説明

ミコフェノール酸またはミコフェノール酸ナトリウムを含む医薬多粒子組成物およびラパマイシンとの組み合わせ

本発明は、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグの新規組成物およびミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグとラパマイシンまたはラパマイシン誘導体の固定された組み合わせに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグの新規組成物およびミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグとラパマイシンまたはラパマイシン誘導体の固定された組み合わせに関する。
【0002】
ミコフェノール酸(本明細書ではMPAとも呼ぶ)は1896年に最初に単離され、例えば抗腫瘍性、抗ウイルス性、免疫抑制性、抗乾癬性および抗炎症性活性を有することが知られている。
【0003】
適当なMPA塩は、カチオン塩、例えばアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩、例えば一または二ナトリウム塩、好ましくは一ナトリウム塩を含む。
【0004】
MPAのプロドラッグは、例えばMPAの生理学的に加水分解可能なエステル、例えばモルホリノエチルエステル(ミコフェノール酸モフェチル(MMF)としても既知)のような、US4,753,935に記載の通りのものである。
好ましいのはミコフェノール酸ナトリウム塩である。
【0005】
ミコフェノール酸塩は、腸溶性コーティングされているまたは腸上部で放出されるように適合しているとき、有効で、十分耐容性の、特に免疫抑制性適応症、例えば細胞、組織または臓器同種移植片拒絶反応の処置または予防のための医薬となる。しかしながら、患者間および患者内可変性を減少する、例えば体内での薬物暴露または食物の影響の可変性を減少する、またはさらにGI副作用を減少する必要性がまだ存在する。
【0006】
したがって、本発明は:
1. 多粒子形態、例えば微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒またはビーズの形の、 MPA、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含む組成物。好ましくは、該組成物は腸溶性コーティングされている。
【0007】
本発明のさらなる態様によって、下記が提供される:
2. 対象における、患者間および患者内可変性を減少させるための、例えば薬物暴露可変性を減少させるためのおよび/または食物の影響を減少または予防するためのおよび/またはGI副作用を減少させるための、粒子形態、例えば微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒またはビーズの、活性成分としてMPA、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含む、組成物の使用。
【0008】
3. 活性成分としてMPA、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含む治療的有効量の組成物を投与することを含み、ここで、該組成物が粒子形態、例えば微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒またはビーズである、対象、例えば移植された対象または自己免疫疾患を有する対象における、患者間および患者内可変性を減少させるための、例えば薬物暴露可変性を減少させるためのおよび/または食物の影響を減少または予防するためのおよび/またはGIへの影響を減少させるための方法。
【0009】
本発明の組成物はまた、多粒子、例えば腸溶性コーティングされている微粒子、ペレットまたは顆粒を得るために、例えば、口、胃または小腸で崩壊する錠剤またはミニタブレットおよび/または口、胃または小腸で溶解するカプセルの形である。好ましくは本発明の組成物は粒子形態である。
【0010】
好ましくは本発明の組成物は腸溶性コーティングされている。腸溶性コーティングされているまたは腸溶性コーティングは、活性剤の胃への放出を防止し、腸管の上部での放出を可能にする薬学的に許容されるコーティングを意味する。
【0011】
粒子形態または多粒子は、約3mm未満、好ましくは約1μmから3mmの平均サイズを有する薬物粒子を意味する。
【0012】
本発明に従う好ましい薬物微粒子は、所望により微粒子を形成するための、1種またはそれ以上の薬学的に許容される、例えば後記の通りの腸溶性コーティング成分、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートまたはメタクリル酸コポリマー、および安定化剤、例えばコロイド状シリカと組み合わせて、約1000μm未満、好ましくは約10および800μm、より好ましくは30および200μmの有効平均サイズを有する。このような微粒子は、例えばコーティング物質の液相をポリマーの溶液から分離するための、例えばスプレー乾燥、流動床乾燥または沈殿法、例えばコアセルベーション法、そして、そのような相を懸濁しているコア粒子の周りに均質層としてラッピングすることにより、製造し得る。得られた微粒子は濾過または遠心分離により回収し、適当な溶媒で洗浄し、そして続いてスプレー乾燥または流動床乾燥のような標準的方法により乾燥させる。得られたコーティングされた薬物微粒子は、所望により、例えば後記の通りの希釈剤、例えばラクトース、マンニトールまたはスクロース、例えば後記の通りの滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムと組み合わせ、カプセルまたはサシェットに分配し得る。
【0013】
他の態様において、薬物は、所望により、例えば本明細書に記載の通りの希釈剤、例えば後記の通りの結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピル(proppyl)メチルセルロースまたはナトリウムカルボキシメチルセルロースと組み合わせ、例えば高もしくは低剪断造粒、流動床造粒またはスプレー乾燥のような方法を使用して顆粒に成型され、顆粒薬物コアを形成し得る。得られた顆粒を、例えば後記の通りの腸溶性コーティング成分でコーティングし、カプセルまたはサシェットに分配し得る。顆粒薬物コアは、典型的に0.2から2mm、好ましくは0.5から1.4mmの直径を有する。コアに存在する薬物の量は、顆粒薬物コアの重量をベースにして、すなわち、存在するならばすべてのコーティングを除外して、1から95重量%、好ましくは40から70重量%である。
【0014】
他の態様において、薬物は、所望により1種またはそれ以上の薬学的に許容される押出助剤(extrusion aid)、例えば微結晶性セルロース、ephrit、予めゲル化させたデンプンなど、例えば本明細書に記載の通りの結合剤、または例えば本明細書に記載の通りの希釈剤と組み合わせ、例えば押出球形化、直接ペレット化(pellitisation)/高または低剪断造粒、流動床造粒またはスプレー乾燥/融解コンシーリングのような方法を使用して、ペレットに成型され、ペレット薬物コアを形成し得る。得られたペレットは、例えば本明細書に記載の通りの腸溶性コーティング成分でコーティングされ、カプセルまたはサシェットに分配される。ペレット薬物コアは、典型的に0.2から2mm、好ましくは0.5から1.4mmの直径を有する。コアに存在する薬物の量は、ペレット薬物コアの重量をベースにして、すなわち存在するならばすべてのコーティングを除外して、1から95重量%である。
【0015】
他の態様において、所望により薬学的に許容される結合剤と組み合わされている薬物は、薬学的に許容されるシード、典型的にスクロース、デンプン、微結晶性セルロースまたはそれらの任意の組み合わせ粒子、例えば球体の表面上に層化し、ビーズ薬物コアを形成する。このような層化は、溶液層化または粉末層化であり得る。このような薬学的に許容されるシードは、好ましくは18−20メッシュ、25−30メッシュまたは35−40メッシュのノンパレイユ糖/デンプン球体、最も好ましくは25−30メッシュのノンパレイユ糖デンプン球体である。得られたビーズは、例えば本明細書に記載の通りの腸溶性コーティング成分でコーティングされ、カプセルまたはサシェットに分配されるか、またはさらに他の薬物の層化により加工される。ビーズ薬物コアは、典型的に0.2から2mm、好ましくは0.5から1.4mmの直径の幅を有する。コアに存在する薬物の量は、ビーズ薬物コアの重量をベースにして、すなわち存在するならばすべてのコーティングを除外して、1から95重量%である。
【0016】
さらなる態様において、コーティングされた微粒子、顆粒、ビーズまたはペレットは、所望により薬学的に許容される成分、例えば本明細書に記載の通りの、例えば希釈剤、結合剤、滑剤と組み合わせ、口、胃または小腸、好ましくは胃で崩壊し、例えば腸溶性コーティングされている微粒子、ペレットまたは顆粒を放出する、錠剤および/またはミニタブレットを形成し得る。それらはまた口、胃または小腸、好ましくは胃で溶解し、腸溶性コーティングされている微粒子、ペレットまたは顆粒を放出する、カプセルと組み合わせ、挿入され得る。
【0017】
本願の範囲内での“ミニタブレット”なる用語は、コーティングされていない形で約3から10mg、例えば約4から9mg、例えば約7mgの全体的重量の小錠剤である。ミニタブレットは、当業者に錠剤について既知のすべての形を有し得て、例えば約1.2から3mm、好ましくは1.5から3mmの直径の、例えば円形;例えば凸上面および凸下面を有し、そして例えば互いに独立して1から3mmの円筒形直径および高さを有する円筒形;または例えば高さおよび直径がほぼ等しく、1.5から3mmである、両凸ミニタブレットである。
【0018】
ミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグ、例えばMMFを含むミニタブレットは、好ましくは総重量、すなわち錠剤コアの重量+存在するならばすべてのコーティングの重量が3から10mgである。腸溶性コーティングは、存在するとき、好ましくは総重量の15から50%、より好ましくは15から35%、例えば25から35%または15から30%を構成する。
【0019】
MPA、その塩またはそのプロドラッグ、例えばMMFは、ミニタブレットの製造前に造粒し得る。本顆粒は、ミニタブレットの製造前に腸溶性コーティングできおよび/またはミニタブレットを腸溶性コーティングできる。
【0020】
有効な免疫抑制を提供し、そして急性移植片拒絶反応を最小に減少させるために、各々異なる作用機序を有する2種またはそれ以上の免疫抑制剤を組み合わせることが望ましい。MPA、それらの塩およびプロドラッグ、例えばMMFは、イノシンモノホスフェートデヒドロゲナーゼ(IMPDH)の非競合的、可逆性阻害剤であり、故に、プリンのデ・ノボ合成を阻害し、リンパ球に対して細胞増殖抑制作用を示すとして知られる免疫抑制剤である。ラパマイシンおよびラパマイシン誘導体は、T細胞活性化および増殖を阻害することが既知の免疫抑制剤である。故に、例えば移植された患者における移植片拒絶反応を阻害するために、および特に移植された患者の維持のための、これらの2つのタイプの免疫抑制剤を組み合わせることが望ましい。
【0021】
したがって患者への簡便さおよびコンプライアンスを上昇させるために、本発明はa)ミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグ、例えばMMFおよびb)ラパマイシンまたはその誘導体を含む、固定された組み合わせを提供する。
【0022】
ラパマイシンは、免疫抑制性ラクタムマクロライドであり、ストレプトマイセス・ヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)により産生される。
【0023】
ラパマイシン誘導体は、置換ラパマイシン、例えば、すべて引用して本明細書に包含するUS5258389、WO94/09010、WO92/05179、US5118677、US5118678、US5100883、US5151413、US5120842、WO93/11130、WO94/02136、WO94/02485およびWO95/14023に記載の、例えば40−O−置換ラパマイシン;例えば、その内容を引用して本明細書に包含するWO94/02136、WO95/16691およびWO96/41807に記載の、16−O−置換ラパマイシン;または例えば本明細書に引用して包含するWO96/41807およびUS5256790に記載の32−水素化ラパマイシンである。
【0024】
好ましいラパマイシン誘導体は、式I
【化1】

〔式中、
はCHまたはC3−6アルキニルであり、
はHまたは−CH−CH−OH、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−プロパノイルまたはテトラゾリルであり、そしてXは=O、(H,H)または(H,OH)である。
但し、Xが=Oであり、そしてRがCHであるとき、RはH以外である。〕
の化合物、またはRが−CH−CH−OHであるとき、そのプロドラッグ、例えば生理学的に加水分解可能なそのエーテルである。
【0025】
特に好ましい式Iのラパマイシン誘導体は、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン(以後、化合物A)、40−[3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロパノエート]−ラパマイシン(CCI779とも呼ばれる)、40−エピ−(テトラゾリル)−ラパマイシン(ABT578とも呼ばれる)、32−デオキソラパマイシン、または16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロラパマイシンである。よりさらに好ましいのは、化合物Aである。
【0026】
ラパマイシン誘導体はまた、例えばWO98/02441、WO01/14387およびWO03/064383に記載の通りの、いわゆるラパログ、例えばAP23573、AP23464、AP23675、AP23841、TAFA−93、バイオリムス−7およびバイオリムス−9を含む。
【0027】
ラパマイシンおよびその誘導体は、観察される活性に基づいて、例えばWO94/09010、WO95/16691またはWO96/41807に記載されているように、例えばマクロフィリン12(FK−506結合タンパク質またはFKBP−12としても既知)への結合が、例えば、急性同種移植片拒絶反応において、例えば、免疫抑制剤として有用であることが判明している。
【0028】
好ましくは、化合物A、CCI779、ABT578、AP23573、32−デオキソラパマイシン、または16−ペント−2−イニルオキシ−32(S)−ジヒドロラパマイシン、さらにより好ましくは化合物A、および/またはMPA塩またはMMF、はるかにより好ましくはMPAナトリウム塩を、本発明の固定された組み合わせの活性成分として使用する。
【0029】
本願の範囲内で“固定された組み合わせ”なる用語は、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF、およびラパマイシンまたはその誘導体が単一の投与単位に製剤されている組み合わせ、ならびに、2種の活性物質が別々にサブユニットとして製剤され、次いで単一の投与単位に組み合わされている組み合わせを意味する。
【0030】
したがって、他の態様において、本発明は、2種の活性物質が別々にサブユニットに製剤され、いずれの場合も同じ投与単位に製剤されている、固定された組み合わせを提供する。
【0031】
さらに別の態様において、本発明は、2種の活性物質が、2種の活性成分の安定性または放出プロファイルの減弱なしにおよび/またはそれらのバイオアベイラビリティーの低下なしに、共通の投与単位に製剤されている、固定された組み合わせを提供する。
【0032】
さらなる局面において、本発明は、a)ミコフェノール酸、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFおよびb)ラパマイシンまたはその誘導体を含む固定された組み合わせであって、ここで、該組み合わせはMPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFの胃での放出が妨げられているか実質的に妨げられており、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFが腸管の上部で放出されるように製剤されているものを提供する。別々に製剤されたサブユニットの場合、両方のサブユニットをコーティング、例えば腸溶性コーティングでき、好ましくは少なくともMPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFを活性成分として含むサブユニットは、腸溶性コーティングされている。
【0033】
ラパマイシンまたはその誘導体、好ましくは、安定化粉末の形および/または固体分散体の形のラパマイシンまたはその誘導体を使用する。
【0034】
ラパマイシンまたはその誘導体は、例えば1%、より好ましくは0.01から0.5%(ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体の重量に基づいて)までの量の抗酸化剤との混合により安定化し得る。好ましい抗酸化剤は、例えば2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチルフェノール(以後、BHT)、ビタミンEまたはCであり、BHTが特に好ましい。特に好ましいのは、ラパマイシンまたはその誘導体および0.2%(ラパマイシンまたはその誘導体の重量に基づいて)の抗酸化剤、好ましくはBHTの混合物である。
【0035】
ラパマイシンまたはその誘導体の固体分散体は、ラパマイシンまたはその誘導体の1個および、例えばEP839028に記載の通りの、または例えば下記の通りの担体媒体を含み得る。
【0036】
好ましくは、ラパマイシンまたはその誘導体、好ましくは化合物Aを含むサブユニットは、該コアを湿気の取り込みに対して保護するコーティング物質でコーティングされている。コーティングされたコアを湿気の取り込みに対して保護する適当なコーティング物質は、例えば、部分的に加水分解されたポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)3350、およびタルクを含む、商品名Opadry(登録商標)II(HP)として既知であり、Colorconから入手可能なものを含む。好ましくは、ラパマイシンまたはその誘導体、例えば化合物Aを含むサブユニットは、15%水性コーティング溶液コーティングされ、コア重量または腸溶性コーティングされている単位の重量の10%の乾燥したフィルムをもたらす。
【0037】
本発明の固定された組み合わせは、例えば錠剤、二層または三層錠剤、乾燥コーティング錠、ブル・アイ(bull eye)錠剤、ペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットの形であり得る。
【0038】
一日あたりの活性物質の望む総投与量を達成するために、複数のペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットが必要である可能性があり、これらは例えば適当な容器、例えばカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルもしくは例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルのような無ゼラチンカプセル、またはサシェットに充填され得る。
【0039】
ラパマイシンまたはその誘導体、例えば化合物Aを含むサブユニットが、コアを湿気の取り込みに対して保護するコーティングでコーティングされていない場合、ペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットは、好ましくは、それらが実質的に水を含まない雰囲気、例えば、6%未満の水を含む雰囲気に暴露されている、容器に充填する。
【0040】
約10%未満、好ましくは約4−6%未満の水の水分含有量を有するカプセルシェルを備える適当なカプセルは、例えば、商品名Quali-V(登録商標)として既知であり、Shionogi Qualicaps, Inc.から入手可能なような、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルを含む。
【0041】
固定された組み合わせについて、投与単位は、例えばi)両方の活性物質を含む複数のペレット、顆粒、ビーズおよび/またはミニタブレット、ii)一方の活性物質を含む複数のペレット、顆粒、ビーズおよび/またはミニタブレットおよび他方の活性物質を含む複数のペレット、顆粒、ビーズおよび/またはミニタブレット、iii)2種の活性物質の一方を含む複数のペレット、顆粒、ビーズおよび/またはミニタブレットおよび他方の活性物質を含む錠剤、iv)一方の活性物質を含む錠剤および他方の活性物質を含む錠剤、またはv)両方の活性物質を含む錠剤を含み得る。
【0042】
一つの態様において、本発明は、a)腸溶性コーティングされているまたは腸溶性コーティングされていないMPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFの投与サブユニット、およびb)ラパマイシンまたはその誘導体の投与サブユニットを含み、ここで、該サブユニットが錠剤、ペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットの形である、組成物を提供する。a)MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFの、およびb)ラパマイシンまたはその誘導体のサブユニットは異なってよく、例えば最初のものはペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットの形であってよく、2番目のものは錠剤の形であってよく、またこの逆でもよい。好ましくは、a)MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFのサブユニットはミニタブレットの形であり、b)ラパマイシンまたはその誘導体のサブユニットは、錠剤またはミニタブレットの形である。
【0043】
他の態様において、本発明は、錠剤、ペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットの形の共通の投与単位に、a)好ましくは腸溶性コーティングされている形の、顆粒MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF、およびb)ラパマイシンまたはその誘導体を含む、組成物を提供する。例えば、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFの腸溶性コーティングされているまたは腸溶性コーティングされていない顆粒またはペレットを、ラパマイシンまたはその誘導体、またはラパマイシンまたはその誘導体を含む安定化粉末、またはラパマイシンもしくはその誘導体の固体分散体と混合し得る。所望により、該混合物を、例えば錠剤に圧縮し得る。
【0044】
他の態様において、本発明は、錠剤、ペレット、顆粒、ビーズまたはミニタブレットの形の共通の投与単位にa)MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF、およびb)ラパマイシンまたはその誘導体を含むコアを含む組成物を提供し、ここで、該コアは所望により腸溶性コーティングされている。好ましくは、コアは腸溶性コーティングされている。
【0045】
他の態様において、本発明は、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF、腸溶性コーティングを含むコア、および、例えばオーバーコートとして、ラパマイシンまたはその誘導体を含むさらなるコーティングを含む、組成物を提供する。例えば、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む適当なコーティングは、固体分散体、例えばその内容を引用して本明細書に包含するEP839028に記載の固体分散体である。ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含むコーティングは、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFを含まないか、実質的に含まない。所望により、腸溶性コーティングと、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含むオーバーコーティングの間に、さらに別のコーティングがある。所望により、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含むオーバーコーティングの上に、さらに別のオーバーコーティングがある。
【0046】
本発明の固定された組み合わせにおいて、MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFは、好ましくはミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形である。
【0047】
好ましくは、本発明の固定された組み合わせにおいて、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体は錠剤またはミニタブレットに製剤され、および/またはMPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFはミニタブレットの形である。さらにより好ましくは、本発明の固定された組み合わせは、両方の活性物質を各ミニタブレットに含む、ミニタブレットの形である。
【0048】
本発明の組成物、すなわち唯一の活性成分としてMPA、その塩またはそのプロドラッグを含む、または唯一の活性成分としてラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む、またはMPA、その塩またはそのプロドラッグとラパマイシンまたはラパマイシン誘導体の組み合わせを含む、組成物は、医薬組成物の製造に一般的に使用される天然および/または人工助剤を含み得る。例は、担体、増量剤、結合剤、フィルム形成剤(film-building agent)、崩壊剤、滑剤、希釈剤、アンチケーキング剤、ビタミン、アミノ酸、繊維、可溶化剤、乳化剤、香味剤、甘味剤、酵素、緩衝剤、安定化剤、着色剤、色素、抗酸化剤、抗接着剤、防腐剤、流動促進剤および滑剤を含む。このような補助物質および添加剤は当業者に既知であり、故に、限られた数しか具体的に引用しない。賦形剤を本明細書では特定の機能を言及して記載しているが、特定の賦形剤のいずれかが別のまたは複数の機能を有し得る、例えばデンプンが例えば担体および/または崩壊剤として作用し得ることは認識されよう。
【0049】
ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む固体分散体のための適当な担体媒体は、水溶性ポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなセルロース誘導体、例えば低い、例えば20℃で2重量%水溶液で測定して100cpsより低い、例えば50cpsより低い、好ましくは20cpsより低い見かけの粘度を有するHMPC、例えばHPMC 3cps、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、またはポリビニルピロリドン(PVP)、例えば約8,000から約50,000ダルトンの平均分子量を有するPVP;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはその誘導体、例えば水性媒体、例えば水中で低い、例えば25℃で2%水溶液で測定して、約400cpsより低い、例えば150cpsより低い動的粘度を有するHPC;ポリエチレングリコール(PEG)、例えば1000から9000ダルトン、例えば約1800から7000ダルトンの平均分子量を有するPEG、例えばPEG 2000、PEG 4000またはPEG 6000;飽和ポリグリコライズド(polyglycolised)グリセリド、例えばGelucir(登録商標);またはシクロデキストリン、例えばβ−シクロデキストリンまたはα−シクロデキストリンを含み得る。水溶性ポリマー、ポリエチレングリコール、飽和ポリグリコライズドグリセリド、またはシクロデキストリンは、固体分散体の総重量をベースにして99.99重量%までの量、例えば10から95wt%で存在する。
【0050】
ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む固体分散体のための担体媒体は、さらに水溶性または水不溶性サッカロースおよび/またはラクトースもしくは微結晶性セルロースのような他の許容される担体または増量剤を含み得る。
【0051】
ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む固体分散体のための担体媒体は、さらに1種またはそれ以上の界面活性剤、例えば非イオン性、イオン性、アニオン性または両性界面活性剤を含み得る。適当な界面活性剤の例は、例えば、商品名PluronicまたはPoloxameとして既知の、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー、例えばPoloxamer 188;エトキシル化コレステリン、例えばSolulan(登録商標)、例えばSolulan C24;ビタミン誘導体、例えばトコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)のようなビタミンE誘導体;ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム;胆汁酸またはその塩、例えばコール酸、グリコール酸または塩、例えばコール酸ナトリウム;またはレシチンを含む。好ましくは、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む固体分散体は界面活性剤を含まない。
【0052】
さらに、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む固体分散体のための担体媒体は、さらに1種またはそれ以上の崩壊剤を含み得る。崩壊剤の例は、PolyplasdoneTM;ナトリウムデンプングリコレート;およびクロスカルメロースを含む。
【0053】
固体分散体のための担体媒体は、さらにアスコルビルパルミテート、ブチルヒドロキシルアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)およびトコフェロールのような、1種またはそれ以上の抗酸化剤を含んでよく、固体分散体の総重量の約0.05から約1重量%、好ましくは0.2から0.4重量%の量および本発明のコーティングされていない組成物の総重量の約0.003から約0.05重量%の量で存在し得る。
【0054】
したがって一つの態様において、本発明は、ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体が固体分散体の形であり、そしてラパマイシンまたはラパマイシン誘導体および1種またはそれ以上の賦形剤を含む固体分散体のための担体媒体が
a)水溶性ポリマー、例えばHPMCおよび/またはポリビニルピロリドン、またはシクロデキストリン、
b)サッカロース、微結晶性セルロースまたはラクトース、
c)界面活性剤、例えばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーまたはブロックコポリマー、
d)崩壊剤、および
e)抗酸化剤、例えばBHT
から選択される1種またはそれ以上の賦形剤を含む、組成物を提供する。
【0055】
a)MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF(上記のような粒子形態の形も含む)、および/またはb)ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、例えば安定化ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、または例えば固体分散体の形のラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む本発明の組成物のための適当な増量剤は、例えば水溶性または水不溶性サッカライド、例えばラクトースまたはマンニトール;グルコース無水物;例えば既知であり、FMC Corporationから商品名Avicel(登録商標)として市販されているような微結晶性セルロース;例えば既知であり、商品名Aerosil(登録商標)として市販されているようなコロイド状二酸化シリコンを含む。
【0056】
本発明の組成物のための適当な結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、既知であり、BASF companyから商品名Povidone(登録商標)で市販されているような例えばPVPK30またはPVPK12;またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、既知であり、信越社から商品名Pharmacoat(登録商標)603で市販されているような、例えば低い、例えば20℃で2重量%水溶液で測定して100cpsより低い、例えば50cpsより低い、好ましくは20cpsより低い見かけの粘度を有するHMPC、例えばHPMC 3cps;またはナトリウムカルボキシメチルセルロースである。
【0057】
賦形剤の混合物が存在し得る。すべての賦形剤は、存在するとき、一般に、コーティングされていない組成物の総重量をベースにして、約85%まで、例えば約0.05から約85重量%の量で存在する。
【0058】
MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMFは、本発明の組み合わせの製造前に、例えば前段落に記載のような適当な増量剤および結合剤の存在下造粒できる。
【0059】
a)MPA、その塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはそのプロドラッグ、例えばMMF(粒子形態のものも含む)、および/またはb)ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、例えば安定化ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、または例えば固体分散体の形のラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む、本発明の組成物のための適当な崩壊剤は固体投与形、例えば錠剤またはミニタブレットの分散を、水性環境に置いたときに促進する賦形剤を含む。適当な崩壊剤の例は、天然デンプン、例えばi)メイズデンプン、ジャガイモデンプンなど、ii)直接圧縮可能なデンプン、例えばSta-rx(登録商標)1500、修飾デンプン、例えばPrimojel(登録商標)、Explotab(登録商標)、Explosol(登録商標)として入手可能な、カルボキシメチルデンプンおよびナトリウムデンプングリコレートのようなデンプン誘導体、およびiii)ephrit;架橋ポリビニルピロリドン、例えばクロスポビドン、例えばPolyplasdone(登録商標)XLおよびKollidon(登録商標)CL;アルギン酸またはアルギン酸ナトリウム;メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー塩、例えばAmberlite(登録商標)IRP-88;および例えばAc-di-sol(登録商標)、Primellose(登録商標)、Pharmacel(登録商標)XL、Explocel(登録商標)、およびNymcel(登録商標)ZSXとして入手可能な架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはこれらの混合物を含む。崩壊剤または複数の崩壊剤は、本発明のコーティングされていない組成物の総重量の1から20%、例えば5から15重量%の量で存在し得る。
【0060】
適当な滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、水素化ヒマシ油、グリセリンモノステアレートまたはナトリウムフマリールステアレートは、本発明のコーティングされていない組成物の総重量の約0.1%から約3重量%の量で存在し得る。
【0061】
MPA、MPAの塩またはプロドラッグを含む組成物のための好ましい腸溶性コーティングは、例えばセルロースアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリタート;少なくとも40%メチルアクリル酸を含む、メタクリル酸コポリマー、例えばメチルアクリル酸およびそのエステル由来のコポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートから選択されるフィルム形成剤を含む。
【0062】
典型的なセルロースアセテートフタレートは、17−26%のアセチル含量および30−40%のフタレート含量を有し、約45−90cPの粘度である。適当なセルロースアセテートフタレートは、市販品CAP(Eastman Kodak, Rochester N.Y., USA)である。
【0063】
典型的なセルロースアセテートトリメリタートは、17−26%のアセチル含量、25−35%のトリメリチル含量と、約15−20cSの粘度を有する。適当なセルロースアセテートトリメリタートの例は、市販品CAT(Eastman Kodak Company, USA)である。
【0064】
メタクリル酸(Methacryclic acid)コポリマーは、好ましくは少なくとも40%メチルアクリル酸を含むメチルアクリル酸およびそのエステル由来のコポリマー、より好ましくは、例えば約1:1のメチルアクリレートおよびメチルまたはエチルメチルアクリレートの比に基づいて、100,000ダルトンを超える分子量のものである。典型的な製品は、Rohm GmbH, Darmstadt, Germanyから市販されているEudragit L、例えばL 100-55を含む。
【0065】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、典型的に20,000から100,000ダルトン、例えば80,000から130,000ダルトンの分子量、例えば5から10%のヒドロキシプロピル含量、18から24%のメトキシ含量および21から35%のフタリル含量を有する。適当なヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートの例は、6−10%のヒドロキシプロピル含量、20−24%のメトキシ含量、21−27%のフタリル含量、約84,000ダルトンの分子量有する、商品名HP50で既知であり、信越化学工業株式会社、東京、日本から入手可能な市販品、および各々5−9%、18−22%および27−35%のヒドロキシプロピル含量、メトキシ含量およびフタリル含量、および78,000ダルトンの分子量を有し、商品名HP55で既知であり、同じ業者から入手可能な市販品である。
【0066】
適当なヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートの例は、商品名Aqoat LFまたはAqoat MFの下に既知であり、例えば信越化学工業株式会社、東京、日本から入手可能なものとして使用し得る。
【0067】
腸溶性コーティングは、可塑剤、例えばトリアセチン、トリエチルシトレート、ジエチルセバセート、ジブチルセバセート、ポリエチレングリコール3000、4000または6000、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、またはジエチルフタレート、および/または抗接着剤(antisticking agent)、例えばコロイド状二酸化シリコン、Syloid 244 FPのような合成無定形ケイ酸、タルク、グリセリンモノステアレート、またはセバシン酸ジエステル、例えばセバシン酸ジブチルエステルのようなさらなる成分をさらに含み得る。本コーティングは、さらに、とりわけ水性分散中に、懸濁成分の沈降を避けるための1種またはそれ以上の増粘剤、例えばHPMC 3cpsまたはHPMC 6cpsを含み得る。
【0068】
MPA、その塩またはプロドラッグを含む組成物について本明細書に記載した通りの賦形剤およびコーティングは、MPA、その塩またはプロドラッグを唯一の活性成分として含む組成物のためにだけでなく、また固定された組み合わせのために適している。
【0069】
これらおよび他の賦形剤ならびに本明細書に記載の方法について、多くの文献が参照され、特に本明細書に引用して包含する“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, Second Edition, edited by Ainley Wade and Paul J. Weller, American Pharmaceutical Association, Washington, USA and Pharmaceutical Press, London;および“Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik and angrenzende Gebiete” edited by H.P. Fiedler, 4th Edition, Editio Cantor, Aulendorfおよび以前の版を参照のこと。
【0070】
好ましくは、本発明の腸溶性コーティングされているミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、さらにサブコーティングを含み得る。サブコーティングは、腸溶性コーティングとコアの間に位置する層であり、それは、胃抵抗性を改善(例えば胃における酸取り込みを減少)するために、および/またはコアの化学的安定性を改善するために、コアを腸溶性コーティングから隔離するためににおよび/またはコーティング中の水/溶媒取り込みを減少するために作用する。
【0071】
該サブコーティングのための適当な物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えばHPMC 3cps、例えば30%水性分散としての、エチルセルロース、例えばAquacoat(登録商標)ECD、および/またはそれらの混合物、例えばHPMC 3cps:エチルセルロースの混合比が1:1から3:1の混合物、部分的に加水分解されたポリビニルアルコールを含む。本サブコーティングは、さらに腸溶性コーティングについて上記の1種またはそれ以上のさらなる成分、例えば可塑剤または抗接着剤(antisticking agent)を含み得る。一つの態様において、本サブコーティングは、例えばColorconから商品名Opadry II HP(登録商標)として市販されている通りの、部分的に加水分解されたポリビニルアルコール、PEG3350(可塑剤として)およびタルク(抗接着剤として)を含み得る。
【0072】
一つの態様において、本発明は、ミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形の、MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウム塩を含む組成物を提供する。MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、好ましくは腸溶性コーティングされている。好ましいミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は:
a)MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウム;および
b)下記から選択される1種またはそれ以上の賦形剤:
(i)結合剤;
(ii)増量剤;
(iii)崩壊剤;および
(iv)滑剤
を含む。
【0073】
より好ましくはMMFまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、医薬物質に加えて、結合剤、増量剤、崩壊剤および滑剤を含む。
【0074】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムは、好ましくはミニタブレット、ペレット、ビーズ、微粒子または顆粒中、錠剤コアの総重量をベースにして、すなわち、存在するならばすべてのコーティングを除外して、1から95重量%、より好ましくは20から80%、最も好ましくは40から70%の量で存在する。
【0075】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレットは、好ましくは3から14mgの総重量(すなわち錠剤コアの重量+存在するならばすべてのコーティングの重量)である。腸溶性コーティングは、存在するとき、好ましくは総重量の15から50%、より好ましくは15から35%、例えば25から35%または15から30%を構成する。
【0076】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、例えば、上記で定義した通りの1種またはそれ以上の結合剤を含み得る。好ましい態様において、結合剤は(i)ポリビニルピロリドン、より好ましくはPVP K30、および/または(ii)HPMC、より好ましくは低い、例えば20℃で2重量%水溶液で測定して100cpsより低い、例えば50cpsより低い、好ましくは20cpsより低い見かけの粘度を有するHPMC、最も好ましくはHPMC 3cpsを含む。好ましくはMMFを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、結合剤を、薬物コアの総重量をベースにして、すなわち、存在するならばすべてのコーティングを除外して、1から30重量%、より好ましくは1から20重量%、最も好ましくは5から15重量%含む。
【0077】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、例えば、上記で定義の通りの1種またはそれ以上の増量剤を含み得る。好ましくは増量剤は、セルロース、より好ましくは微結晶性セルロースを含む。MMFまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレットまたは顆粒は、好ましくは増量剤を、薬物コアの総重量をベースにして、10から90重量%、より好ましくは10から50重量%、最も好ましくは15から35重量%含む。
【0078】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、例えば、上記で定義の通りの1種またはそれ以上の崩壊剤を含み得る。好ましい態様において、崩壊剤は、修飾デンプンまたは修飾セルロースポリマーを含む。クロスカルメロースナトリウムが、崩壊剤として好ましい。MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウム塩を含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、好ましくは、崩壊剤を、薬物コアの総重量をベースにして、1から20重量%、より好ましくは5から15%含む。
【0079】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、例えば、上記で定義の通りの1種またはそれ以上の滑剤、より好ましくはステアリン酸マグネシウムを、コーティングされていない組成物の総重量をベースにして、例えば0.1から3重量%の量で含み得る。
【0080】
好ましくはMMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、例えば上記の腸溶性コーティングの一つを使用して、腸溶性コーティングされている。MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒のためのより好ましい腸溶性コーティングは:
a)1種またはそれ以上のフィルム形成剤;例えば層積によりまたは混合物として添加される;
および所望によりb)可塑剤;
および所望によりc)抗接着剤
を含む。
【0081】
最も好ましくはMMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレットのための腸溶性コーティングは、フィルム形成剤、可塑剤および抗接着剤を含む。
【0082】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の腸溶性コーティング中のフィルム形成剤は、上記のもののいずれか1個、例えばセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリタート、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを含み得る。MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒のための好ましいフィルム形成剤は、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを含む。
【0083】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒は、好ましくは、腸溶性コーティングの総重量をベースにして50から95重量%、より好ましくは60から80重量%の量でフィルム形成剤を含む腸溶性コーティングを含む。
【0084】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の腸溶性コーティング中の可塑剤は、上記のもののいずれか1個、より好ましくはトリアセチン、トリエチルシトレートまたはセバシン酸ジエステル、例えばジエチルセバセートまたはジブチルセバセートを含み得る。好ましくは可塑剤は、腸溶性コーティングの総重量をベースにして、1から50重量%、より好ましくは5から25%の量で存在する。
【0085】
MMF、MPAまたはミコフェノール酸ナトリウムを含むペレット、ビーズまたは顆粒の腸溶性コーティング中の抗接着剤は、上記のもののいずれか1個、例えばコロイド状二酸化ケイ素、Syloid 244 FPのような合成無定形ケイ酸、タルクまたはグリセリンモノステアレートを含み得る。好ましくは抗接着剤は、腸溶性コーティングの総重量をベースにして、1から50重量%、より好ましくは5から25%の量で存在する。
【0086】
本発明の組成物の製造におよび/またはコーティングに使用し得る方法は、慣用法であるか、または当分野で既知であるか、または、例えばL. Lachman et al. The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986、H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991、Hager's Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971)およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970)または最新版に記載のもののような方法に基づき得る。ミニタブレットは、例えば標準回転打錠機上で製造し得る。
【0087】
a)ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体およびb)共通の投与単位として製剤された、MPA、MPA塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはMPAプロドラッグ、例えばMMFを含む組成物の圧縮性は、いずれかの薬物単独の圧縮性と比較して増加し得る。
【0088】
好ましくは、本発明の組成物は、光、湿度および酸素から、例えばアルミニウムホイルのバッグまたはアルミニウムブリスター中に包装することにより、保護される。
【0089】
本発明の組成物は、例えば4週間、−20°または50℃で、ならびに6および12ヶ月、25℃での組成物の貯蔵において安定である。
【0090】
本発明の組成物は、標準試験により指示される通り、免疫抑制剤として有用である。
【0091】
本発明の組成物の活性および特徴は、標準臨床試験において指示され得る。
【0092】
本発明の組成物は、MPA、MPA塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム、またはMPAプロドラッグ、例えばMMFの減少された患者間および患者内の可変性に至り、例えば食物の影響を減少する。本発明の組成物は、MPAのGI副作用に関して有利な効果を有し得る。
【0093】
本発明の組成物および組み合わせは、下記の状態に特に有用である:
a)例えば心臓、肺、複合心臓−肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚、膵臓島細胞、神経細胞または角膜移植の、例えばレシピエントの処置のための、天然のまたはトランスジェニックの臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片移植片拒絶反応の処置または予防;急性拒絶反応の処置および予防;および、例えば移植後血管疾患(graft-vessel disease)に関連するような慢性拒絶反応を含む。本発明の組成物はまた骨髄移植後のような移植片対宿主病の処置および予防にも適応される。
【0094】
b)自己免疫疾患、例えば免疫介在疾患および炎症状態、特に、関節炎(例えばリウマチ性関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節症)およびリウマチ性疾患のような、免疫性要素を含む病因を有する炎症状態の処置および予防。本発明の組成物を用い得る具体的免疫介在疾患は、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆(pure red cell anaemia)および特発性血小板減少症を含むが、これらに限定されない自己免疫性血液学的障害、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、強皮症(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫、皮膚筋炎、多発性筋炎、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、天疱瘡、特発性スプルー、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む)、内分泌性眼症、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、若年性糖尿病(I型糖尿病)、非感染性ブドウ膜炎(前部および後部)、乾燥性角結膜炎および季節性角結膜炎、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、脈管炎、糸球体腎炎(glomerulonephritides)(ネフローゼ(ephritic)症候群、例えば、特発性ネフローゼ症候群および微小変化ネフローゼありまたはなし)および若年性皮膚筋炎の処置および予防。
【0095】
特に、本発明のこの組み合わせは、急性または慢性拒絶反応の処置および予防に、好ましくは患者の維持において有用である。
【0096】
ラパマイシンまたはその誘導体の投与量は、もちろん、様々な因子、例えば選択した化合物、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化するであろう。一般に、しかしながら十分な結果が、約0.1から25mg ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体/日、例えば約0.1から15mg、約0.5から3mg、例えば0.75mg、1mg、1.5mg、2mg、または3mg/日の程度の1日投与量のラパマイシンまたはその誘導体で達成され、1回投与または分割投与で、好ましくは約1mg、1.5mgまたは2mg、1日2回で投与する。
【0097】
MPA、MPA塩、例えばミコフェノール酸ナトリウム塩、またはMPAプロドラッグ、例えばMMFの投与量は、様々な因子、例えば選択する化合物、処置すべき特定の状態および所望の効果に依存して変化し得る。一般に、十分な結果が、例えば経口で、例えば約50mgから約2.5g MPA/日の程度、例えば約250mgから約2.2g MPA、例えば約360mg、約720mg、約740mg、約1.1g、約1.5g、約2.2gを投与したときに十分な結果が得られ、1回投与または分割投与で、好ましくは約360mgから720mg MPA、1日2回投与する。MPA塩またはプロドラッグの投与量は、上記のMPAの量と対応するように計算すべきである。
【0098】
したがって、本発明は、a)約0.1から25mg、例えば約1から3mgの量のラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、およびb)約50mgから2.5g MPA、例えばto 約360mgから1.5g MPAに対応する量のミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグ、例えばMMFを含む、1日2回投与すべき固定された組み合わせ、好ましくはa)約1mg、1.5mgまたは2mgの量のラパマイシンまたはラパマイシン誘導体、およびb)約360から720mg MPAに対応する量のミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグ、例えばMMFを含む、1日2回投与すべき組み合わせを提供する。
【0099】
下記実施例は、本発明の様々な態様を説明する。
【0100】
実施例1:腸溶性コーティングされているミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットの組成物
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、表1に示す量での、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびPovidone (PVP)K30と、造粒用エタノール94%の造粒により製造する。粉砕し、乾燥させ、そして篩った後、顆粒を表1に示す他の成分と乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮する。得られたミニタブレットを最後に表1に記載のコーティング成分の水性分散(コーティング1)またはコーティング成分の有機溶液(コーティング2)でコーティングする。
【0101】
【表1】

【0102】
あるいは、ミニタブレットをEudragit L 30 Dの水性分散の代わりにEudragit L100-55の有機溶液でコーティングし得る。
【0103】
サイズ0の硬ゼラチンカプセルまたはサイズ0のHPMCカプセルに、適当な封入機で、組成AまたはCのミコフェノール酸ナトリウムの40個のミニタブレットを充填する。
【0104】
実施例2:腸溶性コーティングされているミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよび化合物Aミニタブレットの固定された組み合わせ
化合物Aまたはラパマイシンのミニタブレットを、化合物Aの固体分散体と表3に記載の他の成分(組成aまたはb)を乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮することにより製造する。
【0105】
化合物Aまたはラパマイシンのミニタブレットを、所望により乾式コーティング条件下、水性コーティングで、ホットでゆっくりのポンプ輸送速度で表4に記載の保護コートでコーティングする。コーティングされたミニタブレットの乾燥による損失は2%未満である。
【0106】
2%固体分散体を化合物Aをエタノール/アセトン混合物に溶解し、表2に記載の担体媒体を分散することにより製造する。溶媒を次いで蒸発させ、得られた乾燥残渣を粉砕する。
【0107】
【表2】

【表3】

【表4】

【0108】
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、表1(組成BまたはD)に示すような、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびPVP K30と、造粒用エタノール94%の造粒により製造する。粉砕し、乾燥させ、そして篩った後、顆粒を表1(組成BまたはD)に記載の他の成分と乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮する。得られたミニタブレットを、最後に表1に記載のコーティング成分の水性分散(コーティング1)またはコーティング成分の有機溶液(コーティング2)でコーティングする。
【0109】
サブユニットをHPMCカプセルまたは硬ゼラチンカプセル、好ましくは低水分含量のHPMCカプセルに充填し得る。
【0110】
例えば、サイズ0のHPMCカプセルに27個のミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよび13個の化合物Aのコーティングされていないミニタブレットを適当な封入機で充填する。
【0111】
実施例3:腸溶性コーティングされているミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよび化合物A錠剤の固定された組み合わせ
化合物Aの錠剤を、化合物Aの固体分散体と表5に示す他の成分を乾燥段階で混合し、錠剤に圧縮することにより製造する。
【0112】
9.09%固体分散体を、エタノール/アセトン混合物に化合物Aを溶解し、表2に示す担体媒体を分散させることにより製造する。溶媒を次いで蒸発させ、得られた乾燥残渣を粉砕する。
【0113】
【表5】

【0114】
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、表1の製剤AおよびCについて示す通り、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびPVP K30と造粒用エタノール94%の造粒により製造する。粉砕し、乾燥させ、そして篩った後、顆粒を表1(組成AまたはC)に記載の他の成分と乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮する。得られたミニタブレットを、最後に表1に記載のコーティング成分の水性分散(コーティング1)またはコーティング成分の有機溶液(コーティング2)でコーティングする。
【0115】
サイズ0のHPMCカプセルに40個のミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよび1個の化合物Aの錠剤を適当な封入機で封入する。
【0116】
実施例4:腸溶性コーティングされているミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよびコーティングされた化合物A錠剤の固定された組み合わせ
化合物Aの錠剤を実施例3に記載の通り製造する。表5の組成bまたはdに従う化合物Aの錠剤を、次いで表6に示す通り核重量の10%(フィルム乾燥)でコーティングする。化合物Aの錠剤を、所望により乾式コーティング条件下、水性コーティングで、ホットでゆっくりのポンプ輸送速度で表6に記載の保護コートでコーティングする。コーティングされたミニタブレットの乾燥による損失は2%未満である。
【0117】
【表6】

【0118】
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、実施例3に記載の通り製造し、コーティングする。
長尺サイズ0または00の硬ゼラチンカプセルまたは長尺サイズ0または00のHPMCカプセルに、40個のミコフェノール酸ナトリウムミニタブレットおよび1個の化合物Aの錠剤を適当な封入機で充填する。
【0119】
実施例5:腸溶性コーティングされているミコフェノール酸ナトリウムおよび化合物Aを含むミニタブレットの固定された組み合わせ
ミコフェノール酸ナトリウムおよび化合物Aのミニタブレットを、ミコフェノール酸ナトリウム顆粒、化合物Aの固体分散体および表7に示す他の成分を、乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮することにより製造する。ミコフェノール酸ナトリウム顆粒を、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびPVP K30とエタノール94%を造粒し、顆粒を粉砕し、乾燥させ篩い、その後他の成分と混合することにより製造する。最後に、ミニタブレットを表7、コーティング1に示す通りのEudragit L100-55の有機溶液で、または表7、コーティング2またはコーティング3に示す通りのコーティング成分の有機溶液でコーティングする。
【0120】
【表7】

【表8】

【0121】
サイズ0のHPMCカプセルに、次いで40個のミニタブレットを適当な封入機で充填する。
【0122】
実施例6:ミコフェノール酸ナトリウムおよび化合物Aを含む腸溶性コーティングされているミニタブレットの固定された組み合わせと、続く付加的オーバーコーティング
ミコフェノール酸ナトリウムおよび化合物Aのミニタブレットを、実施例5に記載の通り製造する。最後に10%(核重量)Opadry IIから成るオーバーコートを添加する(表8参照)。ミコフェノール酸ナトリウムおよび化合物Aのミニタブレットを、所望により乾式コーティング条件下、水性コーティングで、ホットでゆっくりのポンプ輸送速度で表6に記載の保護コートでコーティングする。コーティングされたミニタブレットの乾燥による損失は2%未満である。
【0123】
【表9】

サイズ00の硬ゼラチンカプセルまたはサイズ00のHPMCカプセルに、次いで40個のミニタブレットを適当な封入機で充填する。
【0124】
実施例7:化合物Aでコーティングされたミコフェノール酸ナトリウムを含む腸溶性コーティングされているミニタブレットを含む、固定された組み合わせ
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを、ミコフェノール酸ナトリウム、Aerosil 200およびPVP K30と造粒用エタノール94%の造粒により製造する。粉砕し、乾燥させ、そして篩った後、顆粒を表1(組成AまたはC)に記載の他の成分と乾燥段階で混合し、ミニタブレットに圧縮する。得られたミニタブレットを、表1に記載のコーティング成分の水性分散(コーティング1)またはコーティング成分の有機溶液(コーティング2)でコーティングする。
【0125】
得られたコーティングされたミニタブレットを、表9に示すコーティング成分の膨張した分散でオーバーコーティングする。
【0126】
【表10】

コーティングされたミニタブレットは、10.987mgまたは11.475mgの総重量を有する。
【0127】
サイズ0のHPMCカプセルに、次いで40個のミニタブレットを適当な封入機で充填する。
【0128】
実施例8:化合物Aでコーティングされたミコフェノール酸ナトリウムを含む腸溶性コーティングされているミニタブレットを含む、固定された組み合わせ
ミコフェノール酸ナトリウムのミニタブレットを実施例7に記載の通りに製造し、コーティングする。コーティングされたミニタブレットは、11.476mgまたは11.623mgの総重量を有する。
【0129】
40個の層積ミニタブレットをHPMCカプセル(サイズ00)に詰めるか、Opadry II(表10に示す通り)でさらにコーティングし、その後硬ゼラチンカプセル(サイズ00)に適当な封入機で充填する。
【0130】
【表11】

【0131】
実施例9:
さらなる例において、ミコフェノール酸ナトリウムまたはミコフェノール酸モフェチルを含むミニタブレットを実施例1に記載の通りに製造し、ここで、該コアは下記の成分から成る:
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
【表14】

【0134】
表11、12または13に定義の通りのコアA−Lを含むミニタブレットを、下記のコーティングの1種を使用してコーティングする(量はmgで示す):
【表15】

【0135】
【表16】

【0136】
【表17】

【0137】
【表18】

【0138】
【表19】

【0139】
【表20】

【0140】
【表21】

【0141】
【表22】

【0142】
コーティングされたミニタブレットを、実施例1に定義の通りに硬ゼラチンカプセルに充填し得て、例えば表11の組成を有する60個のミニタブレットを、サイズ00の硬ゼラチンカプセルに、または表12もしくは13の組成を有する40個のミニタブレットをサイズ0の硬ゼラチンカプセルに充填し得る。120個のコーティングされたミニタブレットをまたサシェットに入れ、720mg MPAの投与量を提供し得る。
【0143】
実施例10:
1. 薬物微粒子の製造
最初にセルロースアセテートフタレートおよびポリエチレンをシクロヘキサンに加熱および撹拌しながら溶解することによりポリマー溶液を製造する。続いて、薬物および安定化剤を添加し、分散を撹拌しながら冷ます。得られたコーティングされた微粒子を洗浄し、乾燥させ、次いで下記腸溶性コーティング製剤1または2の一方でコーティングする。
【0144】
【表23】

加工中に除去
【0145】
腸溶性コーティングされた薬物微粒子を、充填剤および滑剤の添加によりカプセルまたはサシェットに製剤でき、または、さらに錠剤またはミニタブレットに圧縮し得る。
【0146】
2. 顆粒の製造
薬物、Aerosil 200、Povidone(PVP)K30およびラクトースをプラネタリーミキサーまたは高剪断ミキサー中で混合することにより乾燥ブレンドを作成する。エタノールを添加して顆粒を形成し、徹底的に乾燥させて適切なサイズ選択について篩う。得られた顆粒を、最後に腸溶性コーティング成分の水溶液(下記コーティング1)または腸溶性コーティング成分の有機溶液(下記コーティング2)でコーティングする。
【0147】
【表24】

【0148】
3. ペレットの製造
薬物、微結晶性セルロース(Avicel PH101)およびラクトースをプラネタリーミキサーで混合することにより乾燥ブレンドを作成する。精製水を添加して湿った塊を得て、それを次いで適当なサイズの篩いを使用して押出成形する。押し出された物(extrudate)をスフェロナイザー(spheroniser)で円形にし、徹底的に乾燥させ、適当なサイズ選択のために篩う。得られたペレットを、最後に腸溶性コーティング成分の水溶液(下記コーティング1)または腸溶性コーティング成分の有機溶液(下記コーティング2)でコーティングする。
【0149】
【表25】

加工中に除去。
【0150】
4. ビーズの製造
薬物溶液を、薬物、および製剤/表A&Bに記載の通りの製剤成分を、選択した媒体に混合しながら溶解することにより製造する。
【0151】
製剤A
ノンパレイユシードをWurster流動床コーターに分配し、流動化する。予め製造した薬物溶液を、次いでシード上に薬物溶液が無くなるまで噴霧する。ビーズを同じ条件で5分乾燥させる。製剤Aのビーズを、次いで最後に腸溶性コーティング成分の水溶液(下記コーティング1)または腸溶性コーティング成分の有機溶液(下記コーティング2)でコーティングし、15分乾燥させる。所望により表17に示す通りのサブコーティングを適用し得る。ビーズを、次いでカプセルまたはサシェットに分配できる。
【0152】
製剤B
ノンパレイユシードをWurster流動床コーターに分配し、流動化する。予め製造した薬物溶液を、次いでシード上に薬物溶液が無くなるまで噴霧する。ビーズに次いでヒドロキシプロピルメチルセルロース(Opadry)の水溶液を噴霧し、最後に10分乾燥させる。所望により表17に示す通りのサブコーティングを適用し得る。ビーズを、次いでカプセルまたはサシェットに分配できる。
【0153】
1000g ノンパレイユシードに適用すべき製剤:組成(量は%で示す)
【表26】

加工中に除去。
【0154】
【表27】

加工中に除去。
【0155】
製剤AおよびBのビーズを、組み合わせとして、それらを同じカプセルまたはサシェットに入れることにより使用できる。
【0156】
あるいは、ビーズを、製剤AおよびBを同じノンパレイユシードに下記方法に従い組み合わせることによりまた製造できる。製剤Aを最初に、続いて腸溶性コーティング、そして最後に製剤Bをビーズに噴霧する。所望によりサブコーティングをまた上記の通り鉄橋できる。
【0157】
コーティング製剤
【表28】

【0158】
【表29】

【0159】
実施例1のミニタブレットをまた上記コーティング成分1の水溶液または上記腸溶性コーティング成分2の有機溶液でコーティングし得る。
【0160】
上記例において、化合物Aをラパマイシンまたは他のラパマイシン誘導体に代えてよく、および/またはミコフェノール酸ナトリウムをミコフェノール酸モフェチルに代えてよい。
【0161】
実施例11:
腸溶性コーティングされたペレットを他の成分と混合し、回転錠剤圧縮機で錠剤に圧縮する(1個の834mg 長楕円形錠剤は180mg ミコフェノール酸に対応する)
【0162】
【表30】

【0163】
本発明の組成物のバイオアベイラビリティー特性を、隠微とで慣用法で、例えばイヌで測定し得る。それらはまた標準臨床バイオアベイラビリティー試験で確認する。例えば、実施例の組成物を12名の健常ボランティアに1回量クロスオーバー試験で投与し得る。AUCおよびCmaxを測定する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多粒子形態のミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグを含む、組成物。
【請求項2】
多粒子を得るために口、胃または小腸で崩壊または溶解するのに適したミコフェノール酸、その塩またはプロドラッグを含む、組成物。
【請求項3】
多粒子形態または多粒子が微粒子、ミニタブレット、ペレット、顆粒またはビーズである、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
ミニタブレットの形であり、ここで、ミニタブレットの総重量が3から10mgである、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
1000μm未満の平均サイズを有する微粒子の形である、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
0.2から2mmの直径を有する顆粒、ペレットまたはビーズの形である、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
多粒子が腸溶性コーティングされているものである、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
結合剤、増量剤、崩壊剤および滑剤から選択される1種またはそれ以上の賦形剤を含む、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
腸溶性コーティングが多粒子の総重量の15から50%を構成する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
さらにサブコーティングを含む、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
サブコーティングがヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはエチルセルロースを含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
ミコフェノール酸モフェチルまたはミコフェノール酸ナトリウムを含む、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
a)ミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグおよびb)ラパマイシンまたはラパマイシン誘導体を含む、固定された組み合わせ。
【請求項14】
活性物質a)およびb)が
−別々にサブユニットに製剤され、それが次いで一つの投与単位として合わせられている;または
−共通の投与単位に製剤されている、
請求項13記載の組成物。
【請求項15】
ミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグを含むサブユニットまたは投与ユニットが請求項1から12のいずれかに記載の形である、請求項13または14記載の組成物。
【請求項16】
ミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグがミニタブレットに製剤されているか、またはラパマイシンまたはラパマイシン誘導体が錠剤またはミニタブレットに製剤されている、請求項15記載の組み合わせ。
【請求項17】
天然のまたはトランスジェニックの臓器、組織または細胞同種移植片または異種移植片の移植片拒絶反応の処置または予防に、または自己免疫疾患の処置または予防に使用するための、請求項1から16のいずれかに記載の組成物または組み合わせ。
【請求項18】
活性成分としてミコフェノール酸、その塩またはそのプロドラッグを含む治療的有効量の組成物を投与することを含み、ここで、組成物が粒子形態である、対象における、患者間および患者内可変性を減少させる方法。


【公表番号】特表2007−507458(P2007−507458A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530072(P2006−530072)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010998
【国際公開番号】WO2005/034916
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】