説明

ミリング加工及び画像化方法及びシステム

【課題】対象物をミリング加工及び検査する。
【解決手段】対象物の第一の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工する工程と、少なくとも第一の表面ミリング加工期間の大部分において、第一及び第二の表面の間に置かれた関心要素(EOI)から構成されうる対象物を、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程と、対象物の第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工する工程と、少なくとも第二の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程とからなるシーケンスを、少なくとも一回反復する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願:
本出願は、2010年10月31日に出願された特許文献1に基づき優先権を主張するものである。この特許文献1は参照により本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、制御されたミリング加工のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、検査用の薄い試料を作成する必要性が高まりつつある。試料の作成は迅速かつ正確に行われなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第61/408609号
【特許文献2】米国特許公報第2008/0078750A1号
【特許文献3】米国特許第6223961号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は対象物をミリング加工及び検査するシステムを提供し、このシステムは、制御器、イオンミラー、画像処理装置、及び第一の電子検出器を含み、下記の工程から構成されるシーケンスを少なくとも一回、繰り返して行うように構成される。即ち、第一の表面のミリング加工期間中に、イオンミラーからの粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工する工程と、少なくとも第一の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程であって、対象物が、第一及び第二の表面の間に置かれた関心要素(EOI)から構成されることが予想される工程と、第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工する工程であって、第一及び第二の表面のミリング加工期間のそれぞれが、長い持続閾値を超える持続時間を有する工程と、少なくとも第二の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程とから構成される。
【0006】
制御器は、画像処理装置により、第一の表面及び第二の表面の画像においてEOIの画素を検出するとき、第一及び第二の表面のミリング加工を停止するように構成されてよい。
【0007】
制御器は、EOIが第一及び第二の表面で露出されたことを判定し、第一及び第二の表面のミリング加工を停止するように構成されてよい。
【0008】
本システムは、シーケンスを複数回、繰り返し行うように構成されてよく、第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、第一及び第二のミリング加工期間のうち少なくとも一つの期間の長さが減少する。
【0009】
本システムは、シーケンスを複数回、繰り返し行うように構成されてよく、第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、イオンミラーは、粒子ビームのエネルギーを減少させるように構成される。
【0010】
本システムは、対象物と荷電粒子装置との位置関係を、対象物の第一の表面のミリング加工と対象物の第二の表面のミリング加工との間で変化させるように構成された、機械要素を備えてよい。
【0011】
本システムは、透過画像検出器を備えてよく、この透過画像検出器は、透過画像検出器からの検出信号に基づき対象物の透過画像を生成するように構成される。
【0012】
制御器は、対象物の透過画像に基づき、対象物がEOIを有しているかどうか判定し、対象物がEOIを有していないと判定した場合には、第一及び第二の表面のシーケンスの実行を停止するように構成されてよい。
【0013】
制御器は、対象物の透過画像が所定の信号/雑音比を示した後にのみ、対象物がEOIを含むかどうかを判定するように構成されてよい。
【0014】
本発明は、対象物をミリング加工及び検査する方法を提供する。本方法は、下記の工程から構成されるシーケンスを少なくとも一回、繰り返す。即ち、(a)第一の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工する工程と、(b)少なくとも第一の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程であって、対象物が、第一及び第二の表面の間に置かれた関心要素(EOI)から構成されることが予想される工程と、(c)第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工する工程であって、第一及び第二の表面のミリング加工期間のそれぞれが、長い持続閾値を超える持続時間を有する工程と、(d)少なくとも第二の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程とから構成される。
【0015】
本方法は、第一の表面及び第二の表面の画像においてEOIの画素を検出するときに第一及び第二の表面のミリング加工を停止する工程を含んでよい。
【0016】
本方法は、EOIが第一及び第二の表面で露出されたことを判定し、第一及び第二の表面のミリング加工を停止する工程を含んでよい。
【0017】
本方法は、シーケンスを複数回、繰り返して行う工程を含んでよく、第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、第一及び第二のミリング加工期間のうち少なくとも一つの期間の長さが減少する。
【0018】
本方法は、シーケンスを複数回、繰り返して行う工程を含んでよく、第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、粒子ビームのエネルギーが減少する。
【0019】
粒子ビームはイオンミラーによって生成されてよく、本方法は、対象物と荷電粒子装置
との位置関係を、対象物の第一の表面のミリング加工と対象物の第二の表面のミリング加工との間で変化させる工程を含んでよい。
【0020】
本方法は、対象物の透過画像に基づき、対象物がEOIを有しているかどうか判定し、対象物がEOIを有していないと判定した場合には、第一及び第二の表面のシーケンスの実行を停止する工程を含んでよい。
【0021】
本方法は、対象物の透過画像が所定の信号/雑音比を示した後にのみ、対象物がEOIを含むかどうかを判定する工程を含んでよい。
【0022】
長い持続時間の閾値は、0.1秒より長い、1秒より長い、数秒より長い、30秒より長い、及び、更にそれ以上の時間であってよい。
【0023】
第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間は、第一の表面ミリング加工期間の終了点と、第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔を超えてよい。
【0024】
第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間は、第一の表面ミリング加工期間の終了点と、第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔の少なくとも10倍の時間であってよい。
【0025】
本発明の態様及び実施形態が、一例としての図面を参照して更に詳細に説明される。図中において、同様の参照符号が同様の機能を有する要素に対して用いられる。図中の要素は、単純かつ明瞭に示されており、必ずしも一定の縮小率に合わせてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態による方法を示すフロー図
【図2】本発明の実施形態による方法を示すフロー図
【図3】(A)(B)(C)(D)本発明の実施形態による横断面図、(E)(F)(G)(H)本発明の実施形態の画像を示す横断面図
【図4】(A)(B)(C)(D)(E)(F)本発明の実施形態によるタイミングチャート
【図5】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図6】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図7】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図8】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図9】本発明の実施形態によるシステムの一部と対象物とを示す説明図
【図10A】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図10B】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図10C】本発明の実施形態によるシステムと対象物とを示す説明図
【図11A】本発明の実施形態によるシステムのマニピュレータと対象物とを示す説明図
【図11B】本発明の実施形態によるシステムのマニピュレータと対象物とを示す説明図
【図11C】本発明の実施形態によるシステムのマニピュレータと対象物とを示す説明図
【図11D】本発明の実施形態によるシステムのマニピュレータと対象物とを示す説明図
【図12】本発明の実施形態によるシステムの一部と対象物とを示す説明図
【図13】本発明の実施形態による方法を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の上述及び他の特徴や利点は、添付の図面と共に下記の詳細な説明により更に明確になる。すべての図面を通して、同様の参照符号が同様の要素を示している。
【0028】
本発明の図示された実施形態はその大部分が、当業者に既知である電子部品及び電子回路を用いて実施されているため、その詳細については、本発明の基本的な概念の理解や認識にとって必要と思われる範囲を超えては特に説明されず、また、本発明の趣旨を曖昧にせず、また逸脱しないためにも、特に詳細には説明されない。
【0029】
図1は、本発明の実施形態による方法10を示している。
方法10は、対象物の第一の表面ミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工し、第一の表面ミリング加工期間の少なくとも大部分の間、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得するステージ12から開始される。
【0030】
対象物は、第一及び第二の表面間に位置する関心要素(EOI)を有することが望ましい。
【0031】
EOIは、瑕疵、異物、亀裂であったり、EOIを囲む対象物とは異なる物質などから形成されるものでありうる。EOIは、それを囲む物質とは異なる電子光学的特徴をもちうる。例えば、EOIは、荷電粒子に対してより低い透過性をもちうる。
【0032】
ステージ12の次には、第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工し、少なくとも第二の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得するステージ14が続いてもよい。
【0033】
第一の表面ミリング加工期間と第二の表面ミリング加工期間の各々は、長い持続時間の閾値を超える持続時間を有する。長い持続時間の閾値は、ほんの1秒、数秒、1分、または1分以上のこともありうる。長い持続時間の閾値は、要求される画像の品質に基づいて設定可能である。画像取得のための持続時間が長いほど、高い品質が得られる。
【0034】
第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間は、あるミリング加工期間の終了点と、それに続くミリング加工期間の開始点との時間間隔を超えてよい。
【0035】
第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間は、第一の表面ミリング加工期間の終了点と、第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔の少なくとも10倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、またはそれ以上の時間でありうる。
【0036】
ステージ12及び14は、ステージのシーケンスを形成することができる。ステージ14の後には、次のaからdをどのように行うかを決定する制御ステージ16が続いてもよい。
a.ステージ12及び14の繰り返し(ステージのシーケンスの繰り返し)
b.ステージ12のみの実行の続行
c.ステージ14のみの実行の続行
d.ミリング加工処理の1以上の特徴を変化させること。この特徴はミリング加工期間の長さや粒子ビームのエネルギーなどでありうる。
【0037】
図1のボックス16をボックス12、14、15に接続させる種々の線で示されるように、ステージ16の次には、ステージ12及びステージ14がそれぞれ続く。
【0038】
上述のように、シーケンスは複数回、繰り返されることが可能である。シーケンスの異なる繰り返しは、制御ステージ16中に判定されるように、持続時間、荷電粒子のエネルギー、及び他の特徴により互いに異なりうる。
【0039】
本方法が進むにつれ(また繰り返す回数が増えるにつれ)、対象物の厚さ(特に、第一及び第二の表面間の距離)が減少し、EOIが第一または第二の表面に近づくにつれ、ミリング加工の繰り返しが活発でなくなることが予想される。例えばミリング加工処理は、100ナノメータの距離で開始し、約20ナノメータの距離で終了することができる。
【0040】
ステージ16は、EOIが露出しているとき、ステージ12及び14のシーケンスの繰り返しの停止を決定することができる。EOIは、そのEOIの所定の部分が露出されたときに露出されたとみなされる。この所定の部分は、少なくとも所定の大きさの形状を取りうる。
【0041】
EOIが第二の表面で露出すると、ステージ12は(ステージ14が停止していたとしても)継続できる。また、EOIが第一の表面で露出すると、ステージ14は(ステージ12が停止していたとしても)停止できる。
【0042】
ステージ16は、第一の表面の画像と第二の表面の画像中にEOIの画素を検出したとき、第一の表面のミリング加工と第二の表面のミリング加工の停止を決定する工程を含むことができる。
【0043】
ステージ16は、EOIが第一及び第二の表面で露出したことを判定し、第一の表面のミリング加工と第二の表面のミリング加工とを停止する工程を含むことができる。
【0044】
図1は、ステージ12とステージ14との間で行われるステージ15の構成も示している。ステージ15は、対象物の異なる表面の画像化と、対象物の異なる表面のミリング加工とを促進させる。
【0045】
ステージ15の構成は、イオン光の調整(入射角度の変更)、対象物の回転(さもなければ移動)、システムの構成要素の移動(こうして、対象物とイオンミラー間の位置関係を変化させる)等を含むことができる。
【0046】
図2は、本発明の実施形態による方法20を示している。
【0047】
方法20は、対象物内のEOIの存在を立証するステージを含むため、方法10とは異なる。
【0048】
方法20は、ステージ12から開始されてもよい。ステージ12の次にはステージ14(あるいは、ステージ14が続くステージ15)が続いてもよい。
【0049】
EOIの存在の判定は、方法20の開始点から、あるいは、第一及び第二の表面間の距離が、受け入れ可能な品質の対象物の透過画像の取得を促進させることが予想される値に達したときに、評価可能となる。この距離は、前もって設定されてもよいし、対象物とEOIの予想される透過性が与えられて計算されてもよいし、あるいは前回の測定に基づいて設定されてもよい。
【0050】
透過画像は、対象物を通過する電子によって得られる。
【0051】
方法20は、対象物の透過画像を取得するステージ18と、透過画像を処理してEOIが存在するかどうかを判定するステージ19とを含んでよい。受け入れ可能な品質より低い品質の透過画像、あるいは否定情報(対象物の厚さが透過画像を得るのに十分なほど薄くないという情報)を含む透過画像は無視することができる。
【0052】
ステージ19の後にはステージ16が続きうる。ステージ19が、対象物がEOIを含むと判定すれば、ステージ12及び14の繰り返しが実行されうる。あるいは、方法20が終了する。
【0053】
図3Aから図3Hは、本発明の種々の実施形態によるEOI104を含む対象物111から113の横断面の3つの例と、これらの対象物の画像を示している。これらは、対象物111から113の初期の横断面である。この初期の状態において、十分な品質の対象物の透過画像を取得することができると仮定する。
a.図3Aの横断面31は、その上面近くにEOI504を含む対象物111を示す。
b.図3Bの横断面32は、その上面及び下面から離れた中心にEOI504を含む対象物112を示す。
c.図3Cの横断面33は、その下面近くにEOI504を含む対象物113を示す。
【0054】
図3Eから3Gは、対象物111から113の上面の画像141、142、及び143と、対象物111から113の下面の画像151、152、及び153と、対象物111から113の透過画像161、162、及び163を示している。
【0055】
図3Dは、対象となる横断面34(ミリング加工処理の終了時の対象物111から113の各々の横断面)つまり、ミリング加工されてEOI504がその両側に露出した対象物を示す。
【0056】
図3Hは、ミリング加工された対象物の上面及び下面の画像144、145、及び146と、ミリング加工された対象物の透過画像とを示す。
【0057】
図4Aから4Fは、本発明のある実施形態による種々のタイミングチャート410、420、430、440、450、及び460を示す。
【0058】
図4Aのタイミングチャート410は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。このシーケンスの最後の繰り返しにおいて、EOIが両側に露出され、この繰り返しを停止できると仮定する。更に、表面ミリング加工処理期間の全体にわたり、各画像が取得されると仮定する。ボックス414は第一の表面ミリング加工期間を表し、ボックス416は第二の表面ミリング加工期間を表し、矢印415は、一方の表面ミリング加工期間の終了点と他方の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔の持続時間を表す。
【0059】
時間間隔の持続時間と第一及び第二の表面ミリング加工期間の各々との間の関係は、1秒、3秒、5秒、8秒、10秒を超えることが可能であり、更に高い数値を超えることも可能である。どちらにしても、それらの持続時間は長い持続時間の閾値を超える。
【0060】
図4Aは、第二の表面ミリング加工期間の持続時間と同一である第一の表面ミリング加工期間の持続時間を示している。これら2つの加工期間は互いに異なっていてもよい。
【0061】
図4Bのタイミングチャート420は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。このシーケンスの最後の繰り返しにおいて、EOIが両側に露出され、この繰り返しを停止できると仮定する。更に、表面ミリング加工処理期間の全体にわたり、各画像が取得されると仮定する。図4Bは、第一の表面のミリング加工期間の持続時間が第二の表面のミリング加工期間の持続時間と等しくない点において、図4Aと異なる。即ち、図4Bでは、持続時間は繰り返しの終了時点で減少する。
【0062】
図4Cのタイミングチャート430は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。このシーケンスの最後の繰り返しにおいて、EOIが両側に露出され、この繰り返しを停止できると仮定する。更に、表面ミリング加工期間全体の大部分(約80パーセント)において、各画像が取得されると仮定する。全表面ミリング加工期間は、画像取得期間を表す破線のボックス438及び439で示される。
【0063】
図4Dのタイミングチャート440は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。EOIは、第二の表面で露出される前に第一の表面で露出され、後者の露出は工程16の複数回の繰り返しを要求し、こうして、工程16を複数回繰り返すことによりこの処理が終了すると仮定する。更に、各画像が表面ミリング加工期間の全体にわたり取得されると仮定する。ボックス414は第一の表面ミリング加工期間を表し、ボックス416は第二の表面ミリング加工期間を表し、矢印415は、一方の表面ミリング加工期間の終了点と他方の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔を表す。
【0064】
図4Eのタイミングチャート440は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。EOIは、第一の表面で露出される前に第二の表面で露出され、後者の露出はステージ14の複数回の繰り返しを要求し、こうしてステージ14を複数回繰り返すことによりこの処理が終了すると仮定する。更に、各画像が表面ミリング加工期間の全体にわたり取得されると仮定する。
【0065】
ボックス414は第一の表面ミリング加工期間を表し、ボックス416は第二の表面ミリング加工期間を表し、矢印415は、一方の表面ミリング加工期間の終了点と他方の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔を表す。
【0066】
図4Fのタイミングチャート420は、ステージ14、15、及び16を含むシーケンスの複数回の繰り返しを示す。このシーケンスの最後の繰り返しにおいて、EOIが両側に露出され、この繰り返しを停止できると仮定する。更に、表面ミリング加工処理期間の全体にわたり、各画像が取得されると仮定する。図4Fは、第一の表面のミリング加工期間が第二の表面のミリング加工期間の持続時間と異なる持続時間をもつ点において、図4Aと異なる。
【0067】
図5は、本発明のある実施形態による、対象物500を画像化及びミリング加工するためのシステム99を示す。
【0068】
対象物500は、例えば、ウエハや電子回路、あるいは電子ビーム、イオンビームなどの荷電粒子ビームまたは任意の他の種類の荷電粒子処理により処理されてよい、任意の他の対象物であってよい。
【0069】
対象物500は、1あるいは複数の方向に、例えば、X、Y、及び/またはZ軸に対象物を動かす、及び/または1あるいは複数のこれらの軸の周囲に回転させるような、試料台あるいは他の支持構造100(8)の上に載置されていてもよい。対象物500は試料台に対して保持され、その上に置かれるか、あるいは、その試料台に対して脱着可能に取り付けられてよい。支持構造はマニピュレータ、あるいはマニピュレータの一部でありうる。
【0070】
システム99は、制御器80、イオンミラー540、画像処理装置90、及び第一の走査型電子顕微鏡(SEM)の第一の柱510に近接した第一の電子検出器32などの少なくとも一つの電子検出器を備えてよい。システム99はまた、透過型電子顕微鏡(TEM)検出器36を備えてよい。
【0071】
第一の柱510が対象物の第一の表面501に向けられている一次電子ビーム512を生成する様子が図示される。第一の表面501から拡散される電子のうちいくつかは、線514で表され、第一の電子検出器32によって検出される。対象物を通過する電子は、TEM検出器36で検出される破線矢印513で表される。
【0072】
イオンミラー540は、対象物500をミリング加工できるイオンビーム42などの荷電粒子ビームを生成できる。
【0073】
図5は、対象物の第二の表面502をミリング加工するイオンビーム42を示す。このとき、SEMは(第一の電子検出器32を使用することにより)対象物500の第一の表面501の画像を生成する。対象物500は、第一及び第二の表面501、502間に位置する関心要素(EOI)から構成される。
【0074】
図6は、対象物の第一の表面501をミリング加工するイオンビーム42を示す。このとき、SEMは(第一の電子検出器32を使用することにより)対象物500の第二の表面502の画像を生成する。
【0075】
システム99は、図1及び図2に示されるミリング加工及び画像化のステージ(12、14)を複数回繰り返して行うことができる。
【0076】
従って、システム99は、下記の工程から構成されるシーケンスを少なくとも一回、繰り返して行うように構成される。即ち、第一の表面のミリング加工期間中に、イオンミラーからの粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工し、少なくとも第一の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程と、第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工し、少なくとも第二の表面ミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程である。
【0077】
制御器80は、次のステージの少なくとも一つを行うように構成できる。
a.画像処理装置により、第一の表面及び第二の表面の画像においてEOIの画素を検出するとき、第一及び第二の表面のミリング加工を停止するステージ
b.EOIが第一及び第二の表面で露出されたことを判定し、第一及び第二の表面のミリング加工を停止するステージ
【0078】
システム99は、支持要素100(8)などの機械的要素あるいはマニピュレータ(図11Aから図11Cのマニピュレータ100など)を備えてよい。マニピュレータが支持要素100(8)を備えてもよい。
【0079】
機械的要素は、対象物と荷電粒子装置との位置関係を、対象物の第一の表面のミリング加工と対象物の第二の表面のミリング加工との間で変化させるように配置されうる。
【0080】
TEM検出器36は、画像処理装置90により処理される検出信号を送信して、対象物500の透過画像を提供できる。
【0081】
制御器80は、対象物500の透過画像に基づき、対象物がEOIを含むかどうかを判定し、対象物がEOIを含まない場合には、第一及び第二の表面のシーケンスの実行を停止するように構成されうる。
【0082】
制御器80は、対象物の透過画像が所定の信号/雑音比を示した後にのみ、対象物500がEOIを含むかどうかを判定するように配置されうる。
【0083】
第一及び第二の表面501及び502の各々をミリング加工しながら、第一及び第二の表面501及び502の各々を、対象物とシステムの種々の構成要素との間の位置関係を変化させることなく画像化できる。
【0084】
図7は、本発明の実施形態によるシステム97を示している。システム97は、一次ビーム512が対象物500の第二の表面502に作用するように、一次ビーム512を柱500(対象物500の第一の表面501の上に設けられる)から対象物の第二の表面502に向ける電子光学素子70を含む。このとき、イオンビーム84は、対象物500の第一の表面501をミリング加工する。
【0085】
TEM検出器36は、第二の表面502から反射したり拡散したりする電子を検出するための電子検出器として機能することができる。更に、または、システム97は、対象物500の第一の表面502から拡散する及び/または反射する電子を検出するための1または複数の電子検出器(図示せず)を含んでもよい。
【0086】
電子検出器32は、TEM検出器として機能することができる。更に、または、システム97は付加的なTEM検出器(図示せず)を含んでもよい。
【0087】
システム97が対象物500の第一の表面501を画像化するとき、電子光学素子は無視してもよい。
【0088】
図8は、本発明のある実施形態によるシステム98を示す。システム98は2つのSEMを備える。第一のSEMは第一の柱510を含み、第二のSEMは第二の柱511を含む。これらの柱は、対象物500の両側に設けられている。
【0089】
柱510は、対象物の第一の表面501の画像(非透過性)を取得する一方、イオンビーム84は、対象物の第二の表面502をミリング加工する。
【0090】
柱511は、対象物の第二の表面502の画像(非透過性)を取得する一方、イオンビーム84は、対象物の第一の表面501をミリング加工する。
【0091】
図8は、柱511の一次電子ビーム513と、電子検出器33による拡散した電子の検出(破線515)を示している。
【0092】
システム98は専用のTEM検出器を有してもよいことに留意されたい。更に、または、1または複数の電子検出器32、33などの電子検出器が、TEM検出器として用いられる一方、他のSEMの1または複数の電子検出器が二次電子を検出するために用いられる。
【0093】
図9は、本発明のある実施形態によるシステム91の詳細な横断面図である。
【0094】
システム91は、(A)検出器910を含むイオンミラー540と、(B)柱510と1または複数の検出器を含むSEMと、対象物500と、(a)SEMの柱510と対象物500の間に設けられた第一の二次電子検出器551、(b)第二の二次電子検出器552、及び(c)透過型電子(TE)検出器553などの1または複数の電子検出器とを保持する(C)マニピュレータ100(8)とから構成される。検出器552と553は、対象物500の同一側面に設けられている。対象物500は、SEM柱510と検出器552及び553の間に設けられている。
【0095】
システム91には、図1、2、及び13に示された任意の方法を適用できる。
【0096】
本システムは、試料を通過するビームの方向とは異なる方法に沿って伝播する二次電子を検出する二次検出器552を含んでよい。この二次検出器552は、透過型検出器553に、一次電子ビームの経路と一致する経路に沿って伝播する電子を検出させるための開口部を有してよい。
【0097】
図10Aは、本発明のある実施形態によるシステム1000を示している。本システム1000は、第一の方向(「A」として示される)から対象物500を画像化するように構成される画像取得装置1020を備えるように図示される。画像取得装置1020は対象物の第一の表面101を画像化できる。画像取得装置1020が光学装置であり、第一の方向(「A」として示される)から対象物500を画像化するように構成されてもよいことに留意されたい。画像取得装置1020は対象物の第一の表面101を画像化できる。画像取得装置1020は、対象物500から反射された光を取得してそれを画像化できるが、他の種類の画像取得装置が実行されてもよい。
【0098】
多くの種類の画像取得技術(走査型電子顕微鏡SEM画像を含むがこれに限定されない)が、画像化された対象物からの荷電粒子(光または他の形態の放射)に対して画像取得装置が露出されるような、比較的長い露出持続時間を要求することに留意されたい。例えば、ある業種では、露出持続時間(または取得持続時間)は、10秒、30秒、1分、10分、及び更にそれ以上の長さである。
【0099】
システム1000は更に、イオンミラー1040、または荷電粒子(例えば、電子、イオン)を用いて対象物500の一部をミリング加工及び/または切断できる他の装置を備える。イオンミラー1040は好都合なことに、対象物500の一部を、第一の方向とは異なりかつそれとは潜在的に反対方向である対象物500の側面(「B」で示される側面など)から遮断するように構成されている。
【0100】
ミリング加工及び/または切断は、マスク1050を介して、またはマスク1050を使用して行ってもよい。本発明のある実施形態によれば、システム1000は、マイクロクリービングによりマスク1050を生成しまたは受け取り、より精度の高いマスクを提供する。本システムがマスク1050を生成する場合、本システムはマイクロクリービング装置(図示せず)を備えてよい。マスク1050は、角度試料台1060により保持される。
【0101】
一般的に、イオンミラー1040によるミリング加工処理の動作を、画像化に必要とされる持続時間内で停止させることは望ましくない。特に、イオンミラーの動作の停止は種々の問題を発生させる。提案されるシステムにおいて、ミリング加工は側面Bで行われ、側面Aの画像が取得される。
【0102】
本発明の実施形態によれば、システム1000(図示せず)の処理装置は、側面Aの持続期間により対象物500の側面Bのミリング加工の時間を計測する、及び/または、側面Bのミリング加工期間に応じて側面Aの露出期間を設定するように構成されてよい。
【0103】
本発明の実施形態によれば、システム1000は、例えば対象物500の側面を反転させるように、対象物500を回転することができる。この回転は、例えば、試料台1030を回転させることでも実行できるが、そうする必要はない。この回転は軸512の周辺で行われる。
【0104】
対象物500が回転した後、ミリング加工された側面が、今度は、画像取得装置に対面するようになる一方で、画像化されたその反対側は、イオンミラー1040により切断される用意はまだできていない。
【0105】
対象物500の反転/回転か、システム1000内の他の機械的な動きのいずれかから起こる機械的な動きは、他のミリング加工、切断、及び/または画像化のシーケンスが実行可能となる前に、対象物500の整列を要求してよい。従って、本発明の実施形態によれば、システム1000は、対象物500を整列させるための整列装置1010を有してよい。
【0106】
本発明の実施形態によれば、システム1000は、対象物500とマスク1050との間、あるいは対象物500とシステム1000の1または複数の構成要素との間における整列処理を監視するために用いる検出器32及び/または34を有してよい。整列処理は、それらが互いに平行になる(両者が水平または他のいかなる位置関係でもよい)マスク1050と対象物500との整列を含み、マスク1050の縁部が、第一のミリング加工シーケンスにおいてミリング加工された後に、対象物500の所望のミリング加工された縁部を表す仮想線42の真上に来る。
【0107】
この仮想線は、対象物500の中心から数ナノメータ離れたところ、対象物500の縁部から数ナノメータ離れたところ、あるいは他の場所に設けることができる。
【0108】
本発明の実施形態によれば、整列処理は、マスクと試料が図10Aと図10Cに示されたものに対して回転したときに行ってよい。このような構成は図10Bに示される。
【0109】
本発明の実施形態によれば、いったん整列処理が終了すると、マスク1050と対象物500は(例えば、主回転試料台により)軸の周りに回転させられる一方、イオンミラー1040に対面するように、マスク1050と対象物500は整列したままである。
【0110】
本発明の実施形態によれば、イオンミラー1040は、(例えば、検出器32及び/または34を用いて)走査型電子顕微鏡によるミリング加工を監視しながら、二重偏位により対象物500の縁部の露出された部分をミリング加工する工程を含む第一のミリング加工シーケンスを行う。このミリング加工により、対象物500のある側面の縁部を薄くして、部分ミリング加工された対象物500のミリング加工側面を得る。イオンビーム42はX−Y平面内で偏位されてもよいが、そうする必要はない。
【0111】
対象物500のある側面がミリング加工された後、対象物500の反対側をイオンミラー1040に対して露出させるために、マスク1050と、部分ミリング加工された対象物500との間の位置関係を変化させてよい。これには、試料台1030によりその軸(512)の周りに部分ミリング加工された対象物500を回転させることが含まれ、またマスク1050の高さを変化させることも含まれる。
【0112】
位置関係が変化した後、イオンミラー1040は、走査型電子顕微鏡によるミリング加工及び(部分ミリング加工された資料が電子に対して部分的に透過性をもち始めた場合に、任意で)TEMまたはSTEM検出器によるミリング加工を監視しながら、部分ミリング加工された対象物500の他の縁部(現在、露出している縁部)のミリング加工を行う工程を含む第二のミリング加工シーケンス(例えば、図10C)を実行する。
【0113】
この処理は、所望の状態に到達するまで繰り返し行ってもよい。
【0114】
検出器の個数、設置場所、検出器の種類、及び各検出器の部品の数(更にそれらの大きさと形状)は、上述の実施例とは異なってもよい。
【0115】
図10Bに示すように、本発明の実施形態によれば、対象物500は、切断されたりミリング加工されたりしてはいけない1または複数の領域101を有してよい。従って、本発明の実施形態によれば、システム1000は、このような領域101のイオンミラー1040による切断を行わないようにする。このためには、画像取得装置1020(カメラ1020とも表記される)及び/または整列装置1010の一つであるような他の画像装置による監視が必要となる。領域101(容量分析で定義されることもある)は、その特徴か、その場所のどちらかにより定義される。
【0116】
本発明の実施形態によれば、ミリング加工が側面の少なくとも一つから保護領域101に近づくと、システム1000の処理装置が、領域101の大部分の好ましくない切断を防ぐために、より短いミリング加工/切断間隔(例えば、30秒ではなく15秒)の使用を決定してよい。その結果、カメラ1020の取得時間も短縮されるため、低品質の画像を取得することになる。
【0117】
図面11Aから11Cは、本発明の種々の実施形態によるマニピュレータ100を示す。図11Aはマニピュレータ100の正面図であり、図11Bはマニピュレータ100の頂面図であり、図11Cはマニピュレータ100の側面図であり、図11Dはマニピュレータ100の三次元図である。すべての図面が本発明のある実施形態に準拠している。
【0118】
マニピュレータ100は、その両方ともが主要回転試料台130上に載置された2つの別々のサブユニット110及び120を有する。回転試料台130は、エンジン130(1)〜130(4)により分離され導電される。
【0119】
第二のサブユニット120は試料とマスクを操作し、また、X試料台、Y試料台、Z試料台、及びθ試料台を有してよい。図6において、これらの試料台は以下のように示される。即ち、X試料台100(1)、Y試料台100(2)、Z試料台100(3)、及びθ試料台100(5)である。
【0120】
第一のサブユニット110は試料を操作してよく、例えば、マスクを、第二のサブユニット120により導入された任意の動きに関してマスクを動かすことにより、マスクと試料との間の位置関係を変化させる。マスクと試料の各々はサブユニットにより移動可能であり、各々が互いに対して移動可能であるが、回転試料台130などの試料台を共有することはない。
【0121】
第一のサブユニット110は、X、Y、Z、及びθの試料台を有してよい。図6及び図9のいずれか一つにおいて、これらの試料台は以下のように示される。即ち、X試料台100(11)、Y試料台(図示せず)、Z試料台100(9)、及びθ試料台100(8)である。
【0122】
第二のサブユニット120はマスクを操作したり、マスク、較正板、開口、蒸着対象などの操作技術的な付属品を操作したりしてよい。
【0123】
第一のサブユニット110は、試料ホルダ(あるいはシャトル103とも表記される)から試料あるいは技術的な付属品を受け取る。シャトル103は、角度試料台100(8)に載置されるまで移送される。
【0124】
試料台は、プレート、ビーム、レール、ガイドラインなどの101(1)〜101(5)で示される構成要素の間に接続されている。
【0125】
図12に示すように、イオンミラー540(あるいはイオン・スパッタリング・システムとも表記される)は、次の可能性と自由度をもつことができる。
a.迅速なバルクの除去を可能にして処理を強化する広範囲にわたるイオンエネルギー制御及び処理された試料の最終的な品質を高いレベルにする穏やかなミリング加工モード
b.短い処理持続時間における高いイオン電流密度
c.試料の均一な処理を行うための、ビームの横断面に沿ったイオン電流の均一性の制御
d.試料の表面の選択的なミリング加工を避けるための、試料の表面に関するビームの入射角度の多様化
e.ビーム散布と技術的なモードを多様化させるための、ビームの形状及び大きさの制御
f.試料処置の均一性のためのビーム拍動
g.試料処理用の特定領域を提供するための、ビームの正確な位置決め
h.試料処理の均一性のための、直交方向のビーム走査
i.試料処理の均一性のための、関心領域周囲におけるユーセントリックビームの回転
【0126】
イオンミラー540は次を備えてよい。
a.プラズマに点火するためのデュオ・プラズマトロン・イオン源
b.プラズマからXe+イオンを抽出して収集するためのビーム形成モジュール
c.イオンビームを処理済試料に集中的に向けさせるための最後の光学素子
d.一定かつ特定の圧力のガスを自動的に供給するための、Xeガス供給システム
e.ガスの計測量を、プラズマ点火及びイオンビーム形成用のイオン源に自動的に供給するリーク弁
f.イオン・スパッタリング・システムの自動的制御を行うための、電子装置及び電源
【0127】
図12は、イオンビーム源アセンブリ40(1)と、非イオン化粒子サプライアセンブリ40(2)と、イオンビーム抽出装置アセンブリ40(3)と、イオンビーム集中アセンブリ40(4)と、イオンビーム偏向サブアセンブリ40(5)と、イオンビーム第一偏向アセンブリ40(6)と、イオンビーム第二偏向アセンブリ40(7)とを備えたイオンミラー540を示す。
【0128】
イオンビーム源アセンブリ40(1)は非イオン化粒子サプライアセンブリ40(2)により供給され、イオンビーム抽出装置アセンブリ40(3)は、イオンミラーの光学軸41に沿って伝播するイオンビームを出力する。イオンビーム集中アセンブリ40(4)はイオンビームを集め、集めたイオンビームをイオンビーム第一偏向アセンブリ40(6)に供給する。イオンビーム第一偏向アセンブリ40(6)は、イオンビームを回転させ、イオンミラーの光学軸から離間した方向にそのイオンビームを移動させ、偏向及び回転したイオンビーム41(2)をもたらす。イオンビーム第二偏向アセンブリ40(7)は、イオンビーム41(3)の回転を維持しながら、回転中のイオンビームを光学軸に向ける。その回転によりミリング加工角度は常に変化し、その結果、よりなめらかにミリング加工された試料が得られる。
【0129】
イオンミラーの非制限的な実施例が、特許文献2「ワークピースの方向付けられた多重偏向イオンビームミリング加工並びにその範囲の決定及び制御」に記載されている。この特許文献2は参照により本明細書に含まれる。
【0130】
本発明の実施形態により、画像化方法が開示される。この方法は、例えば、システム1000などのシステムにより実行されてよい。図13は、本発明の実施形態による方法1300を示している。
【0131】
本方法は、マイクロクリービングによりマスクを生成し、あるいは受け取り、高精度のマスクを提供するステージ(1302)から開始されてよい。マイクロクリービングの実施例は、特許文献3「結晶切断装置」に記載されている。この特許文献3は参照により本明細書に含まれる。
【0132】
本方法は、対象物の切断、あるいは対象物のミリング加工の複数の事例の後に、複数回、画像化される対象物を取得するステージ(1310)を有してよい。
【0133】
ステージ1310は、対象物及び/またはマスクをシステム1000などのシステムに提供するステージ(1311)を含んでよい。
【0134】
ステージ1311の後には、対象物と、システムの少なくとも一つの部品とを整列させるステージ(1312)が続いてもよい。これは、移動試料台と、走査型電子顕微鏡及び光学顕微鏡のうちの少なくとも一つを用いることによって行われる。
【0135】
整列ステージ(1312)の次には、光学カメラにより対象物の第一の側面を画像化するステージ(1313)が続いてもよい。この画像化は比較的長い時間の処理となってもよい。
【0136】
本方法は更に、対象物の反対側を切断(あるいはミリング加工)するステージ(1314)を含む。切断は画像化と同時に少なくとも部分的に行われ、本発明のある実施形態においてカメラの露出期間の半分以上が切断期間と重複していることに留意されたい。本発明のある実施形態によれば、これらの期間はその95パーセント以上(あるいは99パーセント以上)が互いに重複している。
【0137】
本方法では、次に、対象物を反転/回転させるステージ(1315)が続く。ここで、回転の持続時間は、露出期間よりかなり短くなる(例えば、露出期間の10パーセント未満、または2パーセント未満)。
【0138】
この回転の後、別の画像化(1317)及び切断(1318)のステージが、対象物の反対側で行われる。この別のステージは、別の整列のステージ(1316)に先行されてもよい。
【0139】
このような反転、画像化、及び切断が複数回繰り返されてよく、毎回、対象物のある側面が切断され、反対の側面が画像化される。この事例のうちいくつかが同じ持続時間、継続されるが、そうである必要はない。
【0140】
本発明は、従来公知の装置、手順、及び部品を用いることにより実施可能である。従って、これら装置、手順、及び部品の詳細な説明はここでは省略する。上述の記載においては、本発明を深く理解するために、多くの具体的かつ詳細な説明がなされているが、具体的に記載された詳細によらずに本発明を実施してもよい。
【0141】
本発明の実施形態は例にすぎず、本発明は他の種々の組み合わせや環境において使用することができ、また、ここに示された発明の趣旨を逸脱しなければ、変化させたり修正したりすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物をミリング加工及び検査する方法であって、
対象物の第一の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工する工程と、
少なくとも対象物の第一の表面ミリング加工期間の大部分において、対象物の第一及び第二の表面の間に位置しうる関心要素(EOI)について、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程と、
対象物の第一及び第二の表面のミリング加工期間のそれぞれを長い持続閾値を超える持続時間とし、対象物の第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工する工程と、
少なくとも対象物の第二の表面のミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程とからなるシーケンスを、少なくとも一回反復する
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
対象物の第一の表面及び第二の表面の画像においてEOIの画素を検出するときに、対象物の第一及び第二の表面のミリング加工を停止する工程を有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
EOIが対象物の第一及び第二の表面で露出されたことを判定し、対象物の第一及び第二の表面のミリング加工を停止する工程を有する
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シーケンスを複数回繰り返して行い、対象物の第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、対象物の第一及び第二のミリング加工期間のうち少なくとも一つの期間の長さを減少させる
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シーケンスを複数回繰り返して行い、対象物の第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、粒子ビームのエネルギーを減少させる
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
粒子ビームをイオンミラーによって生成し、対象物と荷電粒子装置との位置関係を、対象物の第一の表面のミリング加工と対象物の第二の表面のミリング加工との間で変化させる
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
対象物の透過画像に基づき、対象物がEOIを有しているか否かを判定し、対象物がEOIを有していないと判定した場合には、対象物の第一及び第二の表面のシーケンスの実行を停止する
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
対象物の透過画像が所定の信号/雑音比を示した後にのみ、対象物がEOIを含むか否かを判定する
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
長い持続時間の閾値が、0.1秒を超える
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
長い持続時間の閾値が、1秒を超える
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
長い持続時間の閾値が、2秒を超える
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
長い持続時間の閾値が、3秒を超える
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
対象物の第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間が、対象物の第一の表面ミリング加工期間の終了点と、対象物の第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔を超える
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
対象物の第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間が、対象物の第一の表面ミリング加工期間の終了点と、対象物の第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔の少なくとも10倍の時間である
請求項1に記載の方法。
【請求項15】
制御器、イオンミラー、画像処理装置、及び第一の電子検出器からなり、対象物をミリング加工及び検査するシステムであって、
対象物の第一の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第一の表面をミリング加工する工程と、
少なくとも対象物の第一の表面ミリング加工期間の大部分において、対象物の第一及び第二の表面の間に位置しうる関心要素(EOI)について、電子検出器により対象物の第二の表面の画像を取得する工程と、
対象物の第一及び第二の表面のミリング加工期間のそれぞれを長い持続閾値を超える持続時間とし、対象物の第二の表面のミリング加工期間中に、粒子ビームにより対象物の第二の表面をミリング加工する工程と、
少なくとも対象物の第二の表面のミリング加工期間の大部分において、電子検出器により対象物の第一の表面の画像を取得する工程とからなるシーケンスを、少なくとも一回反復するように構成される
ことを特徴とするシステム。
【請求項16】
制御器が、画像処理装置により、対象物の第一の表面及び第二の表面の画像においてEOIの画素を検出するとき、対象物の第一及び第二の表面のミリング加工を停止する
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
制御器が、EOIが対象物の第一及び第二の表面で露出されたことを判定し、対象物の第一及び第二の表面のミリング加工を停止する
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
シーケンスを複数回繰り返し行うように構成され、対象物の第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、対象物の第一及び第二のミリング加工期間のうち少なくとも一つの期間の長さを減少させる
請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
シーケンスを複数回繰り返し行うように構成され、対象物の第一及び第二の表面間の距離の予想される減少により、イオンミラーは、粒子ビームのエネルギーを減少させる
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
対象物と、対象物の第一の表面のミリング加工と対象物の第二の表面のミリング加工との間の荷電粒子装置との位置関係が変化する
請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
透過画像検出器が、透過画像検出器からの検出信号に基づき対象物の透過画像を生成する
請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
制御器が、対象物の透過画像に基づき、対象物がEOIを有しているか否かを判定し、対象物がEOIを有していないと判定した場合には、対象物の第一及び第二の表面のシーケンスの実行を停止する
請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
制御器が、対象物の透過画像が所定の信号/雑音比を示した後にのみ、対象物がEOIを含むか否かを判定する
請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
長い持続時間の閾値が、0.1秒を超える
請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
長い持続時間の閾値が、1秒を超える
請求項15に記載のシステム。
【請求項26】
対象物の第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間が、対象物の第一の表面ミリング加工期間の終了点と、対象物の第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔を超える
請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
対象物の第一及び第二の表面ミリング加工期間それぞれの持続時間が、対象物の第一の表面ミリング加工期間の終了点と、対象物の第二の表面ミリング加工期間の開始点との時間間隔の少なくとも10倍の時間である
請求項15に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−112936(P2012−112936A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−238337(P2011−238337)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(511264423)カムテック エルティーディー. (1)
【氏名又は名称原語表記】Camtek Ltd.
【住所又は居所原語表記】Ramat Gabriel Industrial Park P.O.B 544,Migdal−Haemek 23150,Israel
【Fターム(参考)】