説明

ミシンの手元入力装置

【課題】 効率的に、余分な電力の消費を削減する。
【解決手段】 制御手段11は、省略モードが動作していない状態において、加速度センサ10が縫製動作による振動を感知した場合には、省略モードを開始し、縫製動作による振動を感知しない場合には、省略モードが動作していない状態を維持し、省略モードが動作している状態において、加速度センサ10が手持ち操作による振動を感知した場合には、省電力モードを停止し、手持ち操作による振動を感知しない場合には、タッチパネル7が操作されたか否かを判別し、操作されたと判断した場合には、省略モードを停止し、操作されていないと判断した場合には、省略モードを維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン本体から独立して設けられ、縫製に関する縫製データをミシン本体に入力可能なミシンの手元入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミシン本体から独立して設けられ、手持ち操作によって、ミシンの縫製動作や縫製パターン等の縫製に関する様々な縫製データをミシン本体に入力可能なミシンの手元入力装置が用いられている。
【0003】
従来のミシンの手元入力装置は、例えば、縫製データを入力するタッチパネル等からなる入力手段と、入力手段の表示を行う液晶表示パネル等からなる表示手段と、手元入力装置の各部を制御する制御手段と、入力手段、表示手段および制御手段に電力を供給する電力供給手段とを有しており、制御手段は、ミシン本体の各部を制御する本体制御手段に接続されている。この手元入力装置は、操作者が操作しないときは固定台に載置されるようになっており、操作する際には固定台から取りだされて手持ち操作されるようになっている。そして、このような手元入力装置は、電源がONにされると、電力供給手段によって制御手段に電力を供給し、制御手段が表示手段において表示を行うようになっている。また、操作者により入力手段が操作されると、制御手段は、入力手段から各種縫製データを入力し、入力した縫製データを本体制御手段に出力するようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−087809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述のような従来のミシンの手元入力装置は、例えば、ミシンの縫製動作中に手元入力装置を固定台に載置して、入力装置本体の入力手段を操作しないときであっても、電力供給手段から制御手段や表示手段に電力が供給され続けているため、余分な電力を消費してしまうという問題を有していた。さらに、前述のミシンの手元入力装置によれば、余分な電力の供給により手元入力装置、特に表示手段の発熱量が過度に上昇してしまうおそれがあるという問題を有していた。
【0006】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、効率的に、余分な電力の消費を削減することができるミシンの手元入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、ミシンテーブルまたはミシン本体に置かれ、操作時に手持ち操作が可能な入力装置本体を備えており、前記入力装置本体には前記ミシン本体の縫製に関する縫製データを入力する入力手段と、縫製データを表示する表示手段とを備えたミシンの手元入力装置において、前記入力装置本体には、この入力装置本体に加えられた振動を感知する感知センサを備え、前記感知センサにより前記ミシン本体の縫製動作によるミシンモータの振動と手持ち操作による振動とを判別して、前記表示手段の省電力モードを動作するか否かを判断する制御手段を設けた点にある。
【0008】
この請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、ミシン本体からデータを入力することを必要とせず、感知センサからの感知結果のみによって、入力装置本体の操作状況を判断して、省電力モードを動作するか否かを判断することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、請求項1に記載のミシンの手元入力装置において、前記制御手段は、前記省電力モードが動作していない状態において、前記感知センサが縫製動作による前記ミシンモータの振動を判別した場合には、前記省電力モードを開始し、前記感知センサが縫製動作による前記振動を判別しない場合には、前記省電力モードが動作していない状態を維持する点にある。
【0010】
この請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、省電力モードが動作していない状態において、感知センサが縫製動作による振動を感知した場合に省電力モードを開始することにより、ミシン本体の本体制御手段からミシン本体が縫製動作を開始したことを示す縫製開始データを制御手段に出力しないと省電力モードが動作しないという不都合を回避することができ、手元入力装置のみによって、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0011】
さらに、制御手段は、感知センサが縫製動作による振動を感知しない場合には省電力モードが動作していない状態を維持することにより、操作者が入力手段の操作を続けたい場合に手元入力装置が省電力モードになってしまうという不都合を回避し、手元入力装置の操作性の向上を図ることが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、請求項1または請求項2に記載のミシンの手元入力装置において、前記制御手段は、前記省電力モードが動作している状態において、前記感知センサが手持ち操作による振動を判別した場合には、前記省電力モードを停止する点にある。
【0013】
この請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、省電力モードが動作している状態において、感知センサが手持ち操作による振動を感知した場合には、省電力モードを停止することができる。これにより、制御手段は、例えば操作者が入力装置本体を手持ちすることにより、感知センサは手持ち操作による振動を感知し、制御手段は省電力モードを停止することができるので、操作者は素早くタッチパネルによる操作を開始することができ、手元入力装置の操作性の向上を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、請求項3に記載のミシンの手元入力装置において、前記制御手段は、前記感知センサが手持ち操作による振動を判別しない場合には、前記制御手段が前記入力手段から入力した縫製データに基づき、前記入力手段が操作されたか否かを判別し、前記入力手段が操作されたと判断した場合には、前記省電力モードを停止し、前記入力手段が操作されていないと判断した場合には、前記省電力モードを維持する点にある。
【0015】
この請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、タッチパネルから入力した縫製データに基づきタッチパネルが操作されたと判断した場合には、省電力モードを停止することにより、手元入力装置の操作性の向上を図ることができる。さらに、制御手段は、タッチパネルから入力した縫製データに基づきタッチパネルが操作されていないと判断した場合には、省電力モードを維持することにより、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のミシンの手元入力装置において、前記感知センサとして、加速度センサを用いる点にある。
【0017】
この請求項5に記載の発明によれば、加速度センサによって、縫製による振動、および手持ち操作による振動を確実に感知することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明に係るミシンの手元入力装置の特徴は、前記入力手段を、表示手段が積層されたタッチパネルとし、前記表示手段と前記表示手段に電力を供給する電力供給手段との間に開閉器を設け、前記制御手段は、前記開閉器を開状態にして前記表示手段への電力供給を中断することにより前記省電力モードを動作し、前記開閉器を閉状態にして前記表示手段への電力供給を行うことにより前記省電力モードの動作を停止する点にある。
【0019】
この請求項6に記載の発明によれば、制御手段は、表示手段の表示を中断することにより省電力モードを動作し、表示手段の表示を開始することにより省電力モードの動作を停止することにより、手元入力装置において効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明に係るミシンの手元入力装置によれば、手元入力装置のみによって、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るミシンの手元入力装置の一実施形態を図1から図7を参照して説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るミシンの手元入力装置を示す構成図であり、図2は、図1の手元入力装置およびミシン本体を示す概略図である。
【0023】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る手元入力装置1は、ミシン本体2から独立して設けられた入力装置本体3と、入力装置本体3を載置する固定台5とを有しており、固定台5は、ミシン本体2が設置されているミシンテーブルまたはミシン本体に配設されている。
【0024】
入力装置本体3には、縫製データを入力する入力手段として透明タッチパネルスイッチ、外部メモリおよび外部ネットワークと接続したサーバを含む入出力機器(タッチパネル)7、およびこのタッチパネル7の入力操作のためのスイッチ図形を含む操作画面や縫製データの表示を行う表示手段としての液晶表示パネル8とが積層して配設されており、入力装置本体3は、操作者が液晶表示パネル8の表示に基づきタッチパネル7を操作しないときには固定台5に載置され、操作者がタッチパネル7を操作する際には、固定台5に載置されたまま操作可能であるとともに、固定台5から取り出されて手持ち操作可能とされている。
【0025】
入力装置本体3には、入力装置本体3の操作状況を感知する感知センサとして、ミシン本体2の縫製動作による振動、および手元入力装置1の手持ち操作による振動を感知する加速度センサ10が設けられている。加速度センサ10は、内部におもりが収納されたケース(図示せず)を有しており、おもりは、ケースの内部においておもりのX軸方向およびY軸方向に配置されたばねによって支持されている。そして、入力装置本体3の動きによるおもりの移動量またはおもりに加わった負荷の変位量を検出するための一般的な検知機構として、ピエゾ抵抗型、静電容量型または熱検知型があり、3軸方向の加速度信号を検出して、CPUによりその振動の種類を判別する。ここで入力装置本体3の動きとは、入力装置本体3が固定台5に載置されているときのミシン本体2の縫製動作による入力装置本体3の振動や、入力装置本体3が手持ち操作されることによる振動あるいは無振動をいう。具体的には、ミシン本体2の縫製動作によるミシンモータ駆動による数百〜数千HZの振動、および入力装置本体3の手持ち操作による数十HZの振動、さらには、ミシン本体2の縫製動作および手持ち操作が行われておらずゼロHZの無振動が発生する。加速度センサ10は、この3種類の振動の特徴的な違いを、検知機構から出力された検知信号の振動周波数や振動の大きさ、振動方向から判別手段で判別して、入力装置本体3の前記3種類の操作状況を感知するようになっている。
【0026】
また、入力装置本体3には、手元入力装置1の各部を制御する制御手段11が設けられており、制御手段11は、CPU、ROM、RAMを備え、ROMに記憶されたプログラムにしたがって、CPUが所望の制御を行うように構成され、さらに制御手段11は、ミシン本体2の各部を制御する本体制御手段13に無線または有線を介して接続されている。そして、制御手段11は、液晶表示パネル8の表示にしたがって操作者により液晶表示パネル8の表示画面が押圧されてタッチパネル7が操作されることにより、手元入力装置1に装着された入出力機器として、外部メモリまたは外部ネットワークと接続したサーバからミシン本体2の縫製動作プログラムや縫製パターン等の縫製動作や表示動作に関する各種縫製データが入出力されるようになっている。
【0027】
また、制御手段11は、加速度センサ10から、おもりの移動量またはおもりに加わった負荷に関する加速度データを入力し、この加速度データに基づいて、入力装置本体3の手持ち操作による振動か否か、またはミシン本体2の縫製動作による振動か否かを判断するようになっている。そして、制御手段11は、加速度センサ10により感知された操作状況に基づいて、省電力モードを動作させるか否かを決定するようになっている。本実施形態においては、液晶表示パネル8の表示をOFFにすることにより、省電力モードを動作させるようになっている。
【0028】
入力装置本体3には、制御手段11、タッチパネル7および液晶表示パネル8に電力を供給するための電源供給手段15が設けられており、電源供給手段15と液晶表示パネル8との間には、電力の供給を制御する開閉器16が設けられている。開閉器16は、制御手段11による省電力モードを動作させるか否かの判断により、開閉器16の開状態および閉状態が制御されるようになっている。開閉器16は、閉状態のときに電源供給手段15からの電力を液晶表示パネル8に供給するようになっており、これにより、制御手段11は、液晶表示パネル8において表示を行うようになっている。一方、開閉器16は、開状態のときに電源供給手段15からの電力を液晶表示パネル8に伝達しないようになっており、これにより、制御手段11は、液晶表示パネル8の表示をOFFにして、省電力モードを動作するようになっている。
【0029】
このような手元入力装置1は、電源がONにされると、電力供給手段によって制御手段11に電力を供給し、制御手段11が表示手段において表示を行うようになっている。また、操作者によりタッチパネル7が操作されると、制御手段11は、タッチパネル7から各種縫製データを入力し、入力した縫製データを本体制御手段13に出力するようになっている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について、手元入力装置1における省電力モードの判断につき図3を用いて説明する。
【0031】
まず、手元入力装置1の制御手段11は、液晶表示パネル8の表示が行われているか否かを判別する(ST1)。
【0032】
ここで、制御手段11は、液晶表示パネル8の表示が行われていると判断した場合には(ST1においてYes)、制御手段11から液晶表示パネル8に出力している表示データに基づき、液晶表示パネル8の表示が、図4に示すようなミシン本体2のX実寸値、Y実寸値、最高速度制限等の各種縫製条件や、糸張力設定、中押さえ設定、糸つかみ設定等の縫製条件の設定を変更するためのボタン、さらには、記録されている縫製パターンのフォルダ等を表示する縫製画面か否かを判別する(ST2)。そして、制御手段11は、縫製画面であると判断した場合には(ST2においてYes)、続いて加速度センサ10から加速度データを入力し、ミシン本体2の縫製動作による振動を感知したか否かを判別する(ST3)。一方、制御手段11は、液晶表示パネル8の表示が縫製画面ではないと判断した場合には(ST2においてNo)、タッチパネル7の最後の操作から30秒経過したか否かを判別する(ST4)。
【0033】
そして、制御手段11は、加速度センサ10から入力した加速データによりミシン本体2の縫製動作による振動を感知したと判断した場合(ST3においてYes)、または、タッチパネル7の最後の操作から30秒が経過したと判断した場合(ST4においてYes)、開閉器16を開状態にして液晶表示パネル8への電力の供給を中断することにより、液晶表示パネル8の表示を停止して省電力モードを動作させる(ST5)。一方、制御手段11は、ミシン本体2の縫製動作による振動を感知していないと判断した場合(ST3においてNo)、またはタッチパネル7の最後の操作から30秒が経過していないと判断した場合には(ST4においてNo)、開閉器16の閉状態を維持して液晶表示パネル8への電力の供給を継続することにより、液晶表示パネル8の表示を維持する(ST6)。
【0034】
また、制御手段11は、液晶表示パネル8の表示が行われていないと判断した場合には(ST1においてNo)、加速度センサ10から加速度データを入力し、手持ち操作による振動を感知したか否かを判別し(ST7)、手持ち操作による振動を感知しないと判断した場合には(ST7においてNo)、縫製データを入力する等のためにタッチパネル7が押圧操作されたか否かを判別する(ST8)。一方、制御手段11は、手持ち操作による振動を感知しないと判断した場合(ST7においてYes)、またはタッチパネル7が操作されたと判断した場合には(ST8においてYes)、開閉器16を閉状態にして液晶表示パネル8への電力の供給を開始することにより、液晶表示パネル8において表示を行う(ST9)。また、制御手段11は、タッチパネル7が操作されていないと判断した場合には(ST8においてNo)、開閉器16の開状態を維持して液晶表示パネル8に電力を供給しない状態を継続することにより、省電力モードを維持するようになっている(ST10)。
【0035】
そして、制御手段11は、手元入力装置1の電源がOFFにされるまで、前述の省電力モードの判断を繰り返す。
【0036】
本実施形態によれば、手元入力装置1には、入力装置本体3の操作状況を感知可能な加速度センサ10が設けられており、制御手段11は、ミシン本体2からデータ入力することを必要とせず、加速度センサ10により検出された加速度データのみによって、入力装置本体3の操作状況を判断して、省電力モードを動作するか否かを判断することができる。
【0037】
したがって、手元入力装置1は、手元入力装置1のみによって、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0038】
また、手元入力装置1の制御手段11は、省電力モードが動作していない状態において、加速度センサ10が縫製動作による振動を感知した場合には省電力モードを開始することができる。これにより、手元入力装置1は、本体制御手段13からミシン本体2が縫製動作を開始したことを示す縫製開始データを制御手段11に出力しないと省電力モードが動作しないという不都合を回避することができ、手元入力装置1のみによって、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0039】
さらに、制御手段11は、加速度センサ10が縫製動作による振動を感知しない場合には省電力モードが動作していない状態を維持することができる。これにより、操作者がタッチパネル7の操作を続けたい場合に手元入力装置1が省電力モードになってしまうという不都合を回避し、手元入力装置1の操作性の向上を図ることが可能となる。
【0040】
さらにまた、制御手段11は、省電力モードが動作している状態において、加速度センサ10が手持ち操作による振動を感知した場合には、省電力モードを停止することができる。このため、例えば操作者が入力装置本体3を固定台5から取り出すことにより、加速度センサ10は手持ち操作による振動を感知し、制御手段11は省電力モードを停止することができる。これにより、操作者は素早くタッチパネル7による操作を開始することができるので、手元入力装置1の操作性の向上を図ることができる。
【0041】
また、制御手段11は、省電力モードが動作している状態において、加速度センサ10が手持ち操作による振動を感知しない場合には、制御手段11がタッチパネル7から入力した縫製データに基づきタッチパネル7が操作されたか否かを判別し、タッチパネル7が操作されたと判断した場合には、省電力モードを停止することにより、手元入力装置1の操作性の向上を図ることができる。さらに、制御手段11は、タッチパネル7から入力した縫製データに基づきタッチパネル7が操作されていないと判断した場合には、省電力モードを維持することにより、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0042】
さらにまた、制御手段11は、表示手段の表示を中断することにより省電力モードを動作し、表示手段の表示を開始することにより省電力モードの動作を停止することにより、手元入力装置1において効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0043】
次に、本発明に係るミシンの手元入力装置1の第2の実施形態について、図5および図6を用いて説明する。ここで、第2の実施形態において第1の実施形態と同一の構成については詳説を省略し、同一の符号を用いて説明する。
【0044】
図5は、第2の実施形態に係るミシンの手元入力装置1の構成を示すブロック図であり、図6は、図5の手元入力装置1およびミシン本体2を示す概略図である。
【0045】
図5および図6に示すように、第2の実施形態に係る手元入力装置1は、入力装置本体3と入力装置本体3を載置する固定台5とを有している。入力装置本体3には、入力装置本体3の操作状況を感知する感知センサとして、入力装置本体3が固定台5に載置されているか否かを感知する磁気センサ18が設けられている。また、固定台5には、磁石19が配設されており、入力装置本体3の磁気センサ18は、入力装置本体3が固定台5に載置されたときに、固定台5に配設された磁石19の磁気を感知するようになっている。これにより、磁気センサ18は、入力装置本体3が固定台5に載置されているか否かを感知して、入力装置本体3の操作状況を感知するようになっている。
【0046】
入力装置本体3に設けられた制御手段11は、磁気センサ18から入力された磁気データに基づいて、入力装置本体3が固定台5に載置されているか、または入力装置本体3が固定台5から取り出されているかを判断し、入力装置本体3の操作状況に基づいて省電力モードを動作させるか否かを決定するようになっている。
【0047】
次に、第2の実施形態の作用について、図7を用いて説明する。
【0048】
制御手段11は、磁気センサ18から磁気データを入力して、入力装置本体3が固定台5に載置されているか否かを判別する(ST11)。そして、制御手段11は、固定台5に載置されていると判断した場合には(ST11においてYes)、続いて、タッチパネル7から縫製データが入力されたか否かに基づいてタッチパネル7が操作されたか否かを判別する(ST12)。そして、制御手段11は、タッチパネル7が操作されていないと判断した場合には(ST12においてNo)、液晶表示パネル8への電力の供給を中断することにより、省電力モードとする(ST13)。一方、制御手段11は、固定台5に載置されていないと判断した場合(ST12においてNo)、およびタッチパネル7から縫製データが入力されたか否かに基づいてタッチパネル7が操作されたと判断した場合には(ST12においてYes)、液晶表示パネル8に電力を供給して液晶表示パネル8の表示を行う(ST14)。
【0049】
そして、制御手段11は、手元入力装置1の電源がOFFにされるまで、前述の省電力モードの判断を繰り返す。
【0050】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、手元入力装置1には、入力装置本体3の操作状況を感知可能な磁気センサ18が設けられており、制御手段11は、ミシン本体2からデータを入力することを必要とせず、磁気センサ18からの磁気データのみによって、入力装置本体3の操作状況を判断して、省電力モードを動作するか否かを判断することができる。
【0051】
したがって、手元入力装置1は、手元入力装置1のみによって、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0052】
また、制御手段11は、磁気センサ18によって入力装置本体3が固定台5に載置されていないことを感知した場合には、液晶表示パネル8の表示を行うことができる。このため、例えば、操作者が入力装置本体3を固定台5から取り出すことにより、磁気センサ18は、入力装置本体3が固定台5に載置されていないことを感知し、制御手段11は、液晶表示パネル8を省電力モードとすることなく液晶表示パネル8の表示を行うことができる。これにより、操作者は素早くタッチパネル7による操作を開始することができ、手元入力装置1の操作性の向上を図ることができる。
【0053】
さらに、制御手段11は、磁気センサ18が入力装置本体3が固定台5に載置されていることを感知した場合には、制御手段11がタッチパネル7から入力した縫製データに基づきタッチパネル7が操作されたか否かを判別し、タッチパネル7が操作されたと判断した場合には、省電力モードを停止することにより、手元入力装置1の操作性の向上を図ることができる。さらに、制御手段11は、タッチパネル7から入力した縫製データに基づきタッチパネル7が操作されていないと判断した場合には、省電力モードを維持することにより、効率的に余分な電力の消費を削減することができる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るミシンの手元入力装置の一実施形態における構成を示すブロック図
【図2】図1の手元入力装置を示す概略図
【図3】図1の手元入力装置における省電力モードの判断工程を示すフローチャート
【図4】図1の手元入力装置の表示手段における縫製画面を示す平面図
【図5】本発明に係るミシンの手元入力装置の他の実施形態における構成を示すブロック図
【図6】図5の手元入力装置を示す概略図
【図7】図5の手元入力装置における省電力モードの判断工程を示すフローチャート
【符号の説明】
【0056】
1 手元入力装置
2 ミシン本体
3 入力装置本体
5 固定台
7 タッチパネル
8 液晶表示パネル
10 加速度センサ
11 制御手段
13 本体制御手段
15 電源供給手段
16 開閉器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンテーブルまたはミシン本体に置かれ、操作時に手持ち操作が可能な入力装置本体を備えており、前記入力装置本体には前記ミシン本体の縫製に関する縫製データを入力する入力手段と、縫製データを表示する表示手段とを備えたミシンの手元入力装置において、
前記入力装置本体には、この入力装置本体に加えられた振動を感知する感知センサを備え、
前記感知センサにより前記ミシン本体の縫製動作によるミシンモータの振動と手持ち操作による振動とを判別して、前記表示手段の省電力モードを動作するか否かを判断する制御手段を設けたことを特徴とするミシンの手元入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記省電力モードが動作していない状態において、前記感知センサが縫製動作による前記ミシンモータの振動を判別した場合には、前記省電力モードを開始し、前記感知センサが縫製動作による前記振動を判別しない場合には、前記省電力モードが動作していない状態を維持することを特徴とする請求項1に記載のミシンの手元入力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記省電力モードが動作している状態において、前記感知センサが手持ち操作による振動を判別した場合には、前記省電力モードを停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のミシンの手元入力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記感知センサが手持ち操作による振動を判別しない場合には、前記制御手段が前記入力手段から入力した縫製データに基づき、前記入力手段が操作されたか否かを判別し、前記入力手段が操作されたと判断した場合には、前記省電力モードを停止し、前記入力手段が操作されていないと判断した場合には、前記省電力モードを維持することを特徴とする請求項3に記載のミシンの手元入力装置。
【請求項5】
前記感知センサとして、加速度センサを用いることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のミシンの手元入力装置。
【請求項6】
前記入力手段を、表示手段が積層されたタッチパネルとし、
前記表示手段と、前記表示手段に電力を供給する電力供給手段との間に開閉器を設け、
前記制御手段は、前記開閉器を開状態にして前記表示手段への電力供給を中断することにより前記省電力モードを動作し、前記開閉器を閉状態にして前記表示手段への電力供給を行うことにより前記省電力モードの動作を停止することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のミシンの手元入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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