説明

メタロセン触媒及び重合方法におけるそれらの使用

環状架橋メタロセン触媒系を使用してオレフィンを重合させて、特性の改善した重合体を製造するための方法を提供する。この触媒系は、アルミノキサン、変性アルミノキサン又はその混合物を含む活性剤によって活性化されかつ担体によって担持された環状架橋メタロセンLA(R’SiR’)LBZrQ2を含むことができ、ここで、LA及びLBは、独立に、Zrに結合しかつ式(C54-dd)で定義される非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子であり、ここで、Rは水素、ヒドロカルビル置換基、置換ヒドロカルビル置換基又はヘテロ原子置換基であり、dは0、1、2、3又は4であり;LA及びLBは、環状珪素架橋R’SiR’と共に互いに結合し、ここで、R’は、独立して、互いに結合してシラシクロ環を形成するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル置換基であり;それぞれのQは不安定ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル配位子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2007年10月22日出願の米国特許出願第60/999903号の利益を請求する。その開示は引用によりその全体を含めるものとする。
発明の分野
本発明は、オレフィンを重合させて、特定の改善した重合体を製造するための方法に関するものである。また、本発明は、特性の改善した重合体を製造するためのオレフィンの製造方法に使用するためのメタロセン触媒化合物及び触媒系に関するものである。特に、本発明は、環状架橋メタロセン触媒系、重合方法におけるそれらの使用及びそれから製造された生成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
加工性とは、重合体を経済的に処理加工し、かつ均一に成形する能力のことである。加工性は、重合体の流れをいかに容易にするか、溶融強度及び押出物が歪みがないかどうかといった要素を含む。典型的には、メタロセンで触媒されたポリエチレン(mPE)は、高圧重合方法で作られた低密度ポリエチレン(LDPE)よりも幾分処理加工するのが困難である。一般に、mPEは、LDPEの押出速度と一致させるためには、より大きなモーター出力を必要とし、かつ、より高い押出圧力を生じさせる。また、典型的なmPEは溶融強度がより低いが、これは、例えば、インフレーションフィルムの押出中にバブル安定性に悪影響を与え、また、これらは、商業的な剪断速度ではメルトフラクチャーしやすい。しかし、一方で、mPEはLPDEと比較して優れた物性を示す。
【0003】
産業界では、LDPEの様々なレベルをmPEに加えて溶融強度を増大させること、剪断感受性を増加させること、すなわち、商業的な剪断速度での流れを増加させること及びメルトフラクチャーの傾向を低減させることは希である。しかし、これらのブレンドは、通常、そのままのmPEと比較して機械的性質が劣る。
【0004】
伝統的に、メタロセン触媒は、分子量分布の狭い重合体を生成する。狭い分子量分布の重合体は、処理加工するのが困難な傾向がある。重合体の分子量分布が広ければ広いほど、重合体を処理加工するのが容易になる。mPEの加工性を改善させるための技術は、有意に異なる分子量を有する2種以上のmPEをブレンドし、又は広い分子量分布(MWD)の重合体を生成する重合触媒若しくは触媒混合物に変更することによって、生成物の分子量分布を広げる技術である。
【0005】
従来技術においては、処理加工するのが容易な重合体を生成させるために、特定のメタロセン触媒化合物の特性が示されてきた。例えば、米国特許第5,281,679号には、より広い分子量分布の重合体を生成させるために配位子が第二又は第三炭素原子を有する置換基で置換されたメタロセン触媒化合物が開示されている。米国特許第5,470,811号には、重合体を容易に処理加工するためにメタロセン触媒の混合物を使用することが記載されている。また、米国特許第5,798,427号は、配位子が特異的に置換した配位子であるメタロセン触媒化合物を使用して加工性が向上した重合体の製造に対処している。
【0006】
米国特許第6,339,134号(Crowther外)及び米国特許第6,388,115号(Crowther外)には、式LABMQn(式中MQnは、特に、二塩化ジルコニウムであることができ、LA及びLBは、特に、開環、非環式環若しくは縮合環又は環系、例えば非置換又は置換のシクロペンタジエニル配位子又はシクロペンタジエニル型配位子、ヘテロ原子置換及び/又はヘテロ原子含有シクロペンタジエニル型配位子であることができる。)によって示される配位子メタロセン触媒化合物が記載されている。Q配位子としては、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基が挙げられる。
【0007】
加工性を改善させるために特に有用な配位子メタロセンは、 配位子LA及びLBを結合させる環状の架橋を含有する。これらのメタロセンから製造される担持触媒は、米国特許第6,339,134号(Crowther外)及び米国特許第6,388,115号(Crowther外)で報告されているように、気相重合において生産性が低い(最大生成量=1066g重合体/g担持触媒×時間)という欠点がある。
【0008】
WO03/064433、WO03/064433及び米国特許出願公開第2005−049140号において、配位子LA及びLBを結合させる環状架橋を有し、2個のメチル脱離基を含有するメタロセンが異なる担体/活性剤の組合せに担持された。
【0009】
PCT公開パンフレットWO03/064433(Holtcamp、M.W.)は、中性又はイオン性のいずれかであり、かつ、第13族原子、好ましくは硼素又はアルミニウムがハロゲン化又は部分ハロゲン化複素環式配位子に結合してなる重合触媒活性剤化合物に関するものである。この文献は、かかる活性剤化合物を使用してメタロセン触媒組成物を活性化させることができると述べている。配位子LA及びLBを結合する環状架橋を有する2種のメタロセンがこの溶液状活性剤中で別々に試験された。これらのものは、シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジメチル(「(C48)Si(C5Me4)(C97)ZrMe2」)及びシクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジメチル(「(C36)Si(C5Me4)(C97)ZrMe2」)であった。これらのメタロセン活性剤の組合せは、活性が低いという欠点があった(最大活性は393g重合体/mmol触媒時間であった)。これらのメタロセンがキャリヤー上に担持されたものの例は全く提供されなかった。
【0010】
米国特許出願公開第2005−049140号(Holtcamp、M.W.)は、ジアルミノキサンをハロゲン化アリール基を有するボラン及び脱水シリカと共に使用する重合触媒活性剤担体系に関するものである。配位子LA及びLBを結合させる環状架橋を有する1種のメタロセンがスラリー重合でこの活性剤で試験された:シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジメチル(「(C48)Si(C5Me4)(C97)ZrMe2」)。
【0011】
PCTパンフレット第WO03/064435号(「Holtcamp」)は、ジオールとハロゲン化アリール基第13族金属化合物との組合せを使用する重合触媒活性剤化合物に関するものである。配位子LA及びLBを結合させる環状架橋を有する2種のメタロセンがこの溶液状の活性剤で別個に試験された。これらは、シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジメチル(「(C48)Si(C5Me4)(C97)ZrMe2」)及びシクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジメチル(「(C36)Si(C5Me4)(C97)ZrMe2」)であった。これらのメタロセンと活性剤の組合せが溶液の状態で試験され、そして活性が低いという欠点があった(最大活性は37.8g重合体/mmol触媒時間)。これらのメタロセンをキャリヤーに担持させたものの例は全く提供されなかった。
【0012】
環状珪素架橋を使用する仮想のビスインデニルジルコノセンジメチル錯体が米国特許出願公開第2007−055028A1号(Casty,G外)、米国特許出願公開第2004−220359A1号(Abhari,R外)、米国特許出願公開第2004−152851A1号(Weng,W.外)、WO2004/046214A2(Jiang,P.外)、WO2004/026923A2(Arjunan,P.外)、WO2004/026921A1(Brant,P.外)、WO2002/002575A1(Kuchta,M.外)に記載されている。これらのメタロセンは製造されなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,281,679号明細書
【特許文献2】米国特許第5,470,811号明細書
【特許文献3】米国特許第5,798,427号明細書
【特許文献4】米国特許第6,339,134号明細書
【特許文献5】米国特許第6,388,115号明細書
【特許文献6】国際公開第03/064433号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2005−049140号明細書
【特許文献8】国際公開第03/064435号パンフレット
【特許文献9】米国特許出願公開第2007−055028A1号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004−220359A1号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2004−152851A1号明細書
【特許文献12】国際公開第2004/046214号パンフレット
【特許文献13】国際公開第2004/026923号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2004/026921号パンフレット
【特許文献15】国際公開第2002/002575号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の概要
本発明は、概して、特性の改善した重合体生成物を製造するために環状架橋メタロセン触媒を使用する重合方法に関するものである。また、本発明は、環状架橋を有する架橋メタロセン触媒化合物を改良すること、これらの化合物を含む触媒系及びこれらの化合物を使用する重合方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の態様によれば、アルミノキサンを含む活性剤で活性化され、かつ、担体によって担持された環状架橋メタロセン:LA(R’SiR’)LBZrQ2 を含むオレフィン重合触媒系を提供する。
【0016】
環状架橋メタロセンLA(R’SiR’)LBZrQ2は、環状珪素架橋R’SiR’により互いに結合したLA及びLBから構成され、ここで、それぞれのR’は、独立して、互いに結合してシラシクロ環を形成するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル置換基である。該配位子のそれぞれはジルコニウム原子に結合する。配位子LA及びLBは、式(C54-dd)で説明されるような非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子であり、式中、dは、0、1、2、3又は4から選択される整数であり、Rは、水素、ヒドロカルビル置換基、置換ヒドロカルビル置換基又はヘテロ原子置換基である。2個の脱離基Qは、不安定なヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル配位子である。
【0017】
用語「担体」又は「キャリヤー」は区別なく使用され、任意の担体材料、好ましくは多孔質担体材料、例えば、タルク、無機酸化物及び無機塩化物のことである。他のキャリヤーとしては、ポリスチレンのような樹脂状担体材料、ポリスチレンジビニルベンゼン、ポリオレフィン若しくは高分子化合物のような官能化若しくは架橋有機担体、ゼオライト、タルク、クレーその他の任意の有機若しくは無機担体材料など又はそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
触媒系は、まず活性剤と担体とを混合し、次いでこれにLA(R’SiR’)LBZrQ2を添加することによって形成できる。
【0019】
この重合触媒の利点の一つは、スラリー又は気相方法において他の環状架橋メタロセン触媒/活性剤/担体の組合せに対して生産性が改善することである。
【0020】
触媒系は、単量体として、エチレンと、3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と、随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体、例えば、ヘキサン又はブテンとを含む重合体を製造する際に使用できる。この使用は、生成物のメルトインデックスを制御し、分子量分布を制御し又はフィルムの曇を制御することを目的とすることができる。重合体生成物は、0.910〜0.945g/cc又は0.915〜0.935g/ccの密度を有することができる。
【0021】
この触媒系は、分子量又はメルトインデックスにおいて幅広い又は二峰性の分布を有する重合体生成物を、単量体としてエチレンと3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む単一の反応器内で、共単量体、三元共重合体又は重合体の比率を制御された方法で変更することによって製造するために使用できる。該触媒系は、密度において幅広い又は二峰性の分布を有する重合体生成物を、単量体としてエチレンと3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む単一の反応器内において制御された方法で製造するために使用できる。該単量体は、エチレン及びブテンであることができる。これらの単量体は、エチレン、ブテン及び2〜30個の炭素原子を有する別のオレフィン単量体であることができる。
【0022】
重合体生成物は、約4.2を超えない、又は約3.6〜約4.2の分子量分布(Mw/Mn)を有することができる。
【0023】
別の態様では、単量体としてエチレンと3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む、触媒としてLA(R’SiR’)LBZrQ2を使用して製造された重合体の少量、すなわち、1重量%〜約50重量%、又は約5重量%〜約20重量%を、2〜30個の炭素原子を有するオレフィン単量体を含む別の重合体とブレンドしてフィルムの曇を改善させるために使用することを提供する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、エチレン及び他のオレフィンから重合体を生成するために生産性の高い環状架橋メタロセン担持触媒を製造することに関する。一実施形態では、該環状架橋メタロセン触媒は、(CH24Si(C5Me4)(C54)Zr(CH32、メチルアルミノキサン及びシリカ(40μの平均粒度、平均表面積300m2/g、600℃で脱水)を含む。この触媒系は、気相方法においてエチレン及びブテンの共重合体を製造することについて生産性が高かった。70℃及び170psiのエチレン分圧で少なくとも1786g重合体/(g触媒時間)以上の生産性は、スラリー又は気相方法において担持環状架橋メタロセンについて従来見られるいかなる生産性よりも大きかった。この高い生産性は、先に説明した系よりも低いエチレン分圧及び温度という不利な条件下であっても見られる。
【0025】
本発明の他の態様及び特徴は、当業者であれば、以下の本発明の特定の実施形態を再検討すれば明らかになるであろう。
ここで、本発明の実施形態を、例示の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、HP−LDPEエクソンモービルLD103.09重合体の歪み硬化を示す図である。
【図2】図2は、触媒として(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2を使用して製造された重合体の歪み硬化を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の重合体及び比較重合体についてのMFR対MIのグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施形態の重合体及び比較重合体についての面積Retramat収縮対MD塑性引張のグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施形態の重合体及び比較重合体についてのg’対分子量のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
本願の化合物、成分、組成物及び/又は方法を開示し説明する前に、特に示さない限り本発明は特定の化合物、成分、組成物、反応体、反応条件、配位子、メタロセン構造などに限定されないことを理解すべきである。また、ここで使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的で用いるものであり、限定を目的としない。
【0028】
本明細書及び添付した特許請求の範囲において使用するときに、単数形の「a」、「an」及び「the」は、特に明示しない限り複数の指示物を含むことにも留意すべきである。すなわち、例えば、「脱離基で置換された部分」のような「脱離基」の言及には、該部分が2個以上の脱離基で置換されていてよいように、1個以上の脱離基が含まれる。同様に、「ハロゲン原子で置換された」部分のような「ハロゲン原子」の言及には、該部分が2個以上のハロゲン原子で置換されていてよいように、1個以上のハロゲン原子が含まれ、「置換基」の言及には、1個以上の置換基が含まれ、「配位子」の言及には、1個以上の配位子が含まれる。
【0029】
ここで使用するときに、元素の周期律表及びその族に関しては、全て、HAWLEY’S CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY、第13版,John Wiley & Sons,Inc.,(1997)(IUPACから許諾を得て複製)において公開された新表記法を参照する。
【0030】
環状架橋メタロセン触媒
本発明の実施形態に従う環状架橋メタロセン触媒は、次式Iに示す環状架橋メタロセンと、活性剤と、担体とから構成される:
A(R’SiR’)LBZrQ2 (I)
【0031】
環状架橋メタロセンは式(I)で示される。これらのものは、環状珪素架橋R’SiR’により互いに結合した2個の配位子LA及びLBを含有する。該配位子のそれぞれはジルコニウム原子に結合する。好ましい実施形態では、少なくとも1個の配位子は、金属原子にη結合し、最も好ましくは金属原子にη5結合する。2個の脱離基Qはジルコニウム原子に結合する。
【0032】
好ましい実施形態では、該配位子LA及びLBは、式(C54-dd)で表されるような非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子であり、式中、dは、0、1、2、3又は4から選択される整数であり、Rは、水素、ヒドロカルビル置換基、置換ヒドロカルビル置換基又はヘテロ原子置換基である。少なくとも2個のR基、好ましくは2個の隣接するR基は、一緒になって環構造を形成できる。また、1−ブタニルなどの置換基のR基は、ジルコニウムに結合する炭素シグマ結合を形成できる。
【0033】
ヒドロカルビル置換基1〜100個の炭素原子から構成され、残りは水素である。ヒドロカルビル置換基の例としては、直鎖又は分岐又は環状のアルキル基;アルケニル基;アルキニル基;シクロアルキル基;アリール基;アルキレン基、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル;ビニル末端配位子を含むオレフィン系不飽和置換基(例えば3−ブテニル、2−プロペニル、5−ヘキセニルなど)、ベンジル又はフェニル基などが、それらの全ての異性体、例えばt−ブチル、イソプロピルなどを含めて挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
置換ヒドロカルビル置換基は1〜100個の炭素原子から構成され、残りは、水素、弗素、塩素、臭素、沃素、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素、珪素、ゲルマニウム又は錫原子である。置換ヒドロカルビル置換基は炭素系の基である。置換ヒドロカルビル置換基としては、トリフルオルメチル基、トリメチルシリル、トリメチルシランメチル(Me3SiCH2−)基が挙げられる。
【0035】
ヘテロ原子置換基は、弗素、塩素、臭素、沃素、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素、珪素、ゲルマニウム又は錫を主成分とする基である。例えば、ヘテロ原子置換基としてはオルガノメタロイド基が挙げられる。ヘテロ原子置換基としては、メトキシ基、ジフェニルアミノ基、チオアルキル、チオアルケニル、メチルトリメチルシリル基、ジメチルアルミニウム基、トリス(ペルフルオルフェニル)硼素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
配位子の例としては、シクロペンタジエニル配位子、インデニル配位子、ベンズインデニル配位子、フルオレニル配位子、オクタヒドロフルオレニル配位子が、それらの水素化変種、例えばテトラヒドロインデニル配位子を含めて挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、LA及びLBは、金属Mにη結合することができる、好ましくはMにη3結合することができる、最も好ましくはMにη5結合することができる任意の他の配位子構造であることができる。
【0037】
別の実施形態では、LA及びLBは、1個以上のヘテロ原子、例えば、窒素、珪素、硼素、ゲルマニウム、硫黄及び燐を炭素原子と共に有して、開環式、非環式又は好ましくは縮合した環又は環系、例えば、ヘテロシクロペンタジエニル補助配位子を形成することができる。
【0038】
一実施形態では、環状架橋メタロセン触媒化合物は、式(I)の配位子LA及びLB(C54-dd)上のR置換基が該配位子のそれぞれについて同一数又は異数の置換基で置換されたものである。別の実施形態では、式(I)の配位子LA及びLB(C54-dd)は互いに異なる。
【0039】
好ましい実施形態では、 式(I)のメタロセン触媒化合物の配位子は非対称的に置換されている。別の好ましい実施形態では、式(I)の配位子LA及びLB(C54-dd)の少なくとも一方は非置換である。より好ましくは、LAはC5Me4(Mはメチルである)、LBはC54である。
【0040】
2個の配位子は、環状架橋基(R’SiR’)(ここで、R’は、独立して、互いに結合してシラシクロ環を形成するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル置換基である。)と結合する。環状架橋基の例としては、シクロトリ又はテトラアルキレンシリル基が挙げられるが、これらに限定されない。環状架橋基の例は、次の構造で表されるが、これらに限定されない。
【化1】

【0041】
好ましくは、シラシクロ環は3〜5員環である。より好ましくはシラシクロ環は4〜5員環である。より好ましい環状架橋基としては、シクロトリメチレンシリル又はシクロテトラメチレンシリルが挙げられる。最も好ましいのはシクロテトラメチレンシリルである。
【0042】
2個の脱離基Qは不安定ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル配位子である。また、Qは、エチレン系不飽和又は芳香族不飽和を有するヒドロカルビル基を有することもでき、そのためZrへのη3結合を形成することもできる。また、2個のQは、アルキリデン又はシクロメタル化ヒドロカルビルであることもできる。また、2個のQは、共役ジエン又はポリエン、例えばブタジエン又はイソプレンであることができる。好ましくは、Qはブタジエン又はイソプレンから生じる。より好ましくは、Qは、アリル、ベンジル、トリメチルシリルメチル又はメチルである。最も好ましくは、Qはメチルである。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明のメタロセン触媒化合物としては、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、及びシクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが挙げられる。最も好ましい実施形態では、メタロセン触媒化合物はシクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルである。
【0044】
メタロセン触媒化合物用の活性剤及び活性化方法
上記環状架橋メタロセン触媒化合物は、アルミノキサン又はアルミノキサンと担体又はキャリヤーとの生成物を含む活性剤で活性化できる。この活性化により、オレフィンを重合することのできる触媒化合物が生じる。
【0045】
アルミノキサンが、R”3Al又はR”3Alの混合物(ここで、R”は水素又は同一若しくは異なるヒドロカルビルである)と水との反応から形成された構造の幅広い分布を有することはよく知られていることである。これは、特定の構造を有するジアルミノキサンと接触した状態にある。また、アルミノキサンは、アルミノキサンが不完全な加水分解反応により残ったアランR”3Alを含有し得ることもよく知られたことである。
【0046】
アルミノキサン及び変性アルミノキサンを製造するための様々な方法が存在し、その例が以下の特許文献に記載されている(これらに限定されない):米国特許第4,665,208号、同4,952,540号、同5,091,352号、同5,206,199号、同5,204,419号、同4,874,734号、同4,924,018号、同4,908,463号、同4,968,827号、同5,308,815号、同5,329,032号、同5,248,801号、同5,235,081号、同5,157,137号、同5,103,031号、同5,391,793号、同5,391,529号、同5,693,838号、同5,731,253号、同5,731,451号、同5,744,656号、欧州特許第EP−A−0561476号、EP−B1−0 279586号及びEP−A−0594218号及びPCTパンフレット第WO94/10180号。
【0047】
活性化は、アルミノキサンの存在下で、環状架橋メタロセンをオレフィン重合触媒に変換することのできる他の活性剤と共に連続して又は平行して行うこともできる。
【0048】
追加の活性剤としては、例えば、ルイス酸若しくは非配位性イオン活性剤若しくはイオン化性活性剤、又はメタロセン触媒化合物を触媒として活性なメタロセン陽イオンに変換することのできる、ルイス塩基、アルミニウムアルキル、従来型の助触媒若しくは活性剤−担体及びそれらの組合せを含む任意の他の化合物を挙げることができる。活性剤としてアルミノキサン又は変性アルミノキサンを使用すること及び/又は中性若しくはイオン性のイオン化性活性剤、例えば、中性のメタロセン触媒化合物をイオン化するであろうトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペルフルオルフェニル)硼素又はトリスペルフルオルフェニル硼素メタロイド先駆物質又はトリスペルフルオルナフチル硼素メタロイド先駆物質を使用することも、本発明の範囲内にある。
【0049】
一実施形態では、活性プロトンを含有しないがメタロセン陽イオン及び非配位性陰イオンの両方を生じさせることができるイオン化性イオン性化合物を使用する追加の活性化方法も意図され、これは、EP−A−0426637号、EP−A−0573403号及び米国特許第5,387,568号に記載されている。
【0050】
追加のイオン化性化合物は、活性プロトン又は該イオン化性化合物の残りのイオンと共役するが、それには配位子しない又は緩やかにしか配位しない他の陽イオンを含有することができる。このような化合物及び同様の化合物は、欧州特許第EP−A−0570982号、EP−A−0520732号、EP−A−0495375号,EP−A−500944号、EP−A−0277003号及びEP−A−0277004号、米国特許第5,153,157号、同5,198,401号、同5,066,741号、同5,206,197号、同5,241,025号、同5,384,299号及び同5,502,124号に記載されている。
【0051】
他の追加の活性剤としては、WO98/07515号に記載されたもの、例えばトリス(2、2’、2”−ノナフルオルビフェニル)フルオロアルミネートが挙げられる。活性剤の組合せも本発明によって意図され、例えば、アルミノキサン及びイオン化性活性剤の組合せが意図される。例えば、WO94/07928及びWO95/14044並びに米国特許第5,153,157号及び同5,453,410号を参照されたい。WO98/09996号には、メタロセン触媒化合物を過塩素酸塩、過沃素酸塩及び沃素酸塩(それらの水和物を含む)で活性化させることが記載されている。WO98/30602及びWO98/30603号には、リチウム(2,2’−ビスフェニルジトリメチルシリケート)を使用することが記載されている。メタロセン触媒化合物用の活性剤として4THFが使用される。また、放射線(EP−B1−0615981)、電気化学的酸化などを使用するような活性化方法も中性のメタロセン触媒化合物又は先駆物質をオレフィンを重合させることのできるメタロセン陽イオンにすることを目的とした活性化方法として意図される。
【0052】
さらに、他の触媒を本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒化合物と併用できることも意図される。例えば、米国特許第4,937,299号、同4,935,474号、同5,281,679号、同5,359,015号、同5,470,811号及び同5,719,241号を参照されたい。
【0053】
別の実施形態では、1種以上のメタロセン触媒化合物又は触媒系と1種以上の従来型触媒化合物又は触媒系と併用できる。混合触媒及び触媒系の非限定的な例が米国特許第4,159,965号、同4,325,837号、同4,701,432号、同5,124,418号、同5,077,255号、同5,183,867号、同5,391,660号、同5,395,810号、同5,691,264号、同5,723,399号及び同5,767,031号及びWO96/23010号に記載されている。
【0054】
担持方法
上記環状メタロセン触媒化合物及び触媒系を、当業者に周知の方法又は以下に説明する方法を使用して1種以上の担体材料又はキャリヤーと結合できる。好ましい実施形態では、本発明の実施形態の方法は、重合触媒を担持された状態で使用する。例えば、最も好ましい実施形態では、メタロセン触媒化合物又は触媒系は、担持された状態、例えば、担体又はキャリヤー上に付着し、結合し、それと接触し、又はその中に取り込まれ、その中又はその上に吸着又は吸収されている。
【0055】
用語「担体」又は「キャリヤー」は交換可能に使用され、任意の担体材料、好ましくは多孔質担体材料、例えば、タルク、無機酸化物及び無機塩化物のことをいう。他のキャリヤーとしては、樹脂状担体材料、例えばポリスチレン、官能化又は架橋有機担体、例えばポリスチレンジビニルベンゼン、ポリオレフィン又は重合体化合物、ゼオライト、クレーその他の任意の有機又は無機担体材料など、或いはそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
好ましいキャリヤーは、第2、3、4、5、13又は14族金属酸化物を含む無機酸化物である。好ましい担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、塩化マグネシウム及びそれらの混合物が挙げられる。他の有用な担体としては、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト(EP−B10511665)などが挙げられる。また、これらの担体材料の混合物、例えばシリカ−クロム、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニアなども使用できる。
【0057】
キャリヤー、最も好ましくは無機酸化物は、約10〜約700m2/gの範囲の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの範囲の細孔容積、及び約5〜約500μmの範囲の平均粒度を有することが好ましい。より好ましくはキャリヤーの表面積は約50〜約500m2/gの範囲、細孔容積は約0.5〜約3.5cc/gの範囲、そして平均粒度は約10〜約200μmの範囲である。最も好ましくは、担体の表面積は約100〜約400m2/gの範囲であり、細孔容積は約0.8〜約3.0cc/g、そして平均粒度は約5〜約100μmである。本発明の実施形態のキャリヤーの平均粒度は、一般的に10〜1000Å、好ましくは50〜約500Å、そして最も好ましくは75〜約350Åの範囲の粒度を有する。
【0058】
本発明の実施形態のメタロセン触媒系を担持する例は、米国特許第4,701,432号、同4,808,561号、同4,912,075号、同4,925,821号、同4,937,217号、同5,008,228号、同5,238,892号、同5,240,894号、同5,332,706号、同5,346,925号、同5,422,325号、同5,466,649号、同5,466,766号、同5,468,702号、同5,529,965号、同5,554,704号、同5,629,253号、同5,639,835号、同5,625,015号、同5,643,847号、同5,665,665号、同5,698,487号、同5,714,424号、同5,723,400号、同5,723,402号、同5,731,261号、同5,759,940号、同5,767,032号、同5,770,664号、WO95/32995、WO95/14044、WO96/06187及びWO97/02297に記載されている。
【0059】
一実施形態では、本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒化合物は、活性剤と共に同一の又は別個の担体上に付着でき、又は、活性剤は、担持されていない状態で使用でき、又は、本発明の実施形態の担持メタロセン触媒化合物とは異なる担体上に付着でき、又はそれらの任意の組合せであることができる。
【0060】
本発明の実施形態の重合触媒化合物又は触媒系を担持させるための他の様々な方法が存在する。例えば、本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒化合物は、米国特許第5,473,202号及び同5,770,755号に記載されたように重合体結合配位子を含有することができ、本発明の実施形態のメタロセン触媒系は、米国特許第5,648,310号に記載されるように噴霧乾燥でき、本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒系と共に使用される担体は、欧州特許第EP−A−0802203号に記載されるように官能化され、又は、少なくとも1個の置換基若しくは脱離基は、米国特許第5,688,880号に記載されるように選択される。
【0061】
好ましい実施態様では、本発明は、PCT公開WO 96/11960に記載されているように、担持触媒系の製造において使用される帯電防止剤又は表面改質剤を含む担持環状架橋メタロセン触媒系を提供する。本発明の触媒系は、オレフィン、例えばヘキセン−1の存在下で製造できる。
【0062】
本発明の担持環状架橋メタロセン型触媒系の好ましい製造方法は、後に記載しており、PCT公開WO 96/00245及びWO 96/00243に記載されている。この好ましい方法では、環状架橋メタロセン型触媒化合物を液体中でスラリー化してメタロセン溶液を形成させ、活性剤と液体を含む別の溶液を形成させる。この液体は、本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒化合物及び/又は活性剤と相溶性のある任意の溶媒その他の溶液等を形成することができる別の液体であることができる。最も好ましい実施態様では、この液体は環状脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素、最も好ましくはトルエンである。環状架橋メタロセン触媒化合物の溶液及び活性剤の溶液を一緒に混合し、そしてメタロセン触媒化合物溶液と活性剤溶液又はメタロセン型触媒化合物と活性剤の溶液の合計容積が多孔質担体の細孔容積の4倍未満、より好ましくは3倍未満、さらに好ましくは2倍未満となるように、該溶液に多孔質担体を添加する。この好ましい範囲は1.1倍〜3.5倍の範囲であり、最も好ましくは1.2〜3倍の範囲である。別の好ましい方法は、多孔質担体と活性剤とを炭化水素希釈剤中で予備反応させることである。環状架橋メタロセンの炭化水素溶液を後で添加して触媒の製造を完了させる。
【0063】
多孔質担体の総細孔容積を測定する手順は、当該技術分野においてよく知られている。この手順の内容は、Experimental Methods in Catalytic Research(Acadmic Press社、1968年)第1巻に記載されている(特に67−96頁を参照されたい)。この好ましい手順には、窒素を吸収させるための伝統的なBET装置を使用することを伴う。当該技術分野でよく知られた別の方法は、InnesによるTotal Porosity and Particle Density of Fluid Catalysts By Liquid Titration、Analytical Chemistry、28巻、第3号、332−334頁(1956年3月)に記載されている。
【0064】
活性剤成分の金属対担持環状架橋メタロセン触媒化合物の金属のモル比は、0.3:1〜1000:1、好ましくは20:1〜800:1、そして最も好ましくは50:1〜500:1の範囲である。活性剤が陰イオンテトラキス(ペンタフルオルフェニル)硼素を主成分とする活性剤のようなイオン化活性剤の場合には、活性剤成分の金属対環状架橋メタロセン触媒の金属成分のモル比は好ましくは0.3:1〜3:1の範囲である。
【0065】
好ましい実施形態では、触媒系は、メチルアルミノキサン(MAO)によって活性化されかつシリカで担持された触媒を含む。従来、MAOは、メタロセンと混合され、次いでその混合物を実施例で示すようにシリカ上に付着させていたが、ここでは、活性剤(例えばMAO)及び担体(例えばシリカ)をまず混合し、次いでこの混合物に触媒を添加することが優先される。変性MAO(MMAO)又はMAOとMMAOとの組合せも使用できる。
【0066】
本発明の一実施態様では、オレフィン(類)、好ましくはC2〜C30オレフィン(類)又はα−オレフィン(類)、好ましくはエチレン若しくはプロピレン又はそれらの組み合わせを、主重合の前に本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒系の存在下で予備重合させる。この予備重合は、高圧の場合を含めて、気相、溶液又はスラリー相でバッチ式又は連続式で実施できる。予備重合は、任意のオレフィン単量体又はその組み合わせを用いて、及び/又は水素のような任意の分子量制御剤の存在下で行なうことができる。予備重合手順の例としては、米国特許第4,748,221号、第4,789,359号、第4,923,833号、第4,921,825号、第5,283,278号及び第5,705,578号、並びに欧州特許EP−B−0279863、並びにPCT公開WO 97/443371を参照されたい。
【0067】
一実施形態では、本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒は、米国特許第6,300,436号に記載されるように、カルボン酸塩金属エステル、例えば、アルミニウムモノ、ジ及びトリステアレート、アルミニウムオクトエート、オレエート及びシクロヘキシルブチレートなどのアルミニウムカルボキシレートと混合できる。
【0068】
重合方法
上記本発明の実施形態の触媒又は触媒系は、広範囲の温度と圧力にわたって、気相又はスラリー方法で使用するのに好適である。最も好ましい方法は気相方法である。この温度は、−60℃〜約280℃、好ましくは50℃〜約200℃の範囲であることができ、用いられる圧力は1気圧〜約500気圧以上であることができる。
【0069】
気相又はスラリー相方法は、互いに組合せて又は高圧方法若しくは溶液方法と組み合わせて実施できる。特に好ましいのは、1種以上のオレフィンであってそのうちの少なくとも1種がエチレン又はプロピレンであるものの気相又はスラリー相重合である。
【0070】
一実施態様では、本発明の方法は、2〜30個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、そしてより好ましくは2〜8個の炭素原子を有する1種以上のオレフィン単量体のスラリー相又は気相重合を対象とする。本発明の実施形態は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1及びデセン−1の2種以上のオレフィン単量体の重合に特に好適である。
【0071】
本発明の実施形態の方法で有用な他の単量体としては、エチレン系不飽和単量体、4〜18個の炭素原子を有するジオレフィン、共役又は非共役ジエン、ポリエン、ビニル単量体及び環式オレフィンが挙げられる。本発明の実施形態で有用な単量体としては、ノルボルネン、ノルボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換スチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、及びシクロペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本発明の方法の好ましい実施態様では、エチレンの共重合体を製造し、この場合、エチレンと、4〜15個の炭素原子、好ましくは4〜12個の炭素原子、最も好ましくは4〜8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα−オレフィンを有する共単量体とを気相方法で重合する。最も好ましい実施形態では、エチレンとブテンとの共重合体が製造される。
【0073】
本発明の別の実施形態では、エチレン又はプロピレンを少なくとも2種の異なる単量体であって随意にそのうちの1種がジエンであることができるものと共に重合させて、三元共重合体を形成させる。一実施形態では、該三元共重合体の3種の単量体のうち2種は、ブテン及びエチレンである。一実施形態では、共単量体含有量は1.0〜20.0重量%、又は2.0〜15.0重量%である。以下の例5から分かるように、エチレン/ブテン共重合体を製造する際に触媒として(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2を使用すると、共単量体比に対して応答がシャープであった。すなわち、メルトインデックス(MI)は、共単量体比を調節するとすぐにかつ急激に変化した。また、密度の変化も観察された。これらの変化は、長鎖分岐と関連があると考えられる。したがって、単量体の2種としてエチレン及びブテンを有する重合体を使用して生成物のメルトインデックスを制御することができる。さらに、単一の触媒を使用した単一の反応器内での、分子量又はメルトインデックスにおいて広い分布又は二峰性の分布を有する生成物は、共単量体の供給を制御して変化させることで使用でき、それによって特定用途向けに設計された特性を有するポリエチレン生成物を単一の反応器で経済的に製造することができると考えられる。
【0074】
一実施態様では、本発明は、プロピレン単独、又はエチレンを含めて1種以上の他の単量体、及び/又は4〜12個の炭素原子を有する他のオレフィンと共に重合するための気相又はスラリー相方法に関する。ポリプロピレン重合体は、米国特許第5,296,434号及び第5,278,264号に記載されているように、特に架橋メタロセン型触媒を使用して製造できる。
【0075】
典型的に、気相重合方法では、反応器系のサイクルの一部において、再循環ガス流れ若しくは流動化媒体としても知られる循環ガス流れが反応器の中で重合熱によって加熱される連続サイクルが使用される。この熱は、反応器の外部にある冷却装置によってサイクルの別の部分で再循環組成物から除去される。一般的に、重合体を製造する気体流動床方法では、1種の単量体を含むガス流れは、反応条件下で触媒の存在下に流動床を介して連続的に循環する。このガス流れは、流動床から取り出され、反応器内に戻されて再循環する。同時に、重合体生成物が反応器から取り出され、重合した単量体と置き換えるために新たな単量体が添加される(例えば、米国特許第4,543,399号、第4,588,790号、第5,028,670号、第5,317,036号、第5,352,749号、第5,405,922号、第5,436,304号、第5,453,471号、第5,462,999号、第5,616,661号及び第5,688,228号を参照。)。
【0076】
気相方法での反応器圧力は、約100psig(690kPa)〜約500psig(3448kPa)、好ましくは約200psig(1379kPa)から約400psig(2759kPa)の範囲、より好ましくは約250psig(1724kPa)から約350psig(2414kPa)の範囲で変更できる。
【0077】
気相方法での反応器の温度は、約30℃〜約120℃、好ましくは約60℃〜約115℃、より好ましくは約70℃〜110℃の範囲、そして最も好ましくは約70℃〜約95℃の範囲で変更できる。
【0078】
本発明の実施形態の方法によって意図される他の気相方法としては、米国特許第5,627,242号、第5,665,818号及び第5,677,375号、並びに欧州特許第EP−A−0794200号、EP−A−0802202及びEP−B−634421に記載されたものが挙げられる。
【0079】
好ましい実施態様では、本発明の方法で使用される反応器及び本発明の方法は、1時間当たり重合体500ポンド(227Kg/時)より多い重合体から約200,000ポンド/時(90,900Kg/時)以上の重合体、好ましくは1000ポンド/時(455Kg/時)を超える、より好ましくは10,000ポンド/時(4540Kg/時)を超える、さらに好ましくは25,000ポンド/時(11,300Kg/時)を超える、さらに好ましくは35,000ポンド/時(15,900Kg/時)を超える、さらに好ましくは50,000ポンド/時(22,700Kg/時)を超える、最も好ましくは65,000ポンド/時(29,000Kg/時)を超え、100,000ポンド/時(45,5000Kg/時)以上までの重合体を製造できる。
【0080】
スラリー重合方法は、一般に、約1〜約50気圧及びそれより高い範囲の圧力、及び0℃〜約120℃の範囲の温度を使用する。スラリー重合では、固体の粒状重合体の懸濁液が液体重合希釈剤媒体中で生成され、その媒体にはエチレン及び共単量体と、多くの場合触媒と共に水素とが添加される。希釈剤を含む懸濁液は反応器から間接的に又は連続的に取り出され、ここで、揮発成分は重合体から分離され、任意に蒸留された後に反応器へ再循環される。重合媒体中で使用される液体希釈剤は、典型的に、3〜7個の炭素原子を有するアルカン、好ましくは分岐アルカンである。使用される媒体は重合条件下では液体であり、比較的不活性でなくてはならない。プロパン媒体を用いる場合には、反応希釈剤の臨界温度及び圧力より高い温度及び圧力でこの方法を操作しなければならない。ヘキサン又はイソブタン媒体を使用するのが好ましい。
【0081】
本発明の実施形態の好ましい重合技術は、粒子形態重合、又は温度を重合体が溶液になる温度より低く保持するスラリー法である。そのような技術は当該術分野でよく知られており、例えば米国特許第3,248,179号に記載されている。他のスラリー法としては、ループ反応器を使用する方法、及び複数の撹拌反応器を直列若しくは並列で使用する方法、又はそれらを組み合わせて使用する方法が挙げられる。スラリー法の例としては、連続ループ又は撹拌タンク方法が挙げられるが、これらに限定されない。また、スラリー法の他の例は、米国特許第4,613,484号に記載されている。
【0082】
ある実施態様では、本発明のスラリー法で使用される反応器及び本発明の方法は、1時間当たり2000lbsの重合体(907Kg/時)を超える、より好ましくは5000lbs/時(2268Kg/時)超える、最も好ましくは10,000lbs/時(4540Kg/時)を超える重合体を製造することができる。別の実施態様では、本発明の方法で使用されるスラリー反応器は、1時間当たり15,000lbs(6804Kg/時)を超える、好ましくは25,000lbs/時(11,340Kg/時)を超え、約100,000lbs/時(45,500Kg/時)までの重合体を製造する。
【0083】
溶液方法の例は米国特許第4,271,060号、同5,001,205号、同5,236,998号及び同5,589,555号に記載されている。
【0084】
本発明の実施形態の好ましい方法は、好ましくはスラリー相又は気相方法を本発明の実施形態の環状架橋メタロセン触媒系の存在下で、かつ、トリエチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム及びトリ−n−ヘキシルアルミニウム及び塩化ジエチルアルミニウム、ジブチル亜鉛などといったいかなる掃去剤も存在させることなく、又は実質的に含ませることなく操作されることがある。この好ましい方法は、WO96/08520並びに米国特許第5,712,352号及び第5,763,543号に記載されている。本発明の方法の別の好ましい実施形態では、当該方法は、反応器にベンジル化合物を導入し及び/又はベンジル化合物と本発明の実施形態のメタロセン触媒とをその反応器への導入前に接触させることによって操作される。
【0085】
本発明の実施形態の重合体生成物
重合体の特性を表1に列挙した方法又はここで説明した方法によって決定した。
【表1】

【0086】
全試料についての長鎖分岐(LCB)指数(すなわち、g’avg)及びスライス長鎖分岐(SLCB)指数(すなわち、g’)については、米国特許第6,870,010号に記載されている。
【0087】
本発明の重合体は、以下においてさらに議論するように、向上した光学的特性及び収縮特性を有することができる。
【0088】
本発明の実施形態の方法で製造される重合体は、広範囲の生成物及び最終用途において使用できる。製造される重合体としては、線状低密度ポリエチレン、プラストマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリプロピレン共重合体が挙げられる。該重合体は、少なくとも部分的に、ブテン、エチレン及び2〜20個の炭素原子を有する他のオレフィン単量体から構成できる。例えば、該重合体は、ブテンとエチレンとの共重合体、又はブテンとエチレンと他のオレフィン単量体との三元共重合体であることができる。
【0089】
重合体、典型的にはエチレン系重合体は、0.90g/cc〜0.97g/ccの範囲、好ましくは0.90g/cc〜0.965g/ccの範囲、より好ましくは0.90g/cc〜0.96g/ccの範囲、より好ましくは0.905g/cc〜0.95g/ccの範囲、より好ましくは0.910g/cc〜0.945g/ccの範囲、最も好ましくは0.915g/ccをよりも大きく約0.935g/ccまでの密度を有する。
【0090】
本発明の実施形態の触媒を使用して製造される重合体の溶融強度は、好ましくは4cNを超え、好ましくは5cNを超え、好ましくは10cN未満である。本願の明細書及び請求の範囲の目的上、溶融強度は、毛管レオメーター(RHEO−TESTER(商標)1000,Goettfert、Rock Hill、SC)をGoettfert Rheotens溶融強度装置(RHEOTENS(商標)71.97)と共に使用して測定する。毛管ダイから押し出された重合体の溶融ストランドを2個の装置上にある逆回転ホイール間で把持する。巻き取り速度を12mm/秒2という一定の加速で増加させる。これは、Goettfertが提供するWinRHEO(商標)プログラムで制御する。ストランドが破壊する前又はストランドが引張共鳴を示し始める前に達成された最大牽引力(cNの単位で表す)を溶融強度として決定する。該レオメーターの温度を190℃に設定する。バレルは12mmの直径を有する。毛管ダイは30mmの長さと2mmの直径を有する。重合体溶融物を該ダイから0.49mm/秒のピストン速度で押し出す。つまり、該ダイ中の溶融物についての見掛け剪断速度は70秒-1であり、ダイ出口での速度は17.5mm/秒である。ダイ出口とホイール接触点との距離は、125mmのはずである。
【0091】
本発明の実施形態の重合体は、押出について格別に高いずり減粘と、顕著なフィルム光学的特性と、優れた収縮性能との組合せを有する。従来、HD−LDPEは、これらの特性の殆どを有する唯一の生成物群であった。しかし、HP−LDPEの透明性は、本発明の実施形態の重合体の足元にも及ばない。従来のZN−LLDPEは、これらの特性の殆どを欠く。気相及び/又はスラリー方法からのいくつか簡便な(すなわち、非常に広いMWD)生成物は、典型的には光学的特性に非常に乏しい。また、これら従来の生成物の収縮特性は、収縮用途のためには幾分不十分である。(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2は、様々なLLDPEのフィルムの曇を低減させるのに非常に有効であることが分かった(特に、触媒として(1,3−Me,n−Bu−Cp)2ZrCl2 を使用して製造された重合体及び(C54−CH2CH2CH32Hf(CH32を使用して製造した重合体について)。
【0092】
図2に示すように、本発明の実施形態の重合体は、HP−LDPEと同様に、一時的一軸伸長流下で歪み硬化挙動を示した。表4に示すように、本発明の実施形態の重合体は、広いMFR(100を超える)を示したが、これは加工性が良好であることを示す。これらの生成物からのフィルムは、HP−LDPEに匹敵する又はそれよりも良好なTD収縮、HP−LDPEと同等の光学的特性を有する。高圧エチレン重合方法と比較すると、気相反応器には、低コスト及び一般に高い能力という追加の利益もある。
【0093】
比較例A(米国テキサス州ヒューストンのエクソンモービルケミカル社製のExxonMobil LD103.09)及び例5の150℃での歪み硬化をそれぞれ図1及び2に示す。次の2つの文献には、ポリオレフィンの歪み硬化及びそれを測定するための試験が検討されている:「Strain hardening of various polyolefins in uniaxial elongational flow」、The Society of Rheology社,J.Rheol.47(3),619−630(2003);及び「Measuring the transient extensional rheology of polyethylene melts using the SER universal testing platform」,The Society of Rheology社,J.Rheol.49(3),585−606(2005)。
【0094】
RETRAMAT収縮試験
ここで使用するRETRAMAT収縮試験は、NFT54−125及びASTM D 2838−95、手順Aを基礎とするものである。方法DIN 53−369及びISO/DIS 14616は、収縮力測定しかカバーしておらず、収縮率の同時測定についてのガイドラインを与えていない。このASTMの方法は、試験片を加熱したときに該試験片が収縮するのを全体的に抑制しつつ、800μm未満の厚さの熱収縮性フィルムの塑性収縮張力と、関連する収縮特性の収縮力と、延伸解除応力との決定をカバーする。NFT 54−125方法は、塑性収縮プロセス及び熱収縮プロセスの両方である全収縮プロセスをカバーする。
【0095】
ここで使用する方法は、所定時間中に2種のフィルム試料を所定の温度にさらし、そしてこれらを室温で冷却して、収縮設備内部で起こることをシミュレートすることからなる。それぞれの試験試料について、±150mmの長さ及び15mmの幅の最低でも10個のストリップをMDとTDの両方についてサンプルカッターで調製する。RETRAMATステッカーを、試験片の収縮領域が正確に100mmの長さに達するように、試料の縁に付ける。オーブンの温度は190℃であり、閉鎖期間は45秒である。この試験中に、試料のうちの一つを力変換器に連結すると同時に、他のものを変位変換器に連結する。熱電対により、試料の中央から数ミリメートル地点での温度を詳しく調べることが可能になる。3つのパラメーター(力−変位−温度)をRETRAMAT上に連続的に表示し、実験室PCに記録する。
【0096】
本発明の実施形態の方法によって製造された重合体は、1.5を超え約15まで、特に2を超え約10まで、より好ましくは約2.5を超え約8未満、最も好ましくは3.0〜8の分子量分布、すなわち、重量平均分子量対数平均分子量(Mw/Mn)を有することができる。
【0097】
一実施形態では、本発明の重合体は、ASTM−D−1238−Eにより測定されるときのメルトインデックス(MI)又は(I2)が0.01dg/分〜1000dg/分、より好ましくは0.01dg/分〜100dg/分、さらに好ましくは0.01dg/分〜50dg/分、さらに好ましくは0.01dg/分〜10dg/分、最も好ましくは0.05dg/分〜10dg/分の範囲にある。
【0098】
ある種の実施形態では、本発明の重合体は、図3に示すように、49.011×MI(-0.4304)以上;より好ましくは57.18×MI(-0.4304)以上のメルトインデックス比(I21/I2)(I2は、ASTM−D−1238−Fによって測定される)を有する。
【0099】
所定の実施形態では、ここで説明する重合体は、T75−T25値が25よりも低い、好ましくは20よりも低い、より好ましくは15よりも低い、最も好ましくは10よりも低いことを特徴とする、狭い組成分布を有することができ、ここで、T25は、溶離した重合体の25%が得られる温度であり、T75は、溶離した重合体の75%がここで説明するようなTREF実験で得られる温度である。ここで報告されたTREF−LSのデータは、次の寸法のカラム:内径(ID)7.8mm及び外径(OD)9.53mm並びに150mmのカラム長を有する分析サイズTREF装置(スペイン国Polymerchar)を使用して測定した。カラムにスチールビーズを充填した。6.4%(w/v)重合体を6gのBHT/4Lを含有するオルトジクロルベンゼン(ODCB)に溶解してなる溶液0.5mLを該カラムに加え、そして1.0℃/分の一定の冷却速度で140℃から25℃まで冷却した。その後、ODCBをカラムからポンプで1.0mL/分の流量で吸い出し、そしてカラム温度を2℃/分の一定加熱速度で上昇させて重合体を溶離させた。
【0100】
本発明の実施形態の重合体を任意の他の重合体とブレンド及び/又はそれと共に同時押出することができる。他の重合体の例としては、従来型のチーグラー・ナッタ触媒作用及び/又はメタロセン触媒作用により製造された線状低密度ポリエチレン、エラストマー、プラストマー、高圧低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
本発明の実施形態の方法によって製造された重合体及びそのブレンドは、フィルム、シート及び繊維の押出及び同時押出並びに吹込成形、射出成形及び回転成形のような成形操作に有用である。フィルムとしては、収縮スリーブ、収縮ラップ、バンドルシュリンク、食品用包装フィルム、ストレッチフィルム、シール用フィルム、延伸フィルム、スナック用包装、重質袋、買い物袋、加熱及び冷凍食品用包装、医療用包装、工業用ライナー、膜などとして食品接触及び非食品接触用途に有用な単層押出、同時押出又は積層によって形成されたインフレートフィルム又はキャストフィルムが挙げられる。繊維としては、フィルター、おむつ用生地、医療用衣類、地盤用シートなどを作るために織物又は非織布の形態で使用するための溶融紡糸、溶液紡糸及び溶融吹込繊維操作が挙げられる。押出物品としては、医療用チューブ、電線被覆及びケーブル被覆、ジオメンブレン並びにポンドライナーが挙げられる。成形物品としては、ボトル、タンク、大きな中空物品、硬質食品容器及び玩具などの形の単層及び多層構成物が挙げられる。
【実施例】
【0102】

本発明をその特定の実施形態と共に説明してきたが、次の説明は例示を目的とするものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点及び変更は、当業者であれば明らかであろう。
【0103】
したがって、次の例は、当業者に本発明の化合物の製造方法及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示するものであり、本発明者が自身の発明であると見なす発明の範囲を限定することを目的とするものではない。
【0104】
以下の全ての例において、使用したメチルアルミノキサン(MAO)は、アルベマール社(米国LAバトンルージュ)から入手できる30重量%MAOのトルエン溶液(典型的にはNMRにより13.5重量%アルミニウム及び28.2重量%MAO)であった。600℃(シリカゲル)で脱水されたDavison948シリカを使用したが、これは、W.R.Grace,Davison Chemical Division(米国MDバルチモア)から入手できる。無水の、酸素非含有溶媒を使用した。(CH24Si(C5Me4(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrCl2 の合成は、米国特許第6,388,155号に記載されている。
【0105】
(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2の製造
比較担持触媒(1−Me,3−BuCP)2ZrCl2は米国特許第6,680,276号に記載されたとおりに製造した。
【0106】
メチルリチウム及びエーテルの1.6M溶液(184mL、0.294mol)を、2Lのフラスコ中の(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrCl2(60g、0.139 mol)及びether(600mL)の撹拌混合物にゆっくりと添加した。4時間撹拌後、エーテルをN2パージによりゆっくりと除去し、次いで残った固形物を塩化メチレンで抽出した。溶媒を除去して生成物(41g、0.105mol)を得た。
【0107】
Snowtex(商標)ブレンドステアリン酸アルミニウムの製造
4Lビーカーに、Crompton Corporation(現Chemtura Corporation,米国CTミドルバリー)社製のステアリン酸アルミニウム(200g)と、Nissan Chemical Industries Inc.(米国TXヒューストン)社製のSnowtex(商標)IPA−ST−ZLのイソプロパノールへの30重量%懸濁液(164g)と、メタノール(300mL)とを装入した。このスラリーを周囲温度で2時間にわたり撹拌し、次いで窒素パージしながら泥状態にまで乾燥させた。真空及び熱(108℃)を2日間にわたって加えて残留溶媒を除去した。固形物を突き崩し、そしてNo.25のメッシュスクリーンで篩い分けして、微粉として20重量%のSnowtex(商標)流動助剤(米国TXヒューストンのNissan Chemical Industries Inc.)を得た。
【0108】
触媒Aの製造
600℃で脱水された、Crosfield ES757シリカ(741g)(英国ウォリントンのINEOS Silicas Limited.)をトルエン(2L)及びメチルアルミノキサンの30重量%トルエン溶液(874g、4.52mol)の撹拌(頭上機械式円錐形撹拌器)混合物に添加した。シリカをトルエン(200mL)でチェースし、次いでこの混合物を90℃で3時間加熱した。その後、揮発性物質を一晩真空及び穏やかな加熱(40℃)の適用によって除去し、次いで固形物を室温にまで冷却した。これらの固形物及びトルエン(3L)の撹拌スラリーに、(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(16.8g、43.0mmol)及びトルエン(1L)の溶液を3時間にわたってゆっくりと添加した。さらに3時間後に、揮発性物質を真空及び穏やかな熱(40℃)を一晩加えることによって除去し、次いで固形物を室温にまで冷却した。この触媒を、20重量%のSnowtex(商標)及び80重量%のステアリン酸アルミニウム(7.5重量全添加物)と簡単に乾式ブレンドした。
【0109】
触媒Bの製造
600℃で脱水されたCrosfield ES70シリカ(741g)(英国ウォリントンのINEOS Silicas Limited.)をトルエン(2L)及びメチルアルミノキサンの30重量%トルエン溶液(874g、4.52mol)の撹拌(頭上機械式円錐形撹拌器)混合物に添加した。シリカをトルエン(200mL)でチェースし、次いでこの混合物を90℃で3時間加熱した。その後、揮発性物質を、真空及び穏やかな加熱(40℃)を一晩適用することによって除去し、次いで固形物を室温にまで冷却した。これらの固形物及びトルエン(3L)の撹拌スラリーに、(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(16.8g、43.0mmol)及びトルエン(1L)の溶液を3時間にわたってゆっくりと添加した。さらに3時間後に、揮発性物質を一晩真空及び穏やかな加熱(40℃)の適用によって除去し、次いで固形物を室温にまで冷却した。固形物を20重量%SnowTex及び80重量%ステアリン酸アルミニウムの混合物82.48gと簡単に乾燥ブレンドした。
【0110】
シリカに担持されたメチルアルミノキサン担体(SMAO)の製造
典型的な手順では、600℃で脱水されたシリカ(741g)をトルエン(2L)及びメチルアルミノキサンの30重量%トルエン溶液(874g、4.52mol)の撹拌(頭上機械式円錐形撹拌器)混合物に添加した。このシリカをトルエン(200mL)でチェースし、次いで、この混合物を90℃で3時間加熱した。その後、揮発性物質を、真空及び穏やかな加熱(40℃)を一晩加えることによって除去し、次いで固形物を室温にまで冷却した。
【0111】
触媒Cの製造
頭上撹拌器で撹拌された、600℃で脱水されたDavison948シリカ上に担持された4.5mmol/gのメチルアルミノキサン担体(40g)及びペンタン(300mL)のスラリーに、(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(670mg、1.72mmol)及びトルエンの溶液をゆっくりと添加した。18時間撹拌後、混合物をろ過し、そして乾燥させた。
【0112】
触媒Cによる重合
これらの触媒を、公称14インチ反応器直径、約1900gの平均床重量、約1.6フィート/秒のガス速度、約500g/時の製造速度を有する連続流動床気相反応器で試験した。この反応器を300psigの圧力で操作し、そのうちエチレンは35mol%であった。ガスの残りは、表2に示すように、水素、1−ヘキセン及び窒素で構成された。
【表2】

【0113】
例1及び2
例1及び2の重合体を、パイロット規模連続気相流動床反応器内でエチレン及びブテン−1単量体から触媒Aを使用して製造した。この反応器を70℃及び170psiのエチレン分圧で操作した。この流動床は重合体顆粒から構成されており、また、平均床重量は約100〜170lbsであった。反応中に、アルミニウムジステアレートを反応器に鉱油への20重量%スラリーとして6〜17ppmw(parts per million 重量)の樹脂基準の濃度で添加した。例1及び2の重合体を製造するための条件を表3にまとめる。
【表3】

【0114】
例1及び2の反応器顆粒を添加剤と乾式ブレンドしてから、ミキシングピンと水中ペレタイザーとを備えた2.5インチDavis−Standard一軸押出器上で、約100lb/時の出力速度で混練した。次いで、例1及び2の混練ペレットを6インチ振動ダイ及びFuture Design Inc.(カナダ国オンタリオ州ミシソーガ)社製のエアリングを有する2.5インチGloucesterラインでフィルム押出した。出力速度は約150lbs/時(ダイ周囲で8lbs/時)であり、ダイギャップは45ミルであった。フィルムゲージは1ミルであり、ブローアップ比(BUR)は2.5から3.5に変化した。フロントライン高さ(FLH)は典型的には20〜24インチであった。ダイ温度は約199 ℃(390°F)であった。
【0115】
表4は、例1及び2の重合体の特性を次の基準重合体の特性と比較する:Borealis Borstar FB2230(オーストリア国ウィーンのBorealisA/S)。Dow DNDA7340(米国MI州ミッドランドのThe Dow Chemical Company)。Dow DYNH−1(米国MI州ミッドランドのThe Dow Chemical Company)。ExxonMobil LD103.09(米国TX州ヒューストンのExxon Mobil Chemical Company社製)。基準のフィルムを同じフィルムラインで同様の条件下で作製した。
【0116】
【表4−1】

【0117】
【表4−2】

【0118】
例3:触媒B
この例で示すように、本発明の実施形態の重合体は、微量成分としてブレンドされると、他のLLDPE重合体の光学的特性を改善させることができる。この例では、本発明の実施形態の重合体をBattenfeld Gloucester(米国MA州Gloucester)フィルムライン上に設定されたオンラインブレンディングを使用して最終生成物の10%(重量基準)でブレンドした。この設定において、ブレンド成分をその配合比に従って別々に秤量し、そして混合チャンバーに添加し、そこでこれらの成分を撹拌によって混合してから、押出器の上部にある供給ホッパーに排出させる。このラインは、2.5インチの一軸押出器、6インチの振動ダイ及びFuture Design Inc.(カナダ国オンタリオ州ミシソーガ)社製のエアリングを備えていた。出力速度は151lbs/時(ダイ周辺で8lbs/時)、ダイギャップは45ミルであった。フィルムゲージは1ミルであり、BURは2.5で一定に保持した。FLHは、典型的には20〜24インチであった。ダイ温度は390°Fであった。表5は、様々なブレンドについてのこれらの曇りの改善を示している。この重合体は、0.9220g/ccの密度、0.76g/10分のMI(I2)及び99.3のMFRを有していた。このものは、例1及び2と同様の条件下で、触媒Bを使用して作製された。
【0119】
【表5】

【0120】
本発明の実施形態の重合体を微量成分として他のLLDPE重合体とブレンドすると、該重合体は、基材重合体の光学的特性を向上させるという利益に加えて、それらのTD引裂抵抗を改善させるとと共に、それらのMD引裂抵抗を変化しない状態を保持し又は僅かな若しくは小さな損失しか生じさせない。これに対し、光学的特性を改善させるためにこれらのLLPDEをHP−LDPEとブレンドすると、靭性の損失が著しい。さらに、このような重合体をブレンドすると、具体的出力(lbs/hp−hr)の増加によって示されるように、基材重合体の押出性能も改善し、押出プロセスをさらにエネルギー効率のよいものにする。
【0121】
例4
重合体を、パイロット規模連続気相流動床反応器内で(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(触媒A)を使用してエチレン(C2)及びブテン−1(C4)単量体から製造した。この反応器を70℃及び85℃の温度並びに170及び220psiのエチレン分圧で操作した。この流動床は重合体顆粒から構成されており、また、平均床重量は約100〜170lbsであった。反応中に、アルミニウムジステアレートを当該反応器に鉱油への20重量%スラリーとして6〜24ppmw(parts per million重量)の樹脂基準の濃度で添加した。反応器内の共単量体濃度を変更した;その生成物に及ぼす影響を記録した。これを以下の表7及び8に示す。
【0122】
比較目的で、触媒として(1−Me,3−BuCP)2ZrCl2 を使用して重合体を生成させた。反応器を85℃及び220psiのエチレン分圧で操作した。共単量体、ブテン−1の濃度を約1.4mol%から約4.6mol%に変更したが、他のプロセスパラメーターは一定に維持した。生成物のメルトフローインデックス(MI又はI2)は、2.0〜0.9g/10分に変化したに過ぎなかった。
【0123】
【表6】

【0124】
(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(触媒A)を使用してエチレン(C2)及びブテン−1(C4)共重合体をパイロット規模連続気相流動床反応器内で製造した。反応器温度は70℃であり、反応器のエチレン分圧は約150psiであった。共単量体、ブテン−1の濃度を約1.3mol%から約0.7モル%に変更したが、他のプロセスパラメーターは一定に維持した。結果を表7に示す。生成物のメルトインデックス(MI又はI2)は、5から20g/10分に有意に変化した。
【0125】
【表7】

【0126】
この実験を、触媒として(CH24Si(C5Me4)(C55)ZrMe2(触媒A)も使用して1回以上繰り返したが、ただし反応器の条件は幾分異なった。反応器温度は70 ℃で同じであったが、反応器のエチレン分圧170psiであり、H2/C2比は約0.0040であった。この反応器は、共単量体、ブテン−1の濃度を約2.0mol%から約0.55mol%に変更する前に(ただし、他のプロセスパラメーターは一定に維持した)、長期間にわたって約1.0(g/10分)のメルトインデックスの生成物を絶え間なく製造することができた。結果を表8に示す。生成物のメルトインデックス(MI又はI2)は、1.0から100g/10分に劇的に変化した。この変化レベルは、非常に重要であり、比較例で与えたMe2Si(H4In)2ZrCl2などの他のメタロセン触媒からは予測できない。
【0127】
【表8】

【0128】
例5
一軸延伸に付したときに、重合体の延伸粘度は歪み速度と共に増加する。直鎖状重合体の一時的一軸延伸粘度は、当業者に知られているように予想できる。歪み硬化は、重合体を一軸延伸に付し、かつ、一時延伸粘度が線形粘弾性理論から予想されるものを超えて増加したときに生じる。
【0129】
図1及び2は、実験室規模気相反応器及び触媒として触媒Cを使用して製造された本発明の実施形態のエチレン/ヘキセン共重合体の150℃での歪み硬化を示す(例5及び図2)。これをExxonMobil LD103.09(米国TX州ヒューストン、ExxonMobil Chemical Company社製)と比較する(図1)。これらの試料をHaake Polylab装置(米国MA州ウォルサムのThermo Fisher Scientific,Inc.)で混練し、そしてHaake−Brabender組合せシステム(米国MA州ウォルサムのThermo Fisher Scientific,Inc.)で吹き込んでフィルムにした。
【0130】
図3は、本発明の実施形態の重合体(触媒として(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2を使用)及び比較重合体についてのMFR対MIのグラフを示している。この図から分かるように、本発明の実施形態の重合体は次の関係を満たす:MFR>(49.011×MI(-0.4304))及びMFR>(57.18×MI(0.4304))。
【0131】
図4は、例1及び2を含めて本発明の実施形態の重合体(触媒として(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2を使用)から作られたフィルム及び比較フィルムについてのRETRAMAT収縮対MD塑性力のグラフである。図から分かるように、本発明の実施形態のフィルムは、概して、60%を超える面積Retramat収縮及び約0.08MPa未満のMD塑性引張を有する。
【0132】
図5は、本発明の実施形態の重合体(触媒として(C48)Si(C5Me4)(C54)ZrMe2を使用)及び比較重合体についてのg’対分子量のグラフである。この図から分かるように、本発明の実施形態の重合体は次の関係を満たす:0.5≦g’avg≦0.9 及びMw/Mn≦4.6。
【0133】
「からなる」及び「から本質的になる」という語句は、特定しない限り、本明細書において具体的に言及したかどうかを問わず、他の工程、要素又は材料を除外するものではなく(ただし、このような工程、要素又は材料が本発明の基本的かつ新規な特徴に影響を及ぼさない場合に限る。)、さらに、使用した要素及び材料と通常関連のある不純物を除外するものでもない。
【0134】
簡潔にするために、ここでは所定の範囲しか明示的に開示していない。しかしながら、任意の下限値からの範囲を任意の上限値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができるだけでなく、任意の下限値からの範囲を任意の他の下限値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができ、同様に、任意の上限値からの範囲を任意の他の上限値を組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定することができる。さらに、所定の範囲内には、たとえ明示的に規定されていなくても、その端点間の全ての点又は個々の値が含まれる。つまり、全ての点又は個々の値は、任意の他の点又は個々の値と組み合わせて明示的に規定されていない範囲を規定するために、それ自体が下限値又は上限値としての役割を果たし得る。
【0135】
全ての優先権書類は、援用が認められる全ての管轄について、その開示が本発明の記載と一致する範囲内で、引用により完全に援用する。さらに、本明細書で引用した全ての文書及び参考文献(試験手順、刊行物、特許、学術論文などを含む)は、援用が認められる全ての管轄について、その開示が本発明の記載と一致する範囲で、引用により援用する。
【0136】
本発明を多数の実施形態及び実施例に関して説明してきたが、この開示の利益を得る当業者であれば、ここで開示した本発明の範囲及び精神から逸脱しない他の実施形態を想起できることが分かるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミノキサン、変性アルミノキサン又はその混合物を含む活性剤によって活性化された環状架橋メタロセンLA(R’SiR’)LBZrQ2と、担体とを含む触媒系であって、
A及びLBは、独立に、Zrに結合しかつ式(C54-dd)で定義される非置換又は置換シクロペンタジエニル配位子であり、ここで、Rは水素、ヒドロカルビル置換基、置換ヒドロカルビル置換基又はヘテロ原子置換基であり、dは0、1、2、3又は4であり;
A及びLBは、環状珪素架橋R’SiR’と共に互いに結合し、ここで、R’は、独立して、互いに結合してシラシクロ環を形成するヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル置換基であり;
それぞれのQは不安定ヒドロカルビル又は置換ヒドロカルビル配位子である、前記触媒系。
【請求項2】
LAがC5Me4であり、ここで、Meがメチルであり、LBがC54である、請求項1に記載の触媒系。
【請求項3】
前記シラシクロ環がシクロテトラメチレンシリルである、請求項1又は2に記載の触媒系。
【請求項4】
Qがメチルである、請求項1〜3のいずれかに記載の触媒系。
【請求項5】
環状架橋メタロセンがシクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリルビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジメチル、シクロトリメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル又はシクロトリメチレンシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の触媒系。
【請求項6】
環状架橋メタロセンがシクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒系。
【請求項7】
前記担体が第2、3、4、5、13又は14族金属無機酸化物を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の触媒系。
【請求項8】
前記担体がシリカ、アルミナ又はシリカ−アルミナを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の触媒系。
【請求項9】
前記担体がシリカを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の触媒系。
【請求項10】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)、変性メチルアルミノキサン(MMAO)又はそれらの組合せを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の触媒系。
【請求項11】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の触媒系。
【請求項12】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含み、前記担体がシリカを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の触媒系。
【請求項13】
前記触媒系が、まず前記活性剤と前記担体とを混合させ、次いでそれにシクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルを添加することによって形成された、請求項1〜12のいずれかに記載の触媒系。
【請求項14】
前記触媒系が、まず前記MAOと前記シリカとを混合させ、次いでそれにシクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルを添加することによって形成された、請求項1〜12のいずれかに記載の触媒系。
【請求項15】
請求項1に記載の触媒系の、単量体としてエチレンと、3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と、随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む重合体を製造するための使用。
【請求項16】
前記使用が前記重合体についての生成物メルトインデックスを制御するためのものである請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記使用が分子量分布を制御するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記使用がフィルムの曇を制御するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
前記重合体生成物が0.910〜0.945g/ccの密度を有する、請求項15〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
前記重合体生成物が0.915〜0.935g/ccの密度を有する、請求項15〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
単一の反応器で分子量又はメルトインデックスにおいて幅広い分布又は二峰性分布を有する重合体生成物を製造するための、単量体としてエチレンと3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む重合体を共単量体、三元共重合体又は重合体の比率を変化させることによって製造する際における、請求項1に記載の触媒系の使用。
【請求項22】
エチレン及ブテンの重合体を共単量体対エチレン比を制御された方法で変更することによって製造する際における請求項21に記載の使用。
【請求項23】
エチレン、ブテン及び2〜30個の炭素原子を有する別のオレフィン単量体の重合体をエチレン、ブテン及び/又は他のオレフィン単量体の三元共重合体比を変更することによって製造する際における請求項21に記載の使用。
【請求項24】
前記重合体生成物が0.910〜0.945g/ccの密度を有する、請求項21〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
前記重合体生成物が0.915〜0.935g/ccの密度を有する、請求項21〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含み、前記担体がシリカを含む、請求項21〜25のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
前記重合体生成物が約4.2を超えない分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項21〜26のいずれかに記載の使用。
【請求項28】
前記重合体生成物が約3.6〜4.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項21〜26のいずれかに記載の使用。
【請求項29】
密度の点で幅広い又は二峰性の分布を有する重合体生成物を単一の反応器で製造するための、単量体としてエチレンと3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを制御された方法で製造する際における請求項1に記載の触媒系の使用。
【請求項30】
前記重合体生成物が0.910〜0.945g/ccの密度を有する、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
前記重合体生成物が0.915〜0.935g/ccの密度を有する、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含み、前記担体がシリカを含む、請求項29〜31のいずれかに記載の使用。
【請求項33】
重合条件下でオレフィンと請求項1に記載の触媒系とを接触させることを含む、オレフィンを重合して重合体生成物を製造するための気相方法。
【請求項34】
前記方法が連続気相方法である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記重合体生成物が単量体としてエチレン及びブテンを含む、請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
前記重合体生成物が単量体としてエチレン、ブテン及び2〜30個の炭素原子を有する別のオレフィン単量体を含む、請求項33〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含み、前記担体がシリカを含む、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
単量体として、エチレンと、3〜8個の炭素原子を有するオレフィン単量体と、随意に2〜30個の炭素原子を有する1種以上の他のオレフィン単量体とを含む、触媒として請求項1に記載された環状架橋メタロセンを使用して製造された重合体の少量の、2〜30個の炭素原子を有するオレフィン単量体を含む別の重合体とブレンドしてフィルムの曇を改善させるための使用。
【請求項39】
環状架橋メタロセンがシクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルである、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
前記少量が約1重量%〜約50重量%である、請求項38〜39のいずれかに記載の使用。
【請求項41】
前記少量が約5重量%〜約20重量%である、請求項38〜39のいずれかに記載の使用。
【請求項42】
前記シクロテトラメチレンシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが、アルミノキサン、変性アルミノキサン又はその混合物を含む活性剤によって活性化され、かつ、担体によって担持された、請求項38〜41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
前記担体が第2、3、4、5、13又は14族金属無機酸化物を含む、請求項38〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
前記活性剤がメチルアルミノキサン(MAO)を含み、前記担体がシリカを含む、請求項38〜43のいずれかに記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−500937(P2011−500937A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530999(P2010−530999)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/011607
【国際公開番号】WO2009/054889
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(599168648)ユニベーション・テクノロジーズ・エルエルシー (70)
【Fターム(参考)】