説明

ミシン

【課題】 ミシンの編集画面の操作性の向上を図る
【解決手段】 刺繍ミシン1において、タッチパネル52を具備する操作パネル5の液晶ディスプレイ51中に表示される編集ボタン55,56,57が押下された際に、当該押下された編集ボタン55,56,57を拡大した拡大画面51b、51c、51dを表示するようにした。また、この拡大画面51b、51c、51dにおいて、所定の領域を実行ボタンとして割り当て、当該押下された領域に対応する編集機能に従って模様が編集され、編集後の模様が液晶ディスプレイ51に表示されるようにした。これにより、小さな編集ボタン55,56,57を操作することで直接編集作業を行うことなく、拡大された画面で容易に編集を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに関し、特に、縫製模様を編集可能に表示する表示装置を有するミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、縫製可能な模様を画面に表示する表示装置を具備するミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかるミシンは、表示画面と操作用のタッチパネルとが一体となった操作パネルを有し、表示画面上に表示される各種の編集ボタンを押下することで縫製模様の選択、拡大、縮小或いは回転等の編集が可能となっている。そして、近年ではこれらの編集機能が豊富になってきている。
【特許文献1】特開2001−009180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記ミシンにおいては、模様を編集するための各種機能の増加に伴い表示画面の一画面中に表示される各種設定ボタンの数が増加する傾向にある。つまり、編集機能の多機能化により設定可能な多数の編集ボタンが同一画面中に表示されるため、各々の編集ボタンが小さく表示されることとなる。このため、縫製模様を編集する際に非常に操作しづらいという問題があった。また、各編集ボタンが小さく表示される結果、当該編集ボタンの機能を模式的に示す図形も小型化されて表示されるため、ミシンの作業者にあっては何れの編集ボタンがどのような機能を有するのか非常に分かりづらいという問題があった。
【0004】
本発明は、ミシンの編集画面の操作性の向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、縫製可能な複数の縫製模様の各々について縫いデータを記憶する縫いデータ記憶手段と、前記各縫いデータの中から所望の縫製模様を選択可能な模様選択手段と、前記模様選択手段により選択された縫製模様を表示する表示画面を含む表示手段と前記表示画面に設けられ、押下位置を検知する検知手段を有するタッチパネルとを備えるタッチスクリーンと、前記表示画面に、前記選択された縫製模様に対して所定の編集作業の実行を入力するための一又は二以上の編集ボタンを表示するように前記タッチスクリーンを制御する表示制御手段と、前記選択された縫製模様の縫いデータを編集後の縫製模様に応じて更新するデータ更新手段とを備え、前記表示制御手段は、何れか一つの前記編集ボタンが押下されると、当該押下された編集ボタンの拡大画面を表示すると共に、当該編集ボタンによる編集作業に付随して入力が必要となる入力操作を実行させる実行ボタンとして前記拡大画面の一部を割り当てる処理を行い、前記編集ボタンと実行ボタンの入力に従って縫製模様を編集し、該編集後の画面を表示画面中に再表示することを特徴とするミシンである。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記編集ボタンの一つは、一列に配列された模様列の並び方向の傾斜角度を変更させる編集作業の実行を入力するためのものであり、当該編集作業に付随する実行ボタンは傾斜角度の変更調節の実行を入力するためのものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記編集ボタンの一つは、一列に配列された模様列の並び方向を湾曲又は屈曲させる編集作業の実行を入力するためのものであり、当該編集作業に付随する実行ボタンは湾曲角度又は屈曲角度の変更調節の実行を入力するためのものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の発明において、前記表示制御手段は、前記編集ボタンの拡大画面を表示する際に、当該拡大画面に併設して前記編集ボタンの機能又は当該編集ボタンに付随する実行ボタンの機能を示す説明文を表示するように前記タッチスクリーンを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、表示制御手段により、タッチスクリーンの表示画面上に表示された複数の編集ボタンのうち何れか一つの編集ボタンが押下されると、当該押下された編集ボタンの拡大画面が表示されると共に、その拡大画面の一部が実行ボタンとして割り当てられる。つまり、表示画面に表示される一又は二以上の編集ボタンによってそれぞれ実行される編集作業は、当該各編集ボタンを押下した際に表示される拡大画面中の実行ボタンを操作することで実行される。これにより、例えば、複数の編集作業が割り当てられている編集ボタンを操作する場合に、当該編集ボタンを拡大表示した拡大画面中の実行ボタンを操作することで容易に編集作業を実行することができる。すなわち、縫製模様を編集する際の誤操作を防止することが出来ると共に操作性を向上することができる。
また、実行ボタンが押下されると、表示制御手段によって縫製模様が編集され、該編集後の画面が表示画面中に再表示される。これにより、全体の編集状況を容易に把握することができるため、編集画面の操作性のさらなる向上が図られる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、表示制御手段は、実行ボタンが押下された際に、一列に配列された模様列の並び方向の傾斜角度を変更して表示画面に再表示することができる。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、表示制御手段は、実行ボタンが押下された際に、一列に配列された模様列の並び方向の湾曲角度又は屈曲角度を変更して表示画面中に再表示することができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる他、特に、表示制御手段は、編集ボタンの拡大画面を表示する際に、当該拡大画面に併設して編集ボタンの機能又は当該編集ボタンに付随する実行ボタンの機能を示す説明文を表示することができる。これにより、作業者が編集操作を行う際の操作性をさらに向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図1乃至図13を用いて詳しく説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0014】
(刺繍ミシンの構成)
図1、図2に示すように、刺繍ミシン1は、下部に位置するミシンベッド11と、ミシンベッド11の一端部から上方に立ち上げられたミシン胴部12と、ミシン胴部12の上方からミシンベッド11に沿うように延設されたミシンアーム13と、を備えている。
【0015】
また、刺繍ミシン1は、ミシンアーム13の先端側となるミシン頭部13a(図1におけるミシンアーム13の左端部)の下方において上下動可能に支持された縫い針14と、ミシン頭部13aの下部に設けられ、縫い針14を支持すると共に縫い針14を上下に駆動する針駆動機構15と、縫い針14と共に針駆動機構15に支持され、刺繍縫製時に縫い針14と共に上下動する布押さえ16と、縫い針14の下方に設置され、縫い針14に対して垂直な平面に沿って被縫製物たる布地を張設状態で保持する刺繍枠17と、ミシンベッド11の対向位置に設けられ、刺繍枠17を縫い針14に垂直な面に沿って駆動する枠移動機構18と、刺繍ミシン1の動作に関する指示や設定を入力すると共に指示に必要な情報や現在状態の表示を行う操作パネル5と、を備えている。
【0016】
図1に示すミシンアーム13の左端のミシン頭部13aには、縫製を起動・停止するための起動/停止スイッチ(以下、S/Sスイッチと略称する)20と、返し縫いを行うために指示入力を行うための返し縫いスイッチ21と、縫製後の糸切りを指示入力するための糸切りスイッチ22と、縫製の速度を調整するためのスライドボリューム23とが、下方から順番に並んで設けられている。
【0017】
また、刺繍ミシン1は、操作パネル5、S/Sスイッチ20、返し縫いスイッチ21、糸切りスイッチ22及びスライドボリューム23から入力される信号に基づき、針駆動機構15、枠移動機構18及び操作パネル5を制御するマイクロコンピュータ6と、マイクロコンピュータ6にとって読取可能なプログラム、データ等を格納した記憶部63とを備えている(図2参照)。
【0018】
なお、本実施形態では、縫い針14が上下動を行う方向をZ軸方向とし、刺繍枠17が枠移動機構18により図1における左右方向に移動される方向(相互に垂直な二方向の内の一方)をX軸方向とし、刺繍枠17が枠移動機構18により図1における前後方向に移動される方向をY軸方向(相互に垂直な二方向の内の他方)として、以下の説明を行うこととする。
【0019】
(針駆動機構)
針駆動機構15は、駆動源となるミシンモータ24(図2に図示)と、ミシンモータ24の回転出力を縫い針14の上下動に変換する図示しないクランク機構とを備えている。ミシンモータ24の作動・停止のタイミングはマイクロコンピュータ6によって制御され、更にミシンモータ24の回転速度がマイクロコンピュータ6によって制御されることで縫い針14の上下動の周期が制御される。また、マイクロコンピュータ6は、上記スライドボリューム23の設定に従ってミシンモータ24の回転速度を制御するようになっている。
【0020】
(刺繍枠)
刺繍枠17は、略長方形状を成す外枠と、該外枠と同様に略長方形をなし外枠に嵌め込み可能な内枠とからなる布保持手段として設けられている。かかる刺繍枠17は、布地が内枠に張った状態で内枠と外枠の間に挟み込まれ、その枠の内側に布地の略長方形状の平面領域が形成されており、この平面領域が縫製可能領域M(図11(c)参照)となっている。また、刺繍枠17は、大中小の三サイズのものが選択的に装着可能であり、このような刺繍枠のサイズごとに縫製可能領域Mが定まるようになっている。なお、図1に示す刺繍枠17は最大サイズのものである。
【0021】
(枠移動機構)
枠移動機構18は、ミシンベッド11の上面においてX軸方向に往復移動可能に支持されたキャリッジ25と、該キャリッジ25をX軸方向に駆動するX軸モータ26(図2参照)と、キャリッジ25にY軸方向に往復移動可能に支持された刺繍枠装着部27と、刺繍枠装着部27を介して刺繍枠17をY軸方向に駆動するY軸モータ28(図2参照)とを備えた移動手段として設けられている。また、枠移動機構18は、X軸モータ26の回転出力をキャリッジ25の直動方向の動力に変換可能に設けられ、更にY軸モータ28の回転出力を刺繍枠装着部27の直動方向の動力に変換可能に設けられている。つまり、枠移動機構18は、キャリッジ25の移動と刺繍枠装着部27の移動との協働により刺繍枠17をX−Y平面(縫い針14に直行する平面)に沿って自在に移動する。従って、刺繍枠17が移動するX−Y平面上の或る位置は、互いに直交するX軸及びY軸で定められたXY座標系で表される。
【0022】
X軸モータ26とY軸モータ28とはいずれもステッピングモータであり、微小角度単位で駆動する回転角度を制御することが可能である。各モータ26,28の作動・停止のタイミングはマイクロコンピュータ6によって制御される。また、各モータ26,28の回転速度はマイクロコンピュータ6によって制御される。具体的には、縫い針14の1回の上下動当たりの各モータ26,28の回転角度がマイクロコンピュータ6によって制御され、これにより刺繍枠17が各軸方向に移動し、縫い針14の相対的な針落ち位置が決まる。
【0023】
また、刺繍枠装着部27には、刺繍枠センサ29(図2に図示)が設けられている。刺繍枠センサ29は、刺繍枠装着部27に装着される刺繍枠のサイズ(種類)を検出するものである。刺繍枠装着部27に最大サイズの刺繍枠17が装着された場合には、最大サイズを表す信号が刺繍枠センサ29からマイクロコンピュータ6に出力され、刺繍枠装着部27に中サイズの刺繍枠が装着された場合には、中サイズを表す信号が刺繍枠センサ29からマイクロコンピュータ6に出力され、刺繍枠装着部27に最小サイズの刺繍枠が装着された場合には、最小サイズを表す信号が刺繍枠センサ29からマイクロコンピュータ6に出力されるようになっている。
【0024】
(操作パネル)
図2に示すように、操作パネル5は、マイクロコンピュータ6の表示信号に従った表示を行う表示画面としての液晶ディスプレイ51と、該液晶ディスプレイ51の表示面上に重ねて設けられた透明感圧スイッチであるタッチパネル52とを備えており、本実施形態におけるタッチスクリーンとして機能する表示装置である。
タッチパネル52は、その表面上において作業者の指等により接触若しくは押下された場合に、その接触位置(押下位置)を検知する検知手段を具備すると共に、当該接触位置(押下位置)に応じた操作信号をマイクロコンピュータ6に出力する機能を備えている。
液晶ディスプレイ51は、マイクロコンピュータ6の表示信号に従って操作画面中に各種のスイッチ(アイコン)を表示する表示手段として機能する。そして、後述するマイクロコンピュータ6は、タッチパネル52の出力を受けていずれの位置に接触されたかを認識すると共にその際に液晶ディスプレイ51に表示されているいずれのスイッチに対する操作入力であるかを照合することで、作業者がいずれの操作を行っているかを認識する。
【0025】
(記憶部)
記憶部63は、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体又は半導体メモリを有しており、これら磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体又は半導体メモリにはプログラム及びデータが予め格納されている。記憶部63に記憶されているプログラムは、マイクロコンピュータ6が読取可能なプログラムコードの形態で格納され、当該プログラムコードに従った動作がマイクロコンピュータ6の制御下にて逐次実行される。
この記憶部63に記憶されるデータとしては、縫製可能な複数の縫製模様の各々についての縫いデータがあり、縫製模様ごとに、一針ごとの針落ちに対して刺繍枠17のXY座標が対応付けられている。つまり、記憶部63は、縫製可能な複数の縫製模様の各々について縫いデータを記憶する本実施形態における縫いデータ記憶手段として機能する。また、記憶部63に記憶されるデータとして、刺繍枠の種類ごとに対応付けられた領域データがある。領域データとは、その領域データに対応付けられた上述した刺繍枠の縫製可能領域Mを表すものである。
【0026】
(マイクロコンピュータ)
マイクロコンピュータ6は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を具備する制御装置である。このマイクロコンピュータ6は、図2に示すように、操作パネル5、S/Sスイッチ20、返し縫いスイッチ21、糸切りスイッチ22、スライドボリューム23及び刺繍枠センサ29から入力された信号に応じて処理を行い、記憶部63に記憶されたプログラムに従って針駆動機構15の駆動源たるミシンモータ24や、枠移動機構18の駆動源たるX軸モータ26、Y軸モータ28、及び操作パネル5の動作を集中制御する。
【0027】
また、マイクロコンピュータ6は、記憶部63に記憶されたプログラムに従って以下のように機能する。
すなわち、マイクロコンピュータ6は、操作パネル5を制御することで、図3に示す編集画面51a(後述する)や縫製可能な複数種類の縫製模様を液晶ディスプレイ51に表示させる表示手段として機能する。また、マイクロコンピュータ6は、タッチパネル52から入力した操作信号により記憶部63に記憶された上記複数種類の縫製模様の縫いデータの中から所望の縫製模様を選択することを可能とする模様選択手段として機能する。また、マイクロコンピュータ6は、模様選択手段として、図12及び図13に示すアルファベットやひらがな等の文字群から一又は二以上の文字を縫製模様として選択可能とすると共に、表示手段として、これら選択された文字を一列に配列した文字列(例えば、ABCD、STAR・・・等)すなわち模様列を液晶ディスプレイ51に表示する。また、マイクロコンピュータ6は、上記選択された縫製模様に対して所定の編集作業の実行を入力するための各編集ボタン55,56,57を液晶ディスプレイ51に表示するように操作パネル(タッチスクリーン)5を制御する表示制御手段として機能する。本実施形態では、編集画面51a内に各編集ボタン55,56,57が表示される。
【0028】
さらに、本実施形態におけるマイクロコンピュータ6は、表示制御手段として、各編集ボタン55,56,57のうち何れか一つのボタンが押下されると、当該押下されたボタンの拡大画面51b、51c、51d(後述する)を液晶ディスプレイ51に表示すると共に、各拡大画面51b,51c,51dの一部を各編集ボタン55,56,57による編集作業に付随して入力が必要となる入力操作を実行させる実行ボタン58,58a,58b,59,59a,59bとして割り当てる処理を行う(図4,図5及び図6参照)。
【0029】
また、マイクロコンピュータ6は、各編集ボタン55,56,57の拡大画面51b、51c、51dを表示する際に、当該拡大画面51b、51c、51dの上方及び下方に併設して編集ボタン55,56,57の機能又は当該編集ボタン55,56,57に付随する各実行ボタン58,58a,58b,59,59a,59bの機能を示す説明文を表示するように操作パネル(タッチスクリーン)5を制御する(図4、図5及び図6参照)。
【0030】
また、マイクロコンピュータ6は、各編集ボタン55,56,57と各実行ボタン58,58a,58b,59,59a,59bの入力に従って縫製模様を編集し、該編集後の画面を液晶ディスプレイ51に再表示するように操作パネル5を制御する。つまり、マイクロコンピュータ6は、模様選択手段として選択した縫製模様(文字列)の縫いデータを、編集後の縫製模様に応じて更新するデータ更新手段として機能するものである。
【0031】
ここで、図3〜図6を参照して液晶ディスプレイ51に表示される編集画面51a及び拡大画面51b、51c、51dについて説明する。
図3に示すように、編集画面51aには、模様選択ボタン53や文字選択ボタン54の他に、編集ボタン55,56,57や模様表示部510が設けられている。
模様選択ボタン53は、各種縫い目模様や刺繍模様等の模様群(図示略)から所望の模様を選択するための図示しない模様選択画面を表示させるためのボタンであり、文字選択ボタン54は、アルファベットやひらがな等の文字群(図12及び図13参照)から所望の文字を選択するために図12又は図13に示す文字選択画面51dを表示させるためのボタンである。また、模様表示部510は、模様選択画面や文字選択画面51dで選択された文字列(模様列)を液晶ディスプレイ51上に編集可能に表示する表示部である。
そして、編集ボタン55,56,57は、模様選択画面や文字選択画面51dにおいて選択された模様列や文字列の並び方向の傾斜角度を変更させたり、該並び方向を屈曲或いは湾曲させたりする編集作業を行うためのボタンである。具体的に、本実施形態では編集画面51a中に表示される編集ボタン55が押下されると図4に示す拡大画面51bが表示され、編集ボタン56が押下されると図5に示す拡大画面51cが表示され、編集ボタン57が押下されると図6に示す拡大画面51dが表示される。
【0032】
図4に示す拡大画面51bは、編集ボタン55の図形(アイコン)がそのまま拡大された図形である。この拡大画面51bにおける上下方向の中央部には、水平方向に並んで文字列A,B,C及びDが表示されている。また、この文字列の上方には選択された文字列を上方に屈曲する編集作業を行うことを示す矢印512が表示され、文字列の下方には選択された文字列を下方に屈曲する編集作業を行うことを示す矢印513が表示されるようになっている。
さらに、本実施形態では、矢印512を含む拡大画面51bの上部の領域が、選択された文字列を後述する編集処理Aにより上方に屈曲させるための入力ボタンすなわち実行ボタン58として割り当てられている。また、矢印513を含む拡大画面51bの下部の領域は、選択された文字列を編集処理Aにより下方に屈曲させるための入力ボタンすなわち実行ボタン59として割り当てられている。また、拡大画面51bに併設して該拡大画面51bの上方及び下方には、それぞれ、矢印512及び513を押下した際の編集機能を作業者に示す説明文(例えば、「矢印方向に変形します」)が表示されるようになっている。
そして、これら拡大画面51b及び説明文は、編集ボタン55から引き出され編集画面51aに重ねて表示された吹き出し画面中に表示される。また、吹き出し画面には、拡大画面51bの表示を終了して編集画面51aに戻るための戻るボタン511が設けられている。この戻るボタン511が押下されると、編集処理Aにより編集された模様の縫いデータが記憶部63内に新たに記憶される。
【0033】
図5に示す拡大画面51cは、拡大画面51bと同様に、編集ボタン56がそのまま拡大された図形であって、編集ボタン56から引き出された吹き出し画面中に表示されるようになっている。この拡大画面51cの一部すなわち矢印514を含む上部の領域は、後述する編集処理Bにより模様表示部510に表示される文字列の並び方向の傾斜角度を文字列の右端を中心に時計回り方向に回転せる実行ボタン58aとして割り当てられている。また、拡大画面51cの一部すなわち矢印515を含む下部の領域は、編集処理Bにより上記文字列の並び方向の傾斜角度を文字列の右端を中心に反時計回り方向に回転させる実行ボタン59aとして割り当てられている。また、拡大画面51cが表示される吹き出し画面には、拡大画面51cの上方及び下方に併設して矢印514及び515を押下した際の編集機能を示す説明文(例えば、「矢印方向に変形します」)と、拡大画面51cの表示を終了して編集画面51aに戻るための戻るボタン511が設けられている。この戻るボタン511が押下されると、編集処理Bにより編集された模様の縫いデータが記憶部63内に新たに記憶される。
【0034】
図6に示す拡大画面51dは、編集ボタン57がそのまま拡大された図形であって、編集ボタン57から引き出された吹き出し画面中に表示されるようになっている。この拡大画面51dの一部すなわち矢印516を含む上部の領域は、後述する編集処理Cにより模様表示部510に表示される文字列の並び方向の傾斜角度を文字列の左端を中心に反時計回り方向に回転せる実行ボタン58bとして割り当てられている。また、拡大画面51dの一部すなわち矢印517を含む下部の領域は、編集処理Cにより上記文字列の並び方向の傾斜角度を文字列の左端を中心に時計回り方向に回転させる実行ボタン59bとして割り当てられている。また、拡大画面51dが表示される吹き出し画面には、拡大画面51dの上方及び下方に併設して矢印516及び517を押下した際の編集機能を示す説明文(例えば、「矢印方向に変形します」)と、拡大画面51dの表示を終了して編集画面51aに戻るための戻るボタン511が設けられている。この戻るボタン511が押下されると、編集処理Cにより編集された模様の縫いデータが記憶部63内に新たに記憶される。
【0035】
(刺繍ミシンの動作)
次に、刺繍ミシン1の動作について説明する。
作業者が刺繍枠17に布地をセッティングし、刺繍ミシン1を起動させると、マイクロコンピュータ6が記憶部63に格納されたプログラムを読み込み、そのプログラムに従って図7〜図9のフローチャートに示すように処理を行う。
【0036】
図7に示すように、まず、マイクロコンピュータ6が液晶ディスプレイ51に表示信号を出力し、その表示信号に従って液晶ディスプレイ51が表示動作を行うことで、図3に示す編集画面51aが表示される。
次に、縫製模様の選択を行う(ステップS101)。縫製模様の選択は、模様選択ボタン53を押下することで表示される図示しない模様選択画面、或いは文字選択ボタン54を押下することで表示される文字選択画面51d(図12及び図13参照)において行われる。本実施形態では、例として、図12に示す文字選択画面(アルファベット)51dから、「STAR」の4文字からなる文字列を選択することとする(図12(a)〜図12(d)参照)。すなわち、文字選択ボタン54が押下されると、図12に示す文字選択画面51dが表示され、この文字選択画面51d中に表示される複数の文字ボタン群(キーマトリクス)から、所望の文字ボタン「S」「T」「A」「R」を順次押下して選択することで縫製模様としての文字列「STAR」が選択される。そして、文字の選択が終了し戻るボタンが押下されると、マイクロコンピュータ6は、選択された文字列「STAR」を液晶ディスプレイ51に表示される編集画面51aの模様表示部510に表示する制御を行う(図3参照)。なお、この段階では、選択された文字列が模様表示部510内において水平方向に並んで表示される。
【0037】
次に、マイクロコンピュータ6は、図7に示すように、編集ボタン55が押下されたか否かの判断を行う(ステップS102)。編集ボタン55が押下されると(ステップS102;Yes)、マイクロコンピュータ6は、液晶ディスプレイ51の編集画面51a上に編集ボタン55を拡大表示した拡大画面51b(図4参照)を表示する制御を行う(ステップS103)。
ここで、拡大画面51bは、編集ボタン55と同じ柄のアイコンを拡大表示した図形すなわち、編集ボタン55と相似の絵柄が表示された画面であり、当該拡大画面51bを表示するためのデータは編集ボタン55を表示するためのデータとは別に予め記憶部63に格納されている。
そして、拡大画面51bが表示されると、マイクロコンピュータ6は、該拡大画面51bにおいて実行ボタン58又は59が押下されたか否かの判断を行う(ステップS104)。実行ボタン58又は59が押下された場合(ステップS104;Yes)は、図8のフローチャートに示す編集処理A(後述する)に移行する(ステップS106)。ステップS104において実行ボタン58,59の操作が検出されない場合(ステップS104;No)、マイクロコンピュータ6は、戻るボタン511が押下されたか否かの判断を行う(ステップS105)。そして、戻るボタン511が押下された場合(ステップS105;Yes)、マイクロコンピュータ6は、再び編集画面51aを表示する。また、戻るボタン511が押下されない場合(ステップS105;No)は、編集ボタン55が押下されたか否かの判断を行う(ステップS102)。
【0038】
ステップS102において、編集ボタン55が押下されない場合(ステップS102;No)、編集ボタン56が押下されたか否かの判断が行われる(ステップS107)。編集ボタン56が押下されると(ステップS107;Yes)、マイクロコンピュータ6は、液晶ディスプレイ51の編集画面51a上に編集ボタン56を拡大表示した拡大画面51c(図5参照)を表示する制御を行う(ステップS108)。
拡大画面51cは、上記拡大画面51bと同様に、編集ボタン56と同じ柄のアイコンを拡大表示した図形すなわち、編集ボタン56と相似の絵柄が表示された画面であり、当該拡大画面51cを表示するためのデータは編集ボタン56を表示するためのデータとは別に予め記憶部63に格納されている。
そして、拡大画面51cが表示されると、マイクロコンピュータ6は、該拡大画面51cにおいて実行ボタン58a又は59aが押下されたか否かの判断を行う(ステップS109)。実行ボタン58a又は59aが押下された場合(ステップS109;Yes)、図9のフローチャートに示す編集処理B(後述する)に移行する(ステップS111)。ステップS109において実行ボタン58a,59aの操作が検出されない場合(ステップS109;No)、マイクロコンピュータ6は、戻るボタン511が押下されたか否かの判断を行う(ステップS110)。戻るボタン511が押下された場合(ステップS110;Yes)、マイクロコンピュータ6は、再び編集画面51aを表示する。また、戻るボタン511が押下されない場合(ステップS110;No)は、編集ボタン56が押下されたか否かの判断を行う(ステップS107)。
【0039】
また、図7に示すように、ステップS107において、編集ボタン56が押下されない場合(ステップS107;No)、編集ボタン57が押下されたか否かの判断が行われる(ステップS112)。
編集ボタン57が押下されると(ステップS112;Yes)、マイクロコンピュータ6は、液晶ディスプレイ51の編集画面51a上に編集ボタン57を拡大表示した拡大画面51d(図6参照)を表示する制御を行う(ステップS113)。
拡大画面51dは、上記拡大画面51b及び拡大画面51cと同様に、編集ボタン57と同じ柄のアイコンを拡大表示した図形すなわち、編集ボタン57と相似の絵柄が表示された画面であり、当該拡大画面51dを表示するためのデータは編集ボタン57を表示するためのデータとは別に予め記憶部63に格納されている。
そして、拡大画面51dが表示されると、マイクロコンピュータ6は、該拡大画面51dにおいて実行ボタン58b又は59bが押下されたか否かの判断を行う(ステップS114)。実行ボタン58b又は59bが押下された場合(ステップS114;Yes)、編集処理C(後述する)に移行する(ステップS116)。ステップS114において実行ボタン58b,59bの操作が検出されない場合(ステップS114;No)、マイクロコンピュータ6は、戻るボタン511が押下されたか否かの判断を行う(ステップS115)。そして、戻るボタン511が押下された場合(ステップS115;Yes)、マイクロコンピュータ6は、再び編集画面51aを表示する。また、戻るボタン511が押下されない場合(ステップS115;No)は、編集ボタン57が押下されたか否かの判断を行う(ステップS112)。そして、マイクロコンピュータ6は、上記各処理及び判断を繰り返し順次実行する。
【0040】
次に、図8に示すフローチャートに基づき、図7に示す編集処理Aの処理動作について説明する。この編集処理Aでは、ステップS101において選択された文字列「STAR」の並び方向を、当該文字列の下方に表示される基準線L(図10参照)の中央部を基準に上方又は下方に屈曲させる編集作業が行われる。なお、編集処理Aが行われる前は、図10(a)に示すように、選択された文字列が水平に配列された状態で模様表示部510に表示される。
かかる編集処理Aに移行すると、マイクロコンピュータ6は、実行ボタン58として割り当てられた領域(図4参照)が押下されたか否かの判断を行う(ステップS201)。本実施形態では、実行ボタン58が一回押下される毎に、文字列の下方に表示される基準線Lの中央部を基準に左右両側をそれぞれ所定の角度θ1(例えば、θ1=10°,20°・・・等)だけ上方に屈曲させる処理が行われる(図10(a)〜図10(e)参照)。そして、実行ボタン58が押下されると(ステップS201;Yes)、マイクロコンピュータ6は、一回の屈曲で加える所定の角度θ1を加算した後の累積角度θが、屈曲の限界値である所定の角度θを超えない範囲(θ≦θ)であるか否かの判断を行う(ステップS202)。そして、累積角度θがθを超えない範囲(θ≦θ)である場合(ステップS202;Yes)、マイクロコンピュータ6は、文字列の中心を基準にして所定角度θ1を加算して左右両側を上方に屈曲させた仮想直線L1を演算し、該仮想直線L1を模様表示部510に表示する処理を行う(ステップS203)と共に、上記仮想直線L1に沿って再配列した文字列を模様表示部510に再表示(図10(b)参照)する処理を行う(ステップS204)。その後、マイクロコンピュータ6は、戻るボタン511が押下されたか否かの判断を行う(ステップS205)。戻るボタン511が押下された場合(ステップS205;Yes)、マイクロコンピュータ6は、編集処理Aを終了して図7に示すステップS104に再び移行する。戻るボタン511が押下されない場合(ステップS205;No)は、再び実行ボタン58が押下されたか否かの判断を行う(ステップS201)。
ステップS202において、累積角度θがθを超える(θ>θ)場合(ステップS202;No)、マイクロコンピュータ6は、ステップS201で押下された実行ボタン58の操作を無効とし(ステップS206)、新たにθ1を加算する演算処理を実行することなく、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS205)。つまり、上記ステップS206により、例えば、ステップS202におけるθの値を、何れかの文字の針落ち同士が重複しないようにすることで、各文字すなわち模様同士の重複が防止される。
【0041】
ステップS201において、実行ボタン58が押下されたことが検出されない場合(ステップS201;No)、マイクロコンピュータ6は、実行ボタン59として割り当てられた領域(図4参照)が押下されたか否かの判断を行う(ステップS207)。本実施形態では、実行ボタン59が一回押下される毎に、文字列の下方に表示される基準線Lの中央部を基準に左右両側をそれぞれ所定の角度θ1(例えば、θ1=10°,20°・・・等)だけ下方に屈曲させる処理が行われる(図10(f)〜図10(g)参照)。つまり、実行ボタン59を押下した際には、上記実行ボタン58と逆の編集作業が行われる。
そして、実行ボタン59が押下されると(ステップS207;Yes)、マイクロコンピュータ6は、一回の屈曲で減じる所定の角度θ1を減算した後の累積角度θが、屈曲の限界値である所定の角度θを超えない範囲(θ≦θ)であるか否かの判断を行う(ステップS208)。そして、累積角度θがθを超えない範囲(θ≦θ)である場合(ステップS208;Yes)、マイクロコンピュータ6は、文字列の中心を基準にして所定角度θ1を減算して下方に屈曲させた仮想直線L1を演算し、該仮想直線L1を模様表示部510に表示する処理を行う(ステップS209)と共に、上記仮想直線L1に沿って再配列した文字列を模様表示部510に再表示(図10(f)参照)する処理を行う(ステップS210)。そして、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS205)。また、ステップS208において、累積角度θがθを超える(θ>θ)場合(ステップS208;No)、マイクロコンピュータ6は、ステップS207における実行ボタン59の操作を無効とし(ステップS211)、新たにθ1を減ずる演算処理を実行することなく、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS205)。また、ステップS207において、実行ボタン59が押下されない場合(ステップS207;No)も、ステップS205に移行することとなる。そして、マイクロコンピュータ6は、上記各処理及び判断を繰り返し順次実行する。なお、図10(g)は、実行ボタン59が2回押下された際に表示される文字列の状態を示す。
【0042】
次に、図9に示すフローチャートに基づき、図7に示す編集処理Bの処理動作について説明する。この編集処理Bでは、ステップS101において選択された文字列「STAR」の並び方向の傾斜角度を、当該文字列の下方に表示される基準線Lの右端を中心に変更(回転)させる編集作業が行われる。なお、編集処理Bが行われる前は、図10(a)に示すように、選択された文字列が水平に配列された状態で模様表示部510に表示される。
かかる編集処理Bに移行すると、マイクロコンピュータ6は、実行ボタン58aが押下されたか否かの判断を行う(ステップS301)。本実施形態では、実行ボタン58aが一回押下される毎に、文字列の下方に表示される基準線Lの右端を中心に所定の角度θ1 (例えば、θ1=10°,20°・・・等)だけ時計周り方向に変更(回転)させる処理が行われる(図11(a)〜図11(b)参照)。そして、実行ボタン58aが押下されると(ステップS301;Yes)、一回の変更を行った後の文字列における全ての針落ちのXY座標が、刺繍枠によって定まる上述した縫製可能領域M(図11(c)参照)内に納まるか否かを判断する(ステップS302)。そして、縫製可能領域M内に納まる場合(ステップS302;Yes)、マイクロコンピュータ6は、文字列の右端を中心に所定角度θを加算して時計周り方向に回転させた仮想直線L2を模様表示部510に表示する処理を行う(ステップS303)と共に、この仮想直線L2に沿って再配列した文字列を模様表示部510に再表示する処理を行う(ステップS304)。その後、マイクロコンピュータ6は、戻るボタン511が押下されたか否かの判断を行う(ステップS305)。戻るボタン511が押下された場合(ステップS305;Yes)、マイクロコンピュータ6は、編集処理Bを終了して図7に示すステップS109に再び移行する。戻るボタン511が押下されない場合(ステップS305;No)は、再び実行ボタン58aが押下されたか否かの判断に移行する(ステップS301)。
ステップS302において、変更後の文字列における全ての針落ちが縫製可能領域M内に納まらない場合(ステップS302;No)、すなわち、文字列を構成する何れかの文字の針落ちのXY座標が縫製可能領域M内に納まらない場合、マイクロコンピュータ6は、ステップS301で押下された実行ボタン58の操作を無効とし(ステップS306)、新たにθ1を加算する演算処理を実行することなく、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS305)。
【0043】
ステップS201において、実行ボタン58aが押下されたことが検出されない場合(ステップS301;No)、マイクロコンピュータ6は、実行ボタン59aが押下されたか否かの判断を行う(ステップS307)。本実施形態では、実行ボタン59aが一回押下される毎に、文字列の下方に表示される基準線Lの右端を基準に所定の角度θ1 (例えば、θ1=10°,20°・・・等)だけ反時計回り方向に回転させる処理が行われる。つまり、実行ボタン59aを押下した際には、実行ボタン58aと逆の編集作業が行われる。
そして、実行ボタン59aが押下されると(ステップS307;Yes)、マイクロコンピュータ6は、一回の変更(回転)で減じる所定の角度θ1を減算した後の文字列における全ての針落ちが、縫製可能領域M内であるか否かの判断を行う(ステップS308)。そして、縫製可能領域M内である場合(ステップS308;Yes)、マイクロコンピュータ6は、文字列の下方に表示される基準線Lの右端を基準にして所定角度θ1を減算して反時計周り方向に回転させた仮想直線L2を演算し、該仮想直線L2を模様表示部510に表示する処理を行う(ステップS309)と共に、上記仮想直線L2に沿って再配列した文字列を模様表示部510に再表示する処理を行う(ステップS310)。そして、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS305)。また、ステップS308において、変更後の文字列における全ての針落ちが縫製可能領域M内には納まらない場合(ステップS308;No)、マイクロコンピュータ6は、ステップS307における実行ボタン59aの操作を無効とし(ステップS311)、新たにθ1を減ずる演算処理を実行することなく、戻るボタン511が押下されたか否かの判断に移行する(ステップS305)。また、ステップS307において、実行ボタン59aが押下されない場合(ステップS307;No)も、ステップS305に移行することとなる。そして、マイクロコンピュータ6は、上記各処理及び判断を繰り返し順次実行する。
【0044】
図7に示す編集処理Cの処理動作について説明すると、この編集処理Cでは、ステップS101において選択された文字列「STAR」の並び方向の傾斜角度を、当該文字列の下方に表示される基準線Lの左端を中心に変更(回転)させる編集作業が行われる(図6参照)。かかる編集処理Cは、基準線Lの左端を中心に傾斜角度を変更(回転)する他は上述した編集処理Bと同様に行われる。つまり、実行ボタン58bが押下されると、マイクロコンピュータ6は、基準線Lの左端を中心に所定角度θだけ反時計周り方向に回転した仮想直線(L3)を表示すると共に、該仮想直線(L3)に沿って再配列した文字列を模様表示部510に再表示する処理を行う。また、実行ボタン59bが押下された場合は、上記実行ボタン58bと逆の編集作業が実行される。
【0045】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態たるミシン1によれば、編集ボタン55〜57が押下されると、当該各編集ボタン55〜57を拡大表示した拡大画面51b、51c、51dが表示されるため、縫製模様の編集における操作性を向上することができる。また、拡大画面51b、51c、51dは、編集画面51aと同一の画面上に表示されるため、全体の編集状況を容易に把握することができる。また、表示画面たる液晶ディスプレイ51の表示エリアを有効に使用するため、コストの低減が図られる。また、拡大画面51b、51c、51dには、該拡大画面51b、51c、51d中の実行ボタン58,58a,58b,59,59a,59bを押下した際の機能を説明する説明文を表示するため、編集操作を行う作業者の操作性をさらに向上することができる。
【0046】
(その他)
なお、上述したように、本実施形態では模様には文字を含むものとし、模様列には文字列を含むものとする。
また、編集ボタン55,56,57の編集機能や、各実行ボタン58,58a,58b,59,59a,59bの機能を示す説明文は、各拡大画面51b、51c、51dの上方及び下方に表示することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、各拡大画面51b、51c、51dの左右に表示することとしてもよい。
また、本実施形態では、縫製模様として「STAR」の4文字すなわち偶数個の文字からなる文字列を例に挙げて説明したが、例えば、5文字、7文字等、奇数個の文字からなる文字列を縫製模様とする場合には、編集処理Aにおいて屈曲又は湾曲させる際の中心を本実施形態同様に文字列の中央部としてもよく、また、左右何れかにオフセットさせることとしてもよい。
また、上記説明文は、各編集ボタン55,56,57の機能或いは実効ボタンの機能を説明する適当な文言とすることができることは言うまでもない。
また、本実施形態では、編集処理Aにより、基準線Lの中央部を基準に左右両側を所定角度θずつ上方又は下方に屈曲することとしているが、基準線Lの中央部を基準に所定量ずつ上方又は下方に湾曲させることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を適用した実施形態の刺繍ミシンを示した正面図である。
【図2】上記刺繍ミシンの構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態における編集画面を示す説明図である。
【図4】本実施形態における編集ボタン及び拡大画面を示す説明図である。
【図5】本実施形態における編集ボタン及び拡大画面を示す説明図である。
【図6】本実施形態における編集ボタン及び拡大画面を示す説明図である。
【図7】上記刺繍ミシンに備わるマイクロコンピュータによる処理を示したフローチャートである。
【図8】図7における編集処理Aにおける動作処理を示すフローチャートである。
【図9】図7における編集処理Bにおける動作処理を示すフローチャートである。
【図10】編集処理Aによる編集動作を示す動作説明図である。
【図11】編集処理Bによる編集動作を示す動作説明図である。
【図12】文字選択画面(アルファベット)を示す概略図である。
【図13】文字選択画面(ひらがな)を示す概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 刺繍ミシン(ミシン)
5 操作パネル(表示手段)
6 マイクロコンピュータ(表示制御手段)
11 ミシンベッド
12 ミシン胴部
13 ミシンアーム
13a ミシン頭部
14 縫い針
15 針駆動機構
16 布押さえ
17 刺繍枠
18 枠移動機構
20 起動/停止スイッチ(S/Sスイッチ)
21 返し縫いスイッチ
22 糸切りスイッチ
23 スライドボリューム
24 ミシンモータ
25 キャリッジ
26 X軸モータ
28 Y軸モータ
29 刺繍枠センサ
51 液晶ディスプレイ(表示画面)
51a 編集画面
51b,51c,51d 拡大画面
510 模様表示部
511 戻るボタン
52 タッチパネル(模様選択手段)
53 模様選択ボタン
54 文字選択ボタン
55,56,57 編集ボタン
58,58a,58b,59,59a,59b 実行ボタン
63 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製可能な複数の縫製模様の各々について縫いデータを記憶する縫いデータ記憶手段と、
前記各縫いデータの中から所望の縫製模様を選択可能な模様選択手段と、
前記模様選択手段により選択された縫製模様を表示する表示画面を含む表示手段と前記表示画面に設けられ、押下位置を検知する検知手段を有するタッチパネルとを備えるタッチスクリーンと、
前記表示画面に、前記選択された縫製模様に対して所定の編集作業の実行を入力するための一又は二以上の編集ボタンを表示するように前記タッチスクリーンを制御する表示制御手段と、
前記選択された縫製模様の縫いデータを編集後の縫製模様に応じて更新するデータ更新手段とを備え、
前記表示制御手段は、何れか一つの前記編集ボタンが押下されると、当該押下された編集ボタンの拡大画面を表示すると共に、当該編集ボタンによる編集作業に付随して入力が必要となる入力操作を実行させる実行ボタンとして前記拡大画面の一部を割り当てる処理を行い、前記編集ボタンと実行ボタンの入力に従って縫製模様を編集し、該編集後の画面を表示画面中に再表示することを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記編集ボタンの一つは、一列に配列された模様列の並び方向の傾斜角度を変更させる編集作業の実行を入力するためのものであり、当該編集作業に付随する実行ボタンは傾斜角度の変更調節の実行を入力するためのものであることを特徴とする請求項1記載のミシン。
【請求項3】
前記編集ボタンの一つは、一列に配列された模様列の並び方向を湾曲又は屈曲させる編集作業の実行を入力するためのものであり、当該編集作業に付随する実行ボタンは湾曲角度又は屈曲角度の変更調節の実行を入力するためのものであることを特徴とする請求項1又は2記載のミシン。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記編集ボタンの拡大画面を表示する際に、当該拡大画面に併設して前記編集ボタンの機能又は当該編集ボタンに付随する実行ボタンの機能を示す説明文を表示するように前記タッチスクリーンを制御することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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