説明

メイクアップ化粧料

【課題】高い透明感を有し、適度な彩度の色調で、光輝性の高いパール感を示しつつも、過度なギラつき感がなく、且つ塗布し易い有色のメイクアップ化粧料を提供すること。
【解決手段】(A)ガラスフレークに酸化鉄を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜10μmの酸化鉄被覆ガラスフレーク、及び
(B)雲母に1種以上の着色剤を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜5μmの着色光輝性真珠光沢雲母
を含有するメイクアップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性の高いパール感を有しつつも、過度なぎらつき感がなく、透明感が高く、特に化粧料の外観色及び塗布後の仕上がりの色の彩度が適度で、かつ塗布し易いメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料は、外観及び、肌上に塗布した際の化粧塗布肌を、美しく魅力あるものにするため、様々な種類の色材が含有される。このような色材は、メイクアップ化粧料の色や見え方をほぼ決定する原料であり、着色顔料と真珠様光沢顔料に大別される。
【0003】
着色顔料は、化粧料に色自体を付与するために用いられる顔料である。しかしながら、着色顔料、特に無機顔料の配合量が多くなると、発色もくすみがちになり、隠蔽力が高くなるため、透明感が高く美しい発色のある仕上りが得られにくいという傾向がある。
【0004】
一方、真珠様光沢顔料(パール顔料)は、メイクアップ化粧料の外観、及び塗布後の肌上の化粧膜に、きらきらとした真珠様光輝感(パール感)を付与し、魅力ある演出をすることができる顔料である。パール顔料の代表的なものとしては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)等のような外観色が白色〜淡黄灰白のものと、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、紺青・黄酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、水酸化クロム被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン等のような外観が有色のものがある。
外観が有色のパール顔料は、パール感を付与すると同時に着色もできることから、着色顔料の配合比率を減らすことができ、塗布時に透明感のある仕上りが得られる。
【0005】
近年メイクアップ化粧料には、高い光輝感が求められており、これらパール顔料に更に高い光輝感を付与することが検討されている。一例として、粒径の大きなパール顔料が用いられ、例えば、大粒径の雲母チタンやベンガラ被覆雲母、及びフィルム積層末(ラメ)等が多く用いられている。
しかし、大粒径のパール顔料は、化粧料への配合時に破砕される場合もあり、配合後の化粧料中において本来の光輝感が充分に得られなかったり、肌への塗布時に均等に塗りにくかったりという問題がある。
【0006】
また高い光輝性をパール感に得るために、平滑性の高いガラスフレークを母材に用い、着色剤を被覆したパール顔料が開発され(特許文献1〜3)、また、金属や、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物を表面に被覆した、ガラスフレークベースの高光輝性パール顔料が開発されている。
【0007】
しかしながら、酸化鉄被覆ガラスフレーク等のパール顔料のみを化粧料に配合した場合、配合した化粧料の外観及び塗布時の色調が、高彩度になりすぎる傾向があった。
【0008】
【特許文献1】特開2001−11340号公報
【特許文献2】特表2002−509561号公報
【特許文献3】特開2004−352725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高い透明感を有し、適度な彩度の色調で、光輝性の高いパール感を示しつつも、過度なギラつき感がなく、且つ塗布し易い有色のメイクアップ化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、(A)母材であるガラスフレークを酸化鉄で被覆した、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜10μmの酸化鉄被覆ガラスフレークと、(B)雲母を母材とし着色剤で被覆した、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜5μmの着色光輝性雲母を組合せて用いることにより、メイクアップ化粧料に色を付与しつつ、高い透明感を有し、適度な彩度の色調と、光輝性の高いパール感を示し、しかも過度のギラつき感がなく、且つ塗布し易い化粧料が得られることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)ガラスフレークに酸化鉄を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜10μmの酸化鉄被覆ガラスフレーク、及び
(B)雲母に1種以上の着色剤を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜5μmの着色光輝性雲母
を含有するメイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のメイクアップ化粧料は、その外観が適度な彩度の色調及び光輝性の高いパール感を有するものであって、塗布した場合、光輝性の高いパール感と、適度な彩度の色調、及び高い透明感があり、過度のギラつき感がない仕上りを示し、且つ塗り易いものである。また、本発明のメイクアップ化粧料は、着色顔料の配合量を低減しても、有色を呈させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のメイクアップ化粧料に使用する成分(A)は、ガラスフレークに酸化鉄を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜10μmの酸化鉄被覆ガラスフレークである。平滑性及び透明性が高いガラスフレークを基材に用いることから、これまでにない高い光輝感と適度な彩度が得られる。
【0014】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの平均粒径は、500μm以下であり、これにより塗布後の仕上がりの優れた均一性が得られる。また、この仕上がりの均一性が更に良くできる点で、平均粒径は300μm以下がより好ましく、150μm以下とするのが更に好ましい。
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの平均粒径は、1μm以上であり、これにより、充分な干渉色及び光輝感を得ることができる。
【0015】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの平均厚さは、10μm以下であり、これにより塗布時の使用感が良くなる。また、この仕上がりの均一性が更に良くできる点で、平均厚さは、好ましくは5μm以下である。
また、成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの平均厚さは、0.1μm以上であり、これにより化粧料への配合時に酸化鉄被覆ガラスフレークが破砕されにくくなる。
【0016】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークのアスペクト比は、化粧料の外観や塗布後の仕上りに、高い光輝感を得るという点から、10以上とするのが好ましく、過度のギラつき感がない美しい光輝感を得る点から、500以下とするのがより好ましい。
【0017】
ここで、平均粒径とは酸化鉄被覆ガラスフレークの長径方向の粒子径の平均値であり、平均厚さとは酸化鉄被覆ガラスフレークの厚み方向の平均値であり、アスペクト比とは平均粒径を平均厚さで割った値である。
粒子径の測定には、レーザー回折/散乱式粒度分布計:LA−920((株)堀場製作所製)を湿式測定で使用(分散媒:エタノール)し、平均粒径は、得られる累積粒度分布曲線におけるD50(累積粒度分布が50%である粒径)の点をいう。
【0018】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの母材であるガラスフレークは、例えば、特公昭41−17148号公報、特公昭45−3541号公報に記載の方法で製造することができる。具体的には、溶融したガラスを円型スリットから押し出し、それを中空状の円筒に膨らませ、平均厚さ0.1〜10μmのガラスフィルムとし、それを粉砕分級することにより製造することができる。
【0019】
ガラスフレークを被覆する酸化鉄としては、例えば黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄等が挙げられ、ベンガラ、黄酸化鉄が好ましく、特にベンガラが好ましい。
ガラスフレークを酸化鉄で被覆する方法としては、例えば塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、シュウ酸第一鉄、シュウ酸第二鉄アンモニウム、硫酸第二鉄アンモニウム、リン酸第二鉄、クエン酸第二鉄、乳酸第一鉄、フマル酸鉄などの無機、有機鉄化合物の水溶液中に、ガラスフレークを添加した後、50〜100℃、好ましくは80℃以上に昇温して鉄化合物を加水分解させてガラスフレーク表面に酸化鉄を析出させ、水洗、濾過後、これを150℃以下で乾燥することにより酸化鉄被覆ガラスフレークを得ることができる。なお、鉄化合物の加水分解速度を調整するために、無機、有機鉄化合物の水溶液中にガラスフレークを添加する前又は後に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン等の塩基、又はこれら塩基の水溶液を添加してもよい。この酸化鉄被覆ガラスフレークを、加熱焼成することによって、ベンガラ被覆ガラスフレークを製造することができる。更に、酸化鉄被覆量、過熱焼成温度及び時間を、調整することにより酸化鉄被覆ガラスフレークの色調を変化させることができる。
【0020】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークの市販品としては、マイクログラスメタシャインMC1080TZ、マイクログラスメタシャインMC1080TP、マイクログラスメタシャインMC1080TA(以上、日本板硝子(株)製)、Reflecks Blazing Bronze、Reflecks Clearly Copper、Reflecks Really Rouge(以上、Engelhard社製)等が挙げられる。
【0021】
本発明のメイクアップ化粧料に使用する成分(B)は、雲母に1種以上の着色剤を層状に被覆してなる、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜5μmの着色光輝性雲母である。
【0022】
成分(B)着色光輝性雲母の平均粒径は、500μm以下であり、これにより塗布後の仕上がりの優れた均一性が得られる。また、この仕上がりの均一性が更に良くできる点で、平均粒径は300μm以下がより好ましく、150μm以下とするのが更に好ましい。
成分(B)着色光輝性雲母の平均粒径は、1μm以上であり、これにより、充分な干渉色及び光輝感を得ることができる。
【0023】
成分(B)着色光輝性雲母の平均厚さは、10μm以下であり、これにより塗布時の使用感が良くなる。また、この仕上がりの均一性が更に良くできる点で、平均厚さは、好ましくは5μm以下である。
また、成分(B)着色光輝性雲母の平均厚さは、0.1μm以上であり、これにより化粧料への配合時に着色光輝性雲母が破砕されにくくなる。
【0024】
成分(B)着色光輝性雲母のアスペクト比は、化粧料の外観や塗布後の仕上りに、光輝感を得るという点から、10以上とするのが好ましく、過度のギラつき感がない美しい光輝感を得る点から、500以下とするのがより好ましい。
【0025】
ここで、成分(B)に関する平均粒径、平均厚さ及びアスペクト比については、前記と同様に定義され、前記と同様に測定される。
【0026】
雲母を層状に被覆する着色剤は、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(例えば、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄)、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラック等の無機顔料;タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料;及びカルミン等の天然色素が挙げられ、これらのなかから1種のみ又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、効果的に光輝性の高いパール感を得るために、金属酸化物を含む無機顔料、金属錯体、有機顔料が好ましく用いられる。すなわち、酸化チタンを被覆した雲母チタン、ベンガラを被覆したベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、紺青・黄酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン、水酸化クロム被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黄酸化鉄被覆雲母等が挙げられる。
【0027】
成分(B)着色光輝性雲母の市販品としては、雲母チタン系ではTimiron Supersilk MP−1005、Timiron Starluster MP−115、Timiron Super Red、(以上、Merck社製)、Flamnco Supreme Sparkle、Flamenco Summit Red、Flamenco Sparkle Violet(以上、Engelhard社製)、Prestige Bright Silver Star、Prestige Magic Violet、Prestige Bright Mystic Red、Prestige Sparkling Gold(以上、Eckart社製)等が、ベンガラ被覆雲母系ではColorona Bordeaux、Colorona Sienna Sparkle、Colorona Glitter Bronze、Colorona Passion Orange(以上、Merck社製)、Cloisonne Blue Flambe、Cloisonne Super Rouge、Cloisonne Sparkle Bronze(以上、Engelhard社製)、Prestige Fier−Red、Prestige Bright Copper(以上、Eckart社製)等が、ベンガラ被覆雲母チタン系ではColorona Red Brown、Timiron Gold Plus MP−25(以上、Merck社製)、Cloisonne Orange、Cloisonne Sparkle Gold、Desert Reflections Cayon Sunset(以上、Engelhard社製)、Prestige Beige、Prestige Bright Lemon Gold、Prestige Sparkling Pure Gold(以上、Eckart社製)等が,酸化チタン・二酸化ケイ素被覆雲母系としてはTimiron Splendid Red、Xirona Volcanic Fire(以上、Merck社製)等が挙げられる。
黒酸化鉄被覆系では、黒酸化鉄被覆雲母としてColorona Blackstar Red(以上、Merck社製)、黒酸化鉄・酸化チタン被覆雲母としてはColorona Patina Gold(以上、Merck社製)、Flamenco Twilight Red(以上、Engelhard社製)、黒酸化鉄・ベンガラ・酸化チタン被覆雲母としてTimica Nu−Antique Copper(以上、Engelhard社製)等が挙げられる。
その他、紺青被覆雲母チタン、紺青・黄酸化鉄被覆雲母チタン、酸化クロム被覆雲母チタン等、市販の雲母をベースとしたパール顔料であれば、成分(B)として、適宜用いることができる。
【0028】
成分(A)および成分(B)は、2種類以上の着色剤で層状に被覆していてもよく、この場合、様々な色調をつくりだすことができる。
【0029】
また、成分(A)及び成分(B)は、その表面を、通常の方法により撥水化処理、撥水・撥油化処理又はその他の表面処理したものを用いてもよい。
撥水化処理剤としては、一般に粉体の撥水化処理に使用されるものならいずれでもよく、例えば鎖状シリコーン、環状シリコーン、変性シリコーン等のシリコーン油;炭素数12〜18の脂肪酸のカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等の脂肪酸金属塩;合計炭素数8〜45のアルキル基又はアルケニル基を有するモノ又はジーリン酸エステル及びそのアルカリ金属塩又はアミン塩;N−モノ長鎖(炭素数8〜22)脂肪族アシル塩基性アミノ酸;パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物(米国特許第3632744号明細書、特開昭62−25074号公報、特開昭55−167209号公報、特開平2−218603号公報)等が挙げられる。
【0030】
撥水・撥油化処理剤としては、一般に粉体の撥水・撥油化処理に使用されるものならいずれでもよく、例えばパーフルオロアルキルリン酸(米国特許第3632744号明細書)のほか、フルオロアルキルジ(オキシエチル)アミンリン酸エステル(特開昭62−250074号公報)、フルオロアルキル基を有する重合体(特開昭55−167209号公報、特開昭61−55481号公報、特開昭61−48803号公報)、四フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂(特開昭57−38707号公報)、フルオロアルコール(特開昭63−2251号公報、特開昭63−2252号公報)、パーフルオロエポキシ化合物、スルホアミド型フルオロリン酸、パーフルオロ硫酸塩、パーフルオロカルボン酸塩、パーフルオロアルキルシラン(特開平1−318070号、特開平2−218603号公報、特開平1−160907号公報、特開平2−127477号公報;信越シリコーン社製、LP−1T、LP−4T、LP−8T等のシランカップリング剤)、トリクロロトリフルオロエタン等の含フッ素ハロゲン化炭化水素(フロン)(特開平1−318070号公報)、フルオロアルキル含有多価アルコール、フルオロアルキル含有ポリオキシエチレン化合物(特開平1−180810号公報、特開平1−180811号公報)、フルオロアルキル含有スルホアミドカルボン酸、フルオロアルキル含有アクリル酸エステル系コポリマー(米国特許第3632744号明細書)などが挙げられる。
【0031】
その他の表面処理としては、シリカ、ミリスチン酸、Nε−ラウロイル−L−リジン等による処理が挙げられる。これらの表面処理は、配合目的に応じて上記撥水化処理や撥水・撥油化処理と組み合わせてもよい。
【0032】
これら表面処理剤の処理量は、十分な疎水性が得られ、良好な感触が得られる点から、処理される成分(A)又は成分(B)に対して0.05〜20質量%、特に2〜10質量%であるのが好ましい。
【0033】
成分(A)酸化鉄被覆ガラスフレークとして、ベンガラ被覆ガラスフレークを用いる場合、成分(B)着色光輝性雲母としては、透明感を付与しつつ少ない配合量で彩度の制御ができる点で、金属酸化物を含む無機顔料で被覆したものを用いるのが好ましい。かような成分(B)としては、特に、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄・酸化チタン被覆雲母、黒酸化鉄・ベンガラ被覆雲母及び黒酸化鉄・ベンガラ・酸化チタン被覆雲母が好ましい。
【0034】
本発明のメイクアップ化粧料中における成分(A)及び成分(B)の含有量は、塗布後の仕上がりに、高い光輝性はあるが過度なギラつきのないパール感と、透明感及び色調に適度な彩度を付与する点、更には化粧料の塗布性を容易にする点から、成分(A)は0.01〜50質量%の範囲であることが、そして成分(B)は0.01〜70質量%の範囲であることが好ましい。
特に、口紅、リップグロス、リップクリーム及びリップライナー等の場合には、成分(A)は0.1〜30質量%、特に0.5〜20質量%で、成分(B)は0.01〜40質量%、特に0.5〜30質量%;アイシャドウ、頬紅及びルースパウダーの場合には、成分(A)は0.1〜50質量%、特に0.5〜40質量%で、成分(B)は0.01〜70質量%、特に0.5〜50質量%;粉白粉、固型白粉及びフェイスパウダーの場合には、成分(A)は0.01〜15質量%、特に0.05〜10質量%で、成分(B)は0.01〜20質量%、特に0.05〜10質量%;パウダーファンデーション、油性ファンデーション、クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション及びコンシーラーの場合には、成分(A)は0.01〜20質量%、特に0.05〜10質量%で、成分(B)は0.01〜30質量%、特に0.05〜20質量%;アイライナー、アイブロウ、マスカラ及びネイルエナメルの場合には、成分(A)は0.01〜30質量%、特に0.5〜20質量%で、成分(B)は0.01〜40質量%、特に0.5〜30質量%が好ましい。
【0035】
本発明のメイクアップ化粧料中における成分(A)と成分(B)の質量比は、化粧料に光輝感と適度な彩度が得られる点から、100:1〜1:100、好ましくは50:1〜1:50、更に好ましくは20:1〜1:20である。
【0036】
本発明のメイクアップ化粧料には、さらに成分(C)として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄(黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄)、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラック等の無機顔料;タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料;及びカルミン等の天然色素等の着色剤を含めてもよく、このうち、酸化鉄、酸化チタン、紺青、群青、マンガンバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、カーボンブラック及び有機顔料が好ましく、特に酸化鉄が好ましい。本発明のメイクアップ化粧料に含まれる成分(A)の酸化鉄被覆ガラスフレークが塗布後の着色力に優れるため、これら成分(C)着色剤の配合量は低減させたものであっても、充分な有色を呈する化粧料とすることができる。
成分(C)着色剤の含有量としては、例えば口紅、リップグロス、リップクリーム及びリップライナーの場合は0〜30質量%、特に0.01〜20質量%;アイシャドウ、頬紅及びルースパウダーの場合は、0〜70質量%、特に0.5〜50質量%;粉白粉、固型白粉及びフェイスパウダーの場合は、0〜30質量%、特に0.1〜10質量%;パウダーファンデーション及び油性ファンデーションの場合は、0〜50質量%、特に1〜30質量%;クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション及びコンシーラーの場合は、0〜40質量%、特に1〜25質量%;アイライナー、アイブロウ、及びマスカラの場合は、0〜50質量%、特に1〜30質量%、ネイルエナメルの場合0〜20質量%、特に0.01〜15質量%が好ましい。
【0037】
本発明のメイクアップ化粧料中における成分(A)、成分(B)及び成分(C)の質量比は、(成分(A)と成分(B)の合計質量):(成分(C)の質量)=100:1〜1:100であるのが、光輝性の高いパール感を有し、過度なぎらつき感がなく、透明感が高く、色調の彩度が適度である点で好ましい。
【0038】
本発明のメイクアップ化粧料には、これら成分(A)〜成分(C)のほかに、必要に応じて油性基剤、前記以外の粉体、界面活性剤を含めてもよい。
【0039】
油性基剤としては、ワックス(固体脂)及びオイル(液油)を用いることができ、ワックスとしては、常温で固体又は半固体の炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、高級アルコール及びこれらの誘導体が用いられ、具体的には、固体パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリエチレン、低分子ポリオレフィン、ワセリン、ラノリン、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0040】
オイルとしては、常温で液体の炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、高級アルコール、シリコーンオイル、フッ素系オイル及びこれらの誘導体等が用いられ、具体的には、ヒマシ油、オリーブ油、アボガド油、パーム油、カカオ油、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン、ステアリン酸ブチルエステル、ミリスチン酸オクチルドデシルエステル、ミリスチン酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸へキシルエステル、オレイン酸オレイルエステル、アジピン酸ジイソプロピルエステル、セバチン酸ジイソプロピルエステル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、バチルアルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。これらの油性基剤は本発明のメイクアップ化粧料中に0.01〜95質量%含むことができる。
【0041】
粉体としては、体質顔料、成分(A)及び成分(B)以外のパール剤が挙げられる。体質顔料としては、例えば無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、等の無機顔料及びこれらの複合粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、シリコーン樹脂、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、Nε−ラウロイル−L−リジン、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、金属セッケン等からなる有機粉体、及びこれらの複合粉体;上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。これらの粉体の粒子形状は、球状、板状、及び針状、粒状及び不定形等いずれの形状でもよい。これらの粉体は本発明のメイクアップ化粧料中に0.01〜95質量%含むことができる。
【0042】
成分(A)及び成分(B)以外のパール顔料としては、シリカフレーク、アルミナフレーク、酸化鉄フレーク、アルミニウム等を、酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆、または多重被覆したパール顔料等を用いることができる。
【0043】
これら粉体は、成分(A)及び成分(B)と同様に前述の撥水化、撥水・撥油化処理又はその他の表面処理を施したものであってもよい。
【0044】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が含まれ、1種又は2種以上を用いることができる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノールアミド、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルサッカライド、α−モノアルキルグリセリルエーテル、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン・モノアルキルグリセリルエーテル共重合体(特開平6−135871号)などが挙げられる。
【0045】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
【0046】
カチオン界面活性剤としては、脂肪族炭化水素基を有する第1級、第2級、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0047】
両性界面活性剤としては、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0048】
本発明のメイクアップ化粧料には、さらに増粘剤、酸化防止剤、アルコール、多価アルコール、防腐剤、紫外線吸収剤・散乱剤、有機溶剤、水溶性高分子、油溶性高分子、保湿剤、無機塩又は有機酸塩、キレート剤、乳化安定剤、pH調整剤、香料、各種エキス、薬剤、及び水等を適宜配合することができる。
【0049】
本発明のメイクアップ化粧料は、油性、水性、及び乳化物の状態で、また固型、半固型、液状、及びペースト状の形態で提供することができる。
またメイクアップ化粧料としては、口紅、リップグロス、リップクリーム、リップライナー、アイシャドウ、ルースパウダー、頬紅、粉白粉、固型白粉、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、油性ファンデーション、クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション、コンシーラー、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、ネイルエナメル等が含まれる。
【実施例】
【0050】
実施例1〜2及び比較例1〜5(口紅)
表2に示す組成からなる口紅を次法により製造した。すなわち、表1の各成分を秤量して加熱し、ワックス成分等を融解させた状態で混合し、口紅ベースを得た。次に、成分(5)〜(13)を秤量しステンレス容器に入れ、これを加熱し撹拌機にて分散混合した後、成分(1)〜(4)を加え均一になるまで混合した。これを減圧脱泡した後、金型に流し込みスティック状の口紅を得た。
【0051】
(評価)
得られた口紅について、専門パネル10名が外観観察をし、さらに実際に塗布し、以下の評価項目及び評価基準に基づいて評価し、10名の結果を項目毎に集計した。但し、化粧料外観の色調及び塗布後の化粧塗膜の色調の彩度の評価については、適度な彩度を良好とし、彩度が高すぎたり又は低すぎたりした場合は、良好ではないと評価をした。結果を表2にあわせて示す。
【0052】
<評価項目>
・化粧料外観の光輝感
・化粧料外観の色調の彩度
・化粧料の塗布し易さ
・塗布後(乾燥後)の化粧塗膜の光輝感
・塗布後(乾燥後)の化粧塗膜の透明感
・塗布後(乾燥後)の化粧塗膜の色調の彩度
・塗布後(乾燥後)の化粧塗膜のギラつき感のなさ
<評価基準>
良好である:5点
やや良好である:4点
どちらともいえない:3点
やや良好ではない:2点
良好ではない:1点
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
表2に示すように、本発明のメイクアップ化粧料は、外観の光輝感、外観の色調の彩度、塗布のし易さ、塗布後の化粧塗膜の光輝感、塗布後の化粧塗膜の透明感、塗布後の化粧塗膜の色調の彩度、塗布後の化粧塗膜のギラつき感のなさのいずれにおいても優れるものであった。
【0056】
実施例3〜4及び比較例6〜9(リップグロス)
表3に示す組成からなるリップグロスを次法により製造した。すなわち、成分(5)〜(11)を秤量しステンレス容器に入れ、これを加熱し撹拌機にて分散混合した後、成分(1)〜(4)を加え均一になるまで混合した。次に、これを減圧脱泡した後、透明樹脂製容器に充填しリップグロスを得た。得られたリップグロスを、上記と同様の評価項目及び評価基準によって評価した。結果を表3にあわせて示す。
【0057】
【表3】

【0058】
表3に示すように、本発明のメイクアップ化粧料は、外観の光輝感、外観の色調の彩度、塗布のし易さ、塗布後の化粧塗膜の光輝感、塗布後の化粧塗膜の透明感、塗布後の化粧塗膜の色調の彩度、塗布後の化粧塗膜のギラつき感のなさのいずれにおいても優れるものであった。
【0059】
実施例5〜6及び比較例10〜13(アイシャドウ)
表4に示す組成からなるアイシャドウを次法で製造した。すなわち、成分(5)〜(13)及び(15)を秤量し、混合粉砕した。これを高速ブレンダーに移し、更に成分(14)を加え高速で均一に混合した。この混合物に成分(1)〜(4)を加え、低速で混合した後、ふるいを通した。これを金皿に圧縮成型し、アイシャドウを得た。得られたアイシャドウを、上記と同様の評価項目及び評価基準によって評価した。結果を表4にあわせて示す。
【0060】
【表4】

【0061】
表4に示すように、本発明のメイクアップ化粧料は、外観の光輝感、外観の色調の彩度、塗布のし易さ、塗布後の化粧塗膜の光輝感、塗布後の化粧塗膜の透明感、塗布後の化粧塗膜の色調の彩度、塗布後の化粧塗膜のギラつき感のなさのいずれにおいても優れるものであった。
【0062】
実施例7〜8及び比較例14〜17(美爪料)
表5に示す組成からなる美爪料を次法で製造した。すなわち、各成分を秤量し、成分(5)〜(9)を成分(13)を用いて成分(11)に分散させ、これらの混合物と残りの成分(10)、(12)、(1)〜(4)、及び(14)〜(16)を均一に撹拌混合し、脱気した後に透明ガラス容器に充填して、美爪料を得た。得られた美爪料を、上記と同様の評価項目及び評価基準によって評価した。結果を表5にあわせて示す。
【0063】
【表5】

【0064】
表5に示すように、実施例7及び8の美爪料は、外観の光輝感、外観の色調の彩度、塗布のし易さ、塗布乾燥後の化粧塗膜の光輝感、塗布乾燥後の化粧塗膜の透明感、塗布乾燥後の化粧塗膜の色調の彩度、塗布乾燥後の化粧塗膜のギラつき感のなさのいずれにおいても優れるものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ガラスフレークに酸化鉄を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜10μmの酸化鉄被覆ガラスフレーク、及び
(B)雲母に1種以上の着色剤を層状に被覆してなり、平均粒径が1〜500μm、平均厚さが0.1〜5μmの着色光輝性雲母
を含有するメイクアップ化粧料。
【請求項2】
成分(A)に用いられる酸化鉄が、ベンガラ又は黄酸化鉄である請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
成分(B)に用いられる着色剤が、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化クロム、水酸化クロム、シリカ、紺青、群青、カルミン及び有機顔料から選ばれる1種以上の着色剤である、請求項1又は2記載のメイクアップ化粧料。
【請求項4】
成分(A)及び成分(B)のメイクアップ化粧料中の質量比が、(A):(B)=20:1〜1:20である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメイクアップ化粧料。
【請求項5】
更に成分(C)として、酸化鉄、酸化チタン、紺青、群青、マンガンバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、カーボンブラック及び有機顔料から選ばれる着色剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメイクアップ化粧料。


【公開番号】特開2007−277107(P2007−277107A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102079(P2006−102079)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】