説明

ミシンのカム従動機構

【課題】より好適にカムとカム従動部材とのクリアランス調節が可能なミシンのカム従動機構を提供する。
【解決手段】ミシンのカム従動機構1は、プレート14の摺接面14aとの協働により偏心カム3を両側から挟んで摺接する摺接面13aを有する摺接部材13と、摺接面13aと摺接面14aとがほぼ平行を保ちつつ接離するように、摺接部材13が摺接部材支持部11の平面部11aに接した状態を維持しながら移動可能に案内する平面部11a、斜面13b、雄ねじ15及び雌ねじ部11cと、摺接部材13を摺接部材支持部11に固定する固定ねじ17,17と、を備え、雄ねじ15は、その回転操作により摺接部材13の移動動作を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸に設けられたカム部に両側から摺動自在に係合するカム従動部材が設けられたミシンのカム従動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンモータ等の回転運動を往復運動に変換して伝達する機構として、回転軸に設けられたカムと、互いに対向するよう設けられた二平面がカムの円筒状の外周面に対して両側から挟みこむように摺動することにより回転運動以外の運動(例えば揺動や直線運動)を行う二又ロッド等のカム従動部材と、を用いたミシンのカム従動機構が従来より知られている。
【0003】
図8は従来技術によるミシンのカム従動機構の一実施例を示す説明図である。
ミシンのカム従動機構100は、ミシンモータ等の駆動源によって回転する上軸102と、回転軸102に設けられた偏心カム103と、偏心カム103の円筒状の外周部を両側から挟みこむように設けられたコの字状の従動部111が設けられた二又ロッド110と、を備えている。
二又ロッド110はその一端部にコの字状の従動部111を形成する突起部111a,111bが設けられている。また、突起部111a,111bの内側に偏心カム103が位置するよう設けられている。さらに、突起部111a,111bの偏心カム103側の側面部には摺接部材113,114が固定されて設けられており、摺接部材113,114の摺接面と偏心カム103とが摺接する。これによって偏心カム103が上軸102の回転に伴って回転すると、上軸102の回転中心に対する偏心カム103の円筒状の外周部の位置変遷に応じて従動部111が移動する。
また、二又ロッド110は軸部104によって回転自在に支持されている。軸部104はリンク部材(図示略)と連結しており、偏心カム103の回転によって従動部111が移動すると、リンク部材を支点として二又ロッド110は揺動し、二又ロッド110の他端部112が上下動する。他端部112はリンク部材106を介して下軸105に連結されており、下軸105他端部112の上下動によって回動する。
【0004】
ところで、偏心カム103の円筒状の外周面と摺接部材113,114の摺接面とのクリアランスは極力小さいことが望ましい。即ち、摺接部材113,114の摺接面同士の離隔幅Dは偏心カム103の円筒状の外周面の直径より僅かに大きい程度が望ましい。離隔幅Dが当該直径に対して大きすぎると、偏心カム103と従動部111との間にがたつきが生じ、カム従動部材110が設計意図通りに揺動しないことに加えて、偏心カム103の円筒状の外周面と摺接部材113,114の摺動面とが接触、摺動する際に余計な衝突力が発生し、偏心カム103及び摺接部材113、114の摩耗の度合いが大きくなってしまう。また、偏心カム103の円筒状の外周面と摺接部材113,114の摺動面との衝突によって生じる各部の振動や騒音も激しくなる。一方、離隔幅Dが当該直径に対して小さすぎると、偏心カム103が従動部110のコの字の内側に収まらない、あるいは収まったとしても偏心カム103の円筒状の外周面と摺接部材113,114との間に大きな摩擦力が生じて偏心カム103の回転を阻害してしまう。従って、離隔幅Dを精密に調節する必要があった。しかしながら、従来のカム従動機構100では、偏心カム103、カム従動部材110及び摺接部材113,114の部品加工精度によって離隔幅Dが変化することがあった。よって、離隔幅Dが好適でない場合は突起部111a,111bの間隔を広げるあるいは縮めるといった部品加工作業が必要となり、非常に煩雑かつ非効率であることに加え、作業に熟練を要するため誰でも行えるものではなかった。このため、離隔幅の調節を容易にするために、摺接部材のうち一方の固定位置を変更可能としたカム従動機構の構成が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1によるカム従動機構では、摺接部材のうち一方をカム従動部材に固定する固定ネジを緩めることで摺接部材をカム従動部材に対して移動させることができるようになっており、一方の摺接部材を移動させることによって他方の摺接部材との離隔幅を調節することができる。調節が終わった後、固定ネジを締めることで一方の摺接部材を固定し、離隔幅を固定する。
【特許文献1】特開2002−276762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に記載のカム従動機構では、離隔幅を調節するために摺接部材をカム従動部材に固定するねじを緩めると摺接部材はカム従動部材に対してがたつきを生じ、摺接部材がわずかな力で容易に大きく移動可能となってしまうので、当該摺接部材の位置決めを行った後、ねじを締める作業中にも当該摺接部材の位置が変わってしまうことがあった。このため、離隔幅を適正に調節するまでに摺接部材をカム従動部材に固定するねじを締めては摺接部材の位置を調節し、ねじを締めて確認し、適正でなかった場合は再びねじを緩めて調節する、といった作業の繰り返しを行うこととなることがあった。一方、ある程度ねじを締めた状態のまま当該摺接部材の位置を調節することも可能だが、その場合は当該摺接部材の位置を調節するために大きな力が必要となるため、位置の微調節を行うための力加減が非常に難しい。これらの理由により、カムの外周面に対して両側から摺接する摺接面の離隔幅を精密に調節することが難しく、また厳密な調節作業に多大な時間と労力とを消費するといった問題点があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑み、より好適にカムとカム従動部材とのクリアランス調節が可能なミシンのカム従動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、回転軸に設けられたカムを内側に擁すると共に互いに対向する二平面を有するカム従動部材を有するミシンのカム従動機構において、前記カム従動部材の二平面の一方の平面との協働により前記カムを両側から挟んで摺接する摺接面を有する摺接部材と、前記摺接部材の摺接面と前記カム従動部材の二平面の一方の平面とがほぼ平行を保ちつつ接離するように、前記摺接部材を前記カム従動部材の二平面の他方の平面に接した状態を維持しながら移動可能に案内する案内手段と、前記摺接部材を任意の位置で前記カム従動部材に固定する固定手段と、を備え、前記案内手段は、手動操作により前記摺接部材の移動動作を付与する調節操作部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のミシンのカム従動機構において、前記調節操作部は、手動による回転操作が入力され、前記案内手段は、前記調節操作部から入力される回転操作を当該回転の軸方向の動作に変換して摺接部材に付与することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のミシンのカム従動機構において、前記案内手段は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか一方に、前記案内手段による前記摺接部材の案内方向に沿って設けられた雌ねじ部を有し、前記調節操作部は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか他方に対して回転自在に保持された雄ねじ部を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のミシンのカム従動機構において、前記雌ねじ部は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか一方に、前記案内手段による前記摺接部材の案内方向に沿って設けられた半円筒状の雌ねじ部であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のミシンのカム従動機構において、前記固定手段は、前記カム従動部材の二平面の他方の平面から背後に貫通して設けられたねじ部材を有し、前記摺接部材と前記カム従動部材とを締結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、調節操作部を手動操作することにより前記摺接部材を前記カム従動部材に対して案内手段による案内方向に沿って移動させることができる。つまり、調節操作部に対する操作量によって前記摺接部材の移動量が決定する。このとき、摺接部材は案内手段によって案内されるので、摺接部材の摺動面とカム従動部材の二平面の一方の平面とは常にほぼ平行に保たれている。つまり、摺接部材の移動によって摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅を調節することが可能となる。従って、作業者は調節操作部に対する操作量を調節することにより、摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅を任意の幅に容易に調節することが可能となる。よって、ねじを緩めた状態ではわずかな力で摺接部材が移動してしまい、ねじをある程度締めた状態では大きな力を掛けないと移動しないためにカムの外周面に対して両側から摺接する摺接面の離隔幅を精密に調節することが難しいといった従来技術によるカム従動機構の問題点を解消することができ、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性が大幅に向上する。
また、調節操作部の手動操作で摺接部材を移動させて摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅を調節可能であるので、当該二平面の離隔幅の調節のために当該二平面の間隔を広げるあるいは縮めるといった部品加工作業を行う必要がない。よって、非常に煩雑かつ非効率であることに加え、作業に熟練を要するため誰でも行えるものではなかった部品加工作業を行うことなく当該二平面の離隔幅の調節を行うことができる。つまり、当該二平面の離隔幅の調節における作業の大幅な簡便化、省力化及び作業時間短縮を実現できることに加え、誰でも当該作業を行うことができる。よって、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。
さらに、案内手段は、摺接部材とカム従動部材の二平面の他方の平面とが接した状態を維持しながら移動するよう案内するので、摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅を調節する際に滑らかに離隔幅を変化させることができる。よって、より精密な離隔幅の調節が可能となり、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、調節操作部から手動による回転操作が入力され、案内手段が調節操作部から入力される回転操作を当該回転の軸方向の動作に変換して摺接部材に付与することで摺接部材の移動を案内する。このとき、回転操作を軸方向に変換する機構は、ラック・ウォーム機構や、あるいは請求項3から5に示す機構などのように軸方向の動作量が微調整可能であることが一般的であることから、オペレータは調節操作部に対する簡易な操作で摺接部材の移動量の微調整が可能となる。つまり、摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅の微調整がより精密に行えるので、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、カム従動部材又は摺接部材のいずれか一方に設けられた雌ねじ部に、カム従動部材又は摺接部材のいずれか他方に対して回転自在に保持された雄ねじ部がねじ込まれることでカム従動部材に対する摺接部材の位置が調節される。つまり、雌ねじ部に対する雄ねじ部のねじ込み量によって摺接部材の移動量が調節される。このとき、雌ねじ部は案内手段による摺接部材の案内方向に沿って設けられているので、摺接部材は自動的に案内手段による案内方向に沿って移動する。つまり、雌ねじ部に対する雄ねじ部のねじ込み量の調節によって摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅が調節される。このとき、雄ねじ部の回転量に対する摺接部材の移動量は微小なので、精密な位置調節が可能となる。よって、作業者は雄ねじ部のねじ込み量を調節するだけで摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅を任意の幅に容易に調節することができ、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。加えて、当該調節作業に作業者は雄ねじ部のねじ込み作業以外の作業を行わずに済む。よって、従来の特許文献のカム従動機構において摺接部材を固定するネジを緩めたり締めたりしながら離隔幅を調節するといった調節作業を強いられるために厳密な調節作業に多大な時間と労力とを消費するといった問題点を解消することができ、カム従動機構の調節作業の作業性がより一層向上する。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、雌ねじ部は、カム従動部材又は摺接部材のいずれか一方に、案内手段による摺接部材の案内方向に沿って設けられた半円筒状の雌ねじ部である。つまり、当接面は案内手段による摺接部材の案内方向に沿って形成されており、カム従動部材又は摺接部材のいずれか一方の当接面に半円状の雌ねじ部が設けられている。従って、雄ねじ部はカム従動部材又は摺接部材のいずれか他方の当接面に回転自在に保持されており、半円状の雌ねじ部と係合する。かような構成においては、雄ねじ部をカム従動部材及び摺接部材の内側に覆い隠されるように設けることが容易となるので、カム従動部材や摺接部材から雄ねじ部のねじ頭が突出することのないカム従動機構を容易に実現できる。よって、よりコンパクトなカム従動機構を提供でき、カム従動機構を用いた機構の設計自由度が大幅に向上する。
なお、雄ねじ部をカム従動部材及び摺接部材の内側に覆い隠されるよう設けた場合は、作業者が雄ねじ部のねじ込み量を調節するための工具を差し入れる空間や穴部をカム従動部材又は摺接部材に設けることが望ましい。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、ねじ部材が、摺接部材とカム従動部材とを締結する。このとき、ねじ部材はカム従動部材の二平面の他方の平面から背後に貫通して設けられているので、ねじ部材による締結力は他方の平面に垂直な方向となる。これによって、摺接部材とカム従動部材の他方の平面との圧接力をもって摺接部材を保持するので、摺接部材がカム従動部材に対してずれを生じる可能性を低減することができる。つまり、ねじ部材によって摺接部材はより確実にカム従動部材に固定され、摺接部材の摺接面とカム従動部材の二平面の一方の平面との離隔幅がより一層正確に保持される。よって、高い精度で当該離隔幅を保持できるカム従動機構を提供でき、カム従動機構の信頼性が大幅に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(本発明によるミシンのカム従動機構の第1の実施形態の全体構成)
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の実施形態であるミシンのカム従動機構1は、ミシンの上軸と下軸を連結するよう設けられて、上軸の回転運動によって下軸を往復回動させるよう動作するカム従動機構である。
図1は本発明の第1の実施形態であるミシンのカム従動機構1の構成を示す説明図である。図2はミシンのカム従動機構1の構成を示す分解斜視図である。
ミシンのカム従動機構1は、ミシンモータの駆動によって全回転する上軸2に設けられた偏心カム3と摺動して下軸5に往復回動運動を伝達するカム従動部材10と、カム従動部材10を回転自在に支持する支軸8と、支軸8とミシンフレームに設けられた軸部34とを連結するよう設けられてカム従動部材10の一端部の揺動が他端部の上下動運動に変換されるようカム従動部材10を移動可能に支持するリンク機構30と、カム従動部材10の他端部の上下動によって往復回動するリンク部材6と、を備えている。
【0018】
カム従動部材10は、その一端部が二本の突出した摺接部材支持部11,12によってコの字状に形成された二又ロッドである。カム従動機構10は、一端部のコの字状の内側にミシンの上軸2に設けられた偏心カム3が位置するよう設けられており、摺接部材13、プレート14を介して偏心カム3と摺接する。
また、カム従動部材10はその他端部10bがリンク部材6を介してミシンの下軸5と連結されている。カム従動部材10とリンク部材6とは連結軸7を介して回転自在に連結されており、リンク部材6と下軸5とは固定されている。
さらに、カム従動部材10には穴部10aが設けられており、支軸8によって回転可能に軸支されている。支軸8は二つのリンク部材31,32と一つの回転軸33とを有するリンク機構30に支持されており、リンク機構30はミシンフレームに設けられた軸部34によって回転自在に支持されている。つまり、カム従動部材10はリンク機構30を介してミシンフレームに軸支されている。
【0019】
かような構成のカム従動部材10は、上軸2の回転に伴って偏心カム3が回転すると、一端部が偏心カム3の回転運動と連動して揺動する。このとき、カム従動部材10は連結リンク機構30に支持されているので、一端部の揺動運動は他端部10bに上下動運動として伝達される。他端部10bの上下動運動はリンク部材6を介することで下軸5を回動させる。つまり、カム従動部材10を有するカム従動機構1によって、上軸2の回転運動は下軸5の回動運動に変換される。
【0020】
(カム従動部材)
次に、カム従動部材10の一端部について詳細に説明する。図3はカム従動部材10の一端部の断面図である。
カム従動部材10は、一端部に設けられた摺接部材支持部11の内側の「二平面の他方の平面」としての平面部11aに摺接部材13が取り付けられている。摺接部材13はその内側(偏心カム3が設けられた側)に偏心カム3と摺接摺る摺接面13aを有する。また、プレート支持部12の内側の平面部にプレート14が取り付けられている。プレート14は固定ねじ18,18によってプレート支持部12に移動不可能に固定されている。プレート14はその内側(偏心カム3が設けられた側)に偏心カム3と摺接する摺接面14aを有する。つまり、摺接面14aは「二平面の一方の平面」として機能する。なお、摺接面13a、摺接面14aは上軸2と平行に設けられている。
【0021】
摺接部材13は、「固定手段」としての固定ねじ17,17によって摺接部材支持部11に締結されている。また、穴部11b、11bは、図3に示すように、摺接部材支持部11の平面部11aから背後に貫通するよう設けられている。また、摺接部材13は摺接面13aの逆側に設けられて摺接部材支持部11の平面部11aと当接する斜面13bを有しており、斜面13bには固定ねじ17,17がねじ込まれる雌ねじ部が設けられている。つまり、固定ねじ17,17は、平面部11aの背後を貫通して摺接部材13にねじ込まれている。
このとき、摺接部材支持部11に設けられて固定ねじ17,17が貫通する穴部11b,11bは固定ねじ17,17の雄ねじ部の直径に対して余裕を持って大きく設けてあり、その内側に雌ねじは設けられていない。よって、固定ねじ17,17のねじ込みを緩めることによって摺接部材13の固定は解消され、摺接部材13は固定ねじ17,17と穴部11b,11bとのクリアランスの範囲で移動可能となる。
【0022】
このとき、摺接部材13は摺接部材支持部11の内側の平面部11aに沿って案内される。平面部11aは、プレート14の偏心カム3との摺接面14aと平行な方向に対して一定の傾斜角度θ(図1参照)を持つように形成されている。また、摺接部材13の斜面13bは、摺接部材13が偏心カム3と摺接する摺接面13aに対して一定の傾斜角度θを持つように形成されている。つまり、摺接部材13が移動する際、摺接部材支持部11の平面部11aに沿って摺接部材13の斜面13bが案内されることによって、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとはほぼ平行に保たれる。なお、摺接部材13を移動させる際に固定ねじ17,17を緩める量は、摺接部材支持部11と摺接部材13とががたつきを起こさない程度、即ち平面部11aと斜面13bとがある程度摩擦力を生じながら摺接する程度が望ましい。これによって、摺接部材13が移動する際に摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとがより確実に平行に保たれる。
【0023】
また、摺接部材支持部11にはその先端部に雌ねじ部11cが設けられている。雌ねじ部11cはその中心線方向が上軸2に直交する方向であって、かつ、平面部11aとほぼ平行となるよう設けられてその内周部が雌ねじとなっている。雌ねじ部11cには、摺接部材13に回転自在に保持された雄ねじ15がねじ込まれる。
雄ねじ15は、摺接部材13の斜面13aの上端部から摺接部材支持部11側に突出するよう設けられたねじ保持部13cの穴部13dによって回転自在に支持されている。雄ねじ15は、その雄ねじ部15aの中心線方向が上軸2に直交する方向であって、かつ、摺接部材13の斜面13bの傾斜角度θに沿った方向となるよう支持されており、雄ねじ15が雌ねじ部11cにねじ込まれると、そのねじ込み量に応じて摺接部材13は摺接部材支持部11の平面部11aに沿って上下動する。このとき、雌ねじ部11cの中心線方向及び雄ねじ15の中心線方向は摺接部材13の上下動により摺接部材13の摺接面13aがプレート14の摺接面14aに対して接離する方向に変位を生じるように設定されている。よって、摺接部材13は「摺接部材」として機能し、摺接部材13を移動可能に案内する摺接部材支持部11の平面部11a、摺接部材13の斜面13b、雄ねじ15及び摺接部材支持部11の雌ねじ部11cは「案内手段」として機能する。また、雄ねじ15が雌ねじ11cにねじ込まれることで摺接部材13は摺接部材支持部11に支持されるので、摺接部材13を移動させるために固定ねじ17,17が緩んでいる状態であっても摺接部材13はがたつきをほとんど起こさず雄ねじ15のねじ込み量に応じて滑らかに移動する。
【0024】
また、雄ねじ15のねじ頭とねじ保持部13cの上面部とは摺接するよう設けられている。さらに、雄ねじ15の所定位置にはEリング16が嵌合されている。Eリング16は、その上面部がねじ保持部13cの下面部と摺接する位置に設けられている。つまり、ねじ保持部13cは雄ねじ15のねじ頭とEリング16とによって上下から挟まれている。これによって、雄ねじ15はねじ保持部13cに対する上下動位置の変更を行わないよう回転自在に保持されている。
【0025】
(雄ねじの操作によるクリアランス調節)
次に、雄ねじ15の手動操作によって移動する摺接部材13の位置と、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅と、の関係について詳細に説明する。図4は摺接部材13の位置と、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅と、の関係を示す説明図である。
固定ねじ17,17が緩んだ状態即ち摺接部材支持部11に対して摺接部材13が移動可能となっている状態で雄ねじ15をねじ込むあるいは緩めると、摺接部材は摺接部材支持部11の平面部11aに沿って移動する。このとき、平面部11aが有する傾斜角度θと摺接部材13の斜面13bが有する傾斜角度θとによって、上述のように摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとは常にほぼ平行に保たれている。一方、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅は、摺接部材13が傾斜角度θに沿って案内されることに伴って変化する。
例えば、雄ねじ15が雌ねじ部11cの奥までねじ込まれて下方に位置した場合、摺接部材の位置は図4のAの位置となる。このとき、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅はT1となる。一方、雄ねじ部15が緩められて最も上方に位置した場合、摺接部材の位置は図4のBの位置となる。このとき、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅はT2となる。つまり、雄ねじ15のねじ込み量によって、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅をT1からT2の間の任意の位置に調節することが可能となる。これによって、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの間に位置する偏心カム3の直径に最適な摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅をT1からT2の間で任意に設定することが可能となる。つまり、オペレータは雄ねじ15に対する手動の回転操作によって当該離隔幅を偏心カム3の直径に応じた最適な離隔幅に調節することが可能となる。よって、雄ねじ15は「調節操作部」の「雄ねじ部」として機能する。
【0026】
(第1の実施形態によるミシンのカム従動機構の作用効果)
第1の実施形態によれば、雄ねじ15を手動操作することにより、摺接部材の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅を任意の幅に容易に調節することが可能となる。よって、従来のようなねじを緩めた状態では摺接部材ががたつきを生じてわずかな力で摺接部材が大きく移動してしまい、ねじをある程度締めた状態では大きな力を掛けないと移動しないためにカムの外周面に対して両側から摺接する摺接面の離隔幅を精密に調節することが難しいといったカム従動機構の問題点を解消することができ、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性が大幅に向上する。加えて、当該二平面の離隔幅の調節のために当該二平面の間隔を広げるあるいは縮めるといった部品加工作業を行う必要がない。よって、非常に煩雑かつ非効率であることに加え、作業に熟練を要するため誰でも行えるものではなかった部品加工作業を行うことなく当該二平面の離隔幅の調節を行うことができる。つまり、当該二平面の離隔幅の調節における作業の大幅な簡便化、省力化及び作業時間短縮を実現できることに加え、誰でも当該作業を行うことができる。よって、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。
また、雄ねじ15及び雌ねじ部11cは、摺接部材13の斜面13bと摺接部材支持部11の平面部11aとが接した状態を維持しながら移動するよう案内するので、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅を調節する際に滑らかに離隔幅を変化させることができる。よって、より精密な離隔幅の調節が可能となり、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。
【0027】
さらに、雄ねじ15から手動によるねじ込み操作即ち回転操作が入力され、雌ねじ部11cが雄ねじ15の回転操作を当該回転の軸方向の動作に変換して摺接部材13に付与することで摺接部材13の移動を案内する。これによって、オペレータは雄ねじ15に対する簡易な操作で摺接部材13の移動量の微調整が可能となる。つまり、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅の微調整がより精密に行えるので、カム従動機構の調節作業の精度及び作業性がより一層向上する。加えて、従来の特許文献のカム従動機構において、離隔幅の調節の際に摺接部材を固定するネジを緩めたり締めたりを繰り返すといった調節作業を強いられるために厳密な調節作業に多大な時間と労力とを消費するといった問題点を解消することができ、カム従動機構の調節作業の作業性がより一層向上する。
【0028】
さらに、固定ねじ17,17が摺接部材13と摺接部材支持部11とを締結する。このとき、固定ねじ17,17は摺接部材支持部11の平面部11aの背後に貫通して設けられているので、固定ねじ17,17による締結力は平面部11aに対してほぼ垂直な方向となる。これによって、摺接部材13と摺接部材支持部11との圧接力をもって摺接部材13を保持するので、摺接部材13が摺接部材支持部11に対してずれを生じる可能性を低減することができる。つまり、固定ねじ17,17によって摺接部材13はより確実に摺接部材支持部11に固定され、摺接部材13の摺接面13aとプレート14の摺接面14aとの離隔幅がより一層正確に保持される。よって、高い精度で当該離隔幅を保持できるカム従動機構を提供でき、カム従動機構の信頼性が大幅に向上する。
【0029】
さらに、カム従動機構1はミシンの動力伝達機構であるので、ミシンの上軸2に偏心カム3とカム従動部材10の一端部とのクリアランス調節作業の精度及び作業性が大幅に上昇することに加え、当該調節作業に費やす労力及び時間を大幅に削減でき、ミシンの調節作業の効率が大幅に上昇する。
【0030】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態とは異なる第2の実施形態によるミシンのカム従動機構1Aについて詳細に説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については同じ記号を付して詳細な説明は省略する。図5は第2の実施形態によるカム従動部材10Aの一端部の断面図である。なお、図5(a)はカム従動部材10Aの一端部の断面図、図5(b)はめくらネジ19付近の拡大断面図である。図6は摺接部材支持部11A及び摺接部材13Aの上面図である。
ミシンのカム従動機構1Aは、ミシンモータの駆動によって全回転する上軸2に設けられた偏心カム3と摺動して下軸5に往復回動運動を伝達するカム従動部材10Aと、カム従動部材10を回転自在に支持する支軸8と、支軸8とミシンフレームに設けられた軸部34とを連結するよう設けられてカム従動部材10の一端部の揺動が他端部の上下動運動に変換されるようカム従動部材10を移動可能に支持するリンク機構30と、カム従動部材10の他端部の上下動によって往復回動する下軸6と、を備えている。
カム従動部材10Aは、その一端部に二又上に延出した摺接部材支持部11Aとプレート支持部12とが設けられており、摺接部材支持部11Aとプレート支持部12とによって形成されたコの字状の内側に偏心カム3(図1参照)が位置するよう設けられている。摺接部材支持部11Aの平面部11Aaに対して摺接部材13Aが固定されている。
なお、摺接部材支持部11Aの平面部11Aa及び摺接部材13Aの斜面13Abはそれぞれが傾斜角度θを有するよう形成されており、平面部11Aaに沿って摺接部材13Aが移動することで摺接部材13Aの摺接面13Aaとプレート14の摺接面14aとがほぼ平行に保たれながら接離するよう設けられていることも第1の実施形態と同様である。さらに、固定ねじ17,17を緩めることで摺接部材13Aが移動可能になることも第1の実施形態と同様である。
【0031】
摺接部材13Aの斜面13Abには、半円筒状の雌ねじ部13Aeが設けられている。さらに、摺接部材支持部11Aの平面部11Aaには、摺接部材13Aが摺接部材支持部11Aに取り付けられた状態で雌ねじ部13Aeと同心となる半円筒状の穴部11Adが設けられている。なお、雌ねじ部13Ae及び穴部11Adの中心線方向は上軸2に直交する方向で、かつ、平面部11Aaに沿う方向である。さらに、穴部11Adの底部にはめくらネジ19を回転自在に保持するネジ保持部11Aeが設けられており、めくらネジ19が回転自在に保持されている。めくらネジ19は所謂イモネジであり、その回転軸が雌ねじ部13Aeと穴部13Adとによって形成される円筒の軸方向に沿うよう設けられている。つまり、めくらネジ19の回転軸方向は平面部11Aaによる摺接部材13Aの案内方向と同一である。また、めくらネジ19はその内周部に六角レンチ等の工具を差し込んで回転させるための係合部19aを有している。係合部19aの開口部は上方に位置しており、オペレータは雌ねじ部13Aeと穴部11Adとによって形成された穴部から工具を差し込んでめくらネジ19を回転させる。このとき、めくらネジ19の外周部の雄ねじ部と、半円筒状の雌ねじ部13Aeとは噛み合うように形成されており、めくらネジ19が回転すると雌ねじ部13Aeはめくらネジ19の回転方向に応じてめくらネジ19の軸方向に沿って移動する。つまり、めくらネジ19を回転させると雌ねじ部13Aeを有する摺接部材13Aが平面11Aaに沿って上下に移動する。このとき、摺接部材13Aの上下方向の位置によって摺接部材13Aの摺接面13Aaとプレート14の摺接面14aとの離隔幅が変化する。よって、オペレータはめくらネジ19を回転させることによって摺接部材13Aの摺接面13Aaとプレート14の摺接面14aとの離隔幅が偏心カム3の直径に応じた最適な離隔幅となるよう調節することが可能となる。よって、めくらネジ19は「調節操作部」の「雄ねじ部」として機能する。
【0032】
(第2の実施形態の作用効果)
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、めくらネジ19は摺接部材支持部11Aの平面部11Aaに設けられたネジ保持部11Aeによって回転自在に保持されており、摺接部材13Aに設けられた半円状の雌ねじ部13Aeと係合する。かような構成においては、めくらネジ19を摺接部材支持部11Aと摺接部材13Aとの内側に覆い隠すように設けることができるので、摺接部材支持部11Aや摺接部材13Aから雄ねじ部のねじ頭が突出することのないカム従動機構を容易に実現できる。よって、よりコンパクトなカム従動機構を提供でき、カム従動機構を用いた機構の設計自由度が大幅に向上する。
【0033】
(第3の実施形態)
次に、第1、第2の実施形態とは異なる第3の実施形態によるミシンのカム従動機構1Bについて詳細に説明する。なお、第1、第2の実施形態と同様の構成については同じ記号を付して詳細な説明は省略する。図7は第3の実施形態によるカム従動部材10Bの一端部の断面図である。
ミシンのカム従動機構1Bは、ミシンモータの駆動によって全回転する上軸2に設けられた偏心カム3と摺動して下軸5に往復回動運動を伝達するカム従動部材10Bと、カム従動部材10を回転自在に支持する支軸8と、支軸8とミシンフレームに設けられた軸部34とを連結するよう設けられてカム従動部材10の一端部の揺動が他端部の上下動運動に変換されるようカム従動部材10を移動可能に支持するリンク機構30と、カム従動部材10の他端部の上下動によって往復回動する下軸6と、を備えている。
カム従動部材10Bは、その一端部に二又上に延出した摺接部材支持部11Bとプレート支持部12とが設けられており、摺接部材支持部11Bとプレート支持部12とによって形成されたコの字状の内側に偏心カム3(図1参照)が位置するよう設けられている。摺接部材支持部11Bの平面部11Aaに対して摺接部材13Bが固定されている。
なお、摺接部材支持部11Bの平面部11Ba及び摺接部材13Bの斜面13Bbはそれぞれが傾斜角度θを有するよう形成されており、平面部11Baに沿って摺接部材13Bが移動することで摺接部材13Bの摺接面13Baとプレート14の摺接面14aとがほぼ平行に保たれながら接離するよう設けられていることも第1、第2の実施形態と同様である。さらに、固定ねじ17,17を緩めることで摺接部材13Bが移動可能になることも第1、第2の実施形態と同様である。
【0034】
摺接部材13Bには摺接部材支持部11B側に突出するよう設けられた突出部13Bcを有する。突出部13Bには、雄ねじ20が貫通可能であって雄ねじ20と噛み合う雌ねじ部13Bfが設けられている。このとき、雄ねじ20の中心軸方向は上軸2に直交する方向であって、かつ、摺接部材支持部11Bの平面部11Bに沿うよう設けられている。また、雄ねじ20の先端部は摺接部材支持部11Bの先端部に押し当てられている。つまり、雄ねじ20を雌ねじ部13Bfにねじ込む方向に回転操作することによって摺接部材13Bが摺接部材支持部11Bの平面部11Baに沿って上方に移動する。このとき、摺接部材13Bの上下方向の位置によって摺接部材13Bの摺接面13Baとプレート14の摺接面14aとの離隔幅が変化する。よって、オペレータは雄ねじ20を回転させることによって摺接部材13Bの摺接面13Baとプレート14の摺接面14aとの離隔幅が偏心カム3の直径に応じた最適な離隔幅となるよう調節することが可能となる。よって、雄ねじ20は「調節操作部」の「雄ねじ部」として機能する。
なお、一度雄ねじ20を雌ねじ部13Bfにねじ込んで摺接部材13Bを上方へと移動させた後で摺接部材13Bを下方へと移動させる場合は、雄ねじ20を緩める方向へと回転させて雄ねじ20が突出部13Bcの下方から突出している部分の長さを小さくした後に、摺接部材13Bを手動で上方から押し込むように押圧して摺接部材13Bを下方へと移動させる。
【0035】
(第3の実施形態の作用効果)
第3の実施形態の効果によれば、第1の実施形態の効果に加えて、摺接部材支持部11Bに雄ねじ20を保持する機構やスペース及び雄ねじ20がねじ込まれる雌ねじ部を設ける必要がない。よって、摺接部材支持部11Bに雄ねじ20を保持する機構やスペース及び雌ねじ部を設けるスペースを確保できない場合であっても摺接部材13Bの上方への移動を付与することができるので、摺接部材13Bの摺接面13Baとプレート14の摺接面14aとの離隔幅の調節を精密に行うことが可能となる。よって、より柔軟にカム従動機構の設計を行うことが可能となる。
なお、雄ねじ20に対して摺接部材支持部11Bによる拘束力がないので、雄ねじ20の中心軸方向が必ずしも平面部11Baの方向と一致しない(斜行する)可能性があるが、雄ねじ20の先端面と摺接部材支持部11の先端面との平面度を高めれば斜行は低減可能である。
【0036】
(その他)
なお、本発明の特徴を有する範囲において他の実施形態をとってもよいことは言うまでもない。例えば、上述の第1、第2、第3の実施の形態ではカム従動部材は二又ロッドであるが、長穴部の対向する両辺がカムと摺動するように設けられたカム従動部材を用いても良い。
また、Eリング16は、摺接部材13に対する雄ねじ15の位置を保持するために雄ねじ15を係止するための部材であるので、他の部材(例えばカラーやピン等)でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態であるミシンのカム従動機構の構成を示す説明図である。
【図2】ミシンのカム従動機構の構成を示す分解斜視図である。
【図3】カム従動部材の一端部の断面図である。
【図4】摺接部材の位置と、摺接部材の摺接面とプレートの摺接面との離隔幅と、の関係を示す説明図である。
【図5】第2の実施形態によるカム従動部材の一端部の断面図である。なお、図5(a)はカム従動部材10Aの一端部の断面図、図5(b)はめくらネジ19付近の拡大断面図である。
【図6】摺接部材支持部及び摺接部材の上面図である。
【図7】第3の実施形態によるカム従動部材の一端部の断面図である。
【図8】従来技術によるカム従動機構の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
2 上軸
3 偏心カム
5 下軸
10 カム従動部材
11 摺接部材支持部
12 プレート支持部
13 摺接部材
14 プレート
15 雄ねじ
16 Eリング
17 固定ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設けられたカムを内側に擁すると共に互いに対向する二平面を有するカム従動部材を有するミシンのカム従動機構において、
前記カム従動部材の二平面の一方の平面との協働により前記カムを両側から挟んで摺接する摺接面を有する摺接部材と、
前記摺接部材の摺接面と前記カム従動部材の二平面の一方の平面とがほぼ平行を保ちつつ接離するように、前記摺接部材を前記カム従動部材の二平面の他方の平面に接した状態を維持しながら移動可能に案内する案内手段と、
前記摺接部材を任意の位置で前記カム従動部材に固定する固定手段と、を備え、
前記案内手段は、手動操作により前記摺接部材の移動動作を付与する調節操作部を有することを特徴とするミシンのカム従動機構。
【請求項2】
前記調節操作部は、手動による回転操作が入力され、
前記案内手段は、前記調節操作部から入力される回転操作を当該回転の軸方向の動作に変換して摺接部材に付与することを特徴とする請求項1に記載のミシンのカム従動機構。
【請求項3】
前記案内手段は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか一方に、前記案内手段による前記摺接部材の案内方向に沿って設けられた雌ねじ部を有し、
前記調節操作部は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか他方に対して回転自在に保持された雄ねじ部を有することを特徴とする請求項2に記載のミシンのカム従動機構。
【請求項4】
前記雌ねじ部は、前記カム従動部材又は前記摺接部材のいずれか一方に、前記案内手段による前記摺接部材の案内方向に沿って設けられた半円筒状の雌ねじ部であることを特徴とする請求項3に記載のミシンのカム従動機構。
【請求項5】
前記固定手段は、前記カム従動部材の二平面の他方の平面から背後に貫通して設けられたねじ部材を有し、前記摺接部材と前記カム従動部材とを締結することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシンのカム従動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−61177(P2009−61177A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232902(P2007−232902)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】