説明

メタセシス反応用の触媒としての新規ルテニウム錯体

本発明は、式(I)の新規なメタセシス触媒、それを製造するための方法、および閉環または交差メタセシスのようなメタセシス反応でのそれらの使用に関する。本発明はさらに、HCVプロテアーゼ阻害剤として有用な可能性を有する式(VII)の大環状化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式:
【0002】
【化1】

【0003】
の新規メタセシス触媒、それを製造する方法および閉環メタセシス(RCM)または交差メタセシスなどのメタセシス反応におけるそれらの使用に関する。
【0004】
本発明は、さらに、式:
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲン原子である)の大環状化合物の製造方法に関する。特に、式:
【0007】
【化3】

【0008】
のHCVプロテアーゼ阻害剤化合物が、前臨床開発用にノミネートされている。
【0009】
一方、ルテニウムまたは他の遷移金属錯体を触媒として使用するメタセシス反応は周知であり、大環状化合物の合成に広く適用されている。
【0010】
例えば、国際公開第WO2005/037214号公報または国際公開第2007/015824号公報は、NolanまたはHoveyda触媒の存在下に、式:
【0011】
【化4】

【0012】
のジエンのRCMで、式:
【0013】
【化5】

【0014】
の大環状体を形成することを開示している。
【0015】
当技術分野において開示されているようなRCMは、効率の低さとコスト高をもたらす、それほど高くはない収率と低い触媒選択性に起因して、反応パフォーマンスが低いことが見出された。
【0016】
したがって、本発明の目的は、優れたメタセシス触媒および、テクニカルスケールで適用可能であり、当技術分野において公知の短所を克服できる改良された方法を見出すことであった。
【0017】
式IのRu錯体が、閉環メタセシスおよび交差メタセシス反応などのメタセシス反応に有用な触媒となる可能性を有することが見出された。
【0018】
本発明の化合物は、式I:
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
Lは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
は、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
およびRは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、または
およびRは、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成し;
3’およびR3”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルである]
を特徴とする。
【0021】
その目的は、さらに、以下に概括される本発明の方法で達成することができた。
【0022】
式:
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲン原子である)の大環状化合物の製造方法は、
a)式:
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Rは、C1−4−アルキルであり、Xは、ハロゲンである)のジエン化合物を、式:
【0027】
【化9】

【0028】
[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
L、LおよびLは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、または
R’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
アレーンは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン−C1−6−アルキル、NO、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、アリール、アリールオキシ SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素またはC1−6−アルキルである)によって場合によりモノ−、ジ−、トリ−もしくは多重置換されたフェニルまたはナフチルを表し;
1aは、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C3−8−シクロアルキルオキシ、ハロゲン−C1−6−アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、または−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成する)であり;
3’およびR3”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、または
1aおよびR3’は、一緒になって、5〜12員の環を形成する]の化合物から選択されるルテニウム(II)カルベン錯体触媒の存在下に、閉環メタセシス反応に供して、式:
【0029】
【化10】

【0030】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Rは、C1−4−アルキルであり、Xは、ハロゲンである)の大環状エステルを形成し;
【0031】
b)塩基の存在下に、式Vの大環状エステルを加水分解して、式:
【0032】
【化11】

【0033】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)の大環状酸を形成し;
【0034】
c)式VIの大環状酸をシクロプロピルスルホンアミドとカップリングさせることにより、式:
【0035】
【化12】

【0036】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)の大環状スルホンアミドを形成し;
【0037】
d)式VIIの大環状スルホンアミドをナトリウム塩基で処理して、式IIIの大環状化合物を形成する、
工程を含む。
【0038】
以下の定義は、本明細書における発明を記載するのに使用する種々の用語の意味と範囲を説明し、定義するために示される。
【0039】
用語「アミノ保護基」は、アミノ基の反応性を阻害するために一般に使用される任意の置換基を指す。好適なアミノ保護基は、Green T., "Protective Groups in Organic Synthesis", Chapter 7, John Wiley and Sons, Inc., 1991, 309-385中に記載されている。好適なアミノ保護基は、Fmoc、Cbz、Moz、Boc、Troc、TeocまたはVocである。Rについて定義される、好ましいアミノ保護基は、Bocである。
【0040】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。好ましいハロゲンは、Xについてはフッ素であり、XおよびXについては、塩素である。
【0041】
好ましい態様においては、式:
【0042】
【化13】

【0043】
の部分は、
【0044】
【化14】

【0045】
を表す。
【0046】
用語「C1−6−アルキル」は、単独でまたは他の基との組み合わせで、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の、分枝鎖または直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語はさらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルおよびペンチルまたはヘキシルならびにその異性体のような基により例示される。
【0047】
本明細書においてRについて使用される、用語「C1−4−アルキル」は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどの、1〜4個の炭素原子の、分枝鎖または直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素基、好ましくはエチルを指す。
【0048】
用語「C2−6−アルケニル」は、単独でまたは他の基との組み合わせで、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子の、分枝鎖または直鎖の一価不飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語はさらに、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルならびにそれらの異性体のような基により例示される。好ましいアルケニル基はビニルである。
【0049】
用語「C2−6−アルキニル」は、単独でまたは他の基との組み合わせで、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子の、分枝鎖または直鎖の一価不飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語はさらに、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルまたはヘキシニル、それらの異性体のような基により例示される。
【0050】
用語「ハロゲン−C1−6−アルキル」は、ハロゲン置換C1−6−アルキル基(ここで、ハロゲンは上記と同義である)を指す。好ましい「ハロゲン−C1−6−アルキル」基は、CF、CHCF、CH(CF、CH(CH)(CF)、Cなどのフッ素化C1−6−アルキル基である。
【0051】
用語「C1−6−アルコキシ」は、酸素原子に結合した、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子の、分枝鎖または直鎖の一価飽和脂肪族炭化水素基を指す。「アルコキシ」の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシおよびヘキシルオキシである。好ましいものは、本明細書で具体的に例示したアルコキシ基である。
【0052】
アルコキシ基のアルキル鎖は、場合により、上記と同義のアルコキシ基、好ましくはメトキシ、もしくはエトキシ、またはアリール基、好ましくはフェニルにより、置換、特にモノ−、ジ−またはトリ−置換されることができる。好ましい置換アルコキシ基はベンジルオキシ基である。
【0053】
用語「C1−6−アルキルカルボニル」は、C1−6−アルキル置換カルボニル基、好ましくはC1−4−アルキルカルボニル基を指す。それには、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイルまたはピバロイルが含まれる。好ましいアルキルカルボニル基はアセチルである。
【0054】
用語「C1−6−アルキルチオ」は、基C1−6−アルキル−S−、好ましくはC1−4−アルキル、例えば、メチルチオまたはエチルチオを指す。好ましいものは、本明細書に具体的に例示したアルキルチオ基である。
【0055】
用語「アリールチオ」は、基アリール−S−、好ましくはフェニルチオを指す。
【0056】
用語「C1−6−アルキルスルホニル」は、C1−6−アルキル置換スルホニル基、好ましくはメチルスルホニルを指す。
【0057】
用語「C1−6−アルキルスルフィニル」は、C1−6−アルキル置換スルフィニル基、好ましくはメチルスルフィニルを指す。
【0058】
用語「SO−アリール」は、スルホニル置換アリール基を指す。好ましいSO−アリール基はSO−フェニルである。
【0059】
用語「SO−NR’R”」は、アミノ基NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素もしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって環を形成し、例えば、−(CH−もしくは−(CH)−である)で置換されたスルホニル基を指す。好ましいSO−NR’R”基はSO−N(CHである。
【0060】
用語「モノ−またはジ−C1−6−アルキル−アミノ」は、C1−6−アルキル、好ましくはC1−4−アルキルでモノ−またはジ置換されているアミノ基を指す。モノ−C1−6−アルキル−アミノ基には、例えばメチルアミノまたはエチルアミノが含まれる。用語「ジ−C1−6−アルキル−アミノ」には、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノまたはエチルメチルアミノが含まれる。好ましいものは、本明細書に具体的に例示したモノ−またはジ−C1−4−アルキルアミノ基である。これにより、用語「ジ−C1−6−アルキル−アミノ」が環系を含み、この環系では、2個のアルキル基が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員の複素環を形成し、それは、窒素、酸素または硫黄から選択される1個のさらなるヘテロ原子を有していてもよいことが理解される。
【0061】
用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を含む「C3−8−シクロアルキル」基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを示す。
【0062】
用語「アリール」は、フェニルまたはナフチル基に関し、それは、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、ハロゲン−C1−6−アルキル、NO、NH、N(H、アルキル)、N(アルキル)、カルボキシ、アミノカルボニル、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、SO−アリール、SOH、SO−アルキル、SO−NR’R”、アリールおよび/またはアリールオキシにより、モノ−、ジ−、トリ−または多重置換されることができる。好ましいアリール基は通常フェニルであるが、アリールについての好ましさは、特定の置換基について以下に示されるように、異なってもよい。
【0063】
用語「アリールオキシ」は、酸素原子に結合したアリール基に関する。用語「アリール」は上記と同義である。好ましいアリールオキシ基はフェニルオキシである。
【0064】
用語「アリールアルキル」は、アルキル基に結合したアリール基に関する。用語「アリール」は上記と同義である。好ましいアリールアルキル基はベンジルである。
【0065】
用語「ヘテロアリール」は、環中に1〜3個のヘテロ原子を含み、残りが炭素原子である複素環式アリール基に関する。適切なヘテロ原子には、酸素、硫黄、および窒素が含まれるが、それらに制限されない。例示的なヘテロアリール基には、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル、およびインドリルが含まれる。アリール基と同様に、ヘテロアリール基は、場合により、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、NH、N(H、アルキル)、N(アルキル)、カルボキシ、アミノカルボニル、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、SO−アリール、SOH、SO−アルキル、SO−NR’R”、アリールおよび/またはアリールオキシにより、モノ−、ジ−、トリ−または多重置換されることができる。
【0066】
式I:
【0067】
【化15】

【0068】
の化合物は、好ましくは、以下の定義を特徴とすることができる。
【0069】
点線が結合の存在を意味する場合、すなわち、アミドのカルボニル基がルテニウム(II)に配位し、六配位環境を生じる。
【0070】
六配位環境を持つ式Iの化合物が好ましい。
【0071】
点線が無結合を意味する場合、すなわち、アミドのカルボニル基とルテニウム(II)原子との間に配位がなく、五配位環境が存在する。
【0072】
リガンドLは、好ましくは、
【0073】
【化16】

【0074】
(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニルまたは1−アダマンチルであり、
9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニルまたはアリールであるか、またはR9bおよびR9cもしくはR9aおよびR9dは、一緒になって、−(CH−架橋を形成し;
あるいは式IIc中のR9aおよびR9dは、両方とも、ハロゲン、好ましくは塩素の意味を有し;
a1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、またはRa1およびRa2もしくはRa2およびRa3もしくはRa1およびRa3は、一緒になって、1,5−架橋シクロオクチル基を形成する)
から選択される中性リガンドである。
【0075】
好ましい態様においては、RおよびRは、C1−6−アルキル、1−アダマンチル、C1−6−アルキルでジ−もしくはトリ−置換されたフェニル基、またはC1−6−アルキルでジ−もしくはトリ−置換されたナフチル基である。
【0076】
およびRは、より好ましくは、t−ブチル、1−アダマンチル、イソプロピル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,7−ジイソプロピルナフチルまたは2,4,6−トリメチルフェニル、最も好ましくは2,4,6−トリメチルフェニルまたは2,7−ジイソプロピルナフチルの意味を有する。
【0077】
好ましい態様においては、R9aおよびR9cはメチルもしくはフェニルであり、R9bおよびR9dは水素であるか、またはR9aおよびR9cもしくはR9bおよびR9dは、一緒になって、−(CH−架橋(ここで、nは5または6を意味する)を形成する。この結果、キラル炭素原子が存在する場合、ラセミおよび鏡像異性体的に純粋な形態の両方が含まれることが理解される。
【0078】
さらに好ましい態様においては、R9a−dは水素である。
【0079】
好ましい態様においては、Ra1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキルまたはフェニルである。
【0080】
より好ましい態様においては、Ra1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、シクロヘキシル、シクロペンチル、イソプロピルおよびフェニルを表す。
【0081】
式IIdのリガンドLの好適な代表的なものは、CyP、iPrP、CypPまたはPhPであり、ここで、Cyはシクロヘキシルを、Cypはシクロペンチルを、またiPrはイソプロピルを意味する。
【0082】
さらに好ましい態様においては、Lは、
【0083】
【化17】

【0084】
(式中、RおよびRは上記と同義である)である。
【0085】
アニオン性リガンドXおよびXとして、ハロゲン化物またはシアン化物、ロダン化物、シアン酸塩、イソシアン酸塩、酢酸塩またはトリフルオロ酢酸塩などの擬ハロゲン化物を選択してもよい。XおよびXとして好ましいアニオン性リガンドはハロゲン化物であり、クロロが最も好ましいアニオン性リガンドである。
【0086】
は、好ましくは水素である。
【0087】
a、bおよびdの好ましい意味は、水素である。
【0088】
cの好ましい意味は、水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、アリールの意味を有するか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)である。
【0089】
より好ましくは、cは、水素、Cl、ニトロ、SO−NR’R”を意味する。
【0090】
好ましい態様においては、RおよびRは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキルであるか、または
およびRは、N原子と一緒になって、酸素を追加のヘテロ原子として含む6員の環を形成する。
【0091】
さらにより好ましいRおよびRは、互いに独立して、水素またはC1−6−アルキルである。
【0092】
3’およびR3”は、互いに独立して、好ましくは水素またはC1−6−アルキル、より好ましくは水素またはメチルである。
【0093】
以下の化合物は、本発明の好ましい代表的なものを表す。
【0094】
【表1】



【0095】
さらにより好ましいものは、式D、F、J、L、MおよびNの六配位Ru(II)錯体である。
【0096】
式Iの新規化合物は、式:
【0097】
【化18】

【0098】
のプレリガンドを、式:
【0099】
【化19】

【0100】
のルテニウム錯体と反応させることによるか、または式1のプレリガンドを、式2.2:
【0101】
【化20】

【0102】
のルテニウム錯体と反応させ、式2.3:
【0103】
【化21】

【0104】
のルテニウム錯体中間体を経て、これを次いで、IIa〜IIcタイプのリガンドLで処理することにより式Iの化合物に変換させることにより、得ることができる。
【0105】
上に概括した方法において、置換基L、X、X、Y、a、b、c、d、R、R、R3’およびR3”は、上で定義したとおりであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであるか、またはYおよびYは、一緒になって、タイプ:
【0106】
【化22】

【0107】
(ここで、Gは水素またはアリールである)の環を形成するか;
または
およびYは、一緒になって、タイプ:
【0108】
【化23】

【0109】
のクムレニル基を形成し;
およびRは、互いに独立して、水素、1個もしくは複数のハロゲン原子で場合により置換されてもよいC1−6−アルキル、または1個もしくは複数のハロゲン原子でもしくはC1−6−アルキルで場合により置換されてもよいアリールを意味し;
a1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、またはRa1およびRa2もしくはRa2およびRa3もしくはRa1およびRa3は、一緒になって、1,5−架橋シクロオクチル基を形成する。
【0110】
式Iのプレリガンドと式2.1または2.2のルテニウム錯体との反応は、原則として、国際公開第2005/0016944号公報中の開示に従って行うことができる。
【0111】
式:
【0112】
【化24】

【0113】
のプレリガンドは新規であり、したがって、本発明のさらなる態様を表す。式Iの化合物について上で概括した好ましさは、式1のプレリガンドについても同様に適用される。
【0114】
式1の好ましいプレリガンドは、
【0115】
【化25】

【0116】
から選択される。
【0117】
リガンドおよび錯体は、純粋な鏡像異性体または鏡像異性体混合物として存在することができる。1と2との反応に対する好適な溶媒は、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素などの不活性溶媒である。
【0118】
反応温度は、0℃〜80℃の間で選択することができる。
【0119】
式1a〜1eのプレリガンドとの変換に対して、CuClを反応混合物中に加えることが有利でありうる。この場合、反応体は当量で用いるが、収率を上げるために、反応体の一つの量を増加させことが有利でありうる。
【0120】
式Iの化合物は、他の反応生成物から、例えばろ過により分離することができ、クロマトグラフィーまたは結晶化により、純粋に得ることができる。インシチューで製造された粗生成物または触媒を直接用いて、(閉環)メタセシス反応を行うことも可能である。
【0121】
式Iの化合物は、メタセシス反応、特に閉環メタセシスまたは交差メタセシス反応において有利に使用することができる。
【0122】
六配位の決定のために、X線結晶構造解析用に好適な錯体Dの結晶は、室温で、飽和テトラヒドロフラン溶液中へのペンタンの気体拡散により成長させた。
【0123】
図1
図1は、式Dの錯体の標識図を示す
【0124】
【表2】

【0125】
結晶解析用のパラメーターの収集および精密化は、実施例の項中、表X1にまとめてあり、代表的な結合の長さおよび結合角は、表X2に報告する。
【0126】
六配位の決定のために、X線結晶構造解析用に好適な錯体Fの結晶は、室温で、飽和ジクロロメタン溶液中へのペンタンの気体拡散により成長させた。
【0127】
図2
図2は、式Fの錯体の標識図を示す
【0128】
【表3】

【0129】
結晶解析用のパラメーターの収集および精密化は、実施例の項中、表X3にまとめてあり、代表的な結合の長さおよび結合角は、表X4に報告する。
【0130】
五配位の決定のために、X線結晶構造解析用に好適な錯体Eの結晶は、室温で、飽和テトラヒドロフラン溶液中へのペンタンの気体拡散により成長させた。
【0131】
図3
図3は、式Eの錯体の標識図を示す
【0132】
【表4】

【0133】
結晶解析用のパラメーターの収集および精密化は、実施例の項中、表X5にまとめてあり、代表的な結合の長さおよび結合角は、表X6に報告する。
【0134】
工程a)
工程a)では、式IVのジエン化合物を、RCM反応を経て、式Vの大環状エステルに変換することが求められる。
【0135】
RCM反応は、式:
【0136】
【化26】

【0137】
[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
L、LおよびLは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、または
R’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
アレーンは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン−C1−6−アルキル、NO、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、アリール、アリールオキシ SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素またはC1−6−アルキルである)によって場合によりモノ−、ジ−、トリ−もしくは多重置換されたフェニルまたはナフチルを表し;
1aは、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C3−8−シクロアルキルオキシ、ハロゲン−C1−6−アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、または−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成する)であり;
3’およびR3”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、または
1aおよびR3’は、一緒になって、5〜12員の環を形成する]
の化合物から選択されるルテニウム(II)カルベン錯体触媒を用いて、下に概括するように、行われる。
【0138】
好ましい態様においては、XおよびXは、互いに独立して、ハロゲン、好ましくは塩素である。
【0139】
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、アリールまたはアリールチオである。
【0140】
好ましくは、a、bおよびdは、水素であり、cは、水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、アリールの意味を有するか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)である。
【0141】
好ましい態様においては、アレーンは、ベンゼン、p−シメン、メシチレンまたはp−キシレンであるが、好ましくはp−シメンである。
【0142】
本発明の好ましい態様においては、式Ia、IbまたはIcの触媒が選択される。
【0143】
本発明のさらに好ましい態様においては、式Iaの触媒が選択される。
【0144】
好ましい態様においては、L、LおよびLは同一または異なり、L、LおよびLの少なくとも一つは、N−複素環カルベンリガンドである。
【0145】
Lは、好ましくは、
【0146】
【化27】

【0147】
(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニルまたは1−アダマンチルであり、
9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニルまたはアリールであるか、またはR9bおよびR9cもしくはR9aおよびR9dは、一緒になって、−(CH架橋を形成し;
または式IIc中のR9aおよびR9dは、両方とも、ハロゲン、好ましくは塩素の意味を有し;
a1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、またはRa1およびRa2もしくはRa2およびRa3もしくはRa1およびRa3は、一緒になって、1,5−架橋シクロオクチル基を形成する)
から選択される。
【0148】
好ましい態様においては、RおよびRは、C1−6−アルキル、1−アダマンチル、C1−6−アルキルでジ−もしくはトリ−置換されたフェニル基、またはC1−6−アルキルでジ−もしくはトリ−置換されたナフチル基である。
【0149】
およびRは、より好ましくは、t−ブチル、1−アダマンチル、イソプロピル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,7−ジイソプロピルナフチルまたは2,4,6−トリメチルフェニル、最も好ましくは2,4,6−トリメチルフェニルの意味を有する。
【0150】
さらに好ましい態様においては、R9a−dは水素である。
【0151】
さらにより好ましい実施態様においては、Lは、
【0152】
【化28】

【0153】
(式中、RおよびRは上記と同義である)である。
【0154】
およびLは、互いに独立して、好ましくは、N−ヘテロアリール、特に、ヘテロアリールについて上で定義されたような置換基で場合により置換されてもよいピリジルから選択される。
【0155】
さらにより好ましいものは、式Iaの以下の代表的なものである。
【0156】
【表5】



【0157】
式D、F、J、M、LおよびNの六配位Ru(II)錯体が最も好ましい。
【0158】
RCM反応は、通常、有機溶媒中、好ましくはベンゼン、トルエンもしくはメシチレンなどの芳香族有機溶媒またはポリフッ素化ベンゼンもしくはトルエンなどのハロゲン化芳香族溶媒中で実施する。また、ジクロロメタンまたはジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素も好適な溶媒である。溶媒は、単一溶媒としてまたは異なる溶媒の混合物として使用しうる。さらに、ペンタン、ヘキサンまたはヘプタンなどの脂肪族炭化水素から選択される共溶媒をも使用しうる。
【0159】
反応温度は、普通は、20℃〜140℃、好ましくは40℃〜100℃、さらにより好ましくは50℃〜90℃の範囲で選択される。
【0160】
基質と触媒とのモル比S/Cは、通常、20〜10000の範囲であるが、好ましくは200〜4000の範囲で選択される。
【0161】
反応を、反応混合物への不活性気体のバブリング下または少しの減圧下のいずれかで行うことが好都合である。
【0162】
式Iの大環状エステルは、カラムクロマトグラフィーまたは結晶化のような当業者に公知の方法を適用することにより単離することができる。メタセシス反応混合物は、また、簡単な抽出での後処理の後に、次の工程に直接持ち込むことができる。
【0163】
大部分の触媒を大環状エステルの溶液から除去するために、反応混合物をエチレンジアミンなどの錯化剤で処理し、得られた可溶性のルテニウム種を酸性水に抽出することが好都合である。エチレンジアミンの量は重要ではなく;それは、触媒に対して、1:1〜100:1のモル比、好ましくは20:1〜70:1のモル比で使用することができる。
【0164】
工程b)
工程bでは、式Vの大環状エステルの式VIの大環状酸への加水分解が求められる。
【0165】
好ましい態様においては、式:
【0166】
【化29】

【0167】
の大環状エステルが使用される。
【0168】
加水分解は、通常、0℃〜40℃の温度で、メタノールまたはエタノールのような溶媒中、水酸化ナトリウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液で処理することにより達成することができる。
【0169】
反応混合物を、通常塩酸で中和した後、式VIの大環状酸は、ジクロロメタンなどの好適な溶媒での抽出により単離することができる。好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中での結晶化は、純度が98%超の結晶性生成物をもたらす。
【0170】
工程c)
工程cでは、式VIの大環状酸をシクロプロピルスルホンアミドとカップリングして式VIIの大環状スルホンアミドを形成することが求められる。
【0171】
好ましい態様においては、式:
【0172】
【化30】

【0173】
の大環状酸が使用される。
【0174】
第一工程においては、式VIの大環状酸は、無機塩基、例えば炭酸ナトリウムのような炭酸アルカリおよびテトラヒドロフランなどの好適な有機溶媒の存在下に、無水酢酸と反応させて、式:
【0175】
【化31】

【0176】
(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)
のアズラクトン中間体とされる。
【0177】
反応は、好都合には、10℃〜50℃の温度で行われる。
【0178】
普通は、アズラクトン中間体は単離せずに、インシチューでさらに、無機塩基、例えば炭酸カリウムのような炭酸アルカリの存在下に、シクロプロピルスルホンアミドと反応させて、式VIIの大環状スルホンアミドとする。
【0179】
この第二工程における反応は、好都合には、50℃〜70℃の温度で行われる。
【0180】
反応が完結すると、反応混合物を水で処理することができる。水相の分離および除去後、有機相を、酢酸エチルまたはトルエンなどの好適な有機溶媒でさらに希釈し、例えば、水性硫酸および水で洗浄しうる。
【0181】
次いで、式VIIの大環状スルホンアミドの単離は、溶媒をエタノールに切り替え、その後、エタノール溶液を水に加えて、これにより所望の生成物の析出を生じさせることにより達成することができる。
【0182】
しかしながら、好ましい態様においては、式VIIの大環状スルホンアミドは単離されずに、上述のように処理された有機相から、連続的な共沸蒸留により残留水を除去する。
【0183】
混合物は、次いで、引き続く工程d)のために直接使用することができる。
【0184】
工程d)
工程d)では、式VIIの大環状スルホンアミドをナトリウム塩基で処理して目的生成物、すなわち式IIIの大環状化合物を形成させることが求められる。
【0185】
好ましい態様においては、式:
【0186】
【化32】

【0187】
の大環状スルホンアミドが使用される。
【0188】
普通は、工程c)から得られた水を含まない混合物を、0℃〜50℃の温度で、メタノールの存在下に、ナトリウム塩基、水酸化ナトリウム、好ましくはその水溶液、ナトリウムメチレートまたはナトリウムエトキシド、好ましくはナトリウムメチレートで処理する。
【0189】
反応が完結すると、反応混合物を酢酸エチルなどの好適な有機溶媒と水で処理することができ、ここで、式IIIのナトリウム化合物、好ましくは式VIIIの化合物の結晶を、良好な純度および収率で回収することができる。
【0190】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明する。
【0191】
実施例
略語:
r.t.=室温
ImHMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン
ImMes=1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリリデン
ImHPr=1,3−ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン
SIPrNap=1,3−ビス(2,7−ジイソプロピルナフタレン−1−イル)−2−イミダゾリジニリデン
RCM=閉環メタセシス
RPカラム=逆相カラム
S/C=基質対触媒モル比
Mes=2,4,6−トリメチルフェニル
Cy=シクロヘキシル
Cyp=シクロペンチル
【0192】
ジエンIVb=下記式(IVb):
【0193】
【化33】


で示される、4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸(3R,5S)−1−((S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノナ−8−エノイル)−5−((1R,2S)−1−エトキシカルボニル−2−ビニル−シクロプロピルカルバモイル)−ピロリジン−3−イルエステル
【0194】
RCM−エステルVb=(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−シクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボン酸、6−[[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ]−2−[[(4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ]−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−ヘキサデカヒドロ−5,16−ジオキソ−、エチルエステル
【0195】
原子の番号付けを下記に示す:
【0196】
【化34】

【0197】
Epi−Vb=式(Vb)のRCMエステルの13aRエピマー
Epi−IVb:IVb中のシクロプロピル単位のビニル置換炭素原子におけるエピマー
a%=HPLC領域%
【0198】
【表6】





【0199】
実施例1
グローブボックス(O<2ppm)中で、トルエン6.5ml(アルゴン下で蒸留した)中のジエンIVb 50.0mg(0.073mmol、含有量により修正した)及び触媒D 2.62mg(0.0036mmol)の溶液を、15mlスクリューキャップフラスコ中で65℃にて撹拌した。4時間後、エチレンジアミン1滴を加え、混合物をグローブボックスの外で10分間撹拌した。塩酸の1M 水溶液1mlを添加した後、二相性混合物を10分間撹拌した。有機相のアリコート0.5mlを除去し、蒸発乾固し;油状の残留物をアセトニトリル1mlに溶解し、HPLCにより分析した。転化率は、>99領域%であり、所望の生成物(RCM−エステルVb)は、純度67領域%を有した。
【0200】
逆相(RP)カラム上のHPLC方法:Waters XBridge C18 カラム、4.6×150mm、溶媒A:水/アセトニトリル 95/5、溶媒B:アセトニトリル、勾配:11分間以内でA/B 50/50〜10/90、次に10/90で4分間、40℃、210nm、1ml/min。保持時間:トルエン 5.2分、ジエンIVb 8.85分、RCM−エステルIb 6.97分(HPLC/MSにより同定された、[MH]657.4u)、二量体副生成物のピーク:10.2、10.4、12.1及び13.1分(MS:[MH]1313u)。二量体ピークの合計のみを表及び実験で示す。
【0201】
キラルカラム上のHPLC方法:Chiralcel OD-RH、4.6〜150mm、溶媒A:水+5%アセトニトリル(62%)、アセトニトリル(38%)、勾配なし、40℃、1ml/min、210nm。保持時間:ジエンIVb 3.4分、2Rエピマージエンepi−IVb 74.2分、RCMエステルVb 47.6分、13aエピマーRCM−エステルV(EpiVb) 33.9分。
【0202】
実施例2a〜2i
表1中の実施例を実施例1と同様の手順及び条件(脚注に特に言及されない場合)を使用して、但し、多様な触媒の存在下で実施した。
【0203】
【表7】

【0204】
実施例3(S/C135〜200)
トルエン155ml中のジエンIVb 2.67g(2.00mmol)の溶液(トルエン中の51.4%溶液として)に、触媒E 6.58mg(0.005mmol)をアルゴン通気(33ml/min)下で60℃にて加えた。2時間後、この温度での撹拌後(必要に応じて、分析サンプルを採取した)、触媒E 3.26mgを加えた。計5時間後、エチレンジアミン50μL(0.74mmol)を加え、混合物を室温で10分間撹拌した。この後、混合物を塩酸の1M 水溶液で、そして水で抽出した。有機相を蒸発させることにより、RCM−エステルVb 1.32gを純度78.5%で得た。
【0205】
実施例4a〜4f(S/C135〜200)
表2中の実施例を実施例3と同様の手順及び条件を使用して、但し、多様な触媒の存在下で実施した。
【0206】
【表8】

【0207】
実施例5(S/C1000、減圧下、P=0.26bar)
トルエン390ml中のジエンIVb 6.60g(5.00mmol)の溶液(トルエン中の51.4%溶液として)に、トルエン20ml中の触媒D 3.59mg(0.005mmol)の溶液を滴下漏斗により減圧下(圧力=約0.26bar)で70℃にて加えた。触媒を約1時間の間に加えた。これらの条件下で少量のトルエン(19ml)を反応の過程で留去した。2時間の総反応時間後、エチレンジアミン17μL(0.252mmol)を大気圧で加え、反応混合物を減圧下で濃縮し、塩酸の0.5M 水溶液で洗浄し、脱色炭で処理し、蒸発乾固した。RCM−エステルVbをオフホワイトの固体(3.58g)として純度84.2a%(含有量75.7%、収率82.5%)で単離した。
【0208】
実施例6a〜f
表3中の実験を実施例5と同様に実施し、触媒番号、温度、反応時間、収率及びRCMエステルVbの純度を表中に示した。
【0209】
【表9】

【0210】
実施例7a〜e
表4中の実験を実施例5と同様にして、但し、以下の変化を伴って実施した:トルエン780ml中のジエンIVb 10mmol、トルエン40ml中の溶液として約1.5時間の間に加えた触媒(種類及び量は、表4を参照する)、温度70℃。
【0211】
【表10】

【0212】
実施例8
2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド
【0213】
【化35】

【0214】
N,N−ジメチルホルムアミド200ml中の炭酸カリウム12.24g(87.6mmol)及び炭酸セシウム5.78g(17.7mmol)の懸濁液に、(E,Z)−2−プロペニルフェノール(E/Z−異性体の4:1混合物)6.00g(43.8mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、2−ブロモ−プロピオンアミド6.73g(43.8mmol)を加え、反応混合物を40℃で2日間撹拌した。反応混合物を濾過し、50℃/10barで濃縮した。残留物に、ジエチルエーテル150ml及び水150mlを加えた。層を分離し、水層をジエチルエーテル200mlで抽出した。合わせた有機層を水100ml及びブライン100mlで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固して、標記化合物9.44g(96%)をE/Z−異性体の3.5:1混合物として、純度91%(GC−領域%)で白色の結晶として得た。(GC方法:Column HP-5、5%フェニルメチルシロキサン、30m×0.32mm、df(膜圧):0.25m;注入器温度:250℃;検出器温度:250℃;乾燥器温度:50℃〜300°(10℃/min)、次に300℃で5分間;保持時間:2−ブロモ−プロピオンアミド 4.8分、(Z)−2−プロペニルフェノール 6.7分、(E)−2−プロペニルフェノール 8.5分、2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 14.3分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 15.0分)。
MS:206.0(M+H)。
【0215】
実施例9
2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸
【0216】
【化36】

【0217】
ジオキサン中のメチル2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパノアート(E/Z−異性体の4:1混合物、D. Arlt, K. Grela et al, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 13652-13653にしたがって調製した)0.50g(2.2mmol)の溶液に、2M 水酸化ナトリウム水溶液11ml(20.0mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物に、水50ml及びtert.−ブチルメチルエーテル100mlを加えた。有機層を水40mlで洗浄した。合わせた水層のpHを25%塩酸水溶液で1の値に調整した後、ジクロロメタン150mlを加えた。有機層をブライン100mlで洗浄し、ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固して、標記化合物0.50g(収率99%)をE/Z−異性体の3:1混合物として、純度>99.9%(GC−領域%)で白色の結晶として得た。(実施例7に記載されているGC方法。保持時間:メチル2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパノアート 12.2分、メチル2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパノアート 12.9分、2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸 13.3分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸 14.0分)。
融点:96℃。MS:206.0(M)。
【0218】
実施例10
N,N−ジエチル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド
【0219】
【化37】

【0220】
N,N−ジメチルホルムアミド100ml中のジエチルアミン1.26ml(12.1mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン2.12ml(12.1mmol)、2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸(E/Z−異性体の3:1混合物)0.50g(2.4mmol)及びO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)1.01g(3.0mmol)を加え、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物に、水100ml及び酢酸エチル200mlを加えた。有機層を分離し、水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 3:1)により精製して、標記化合物0.57g(収率87%)をE/Z−異性体の4:1混合物として、純度96.2%(GC−領域%)で無色の油状物として得た。(実施例7に記載されているGC方法。保持時間:2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 13.9分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 14.0分、N,N−ジエチル−2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 16.2分、N,N−ジエチル−2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 16.6分)。
MS:262.0(M+H)。
【0221】
実施例11
1−モルホリン−4−イル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン
【0222】
【化38】

【0223】
N,N−ジメチルホルムアミド13ml中のモルホリンの溶液0.21ml(2.4mmol)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.42ml(2.4mmol)、2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸(E/Z−異性体の3:1混合物)0.10g(0.5mmol)及びO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)0.20g(0.6mmol)を加え、反応混合物を室温で45分間撹拌した。反応混合物に水20ml及び酢酸エチル40mlを加えた。有機層を分離し、水10mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 3:1)により精製して、標記化合物71mg(収率53%)をE/Z−異性体の4:1混合物として、純度>99.9%(GC−領域%)で白色の粉末として得た。(実施例7に記載されているGC方法。保持時間:2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 13.9分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 14.0分、1−モルホリン−4−イル−2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン 18.4分、1−モルホリン−4−イル−2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン 18.7分)。
MS:276.1(M+H)。
【0224】
実施例12
N−フェニル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド
【0225】
【化39】

【0226】
N,N−ジメチルホルムアミド6ml中のアニリンの溶液0.11ml(1.2mmol)に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン0.21ml(1.2mmol)、2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸(E/Z−異性体の3:1混合物)0.05g(0.3mmol)及びO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)0.10g(0.3mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に、水10ml及び酢酸エチル20mlを加えた。有機層を分離し、水10mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 3:1)により精製して、標記化合物58mg(収率85%)をE/Z−異性体の4:1混合物として、純度>99.9%(GC−領域%)で白色の粉末として得た。(実施例7に記載されているGC方法。保持時間:2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 13.9分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 14.0分、N−フェニル−2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 19.9分、N−フェニル−2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド 20.3分)。
MS:282.3(M+H)。
【0227】
実施例13a
2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン
【0228】
【化40】

【0229】
N,N−ジメチルホルムアミド200ml中のピロリジン1.92ml(23.0mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン4.02ml(23.0mmol)、2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオン酸(E/Z−異性体の3:1混合物)1.00g(4.6mmol)及びO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)1.92g(5.8mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物に、水200ml及び酢酸エチル400mlを加えた。有機層を分離し、水100mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル 3:1)により精製して、標記化合物0.69g(収率57%)をE/Z−異性体の4:1混合物として、純度98.1%(GC−領域%)で白色の粉末として得た。(実施例7に記載されているGC方法。保持時間:2−[((Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 13.9分、2−[((E)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン酸 14.0分、2−[(()−2−プロペニル)−フェノキシ]−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン 18.0分、2−[(()−2−プロペニル)−フェノキシ]−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン 18.4分)。
MS:260.0(M+H)。
【0230】
実施例13b
1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−プロパン−1−オン
【0231】
【化41】

【0232】
N,N−ジメチルホルムアミド120ml中の2−ブロモ−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン7.00g(30.47mmol、GC分析により純度89.4%)及び2−ヒドロキシスチレン3.7g(30.49mmol)の溶液に、炭酸カリウム8.20g(59.33mmol)及び炭酸セシウム3.90g(11.91mmol)を加えた。黄色の懸濁液を45℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を60℃/10barで濃縮した。得られた高濃度の懸濁液を酢酸エチルと脱イオン水の混合物中で激しく撹拌した。有機相を水で再び洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固した。明褐色の半固体の残留物をtert−ブチルメチルエーテル/ヘプタンから結晶化し、乾燥(50℃/10mbar)させることにより、標記化合物5.4gを融点84〜85℃で白色の粉末として得た。
MS:246.1496(M+H)、268.1317(M+Na)
【0233】
実施例13c
2−メチル−1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−プロパン−1−オン
【0234】
【化42】

【0235】
テトラヒドロフラン100ml中のリチウムジイソプロピルアミド(ジイソプロピルアミン3.492ml(24.46mmol)をヘキサン中のn−ブチルリチウムの1.6モルの溶液14.0ml(22.42mmol)で処理することにより−40℃で調製した)の溶液に、テトラヒドロフラン20ml中の1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−プロパン−1−オン5.00g(20.38mmol)の溶液を−40℃で加えた。混合物を同じ温度で30分間撹拌し、次にヨードメタン1.55ml(25.0mmol)を滴下した。1時間後に水を加え、有機相を1モルHCl溶液で、続いて1モルNaOH溶液で室温にて抽出することにより、乾燥(硫酸ナトリウム)後に粗生成物を得て、それをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物4.5gを明黄色の油状物として得て、それを放置して固化させた。
MS:260.1(M+H)、282.5(M+Na)
【0236】
実施例13d
ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−エタノン
【0237】
【化43】

【0238】
水180ml中の2−ヒドロキシスチレンのカリウム塩(2−ヒドロキシスチレンを水中の水酸化カリウムで処理することにより得た)12.7g(80.2mmol)の溶液に、トルエン300ml及びテトラブチルアンモニウムブロミド1.0g(3.07mmol)を加えた。次にトルエン14ml中の2−ブロモ−1−(1−ピロリジニル)−エタノン16.3g(81.6mmol)の溶液を加え、二相性混合物を40℃で激しく撹拌した。16時間後、反応混合物を室温に冷まし、有機相を2モルNaOH溶液で、1モルHCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して、標記化合物をGCにより純度99.9%で得た。
MS:232.1327(M+H)、254.1150(M+Na)
【0239】
実施例14
触媒番号D、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CONEt)Ph)(ImHMes)]
【0240】
【化44】

【0241】
ジクロロメタン110ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.50g(1.77mmol)、塩化銅0.19g(1.94mmol)及びE/Z−異性体の4:1混合物としてのN,N−ジエチル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド0.51g(1.94mmol)の懸濁液を、40℃で40分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、酢酸エチル/ペンタン/テトラヒドロフランを用いて繰り返し温浸することにより精製して、標記化合物0.73g(58%)を緑色の結晶質固体として得た。
MS:711.2(M)。分析:C3545ClRuの計算値:C、59.06;H、6.37;N、5.90;Cl、9.96。実測値:C、58.56;H、6.44;N、5.23;Cl、9.86。
【0242】
X線結晶構造解析に適した標記化合物の結晶を、ペンタンをテトラヒドロフラン2ml中の[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CONEt)Ph)(ImHMes)]20mgの溶液中に室温で蒸気拡散することにより成長させた。
【0243】
図1は、式Dの錯体の標識化された図を示す。
【0244】
【表11】

【0245】
【表12】

【0246】
実施例15
触媒番号D、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CONEt)Ph)(ImHMes)]
【0247】
【化45】

【0248】
ジクロロメタン16ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(3−フェニル−インデニリデン)](Umicore AG(D-63457 Hanau-Wolfgang)から市販されている)0.50g(0.53mmol)、塩化銅0.06g(0.59mmol)及びE/Z−異性体の4:1混合物としてのN,N−ジエチル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド0.16g(0.53mmol)の懸濁液を、40℃で40分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。残留物をテトラヒドロフラン45ml中で室温にて15分間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、濾液を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、酢酸エチル/ペンタンを用いて繰り返し温浸することにより精製して、標記化合物0.29g(76%)を緑色の結晶質固体として得た。
MS:711.2(M)。
【0249】
実施例16
触媒番号F、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−モルホリン)Ph)(ImHMes)]
【0250】
【化46】

【0251】
ジクロロメタン75ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.18mmol)、塩化銅0.13g(1.30mmol)及びE/Z−異性体の4:1混合物としての1−モルホリン−4−イル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロパン−1−オン0.36g(1.30mmol)の懸濁液を、40℃で30分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。残留物を酢酸エチル250ml中で室温にて30分間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、濾液を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:2)により精製して、標記化合物0.38g(収率45%)を緑色の粉末として得た。
MS:725.2(M)。分析:C3543ClRu・1/2 CHClの計算値:C、55.51;H、5.77;N、5.47;Cl、13.85。実測値:C、54.75;H、5.76;N、5.30;Cl、13.71。
【0252】
X線結晶構造解析に適した標記化合物の結晶を、ペンタンをジクロロメタン0.5ml中の[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−モルホリン)Ph)(ImHMes)]10mgの溶液中に室温で蒸気拡散することにより成長させた。
【0253】
図2は、式Fの錯体の標識化された図を示す。
【0254】
【表13】

【0255】
【表14】

【0256】
実施例17
触媒E、[RuCl(=CH(o−CH(Me)CONH)Ph)(ImHMes)]
【0257】
【化47】

【0258】
ジクロロメタン75ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.19mmol)、塩化銅0.15g(1.47mmol)及びE/Z−異性体の3.5:1混合物としての2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド0.30g(1.47mmol)の懸濁液を、40℃で30分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を酢酸エチル100mlに溶解し、形成された懸濁液を濾過した。濾液を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物をペンタン/THFを用いて繰り返し温浸することにより精製して、標記化合物0.41g(53%)を緑色の固体として得た。
MS:655.1(M)。分析:C3137ClRuの計算値:C、56.79;H、5.69;N、6.41;Cl、10.81。実測値:C、56.23;H、5.59;N、6.16;Cl、10.84。
【0259】
X線結晶構造解析に適した標記化合物の結晶を、ペンタンをテトラヒドロフラン0.5ml中の[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CONH)Ph)(ImHMes)]10mgの溶液中に室温で蒸気拡散することにより成長させた。
【0260】
図3は、式Eの錯体の標識化された図を示す。
【0261】
【表15】

【0262】
【表16】

【0263】
実施例18
触媒番号G、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CONHPh)Ph)(ImHMes)]
【0264】
【化48】

【0265】
ジクロロメタン75ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.18mmol)、塩化銅0.13g(1.30mmol)及びE/Z−異性体の4:1混合物としてのN−フェニル−2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−プロピオンアミド0.38g(1.30mmol)の懸濁液を、40℃で30分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。残留物を酢酸エチル75ml中で室温にて30分間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、濾液を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1)により精製して、標記化合物0.75g(収率88%)を緑色の粉末として得た。
MS:731.1(M)。分析:C3741ClRu・1/3 C12の計算値:C、61.65;H、5.97;N、5.53;Cl、9.33。実測値:C、61.83;H、6.71;N、5.35;Cl、8.93。
【0266】
実施例19a
触媒番号J、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(ImHMes)]
【0267】
【化49】

【0268】
ジクロロメタン75ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.18mmol)、塩化銅0.13g(1.30mmol)及びE/Z−異性体の4:1混合物としての2−[((E,Z)−2−プロペニル)−フェノキシ]−1−ピロリジン−1−イル−プロパン−1−オン0.36g(1.30mmol)の懸濁液を、40℃で30分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。残留物を酢酸エチル60ml中で室温にて30分間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、濾液を40℃/10mbarで蒸発乾固した。粗標記生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール 98:2)により精製して、標記化合物0.52g(収率62%)を緑色の粉末として得た。
MS:709.2(M)。分析:C3543ClRu・0.85 CHClの計算値:C、55.04;H、5.76;N、5.37;Cl、16.83。実測値:C、54.52;H、5.74;N、5.29;Cl、16.82。
【0269】
実施例19b
触媒番号J、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(ImHMes)]
【0270】
【化50】

【0271】
トルエン60ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(3−フェニル−インデニリデン)](Umicore AG(D-63457 Hanau-Wolfgang)から市販されている)2.00g(2.11mmol)、1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−プロパン−1−オン0.52g(2.11mmol)の溶液を、60℃で6時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、残留粗生成物を酢酸エチル/ペンタン 3:5 80ml中で室温にて30分間温浸し、濾過し、酢酸エチル/ペンタン 1:4 50mlで洗浄した。緑色の粗生成物をトルエン10ml中で0〜5℃にて30分間温浸し、濾過し、トルエン5mlで0〜5℃にて洗浄し、続いてヘキサン30mlで室温にて洗浄して、標記化合物0.52g(収率34%)を緑色の粉末として得た。
MS:709.2(M)。分析:C3543ClRuの計算値:C、59.23;H、6.11;N、5.92;Cl、9.99。実測値:C、58.92;H、5.98;N、5.36;Cl、9.14。
【0272】
実施例19c
触媒番号K、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(PCy)]
工程1:[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(PCy)]
【0273】
【化51】

【0274】
トルエン200ml中の[RuCl(PCy(3−フェニル−インデニリデン)](Umicore AG(D-63457 Hanau-Wolfgang)から市販されている)20.00g(21.70mmol)及び1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニルフェノキシ)−プロパン−1−オン5.32g(21.70mmol)の溶液を、100℃で16時間撹拌した。暗緑色の溶液を総量100mlに濃縮し、ペンタン200mlを加え、形成された暗緑色の懸濁液を氷浴中で30分間撹拌した。濾過後、残留粗生成物Kをペンタン/トルエン 11:1 110mlで洗浄し、続いてペンタン100mlで洗浄し、減圧下で室温にて乾燥させて、標記化合物8.93g(60%)を緑色の粉末として得た。
MS:683.2(M)。31P-NMR(CDCl3): δ 56.6 ppm。
【0275】
実施例19d
触媒番号J、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(ImHMes)]
【0276】
【化52】

【0277】
ヘキサン400ml中の1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−イミダゾリジニウムクロリド(Umicore AG(D-63457 Hanau-Wolfgang)から市販されている)6.52g(17.55mmol)及びカリウムtert−.ペンチレート(トルエン中の1.7M)11.40ml(19.38mmol)の懸濁液を、50℃で10分間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固した後、白色の残留物をヘキサン400mlに再溶解し、形成された懸濁液をヘキサン400ml中の[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(PCy)]4.00g(5.85mmol)の懸濁液に移した。得られた反応混合物を50℃で23時間撹拌した。形成された緑色の懸濁液を濾過し、フィルターケーキをヘキサン60mlで洗浄し、ジクロロメタン50mlに溶解した。水140mlを加え、有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を酢酸エチル/ペンタン 1:5 70mlで2回洗浄し、続いてペンタン50mlで洗浄し、減圧下で室温にて乾燥させて、標記化合物2.75g(収率66%)を緑色の粉末として得た。
MS:709.2(M)。分析:C3543ClRu・0.9 CHClの計算値:C、54.80;H、5.74;N、5.34;Cl、17.10。実測値:C、54.77;H、5.76;N、5.30;Cl、16.30。
【0278】
実施例20a
触媒番号L、[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(SIPrNap)]
【0279】
【化53】

【0280】
ヘキサン100ml中の[RuCl(=CH(o−OCH(Me)CO−N−ピロリジン)Ph)(PCy)]0.50g(0.73mmol)及びSIPrNap(R. Dorta et al., JACS 2008, 130, 6848にしたがって調製した)0.54g(1.09mmol)の懸濁液を、50℃で23時間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、残留物をジクロロメタン20mlに溶解し、濾過した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を酢酸エチル/ペンタン 1:2 12ml及びペンタン10mlで2回洗浄し、減圧下で室温にて乾燥させて、標記化合物0.45g(69%)を緑色の粉末として得た。
MS:893.3(M)。分析:C4959ClRuの計算値:C、65.83;H、6.65;N、4.70;Cl、7.93。実測値:C、66.04;H、6.74;N、4.50;Cl、7.75。
【0281】
実施例20b
触媒番号M、[RuCl(=CH(o−OCMeCO−N−ピロリジン)Ph)(ImHMes)]
【0282】
【化54】

【0283】
ジクロロメタン80ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.18mmol)、塩化銅0.14g(1.41mmol)及び2−メチル−1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニル−フェノキシ)−プロパン−1−オン0.37g(1.41mmol)の懸濁液を、40℃で90分間撹拌した。反応混合物を40℃/10mbarで蒸発乾固した。残留物を酢酸エチル25ml中で室温にて15分間撹拌した。暗緑色の懸濁液を濾過し、濾液を総量5mlに濃縮した。緑色の溶液にペンタン15mlを加え、形成された懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキをペンタン40mlで洗浄し、25℃/10mbarで一晩乾燥させて、標記化合物0.68g(収率80%)を緑色の粉末として得た。
MS:723.2(M)。
【0284】
実施例20c
触媒番号N、[RuCl(=CH(o−OCHCO−N−ピロリジン)Ph)(ImHMes)]
【0285】
【化55】

【0286】
トルエン30ml中の[RuCl(PCy)(ImHMes)(フェニルメチレン)](Sigma-Aldrich Inc.(St. Louis, USA)から市販されている)1.00g(1.18mmol)及び1−ピロリジン−1−イル−2−(2−ビニル−フェノキシ)−エタノン0.28g(1.20mmol)の溶液を、60℃で6時間撹拌した。形成された緑色の懸濁液を室温に放冷した。ペンタン50mlを加え、生成物の沈殿を完了させた。懸濁液を室温で30分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキをペンタン100mlで洗浄し、25℃/10mbarで一晩乾燥させて、標記化合物0.59g(収率72%)を緑色の固体として得た。
MS:695.2(M)。分析:C3441ClRuの計算値:C、58.70;H、5.94;N、6.04;Cl、10.19。実測値:C、58.56;H、5.82;N、5.90;Cl、10.14。
【0287】
実施例21
【0288】
【化56】

【0289】
(2R,6S,12Z,13aS,14aR,16aS)−6−[[(tert−ブトキシ)カルボニル]アミノ]−2−[[(4−フルオロ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)カルボニル]オキシ]−1,2,3,6,7,8,9,10,11,13a,14,15,16,16a−ヘキサデカヒドロ−5,16−ジオキソ]−シクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a(5H)−カルボン酸の調製
【0290】
エタノール350g中のRCM−エステル Vb 59.7g(90.9mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム溶液(水中の20%)231gを7℃で1時間以内に加え、得られた混合物を5〜10℃で6時間撹拌した。次に混合物を濃塩酸(37%)110gで10℃にて処理した。反応器中で350〜400mlの残留量を得るまで、得られた混合物(約800ml)からエタノール/水を留去した。残留物をジクロロメタン320g及び水55gで40℃にて処理し、得られた二相性混合物を40℃で20分間撹拌した。撹拌を止め、層を15分間分離するにまかせた。下方の有機層を分離した。水層をジクロロメタン64gで抽出し、合わせた有機層を水(1×55g)で洗浄した。有機層からジクロロメタンを大気圧で留去し、続いて除去した溶媒をテトラヒドロフランに代えた;それにより生成物を晶出した。合計でテトラヒドロフラン600gを加えた。蒸留の最後に、反応器中で約700mlの量を調整した。蒸留の後に、懸濁液を5時間加熱還流した。次に懸濁液を0℃に2時間以内で冷却し、この温度で更に3時間撹拌した。結晶を濾別し、テトラヒドロフラン95gで洗浄し、50℃/<30mbarで10時間乾燥させて、標記化合物55.20g(修正後の収率87%)を、純度:98.4%(領域)、アッセイ:90.2%(m/m)及びTHF含有量:8.5%で白色の結晶として得た。
【0291】
MS:627.3(M−H)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): 12.2 (s, 1H), 8.73-8.66 (m, 1H), 7.39-7.31 (m, 1H), 7.22-7.02 (m, 3H), 5.57-5.46 (m, 1H), 5.31-5.21 (m, 2H), 4.67 (s, br, 4H), 4.47-4.38 (m, 1H), 4.29-4.20 (m, 1H), 3.98-3.88 (m, 1H), 3.71-3.62 (m, 1H), 2.70-2.55 (m, 1H), 2.29-2.08 (m, 3H), 1.75-1.0 (m, 11H), 1.10 及び 1.07 (2s, 9H)。
【0292】
実施例22
【0293】
【化57】

【0294】
ナトリウム((2R,6S,13aS,14aR,16aS,Z)−6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−フルオロイソインドリン−2−カルボニルオキシ)−5,16−ジオキソ−1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,15,16a−ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−14a−カルボニル)(シクロプロピルスルホニル)アミド(HCVプロアテーゼ阻害剤;化合物VIII)の調製。
【0295】
テトラヒドロフラン225g中のカルボン酸(アッセイ90.2%(m/m)を有する実施例20の生成物)30.0g(0.043mol)及び炭酸ナトリウム14.0gの懸濁液に、無水酢酸7.60g(0.074mol)を45℃で30分間以内に加え、得られた混合物を45℃で8時間撹拌した。次に得られた懸濁液に、炭酸カリウム30.2g(0.17mol)及びシクロプロピルスルホンアミド8.0g(0.065mol)を加えた。混合物を62℃に加熱し、この温度で17時間撹拌した。混合物を残留量200mlに濃縮し、次に水200gで処理した。二相性混合物を15分間撹拌し、次に層を分離するにまかせた。下方の水相を除去した。有機相を酢酸エチル90gで希釈し、3%硫酸(1×140g)及び水(3×130g)で洗浄した。有機層を濃縮乾固し、次に酢酸エチル400mlで希釈した。水の残量を酢酸エチルでの連続的な共沸蒸留により除去した。次に混合物をメタノール20mlで、続いてナトリウムメチレート(メタノール中の30%)10.0gで10℃にて処理した。得られた混合物から酢酸エチル/メタノール約300mlを次に留去した。次に混合物を酢酸エチル300ml及び水5gで34℃にて1時間以内で処理した。得られた混合物を周囲温度に4時間以内で放冷した。結晶を濾別し、酢酸エチル80mlで洗浄し、80℃/<30mbarで20時間乾燥させて、標記化合物30.4g(修正後の収率87%)をアッセイ92.7%(m/m)で白色の結晶として得た。
【0296】
MS:732.28(M+H)、676.23、632.25。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): 7.89-7.80 (m, 1H), 7.39-7.31 (m, 1H), 7.21-7.06 (m, 2H), 6.97-6.90 (m, 1H), 5.49-4.41 (m, 1H), 5.31-5.21 (m, 2H), 4.66 (s, br, 4H), 4.45-4.35 (m, 1H), 4.19-4.08(m, 2H), 3.91-3.81 (m, 1H), 2.68-2.58(m, 1H), 2.30-2.14 (m, 3H), 2.0-1.2 (m, 12H), 1.17 and 1.14 (2s, 9H), 0.78-0.69 (m, 2H), 0.62-0.53 (m, 2H)。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化58】


[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
Lは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
は、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
およびRは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、または
およびRは、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成し;
3’およびR3”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルである]
で示される化合物。
【請求項2】
点線が、結合の存在を示し、六配位Ru(II)錯体を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Lが、下記:
【化59】


(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニルまたは1−アダマンチルであり、
9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニルまたはアリールであるか、またはR9bおよびR9cもしくはR9aおよびR9dは、一緒になって、−(CH−架橋を形成し;
あるいは式IIc中のR9aおよびR9dは、両方とも、ハロゲンであり;
a1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、またはRa1およびRa2もしくはRa2およびRa3もしくはRa1およびRa3は、一緒になって、1,5−架橋シクロオクチル基を形成する)
から選択される中性リガンドである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Lが、下記:
【化60】


(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、1−アダマンチル、C1−6−アルキルによってジ−もしくはトリ−置換されているフェニル基またはC1−6−アルキルによってジ−もしくはトリ−置換されているナフチル基である)である、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
およびRが、2,4,6−トリメチルフェニルまたは2,7−ジイソプロピルナフチルである、請求項3または4記載の化合物。
【請求項6】
およびXが、互いに独立して、ハロゲンである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項7】
およびXが、クロロである、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
が、水素である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項9】
a、bおよびdが、水素である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項10】
cが、水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6アルキルまたはアリールを意味するか、あるいはR’およびR”は、N原子と一緒になって環を形成する)である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、互いに独立して、水素、C1−6アルキルであるか、またはRおよびRが、N原子と一緒になって、追加のヘテロ原子として酸素を含む6員の環を形成する、請求項1または2記載の化合物。
【請求項12】
3’およびR3”が、互いに独立して、水素またはC1−6アルキルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項13】
以下:
【表17】




から選択される、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
式Iで示される化合物を製造する方法であって、式1:
【化61】


(式中、R、RならびにR3’およびR3”、Yおよびa、b、c、dは、上記に定義されたとおりであり;RおよびRは、互いに独立して、水素、1つ以上のハロゲン原子により場合により置換されているC1−6−アルキルまたは1つ以上のハロゲン原子もしくはC1−6−アルキルにより場合により置換されているアリールである)
のプレリガンドを、下記:
【化62】


(式中、L、XおよびXは、上記に定義されたとおりであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであるか、
あるいは、YおよびYは、一緒になって、タイプ:
【化63】


(ここで、Gは水素またはアリールである)の環を形成するか;
または
およびYは、一緒になって、タイプ:
【化64】


のクムレニル基を形成し;
a1、Ra2およびRa3は、互いに独立して、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであるか、またはRa1およびRa2もしくはRa2およびRa3もしくはRa1およびRa3は、一緒になって、1,5−架橋シクロオクチル基を形成する)
から選択されるルテニウム錯体により変換させることを含む方法。
【請求項15】
変換が、不活性な溶媒中、0℃〜80℃の温度で行われることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
変換が、CuClの存在下で行われることを特徴とする、請求項14または15記載の方法。
【請求項17】
式1:
【化65】


(式中、R、RならびにR3’およびR3”、Yおよびa、b、c、dは、上記に定義されたとおりであり;
およびRは、互いに独立して、水素、1つ以上のハロゲン原子により場合により置換されているC1−6−アルキルまたは1つ以上のハロゲン原子もしくはC1−6−アルキルにより場合により置換されているアリールである)
で示されるプレリガンド。
【請求項18】
以下:
【化66】


から選択される、請求項17記載のプレリガンド。
【請求項19】
メタセシス反応における、請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項20】
式III:
【化67】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲン原子である)の大環状化合物の製造方法であって、
式IV:
【化68】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Rは、C1−4−アルキルであり、Xは、ハロゲンである)のジエン化合物を、式:
【化69】


[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
L、LおよびLは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、または
R’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
アレーンは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン−C1−6−アルキル、NO、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、アリール、アリールオキシ SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素またはC1−6−アルキルである)によって場合によりモノ−、ジ−、トリ−もしくは多重置換されたフェニルまたはナフチルを表し;
1aは、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C3−8−シクロアルキルオキシ、ハロゲン−C1−6−アルキルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、または−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成する)であり;
3’は、H、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、C7−18−アリールアルキルであるか、または
1aおよびR3’は、一緒になって、5〜12員の環を形成する]の化合物から選択されるルテニウム(II)カルベン錯体触媒の存在下で閉環メタセシス反応に供することを含む、方法。
【請求項21】
式III:
【化70】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲン原子である)の大環状化合物の製造方法であって:
a)式:
【化71】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Rは、C1−4−アルキルであり、Xは、ハロゲンである)のジエン化合物を、式:
【化72】


[式中、点線は、結合の存在または無結合のいずれかを示し;
L、LおよびLは中性リガンドであり;
およびXは、互いに独立して、アニオン性リガンドであり;
およびYは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルコキシカルボニル、C1−6−アルキルチオ、アリール、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニルであり;
a、b、cおよびdは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、ハロゲン−C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C2−6−アルキニル、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C2−6−アルキニルオキシ、C1−6−アルキルカルボニル、アリール、ヒドロキシ、アリールオキシ、ニトロ、C1−6−アルコキシカルボニル、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、ハロゲン、チオ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、C1−6−アルキルスルホニル、C1−6−アルキルスルフィニル、アリールスルホニル、SOH、C1−6−アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、C1−6−アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−C1−6−アルキルまたはOSi(C1−6−アルキル)およびSO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、アリールもしくはC1−6−アルキルの意味を有するか、または
R’およびR”は、N原子と一緒になって、環を形成する)の意味を有し;
アレーンは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン−C1−6−アルキル、NO、アミノ、モノ−C1−6−アルキル−もしくはジ−C1−6−アルキルアミノ、カルボキシ、アミノカルボニル、C1−6−アルキル、C1−6−アルコキシ、C1−6−アルキルカルボニル、C1−6−アルキルスルホニル、アリール、アリールオキシ SO−アリール、SOH、SO−C1−6−アルキル、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素またはC1−6−アルキルである)によって場合によりモノ−、ジ−、トリ−もしくは多重置換されたフェニルまたはナフチルを表し;
1aは、水素、ヒドロキシ、C1−6−アルコキシ、C2−6−アルケニルオキシ、C3−8−シクロアルキルオキシ、ハロゲン−C1−6−アルキルオキシ、アリールオキシ、C1−6−アルキルチオ、アリールチオ、または−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、またはR’およびR”は、N原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄を追加のヘテロ原子として含んでいてもよい5〜8員の環を形成する)であり;
3’およびR3”は、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C3−8−シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6−アルキルであるか、または
1aおよびR3’は、一緒になって、5〜12員の環を形成する]の化合物から選択されるルテニウム(II)カルベン錯体触媒の存在下に、閉環メタセシス反応に供して、式V:
【化73】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Rは、C1−4−アルキルであり、Xは、ハロゲンである)の大環状エステルを形成し;
b)塩基の存在下に、式Vの大環状エステルを加水分解して、式VI:
【化74】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)の大環状酸を形成し;
c)式VIの大環状酸をシクロプロピルスルホンアミドとカップリングさせることにより、式VII:
【化75】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)の大環状スルホンアミドを形成し;
d)式XXIの大環状スルホンアミドをナトリウム塩基で処理して、式IIIの大環状化合物を形成する
工程を含む、方法。
【請求項22】
ルテニウム(II)カルベン錯体触媒が、式Ia、IbまたはIcの化合物から選択される、請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
式Iaのルテニウム(II)カルベン錯体触媒が選択される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
L、LおよびLが、同じであるかまたは異なっており、L、LおよびLの少なくとも1つが、N−ヘテロサイクリックカルベン配位子である、請求項20〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
Lが、下記:
【化76】


(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6−アルキル、アリール、C2−6−アルケニルまたは1−アダマンチルであり、
9a−dは、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニルまたはアリールであるか、あるいはR9bおよびR9cまたはR9aおよびR9dは、一緒になって−(CH−架橋を形成する)
から選択される、請求項20〜23のいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
およびXが、互いに独立して、ハロゲンである、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
およびYが、互いに独立して、水素、C1−6−アルキル、アリールまたはアリールチオである、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
a、bおよびdが、水素である、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
cが、水素、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、ハロゲン−C1−6−アルキルスルホニルアミノ、SO−NR’R”(ここで、R’およびR”は、互いに独立して、水素、C1−6アルキルまたはアリールを意味するか、あるいはR’およびR”は、N原子と一緒になって環を形成する)である、請求項20〜23のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
アレーンが、ベンゼン、p−シメン、メシチレンまたはp−キシレンである、請求項20または21記載の方法。
【請求項31】
工程a)における閉環メタセシス反応が、有機溶媒中で、20℃〜140℃で行われる、請求項20〜30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
工程a)における閉環メタセシス反応が、基質と触媒との比が20〜10000の範囲で行われる、請求項20〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
工程b)における加水分解が、アルカリ水酸化物水溶液によって、0℃〜40℃で行われる、請求項21〜32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
工程b)で得られる式VIの大環状酸が、ジクロロメタンでの抽出および続いてのテトラヒドロヒラン中での結晶化により単離される、請求項21〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
工程c)における、式VIIの大環状スルホンアミドの形成が、第一の工程で式VIの大環状酸の、無機塩基および適切な有機溶媒の存在下での、無水酢酸による、式:
【化77】


(式中、Rは、アミノ保護基であり、Xは、ハロゲンである)のアズラクトン中間体への反応、および続いてアズラクトンの無機塩基の存在下でのシクロプロピルスルホンアミドによる式VIIの大環状スルホンアミドへの反応、である、請求項21〜34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
工程d)における式VIIの大環状スルホンアミドの処理に用いるナトリウム塩基が、水酸化ナトリウム、ナトリウムメチレートまたはナトリウムエトキシドである、請求項21〜35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
が、Bocであり;
が、エチルであり;
式:
【化78】


の部分が、である、請求項20〜36のいずれか一項記載の方法。

【公表番号】特表2011−522778(P2011−522778A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503399(P2011−503399)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053711
【国際公開番号】WO2009/124853
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】