説明

メグスリノキの葉及び柿の葉を用いた健康茶

【課題】 紅葉した後のメグスリノキの葉と柿の葉を採取して、これに含まれる成分を健康茶として摂取し、足の冷え症や手指のしびれのある人の飲料とする。
【解決手段】 本発明健康茶は、紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉したメグスリノキの葉と、紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉した柿の葉を混合させてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メグスリノキの葉及び柿の葉を用いた健康茶に関し、更に詳細には、メグスリノキの葉に柿の葉を加えて主に足の冷え症や手指のしびれを抑制して健康増進に資することのできる健康茶に関する。
【背景技術】
【0002】
メグスリノキは、日本特産のカエデ科の落葉広葉樹で、青森を除く本州及び九州、四国に広く群生し、標高700m前後の緩やかな傾斜のある山の中腹に多く見られるもので、長さ5〜12cmの楕円形の小葉が3枚からなる複葉である。5月から6月にかけて淡黄色の花を咲かせるが、10月から11月にかけて赤く色づいて紅葉したのち落ち葉となって落下する。このメグスリノキについては、古来から樹皮を煎じた汁で目を洗うと眼病に効く等の効果がうたわれているが、最近では肝機能の改善等広く健康面での飲料、お茶等に用いられている。例えば、メグスリノキの樹皮を乾燥したものを粉砕した封入した茶パックであって、肝機能の改善を目的としたものが特許文献1に記載されている。又、メグスリノキの樹皮、葉、茎、枝等を用いて、メグスリノキと甘味材料の成分を湯水に抽出すると共にフルーベリーエキスの成分を湯水に溶解して健康茶を生成し、目の異常を改善することを目的としたものが特許文献2には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−10796号
【特許文献2】特開2001−226279号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者がこのメグスリノキに関して健康茶としての実験を重ねたところ、このメグスリノキの葉にあって、冷気が覆う10月以降に赤く色づいて紅葉した後のメグスリノキの葉を採取し、これを乾燥して茶として摂取したところ、主として血糖値の高い糖尿病患者及び糖尿病気味の人にこれを改善するに著効あることを見いだし、先にこれを特願2008−303576として出願している。
そして今回、更に研究を重ねたところ、上記紅葉したメグスリノキに加えて赤く色づいた柿の葉を採取して、一緒に乾燥混合して茶として摂取した結果、足の冷え症や手指のしびれのある人にこれを改善する効果があることを新たに見いだしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1記載の健康茶は、紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉したメグスリノキの葉と紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉した柿の葉を混合させてなることを特徴とする。
請求項2記載の健康茶は、請求項1記載のメグスリノキの葉100重量部に対し請求項1記載の柿の葉を10〜30重量部に混合させてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
メグスリノキの緑の葉には、α−アミリン、β−アミリンのトリペノイド、β−シトステロール配糖体、フラボノールのクエルセチン及びその配糖体、安息香酸誘導体のエラーグ酸、タンニンのゲラニイン等の成分が含まれ、これが冷気に晒されて色づき紅葉すると、緑葉と比較して成分の含有割合等に変化が生まれ、又その成分の一部に化学変化が生じ、その落ち葉及び枝についたままの色づいた葉を採取・乾燥等し、一方、柿の緑の葉には、ケンフェロール、クエルセチン、タンニン、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB、グルコサイド等の成分が含まれ、これも冷気に晒されて色づき紅葉すると、同様に成分の含有割合や成分に変化が生まれ、その色づいた葉を採取・乾燥等して有効成分を抽出し、これをメグスリノキの葉の有効成分に添加混合すると、柿の葉の有する成分の作用が加わり、健康茶として飲料したとき、足の冷え症や手指のしびれのある人に対し、これを抑制する効果が向上することが確認された。
このとき、メグスリノキの葉100重量部に対し柿の葉を10〜30重量部に混合させると最も適切な効果が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施の形態を説明する。
メグスリノキは、上述の如く、カエデ属カエデ科の広葉樹で、青森を除く本州、四国、九州に分布し、標高700m前後の緩傾斜のある山の中腹等に生えるもので、比較的寒暖の差のある地に群生する。その葉は、3枚の小葉からなる複葉で、長さ5〜12cmの楕円形の葉で、春に淡黄色の花を咲かせ、秋から冬にかけて赤く色づいて落下する紅葉樹である。4月頃に新芽を出し、5〜6月にかけて花を咲かせたのち若葉が成長し、7〜8,9月にかけて枝を伸ばして緑の葉を繁らせ、10月以降に冷気に晒されると赤く色づいて紅葉し、落下して冬に至るという生育を繰り返す。
【0008】
メグスリノキの葉の成分において、その緑色の葉については、α−アミリン、β−アミリンのトリペノイド、β−シトステロール配糖体のステロール、フラボノールのクエルセチン及びその配糖体のフラボノール、エラーグ酸の安息香酸誘導体、ゲラニインのタンニン、ロド・ロードデンドリンが有効成分として含まれている。
この有効成分を含む葉について、本発明者は、緑の葉によらず、冷気が覆う10月以降に赤く色づいて落下した落ち葉、及び樹についたまま紅葉したメグスリノキの葉を採取した。
【0009】
さらに、メグスリノキの葉に加えて、赤く色づいて落下した落ち葉、及び樹についたまま紅葉した柿の葉を混合することを検討した。
柿の木は、かきのき科カキ属の落葉中高木で、5月ごろに白黄色の花をつけ、果実は柿と呼ばれ、秋に橙色に熟す。その柿の葉には、ケンフェロール、クエルセチン、タンニン、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB、グルコサイド等の成分が含まれている。この有効成分を含む葉について、上記メグスリノキと同様、緑の葉によらず、冷気が覆う10月以降に色づいて落下した落ち葉、及び樹についたまま紅葉した柿の葉を採取した。
そして、このメグスリノキの葉と柿の葉を2〜3日間天日に晒して乾燥した後、3〜8mm程度の細片に粉砕し、これを通気性のある袋にパック詰めして茶とした。
該パック詰めした茶を水容器に入れて、中火〜強火で8分程度沸騰させつつ養分を抽出し、放冷後、水で希釈させて飲料水とした。
【0010】
これを健康飲料水として、足の冷え症や手指のしびれのある人に飲料を試みたところ、実施例に示した表1の通りの結果を得た。
【0011】
すなわち、冷え症やしびれのある人に茶として毎日2〜3回程度の飲料を試みたところ、冷え症やしびれが抑制され著しい改善効果を得た。
【0012】
その理由の根拠について詳細は未だ不明であるが、以下の如きに推察することができる。
上述の如く、メグスリノキの緑色の葉には、α−アミリン、β−アミリンのトリペノイド、β−シトステロール配糖体のステロール、フラボノールのクエルセチン及びその配糖体のフラボノール等の成分が含まれる。この中でも、クエルセチンは血行あるいは血流の改善に役立つ成分であることは知られている。
これら成分を含む緑の葉が秋の冷気に晒されたとき、メグスリノキは赤色に紅葉するが、この赤色は、一般的に葉に蓄積された糖分のうち赤い色素のアントシアニンが合成された結果と捉えられ、このように赤色のアントシアニンが合成されたということは、朝晩の冷え込みが厳しくなる秋の到来により、葉及び樹が、温度が一定以下となる環境に置かれたことを示すとともに、この赤い色素のアントシアニンも血行を改善する効果を発揮する。
この環境変化により、葉の付け根に水分や糖分等の養分が蓄積されるが、このことは上記緑色の葉の成分が、冷え込みによる温度変化に基づく植物の活動の変化で、成分割合が変化する可能性が高くなり、即ち、緑色の葉には上記α−アミリン、β−アミリンのトリペノイド、β−シトステロール配糖体のステロール、クエルセチン等の成分が含まれるが、これが紅葉という冷気による環境変化で、メグスリノキの活動が変化し、葉に取り込まれる養分の割合が変化するものとなる。
又、蓄積された成分同士にあっても、温度低下という環境変化により、成分そのものが化学変化する可能性が高い。
同様に、柿の葉の緑色の葉には、ケンフェロール、クエルセチン、タンニン、ビタミンC、ビタミンK、ビタミンB、グルコサイド等の成分が含まれるが、冷気に晒されて紅葉すると、赤い色素のアントシアニンが合成される等の温度低下という環境変化により、成分そのものが化学変化するものとなる。
この結果、例えば、紅葉した柿の葉に多く含まれるビタミンCが紅葉した上記メグスリノキの葉に多く含まれるクエルセチンに混合されると、相乗効果が生まれ、血管壁を強化して動脈硬化を防ぎ、血流をサラサラにする働きがあり、血行を促進する作用が加わり、健康茶として飲料したとき、上記足の冷え症や手指のしびれのある人に対し、これを抑制する等の効果が生まれるものと推察できる。
【0013】
この柿の葉は、メグスリノキの葉100重量部に対し、柿の葉を10〜30重量部で混合させると最も適切な効果が得られた。柿の葉が10重量部以下では、足の冷え症や手指のしびれへの効果が弱く、30重量部以上ではメグスリノキの葉の効果が十分でなくなるからである。
【実施例】
【0014】
11月に赤く色づいて落下した落ち葉と樹についたまま紅葉したメグスリノキの葉を採取し、これを3日間天日に晒して乾燥した後、約5〜8mm程度の細片に粉砕して、茶葉とした。さらに、紅葉した柿の葉を採取し、これを5日間天日に晒して乾燥した後、約5〜8mm程度の細片に粉砕して茶葉とした。この細片したメグスリノキの葉100gに対し柿の葉を20gの割合で混合させ、この混合葉をレイヨン、ポリエステル繊維の通気性のある袋にパック詰めし、1パックを2.5グラムの袋詰め茶とした。
このパック茶一袋を、500mlの水を入れたヤカンで強火で8分間沸騰させ、冷却したものを2リットルのペットボトルに入れて飲料水とした。
これを一本のペットボトルを2日間で飲み終える頻度として、16日間飲料を続けた。
【0015】
上記飲料水を足の冷え症を抱えるA氏〜E氏が試飲し、手指のしびれを抱えるF氏〜H氏が試飲した。
(試飲者)
A氏:女性 45歳 足が冷たく靴下を履いて寝る人、かかとにひび割れやかさかさ皮膚を持つ人
B氏:女性 39歳 足が冷たく靴下を履いて寝る人、肩こりがひどい人
C氏:女性 65歳 足が冷え症の人
D氏:女性 67歳 かかとにひび割れやかさかさ皮膚を持つ人
E氏:女性 53歳 かかとにひび割れやかさかさ皮膚を持つ人
F氏:女性 58歳 手指先のしびれを持つ人
G氏:男性 67歳 人差し指と親指の先端のしびれを持つ人
H氏:男性 58歳 全手指の先端の痛みを持つ人
その結果、表1の如き、効果が得られた。
【0016】
【表1】

即ち、足の冷え症やかかとのひび割れ・かさかさを持つA氏〜E氏の全ての人に足がぽかぽかするようになり、かかとのひび割れ・かさかさが取れて、足の冷え症に対する優れた改善効果がみられた。また、手指先のしびれや痛みを持つF氏〜H氏の全ての人に手指のしびれや痛みが消えて、手指のしびれに対する優れた改善効果がみられた。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の紅葉したメグスリノキの葉及び柿の葉を用いた健康茶によって、足の冷え症や手指のしびれへの抑制効果が期待される健康飲料茶として用いることができる。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉したメグスリノキの葉と紅葉して落下し又は樹についたまま紅葉した柿の葉を混合させてなることを特徴とする健康茶。
【請求項2】
請求項1記載のメグスリノキの葉100重量部に対し請求項1記載の柿の葉を10〜30重量部混合させてなる健康茶。



【公開番号】特開2011−244758(P2011−244758A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122463(P2010−122463)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(508352687)
【Fターム(参考)】