以下では本願発明のマーカータンパク質発現制御剤を供することが不可能となり、平均分子量分布が1.8×10を超えると、粘度が高く飲料に含有させる場合に不都合が生じる。平均分子量分布の測定方法は、特に限定するものではないが、例えばポリエチレングリコール(平均分子量:2×10、2×10及び1×10)をマーカーに高速液体クロマトグラフ法(カラム:YMC−Pack Diol−120(ワイエムシイ社製、検出器:示差屈折計)を用いて、平均分子量分布を測定する方法等を用いることにより求めることができる。本願発明のポリガラクトシルマンノースは、上記平均分子量分布のものが70%以上含まれる。
【0029】
本願発明のポリガラクトシルマンノースは、重合度30〜40のものを25%以上含んだものである。重合度30〜40のポリガラクトシルマンノースの割合は上記測定方法により算出した平均分子量とマンノース及びガラクトースの平均分子量より算出できる。
【0030】
本願発明のポリガラクトシルマンノースの粘度は、B型粘度計を用いて5%水溶液を、ローターがLowローター、ローター回転数が60rpm、測定時間が30秒測定した時に5℃で50mPa・s以下であり、好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下である。
【0031】
本願発明のポリガラクトシルマンノースの市販品としては、サンファイバー(太陽化学(株)製)、ファイバロン(大日本製薬(株)製)、グアファイバー(明治製菓(株)製)及びG−ファイバー(グリコ栄養食品(株)製)等が挙げられる。
【0032】
本願発明における難消化性デキストリンとは、特に限定されないが商品名「パインファイバー」、「ファイバーソル」(松谷化学工業(株)製)、「ホリカファイバー」、「オクノス食物繊維」(ホリカフーズ(株)製)、「ニュートリオース FB」(ロケットジャパン(株)製)等の、澱粉及び小麦粉を加熱、酵素処理して得られる難消化性の食物繊維を用いることができる。具体的には例えば、澱粉を酸性下で加熱処理して得られる焙焼デキストリンを、α−アミラーゼで加水分解処理し、さらに必要に応じて、グルコアミラーゼ処理、イオン交換樹脂クロマトグラフィー処理等の精製処理等を施して得ることができる。その平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは5×10〜1×10の範囲のものを用いることができる。平均分子量が5×10未満のものは呈味性の問題、平均分子量1×10以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0033】
本願発明におけるポリデキストロースとは、特に限定されないが商品名「ライテス」(ダニスコカルター社製)等の、ブドウ糖、ソルビトール及びクエン酸をおおよそ89:10:1の割合で混合し高温真空下で重合させたもの等を用いることができる。その平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは5×10〜1×10の範囲のものを用いることができる。平均分子量が5×10未満のものは呈味性の問題、平均分子量1×10以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0034】
本願発明におけるイヌリン及びチコリファイバーとは、特に限定されないが商品名「ラフィテリン」(日本シーベルヘグナー社製)等の、チコリの根から温水抽出し、精製、スプレードライにより粉末化したものを用いることができる。その平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは5×10〜5×10の範囲のものを用いることができる。平均分子量が5×10未満のものは呈味性の問題、平均分子量5×10以上では呈味性、食感の面で問題となることがある。
【0035】
本願発明のポリガラクトースとは、ガラクトースのみで構成されるホモ多糖類である。結合様式は特に限定しないが、好ましくはβ1→3結合を有するポリガラクトースであり、最も好ましくはβ1→3結合直鎖ポリガラクトースである。平均分子量は特に限定されないが、飲料に添加したときの粘度やテクスチャの影響より、平均分子量は3×10〜1×10、好ましくは1×10〜5×10である。
【0036】
また、本願発明のポリガラクトース誘導体とは、特に限定するものではないが、例えば、ポリガラクトースが誘導体化されたものである。例えば、合成による誘導体化、植物,動物等の天然品から得ることができる。誘導体化の様式は、特に限定されるものではなく、グルコース,フルクトース,ガラクトース,アラビノース、キシロース等からなる糖鎖を側鎖として修飾、スルホニル基,アミノ基,カルボキシル基等による糖質中のヒドロキシル基の置換、さらにはエステル化,アセチル化等による糖質中のヒドロキシル基に対する修飾、等が挙げられる。好ましくはアラビノース及び/またはガラクトースを側鎖に有するポリガラクトースであり、最も好ましくはアラビノース及び/またはガラクトースを側鎖に有するβ1→3直鎖ポリガラクトースである。
【0037】
本願発明のポリガラクトース及び/またはポリガラクトース誘導体は、天然品,合成品等特に起源は限定しないが、好ましくはラリックス(Larix)属の植物由来のポリガラクトース誘導体であり、より好ましくはラリックス・レプトレピス(Larix leptolepis),ラリックス・ケンフェリ(Larix kaempferi),ラリックス・カジャンデリ(Larix cajanderi)、ラリックス・デチヅ(Larix decidu)、ラリックス・グメンリニイ(Larix gmenlinii)、ラリックス・グリフィチアナ(Larix griffithiana)、ラリックス・シブリカ(Larix sibrica)、ラリックス・デクヅア(Larix decudua)、ラリックス・オルゲンシス(Larix olgensis)由来のポリガラクトース誘導体であり、最も好ましくはラリックス・レプトレピス(Larix leptolepis)由来のポリガラクトース誘導体である。
【0038】
本願発明のポリガラクトースまたはポリガラクトース誘導体の粘度は、30%(w/v)の水溶液を5℃でB型粘度計で、Lowローター、回転数60rpm、測定時間30秒で測定した時に5〜15mPa・sである。さらに好ましくは7〜14mPa・sであり、最も好ましくは9〜13mPa・sである。
【0039】
本願発明のポリガラクトースまたはポリガラクトース誘導体の平均分子量は、1×10以上1.2×10以下であることが好ましい。さらに好ましくは1.2×10以上1×10以下、最も好ましくは1.5×10以上2.5×10以下が良い。平均分子量1×10未満では十分な効果を発揮せず、また平均分子量1.2×10を超えると粘度が高くなるという問題が生じためである。ここで、平均分子量は、ゲル濾過用カラム(例えば、Amarsham Pharmacia Biotech社製Sephacryl S−300)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにて、標準物質から得られる検量線に基づき算出した。標準物質としては、例えば平均分子量が既知のデキストランを使用することができる。
【0040】
本願発明におけるポリガラクトースまたはポリガラクトース誘導体中の全糖質に対するガラクトース含量は、特に限定しないが、好ましくは82〜90moL%の範囲である。さらに好ましくは、全糖質に対するガラクトース含量が83〜88moL%の範囲であり、最も好ましくは84〜86moL%の範囲である。ここで、全糖質に対するガラクトース含量は、例えば、本願発明のマーカータンパク質発現制御剤中の糖質を酸分解しHPAE−PAD法にて単糖組成を明らかにすることにより、求めることができる。また、HPAE−PAD法はダイオネクス社の糖類分析システムDXc−500を用いると簡便である。
【0041】
これまで多糖類が、「耐糖能低下、糖尿病予備群及び/またはメタボリック症候群の進行に伴って発現量が量的に変化するマーカータンパク質についてその量的変化を小さくする方向に制御する作用を有する」という事実に関する具体的な報告はこれまでになく、本願発明者が鋭意研究の末に今回新規に知見したものである。
【0042】
本願発明のマーカータンパク質は、耐糖能低下、インスリン抵抗性低下、糖尿病境界域及び/またはメタボリック症候群の進行に伴って、その発現量が変動するものを指し、好ましくは、これらの進行に伴って増加する場合にはその発現量は低減し、及び/または、その発現量が減少する場合にはその発現量を増加するものを指す。マーカータンパク質が確認される場所としては、血液、体液、唾液、尿及び/または糞便のいずれでもよく、臨床医学的な採取の容易さの観点から、好ましくは血液、尿及び糞便より選ばれる一種または二種以上のいずれかであり、最も好ましくは、血液である。
【0043】
本願発明におけるマーカータンパク質の質量/電荷比は公知のいずれの測定方法を用いることができ、特に限定されないが、好ましくは、プロテインチップ・システムで質量分析をする方法である。質量分析での検出器は、特に限定されないが、好ましくは再現性の観点よりSELDIである。
【0044】
本願発明におけるマーカータンパク質の同定は公知のいずれの方法を用いることができ、特に限定されないが、好ましくは、質量分析により求めた質量/電荷比、イオン交換カラム、電気泳動及びウエスタンブロティングにより精製するときの挙動、及び等電点の結果を既存のデータベースに蓄積された情報と照合する方法である。
【0045】
本願発明のマーカータンパク質は、質量分析計に供したときに79100±100、76600±100、65800±100、13700±100、12800±100、9450±100、9269±100、9068±100、8532±100、8331±100、7034±100、4184±100、3559±100及び/または3498±100の質量/電荷比を示すタンパク質の一種または二種以上である。具体例としては、好ましくはアポリポプロテインCII、アルブミン及び/またはトランスサイレチン及びこれらの誘導体である。
【0046】
本願発明のマーカータンパク質制御剤により、その発現量が抑制されるマーカータンパク質の質量分析計に供したときの質量/電荷比は、7034±100、8331±100、8532±100、9068±100、9269±100、9450±100、13700±100、76600±100及び/または79100±100より選ばれる一種または二種以上である。
【0047】
本願発明のマーカータンパク質制御剤により、その発現量が増加するマーカータンパク質の質量分析計に供したときの質量/電荷比は、3498±100、3559±100、4184±100、12800±100及び/または65800±100より選ばれる一種または二種以上である。
【0048】
本願発明における質量分析に供すると質量/電荷比が13700±100のマーカータンパク質は、好ましくは、トランスサイレチン及びこれの誘導体が例示できる。
【0049】
本願発明における質量分析に供すると質量/電荷比が8331±100及び/または8532±100のマーカータンパク質は、好ましくはアポリポプロテインCIIが例示できる。
【0050】
本願発明における質量分析に供すると質量/電荷比が65800±100のマーカータンパク質は、好ましくはアルブミン及びこれの誘導体が例示できる。
【0051】
本願発明におけるマーカータンパク質の誘導体とは、特に限定されないが、好ましくは、システイン誘導体、糖誘導体、リン酸誘導体及び脂質誘導体を指す。糖誘導体としては、特に限定されないが、好ましくはグルコース誘導体、ガラクトース誘導体、マンノース誘導体、キシロース誘導体、フコース誘導体、N−アセチルグルコサミン誘導体、N−アセチルガラクトサミン誘導体及び/またはN−アセチルノイラミン酸誘導体の一種または2種以上を指す。脂質誘導体としては、特に限定されないが、好ましくはミリスチン酸誘導体及び/またはパルミチン酸誘導体の一種または2種以上を指す。
【0052】
本願発明のマーカータンパク質発現抑制剤は、飲食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフード等に幅広く応用できるが、特に人が手軽に摂食できる飲食品及び/または特定保健用食品に応用することが好ましい。
【0053】
本願発明における飲食品及び/または特定保健用食品とは、溶液、懸濁物、粉末、固体成形物等、経口摂取可能な形態であればよく、特に限定するものではない。飲食品の具体例としては、例えば、即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそ汁類、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品、飴、キャラメル、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品、錠剤、カプセル等を挙げることができる。
【0054】
本願発明のマーカータンパク質発現制御剤の飲食品及び/または特定保健用食品としての摂取量は、本願発明の体重、年齢、体質、体調等によって調整されるべきであるが、一般に1日あたりマーカータンパク質発現調節剤として0.1g〜50g、好ましくは1g〜30gの範囲で適宜設定することができる。上記飲食品は、個人の状態や食品等の形態によって、1日1ないし数回にわけて摂取することができる。
【0055】
本願発明において、マーカータンパク質発現制御剤またはそれを含有する飲食品等に加工する際に、各種栄養成分を強化することができる。
【0056】
強化できる栄養成分としては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ナイアシン(ニコチン酸)、パントテン酸、葉酸等のビタミン類、リジン、スレオニン、トリプトファン等の必須アミノ酸類や、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅等のミネラル類、及び、例えば、α−リノレン酸、EPA、DHA、月見草油、オクタコサノール、カゼインホスホペプチド(CPP)、カゼインカルシウムペプチド(CCP)、オリゴ糖、生菌剤等の人の健康に寄与する物質類、その他の食品や食品添加物として認可されている有用物質の1種または2種以上が使用できる。
【0057】
本願発明における飼料及び/またはペットフードとは、ヒト以外の生物に摂食させるための食べ物のことをいい、その形態については特に限定されない。飼料及び/またはペットフードを適用しうる生物としては特に限定されないが、例えば、養殖動物やペット動物等が挙げられる。養殖動物としては、例えば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、シカ等の家畜や、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等の実験動物や、ニワトリ、アヒル、七面鳥、ダチョウ等の家禽等がある。ペット動物としては、例えば、イヌ、ネコ等がある。
【0058】
本願発明における医薬部外品及び医薬品とは、経口投与または非経口投与に適した賦形剤、その他の添加剤を用い、常法に従って経口製剤または注射剤として調製されたものをいう。好ましい医薬部外品及び医薬品の態様は経口製剤であり、最も好ましいのは経口固形製剤である。経口固形製剤は、容易に服用でき、かつ保存、持ち運びに便利だからである。
【0059】
経口固形製剤としては、例えば、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、徐放剤等がある。本願発明の経口固形製剤は、適宜の薬理学的に許容され得る担体、賦形剤(例えばデンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(例えばデンプン、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等)、滑沢剤(例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、崩壊剤(例えばカルボキシメチルセルロース、タルク等)、等をマーカータンパク質量発現制御剤と混合して固形化することにより得られる。
【0060】
また、経口液状製剤とは、製薬学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エチルアルコールを含むものをいう。本願発明の経口液状製剤は、老化予防組成物及び希釈剤のほかに、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤等をさらに含有していてもよい。
【0061】
非経口投与に適した注射剤は、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤等を含んでいる。水性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば、注射用蒸留水及び生理食塩水がある。非水溶性の溶液剤、懸濁剤の希釈剤としては、例えば、オリーブ油のような植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコールのようなアルコール類、ポリソルベート80等がある。この注射剤は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えばラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を含んでもよい。これらは、例えばバクテリア保管フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によって無菌化される。また、これらは、無菌の固体組成物を製造し、その使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して、使用することもできる。
【0062】
本願発明のマーカータンパク質発現調節剤の医薬品としての投与量は、投与ルート、個人の状態、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、成人1人当たり有効成分約0.1g/日〜50g/日、好ましくは1g/日〜30g/日である。
【0063】
以下、本願発明を実施例にて詳細に説明するが、以下の実施例は本願発明の範囲を限定するものではない。
【0064】
[実施例1] マーカータンパク質発現調整剤の調製1
【0065】
水900gにクエン酸を加えてpHを3.0に調整した。これにアスペルギルス属菌由来のβ−マンナナーゼ0.2gとグアーガム粉末100gを添加混合して40〜45℃で30時間酵素を作用させた。反応後90℃、15分間加熱して酵素を失活させた。ロ過分離して不溶物を除去して得られた透明な溶液を減圧濃縮した後(固形分20%)、噴霧乾燥したところ低分子化ガラクトマンナンの白色粉末65gが得られた(本願発明品)。酵素重量法に従う水溶性食物繊維含有量は80%であった。また、固定層として、カラムにG3000PW(東ソー(株)製)を用いて高速液体クロマトグラフィーで測定した結果、該ガラクトマンナンの糖鎖の70%以上はマンノースの鎖長が8〜185単位の範囲内に包含されていた。このとき糖鎖単位の標準試薬として、グルコース数が既知の直鎖デキストリン(グルコース数50,100,150)を用いた。
【0066】
[試験例1]マーカータンパク質発現調整剤の効果確認
【0067】
(1)肥満を伴う2型糖尿病発症モデルラットの飼育、採血、糖尿病の評価
【0068】
肥満を伴う2型糖尿病発症モデルラットとして4週齡の雄性OLETFラット(体重90〜130g)及びモデルラットと近縁の通常ラットとして4週齡の雄性LETOラット(体重90〜130g)を室温25℃、湿度60%のワイヤーケージ内で1週間馴化させた。飼料としては日本CLEA社製の飼料(蛋白質24.0%、脂質3.5%、炭水化物60.5%)を使用した。飼料は自由に摂餌させ、水も自由に飲ませるようにした。そして、OLETFラットを2つの群(n=7/群、A区及びB区)及びLETOラットを2つの群(n=4/群、C区及びD区)にそれぞれ分け、5週齡より試験を開始した。
【0069】
B区及びD区は、飼料に実施例1で調製したマーカータンパク質発現調整剤を飼料に5%添加し、経口摂取させた。A区及びC区は、マーカータンパク質発現調整剤は無添加の飼料を摂取させた。飼料及び水は自由摂取とした。また、それぞれの飼料の栄養成分組成比は表1に示した。
【0070】
【表1】

【0071】
飼料摂取量を毎日測定し、体重を1週間毎に測定した。図1及び図2に飼料摂取量及び体重をそれぞれ示した。その結果、図1およひ図2に示したように飼料摂取量及び体重変化は、A区とB区、及びC区とD区のそれぞれで差は認められなかった。飼料摂取量及び体重は、C区及びD区と比較してA区及びB区では増加し、ラットは肥満を示した。
【0072】
5、9、13、17、21、25及び29、33、37、41、45及び49週齢時に体重1kg当たり2gのグルコースを負荷する経口ブドウ糖負荷試験(OGTTテスト、Oral Glucose Tolerance Test)も実施した。グルコースを経口投与2時間後の血中グルコース量を測定した。グルコース経口投与2時間後の血糖値が200mg/dL以上を糖尿病、140−200mg/dLを糖尿病境界域及び140mg/dL以下を正常とした。その結果を表3に示した。
【0073】
【表2】

【0074】
表2に示したように、OGTTテストでの評価結果より、A区は17週齢より糖尿病の境界域を示すラットが3匹観察され、21週齢より糖尿病を示すラットが2匹観察された。33週齢以降ではすべてのラットにおいて糖尿病が観察された。一方、B区は21週齢で境界域を示すラットが2匹であり、糖尿病を示すラットは1匹であった。33週齢においも、境界域を示すラットが2匹であり、糖尿病を示すラットは4匹であった。このことから、A区と比較してB区は糖尿病発症が遅延することが示された。なお、正常ラットであるC区及びD区は全ての試験期間において正常であった。
【0075】
(2)マーカータンパク質の発現量の比較
ここでは、本願発明のマーカータンパク質発現制御剤のマーカータンパク質量発現量を確認するために、ラットの血清における各種マーカータンパク質の発現量の変化を比較する試験を行った。
【0076】
(a)測定方法及び結果
【0077】
21週齢に採血した血液を遠心分離し、血清成分を分取して−80℃で凍結保存し、発現解析する際に解凍した。発現解析には、A区の糖尿病発症ラット4匹、B区の正常ラット4匹、C区の正常ラット4匹及びD区の正常ラット4匹の血清を試料とした。タンパク質発現解析には、SELDI法を用いるプロテインチップ・システム(Ciphergen Biosystems,Inc.)を使用した。解凍した血清成分とUrea Buffer(9M Urea/2% CHAPS/1mM DTT)を1:9の割合で混合し、10分間氷冷した後、Binding Buffer(100mM Tris−HCL(pH9.1))で10倍に希釈し、12000rpmで5分間遠心分離し、上清を分取して測定用サンプルとした。プロテインチップ(IMAC30−Cu及びCM10(pH4))に、指示書に従ってバイオプロセッサを装着し、350μL binding bufferを加えて5分間ずつ2度震盪し、測定用サンプル50μLを加えた。さらに20分間震盪して、プロテインチップ上の陰イオン交換体とサンプル中のタンパク質とを結合させた後、washing buffer(100mM Tris−HCL(pH9.1))を加えて2分間ずつ3回震盪した。400μL程度の純水で2度リンスし、バイオプロセッサをチップから外し、乾燥させる。乾燥した後、マトリックスとしてシナピン酸を0.5μLずつ2回添加し(トータル1μL)、プロテインチップ・システムで質量分析(SELDI−MS)した。その結果を表4及び表5に示した。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
表3に示したように、糖尿病により増加し、本願発明のマーカーマーカータンパク質発現制御剤の摂取により抑制されるタンパク質は9種類であり、質量分析計に供したときの質量/電荷比は7034、8331、8532、9068、9269、9450、13700、76600、79100であった。また、表4に示したように、糖尿病により減少し、本願発明のマーカータンパク質発現制御剤の摂取により増加するタンパク質は、5種類であり、質量分析計に供したときの質量/電荷比は3498、3559、4184、12800、65800であった。
【0081】
また、質量分析計に供したときの質量/電荷比が8300、8532、13700及び65800と決定したタンパク質をイオン交換カラム、電気泳動及びウエスタブロッティングにより精製・同定を行った。また、イオン交換カラムの吸着挙動より等電点(PI)を求めた。Mascot(http://www.matrixscience.com/search_form_select.html)のデータベースサーチの情報より、質量分析に供すると質量/電荷比が8300、8532、13700及び65800のタンパク質の同定を行った。
【0082】
その結果、質量分析に供すると質量/電荷比が8300及び8532のタンパク質はアポリポプロテインCII、質量分析に供すると質量/電荷比が13700のタンパク質はトランスサイレチン、及び質量分析に供すると質量/電荷比が65800のタンパク質はアルブミンであった。また、トランスサイレチンは、その分子量より1分子のシステインで修飾をうけたシスチニル化トランスサイレチンであった。
【0083】
[実施例2]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造1
【0084】
強力粉(日清製粉株式会社製)642g、砂糖35g、スキムミルク13g、食塩11g、無塩バター33g、パン酵母10g及び実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤30gに水465gを添加した。これを原料として自動製パン機(象印株式会社製)を用いて製パンを行い、マーカータンパク質発現制御剤を含有する食パンを調製した。
【0085】
[実施例3]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造2
【0086】
準強力粉1000g(日清製粉株式会社製)に対し、実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤30g、粉末かんすい10g、食塩10g、水330g、99%エタノール20gを配合し、ミキサーで15分間混捏した。これを原料として用い、常法により圧延、切出し(最終麺帯厚1.4mm、切刃#20角)を行った。このようにして得られた中華麺120gをポリ袋で密封し、20℃で24時間麺線熟成を行い、マーカータンパク質発現制御剤を含有する生中華麺を得た。
【0087】
[実施例4]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造3
【0088】
デュラム小麦粉1000g(日清製粉株式会社製)にマーカータンパク質発現制御剤30g(太陽化学株式会社製、製品名:サンファイバーR)及び水300gを加えた。これを原料として用いて、常法に従って製麺を行うことで、マーカータンパク質発現制御剤を含有するスパゲティの乾燥麺線(水分13%)を調製した。
【0089】
[実施例5]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造4
【0090】
精白米(商品名:三重コシヒカリ、松阪米穀株式会社製)800g及び実施例1で得たマーカータンパク質発現制御剤30gに水1200gを添加したものを、電気式炊飯器(三洋電気株式会社製)で炊飯し、マーカータンパク質発現制御剤を含有する米飯を得た。
【0091】
[実施例6]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造5
【0092】
マーカータンパク質発現制御剤(太陽化学株式会社製、製品名:サンファイバーHG)100gにアップルフレーバー2g及び水を加えて、全容2リットルの液体とした。この液体を滅菌済褐色ビン(110ミリリットル)に100ミリリットルずつ充填し、アルミキャップで密封した。その後、120℃、30分間殺菌し、マーカータンパク質発現制御剤を含有するりんご風味飲料20本を得た。
【0093】
[実施例7]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品の製造6
【0094】
ガムベース20.0%、砂糖60.0%、結晶ブドウ糖18.9%、香料1.0%、実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤1%を混合してガム用原料を作製した。この原料を用いて、常法により圧延、切り出し工程等を行うことにより、マーカータンパク質発現制御剤を含有するチューインガムを製造した。
【0095】
[実施例8]マーカータンパク質量発現制御剤含有する飲食品の製造7
【0096】
実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤15g、市販のケーキミックス粉200gを容器に入れた後、バター35gを入れ、木杓子で混ぜ合わせた。それに溶き卵25gを加えて、なめらかな生地になるまで良く練った。小麦粉を振った台の上に生地を取り出し、さらに小麦粉を振って麺棒で5mmの厚さに伸ばし、丸型で抜き、それを170℃のオーブンで10分間焼いて、1個約5gの本願発明のマーカータンパク質量発現制御剤含有飲食品(クッキー)を得た。
【0097】
[実施例9]マーカータンパク質量発現制御剤含有する飲食品の製造8
【0098】
実施例1で得られた組成物マーカータンパク質発現制御剤20g、市販の脱脂乳(明治乳業社製、蛋白質含量34%)95g、及び市販の無塩バター(雪印乳業社製)35gを温水0.8Lに溶解し、均質化し、全量を1Lに調整した。次いで、これを90℃で15分間加熱殺菌した後、冷却し、市販の乳酸菌スターター(ハンゼン社製)3g(ストレプトコッカス・サーモフィラス2g及びラクトバシラス・ブルガリクス1g)を接種した。さらに、これを均一に混合し、100mLの容器に分注・充填した後、密封して37℃で20時間発酵させた後、冷却することで、本願発明のマーカータンパク質量発現制御剤含有飲食品(ヨーグルト)を得た。
【0099】
[実施例10]マーカータンパク質量発現制御剤含有する飲食品の製造9
【0100】
カゼインナトリウム(DMV社製)50g、卵白酵素分解物(太陽化学社製)42.5g、デキストリン(松谷化学社製)100gを水1Lに溶解させ、水相をタンク内に調製した。これとは別に、MCT(花王社製)45g、パーム油(不二製油社製)17.5g、サフラワー油(太陽油脂社製)35g、レシチン(太陽化学社製)0.7g、消泡剤(太陽化学社製)1gを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、さらに、ホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約260gを調製した。この中間製品粉末200gに、デキストリン(松谷化学社製)156g、マーカータンパク質発現制御剤(太陽化学株式会社製、製品名:サンファイバーR)18g、少量のビタミン・ミネラル、及び粉末香料を添加し、均一に混合して、本願発明のマーカータンパク質量発現制御剤含有飲食品(経口流動食)約380gを得た。
【0101】
[実施例11]マーカータンパク質量発現制御剤含有する医薬品の製造1
【0102】
実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤55gに、ブドウ糖528g、果糖85.4g、粉末クエン酸15.8g、クエン酸ナトリウム11.2g、乳酸カルシウム1.3g、塩化マグネシウム1.3g、粉末天然香料13.2g、ビタミンCを添加し、さらに水を加えて11Lとした。この液体を乾熱滅菌済の110mL褐色瓶に充填して、アルミキャップで密封した後、120℃、30分間の滅菌を行い、ドリンク剤100本を得た。
【0103】
[実施例12]マーカータンパク質量発現制御剤含有する医薬品の製造2
【0104】
実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤50gに、銅クロロフィリン酸ナトリウム1gを加えて熱殺菌した後、それを日本薬局カプセル(#1)に1カプセルあたり0.4g充填し、カプセル剤100個を得た。
【0105】
[実施例13]マーカータンパク質発現制御剤を含有する医薬品の製造3
【0106】
アラビアガム6.0%、ブドウ糖72.0%、モノフルオロリン酸ナトリウム0.7%、ゼラチン1.0%、乳糖19.0%、香料1.0%、実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤1.5%、ステアリン酸マグネシウム適量を混合して、トローチ用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形工程等を行うことにより、マーカータンパク質発現制御剤を含有するトローチを製造した。
【0107】
[実施例14]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料の製造1
【0108】
脱脂粉乳32.1%、小麦粉29.9%、パン粉7.0%、大豆粕5.0%、魚粉5.0%、砂糖4.0%、ブドウ糖9.0%、油脂2.0%、ビタミン・ミネラル類3.0%、実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤1.0%を混合して、飼料用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形、乾燥工程等を行うことにより、マーカータンパク質発現制御剤を含有する養豚用飼料を製造した。
【0109】
[実施例15]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料の製造2
【0110】
トウモロコシ58.0%、大豆粕15.9%、ふすま5.0%、魚粉6.0%、アルファルファ3.0%、炭酸カルシウム7.0%、リン酸カルシウム1.6%、食塩0.4%、ビタミン・ミネラル類0.1%、大豆油2.0%、実施例1で得られたマーカータンパク質発現制御剤0.025%を混合して、飼料用原料を作製した。この原料を用いて、常法により成形、乾燥工程等を行うことにより、マーカータンパク質発現制御剤を含有する養鶏用飼料を製造した。
【0111】
[実施例16]マーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料の製造3
【0112】
魚粉6.4kg、小麦グルテン1.0kg、デキストリン0.8kg、ビタミン・ミネラル類0.5kg、セルロース0.3kg、タラ肝油0.5kg、実施例1で得たマーカータンパク質発現制御剤1kgを混合し、飼料用原料を作製した。この原料を用いて湿式造粒した後に乾燥することにより、マーカータンパク質発現制御剤を含有する養殖魚用飼料10.0kgを得た。
【0113】
本願発明の実施態様及び目的生成物を挙げれば以下の通りである。
【0114】
(1)多糖類を有効成分として含有することを特徴とする耐糖能低下前、糖尿病発症前及び/またはメタボリックシンドロームの発症で変動するマーカータンパク質を制御するマーカータンパク質発現制御剤。
【0115】
(2)マーカータンパク質が血液、尿、及び/または糞便より選ばれる一種または二種以上で発現する前記(1)記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0116】
(3)マーカータンパク質が血液で発現する前記(1)記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0117】
(4)マーカータンパク質が尿で発現する前記(1)記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0118】
(5)マーカータンパク質が糞便で発現する前記(1)記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0119】
(6)マーカータンパク質が、アポリポプロテインCII、アルブミン及び/またはトランスサイレチンより選ばれる一種または二種以上である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0120】
(7)マーカータンパク質が、アポリポプロテインCIIである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0121】
(8)マーカータンパク質が、アルブミンである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0122】
(9)マーカータンパク質が、トランスサイレチンである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0123】
(10)質量分析に供すると質量/電荷比が7034±100、8331±100、8532±100、9068±100、9269±100、9450±100、13700±100、76600±100及び/または79100±100より選ばれる一種または二種以上のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0124】
(11)質量分析に供すると質量/電荷比が7034±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0125】
(12)質量分析に供すると質量/電荷比が8331±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0126】
(13)質量分析に供すると質量/電荷比が8532±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0127】
(14)質量分析に供すると質量/電荷比が9068±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0128】
(15)質量分析に供すると質量/電荷比が9269±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0129】
(16)質量分析に供すると質量/電荷比が9450±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0130】
(17)質量分析に供すると質量/電荷比が13700±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0131】
(18)質量分析に供すると質量/電荷比が76600±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0132】
(19)質量分析に供すると質量/電荷比が79100±100のタンパク質の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0133】
(20)質量分析に供すると質量/電荷比が3498±100、3559±100、4184±100、12800±100及び/または65800±100より選ばれる一種または二種以上のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0134】
(21)質量分析に供すると質量/電荷比が3498±100のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0135】
(22)質量分析に供すると質量/電荷比が3559±100のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0136】
(23)質量分析に供すると質量/電荷比が4184±100のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0137】
(24)質量分析に供すると質量/電荷比が12800±100のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0138】
(25)質量分析に供すると質量/電荷比が65800±100のタンパク質の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0139】
(26)マーカータンパク質が、アポリポプロテインCII、アルブミン及び/またはトランスサイレチンの誘導体より選ばれる一種または二種以上である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0140】
(27)マーカータンパク質が、アポリポプロテインCIIの誘導体より選ばれる前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0141】
(28)マーカータンパク質が、アルブミンの誘導体より選ばれるある前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0142】
(29)マーカータンパク質が、トランスサイレチンの誘導体より選ばれるある前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0143】
(30)質量分析に供すると質量/電荷比が7034±100、8331±100、8532±100、9068±100、9269±100、9450±100、13700±100、76600±100及び/または79100±100より選ばれる一種または二種以上のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0144】
(31)質量分析に供すると質量/電荷比が7034±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0145】
(32)質量分析に供すると質量/電荷比が8331±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0146】
(33)質量分析に供すると質量/電荷比が8532±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0147】
(34)質量分析に供すると質量/電荷比が9068±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0148】
(35)質量分析に供すると質量/電荷比が9269±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0149】
(36)質量分析に供すると質量/電荷比が9450±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0150】
(37)質量分析に供すると質量/電荷比が13700±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0151】
(38)質量分析に供すると質量/電荷比が76600±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0152】
(39)質量分析に供すると質量/電荷比が79100±100のタンパク質の誘導体の発現量を抑制する方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0153】
(40)質量分析に供すると質量/電荷比が3498±100、3559±100、4184±100、12800±100及び/または65800±100より選ばれる一種または二種以上のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0154】
(41)質量分析に供すると質量/電荷比が3498±100のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0155】
(42)質量分析に供すると質量/電荷比が3559±100のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0156】
(43)質量分析に供すると質量/電荷比が4184±100のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0157】
(44)質量分析に供すると質量/電荷比が12800±100のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0158】
(45)質量分析に供すると質量/電荷比が65800±100のタンパク質の誘導体の発現量を増加させる方向に制御する前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0159】
(46)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がシステイン誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0160】
(47)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体が糖誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0161】
(48)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がリン酸誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0162】
(49)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体が脂質誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0163】
(50)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がグルコース誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0164】
(51)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がガラクトース誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0165】
(52)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がマンノース誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0166】
(53)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がキシロース誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0167】
(54)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がフコース誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0168】
(55)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がN−アセチルグルコサミン誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0169】
(56)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がN−アセチルガラクトサミン誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0170】
(57)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がN−アセチルノイラミン酸誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0171】
(58)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がミリスチン酸誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0172】
(59)前記(26)及至(45)いずれか記載の誘導体がパルミチン酸誘導体である前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0173】
(60)質量分析に供すると質量/電荷比が8331±100のマーカータンパク質がアポリポプロテインCIIである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0174】
(61)質量分析に供すると質量/電荷比が8532±100のマーカータンパク質がアポリポプロテインCIIである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0175】
(62)質量分析に供すると質量/電荷比が13700±100のマーカータンパク質がトランスサイレチンである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0176】
(63)質量分析に供すると質量/電荷比が65800±100のタンパク質がアルブミンである前記(1)及至(5)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0177】
(64)多糖類が食物繊維である前記(1)乃至(63)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0178】
(65)多糖類が水溶性食物繊維である前記(1)乃至(64)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0179】
(66)多糖類がペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン、チコリーファイバー及び/またはポリガラクトース、及びこれらの誘導体より選ばれる一種または二種以上である前記(1)乃至(65)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0180】
(67)多糖類がポリガラクトマンノースである前記(1)乃至(65)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0181】
(68)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するトランスサイレチン発現制御剤
【0182】
(69)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアポリポプロテインCII発現制御剤
【0183】
(70)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアルブミン発現制御剤
【0184】
(71)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するトランスサイレチン発現抑制剤
【0185】
(72)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアポリポプロテインCII発現抑制剤
【0186】
(73)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアルブミン発現増加剤
【0187】
(74)ポリガラクトシルマンノースの平均分子量分布が1.8×10〜1.8×10である前記(66)及至(73)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0188】
(75)ポリガラクトシルマンノースの平均分子量分布が8×10〜1.0×10である前記(66)及至(73)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0189】
(76)ポリガラクトシルマンノースの平均分子量分布が1.5×10〜2.5×10である前記(66)及至(73)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0190】
(77)重合度が30〜40のポリガラクトシルマンノースを25%以上含んでいる前記(66)及至(76)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0191】
(78)ポリガラクトシルマンノースの粘度がB型粘度計を用いて5%水溶液を、ローターがLowローター、ローター回転数が60rpm、測定時間が30秒測定した時に5℃で50mPa・s以下である前記(1)及至(77)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0192】
(79)ポリガラクトシルマンノースの粘度がB型粘度計を用いて5%水溶液を、ローターがLowローター、ローター回転数が60rpm、測定時間が30秒測定した時に5℃で30mPa・s以下である前記(66)及至(77)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0193】
(80)ポリガラクトシルマンノースの粘度がB型粘度計を用いて5%水溶液を、ローターがLowローター、ローター回転数が60rpm、測定時間が30秒測定した時に5℃で10mPa・s以下である前記(66)及至(77)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0194】
(81)摂取量が1日あたりマーカータンパク質発現調節剤として0.1g〜50gである前記(1)及至(80)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0195】
(82)摂取量が1日あたりマーカータンパク質発現調節剤として1g〜30gである前記(1)及至(80)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【0196】
(83)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品。
【0197】
(84)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する特定保健用食品。
【0198】
(85)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する医薬品。
【0199】
(86)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する医薬部外品。
【0200】
(87)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料。
【0201】
(88)前記(1)乃至(82)いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有するペットフード。
【0202】
(89)多糖類を有効成分として含有するマーカータンパク質発現制御剤を用いて耐糖能低下、糖尿病及び/またはメタボリック症候群を抑制する方法。
【0203】
(90)多糖類を有効成分として含有するマーカータンパク質発現制御剤を用いて耐糖能低下、糖尿病及び/またはメタボリック症候群を予防する方法。
【0204】
(91)多糖類を有効成分として含有するマーカータンパク質発現制御剤を生物に摂取させて耐糖能低下、糖尿病及び/またはメタボリック症候群を抑制する方法。
【0205】
(92)多糖類を有効成分として含有するマーカータンパク質発現制御剤を生物に摂取させて耐糖能低下、糖尿病及び/またはメタボリック症候群を予防する方法。
【0206】
(93)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するトランスサイレチン発現制御剤を用いてトランスサイレチンの発現量を抑制する方法。
【0207】
(94)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアポリポプロテインCII発現制御剤を用いてアポリポプロテインCIIの発現量を抑制する方法。
【0208】
(95)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアルブミン発現制御剤を用いてアルブミンの発現量を増加する方法。
【0209】
(96)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するトランスサイレチン発現制御剤を生物に摂取させてトランスサイレチンの発現量を抑制する方法。
【0210】
(97)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアポリポプロテインCII発現制御剤を生物に摂取させてアポリポプロテインCIIの発現量を抑制する方法。
【0211】
(98)ポリガラクトシルマンノースを有効成分として含有するアルブミン発現制御剤を生物に摂取させてアルブミンの発現量を抑制する方法。
【図面の簡単な説明】
【0212】
【図1】飼料摂取量の結果を示す図。
【図2】体重変化の結果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類を有効成分として含有することを特徴とする耐糖能低下前、糖尿病発症前及び/またはメタボリックシンドロームの発症で変動するマーカータンパク質を制御するマーカータンパク質発現制御剤。
【請求項2】
マーカータンパク質が血液、尿、及び糞便より選ばれる一種または二種以上で発現することを特徴とする請求項1記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【請求項3】
マーカータンパク質が、アポリポプロテインCII、アルブミン及び/またはトランスサイレチン及びその誘導体より選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【請求項4】
多糖類が食物繊維であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【請求項5】
多糖類がペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、低分子アルギン酸、サイリウム、アラビアガム、ポリガラクトマンノース、寒天、フコイダン、ラミナラン、カラギナン、ウェランガム、カードラン、キサンタンガム、ジェランガム、デキストラン、ラムザンサンガム、タマリンドシードガム、カラヤガム、トラガントガム、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、イヌリン及び/またはポリガラクトース、及びこれらの誘導体より選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飲食品。
【請求項7】
請求項1乃至5いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する特定保健用食品。
【請求項8】
請求項1乃至5いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する医薬品及び/または医薬部外品。
【請求項9】
請求項1乃至5いずれか記載のマーカータンパク質発現制御剤を含有する飼料及び/またはペットフード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−127364(P2008−127364A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316420(P2006−316420)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】