説明

メチルアミン類の製造方法

【課題】触媒の活性低下を抑制し、長期間にわたって触媒を連続使用可能なメチルアミン類の製造法を提供する。
【解決手段】[1]アンモニアとメタノールおよびメチルアミン混合物とを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しトリメチルアミン量を減少させる不均化工程、[2]不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の全量または一部とアンモニアおよびメタノールとを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しメチルアミン類の生成を行う主反応工程、[3]主反応工程と不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部との混合物を加圧条件下で蒸留し該混合物中のトリメチルアミンを塔頂よりアンモニアとの混合物として留出させる蒸留工程の操作の結合によるメチルアミン類の製造において、反応流体と熱媒流体との熱交換により触媒層内の最低温度と最高温度の温度差を20℃以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノールとアンモニアの気相接触反応によりメチルアミン類を製造する方法に関する。より詳しくは、メチルアミンを安定的にかつ安価に連続合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メチルアミン類は一般には固体酸触媒の存在下、メタノールとアンモニアを気相中300〜400℃で反応させることにより製造される。通常この反応ではモノメチルアミン(以下MMAと記す)、ジメチルアミン(以下DMAと記す)、トリメチルアミン(以下TMAと記す)の混合物が生成する(以下MMA、DMA、TMA混合物をメチルアミン混合物と記す)。反応で得られたメチルアミン混合物はその後分離精製工程で精製され、それぞれ化学薬品や農薬、医薬、試料等の原料として広く利用されている。しかし、これらのメチルアミンの需要は一様ではなく、その市場の95%以上をMMAとDMAが占め、TMAは5%程度にすぎない。また、メチルアミン混合物の分離精製は一般に蒸留により行われるが、MMAおよびDMAとTMAとの沸点差が小さいこと、およびTMAがMMA、DMAと共沸するという理由から、3種類のメチルアミンを効率的に分離することは容易でないため、合理的なメチルアミン類の製造プロセスを確立するためにはこれらの点を考慮する必要がある。
【0003】
従来の一般的なメチルアミン類の製造方法によれば、主反応工程において固体酸触媒の存在下に生成したメチルアミン混合物と、過剰に供給したアンモニア、未反応のメタノール、および副生成物の水を含む混合物は、第一蒸留操作(アンモニア分離塔)においてアンモニアまたは、アンモニアとメチルアミン混合物の一部が留出し、その留出物は主反応工程または不均化工程に循環される。第二蒸留塔(TMA分離塔)ではMMAおよびDMAとTMAとの沸点差が小さいこと、およびTMAがMMA、DMAと共沸するという理由から水による抽出蒸留でTMAを留出させ、缶出液を第三蒸留塔(脱水塔)に供給しMMAとDMAの混合物を留出させ、この留出物を第四蒸留塔(MMA・DMA分離塔)に供給し、塔頂からMMAを塔底からDMAを分離するプロセスをたどる。
【0004】
従来の製造法における問題点は、TMA分離塔で行う抽出蒸留はMMAとDMAに対して数倍量の抽出水を必要とするため排水量の増大を招き、また脱水塔においてその多量の抽出水を含む液の蒸留を行うことから莫大な回収エネルギーを必要とする点である。
【0005】
この問題に対し、特開平7−233125(特許文献1)、特開平8−169864(特許文献2)、特開平8−311000(特許文献3)に、アンモニアとメチルアミン混合物を平均細孔径15Å以下の固体酸触媒の存在下において接触反応に付しトリメチルアミン量を減少させる不均化工程、および不均化工程より得られる含メチルアミン混合物とメタノールおよびアンモニアとをシリル化処理した固体酸触媒の存在下において接触反応に付しメチルアミン混合物を合成し、この主反応工程で生成したメチルアミン混合物、または主反応工程で生成したメチルアミン混合物と不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部と過剰に供給したアンモニア、未反応のメタノール、および副生成物の水を含む混合物から、TMAとアンモニアを操作圧力を10〜25Kg/cm2Gとした第一蒸留工程の共沸蒸留で実質的に全量塔頂より共沸混合物として留出させ、その全量を反応系にリサイクルする方法が記載されている。この方法ではTMAをアンモニアの共沸混合物として除去可能であり、水抽出蒸留を行うTMA分離塔を必要とせず一塔蒸留塔を削減可能である。さらに莫大なエネルギーを必要とする脱水塔における抽出水の分離も必要とせず、大幅なコスト削減が可能となっている。
【0006】
しかしながら、以上述べた如きメチルアミンの製造方法において使用される触媒はいずれも固体酸触媒であり、使用により経時的に劣化が進行しメチルアミン生産量が低下するという問題点を有している。劣化の原因としては反応中に生成するアルデヒド類等の副生成物によるコーキング、シンタリング、活性点の被毒等が挙げられる。触媒劣化を引き起こす副生成物の生成を抑制するため低温で反応を行った場合、十分なメタノール転化率を得ることができずメチルアミン生産量の低下につながる。そのためメチルアミン製造においては、メチルアミン生産量の確保と触媒劣化を引き起こすアルデヒド類等の副生成物の生成抑制という点から反応温度を決定する必要がある。
【0007】
しかし、メチルアミン生成反応は発熱反応であるため断熱条件下で反応を行った場合、反応熱により触媒層内の温度は触媒層入り口温度にくらべ上昇する。そのため触媒層内で高温となる点が発生し触媒劣化を引き起こす副生生物の生成につながる。
【0008】
そこで触媒層入り口温度を最適な条件に設定し触媒層内の温度上昇を抑制することによりメチルアミン生産量を確保しつつ、副生成物の生成を抑制する方法が挙げられる。特開平9−136862(特許文献4)には触媒層を少なくとも2つ直列に設け、かつ各ゼオライト触媒層の入口と出口との温度差を5〜70℃の範囲内にそれぞれ保持することで触媒寿命を維持可能なことが記載されている。該特許では、触媒層の温度制御を各触媒層への供給物の温度を加熱もしくは冷却により所定範囲に制御することで実施している。しかし、該特許は触媒層それぞれの入口で各々冷却もしくは加熱を行わなければならず操作が煩雑であること、また主反応工程で通常一つである触媒層を少なくとも二つ以上設置しなければならず設置コストが増大するという問題点を有している。
【0009】
触媒層内の温度上昇を抑える別の手段として、反応による発生熱を反応流体と隔壁を隔てた低温熱媒流体との接触により除熱することで触媒層内の温度上昇を抑制することによりメチルアミン生産性を維持しつつ、副生成物の生成を抑制する方法が挙げられる。しかし、この方法では熱媒流体の温度・接触方法によっては必要以上に触媒層内の温度が低下しメタノール転化率が低下するため、メタノール転化率を維持するため入口温度を上昇させなければならず、それにともなう副生成物の生成量増加により触媒の劣化が進行するという問題が発生する可能性を有している。
【特許文献1】特開平7−233125号公報
【特許文献2】特開平8−169864号公報
【特許文献3】特開平8−311000号公報
【特許文献4】特開平9−136862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようにメチルアミン合成反応においては、触媒劣化を引き起こすアルデヒド類等の副生成物の生成量増加により触媒寿命が短くなるという問題点がある。本発明はメチルアミン製造プロセスにおける触媒の活性低下を抑制し、長期間にわたって触媒を連続使用可能なメチルアミン類の製造法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討した結果、[1]アンモニアとメタノールおよびメチルアミン混合物とを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しトリメチルアミン量を減少させる不均化工程、[2]不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の全量または一部とアンモニアおよびメタノールとを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しメチルアミン類の生成を行う主反応工程、[3]主反応工程から得られる含メチルアミン混合物、または主反応工程から得られる含メチルアミン混合物と不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部との混合物を加圧条件下で蒸留し該混合物中のトリメチルアミンを塔頂よりアンモニアとの混合物として留出させる蒸留工程の操作の結合によるメチルアミン類の製造において、流れ方向を並流とした主反応工程触媒層の反応流体と主反応器隔壁を隔てた熱媒流体との熱交換により、主反応工程触媒層内の最低温度と最高温度の温度差を20℃以下とすることで、メチルアミンの生産性を維持したまま触媒寿命を延長することが可能であることを見いだした。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、メチルアミンの製造プロセスにおける触媒寿命を大幅に向上することができ、長期的に触媒を連続使用することができる。これにより工業上重要であるメチルアミン類の製造をプロセス上および経済上著しく優位に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明でメチルアミン類を生成する方法は、特開平7−233125に記載のアンモニアとメタノールの混合物とを固体酸触媒の存在下において接触反応に付し、トリメチルアミン量を減少させる不均化工程、および不均化工程から得られる含メチル混合物の全量または一部とメタノールおよびアンモニアとを固体酸触媒の存在下において接触反応に付し反応を行う主反応工程および、主反応工程から得られる含メチルアミン混合物、または主反応工程から得られる含メチルアミン混合物と不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部を蒸留し、該混合物中のトリメチルアミンを実質的に全量塔頂よりアンモニアとの共沸混合物として留出させる方法である。
【0014】
主反応器に充填する固体酸触媒としては、例えばゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ等が挙げられるが、触媒活性および低TMA選択率の面から好ましくは特開平7−233125に記載のシリル化処理した固体酸触媒が挙げられる。この際の触媒層の入口温度は250〜400℃好ましくは260〜350℃であり、入口原料の窒素/炭素モル比(以下N/C比と略記する)は1.5〜5.0好ましくは2.0〜5.0である。入口温度が250℃未満では触媒活性が低いためメタノールの転化が不十分で効率が悪くなる。また、400℃を超えるとTMAの生成量が増加するため、第一蒸留塔の塔頂からTMAを実質的に全量回収できなくなること、メチルアミン以外の副生成物が生成するため純度の高いメチルアミンが得られなくなること、および触媒の経時劣化が早く進行するため好ましくない。また、主反応器入口原料のN/C比が1.5未満では、アンモニアの不足により第一蒸留塔でTMAの全量をアンモニアとの共沸混合物として回収することができなくなる。また、5.0を超えるとアンモニアの循環量が不要に高くなりアンモニアを回収するエネルギーが増大し、効率的でないので好ましくない。
【0015】
不均化反応器に充填する固体酸触媒としては、例えばゼオライト、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ等が挙げられるが、触媒活性およびTMAからMMAへの選択率の面から好ましくは平均細孔径15Å未満のものとしゼオライトが特に好ましい。平均細孔径が15Åを超えるとエチルアミンやアセトニトリルといった副生成物が生成しやすく、メチルアミンの純度が低下する為である。この際の触媒層の入口温度は280〜450℃、好ましくは290〜400℃であり、入口原料のN/C比は5.0以上、好ましくは5.5以上である。入口温度が280℃未満では触媒活性が不十分であるため効率が悪くなる。
【0016】
また、450℃を超えると副反応が著しくなり触媒の経時劣化が早く進行するため好ましくない。また、不均化反応器入口原料のN/C比が5.0未満では、主反応器入口原料のN/C比を1.5以上に保つことができず、第一蒸留塔においてアンモニアの不足によりTMAの全量をアンモニアとの共沸混合物として回収することができなくなる。
【0017】
また、主反応工程から得られる含メチルアミン混合物および、必要に応じて不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部と混合したメチルアミン混合物中のTMAを、アンモニアとの混合物として塔頂から留出させる蒸留工程は加圧条件下で行う必要がある。
【0018】
また、主反応工程におけるメチルアミンの生成反応は発熱反応であるので、触媒層内の温度上昇を抑制するため低温の熱媒流体を触媒層隔壁を隔て反応流体と接触させることにより触媒層内の温度を制御する。
【0019】
その際触媒層隔壁に供給される熱媒流体の温度は、240〜320℃好ましくは260〜300℃に設定する。熱媒温度が240℃以下では触媒層温度を必要以上に下げる結果となり、メタノール転化率が低下し生産性を下げる結果となる。また、熱媒温度が320℃以上では触媒層内の反応温度の除熱が不十分となり、触媒劣化を引き起こす副生生物の生成量増加につながる。熱媒体の種類は目的の温度まで加熱可能であれば、アルキルベンゼン組成の熱媒、アルキルナフタレン組成の熱媒、パラフィン系鉱物油組成の熱媒や溶融塩熱媒等特に限定されることはないが、本発明においてはアルキルベンゼン組成の熱媒を用いた。本発明で重要なのは、熱媒の循環方法を触媒層内の反応流体の流れ方向に対し同じ方向に循環させる並流とすることで、触媒層内の最高温度と最低温度の温度差を20℃以下、好ましくは15℃以下、さらに好ましくは10℃以下とすることが可能となり、触媒劣化の原因となる副生生物を抑制し、触媒寿命の延長が図れることを見出した点である。
【0020】
温度制御を反応流体と外部からの熱媒流体との隔壁を隔てた熱交換により行う際には、触媒層内の反応液の流れ方向に対し熱媒流体を逆の方向に流通させる向流と、同じ方向に流通させる並流とがある。触媒層入り口の反応流体と熱媒流体、触媒層出口の反応流体と熱媒流体の温度差が大きくなり熱効率が向上するため、反応流体と熱媒流体の流れ方向は向流とすることが一般的である。
【0021】
しかし、向流により除熱を行う場合触媒層内の温度が必要以上に低下するため、生産性維持のため触媒層入り口温度を過剰に上げなければならず、入り口温度上昇による副生生物生成により触媒の劣化が進行することを本発明者らは実験的に確認している。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例、および比較例により具体的に説明する。
触媒の活性低下については、劣化率としてMMAとDMAの総和の累積生産量が1000tonの時点での、生産開始時のMMAとDMAの総和の1時間あたりの生産量からの低下率で表した。なお、生産開始時のMMAとDMAの総和の生産量をA0(ton/hr)、累積生産量B(ton)でのMMAとDMAの総和の生産量をA1(ton/hr)とし劣化率は次の式で定義している。
劣化率(%)=((A0−A1)÷B×1000)÷A0×100
【0023】
実施例1
本発明における装置は図1に示すように主反応器(イ)、不均化反応器(ア)、第一蒸留塔(ウ)及び凝縮器(エ)を接続し、第一蒸留塔(ウ)の塔頂蒸気の一部は気相のまま取り出し圧縮機で昇圧して不均化反応器(ア)に循環し、残部は凝縮器(エ)で凝縮し第一蒸留塔(ウ)へ還流する方式である。主反応器(イ)には平均細孔径10Åのモルデナイトを2Nの塩酸で酸処理後、水分を10%含有するように調湿し、1.5mol%テトラエトキシシリケートのトルエン溶剤中でテトラエトキシシリケートとモルデナイトの割合が0.33mol/kg−モルデナイトとなる量でシリル化処理を行ったものを充填した。また、不均化反応器(ア)には上述の天然産モルデナイトを2Nの塩酸で酸処理洗浄を行ったのみの触媒を充填した。系内の圧力を19Kg/cm2Gとし、主反応器の熱交換に使用される熱媒温度を265〜270℃とし、主反応器隔壁を隔て並流にて熱交換を行い触媒層内の温度を制御した。その際、主反応器入口におけるN/C比は1.83、不均化反応器入口におけるN/C比は5.90である。
【0024】
定常状態到達後の触媒層入り口温度は284℃、触媒層内の最高温度は285℃、触媒層出口温度が最低温度であり278℃を示した。触媒層内の最高温度と最低温度の温度差は7℃である。この際メタノール転化率は85.9%、MMAとDMAの総和の生産量は17.5ton/hrであった。その後運転を継続した結果MMAとDMAの総和の累積生産量1500tonではMMAとDMAの総和の生産量が16.2ton/hrであり、劣化率は4.95%を示した。これはメタノール転化率および熱媒温度がほぼ同じで熱媒循環方法が向流である比較例1の劣化率9.42%と比較して、活性の低下が抑制されていることが分かる。
【0025】
実施例2
系内の圧力を19Kg/cm2Gとし、主反応器の熱交換に使用される熱媒温度を270〜275℃とし、主反応器隔壁を隔て並流にて熱交換を行い触媒層内の温度を制御した。その際、主反応器入口におけるN/C比は2.32、不均化反応器入口におけるN/C比は7.77とし、実施例1と同様の方法により連続反応を実施した。
【0026】
定常状態到達後の触媒層入り口温度は287℃、触媒層内の最高温度は288℃、触媒層出口温度が最低温度であり283℃を示した。触媒層内の最高温度と最低温度の温度差は5℃である。この際メタノール転化率は86.7%、MMAとDMAの総和の生産量は17.6ton/hrであった。その後運転を継続した結果MMAとDMAの総和の累積生産量3100tonではMMAとDMAの総和の生産量が16.9ton/hrであり、劣化率は1.28%を示した。これはメタノール転化率および熱媒温度がほぼ同じで熱媒循環方法が向流である比較例2の劣化率2.84%と比較して、活性の低下が大きく抑制されていることが分かる。
【0027】
比較例1
系内の圧力を19Kg/cm2Gとし、主反応器の熱交換に使用される熱媒温度を265〜270℃とし、主反応器隔壁を隔て向流にて熱交換を行い触媒層内の温度を制御した。その際、主反応器入口におけるN/C比は2.04、不均化反応器入口におけるN/C比は6.14とし、実施例1と同様の方法により連続反応を実施した。
定常状態到達後の触媒層入り口温度は296℃であり、この温度が触媒層内における最高温度であった。触媒層内の温度は入口温度から低下し、出口温度が最低温度となり272℃であった。触媒層内の最高温度と最低温度の温度差は、24℃である。この際メタノール転化率は85.4%、およびMMAとDMAの総和の生産量は17.5ton/hrであった。その後運転を継続した結果、MMAとDMAの総和の累積生産量1700tonでは、MMAとDMAの総和の生産量が14.7ton/hrであり、劣化率は9.42%であった。
【0028】
比較例2
系内の圧力を19Kg/cm2Gとし、主反応器の熱交換に使用される熱媒温度を270〜275℃とし、主反応器隔壁を隔て向流にて熱交換を行い触媒層内の温度を制御した。その際、主反応器入口におけるN/C比は2.70、不均化反応器入口におけるN/C比は8.97とし、実施例1と同様の方法により連続反応を実施した。
【0029】
定常状態到達後の触媒層入り口温度は297℃であり、この温度が触媒層内における最高温度であった。触媒層内の温度は入口温度から低下し、出口温度が最低温度となり272℃であった。触媒層内の最高温度と最低温度の温度差は、25℃である。この際メタノール転化率は87.1%、およびMMAとDMAの総和の生産量は17.6ton/hrであった。その後運転を継続した結果MMAとDMAの総和の累積生産量2200tonではMMAとDMAの総和の生産量が16.5ton/hrであり、劣化率は2.84%であった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明によるメチルアミン類の製造工程図
【符号の説明】
【0031】
ア 不均化反応器
イ 主反応器
ウ 第一蒸留塔
エ 凝縮器
1 メタノール
2 アンモニア
3 主反応原料
4 メチルアミン混合物
5 第一蒸留塔塔頂蒸気
6 第一蒸留塔缶出液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[1]アンモニアとメタノールおよびメチルアミン混合物とを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しトリメチルアミン量を減少させる不均化工程、[2]不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の全量または一部とアンモニアおよびメタノールとを固体酸触媒の存在下に気相接触反応に付しメチルアミン類の生成を行う主反応工程、[3]主反応工程から得られる含メチルアミン混合物、または主反応工程から得られる含メチルアミン混合物と不均化工程から得られる含メチルアミン混合物の一部との混合物を加圧条件下で蒸留し該混合物中のトリメチルアミンを塔頂よりアンモニアとの混合物として留出させる蒸留工程の操作の結合によるメチルアミン類の製造において、流れ方向を並流とした主反応工程触媒層の反応流体と主反応器隔壁を隔てた熱媒流体との熱交換により、主反応工程触媒層内の最低温度と最高温度の温度差を20℃以下とすることを特徴とするメチルアミン類の製造方法。
【請求項2】
熱媒流体の温度が240〜320℃の範囲内である請求項1記載のメチルアミン類の製造方法。
【請求項3】
主反応工程の入口における原料の窒素/炭素モル比が1.5〜5.0、触媒層の入口温度が250〜400℃の範囲内である請求項1記載のメチルアミン類の製造方法。
【請求項4】
不均化工程における入口原料の窒素/炭素モル比が5.0以上、触媒層の入口温度が280〜450℃の範囲内である請求項1記載のメチルアミン類の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−161637(P2007−161637A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358959(P2005−358959)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】