説明

メイク除去用シート化粧料

【課題】皮膚や眼粘膜に対して刺激がなく、力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクを除去することができるメイク除去用シート化粧料の提供。
【解決手段】水と、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルとを含有する水性組成物を、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から構成されてなる不織布に含浸してなるメイク除去用シート化粧料とする。所望により、水性組成物に多価アルコールを含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メイク除去用シート化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
メイクを除去する化粧料としては、油性基剤を主体とするクレンジングオイル、クレンジングジェル、クレンジングクリームなどのクレンジング剤が汎用されている。しかしながら、これらクレンジング剤は、オイルベースであるため、メイク除去後に洗顔剤などを用いてクレンジング剤自体を洗い落とす必要があり手間がかかるといった問題がある。化粧を施す女性にとって、「忙しい」、「疲れている」、「帰宅が遅くなった」など、1秒でも早く休息や睡眠を取りたいときに、後洗顔を必要とするメイク除去に係る一連の操作は非常に面倒であった。
【0003】
従来より、上記問題を解決するために、拭き取るだけで手軽にメイクが除去でき、後洗顔を必要としない操作性に優れるシート化粧料の開発がなされている。具体的には、HLB10〜16の非イオン性界面活性剤、多価アルコール又はグリコールエーテル、水をシートに含有する皮膚洗浄用シート(例えば、特許文献1を参照)、特定の不織布に、非イオン性界面活性剤、水を含有させてなる皮膚洗浄用シート(例えば、特許文献2を参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、これら試みに拠って、操作性を高めて手軽にメイク除去することはできるものの、用いられる界面活性剤の種類によってはメイク除去効果が不十分であるといった問題がある。また、施術中の皮膚や眼に「ピリピリ」、「チクチク」といった刺激が発現する恐れがあるといった問題がある。
【0005】
そこで、メイク除去効果を高めるとともに、皮膚に対する刺激を低減させる試みもなされている。具体的には、プルロニック型の界面活性剤、金属補足剤、油分を含浸させてなるシート状化粧料(例えば、特許文献3を参照)、トリグリセリンモノ脂肪酸エステルを支持体に保持させてなる皮膚汚れ除去用製品(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0006】
しかしながら、これら試みに拠って、ある程度メイク除去効果を高め、皮膚に対する刺激を低減させることはできるものの、アイシャドウ、アイライナー、マスカラなどの眼周りを中心に施したメイクの除去については、ある程度力を入れて拭き取らなくてはならず、目の中に組成物が入り込んだときに眼粘膜に対して刺激を及ぼす恐れがあるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−21211号公報
【特許文献2】特開平11−49641号公報
【特許文献3】特開2004−203794号公報
【特許文献4】特開2005−75797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、皮膚や眼粘膜に対して刺激がなく、力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクを除去することができるメイク除去用シート化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕水と、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルとを含有する水性組成物を、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から構成されてなる不織布に含浸してなるメイク除去用シート化粧料、
〔2〕前記不織布が、パルプ、レーヨンおよびコットンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種とから構成されてなることを特徴とする前記〔1〕記載のメイク除去用シート化粧料、
〔3〕前記水性組成物に、更に多価アルコールを含有してなる前記〔1〕又は〔2〕に記載のメイク除去用シート化粧料、並びに
〔4〕前記水性組成物が、実質的にエタノールを含有しないことを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載のメイク除去用シート化粧料
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のメイク除去用シート化粧料は、施術時の肌触りに優れ、力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクを除去することができるという効果を奏する。また、格段に優れたメイク除去効果を発揮するにもかかわらず、非イオン性界面活性剤特有の皮膚や眼粘膜に対する刺激を抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のメイク除去用シート化粧料に含浸させる水性組成物は、水と、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルとを含有する。
【0012】
用いられる水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされないが、通常、精製水が用いられる。水の含有量は、水性とする観点から、組成物中、70〜97重量%とされ、好ましくは75〜97重量%とするのがよい。その理由は、70重量%未満の場合、べたつき感が生じて使用感に劣り、また、97重量%を超えて配合すると、十分なメイク除去効果が得られないからである。
【0013】
用いられるポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルに重合される酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、メイク除去の観点および水への溶解性の観点から、2〜50が好ましく、より好ましくは、4〜10である。
【0014】
尚、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルは、市販品をそのまま使用することもできる。具体的には、例えば、CETIOL HE810(商品名,コグニス ジャパン社製)、ソフチゲン767(商品名,サソール社製)、L.A.S(商品名,ガテフォッセ社製)などを例示することができる。
【0015】
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルの含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、メイク除去の観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、刺激の観点から、8重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルの含有量は、0.1〜8重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0016】
用いられるポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルに重合される酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、メイク除去の観点および水への溶解性の観点から、5〜80が好ましく、より好ましくは、5〜20である。
【0017】
尚、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルは、市販品をそのまま使用することもできる。具体的には、例えば、CETIOL HE、MファインオイルCOG−7M(商品名,何れもコグニス ジャパン社製)、グリセロックスHE(商品名,クローダジャパン社製)などを例示することができる。
【0018】
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルの含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、メイク除去の観点から、組成物中、0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.5重量%以上である。また、刺激の観点から、8重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。これらの観点から、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルの含有量は、0.1〜8重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0019】
本発明においては、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルとポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを、それぞれ単独で用いても優れたメイク除去効果を発揮させることができるが、より優れたメイク除去効果を発揮させるとともに、皮膚や眼粘膜に対する刺激を抑制させる観点から、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルとポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルを併用して水性組成物に含有させることがより好ましい。
【0020】
水性組成物中のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルとポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルの含有比は、所望の効果が十分に付与されるのであれば特に限定されないが、上記観点から、重量比として、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル:ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル=4:1〜1:4の範囲内で調製することが好ましく、3:1〜1:3の範囲内で調製することがより好ましい。
【0021】
本発明の水性組成物には、過度の脱脂による肌荒れを抑制する観点から、多価アルコールを含有させることができる。用いられる多価アルコールとしては、グリコール類、グリセリン類などが挙げられる。グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどを例示することができる。また、グリセリン類としては、例えば、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
【0022】
多価アルコールの含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、しっとり感を付与する観点から、組成物中、1重量%以上が好ましく、より好ましくは2重量%以上である。また、べたつき感を低減する観点から、15重量%以下が好ましく、より好ましくは12重量%以下である。これらの観点から、多価アルコールの含有量は、1〜15重量%が好ましく、より好ましくは2〜12重量%である。
【0023】
また、水性組成物には、実質的にエタノールを含有させないことが好ましい。これにより、施術中、並びに、施術後の皮膚への刺激を更に低減させることが可能となる。尚、本発明における「実質的にエタノールを含有させない」とは、「別途、エタノールを含有させることはしない」という意味であり、各配合成分中に含まれる微量のエタノールまでを除外するものではない。
【0024】
本発明の水性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧料に用いられる成分、例えば、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、増粘剤、植物抽出液、ビタミン類、中和剤、アミノ酸などの添加剤などを適宜、その用途、目的に応じて配合することができる。
【0025】
次に、本発明のメイク除去用シート化粧料において、上記水性組成物が含浸される不織布について説明する。
【0026】
本発明の不織布を構成する材質としては、例えば、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも2種が用いられる。本発明においては、施術時の肌触りが良好となるばかりでなく、上記した水性組成物を含浸させることで、施術時に力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクを除去することができる観点から、上記した材質のうち、パルプ、レーヨンおよびコットンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種とから構成される不織布を用いることが好ましい。
【0027】
また、不織布を構成する、パルプ、レーヨンおよびコットンからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質(X)と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の材質(Y)の組成比は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定さえないが、X:Y=3:7〜6:4であることが好ましい。
【0028】
不織布の製造方法は、通常の公知の製造方法であれば特に限定されないが、例えば、原料となる各繊維を配合し、ウォータージェット装置を用いて水流により交絡させる方法などを例示することができる。
【0029】
本発明に用いられる不織布の構造は、積層構造を有するものであっても、積層構造を有さないものであっても、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されない。また、不織布の厚みは、施術時の肌触りが良好であれば特に限定されないが、0.7〜1.3mmが好ましく、より好ましくは0.9〜1.1mmである。尚、厚み測定値は、押圧20.4g/cmの不織布用厚薄計で10箇所測定した値の平均値を表したものである。
【0030】
不織布の坪量については、特に限定されないが、施術時の肌触りを良好とする観点から、40.0〜200.0g/mであることが好ましい。尚、坪量とは、200mm×250mmの試料(不織布:n=4)を、温度20℃、湿度65%に設定した恒温恒湿内で8時間以上保管した後、各試料を電子天秤で小数点1桁まで測定し、平方メートルあたりの重さに換算し、その平均値を表したものである。
【0031】
不織布の乾燥時引張強度については、施術時の肌触りが良好であれば特に限定されないが、縦方向に15.0N/50mm以上、横方向に5.0N/50mm以上であることが好ましい。尚、乾燥時引張強度は、縦、横それぞれ幅50mm×300mmの試料(不織布:n=4)を、引張試験機を用いて、つかみ間隔200mm、引張速度100mm/minで測定し、切断までの最大荷重の平均値を強度として表したものである。
【0032】
不織布の形状については、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形、台形、菱形、円形、楕円形、半円形、三日月形、樽形、鼓形などの形状を例示することができる。更には、前記形状を有するシートに切れ込み部、くり抜き部、凹凸部などの成型を施してもよい。
【0033】
好適に用いられる不織布の具体例としては、例えば、パルプ20〜30重量%、レーヨン20〜30重量%、コットン1〜10重量%およびポリエチレンテレフタレート40〜50重量%で構成させてなる不織布;レーヨン30〜50重量%およびポリエチレンテレフタレート50〜70重量%で構成されてなる不織布を例示することができる。
【0034】
尚、本発明で用いる不織布は、市販品をそのまま使用することもできる。具体的には、例えば、NC95125(商品名,三和製紙社製;パルプ25重量%、レーヨン25重量%、コットン5重量%、ポリエチレンテレフタレート45重量%);マイクロファイバーNMF91070(商品名,三和製紙社製;レーヨン40重量%、ポリエチレンテレフタレート60重量%)などを例示することができる。
【0035】
本発明のメイク除去用シート化粧料の使用形態としては、予め不織布に上記水性組成物を含浸させ包装具に収納された形態のものを用いてもよく、使用直前に不織布に上記水性組成物を含浸させて用いてもよい。好適な使用形態としては、塗布時の簡便性および操作性の観点から、予め不織布に上記水性組成物を含浸させ包装具に収納された形態が好ましい。
【0036】
また、不織布に含浸させる上記水性組成物の量は、特に限定されないが、不織布1重量部に対して、上記組成物を1〜7重量部が好ましく、より好ましくは3〜6重量部である。
【0037】
予め不織布に上記水性組成物を含浸させ包装具に収納された形態において、用いられる包装具は特に限定されないが、水性組成物中の成分の揮発を防止することができる包装具を用いることが好ましい。このような包装具としては、例えば、内面に金属層が積層又は蒸着された樹脂製の包装具などを例示することができる。また、包装具内のメイク除去用シート化粧料の包装形態は、1枚毎の個別包装の形態であっても、複数枚包装された形態であっても特に限定されない。
【0038】
本発明のメイク除去用シート化粧料の使用方法としては、特に限定されないが、瞼、目元、目じり、唇、額、頬、口元などのメイクを施した部位に軽く押し当てた後、拭き取る方法などを例示することができる。とりわけ、瞼、目元、目じり、唇などの際立ってメイクを施す部位においては、軽く押し当て、水性組成物を十分に馴染ませた後、拭き取る方法などを例示することができる。また、メイクを落とした後、温水又は洗顔剤で洗い流しを行っても行わなくても特に限定されないが、過度の脱脂を抑制し、潤いのある肌状態を保つ観点から、洗い流しを行わない方が好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「重量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0040】
(試料の調製1)
表1に記した組成に従い、常法により調製した水性組成物を、1辺が20cmの正方形の不織布:NC95125(商品名,三和製紙社製;パルプ25重量%、レーヨン25重量%、コットン5重量%、ポリエチレンテレフタレート45重量%、以下 不織布Aと略す)又はマイクロファイバーNMF91070(商品名,三和製紙社製;レーヨン40重量%、ポリエチレンテレフタレート60重量%、以下 不織布Bと略す)に、不織布1gに対して水性組成物4gを含浸させて実施例1〜4および比較例1〜3の各メイク除去用シート化粧料を調製し、包装具に10枚収納させた形態で下記評価に供した。
【0041】
(試験例1:水性組成物違いの評価1)
アイシャドウ、アイライナーおよびマスカラでメイクを施した女性評価パネル20名により、実施例1〜4および比較例1〜3で得られた各メイク除去用シート化粧料を包装具より取り出してもらった後、実際に瞼、目元、目じりなどのメイクを拭き取ってもらい、「メイク除去効果」について下記の評価基準に従って官能評価した。
尚、拭き取り方法は、シートを押し当てて強く擦るのではなく、シートを軽く当てて水性組成物を十分に馴染ませた後、表面を滑らすように拭き取ってもらった。
【0042】
<メイク除去効果の評価基準>
◎:20名中16名以上がメイク除去効果に優れると回答
○:20名中11〜15名がメイク除去効果に優れると回答
△:20名中6〜10名がメイク除去効果に優れると回答
×:20名中5名以下がメイク除去効果に優れると回答
【0043】
(試験例2:水性組成物違いの評価2)
同評価パネルにより、試験例1の施術時における「眼粘膜刺激」および「皮膚刺激」について下記の評価基準に従って官能評価した。
尚、「眼粘膜刺激」とは、メイク除去中に眼に沁みることで感じる「ピリピリ感」又は「チクチク感」のことを言う。また、「皮膚刺激」とは、メイク除去直後から5分後までに感じる一時的な「ピリピリ感」又は「ほてり感」のことを言う。
【0044】
<眼粘膜刺激の評価基準>
◎:20名中16名以上が眼粘膜刺激はないと回答
○:20名中11〜15名が眼粘膜刺激はないと回答
△:20名中6〜10名が眼粘膜刺激はないと回答
×:20名中5名以下が眼粘膜刺激はないと回答
【0045】
<皮膚刺激の評価基準>
◎:20名中16名以上が皮膚刺激はないと回答
○:20名中11〜15名が皮膚刺激はないと回答
△:20名中6〜10名が皮膚刺激はないと回答
×:20名中5名以下が皮膚刺激はないと回答
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、各実施例で得られたメイク除去用シート化粧料は、各比較例で得られたものと対比して、同じ不織布(不織布A又は不織布B)を用いているにもかかわらず、力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクが除去されていることが分かる。このように本発明のメイク除去効果は、眼や皮膚に対する刺激の少ない他の活性剤では決して成し得ない優れた効果を奏するものである。
【0048】
(試料の調製2)
表2に記した組成に従い、常法により調製した水性組成物を、1辺が20cmの正方形の各不織布(不織布A〜D)に、不織布1gに対して水性組成物4gを含浸させて実施例5および比較例4〜6の各メイク除去用シート化粧料を調製し、包装具に10枚収納させた形態で下記評価に供した。
【0049】
尚、実施例5および比較例4〜6の各メイク除去用シート化粧料に用いた不織布を以下に示す。
実施例5:不織布A
比較例4:不織布C(コットン不織布);コットエースC060S(商品名,ユニチカ社製)
比較例5:不織布D(コットン不織布);ベンリーゼSE103(商品名,旭化成ケミカルズ社製)
比較例6:不織布E(レーヨン不織布);ピロスPXD0060(商品名,オーミケンシ社製)
【0050】
(試験例2:不織布違いの評価)
アイシャドウ、アイライナーおよびマスカラでメイクを施した女性評価パネル20名により、実施例5および比較例4〜6で得られた各メイク除去用シート化粧料を包装具より取り出してもらった後、実際に瞼、目元、目じりなどのメイクを拭き取ってもらい、施術中の「肌触り」および「メイク除去効果」について下記の評価基準に従って官能評価した。
尚、拭き取り方法は、試験例1と同様の方法で行ってもらった。
【0051】
<肌触りの評価基準>
◎:20名中16名以上が柔らかな感触で肌触りに優れると回答
○:20名中11〜15名が柔らかな感触で肌触りに優れると回答
△:20名中6〜10名が柔らかな感触で肌触りに優れると回答
×:20名中5名以下が柔らかな感触で肌触りに優れると回答
【0052】
<メイク除去効果の評価基準>
◎:20名中16名以上がメイク除去効果に優れると回答
○:20名中11〜15名がメイク除去効果に優れると回答
△:20名中6〜10名がメイク除去効果に優れると回答
×:20名中5名以下がメイク除去効果に優れると回答
【0053】
【表2】

【0054】
表2の結果から、同一組成であるにもかかわらず、用いる不織布が異なれば、肌触り、メイク除去効果に劣ることが分かる。表1および表2の結果から、本発明の水性組成物と不織布とを組合せて用いることで、皮膚や眼粘膜に対する刺激をもたらすことなく施術できるとともに、施術時の肌触りに優れ、力を入れて擦らなくとも軽く拭き取るだけで簡単にメイクを除去することができることが分かる。
【0055】
以下、本発明のメイク除去用シート化粧料に係る不織布に含浸させる水性組成物の処方例を示す。尚、含有量は重量%である。
【0056】
(処方例1)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリン 2.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン 2.0
グリセリン 3.0
ポリエチレングリコール 1.0
プロピレングリコール 2.0
ペンチレングリコール 1.0
(スチレン/ビニルピロリドン)コポリマー(25%) 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸3ナトリウム 0.12
キレート剤 適 量
抗酸化剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
【0057】
(処方例2)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリン 3.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン 3.0
グリセリン 3.0
ポリエチレングリコール 1.0
ジグリセリン 4.0
ペンチレングリコール 1.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.05
クエン酸 0.03
クエン酸3ナトリウム 0.12
キレート剤 適 量
抗酸化剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
【0058】
(処方例3)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリン 2.5
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン 2.5
グリセリン 1.0
ポリエチレングリコール 2.0
グルコシルトレハロース 2.0
オクチレングリコール 0.2
緑茶エキス 0.1
クエン酸 0.03
クエン酸3ナトリウム 0.12
キレート剤 適 量
抗酸化剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0
【0059】
(処方例4)
ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリン 2.0
ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン 2.0
グリセリン 10.0
ポリエチレングリコール 1.0
ジグリセリン 4.0
ソルビトール 3.0
クエン酸 0.03
クエン酸3ナトリウム 0.12
キレート剤 適 量
抗酸化剤 適 量
防腐剤 適 量
精製水 残 部
合計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび/又はポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリルとを含有する水性組成物を、パルプ、レーヨン、コットン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも2種から構成されてなる不織布に含浸してなるメイク除去用シート化粧料。
【請求項2】
前記不織布が、パルプ、レーヨンおよびコットンからなる群から選ばれる少なくとも1種と、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種とから構成されてなることを特徴とする請求項1記載のメイク除去用シート化粧料。
【請求項3】
前記水性組成物に、更に多価アルコールを含有してなる請求項1又は2に記載のメイク除去用シート化粧料。
【請求項4】
前記水性組成物が、実質的にエタノールを含有しないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のメイク除去用シート化粧料。

【公開番号】特開2010−215546(P2010−215546A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62414(P2009−62414)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】