説明

ミスト切削・研削油剤組成物及び切削・研削加工方法

【課題】 鉄系金属、非鉄金属等の加工性能に優れたミスト切削・研削油剤組成物及びそれを用いた切削・研削加工方法を提供する。
【解決手段】 本発明のミスト切削・研削油剤組成物は、ポリブテンを、5質量%を超えて含有することを特徴とする。ポリブテンの数平均分子量は、10,000以下であることが好ましい。また、本発明の切削・研削加工方法は、上記ミスト切削・研削油剤組成物を、被加工物の加工部周辺に、霧状に供給し、切削加工又は研削加工を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系金属、非鉄金属等を、タップ、ドリル、エンドミル、ブローチ、バイト、砥石等の工具と、旋盤、ボール盤、フライス盤、研削盤等の工作機械とを用いた切削加工又は研削加工に好適なミスト切削・研削油剤組成物及びそれを用いた切削・研削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属、合金等の切削・研削加工は、通常、1分間に数リットルから数十リットルの不水溶性切削油剤又は水溶性切削油剤を循環供給して行われている。油剤組成物の使用目的は、タップ、ドリル、エンドミル、ブローチ、バイト、砥石等の工具寿命の延長や被削材の加工面品位の向上、具体的には表面粗さ、寸法精度等の向上といった品質面の向上;加工時間の短縮等生産性の向上等にある。
しかし、多量の油剤組成物を使用して加工を行う従来の方法においては、油剤組成物の供給、冷却及び切り屑処理のために多量の電力が必要である。更に、油剤組成物は、長期間にわたって使用するため、不水溶性切削油剤では、経時による劣化や潤滑油等の混入による組成変化を引き起こす場合がある。また、水溶性切削油剤では、経時による劣化や微生物により、含有成分の分離、更には、油剤組成物の安定性が低下し、所定の性能を維持できなくなり、使用不可能な状態となる場合がある。
【0003】
上述の方法に対して、近年、極微量の油剤を圧縮空気とともに工具の刃先もしくはその近傍に供給しながら切削・研削加工を行うシステムが開発され、特に、機械加工分野において、従来の油剤組成物供給方法からこの方法への変更検討が行われている。
このようなミスト切削・研削加工方法に用いられる油剤組成物としては、エステルを主成分としたものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5等)。特許文献6には、鉱油及び/又は合成油からなる基油に、硫黄系極圧添加剤、カルボン酸エステル等を配合してなる油剤組成物が開示されている。また、特許文献7には、分子量が400〜2,500のポリイソブチレンを1〜5質量%加えた基油としてのポリカルボン酸エステルからなるミストオイル潤滑剤が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−192685号公報
【特許文献2】特開2001−192686号公報
【特許文献3】特開2001−192690号公報
【特許文献4】特開2001−192691号公報
【特許文献5】特開2001−354983号公報
【特許文献6】特開2003−55679号公報
【特許文献7】特表2000−507288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エステル、油脂等を主成分とする油剤組成物は、従来の油剤組成物を多量に使用する加工方法と比較して十分な加工性能が得られないといった問題があり、結果的に油剤噴霧量の増加や、ミスト加工を断念する事例もある。
本発明の目的は、鉄系金属、非鉄金属等の加工性能に優れたミスト切削・研削油剤組成物及びそれを用いた切削・研削加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鉄系金属、非鉄金属等の切削加工又は研削加工に、ポリブテン等の高分子化合物を主成分とする油剤組成物を用いたところ、優れた加工性能が得られたことが分かった。
即ち、本発明の要旨は、以下の通りである。
1.ポリブテンを、5質量%を超えて含有することを特徴とするミスト切削・研削油剤組成物。
2.上記ポリブテンの数平均分子量が、10,000以下である上記1に記載のミスト切削・研削油剤組成物。
3.更に、カルボン酸、アルコール及びエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物を含有し、該化合物の含有量の合計が本組成物全体に対し、95質量%未満である上記1又は2に記載のミスト切削・研削油剤組成物。
4.上記1乃至3のいずれかに記載のミスト切削・研削油剤組成物を、被加工物の加工部周辺に、霧状に供給し、切削加工又は研削加工を行うことを特徴とする切削・研削加工方法。
5.上記ミスト切削・研削油剤組成物が、圧縮流体とともに供給される上記4に記載の切削・研削加工方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のミスト切削・研削油剤組成物によれば、純鉄、鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、快削鋼等の鉄系金属;銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金等の非鉄金属;樹脂等の切削加工及び研削加工を効率よく行うことができる。特に、タッピングトルク、切削抵抗等を低くすることができるとともに、摩擦係数も小さくなり、作業性が向上する。
本発明の切削・研削加工方法によれば、ミスト切削・研削油剤組成物を、極少量で用いることができるため、廃液量を大幅に削減できる。また、ミスト切削・研削油剤組成物が圧縮流体とともに供給された場合には、冷却の必要がなく、切り屑処理を同時に施すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のミスト切削・研削油剤組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、ポリブテンを、5質量%を超えて含有することを特徴とする。
【0009】
ポリブテンは、1−ブテン、2−ブテン及びイソブテン(「イソブチレン」、「2−メチルプロペン」ともいう。)から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いて得られた重合体である。即ち、各化合物のみを用いてなる単独重合体であってよいし、2種又は3種を用いてなる共重合体であってよいし、上記化合物の1種以上と、炭素数が2以上のα−オレフィン化合物との共重合体;上記化合物の1種以上と、炭素数が4以上のジオレフィン化合物との共重合体等であってもよい。共重合体の場合は、該共重合体中に、上記化合物(1−ブテン、2−ブテン及びイソブテン)からなる単位を好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上含むものとする。また、これらは、ランダム共重合体であってよいし、ブロック共重合体であってもよい。
また、上記ポリブテンは、末端等に不飽和二重結合を有する重合体であってよいし、不飽和二重結合を有さない重合体であってもよい。後者の場合は、不飽和二重結合を有する重合体が完全水素添加されたものであってもよい。
【0010】
従って、上記ポリブテンとしては、1−ブテンのみを用いて得られたポリブテン−1、2−ブテンを用いて得られたシス型ポリブテン又はトランス型ポリブテン、イソブテンのみを用いて得られたポリイソブテン等の単独重合体;1−ブテン・2−ブテン共重合体、1−ブテン・イソブテン共重合体、2−ブテン・イソブテン共重合体、1−ブテン・2−ブテン・イソブテン共重合体、イソブテン・イソプレン共重合体等の共重合体が挙げられる。
上記ポリブテンは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
上記ポリブテンの数平均分子量(以下、「Mn」ともいう。)は、好ましくは10,000以下、より好ましくは200〜3,000、更に好ましくは200〜1,000である。このMnが大きすぎると、ミスト化が十分でない場合、被加工物の加工部周辺に十分な供給ができず、加工性能が低下する場合があり、また、被加工物、工具及び工作機械におけるべたつきが発生する場合がある。尚、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0012】
また、上記ポリブテンの、100℃における動粘度は、好ましくは1〜5,000mm/sであり、より好ましくは1〜1,000mm/s、更に好ましくは1〜300mm/sである。この動粘度が高すぎると、ミスト化が十分でない場合、被加工物の加工部周辺に十分な供給ができず、加工性能が低下する場合があり、また、被加工物、工具及び工作機械におけるべたつきが発生する場合がある。尚、上記動粘度は、キャノンフェンスケ粘度計により測定することができる。
【0013】
本発明の組成物に含有される上記ポリブテンの含有量は、本組成物全体に対し、5質量%を超え、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。但し、上限は、100質量%である。上記範囲にあることで、切削加工及び研削加工を効率よく行うことができる。
【0014】
本発明のミスト切削・研削油剤組成物が、他の成分を含有する場合、カルボン酸、アルコール、エステル等が挙げられる。これらは、単独で含有してよいし、組み合わせてもよい。
【0015】
上記カルボン酸としては、カルボキシル基を少なくとも1つ有する化合物であれば、一塩基酸でもよいし、多塩基酸でもよい。
【0016】
一塩基酸としては、炭素数2〜24の脂肪酸等が挙げられる。該脂肪酸は、飽和のものでもよいし、不飽和のものでもよい。また、直鎖のものでもよいし、分岐のものでもよい。
【0017】
飽和脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、直鎖状又は分岐状のブタン酸、直鎖状又は分岐状のペンタン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0018】
不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、直鎖状又は分岐状のブテン酸、直鎖状又は分岐状のペンテン酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸(オレイン酸)、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸等が挙げられる。
【0019】
また、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸等を用いることもできる。
上記一塩基酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸、トリメリト酸等が挙げられる。これらの酸は、飽和のものでもよいし、不飽和のものでもよい。また、直鎖のものでもよいし、分岐のものでもよい。
【0021】
上記二塩基酸としては、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸等が挙げられる。
上記二塩基酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上記カルボン酸としては、一塩基酸が好ましく、不飽和脂肪酸がより好ましい。中でも、炭素数が8以上、特に、12以上の不飽和脂肪酸が好ましい。
【0023】
上記アルコールとしては、ヒドロキシル基を有する化合物であれば、1価アルコールでもよいし、多価アルコールでもよい。
また、脂肪族アルコール、脂環族アルコール及び芳香族アルコールのいずれでもよいが、炭素数は、通常、3〜50である。従って、脂肪族アルコールを用いる場合は、好ましい炭素数は3〜50であり、より好ましくは3〜40、更に好ましくは3〜30である。脂環族アルコールを用いる場合は、好ましい炭素数は3〜50であり、より好ましくは3〜40、更に好ましくは3〜30である。また、芳香族アルコールを用いる場合は、好ましい炭素数は6〜50であり、より好ましくは6〜40、更に好ましくは6〜30である。尚、上記アルコールは、飽和アルコールでも、不飽和アルコールでもよく、更には、直鎖構造であってよいし、分岐構造を有してもよい。
上記アルコールは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
脂肪族アルコールとしては、プロパノール(イソプロパノール)、ブタノール(sec−ブタノール、tert−ブタノール)、ヘキサノール、ペンタノール(イソアミルアルコール)、ヘプチルアルコール、オクタノール(2−エチルヘキシルアルコール)、ノニルアルコール、デカノール(イソデシルアルコール)、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール(ラウリルアルコール)、トリデカノール(イソトリデシルアルコール)、テトラデシルアルコール、ペンタデカノール、ヘキサデシルアルコール(セチルアルコール)、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール(ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール)、ノナデシルアルコール、イコシルアルコール、ヘニコシルアルコール、ドコシルアルコール、トリコシルアルコール、テトラコシルアルコール、ペンタコシルアルコール、ヘキサコシルアルコール、ヘプタコシルアルコール、オクタコシルアルコール等の飽和アルコール;アリルアルコール、クロチルアルコール、3−ブテン−2−オール、メチルビニルメタノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、フィトール、イソフィトール、リナロール、ロジノール等の不飽和アルコールが挙げられる。
【0025】
脂環族アルコールとしては、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、1−シクロプロピルエタノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロペンタノール、シクロヘプタノール、シクロヘキサンメタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、2−シクロペンタンエタノール、シクロオクタノール、シクロヘキサンエタノール、3−シクロヘキシル−1−プロパノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、4−ブチルシクロヘキサノール、2−シクロヘキシルシクロヘキサノール、4−シクロヘキシルシクロヘキサノール、1−シクロヘキシル−1−ペンタノール、シクロドデカノール、シクロペンタデカノール、2−シクロヘキセン−1−オール、3−シクロヘキセノール等が挙げられる。
【0026】
また、芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、2−フェニル−1−プロパノール、p−トリルアルコール、1−ベンジル−2−メチルプロパノール、γ−フェニルプロピルアルコール、ジフェニルメタノール、トリフェニルメタノール、クミニルアルコール、テニルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、γ−ジメチルフェネチルアルコール、シンナミルアルコール等が挙げられる。
【0027】
上記アルコールとしては、1価アルコールが好ましく、不飽和アルコールがより好ましい。中でも、炭素数が8以上、特に、12〜24の脂肪族不飽和アルコールが好ましい。
【0028】
尚、上記アルコールとしては、エーテル結合を有するアルコール、アミノアルコール、ハロゲン化アルコール等を用いることもできる。
エーテル結合を有するアルコールとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノn−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノn−ドデシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノトリルエーテル、エチレングリコールモノサリチレート、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール1−モノn−ブチルエーテル、プロピレングリコール1−モノフェニルエーテル、プロピレングリコール2−モノフェニルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル化合物;エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル等の不飽和結合を有する化合物;その他、ベンジルオキシエタノール、バニリルアルコール等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
上記エステルとしては、カルボン酸エステル、硫酸エステル、亜硫酸エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステル、スルホン酸エステル等が挙げられる。各化合物は、鎖状構造でも、環状構造でもよく、また、エステル結合の数は、特に限定されない。
【0030】
カルボン酸エステルとしては、合成物でもよいし、天然物でもよく、これらを組み合わせて用いることもできる。また、ヒドロキシル基を有してもよい。
合成物の場合、1価アルコール及び多価アルコールの少なくとも1種と、一塩基酸及び多塩基酸の少なくとも1種とを反応させてなるものが好ましく、飽和カルボン酸エステルであってよいし、不飽和カルボン酸エステルであってもよい。また、脂肪族カルボン酸エステル、脂環族カルボン酸エステル、更には、芳香族カルボン酸エステルであってもよい。
【0031】
1価アルコールとしては、通常、炭素数1〜30のものが用いられ、これらは、直鎖のものでも分岐のものでもよい。この1価アルコールは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価アルコールとしては、通常、ヒドロキシル基の数が2〜10のものが用いられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類等が挙げられる。この多価アルコールは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の1価アルコール及び多価アルコールは、それぞれ、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0032】
一塩基酸としては、炭素数2〜24の脂肪酸等が挙げられる。該脂肪酸は、飽和のものでもよいし、不飽和のものでもよい。また、直鎖のものでもよいし、分岐のものでもよい。
【0033】
飽和脂肪酸としては、酢酸、プロピオン酸、直鎖状又は分岐状のブタン酸、直鎖状又は分岐状のペンタン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等が挙げられる。
【0034】
不飽和脂肪酸としては、アクリル酸、直鎖状又は分岐状のブテン酸、直鎖状又は分岐状のペンテン酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸等が挙げられる。
上記一塩基酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
多塩基酸としては、炭素数2〜16の二塩基酸、トリメリト酸等が挙げられる。これらの酸は、飽和のものでもよいし、不飽和のものでもよい。また、直鎖のものでもよいし、分岐のものでもよい。
【0036】
上記二塩基酸としては、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸等が挙げられる。
上記二塩基酸は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
また、カルボン酸エステルが天然物である場合、植物油でもよいし、動物油でもよい。 植物油としては、ひまわり油、サフラワー油、とうもろこし油、大豆油、なたね油、やし油、レスクレラ油、ひまし油、落花生油等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
動物油としては、豚ラード、牛ヘット、魚油、肝油等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
硫酸エステルとしては、一般式RO−SO−OHで表される一置換エステル、一般式RO−SO−OR’で表される二置換エステル等が挙げられる。但し、いずれの式においても、R及びR’は、同一又は異なる炭化水素基である。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
亜硫酸エステルは、一般式RR’SO又は(RO)SOで表される化合物である。但し、R及びR’は、同一又は異なる炭化水素基である。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
スルホン酸エステルは、一般式R−SO−OR’で表される化合物である。但し、R及びR’は、同一又は異なる炭化水素基である。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硝酸エステルは、一般式RONOで表される化合物である。但し、Rは、炭化水素基である。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
リン酸エステルとしては、一般式(RO)P(O)OHで表される化合物、一般式(RO)P(O)(OH)で表される化合物等が挙げられる。但し、いずれの式においても、Rは炭素数4〜30の炭化水素基である。
また、亜リン酸エステルとしては、一般式(RO)Pで表される化合物、一般式(RO)P(O)Hで表される化合物、一般式(ArO)Pで表される化合物等が挙げられる。但し、前二者の式において、Rは炭素数4〜30の炭化水素基である。
上記エステル成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
前述のように、上記のカルボン酸、アルコール及びエステルは、単独で用いてもよいが、これらを組み合わせて用いることもできる。
いずれの場合においても、これらの合計量は、本組成物全体に対し、好ましくは95質量%未満、より好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは25〜75質量%である。この範囲とすることにより、それぞれ単独で用いる場合よりも、ミスト化及び加工性に優れる。
【0042】
尚、上記のカルボン酸、アルコール及びエステルのうちの2種以上を組み合わせて用いる場合の態様は、下記に例示されるが、配合割合は特に限定されない。
〔1〕カルボン酸及びアルコールの組み合わせ
〔2〕カルボン酸及びエステルの組み合わせ
〔3〕アルコール及びエステルの組み合わせ
〔4〕カルボン酸、アルコール及びエステルの組み合わせ
【0043】
本発明の組成物は、更に他の成分、例えば、従来、公知の不水溶性切削・研削油剤に配合されている酸化防止剤、非鉄金属防食剤、防錆剤、分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、ミスト抑制剤、消泡剤、香料、染料等を含有したものとすることができる。
【0044】
本発明の組成物の40℃における動粘度は、好ましくは1〜200mm/s、より好ましくは3〜100mm/s、更に好ましくは3〜50mm/sである。この動粘度が高すぎると、被加工物の加工部周辺に十分な供給ができない場合があり、また、被加工物、工具及び工作機械におけるべたつきが発生する場合がある。
【0045】
本発明の切削・研削加工方法は、上記本発明の組成物(以下、「油剤組成物」ともいう。)を、被加工物の加工部周辺に、霧状に供給し、切削加工又は研削加工を行うことを特徴とする。
【0046】
油剤組成物を霧状とする方法は、特に限定されないが、通常、圧縮流体を利用し、霧状にすると同時に被加工物の加工部周辺に噴霧・供給する。
圧縮流体としては、圧縮空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、水等が挙げられる。これらのうち、圧縮空気が好ましい。また、各流体を組み合わせて用いることもできる。
圧縮流体の温度は、通常、−50〜50℃、好ましくは−30〜40℃、より好ましくは−20〜30℃である。上記温度とすることで、加工による摩擦熱からの冷却を進めることができる。
【0047】
上記油剤組成物の供給量は、好ましくは20ミリリットル/分以下、より好ましくは0.0001〜10ミリリットル/分、更に好ましくは0.001〜5ミリリットル/分である。
【0048】
被加工物としては、純鉄、鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、快削鋼等の鉄系金属;銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金等の非鉄金属;樹脂等が好ましく適用される。
【0049】
上記被加工物への切削加工又は研削加工は、タップ、ドリル、エンドミル、ブローチ、バイト、砥石等の工具と、旋盤、ボール盤、フライス盤、研削盤等の工作機械とを用いて行うことができる。切削及び研削による加工速度は、通常、1〜10,000メートル/分である。
本発明の油剤組成物を用いることにより、タッピングトルク、切削抵抗等を低くすることができ、加工時間の短縮化を実現することができる。また、油剤組成物を圧縮流体とともに供給すると、切り屑処理を同時に施すことができるため、作業性が向上する。また、上記のように、油剤組成物の使用量が極少量であることから、従来に比べ、廃液量を大幅に削減できる。
【実施例】
【0050】
以下に例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。尚、実施例及び比較例において、「部」は、特に断らない限り質量基準である。
【0051】
比較例1
トリメチロールプロパントリオレエート(商品名「ユニスターH381」、日本油脂社製)100部からなる油剤組成物を用い、ポイントタップ(M8×1.25)により、厚さが12mmのワーク(S25C)のタッピング(下穴径;6.7mm)を行い(圧縮空気による油剤組成物の供給量;7ミリリットル/時間、切削速度;7.5m/分)、タッピングトルクを測定した。
以下の実験で得られたタッピングトルクは、この比較例1におけるタッピングトルクを100とした場合の数値で示した。
【0052】
実施例1
トリメチロールプロパントリオレエートに代えて、ポリブテン(商品名「ポリビスON」、日本油脂社製、数平均分子量;370)100部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0053】
実施例2
上記ポリブテン80部及びオレイン酸(和光純薬工業社製)20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0054】
実施例3
上記ポリブテン50部及び上記オレイン酸50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0055】
実施例4
上記ポリブテン30部及び上記オレイン酸70部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0056】
実施例5
上記ポリブテン80部及びオレイルアルコール(東京化成工業社製)20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0057】
実施例6
上記ポリブテン50部及び上記オレイルアルコール50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0058】
実施例7
上記ポリブテン30部及び上記オレイルアルコール70部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0059】
実施例8
上記ポリブテン30部、上記オレイン酸50部及び上記オレイルアルコール20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0060】
実施例9
上記ポリブテン30部、上記オレイン酸35部及び上記オレイルアルコール35部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0061】
実施例10
上記ポリブテン30部、上記オレイン酸20及び上記オレイルアルコール50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0062】
実施例11
上記ポリブテン50部及び上記トリメチロールプロパントリオレエート50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0063】
実施例12
ポリイソブチレン(商品名「Glissopal」、BASF社製、数平均分子量;550)100部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0064】
実施例13
上記ポリイソブチレン80部及び上記オレイン酸20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0065】
実施例14
上記ポリイソブチレン50部及び上記オレイン酸50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0066】
実施例15
上記ポリイソブチレン80部及び上記オレイルアルコール20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0067】
実施例16
上記ポリイソブチレン50部及び上記オレイルアルコール50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0068】
実施例17
上記ポリイソブチレン50部及び上記トリメチロールプロパントリオレエート50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0069】
実施例18
上記ポリブテン80部及び上記ポリイソブチレン20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0070】
実施例19
上記ポリブテン64部、上記ポリイソブチレン16部及び上記オレイン酸20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0071】
実施例20
上記ポリブテン64部、上記ポリイソブチレン16部及び上記オレイルアルコール20部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0072】
実施例21
上記ポリブテン50部及び上記ポリイソブチレン50部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0073】
比較例2
上記ポリブテン4.5部及び上記トリメチロールプロパントリオレエート95.5部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0074】
比較例3
上記ポリブテン4.5部及び上記オレイン酸95.5部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0075】
比較例4
上記ポリブテン4.5部及び上記オレイルアルコール95.5部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0076】
比較例5
上記ポリイソブチレン4.5部及び上記トリメチロールプロパントリオレエート95.5部を用いた以外は、比較例1と同様にしてタッピングを行った。その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
表1から、以下のことが明らかである。即ち、実施例1〜21は、上記ポリブテン及び/又は上記ポリイソブチレンを所定量用いた例であり、比較例1並びに該高分子化合物の含有量が4.5部と少ない比較例2〜5と対比すると、タッピングトルクが小さく、加工性能に優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のミスト切削・研削油剤組成物は、少ない使用量で、高い寸法精度等をもって、鉄系金属、非鉄金属等を加工することができる。特に、純鉄、鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、快削鋼等の鉄系金属;銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金等の非鉄金属;樹脂に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブテンを、5質量%を超えて含有することを特徴とするミスト切削・研削油剤組成物。
【請求項2】
上記ポリブテンの数平均分子量が、10,000以下である請求項1に記載のミスト切削・研削油剤組成物。
【請求項3】
更に、カルボン酸、アルコール及びエステルから選ばれた少なくとも1種の化合物を含有し、該化合物の含有量の合計が本組成物全体に対し、95質量%未満である請求項1又は2に記載のミスト切削・研削油剤組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト切削・研削油剤組成物を、被加工物の加工部周辺に、霧状に供給し、切削加工又は研削加工を行うことを特徴とする切削・研削加工方法。
【請求項5】
上記ミスト切削・研削油剤組成物が、圧縮流体とともに供給される請求項4に記載の切削・研削加工方法。

【公開番号】特開2007−31518(P2007−31518A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215036(P2005−215036)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000115083)ユシロ化学工業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】