説明

ミキサ車

【課題】 オペレータの誤操作によるドラム内運搬物の排出を防止することが可能なドラム洗浄装置を提供することである。
【解決手段】 架台に回転自在に搭載されるドラム10と、ドラム10を回転駆動する駆動手段1,2と、駆動手段1,2を制御する制御装置5と、ドラム積載重量を検出する重量検出手段3とを備えたミキサ車において、制御装置5は、ドラム内に順次投入される砂利、砂、セメント、水等からなる各コンクリート材料の重量に基づいてドラム回転速度およびドラム回転時間を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミキサ車に関し、特に、コンクリートを製造可能なミキサ車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ミキサ車と言われるアジテータトラックにあっては、一般的には、コンクリートプラントで製造されるコンクリートを、打設現場まで運搬するために、架台に回転自在に搭載されるドラムを備えている。
【0003】
このドラムは、筒状のドラムシェルと、ドラムシェル内面に外周部が固定される螺旋状のブレードを備えており、ミキサ車がコンクリートを運搬する場合、ドラムを回転させることにより、ドラム内に投入されたコンクリートをブレードで攪拌するよううにしている。
【0004】
そして、ミキサ車にあっては、コンクリート運搬中にドラムを回転させることでコンクリートの砂利等の骨材とモルタル部分とが分離したり、運搬中にコンクリートが固化してしまったりすることを防止し、打設現場にて排出されるコンクリートのスランプ値を基準値の範囲内に維持するなど、コンクリートの品質を維持するようにしている。
【0005】
上述のように、ミキサ車にあっては、コンクリートプラントで製造されるコンクリートを運搬する目的で使用されるが、ドラムを回転させることによりコンクリート材料を混練することが可能であるので、ミキサ車自体がコンクリートを製造する機能を有している。
【0006】
そこで、コンクリートの製造をミキサ車に負担させることにより、コンクリートプラント側の設備をコンクリート材料の計量装置と搬送装置のみとして、コンクリートプラント側でのコンクリート製造作業の自動化を目的とした提案がある(たとえば、特許文献1,2参照)。
【0007】
すなわち、砂利、砂、セメント、水等のコンクリート材料の混練するミキサは、現状、コンクリートプラントでコンクリートを製造するようにしているのでコンクリートプラント側に設けられているが、ミキサ車のドラムが該ミキサ同様の機能を備えているので、重複する機能をミキサ車のドラムに集約し、コンクリートプラント側のミキサを省略可能としたものである。
【特許文献1】特開2001−127128号公報(発明の実施の形態,図1)
【特許文献2】特開2002−105423号公報(発明の実施の形態,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように従来のミキサ車にあっては、コンクリートプラントにおける設備の縮小、自動化に貢献することができるが、以下の不具合がある。
【0009】
すなわち、従来のミキサ車にあっては、コンクリートプラントにおいてコンクリート材料をドラム内に投入後、ドラムを回転させることによりコンクリート材料を攪拌してコンクリートを製造するが、コンクリート製造におけるドラム回転操作についてはドラムの回転速度および攪拌時間の管理が必要であり、これを一般にはコンクリート製造に関する専門知識を有しないミキサ車のオペレータが行うと製造されるコンクリートの品質維持が困難で、またその品質にばらつきができてしまうことになる。
【0010】
そこで、上記ドラム操作をコンクリートプラント側のオペレータが行うようにすればよいのであるが、そうするとコンクリート材料を投入後、ミキサ車は、コンクリートプラント側のオペレータによる一連のコンクリート製造作業を終了しなければ、打設現場に向けて出発することができないことになり、ミキサ車の稼働率が悪化してしまうことになる。
【0011】
逆に稼働率を優先させるとなると、ミキサ車のオペレータにコンクリート製造の専門知識を身に付けさせる必要があるので、ミキサ車のオペレータの負担が大きくなる。
【0012】
さらに、ミキサ車は、コンクリートプラントでコンクリート材料の投入を受ける必要があるので、コンクリートプラントと打設現場とを往復しなければならず、そのため、打設現場にタイムリーにコンクリートを供給できない場合がある。
【0013】
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、コンクリートプラントに頼らずに品質にバラツキのないコンクリートを製造可能なミキサ車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、この発明の課題解決手段は、架台に回転自在に搭載されるドラムと、ドラムを回転駆動する駆動手段と、駆動手段を制御する制御装置と、ドラム積載重量を検出する重量検出手段とを備えたミキサ車において、制御装置は、ドラム内に順次投入される砂利、砂、セメント、水等からなる各コンクリート材料の重量に基づいてドラム回転速度およびドラム回転時間を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各コンクリート材料をドラム内に投入すると、各ミキサ車がコンクリート材料の重量を計量し、各コンクリート材料の重量に基づいて最適なドラム回転速度と回転時間を演算し、自動的にコンクリート材料を混練してコンクリートを製造することができる。
【0016】
したがって、コンクリート製造時のドラム回転速度および回転時間をオペレータの感や、経験に頼らず、制御装置が最適なドラム回転速度および回転時間でコンクリート製造を行うので、コンクリートの品質を維持でき、また、その品質も均一にすることができる。
【0017】
また、オペレータは、コンクリート製造における攪拌作業時にドラムの回転操作を行う必要がないので、攪拌作業中におけるドラム回転速度および回転時間の管理作業から解放され、作業負担が軽減される。
【0018】
また、コンクリート製造にあたり、ミキサ車のオペレータは、専門知識を備えていなくとも、手軽にコンクリート製造を行うことができるという利点があり、これにより、コンクリートプラント側のオペレータの手を借りずしてコンクリート製造を行えるので、材料投入後に打設現場に向けてすぐに出発し、打設現場へ向かう途中に、すなわち、ミキサ車走行中にコンクリート製造を行うことができ、ミキサ車稼働率が向上する。
【0019】
さらに、このミキサ車にあっては、打設現場でコンクリート製造を行うことも可能であるので、コンクリートプラントと打設現場とを往復という無駄な時間を省略することができ、打設現場にタイムリーにコンクリートを供給することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。図1は、一実施の形態のミキサ車におけるシステムの概念図である。図2は、一実施の形態におけるミキサ車の側面図である。図3は、一実施の形態におけるミキサ車のドラム部分の背面図である。図4は、一実施の形態におけるミキサ車のコンクリート製造手順を示す図である。図5は、他の実施の形態のミキサ車におけるシステムの概念図である。図6は、他の実施の形態におけるミキサ車のコンクリート製造手順を示す図である。
【0021】
一実施の形態におけるミキサ車は、図1に示すように、架台に回転自在に搭載されるドラム10と、ドラム10を回転駆動する駆動手段である液圧モータ1および液圧モータ1に液圧を供給する液圧ポンプ2と、液圧モータ1および液圧ポンプ2を制御する制御装置たるコントローラ5と、ドラム積載重量を検出する重量検出手段3と、コントローラ5に接続されコントローラ5にコンクリート製造指令を入力可能な操作装置4とを備えている。
【0022】
液圧ポンプ2は、ミキサ車のエンジン(図示せず)に、PTO(Power Take Off)を介して接続されており、該エンジンのクランクシャフトの回転運動が伝達されて回転駆動される。
【0023】
また、液圧ポンプ2は、具体的には、斜板カム(図示せず)の傾角を変更することにより吐出方向および吐出量を可変にするアキシャル形の双方向吐出ポンプとして構成され、該液圧ポンプ2にループ状の管路14を介して接続された液圧モータ1をそれぞれ正回転および逆回転することが可能である。
【0024】
そして、上記液圧ポンプ2の傾斜カムの変更は、具体的にたとえば、サーボシリンダにより行われ、この液圧ポンプ2の吐出方向および吐出量は、容量検出センサ12で検知してコントローラ5に入力され、コントローラ5は容量検出センサ12が検出する容量によりサーボシリンダを制御することにより液圧ポンプ2の吐出方向と吐出量を制御することができるようになっている。
【0025】
また、液圧モータ1は、具体的にはたとえば、傾転角の変更により回転速度が変化するように設定され、回転速度センサ11で回転方向および回転速度(単位時間あたりの回転数)を検知するようになっており、コントローラ5は、回転速度センサが検出する回転方向および回転速度に基づいて上記傾転角を制御して液圧モータ1の回転方向および回転速度を制御することができるようになっている。
【0026】
また、ドラム10は、図2および図3に示すように、架台20に、架台20の図2中左右に伸びる軸線(図3中では図に対し紙面を貫く方向に伸びる軸線)に対し、やや前方を傾斜させて回転自在に搭載されており、架台20には、ドラム10の前方を支持する前方支持部21は、ドラム10の回転軸線上に立設されるとともに、ドラム10の後方左側を支持する後方左側支持部22およびドラム10の後方右側を支持する後方右側支持部23は、ドラム10の回転軸線と、架台20の上記軸線を含む面に対して左右対称となるように架台20に立設されている。
【0027】
上記した前方支持部21は、具体的には、ドラム10の前方端部から突設された図示しない回転軸と、該回転軸に液圧モータ1の回転を伝達する図示しない減速機を保持している。
【0028】
他方、後方左側支持部22および後方右側支持部23は、その先端に、ローラ221,231を備えており、このローラ221,231でドラム10の後方を回転自在に支持している。
【0029】
そして、重量検出手段3は、3つの荷重センサ31,32,33を備えており、図2および図3にしめすように、荷重センサ31は、ミキサ車の架台20上に立設されドラム10の前方を支持する前方支持部21に設置され、前方支持部21で負担する荷重を検出し、荷重センサ32は、ミキサ車の架台20上に立設されドラム10の後方であって図3中左側を支持する後方左側支持部22に設置され、後方左側支持部22で負担する荷重を検出し、荷重センサ33は、ミキサ車の架台20上に立設されドラム10の後方であって図3中右側を支持する後方右側支持部23に設置され、後方左側支持部23で負担する荷重を検出するようにしてある。
【0030】
なお、荷重センサ31,32,33としては、ロードセルや歪ゲージ等を用いればよい。
【0031】
転じて、操作装置4は、図1に示すように、ドラム10でコンクリート製造を行う製造スイッチ41と、その製造手順に関する指示を表示する表示部42と、スピーカ43と、製造手順中の処理の一部をスキップするスキップスイッチ44と、コンクリート材料の投入が完了であることを確認する確認スイッチ45とを備えており、コントローラ5に信号線9で接続されることにより通信可能とされている。
【0032】
なお、操作装置4とコントローラ5の通信においては、信号線9を介さない無線によって行うとされてもよい。
【0033】
また、上記製造スイッチ41、スキップスイッチ44および確認スイッチ45は、具体的はたとえば、プッシュスイッチ型に設定されており、オペレータが押圧することによりそれぞれ製造指令信号U、スキップ信号Sおよび確認信号Kをコントローラ5に送信するように設定されている。
【0034】
そして、コントローラ5は、容量検出センサ12、回転速度センサ11および上記各荷重センサ31,32,33が出力する信号、製造指令信号U、スキップ信号Sおよび確認信号Kの各信号を受け取り、液圧モータ1および液圧ポンプ2の駆動に必要な電流もしくは電圧を出力し、操作装置4に制御信号を出力することができるものであればよく、具体的にはたとえば、ハードウェアとしては図示しないが、各信号を増幅するためのアンプと、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換器と、CPU(Central Prossesing Unit)等の演算装置と、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置とから構成され、液圧モータ1および液圧ポンプ2の駆動および操作装置4の表示部42およびスピーカ43の制御に必要な演算処理手順と制御信号出力手順を、プログラムとしてROMや他の記憶装置に予め格納させておくとする周知なコンピュータシステムとして構成されている。
【0035】
また、上記コントローラ5は、荷重センサ31,32,33から入力される電圧信号からドラム10内に投入されるコンクリート材料の重量を演算することができるようになっている。
【0036】
具体的には、荷重センサ31,32,33で検知する重量の総和は、ドラム10およびコンクリート材料の総重量に等しくなることから、コントローラ5は、荷重センサ31,32,33で検知する重量全てを加算する演算を行って、コンクリート材料の重量を演算する。
【0037】
そして、コントローラ5は、ドラム10内が空の場合にあっては、各荷重センサ31,32,33が検知した重量からの電圧信号から投入重量がゼロであることを認識するよう調整されている。
【0038】
そして、上記のように構成されたミキサ車におけるコンクリート製造は、図4に示す手順に従って行われる。
【0039】
以下、この手順について説明すると、まず、操作装置4の製造スイッチ41の押圧により、コントローラ5に製造指令信号Uが送信され、これにより、コンクリート製造に関する手順が実行される。
【0040】
そして、ステップF1では、コントローラ5は、駆動手段である液圧モータ1および液圧ポンプ2を制御してドラム10を所定の回転速度で投入方向へ回転させる。なお、所定の回転速度は6rpmから10rpmの範囲内で任意に設定され、コントローラ5は、後述のステップF28の手順に至るまではドラム10の回転速度を維持するように制御する。
【0041】
つづいて、ステップF2では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である水を投入することを促すべく、表示部42に「水投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「水投入」を音声出力させる。
【0042】
そして、ステップF3に移行し、コントローラ5は、オペレータによる操作装置4の確認スイッチ45の押圧がある場合、すなわち、確認信号Kがコントローラ5に入力がある場合には、オペレータが水の投入を完了したと判断され、ステップF4に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに水の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0043】
さらに、ステップF4では、コントローラ5は、オペレータによって投入された水の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和し演算し、この水の投入重量を一時的に記憶装置に記憶する。なお、このステップF3で計量される水の量は、コンクリート製造に使用される全体の水の量の概ね3分の2である。
【0044】
つづいて、ステップF5に移行し、ステップF5では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である砂利を投入することを促すべく、表示部42に「砂利投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「砂利投入」を音声出力させ、ステップF6に移行する。
【0045】
このステップF6では、オペレータが操作装置4のスキップスイッチ44の押圧がある場合、すなわち、スキップ信号Sがコントローラ5に入力がある場合には、オペレータは、砂利の投入を要しないモルタルを製造する意思があることから、砂利の重量を演算する処理を行わずステップF8に移行し、他方、確認信号Kがコントローラ5に入力される場合には、ステップF7に移行する。
【0046】
そして、ステップF7では、コントローラ5は、オペレータによって投入された砂利の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和し演算し、この砂利の投入重量を一時的に記憶装置に記憶する。なお、このステップF7で計量される砂利の量は、コンクリート製造に使用される全体の砂利の量の概ね2分の1である。
【0047】
つづいて、ステップF8では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である砂を投入することを促すべく、表示部42に「砂投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「砂投入」を音声出力させる。
【0048】
そして、ステップF9に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータが砂の投入を完了したと判断され、ステップF10に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに砂の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0049】
つづいて、ステップF10では、コントローラ5は、オペレータによって投入された砂の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和し演算し、この砂の投入重量を一時的に記憶装置に記憶する。なお、このステップF10で計量される砂の量は、コンクリート製造に使用される全体の砂の量の概ね2分の1である。
【0050】
つぎに、ステップF11では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料であるセメントを投入することを促すべく、表示部42に「セメント投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「セメント投入」を音声出力させる。
【0051】
そして、ステップF12に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータがセメントの投入を完了したと判断され、ステップF13に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータにセメントの投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0052】
つづいて、ステップF13では、コントローラ5は、オペレータによって投入されたセメントの重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和し演算し、このセメントの投入重量を一時的に記憶装置に記憶する。なお、このステップF13で計量されるセメントの量は、コンクリート製造に使用される全体量である。
【0053】
つぎに、ステップF14では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である砂の残りの量を投入することを促すべく、表示部42に「砂投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「砂投入」を音声出力させる。
【0054】
そして、ステップF15に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータが砂の投入を完了したと判断され、ステップF16に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに砂の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0055】
つづいて、ステップF16では、コントローラ5は、オペレータによって投入された砂の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和し演算し、さらに、ステップF10で演算された砂の重量にこのステップF16で演算される砂の投入重量を加算し、得られた全体の砂の重量を一時的に記憶装置に記憶する。
【0056】
さらに、ステップF17では、ステップF6でスキップ信号Sが入力されていた場合には、ステップF21に移行し、確認信号Kが入力されていた場合には、ステップF18に移行する。
【0057】
そして、ステップF18では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である砂利の残りの量を投入することを促すべく、表示部42に「砂利投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「砂利投入」を音声出力させる。
【0058】
そして、ステップF19に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータが砂利の投入を完了したと判断され、ステップF20に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに砂利の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0059】
つづいて、ステップF20では、コントローラ5は、オペレータによって投入された砂利の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和して演算し、さらに、ステップF7で演算された砂利の重量にこのステップF20で演算される砂利の投入重量を加算し、得られた全体の砂利の重量を一時的に記憶装置に記憶する。
【0060】
さらに、ステップF21に移行して、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である水の残りの量を投入することを促すべく、表示部42に「水投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「水投入」を音声出力させる。
【0061】
そして、ステップF22に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータが水の投入を完了したと判断され、ステップF20に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに水の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0062】
つづいて、ステップF23では、コントローラ5は、オペレータによって投入された水の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和して演算し、さらに、ステップF4で演算された水の重量にこのステップF23で演算される水の投入重量を加算し、得られた全体の水の重量を一時的に記憶装置に記憶する。
【0063】
つづき、ステップF24では、コントローラ5は、オペレータにドラム10内へコンクリート材料である混和剤を投入することを促すべく、表示部42に「混和剤投入」という文字を出力させるとともに、スピーカ43に「混和剤投入」を音声出力させる。
【0064】
そして、ステップF25に移行し、コントローラ5は、確認信号Kの入力がある場合には、オペレータが混和剤の投入を完了したと判断され、ステップF26に移行する。なお、所定時間内に上記確認信号Kの入力がない場合には、スピーカ43に「確認スイッチを押してください」と音声出力させ、オペレータに混和剤の投入の完了を促し、確認信号Kの入力を待つ。
【0065】
つづいて、ステップF26では、コントローラ5は、オペレータによって投入された混和剤の重量を荷重センサ31,32,33で検知する重量を総和して演算し、混和剤の重量を一時的に記憶装置に記憶する。
【0066】
これまでの処理でコンクリート材料が全てドラム10内に投入された状態となるので、ステップF27では、コントローラ5は、各コンクリート材料の重量の値を記憶装置から読み込んで、最適なドラム回転速度および回転時間を演算する。
【0067】
そして、ステップF28に移行し、コントローラ5は、上記ステップF11で得られたドラム回転速度および回転時間に基づいて、ドラム10を回転駆動しコンクリート材料を混練する。
【0068】
その後、ステップF29に移行して、コントローラ5は、ドラム10内で製造されたコンクリートの固化を防止するべく、ドラム10を投入回転させつづける。
【0069】
このステップF29において、コントローラ5は、オペレータのコンクリートをドラム10から排出させる操作があるまでは、コンクリートの品質を維持できるようにドラム10の投入回転を維持する。
【0070】
なお、セメントペーストを製造する必要があるのであれば、ステップF8において、オペレータのスキップスイッチ44押圧によるスキップ信号Sがコントローラ5に入力される場合に、重量演算処理を中断してステップF11に移行させてもよい。
【0071】
そして、この実施の形態の場合、オペレータに各コンクリート材料の投入を指示する指示手段は、上記表示部42およびスピーカ43となる。
【0072】
上述のように、このミキサ車によれば、各コンクリート材料をドラム10内に投入すると、各ミキサ車がコンクリート材料の重量を計量し、各コンクリート材料の重量に基づいて最適なドラム回転速度と回転時間を演算し、自動的にコンクリート材料を混練してコンクリートを製造することができる。
【0073】
したがって、コンクリート製造時のドラム回転速度および回転時間をオペレータの感や、経験に頼らず、制御装置が最適なドラム回転速度および回転時間でコンクリート製造を行うので、コンクリートの品質を維持でき、また、その品質も均一にすることができる。
【0074】
また、オペレータは、コンクリート製造における攪拌作業時にドラムの回転操作を行う必要がないので、攪拌作業中におけるドラム回転速度および回転時間の管理作業から解放され、作業負担が軽減される。
【0075】
また、コンクリート製造にあたり、ミキサ車のオペレータは、専門知識を備えていなくとも、手軽にコンクリート製造を行うことができるという利点があり、これにより、コンクリートプラント側のオペレータの手を借りずしてコンクリート製造を行えるので、材料投入後に打設現場に向けてすぐに出発し、打設現場へ向かう途中に、すなわち、ミキサ車走行中にコンクリート製造を行うことができ、ミキサ車稼働率が向上する。
【0076】
さらに、このミキサ車にあっては、打設現場でコンクリート製造を行うことも可能であるので、コンクリートプラントと打設現場とを往復という無駄な時間を省略することができ、打設現場にタイムリーにコンクリートを供給することもできる。
【0077】
また、オペレータに各コンクリート材料の投入を指示する指示手段を備えているので、オペレータのコンクリート材料の投入し忘れを防止でき、さらに、オペレータは上記指示手段の指示にしたがってコンクリート材料を投入すればよいので、オペレータのコンクリート製造作業が容易となる。
【0078】
さらに、コンクリート製造手順のうち、コンクリートの種類によって、不必要となるコンクリート材料を投入する手順をスキップさせることができるので、多様なコンクリートの製造も可能である。
【0079】
つづいて、他の実施の形態におけるミキサ車について説明する。この他の実施の形態におけるミキサ車は、操作装置とコンクリート製造の手順が上述の一実施の形態と異なる。なお、上述の一実施の形態と同様である部分については、同一の符号を付するのみとして詳しい説明を省略する。
【0080】
この他の実施の形態にあっては、図5に示すように、操作装置8は、図5に示すように、ドラム10でコンクリート製造を行う製造スイッチ81と、その製造手順に関する指示を表示する表示部82と、スピーカ83と、製造手順中の処理の一部をスキップするスキップスイッチ84と、確認スイッチ85と、各コンクリート材料の重量を入力する入力部86を備えており、コントローラ5に信号線9で接続されることにより通信可能とされている。
【0081】
上記入力部86は数字入力キーと入力決定キーと削除キーとを備えて構成されており、オペレータは、各コンクリート材料の重量を数値として入力することができるようになっている。
【0082】
この他の実施の形態におけるミキサ車にあっては、以下の図6に示す手順でコンクリート製造が行われる。
【0083】
まず、オペレータの操作装置8における製造スイッチ81の押圧により、コントローラ5に製造指令信号Uが送信され、これにより、コンクリート製造に関する手順が実行される。
【0084】
そして、ステップF101では、コントローラ5は、オペレータにコンクリート材料である砂の重量を入力させるべく、表示部82に「砂の重量」という文字を出力させて、同入力を促し、オペレータの入力部86の操作により、砂の重量が入力されると、砂の重量を一時的に記憶装置に格納する。
【0085】
以下、コントローラ5は、それぞれステップF102,F103,F104,F105において、オペレータに砂利、セメント、水、混和剤の重量を入力させるべく、表示部82に「砂利の重量」、「セメントの重量」、「混和剤の重量」、「水の重量」、という文字を出力させて、同入力を促し、オペレータの入力部86の操作により、それぞれ、砂利、セメント、混和剤、水の重量が入力されると、これらの各重量を一時的に記憶装置に格納する。
【0086】
そして、上記ステップF105までの手順が完了すると、一実施の形態と同様の手順であるステップF1からステップF29と同様の処理を実行する。ここで、上記した一実施の形態と異なるのは、手順自体は図示はしないが、各ステップでオペレータにドラム10内へコンクリート材料を投入することを促すときに、たとえば、表示部82に「砂投入」という文字だけでなくステップF101で入力された砂の重量の2分の1の重量を出力させるとともに、スピーカ83に「砂投入」と砂の重量の2分の1の重量を音声出力させる。すなわち、コンクリート材料を投入するべき各ステップで当該ステップにて投入するべきコンクリート材料の重量を表示部82に出力するとともにスピーカ83にも該コンクリート重量を音声出力させるのである。
【0087】
なお、砂、砂利、水のコンクリート材料は、一実施の形態と同様に2回に分けてドラム10内に投入されることから、1回目の投入を促す際には1回目に投入すべき各コンクリート材料の重量を、2回目の投入を促す際には全体量から1回目に投入された量を除して得られる投入すべき各コンクリート材料の重量を表示部82とスピーカ83に出力させる。すなわち、水であれば、1回目の投入の際にはステップF104で入力された重量の3分の2であり、2回目には該入力された重量の3分の1となり、砂および砂利については、1回目の投入の際にはそれぞれステップF101およびステップF102で入力された重量の2分の1であり、2回目には該入力された重量の2分の1となる。
【0088】
また、この他の実施の形態におけるにおけるミキサ車にあっては、各コンクリート材料の重量を演算するステップでは、コントローラ5は、荷重センサ31,32,33で検知する重量をリアルタイムに総和して、オペレータによって投入される各コンクリート材料の重量を演算する。
【0089】
このとき、ドラム10内に投入される各コンクリート材料の重量がそれぞれ対応する投入されるべきコンクリート材料の重量に近づくと、コントローラ5は、表示部82に入力値から現在投入されたコンクリート材料の重量を引いた値を表示するとともに、スピーカ83から警告音を発生させ、オペレータにコンクリート材料の重量が入力値に達っしそうであることをしらせるとともに、コンクリート材料の重量が入力値に達すると、表示部82に「投入終了」の文字と、スピーカ83に「投入終了」を音声出力させる。
【0090】
そして、各コンクリート材料の投入を終了すると、一実施の形態のステップF27からステップF29までの処理と全く同様の処理を行い、コントローラ5は、各コンクリート材料の重量の値を読み込んで各コンクリート材料の重量から最適なドラム回転速度および回転時間を演算し、得られたドラム回転速度および回転時間に基づいて、ドラム10を回転駆動しコンクリート材料を混練する。
【0091】
したがって、この他の実施の形態においては、上記した一実施の形態と同様の効果を奏するだけでなく、オペレータがあらかじめ決められた量のコンクリートを製造することができ、オペレータが、万が一、過剰にコンクリート材料をドラム10内に投入した場合にあっても、コントローラ5が各コンクリート材料を都度計量して最適なドラム回転速度および回転時間を実現するので、コンクリートの品質を維持でき、均一な品質のコンクリートを製造することが可能である。
【0092】
なお、この他の実施の形態におけるミキサ車にあっては、各コンクリート材料の重量をオペレータが入力するとしているが、たとえば、コンクリートの種類と量、もしくは、コンクリートの種類と量に加えて水セメント比やスランプ値を入力させるようにして、その配合重量をコントローラ5に記憶させて、適宜、各コンクリート材料の投入を促す各手順で、各コンクリート材料の重量を表示部やスピーカを介してオペレータに指示を与えるようにしてもよい。
【0093】
この場合には、オペレータは、最適な配合重量を知りえなくとも、必要なコンクリート量を最適な配合重量で製造することができ、より一層オペレータの負担を軽減させるとともに、専門知識が無いオペレータにあっても、必要とされるコンクリートを手軽に製造することが可能となる。
【0094】
また、水の投入を最後にしておけば、砂、砂利、セメント、混和剤については、投入順序を適宜変更してもよい。
【0095】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】一実施の形態のミキサ車におけるシステムの概念図である。
【図2】一実施の形態におけるミキサ車の側面図である。
【図3】一実施の形態におけるミキサ車ドラム部分の背面図である。
【図4】一実施の形態におけるミキサ車のコンクリート製造手順を示す図である。
【図5】他の実施の形態のミキサ車におけるシステムの概念図である。
【図6】他の実施の形態におけるミキサ車のコンクリート製造手順を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1 液圧モータ
2 液圧ポンプ
3 重量検出手段
4,8 操作装置
5 コントローラ
9 信号線
10 ドラム
14 管路
11 回転速度センサ
12 容量検出センサ
20 架台
21 前方支持部
22 後方左側支持部
23 後方右側支持部
221,231 ローラ
31,32,33 荷重センサ
41,81 製造スイッチ
42,82表示部
43,83 スピーカ
44,84 スキップスイッチ
45,85 確認スイッチ
86 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台に回転自在に搭載されるドラムと、ドラムを回転駆動する駆動手段と、駆動手段を制御する制御装置と、ドラム積載重量を検出する重量検出手段とを備えたミキサ車において、制御装置は、ドラム内に順次投入される砂利、砂、セメント、水等からなる各コンクリート材料の重量に基づいてドラム回転速度およびドラム回転時間を制御することを特徴とするミキサ車。
【請求項2】
各コンクリート材料の投入を指示する指示手段を備えたこと特徴とする請求項1に記載のミキサ車。
【請求項3】
コンクリートの種類および量に基づいてコンクリート材料の重量を指示する指示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のミキサ車。
【請求項4】
水セメント比もしくはスランプ値もしくはその両方に基づいてコンクリート材料の重量を指示する指示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のミキサ車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−272592(P2006−272592A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91141(P2005−91141)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】