説明

メイクアップリムーバー

【課題】 本発明は、メイクアップリムーバーに関し、十分な防腐力を持ち、使用後の肌のべたつきを抑え使用感に優れ、保湿感が得られ、メイクアップ化粧料の除去効果に優れるメイクアップリムーバーを提供するものである。
【解決手段】 本発明は、次の成分(A)〜(E);(A)1,2−ペンタンジオール、
(B)1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれる1種または2種以上の多価アルコール、(C)水、(D)脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルで、かつ総炭素数が15〜30の油剤、(E)揮発性油剤、を配合することを特徴とするメイクアップリムーバーに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、十分な防腐力を持ち、使用後の肌のべたつきを抑え使用感に優れ、保湿感が得られ、メイクアップ化粧料の除去効果に優れるメイクアップリムーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料は、主に油性成分、粉体成分、及び水性成分で構成され、特に、目の周りや唇は、他の部位より目立つように、ポイントメイクアップ化粧料と言われる、アイカラー、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、口紅等が使用される。ポイントメイクアップ化粧料は化粧効果、化粧持ちを向上するため、発色を良くしたり密着性の良いものが開発されている。これを除去する化粧料がメイクアップリムーバーであり、乳化型、振とうして使用する多層型などのものがある。乳化型のメイクアップリムーバー(例えば特許文献1、2参照)は、なめらかな使用感が特徴であり、また、乳化型よりも除去効果の高いものとして多層型がこれまで検討されてきた(例えば特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2294830号公報
【特許文献2】特開2000−229814号公報
【特許文献3】特開2004−59580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の乳化型のメイクアップリムーバーは、なめらかな使用感には優れるものの、メイクアップ化粧料となじむまでに時間を要し、また洗浄力が強くないためウォータープルーフタイプのマスカラ等を落とすのは困難であるという欠点があった。また、水性成分と油性成分からなる多層型は、乳化型に比べれば化粧料の除去効果に優れるものの、ウォータープルーフタイプのマスカラ等の除去には十分といえるレベルではなかった。更に、近年では化粧持ちの良さを求める消費者が増えたことから、化粧持ちに優れたマスカラの処方開発が進んでいるが、それに伴いより除去効果に優れるメイクアップリムーバーが望まれるようになってきている。 この除去効果を高める為に、メイクアップリムーバーに配合する油性成分の配合量を多くすることが考えられるが、使用後に油性成分が肌上に残るため、後肌がべたつく欠点があった。そこでべたつきを低減する為に同様に肌上に残る成分であるグリコールの配合量を下げることが考えられるが、防腐力が低下してしまう為、目元に使用する製品に求められる防腐力を満たさない場合があった。更に、揮発成分である水や溶剤の量を高めてさっぱり感を与えることが考えられるが、除去効果が低下したり、肌上から過剰に油分が奪われてかさつきや、皮膚の白化が生じたりすることがあり、溶剤の量を多くすると安全性面で問題が起きる場合があった。そのため、防腐力を保ちながら、除去効果に優れたメイクアップリムーバーの開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、1,2−ペンタンジオールと、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールの1種または2種以上の多価アルコールと、水と、脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルでかつ総炭素数が15〜30の油剤と、揮発性油剤とを用いることにより、べたつきがなく、十分な防腐力を持ち、かつメイクアップ化粧料の除去効果に優れるメイクアップリムーバーが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(E);
(A)1,2−ペンタンジオール、
(B)1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれる1種または2種以上の多価アルコール、
(C)水、
(D)脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルで、かつ総炭素数が15〜30の油剤、
(E)揮発性油剤、
を配合することを特徴とするメイクアップリムーバーを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のメイクアップリムーバーは、十分な防腐力を持ち、使用後の肌のべたつきを抑え使用感に優れ、保湿感が得られ、メイクアップ化粧料の除去効果に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に用いられる成分(A)の1,2−ペンタンジオールは、二価のアルコールで、INCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)で表すと、ペンチレングリコールである。
成分(A)の配合量は特に限定されないが、0.1〜4質量%(以下、単に「%」と示す。)が好ましく、特に、0.3〜2%がより好ましい。この範囲であれば、使用感、防腐力、保湿感に特に優れるものとなる。
【0009】
本発明に用いられる成分(B)は、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれる1種または2種以上の多価アルコールであり、中でも1,3−ブチレングリコールが使用感及び防腐力の点で好ましい。
【0010】
本発明に用いられる成分(B)の配合量は特に限定されないが、5〜20%が好ましく、特に、8〜15%がより好ましい。この範囲であれば、使用感、防腐力、保湿感に特に優れるものとなる。
【0011】
本発明に用いられる成分(C)の水は水層を形成するものであるが、精製水の他に、温泉水、ローズ水やラベンダー水等の植物由来の水蒸気蒸留水などを使用することができる。
【0012】
本発明に用いられる成分(C)の水の配合量は特に限定されないが、メイクアップリムーバーが、二層型の場合には全成分中40〜90%が好ましく、更に50〜75%が特に好ましい。この範囲であれば、使用感の点で特に優れるものとなる。
またメイクアップリムーバーが、水中油型の場合には50〜90%が好ましく、更に60〜80%が特に好ましい。この範囲であれば、使用感の点で特に優れるものとなる。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)、(B)、(C)の配合量のバランスとしては、成分(A)と(B)の合計配合量と、成分(A)と(B)と(C)の合計配合量が質量比で(A+B):(A+B+C)=4:100〜25:100であることが好ましく、更に(A+B):(A+B+C)=10:100〜20:100がより好ましい。この範囲であれば、使用感、防腐力の点で特に優れるものとなる。
【0014】
本発明に用いられる成分(D)の脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルで、かつ総炭素数が15〜30の油剤とは、脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルで、かつ総炭素数が15〜30の油剤である。成分(D)は特に限定されないが、脂肪酸の例としてはブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、イソノナン酸などが挙げられ、一価または多価アルコールの例としてはプロパノール、イソプロパノール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール(セチルアルコール)、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、イソトリデシルアルコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。総炭素数が15未満であると、保湿感が得られなくなり、30を超えると除去効果が劣るものとなる。
また、脂肪酸及び一価または多価アルコールの炭素鎖において、分岐鎖の有無は問わず、更に官能基の有無も問わない。具体的には、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなどが挙げられ、その中でもジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、イソステアリン酸イソプロピルが使用感及び除去効果の点で好ましい。
【0015】
また、本発明に用いられる成分(D)の配合量は特に限定されないが、0.5〜30%が好ましく、特に、4〜10%がより好ましい。この範囲であれば、使用感、除去効果に特に優れるものとなる。
【0016】
本発明に用いられる成分(E)の揮発性油剤としては特に制限されず、メイクアップ料を除去することができ、化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用できる。具体的には、軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられるが、中でも軽質流動イソパラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサンが化粧料の除去効果に優れ、使用時のべたつきや刺激感の無いものが得られる。市販品としては、軽質流動イソパラフィンとしてはアイソパーH(エッソ化学社製)、イソドデカン(バイエル社製)、イソヘキサデカン(ユニケマ社製)、IPソルベント1620MU、IPソルベント2028MU、IPソルベント2835(以上、出光興産社製)、デカメチルシクロペンタシロキサンとしてはTFS405(東芝シリコーン社製)、SH245、DC345(東レ・ダウコーニング社製)、KF−995(信越化学工業社製)、メチルトリメチコンとしては、シリコーン TMF−1.5(信越化学工業社製)などが挙げられる。
【0017】
本発明に用いられる成分(E)の揮発性油剤の配合量は特に限定されないが、メイクアップリムーバーが二層型の場合は1〜30%が好ましく、特に6〜20%がより好ましい。この範囲で配合すると、使用感、除去効果、保湿感の点で特に優れるものとなる。
また、メイクアップリムーバーが、水中油型の場合は、全成分中1〜30%が好ましく、特に6〜12%がより好ましい。この範囲であれば、使用感、除去効果、保湿感の点で特に優れるものとなる。
【0018】
本発明のメイクアップリムーバーには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、目的に応じて、上記の必須成分である成分(A)〜(E)以外で通常化粧料に使用される各種成分を配合することができる。例えば、固形油や半固形油等の油剤、増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤等が挙げられ、必要に応じて各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0019】
本発明には成分(D)、(E)以外の固形油、半固形油、液体油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤等を利用することができる。具体的には、ワセリン、ポリイソブチレン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、モンタンワックス、セレシンワックス、フィッシュトロプスワックス等の炭化水素類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ロジン酸ペンタエリスリット、トリベヘン酸グリセリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステアリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、架橋型オルガノポリシロキサン、シリコーンワックス等のシリコーン類、ラノリン類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、スイテアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類等が挙げられる。
【0020】
増粘剤としては通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、水溶性高分子や、アルカリ増粘性ポリマーエマルションなどが挙げられる。
水溶性高分子の具体例としては、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アラビヤガム、トラガカントガム、カラヤガム、キサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、ジェランガム、ネイティブジェランガム、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンンモニウムクロライド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−iso−ブトキシアクリルアミド、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ジメチルアミノプロピルメタアクリルアミド等が挙げられる。
また、アルカリ増粘性ポリマーエマルションとは、高分子化合物を水性溶媒に分散してあるもので、中性下では、乳白液状のエマルションであり、アルカリで中和することにより増粘し、系に粘度を付与するものである。具体例としては、アクリル酸とアクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸及びアクリル酸アルキルエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸ポリエチレングリコールエステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、イタコン酸、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルション、アクリル酸、アクリル酸アルキルエステル及びイタコン酸(ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル)エステルの共重合体をポリマー分とするポリマーエマルションなどが挙げられる。
【0021】
粉体は、本発明のメイクアップリムーバーの外観を整えるために着色することやメイクアップ化粧料の除去効果を上げたり、感触調整剤として用いることができ、化粧料に使用されるものであればいずれのものも使用できる。具体的には、無機粉体としては、タルク、カオリン、マイカ、合成マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸、炭化珪素、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、一酸化チタン、チッ化硼素、酸化クロム、コンジョウ、群青、酸化鉄雲母、酸化鉄雲母チタン、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス等が挙げられ、有機粉体としては、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、シリコーン粉末、メチルメタアクリレート粉末、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、タール系色素及びそのレーキ色素等、又、これらの粉体を複合化したものが挙げられる。
【0022】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。また更に、酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等がそれぞれ挙げられる。
【0023】
モイスチャー効果を付与する目的で用いる水性成分としては、水に可溶な成分であれば何れでもよく、成分(A)〜(C)の他に、例えば、エチルアルコール等の低級アルコール類、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン等の植物抽出液が挙げられる。
【0024】
本発明のメイクアップリムーバーの形状は液状またはゲル状であり、剤型は多層型、水中油型、油中水型等限定されるものではない。例えば、多層型の1種である二層型の場合には静置時に水層と油層の二層に分離し、各層は、透明、半透明、不透明いずれに限定されるものではないが、透明であることが好ましく、また水中油型の場合には静置時も安定に油滴が分散された白濁状とすることが好ましい。
本発明のメイクアップリムーバーは、特にマスカラ、アイライナー、アイシャドウ、アイブロウ等のアイメイクアップ化粧料、口紅、グロス等の口唇化粧料の除去において効果があるが、ファンデーション、チーク、ボディーペイント等のメイクアップ化粧料の除去にも使用することができる。また、メイクアップリムーバーであるが、皮脂を除去することも可能である。しかし界面活性剤の力で除去する化粧料であるクレンジングとは異なるものであるため、界面活性剤を配合することもできるが、配合量は1%以下であることが好ましい。
【0025】
次に実施例をもって本発明をより詳細に説明する。本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0026】
(実施例1〜12、比較例1〜6)二層型メイクアップリムーバー(水層と油層)
表1及び表2に示す処方及び下記に示す製造方法により、二層型メイクアップリムーバーを製造した。得られた各メイクアップリムーバーについて使用感(べたつきの無さ)、保湿感、除去効果、及び防腐力の評価を下記評価方法を用いて行った。その結果も併せて表1、2に示す。また、イ〜ハに関しては評点の平均点も同時に記載した。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
*1:ジカプリン酸プロピレングリコール
*2:イソステアリン酸イソプロピル
*3:軽質流動イソパラフィン:IPソルベント2028MU(出光興産社製)
*4:デカメチルシクロペンタシロキサン:KF−995(信越化学工業社製)
【0030】
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を均一に混合する。
B.成分(6)〜(10)を均一に混合する。
C.A、Bを容器に充填して製品を得る。
【0031】
(評価方法)
20名の官能検査パネルにより、各試料を下記評価項目イ、ロ、ハについて、(1)絶対評価基準を用いて5段階に評価し、各試料の評点の平均点を(2)4段階判定基準を用いて判定した。評価は、専門パネルに下記記載評価用マスカラを使用した後、試料をコットンに約0.5gとり、3回ふき取り使用してもらい、各評価を行った。尚、イとロについては、使用直後の状態を評価した。
また、下記評価項目ニについては第15改正日本薬局方参考情報に記載の保存効力試験法に基づき防腐試験を実施し、下記評価方法を用いて判定した。
【0032】
(評価用マスカラ)
(成分) (%)
(1)ロジン酸ペンタエリスリット 14
(2)ポリイソブチレン 1
(3)軽質流動イソパラフィン *5 52
(4)ポリエチレンワックス 10
(5)デキストリン脂肪酸エステル 5
(6)黒酸化鉄 5
(7)タルク 13
*5:軽質流動イソパラフィン:IPソルベント1620MU(出光興産社製)
(製法)
A.成分(1)〜(5)を90℃で加熱溶解し、成分(6)、(7)を加えて均一に混合する。
B.Aを容器に充填して評価用マスカラを得た。
【0033】
(評価項目)
イ.使用感(べたつきの無さ)
ロ.保湿感
ハ.除去効果
ニ.防腐力
【0034】
評価方法:「使用感(べたつきの無さ)」、「保湿感」、「除去効果」
(1)絶対評価基準:
評価結果 :評点
非常に良好:5点
良好:4点
普通:3点
やや不良:2点
不良:1点
(2)4段階判定基準:
評点の平均値 :判定
4.5以上 :◎
3.5以上〜4.5未満:○
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満 :×
【0035】
評価方法:「防腐力」
判定基準:
結果 :判定
2週間以内で細菌が接種菌数の1%以下まで減少し、
且つ真菌が接種菌数以下にまで減少したもの :◎
2週間以内で細菌が接種菌数の1%以下まで減少し、
且つ真菌が接種菌数と同レベルだったもの :○
2週間以内で細菌が接種菌数の1%以下まで減少しなかったか、
若しくは真菌が接種菌数より増殖したもの :×
【0036】
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明品である実施例1〜12の二層型メイクアップリムーバーは比較例1〜6の二層型メイクアップリムーバーに比較し、高い化粧料の除去効果を有し、べたつきがなくさっぱりとした使用感と適度な保湿感が得られ、かつ十分な防腐力を持つものであった。
一方、成分(A)の1,2−ペンタンジオールを配合していない比較例1、及び成分(B)の1,3−ブチレングリコールを配合していない比較例3については十分な防腐力が得られず、長期保存するには不適なものとなった。更に比較例3は、かさかさして保湿感も得られなかった。
また、成分(A)の1,2−ペンタンジオールの代わりに、成分(B)のみで防腐力を高める組成にした比較例2は、べたつきがなくさっぱりとした使用感が得られず、除去効果が十分ではなかった。
成分(D)のジカプリン酸プロピレングリコールを配合していない比較例4、ジカプリン酸プロピレングリコールの代わりにパルミチン酸イソステアリルを配合した比較例5については、マスカラとのなじみが悪く除去効果が得られないばかりが、実施例1に比べ保湿感も劣るものとなった。
また、成分(E)の揮発性油剤を配合していない比較例6は、マスカラとのなじみが悪く除去効果得られず、防腐力でも満足いくものが得られなかった。
【0037】
実施例13 二層型メイクアップリムーバー
(成分) (%)
(1)1,2−ペンタンジオール 0.7
(2)プロピレングリコール 7
(3)ジプロピレングリコール 5
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.15
(5)精製水 残量
(6)ジカプリル酸プロピレングリコール 6
(7)揮発性油剤 *3 8
(8)揮発性油剤 *4 6
(製造方法)
A.成分(1)〜(5)を均一に混合する。
B.成分(6)〜(8)を均一に混合する。
C.A、Bを容器に充填して製品を得る。
【0038】
以上のように得られた実施例13の二層型メイクアップリムーバーについて、実施例1〜10で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、高い化粧料の除去効果を有し、べたつきがなくさっぱりとした使用感と適度な保湿感が得られ、かつ十分な防腐力を持つものであった。
【0039】
実施例14〜24、比較例8〜13 水中油型メイクアップリムーバー
表3及び表4に示す処方及び下記に示す製造方法により、水中油型メイクアップリムーバーを製造した。得られた各メイクアップリムーバーについて使用感(べたつきの無さ)、保湿感、除去効果、及び防腐力の評価を行った。評価方法は実施例1〜12、及び比較例1〜6と同様とし、その結果も併せて表3、4に示す。また、イ〜ハに関しては評点の平均点も同時に記載した。
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
*6:ACULYN 33A(ローム・アンド・ハース社製)(固形分28%)
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)を均一に混合する。
B.成分(8)〜(11)を均一に混合したものを、Aに添加して分散する。
C.Bを容器に充填して製品を得る。
【0043】
表3及び表4の結果から明らかなように、本発明品である実施例14〜24の水中油型メイクアップリムーバーは比較例8〜13の水中油型メイクアップリムーバーに比較し、高い化粧料の除去効果を有し、べたつきがなくさっぱりとした使用感が得られ、かつ十分な防腐力を持つものであった。
一方、成分(A)の1,2−ペンタンジオールを配合していない比較例8、及び成分(B)の1,3−ブチレングリコールを配合していない比較例10では十分な防腐力が得られず、長期保存するには不適なものとなった。更に比較例10は、かさかさして保湿感も得られなかった。
また、成分(A)の1,2−ペンタンジオールの代わりに、成分(B)のみで防腐力を高める組成にした比較例2は、べたつきがなくさっぱりとした使用感が得られず、除去効果が十分ではなかった。
成分(D)のジカプリン酸プロピレングリコールを配合していない比較例11、ジカプリン酸プロピレングリコールの代わりにパルミチン酸イソステアリルを配合した比較例12に関しては、マスカラとのなじみが悪く除去効果が得られないばかりが、実施例14に比べ保湿感も劣るものとなった。
また、成分(E)の揮発性油剤を配合していない比較例13はマスカラとのなじみが悪く除去効果得られず、防腐力でも満足いくものが得られなかった。
【0044】
実施例25 水中油型メイクアップリムーバー
(成分) (%)
(1)1,2−ペンタンジオール 0.7
(2)プロピレングリコール 7
(3)ジプロピレングリコール 7
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.15
(5)アクリル酸アルキル共重合体 *6 3
(6)アルギニン 0.8
(7)精製水 残量
(8)ジカプリル酸プロピレングリコール 4
(9)揮発性油剤 *3 8
(製造方法)
A.成分(1)〜(7)を均一に混合する。
B.成分(8)〜(9)を均一に混合したものを、Aに添加して分散する。
C.Bを容器に充填して製品を得る。
【0045】
以上のように得られた実施例25の水中油型メイクアップリムーバーについて、実施例1〜10で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、高い化粧料の除去効果を有し、べたつきがなくさっぱりとした使用感と適度な保湿感が得られ、かつ十分な防腐力を持つものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)1,2−ペンタンジオール、
(B)1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールから選ばれる1種または2種以上の多価アルコール、
(C)水、
(D)脂肪酸と一価または多価アルコールとのエステルで、かつ総炭素数が15〜30の油剤、
(E)揮発性油剤、
を配合することを特徴とするメイクアップリムーバー。
【請求項2】
前記成分(A)と(B)の合計配合量と、成分(A)と(B)と(C)の合計配合量が質量比で(A+B):(A+B+C)=4:100〜25:100であることを特徴とする請求項1記載のメイクアップリムーバー。
【請求項3】
前記成分(D)を0.5〜30質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のメイクアップリムーバー。
【請求項4】
前記成分(E)を1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のメイクアップリムーバー。
【請求項5】
前記成分(D)の油剤が、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、イソステアリン酸イソプロピルから選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のメイクアップリムーバー。
【請求項6】
界面活性剤の配合量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のメイクアップリムーバー。

【公開番号】特開2009−234970(P2009−234970A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82088(P2008−82088)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】