説明

メダル払出装置及び遊技機

【課題】メダル払出装置を大径メダルか小径メダルかの何れか一方に切り替えて利用する際に、メダルの大きさが異なっても部品交換をせずに既存の構成部品を有効利用してメダル詰まりを回避することができる共用型のメダル払出装置及び遊技機を提供する。
【解決手段】メダル払出通路35を高位側に設定してベースを傾斜配置し、メダル払出機構は、ベース傾斜面30の上面に回転送り通路46側からメダル払出通路35側にメダルを方向変換させる払出誘導片48を備え、該払出誘導片48が大径メダルM1の大きさに対応してガイドする大径誘導位置A1と、小径メダルの大きさに対応してガイドする小径誘導位置A2とに配置変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばスロットマシンに内蔵されるようなメダル払出装置に関し、さらに詳しくはメダルの大きさ別に応じた運用に切り替えて利用可能なメダル払出装置及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットマシンなどの遊技機に内蔵されるメダル払出装置は、ホッパタンクに貯留されている多数枚のメダルを、該ホッパタンクの底部に備えられている回転ディスクにより1枚ずつ分離して平面的に回転送りし、その回転送り通路のベース上に配置させているメダル払出用のガイドピン及びメダル払出用のカウントローラ及び遊技メダルガイドにメダルがガイドされることにより、メダルを回転送り通路からメダル払出通路へと方向変換させてメダルを払い出していた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなメダル払出装置は、遊技ホールで運用される予め定められたメダルの大きさ別に応じた専用のメダル払出装置が使用されている。このため、運用されるメダルの大きさが変更されると、メダル払出装置も同様にメダルの大きさ別に応じた専用の装置に変更して対処していた。このメダル払出装置を遊技機ごとに全て取り替えるのは不経済であるため、1台のメダル払出装置を共用して有効に利用することが望まれていた。
【0004】
さらに、回転送り通路からメダル払出通路へとメダルを方向変換させて送り出しガイドする際、回転送り通路には、メダルを回転送り通路からメダル払出通路へと方向変換させて安定してガイドできるように通路幅をメダルの大きさ別にガイドするガイド部材(案内部材)を要していた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−263357号公報
【特許文献2】特許第376649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、メダル払出装置を大径メダルか小径メダルかの何れか一方に切り替えて利用する際に、部品交換をせずに既存の構成部品を有効利用することができ、しかも何れか一方のメダルの大きさに能率よく切り替えることができる共用型のメダル払出装置及び遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、多数枚のメダルを貯留するホッパと、前記ホッパの底部に回転自由に配設され、該ホッパに貯留されているメダルを自重により降下させて受け入れるメダル受入口を上面に有し、前記メダル受入口に受け入れられた最下層のメダルを平面姿勢のまま回転送りするガイド羽根を下面に有し、該メダル受入口に連通する下方のベースとの対向面間に、メダルが平面姿勢で通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたメダルを、回転送り方向の外周面に開口して接続されるメダル払出通路に向けて1枚ずつ回転送りし、送られてきたメダルを前記回転送り通路側からメダル払出通路側に方向変換させて払い出すメダル払出機構とを備えたメダル払出装置であって、前記メダル払出通路を高位側に設定して前記ベースを傾斜配置し、前記メダル払出機構は、前記ベースの上面に前記回転送り通路側からメダル払出通路側にメダルを方向変換させる払出誘導片を備え、該払出誘導片が規定メダルの大きさに対応してガイドする第1誘導位置と、小径メダルの大きさに対応してガイドする第2誘導位置とに配置変更可能に構成したメダル払出装置であることを特徴とする。
【0008】
前記メダル払出通路をベースの高位側に設定することにより、遊技機に組み込んだ際に、遊技機のメダル放出口の高さ位置に対応させることができ、同時に高位に立ち上げた壁面によってベース面が奥側に隠れて正面側からはベース面が閉ざされた状態となり、遊技機正面側からのゴト行為を防止するのに適した配置構成となる。
【0009】
さらに、払出誘導片をメダルの大きさ別に第1誘導位置と第2誘導位置との何れかに選択して配置できるため払出誘導片を予め設定された位置に高精度に位置決めして取り付けることができる。ことに、払出誘導片の取付調整が不要になるため取付作業性が向上し、信頼性の高い所望の設定変更を容易に実現できる。
【0010】
この発明の態様として、前記メダル払出機構は、少なくとも前記払出誘導片と、前記回転送り通路と前記メダル払出通路との分岐位置に対向して配設される一方の払出ローラと、他方の払出プレートとを備え、前記払出プレートは、底部を基準とする山形状を有し、その頂部を境とする一側の稜線長さ及び稜線形状を規定メダル払出ガイド用とし、他側の稜線長さ及び稜線形状を小径メダル払出ガイド用とし、中央部には前記底面を基準に表裏反転させて前記規定メダル払出ガイド用と小径メダル払出ガイド用との向きを切り替える切替手段を備えて構成することができる。
【0011】
これにより、1枚の払出プレートを表裏反転して2種類の大きさの異なるメダルに適用することができる。また、部品交換ではなく既存の払出プレートを表裏反転させるだけのため兼用型の効率のよい払出プレートであり、また設定変更作業においても簡単に切り替えることができる。
【0012】
この発明の態様として、前記払出誘導片のメダルと最初に接触する接触始端部を前記回転送り通路の通路底面に沿設し、且つ該接触始端部に傾斜面を備えて構成することができる。
【0013】
前記払出誘導片の接触始端部が回転送り通路の底面に沿設しているので、該接触始端部と回転送り通路の底面との上下面間にメダルの先端が入り込んだり、引っ掛かったりするような隙間はなく、回転送り通路でのメダルのロック発生原因を確実に解消することができる。
【0014】
また、払出誘導片の接触始端部に傾斜面を設けることにより、ここに当接したメダルは不安定な姿勢であってもメダルのエッジが傾斜面に当接するので当接時の接触面積が小さいことから引っ掛かるおそれがなく、メダルは傾斜面に沿って滑らかに払出方向へ移動する。
【0015】
この発明の態様として、前記払出誘導片を、前記ベースの軸支部を基点に前記第1誘導位置と第2誘導位置との向きに配置変更可能に構成することができる。
【0016】
これにより、払出誘導片をメダルの大きさ別に対応させて配置変更する場合は、ベースの軸支部が位置決め基準点となり、この軸支部を基準に払出誘導片を取り付ければ、払出誘導片を所望の向きに設定変更することができる。
【0017】
例えば、払出誘導片の位置決め軸をベースの位置決め孔に対応させれば配設位置が定まり、またビスを用いて固定することで位置決めすることができる。また、ビスを緩めた状態で払出誘導片を回せば、該払出誘導片を取り外すことなく所望の位置に配置変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、メダル払出装置を大径メダルか小径メダルかの何れか一方に切り替えて利用する際に、部品交換をせずに既存の構成部品を有効利用することができ、しかも何れか一方のメダルの大きさに能率よく切り替えることができる共用型のメダル払出装置及び遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スロットマシンの内部構造を示す斜視図。
【図2】メダル払出装置を示す外観斜視図。
【図3】(A)はメダル払出装置のホッパ内を示す斜視図、(B)はメダル払出装置の底面図。
【図4】(A)はメダル払出装置のホッパを取り外した状態を示す斜視図、(B)はその底面図。
【図5】回転ディスクの支持構造を分解して示す要部分解斜視図。
【図6】(A)は回転ディスクを上面側から見た斜視図、(B)は回転ディスクを下面側から見た斜視図。
【図7】(A)はベースブロックの外観斜視図、(B)はその底面図。
【図8】(A)はメダル受入口を示す平面図、(B)はその要部拡大斜視図。
【図9】(A)はメダル詰まり発生状態を示す要部平面図、(B)はその要部側面図、(C)はメダル詰まり回避状態を示す要部平面図、(D)はその要部側面図。
【図10】(A)はメダルがロックされようとする状態を示す説明図、(B)はその要部拡大斜視図、(C)はメダルがロックを回避した状態を示す要部拡大斜視図。
【図11】(A)は払出誘導片を上面側から見た斜視図、(B)は払出誘導片を下面側から見た斜視図、(C)は払出誘導片の使用状態を示す斜視図。
【図12】(A)は払出誘導片が小径メダル用に設定されている状態を示す斜視図、(B)は払出誘導片が大径メダル用に設定されている状態を示す斜視図。
【図13】(A)はメダルが払出ピンに当接している状態を示す斜視図、(B)はメダルが払出ピンの没入動作による詰まりを回避した状態を示す斜視図。
【図14】(A)はメダルが払出ピンに当接している状態を示す説明図、(B)はメダルが払出ピンの没入動作による詰まりを回避した状態を示す説明図、(C)は払出ピンの支持構造を示すベースフレームの底面図。
【図15】(A)は払出プレートが小径メダル用に設定されている状態を示す斜視図、(B)は払出プレートが大径メダル用に設定されている状態を示す斜視図、(C)は払出プレートの取付面側を示す要部斜視図。
【図16】小径メダルの払出し状態を示す動作説明図。
【図17】大径メダルの払出し状態を示す動作説明図。
【図18】検知センサの検知信号によるメダルの払出状態を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図面は遊技ホールに設置されるスロットマシンのメダル払出装置を示し、図1はスロットマシン11の前面扉12をスロットマシン本体13より片開き式に開口した内部構造を示す斜視図である。
【0022】
この開口されたスロットマシン本体13側には、スロットマシン11の遊技を制御する制御部を搭載した制御基板11aが上部に内蔵されている。また、外周面の絵柄の位置を回転・停止させて遊技利用を行う3列のリール14を上部に設置し、下部中央にメダルMの取込み及び払出用のメダル払出装置15を設置し、その左側に電源装置16を設置し、右側にオーバフロータンク17を設置している。
【0023】
一方、前面扉12側の内面には、内面上部よりリールカバー18と、メダル選別装置(メダルセレクタ)19と、メダル返却通路20と、払出接続口21aと、返却口21bとをこの順に有している。そして、この前面扉12の外面が接客面として設けられ、各種の遊技操作部が設置されている。
【0024】
このスロットマシン11の遊技時に投入されたメダルMは、メダル選別装置19に取込まれ、ここで選別された後、受付許可されたメダルMはメダル払出装置15へと搬送される。これに対し、メダル選別装置19で受付拒否された排除メダルはメダル返却通路20及び返却口21bを介して前面扉12の下皿(図示省略)へと返却される。
【0025】
次に、メダル払出装置15について説明する。
このメダル払出装置15は、図2及び図3(A)の斜視図にも示すように、ベースブロック22上に、回転ディスク23とホッパタンク(以下ホッパと称す)24とを搭載して構成される。
【0026】
前記ホッパ24は、上面を開放した逆四角錐形状を有する内部空間に多数枚のメダルMを貯留し、その貯留したメダルMを自重により下方の逆四角錐形状の中央部へと傾斜させて導く収納構造を有している。
【0027】
さらに、ホッパ24の内部には、メダル貯留枚数が収納限界枚数を超えて余剰メダルが生じた場合に、その余剰メダルを前記オーバフロータンク17へと移送するオーバフローシュート25を備えている。このオーバフローシュート25は、メダルMを円滑に傾斜移送できる傾斜角度を有しており、ホッパ24内の上部の一隅部に沿わせて配設されている。このオーバフローシュート25に導かれた余剰メダルはホッパ24の一側壁面に開口されたオーバフロー放出口26より放出され、放出された余剰メダルは、その下方に対応するオーバフロータンク17へと収納される。
【0028】
また、ホッパ24には該ホッパ24をベースブロック22に固定するためのフック部27(図3(B)参照)を下部の一壁部に備えている。また、ホッパ24内の空間とオーバフローシュート25との間にはオーバフローしたメダルをオーバフロータンク17へ流すために放出口カバー28(図3(A)参照)が備えられている。
【0029】
さらに、ホッパ24とベースブロック22とを上下に対設させた正面壁の境目となる接合面間には、メダルMを平面姿勢で1枚ずつ払い出すメダル払出口29を開口している。このメダル払出口29をスロットマシン11の下皿に通じる払出接続口21aに対応させて接続している。
【0030】
前記ベースブロック22は、図4(A)の斜視図にも示すように略正方形状を有し、このベースブロック22の上面に、該上面全体を一定角度傾斜(例えば30度)させてなる平面的なベース傾斜面30を有している。そして、このベース傾斜面30の上面に回転ディスク23とホッパ24とが搭載される。
【0031】
ベースブロック22は、図4(B)のベースブロック22の底面側の斜視図に示すように、ベース傾斜面30の下面(裏面側)を中空形成し、この裏面中空部に回転ディスク23の駆動機構32やメダル検知機構33が設置されている。
【0032】
前記ベース傾斜面30の上面中央部には、ベースブロック22の裏面に設置されている駆動機構32から、図5に示すように上面側に回転軸34を突出させている。この回転軸34に、回転ディスク23の中心部に開口する軸孔42を挿通させて連結している。さらに、この回転軸34の上端部には、回り止め用のスプリングピン34aを交差させて設け、この交差部分に上方から回転ディスク23の軸孔42及びピン係合部42a(図6(B)参照)を挿通させて回転ディスク23を一体に連結している。したがって、駆動機構32を駆動して回転軸34を回転させると、これと一体の回転ディスク23が回転される。
【0033】
さらに、ベース傾斜面30の傾斜高位となる上辺の中間部と、回転ディスク23の外周面との間には、前記メダル払出口29に通じるメダル払出通路35が形成されている。このメダル払出通路35は、1枚のメダルを平面姿勢で送り出すことができる凹溝状の通路であり、該メダル払出通路35の外端部が前記メダル払出口29に連通し、内端部が回転ディスク23のベース傾斜面30に連通している。したがって、回転ディスク23から回転送りされたメダルMは平面姿勢のまま高位のメダル払出通路35側へと送り出される。
【0034】
ベースブロック22の傾斜下部の上面両側には、ホッパ24の前記フック部27を引っ掛けてホッパ24を着脱自在に取付ける着脱口36を有している。
【0035】
前記駆動機構32は、モータ搭載台(図4(B)参照)38に搭載したモータを駆動源とし、モータ搭載台38に内蔵されているモータの出力軸と一体の図示しない駆動ギアに減速用の従動ギアを噛合させ、この従動ギアを回転軸34上のギアに噛合させることにより、モータが回転すると回転軸34も回転し、回転軸34に連結された回転ディスク23に回転力が伝達されて回転ディスク23は一定速度で回転される。
【0036】
なお、メダル払出装置15のアースを取るために払出プレート51とスロットマシン11に接触するアース板15a(図4(B)参照)をベースブロック22のフレームに配置し、これらをアース用ハーネス15bで接続している。
【0037】
次に、回転ディスク23の構造について説明する。
この回転ディスク23は、図5及び図6(A)にも示すように円盤状の中心部に軸孔42を上下方向に貫通し、この軸孔42と連通する下面の一部に図6(B)に示すように前記スプリングピン34aを挿通させる横長のピン係合部42aを設け、この軸孔42及びピン係合部42aに、前記回転軸34とスプリングピン34aとを位置合せして下面側から挿通させることにより、該回転ディスク23と回転軸34とを回り止めして一体に連結している。
【0038】
さらに、回転ディスク23は軸孔42を中心とする同心円上に周方向を5等分したメダル受入口44を上下方向に貫通して設けている。これらのメダル受入口44はメダル1枚を平面姿勢で降下させる大きさに開口され、その上部側に上方からのメダルMの受入れを円滑にするためのテーパガイド部44aを形成している。また、該回転ディスク23の中央部を高位にし、その周辺部を低位にして略円錐状に突出させている。これにより、貯留されたメダルMが回転ディスク23の中央部より分散して、その周囲の各メダル受入口44へと自然に供給されるようにしている。
【0039】
さらに、回転ディスク23の下面には、図6(B)に示すように回転送り通路の内周ガイド面となる内周壁39と、前記メダル受入口44ごとに対応する5枚のガイド羽根45が備えられている。
【0040】
前記内周壁39は、回転ディスク23の軸孔42とピン係合部42aを同心円上で筒状に囲って突出し、この突出した周壁が後述する回転送り通路46の内周面となる。また、内周壁39はメダル1枚分より若干高い通路高さを有して突出し、後述するベース傾斜面30の内周ガイド面50に対応して設けられる。
【0041】
前記ガイド羽根45は、回転ディスク23の下面にメダル1枚分より若干高い通路高さを有して突出し、回転ディスク23の周方向に隣接する同心円上の各メダル受入口44間に形成される。このガイド羽根45は各メダル受入口44の中心を結ぶ回転軌跡と交差する付近から回転ディスク23の外周面に至る間を円弧形状に突出している。これにより、回転ディスク23の回転時にガイド羽根45がメダルMを押して回転送りする。
【0042】
また、各ガイド羽根45の円弧形状の中間部には後述する払出ピン40との衝突を避ける凹状の衝突回避溝41aを形成している。同じく、各ガイド羽根45の内端部と、これと対向する内周壁39との間には後述する払出誘導片48との衝突を避けるために中心側を空けた衝突回避空間41bを形成している。
【0043】
これらの5枚のガイド羽根45はメダル受入口44の最下層に対応しているため、メダルMがメダル受入口44を降下して最下層に至ると、その最下層のメダルMのみが1枚ずつ分離された状態でガイド羽根45に押されて回転送りされる。
【0044】
前記回転ディスク23とベース傾斜面30との上下の対向面間には、ホッパ24に貯留されたメダルMの荷重によって生じるモータの負荷を低減するために、図5に示すように回転軸34を中心として環状に配設される金属製の平ワッシャW1と樹脂製のスラストワッシャW2との2枚を介在させている。
【0045】
そして、回転ディスク23と、ベース傾斜面30とをメダル1枚を移送可能な上下空間を隔てて上下に対向させることにより、これらの両部材23,30間にメダルMを1枚ずつ回転送りする回転送り通路46が形成される。
【0046】
さらに、回転ディスク23と同心円上のベース傾斜面30には、図5に示すように、回転ディスク23の最下層外周囲を覆うように環状に起立突出させた外周壁43を有している。この外周壁43と前記した内周壁39とで回転送り通路46の横方向の通路空間が構成されている。
【0047】
したがって、回転送り通路46は上方の回転ディスク23と、下方のベース傾斜面30との上下の対向面間と、内周壁39と外周壁43との横方向の対向面間とで囲まれるメダルを平面送り可能な断面横長の空間である。そして、ここに至ったメダルMは回転ディスク23の回転に伴いガイド羽根45に押され、メダルMの上面は回転ディスク23の下面にガイドされ、またメダルMの下面はベース傾斜面30にガイドされて1枚ずつ回転送りされる。また、この回転送り通路46の外周面と連通する回転ディスク23の外周面にはメダル送出し用の外周面開口部46aを周方向に5等分して開口している。
【0048】
図7(A)は回転ディスク23を取り外したベースブロック22の斜視図である。このベースブロック22のベース傾斜面30の中央部には、外周壁43で囲って回転ディスク23を取付けるための円形のベース通路47が形成されている。このベース通路47には傾斜低位側の外周壁43に沿って複数個の円形のゴミ落し穴49を開口している。
【0049】
また、ベース通路47の中心側に、前記回転ディスク23の内周壁39を回動可能に嵌合させる円形の一段低い内周ガイド面50を有している。この内周ガイド面50に前記平ワッシャW1とスラストワッシャW2が収納され、その上面に内周壁39が搭載される。
【0050】
前記回転ディスク23は、図においては右回転し、この回転ディスク23の回転に伴い前記回転送り通路46に導かれたメダルMを平面姿勢のままベース傾斜面30上の傾斜低位側から傾斜高位側へと回転送りし、その回転送り方向の傾斜高位側の外周面に接続されるメダル払出通路35に向けて1枚ずつ連続的に回転送りする通路構造を有している。
【0051】
さらに、メダル払出通路35と対向する回転送り通路46側には、メダルMを回転送り通路46からメダル払出通路35に方向変換させて払い出す払出誘導片48と払出ピン40を配設している。
【0052】
さらに、メダル払出通路35と回転送り通路46との分岐位置には、回転送り通路46より送られてきたメダルMをメダル払出通路35側に方向変換させて払い出しガイドする払出プレート51と、カウントローラRと、メダル検知機構33(図7(B)参照)とが備えられている。
【0053】
ところで、前記各メダル受入口44には、このメダル受入口44の部分でメダル詰まりが発生しないように工夫したメダル詰まり防止構造を持たせている。このメダル詰まり防止構造は、メダル受入口44が真円ではなく、図8(A)に示すように、円形の一部にメダルのロックを逃がすことができる変形部分を備えたロック逃がし開口部44bを備えて構成したものである。
【0054】
このロック逃がし開口部44bは、大径メダルM1の大きさに対応して円形状に開口され、この円形状の受入口に加えて、該円形状の一部を、小径メダルM2の大きさに対応した曲率で外向きに膨らませて開口した膨らみが小さいダルマ型に構成している。
【0055】
このダルマ型のメダル受入口44は、メダルの受入性を高めるために図8(B)に示すように周縁を傾斜させたテーパガイド部44aを上部側に有し、メダルのロックが生じやすい下側に前記ロック逃がし開口部44bを有している。
【0056】
ことに、各メダル受入口44に連通する回転送り通路46では、ベース通路47の上面に回転ディスク23が対向しており、その通路空間において該回転ディスク23の中心側に前記衝突回避空間41bが形成されている。このため、衝突回避空間41bに小径メダルM2の先端部が入り込んでロックされるおそれがある。したがって、これを回避するためにもメダル受入口44の一部の形状をダルマ型のロック逃がし開口部44bとして形成している。
【0057】
もし、図9(A)に示すように、ロック逃がし開口部44bのない回転ディスク23aの場合、この回転ディスク23aに開口されている大径のメダル受入口44cは真円のままであるため、この大径のメダル受入口44cに受け入れられた小径メダルM2は、最下層でガイド羽根45に押されて回転送りされる。このとき、大径のメダル受入口44c内で動く余地が大きい小径メダルM2がベース通路47の中心側へ寄った場合に、その状態で小径メダルM2の先端が、例えば払出誘導片48や他の小径メダルM2、或いは図9(B)に示すように、払出ピン40に乗り上げたりすると、小径メダルM2は傾斜し、該小径メダルM2の後端側は回転ディスク23の下面に下向きに押されて、大径のメダル受入口44cの上方へ逃げることができず、この結果、小径メダルM2はロックされてメダル詰まりを生じ、メダル払出装置15が回転送り不能になる。
【0058】
この小径メダルM2の詰まりを考察すると、該小径メダルM2がロックされる原因は、小径メダルM2がベース通路47の中心側に寄った場合に、小径メダルM2の先端が払出誘導片48や他のメダルに乗り上げるなどして、さらに小径メダルM2の後端が大径のメダル受入口44cの上方側に移動できなくなった時点で小径メダルM2の動きが規制され、メダル詰まりが発生する。したがって、小径メダルM2がベース通路47の中心側に寄っても、その小径メダルM2がさらに変位可能となる余地があればロック回避できることになる。
【0059】
そこで、小径メダルM2のメダル詰まりが生じる位置は、前記考察結果から衝突回避空間41bに対応するベース通路47の中心側であるため、ロック逃がし開口部44bをガイド羽根45がメダルに接触する位置よりもベース通路47の中心側に構成するとよい。
【0060】
これにより、ロック逃がし開口部44bは、図9(C)に示すように仮に小径メダルM2の先端が、例えば払出誘導片48や他の小径メダルM2、或いは図9(D)に示すように、払出ピン40に乗り上げて該小径メダルM2が傾斜しても、該小径メダルM2の後端側はロック逃がし開口部44bによって上方が開放されているのでロックが発生しようとしても、その小径メダルM2はロック逃がし開口部44bから大径のメダル受入口44cの上方へと逃げることができ、自然にロックを回避することができる。
【0061】
また、図10(A)に示すように、小径メダルM2の後端側がメダル受入口44の内周面に押され、先端側がベース通路47の上面に設置されている後述する払出誘導片48に不安定な傾斜姿勢で当接した場合、その小径メダルM2は図10(B)に拡大して示すように、直径方向Lの前後が挟持されてメダル詰まりが発生しようとしても、小径メダルM2の先端は後述する払出誘導片48の傾斜面48bと接触するため、図10(C)に拡大して示すように小径メダルM2の先端側は払出誘導片48の上面に乗り上げてメダル受入口44内の上方に退避し、メダル詰まりを未然に回避できる。
【0062】
上述の払出誘導片48はメダル払出機構の一部品であり、メダル払出通路35と対向する回転送り通路46のベース通路47上の内周面側に配置される。この払出誘導片48は、図11(A)に示すように、細長いプレート状を有し、このうち広幅に形成した基端側にビス止め孔48aを開口して設け、狭幅の先端側にメダルガイド用に下向きに折曲した傾斜面48bを設けている。また、図11(B)に示すように、中間部の下面に位置決め突起48cを突設している。
【0063】
この払出誘導片48は、ベース通路47の上面に払出誘導片48を平面対設させた状態で、図11(C)に示すように、基端側のビス止め孔48aにビス52を挿通してベース通路47の上面に形成されている図示しないで螺着孔に螺着接続して取り付ける。このとき、払出誘導片48の先端側に折曲している部分がベース通路47の上面に長方形状に並列して開口されている大径用没入口53と小径用没入口54の何れかに没入させた状態で取り付ける。
【0064】
さらに、払出誘導片48を大径用没入口53と対応させて取り付けたとき、該払出誘導片48の位置決め突起48cをベース通路47の上面に開口されている大径用位置決め孔55に嵌合させた状態でビス52止めすることにより、払出誘導片48は大径用の払出ガイドする向きに位置決めして取り付けられる。
【0065】
同じく、払出誘導片48を小径用没入口54と対応させて取り付けたとき、該払出誘導片48の位置決め突起48cをベース通路47の上面に開口されている小径用位置決め孔56に嵌合させた状態でビス52止めすることにより、払出誘導片48は小径用の払出ガイドする向きに位置決めして取り付けられる。
【0066】
これにより、払出誘導片48は位置決め突起48cとビス52との2点の支持作用によって正確に取付位置を定めることができる。図11(C)においては回転送り通路46の通路幅が広くとれる内周側の取付位置を大径用没入口53に設定し、これより外周側で回転送り通路46の通路幅が狭くなる取付位置を小径用の没入口54に設定している。そして、この払出誘導片48の細長い先端側を回転送り通路46の下流側に向けて配置し、これより上流側に至る払出誘導片48の通路側に対向する側面がメダルの誘導ガイド面となる。
【0067】
さらに、払出誘導片48の先端部を何れかの没入口53,54に没入させることによって払出誘導片48の先端部がベース通路47の上面から沈み込んだ状態に取り付けられる。このため、払出誘導片48の先端部からベース通路47の上面に出た部位がメダルと最初に接触する接触始端部48dとなるが、この接触始端部48dがベース通路47の通路底面と略同じ高さなので、該接触始端部48dとベース通路47の底面との上下面間にメダルの先端が入り込んだり、引っ掛かったりするような隙間はなくなる。よって、ベース通路47での小径メダルM2のロック発生原因を確実に解消することができる。
【0068】
また、払出誘導片48の接触始端部48dに傾斜面48bを設けることにより、ここに当接したメダルは不安定な姿勢であっても、メダルのエッジと傾斜面48bとの接触面積が少ないため引っ掛からず、メダルは傾斜面48bに沿って滑らかに払出方向へ移動する。
【0069】
この払出誘導片48の配置する向きを変更する場合、例えば大径メダル用の取付位置から小径メダル用の取付位置に設定変更する場合は、図12(A)に示すように、払出誘導片48を小径用没入口54と対応する大径誘導位置A1より外周側の小径誘導位置A2に配置すればよい。また、小径メダル用の取付位置から大径メダル用の取付位置に設定変更する場合は、図12(B)に示すように、払出誘導片48を大径用没入口53と対応する内周側の大径誘導位置A1に配置すればよい。したがって、1つの払出誘導片48の配設位置を変えるだけで回転送り通路46における2種類のメダルの大きさ別に対応した払出誘導の切り替えができる。
【0070】
このように、払出誘導片48を大径誘導位置A1と小径誘導位置A2との何れかに選択できるため払出誘導片48を予め設定された位置に高精度に位置決めして取り付けることができる。ことに、ビス52を緩めた状態で払出誘導片48を回せば、該払出誘導片48を取り外すことなく回動操作するだけで簡単に配置変更することができる。
【0071】
さらに、メダル払出通路35の始端側に配設された払出ピン40の部分においてもメダル詰まり回避構造を持たせて構成している。
図13(A)はメダルがメダル受入口44と払出ピン40との間で挟持されて詰まりそうになった状態を示している。図13(B)は平面方向の外力を受けた払出ピン40が下方に没入してメダルの詰まりを回避した状態を示している。
【0072】
この払出ピン40による詰まり回避構造を、図14を参照して説明する。この払出ピン40は、図14(A)及び図14(C)にも示すように、ベース通路47の下面側に支点ピン57を垂設し、この支点ピン57に回動自由に軸支された傾動レバー58の基端側とベース通路47との間に介在させた払出ピン復帰バネ59の付勢力により該傾動レバー58の先端側を上向きに付勢している。これにより、傾動レバー58の先端側に取り付けられている払出ピン40がベース通路47の上面に突出し、この突出作用によりメダルをメダル払出通路35側にガイドし、またメダルが詰まりそうになった場合には、回転ディスク23によるメダルの押圧力を受けて倒れることにより払出ピン40の上方を通過させるようにしている。
【0073】
このため、払出ピン40にメダル詰まりが生じるような過負荷がかかった際は、図14(B)に示すように、該払出ピン40はメダルによる横方向からの過負荷を受けて、その過負荷を回避すべく没入し、その詰まりそうになったメダルを払出ピン40の上面に乗り上げさせて通過させる詰まり回避構造を有している。
【0074】
図15は払出プレート51の共用構造を示している。この払出プレート51は耐久性のよい金属材料で製作され、図15(A)に示すように、底辺51aを基準とする山形状を有し、その頂部51bを境とする一側(図では左側)の稜線長さ及び稜線形状を大径メダル払出ガイド辺51cとし、他側(図では右側)の稜線長さ及び稜線形状を小径メダル払出ガイド辺51dとし、中央部には前記底辺51aを基準に表裏反転させて大径メダル払出ガイド辺51cと小径メダル払出ガイド辺51dとの向きを切り替え可能な切替構造を備えて構成している。
【0075】
図15(A)は小径メダル払出ガイド辺51dが回転送り通路46とメダル払出通路35とに対向して配置された状態を示している。この小径メダル払出ガイド辺51dは回転送り通路46との通路幅間隔を小径メダルガイド幅となるように長い直線状の稜線に構成されている。また、回転送り通路46の小径メダル用の幅を確保するために大径メダル用に比べて山高さを高く設定(図では上下方向長さ)している。また、メダル払出通路35の通路幅間隔についても小径メダルガイド幅となる寸法に設定している。
【0076】
図15(B)は大径メダル払出ガイド辺51cが回転送り通路46とメダル払出通路35とに対向して配置された状態を示している。この大径メダル払出ガイド辺51cは回転送り通路46の通路幅間隔を大径メダルガイド幅となるように山高さが低くなる方向に湾曲した稜線に構成されている。また、メダル払出通路35の通路幅間隔についても大径メダルガイド幅となる寸法に設定している。
【0077】
そして、この払出プレート51の中央部にビス止め孔51eを開口し、その左右両側に位置決め用の長孔51fと丸孔51gを開口している。これらと対向するベース通路47の取付位置に、図15(C)に示すように、ビス止め孔51eに対向する螺着孔47aと、その両側に前記長孔51fと丸孔51gに対向する位置決めピン47b,47cとを突設している。
【0078】
さらに、両側の位置決めピン47b,47cに払出プレート51の長孔51fと丸孔51gとを嵌合させた状態でビス止め孔51eにビス(図示せず)を通して螺着孔47aに螺着することにより、正確でしかも簡単にビス止めして固定できる。
【0079】
この結果、1枚の払出プレート51を表裏反転するだけで2種類の大きさの異なるメダルに適用することができる。また、部品交換ではなく既存の1枚の払出プレート51を兼用して効率よく使用できる払出プレートであり、大径メダル用と小径メダル用との通路の設定変更においても容易に変更できるため大掛かりな作業を要せず、作業労力が少なくて済み、簡単に切り替えることができる。
【0080】
前記払出プレート51と対向する回転送り通路46とメダル払出通路35との分岐位置には、ベース傾斜面30の一部を開口した切抜き穴61を貫通して設けている。この切抜き穴61の上面に後述するカウントローラRが突き出た状態に配設される。
【0081】
上述のカウントローラRは、図7に示すように、カウントアーム60の一端に回動自由に軸支されている。さらに、このカウントローラRは、切抜き穴61の前端側に待機するようにカウントアーム60自体をカウントアームストッパ用に設けられたストッパ62に当接する位置までカウントアーム復帰用スプリング63によって付勢させている。
【0082】
したがって、カウントローラRは分岐位置に回転送りされてきたメダルを受け止めながら押し戻す方向に付勢力が働き、該カウントローラRはメダルの動きに追従して回転送り方向に進退して変位する。この結果、メダルが回転送り通路46側からメダル払出通路35の入口(通路の分岐位置)に至ったとき、該メダルを回転送り通路46側からメダル払出通路35側へと弾き飛ばして払い出す役目を有している。
【0083】
そして、このカウントアーム60の他端と対向する位置には、メダル検知機構33の第1センサS1と第2センサS2がカウントアーム60の回動方向に配設されている。このメダル検知機構33は、カウントローラRがメダルの回転送り力を受けていない待機状態では、カウントアーム復帰用スプリング63の付勢作用によって、カウントアーム他端のセンサ遮光片が光電検知用の第1センサS1のスリット部間を遮光したOFF状態にある。
【0084】
一方、カウントローラRがメダルの回転送り力を受けたメダル検知状態では、カウントアーム復帰用スプリング63の付勢力に抗してカウントアーム60のセンサ遮光片が回動し、第1センサS1のスリット部間を横切るように往復運動したときに、第1センサS1のスリット部間が一時的に開放されてON状態となる。また、第1センサS1と並列してカウントアーム60の回動を検知する第2センサS2では、ON状態から一時的にOFF状態となる。
【0085】
その後、メダルMがメダル払出通路35を通過して払い出されると、カウントアーム60が元の位置に復帰する。これにより、再び第1センサS1はカウントアーム60に遮光されてOFF状態に戻り、第2センサS2は開放されてON状態に戻る。このように、メダル検知機構33はメダルが払い出される動きを、カウントローラR及びカウントアーム60の動きに基づいて、第1センサS1及び第2センサS2が検知する。
【0086】
次に、小径メダル用に設定されたメダル払出装置15の払出処理動作を図16の動作説明図を参照して説明する。
スロットマシン11の制御部からメダル払出信号が出力されると、メダル払出装置15ではモータが駆動されて出力軸34が回転される。この出力軸34の回転に連動して回転ディスク23が回転し、この回転ディスク23の回転に基づいて、ホッパ24に貯留されている小径メダルM2は回転ディスク23のメダル受入口44へと導かれる。メダル受入口44に入った小径メダルM2は降下して最下層のベース通路47の上面に至る。ここに至った小径メダルM2は、図16(A)に示すようにガイド羽根45によって1枚ずつ分離されて回転送りされる。
【0087】
その後、小径メダルM2はベース通路47に沿って進み、払出誘導片48の位置にくると、この払出誘導片48と払出ピン40のガイド作用を受けて払出方向に向かい。回転ディスク23の外周面開口部46aから外側へと押し出される。押し出された小径メダルM2は、図16(B)に示すように、方向変換して移動する。
【0088】
小径メダルM2が図16(C)に示すように、回転送り通路46とメダル払出通路35との分岐位置に達すると、分岐位置に配置されている払出プレート51及びカウントローラRに当接する。当接した小径メダルM2は、図13(D)に示すように、ガイド羽根45の回転力を受けて、さらに外側へと押し出され、カウントアーム復帰用スプリング63に付勢されているカウントローラRを押し続けてメダル払出通路35の入口を広げる。
【0089】
その時、カウントローラRと一体化されているカウントアーム60が回動し、該カウントアーム60のセンサ遮光片が第1センサS1のスリット部間から外れて、第1センサS1がOFFからONとなり、第2センサS2がONからOFFとなる。その後、小径メダルM2は、図16(E)に示すように平面的なメダル払出通路35上をメダル払出口29に向かって移動する。
【0090】
その後、小径メダルM2は図16(F)に示すように、メダルカウントローラRから外れて送り出される。このメダルの動きに伴いカウントアーム60はカウントアーム復帰用スプリング63により、元の復帰方向へ移動する。その際にカウントアーム60のセンサ遮光片が第1センサS1のスリット部を横切って、ストッパ62で止まり、第1センサS1が再びOFFになり、第2センサS2がONになる。
【0091】
また、払出誘導片48の傾斜面48bや払出ピン40とメダル受入口44との間でメダルが当接してロックが生じようとしても、該メダルは払出誘導片48や払出ピン40に乗り上げて傾斜姿勢となることで、内端側からの挟み込み力を回避させてメダル詰まりの発生を未然に回避することができる。
【0092】
このように回転送り通路46で小径メダルM2を両側から挟み込むようなメダル詰まり作用が働いても、直ちにメダル詰まりの発生原因を解消することができる。
【0093】
次に、大径メダル用に設定された払出処理動作を図17の動作説明図を参照して説明する。
スロットマシン11の制御部からメダル払出信号が出力されると、メダル払出装置15ではモータが駆動されて出力軸34が回転される。この出力軸34の回転に連動して回転ディスク23が回転し、この回転ディスク23の回転に基づいて、ホッパ24に貯留されている大径メダルM1は回転ディスク23のメダル受入口44へと導かれる。メダル受入口44に入った大径メダルM1は降下して、ベース通路47の上面に至る。ここに至った大径メダルM1は図17(A)に示すように、ガイド羽根45によって1枚ずつ分離されて回転送りされる。
【0094】
その後、大径メダルM1はベース通路47に沿って進み、払出誘導片48の位置にくると、この払出誘導片48、払出ピン40のガイド作用を受けて払出方向に向かい。回転ディスク23の外周面開口部46aから外側へと押し出される。押し出された大径メダルM1は、図17(B)に示すように方向変換して移動する。
【0095】
大径メダルM1が図17(C)に示すように、回転送り通路46とメダル払出通路35との分岐位置に達すると、分岐位置に配置されている払出プレート51及びカウントローラRに当接する。当接した大径メダルM1は、図13(D)に示すように、ガイド羽根45の回転力を受けて、さらに外側へと押し出され、カウントアーム復帰用スプリング63に付勢されているカウントローラRを押し続けてメダル払出通路35の入口を広げる。
【0096】
その時、カウントローラRと一体化されているカウントアーム60が回動し、該カウントアーム60のセンサ遮光片が第1センサS1のスリット部間から外れて、第1センサS1がOFFからONとなり、第2センサS2がONからOFFとなる。その後、大径メダルM1は、図17(E)に示すように平面的なメダル払出通路35上をメダル払出口29に向かって移動する。
【0097】
その後、大径メダルM1は、図17(F)に示すようにメダルカウントローラRから外れて送り出される。このメダルの動きに伴いカウントアーム60はカウントアーム復帰用スプリング63により、元の復帰方向へ移動する。その際にカウントアーム60のセンサ遮光片が第1センサS1のスリット部を横切って、ストッパ62で止まり、第1センサS1が再びOFFになり、第2センサS2がONになる。
【0098】
次に、メダル払出時の第1センサS1と第2センサS2とが検知したタイミングチャートを図18を参照して説明する。
メダルMの動きに追従して回転送り方向に変位するカウントローラRの変位動作に連動するカウントアーム60の動きを第1センサS1と第2センサS2が検知することに基づいて、メダルMが前記回転送り通路46からメダル払出通路35へと送り出されたことを検知している。
【0099】
そして、第1センサS1がメダルMを検知(ON)しているメダル検知時間帯の一部に重複して第2センサS2がメダルの通過をON→OFFにより検知し、前記メダル払出通路35に送り出されるメダルMの通過を的確に検知する。このようなセンサ構造により、メダルMの払出動作を正確に確認できるだけでなく、その検知信号を基にメダルMの払出動作に対する不正行為が行われた場合にも正確に判別できる。
【0100】
さらに、メダル払出通路35をベース傾斜面30の高位側に設定しているため、スロットマシン11に組み込んだ際に、スロットマシン11のメダルを放出する返却口21bの高さ位置に対応させることができ、同時に高位に立ち上げた壁面によってベース傾斜面30が奥側に隠れて正面側からはベース傾斜面30が閉ざされた状態となり、スロットマシン正面側からの不正行為(ゴト行為)を防止するのに適した配置構成となる。
【0101】
さらに、大径メダルと小径メダルかのいずれかの専用通路に切り替える際は、図11にも示したように、部品を交換せず、現在取り付けられている払出誘導片48を用いて、その取付位置を通路幅方向に変位させればよく、また図15にも示したように、払出プレート51の表裏を反転させれば、新たな部品を要することなく簡単に切り替えることができる。
【0102】
上述のように、払出誘導片をメダルの大きさ別に大径誘導位置と小径誘導位置との何れかに選択して配置できるため払出誘導片を予め設定された位置に高精度に位置決めして取り付けることができる。ことに、払出誘導片の取付調整が不要になるため取付作業性が向上し、信頼性の高い所望の設定変更を容易に実現できる。
【0103】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明のベースは、実施例のベースブロック22及びベース傾斜面30に対応し、
以下同様に、
規定メダルは、大径メダルM1に対応し、
メダル払出機構は、払出誘導片48、カウントローラR、メダル検知機構33、払出しプレート51に対応し、
第1誘導位置は、大径誘導位置A1に対応し、
第2誘導位置は、小径誘導位置A2に対応し、
払出ローラは、カウントローラRに対応し、
切替手段は、位置決めピン47b,47cと長孔51fと丸孔51gに対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は上述の一実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に記載される技術思想に基づいて応用することができる。
【0104】
例えば、上述の実施例では2種類の大きさの異なるメダルを取扱う例を示したが、これに限らず、払出誘導片48や払出プレート51をメダルの大きさに応じた形状にして切り替えられるように構成すれば、3種類以上の大きさの異なるメダルにも適用することができる。
【0105】
また、上述の実施例ではベースブロック22の裏面側でメダルの払い出しを検知する構成を示したが、これに限らず、ベースブロック22の表面側でメダルの払い出しを直接検知して検知精度を高める構成にすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
大きさの異なる複数種類のメダルを扱うメダル払出装置の全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
11…スロットマシン
15…メダル払出装置
30…ベース傾斜面
35…メダル払出通路
46…回転送り通路
47b,47c…位置決めピン
48…払出誘導片
48b…傾斜面
48d…接触始端部
51…払出プレート
51f…長孔
51g…丸孔
M1…大径メダル
M2…小径メダル
A1…大径誘導位置
A2…小径誘導位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数枚のメダルを貯留するホッパと、
前記ホッパの底部に回転自由に配設され、該ホッパに貯留されているメダルを自重により降下させて受け入れるメダル受入口を上面に有し、前記メダル受入口に受け入れられた最下層のメダルを平面姿勢のまま回転送りするガイド羽根を下面に有し、該メダル受入口に連通する下方のベースとの対向面間に、メダルが平面姿勢で通過可能な通路空間を外周面側に連通させてなる回転送り通路を有する回転ディスクと、
前記回転ディスクを回転させる駆動機構と、
前記駆動機構により回転される回転ディスクの回転に伴い前記回転送り通路に導かれたメダルを、回転送り方向の外周面に開口して接続されるメダル払出通路に向けて1枚ずつ回転送りし、送られてきたメダルを前記回転送り通路側からメダル払出通路側に方向変換させて払い出すメダル払出機構と、
を備えたメダル払出装置であって、
前記メダル払出通路を高位側に設定して前記ベースを傾斜配置し、
前記メダル払出機構は、
前記ベースの上面に前記回転送り通路側からメダル払出通路側にメダルを方向変換させる払出誘導片を備え、該払出誘導片が規定メダルの大きさに対応してガイドする第1誘導位置と、
小径メダルの大きさに対応してガイドする第2誘導位置とに配置変更可能に構成した
メダル払出装置。
【請求項2】
前記メダル払出機構は、
少なくとも前記払出誘導片と、前記回転送り通路と前記メダル払出通路との分岐位置に対向して配設される一方の払出ローラと、他方の払出プレートとを備え、
前記払出プレートは、
底部を基準とする山形状を有し、その頂部を境とする一側の稜線長さ及び稜線形状を規定メダル払出ガイド用とし、他側の稜線長さ及び稜線形状を小径メダル払出ガイド用とし、
中央部には前記底面を基準に表裏反転させて前記規定メダル払出ガイド用と小径メダル払出ガイド用との向きを切り替える切替手段を備えて構成した
請求項1に記載のメダル払出装置。
【請求項3】
前記払出誘導片のメダルと最初に接触する接触始端部を前記回転送り通路の通路底面に沿設し、且つ該接触始端部に傾斜面を備えて構成した
請求項1または2に記載のメダル払出装置。
【請求項4】
前記払出誘導片を、
前記ベースの軸支部を基点に前記第1誘導位置と第2誘導位置との向きに配置変更可能に構成した
請求項1、2または3に記載のメダル払出装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のメダル払出装置を備えた遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−221881(P2011−221881A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91921(P2010−91921)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】