説明

メチレン架橋選択的アンドロゲン受容体調節剤及びその使用方法

本発明は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARM)である、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(ARTA)を提供する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及び同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、単独で使用しても組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性のADAMに関連する病気)の治療。(c)ADIFに関連する病気の治療。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator:SARM)である、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)を提供する。これらのSARM化合物は、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変調、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、その内因性アンドロゲンとの活性を介して男性の性的発育及び機能の誘導を仲立ちする、リガンドが活性化された転写調節タンパク質である。アンドロゲンは、一般に、男性ホルモンとして知られている。男性ホルモンは、体内で睾丸及び副腎の皮質により生成される、又は実験室で合成されるステロイドである。アンドロゲン性ステロイドは、男性の性的特徴(例えば、筋肉や骨量)の発育及び維持、前立腺の成長、精子形成、及び男性の髪状態などの、多数の生理学的過程において重要な役割を果たす(Matsumoto, Endocrinol. Met. Gun. N. Am. 23: 857-75, 1994)。前記した内因性のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンやジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)がある。テストステロンは、睾丸から分泌される主要なステロイドである。また、テストステロンは、男性の血漿中に含まれている主要な循環アンドロゲンである。テストステロンは、多くの末梢組織で、5αレダクターゼによってDHTに変換される。したがって、DHTは、ほとんどのアンドロゲン作用において、細胞内媒介物としての機能を果たすと考えられている(Zhou, et al., Molec. Endocrinol. 9: 208-18, 1995)。他のステロイド性アンドロゲンとしては、テストステロンのエステル類(例えば、シピオネート、プロピオン酸、フェニルプロピオン酸、シクロペンチルプロピオネート、イソカルポレート(isocarporate)、エナント酸、及びデカン酸エステル)や、他の合成アンドロゲンがある。前記合成アンドロゲンとしては、例えば、7−メチル−ノルテストステロン(7-Methyl-Nortestosterone:MENT)や、その酢酸エステルなどがある(Sundaram et al., "7 Alpha-Methyl-Nortestosterone(MENT): The Optimal Androgen For Male Contraception," Ann. Med., 25:199-205, 1993, "Sundaram")。ARは男性の性的発育及び機能に関与しているので、ARは効果的な男性避妊や他のホルモン補充療法の目的に有望である。
【0003】
世界的な人口増加に伴って家族計画に対する社会意識が高まったことにより、避妊についての多くの調査が行われた。どのような場合でも、避妊は難しい問題である。それは、文化的及び社会的不名誉、宗教的な意味合い、そして、間違いなく、重大な健康上の懸念を伴っている。こうした状況は、この問題を男性避妊について焦点を当てた場合は、とても深刻である。適切な避妊具を利用できるのにもかかわらず、従来、社会は、避妊の決断とその結果についての責任は女性にあると見なしていた。また、性病への関心は、安全で責任のある性癖を向上させる必要性を、男性により強く意識させるようになったが、女性は依然として頻繁に避妊具の選択の矢面に立たされている。女性は、スポンジやペッサリー(diaphragm)などの一時的な機械的器具から、殺精子剤などの化学的器具まで、多くの選択肢を有している。また、女性は、例えば避妊リング(intrauterine device:IUD)や子宮頚管キャップなどの物理的器具という、より長持ちする選択肢を有している。同様に、女性は、経口避妊薬や皮下植込錠などの化学的処置という、より長持ちする選択肢を有している。しかしながら、今日まで、男性が利用できる選択肢は、コンドームとパイプカットだけであった。コンドームの使用は、性的感度の減少、性的な自然さの障害、及び破損や誤用により妊娠する可能性が高いことにより、多くの男性にとって好まれてはいない。パイプカットもまた好まれてはいない。もし、男性がより便利な避妊方法を利用できれば、特に、準備が不要で、性行為の直前に作用し、長時間持つ方法があれば、そのような方法は男性が避妊に対してより多くの責任を取るようになる可能性を著しく増大させるであろう。
【0004】
この点について、男性ステロイド(例えば、テストステロン及びその派生物)の投与は、それらの化合物のゴナドトロピン抑制とアンドロゲン代用特性との組み合わせにより、特に有望である(Steinberger et al., "Effect of Chronic Administration of Testosterone Enanthate on Sperm Production and Plasma Testosterone, Follicle Stimulating Hormone, and Luteinizing Hormone Levels: A Preliminary Evaluation of a Possible Male Contraceptive, " Fertility and Sterility 28: 1320-28, 1977)。大量のテストステロンの長期投与は、精子増殖を完全に止める(無精子症)、又は精子増殖をとても低いレベルまで減少させる(精子減少)。不妊症を実現するために、ある程度の精子形成の抑制が必要であるということは、正確には知られていない。また、世界保健機関(World Health Organization:WHO)による最近の報告では、週1回のテストステロン・エナント酸の筋肉注射は、無精子又は重度の精子減少(例えば、精子は3百万個/ml未満となる)をもたらし、治療を受けた男性の98%が不妊症となることが分っている(World Health Organization Task Force on Methods And Regulation of Male Fertility, "Contraceptive Efficacy of Testosterone-Induced Azoospermia and Oligospermia in Normal Men, " Fertility and Sterility 65: 21-29, 1996)。
【0005】
筋肉注射後にゆっくりと吸収されて男性ホルモン作用を強める、様々な種類のテストステロン・エステルが開発されている。テストステロン・エナント酸は、それらのエステルの中で最も幅広く使用されている。テストステロン・エナント酸は、男性避妊用のホルモン剤を実現するという点で有益である。しかし、週1回の注射が必要であることや、筋肉注射の直後にテストステロンのピーク水準が生理的環境を超えることなどのいくつかの欠点を含んでいる(Wu, "Effects of Testosterone Enanthate in Normal Men: Experience From a Multicenter Contraceptive Efficacy Study," Fertility and Sterility 65: 626-36, 1996)。
【0006】
ARと結合し、アンドロゲン(例えば、テストステロン・エナント酸)又は抗アンドロゲン(例えば、酢酸シプロテロン)としての機能を果たすステロイド性のリガンドは、長年知られており臨床的に使用されている(Wu 1988)。また、非ステロイド系の抗アンドロゲンはホルモン依存性前立腺癌の臨床に用いられるが、非ステロイド系のアンドロゲンは報告されていない。このため、男性の避妊についての研究は、もっぱらステロイド系合成物に集中している。
【0007】
前立腺癌は、アメリカ合衆国の男性に最も頻繁に発生する癌の1つであり、毎年、数十万人もの新しい患者が診断されている。残念なことに、新しく診断された患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分っている。この問題に対する1つの方法は、検診によって前立腺癌を早期に発見し、それによって進行性の前立腺癌患者の数を減少させることである。また、他の方法は、前立腺癌を予防する薬剤を開発することである。50歳以上の全男性の3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3〜14%)から90代(40〜80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性な癌の発生頻度は著しく異なっている。これは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たしていることを示唆している。したがって、前立腺癌の治療方法及び予防方法の開発は、前立腺癌について医学的及び経済的に大きな全体的な影響を与えるであろう。
【0008】
骨粗鬆症は全身性の骨疾患であり、骨量が減少し骨組織が劣化するという特徴がある。そのため、骨の脆弱性が増し、骨折しやすくなる。アメリカ合衆国では、この病気は、毎年、2500万人以上の人々に影響を与えており、1300万人以上の人々に害を与えている(毎年、50万人が背骨を骨折し、25万人が股関節を骨折し、24万人が手首を骨折している)。股関節の骨折は骨粗鬆症の最も深刻な結果であり、毎年、患者の5〜20%は死亡し、生存者の50%以上が再起不能となっている。高齢者は、骨粗鬆症となる危険が最も高い。そのため、この問題は高齢化社会が進むにつれて著しく増加すると予測される。世界中での骨折の発生率は、次の60年間で3倍になると予測されている。そして、ある調査では、2050年には世界中で4500万人の股関節骨折が起こると推測している。
【0009】
女性は、男性よりも骨粗鬆症となる危険性が高い。女性は、閉経後の5年間で、骨量が急激に減少する。危険性を高める他の要因としては、喫煙、アルコールの過剰摂取、ほとんど運動しない生活習慣、及びカルシウム摂取の不足がある。また、骨粗鬆症は、男性にも高い頻度で発生する。男性の骨ミネラル濃度が年を取ると共に減少するということはよく知られている。ミネラル含有量及び濃度の減少は、骨強度の減少と相関しており、骨折しやすくなる。非再生組織での性ホルモンの多面発現効果の基礎をなす分子構造は、まだ理解され始めたばかりであるが、アンドロゲン及びエストロゲンの生理的濃度が、生涯を通じて骨の恒常性に対して重要な役割を果たすということは明らかである。したがって、アンドロゲン又はエストロゲンの欠乏が生じると、結果として骨再形成の割合が増加し、再吸収と形成のバランスが、骨量の全体的な損失の原因となる再吸収の方に傾く。男性では、壮年時における性ホルモンの自然的な減少は(アンドロゲンの末梢組織における芳香化から生じるエストロゲンと同様の低いレベルまで、アンドロゲンが減少する)、骨のもろさと関係がある。このことは、去勢された男性にも見られる。
【0010】
高齢男性におけるアンドロゲンの減少(Androgen Decline In The Aging Male:ADAM)は、アンドロゲン生成の進行性の減少が原因であり、中年以降の男性によく見られる。この症候群は、アンドロゲン環境と相関関係にある身体的領域及び知的領域の変質に特徴があり、アンドロゲン環境の操作により修正することができる。ADAMは、生化学的に、血清アンドロゲンの減少だけではなく、他のホルモン(例えば、成長ホルモン、メラトニン、及びデヒドロエピアンドロステロン)の減少に特徴がある。臨床的な徴候としては、倦怠感、憂うつ、性欲減退、性的不全、勃起不全、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少、良性前立腺過形成、貧血、情緒及び認識力の変動、及び前立腺癌がある。
【0011】
女性におけるアンドロゲンの欠乏(Androgen Deficiency In Female:ADIF)は、様々なホルモン関連の病気が原因であり、中年以降の女性によく見られる。この症候群は、性的不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少、骨粗鬆症、認識力及び情緒の変動、貧血、憂うつ、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳癌、子宮癌、及び卵巣癌という特徴がある。
【0012】
筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、及び/又は進行性の筋肉の弱体化及び退化が原因で起こる。前記筋肉としては、運動を司る骨格筋又は随意筋、心拍制御を行う心筋、及び平滑筋がある。慢性の筋肉疲労は、進行性の筋量の減少、筋肉の弱体化及び退化を特徴とする慢性症状(長期に渡って持続する)である。筋肉疲労中に起こる筋量の減少は、筋肉タンパクを破壊又は分解するという性質を持っている。タンパク分解は、異常に高い率のタンパク質分解、異常に低い率のタンパク質合成、又はそれらの組み合わせにより起こる。タンパク質分解は、高度のタンパク質分解に起因する場合でも、低度のタンパク質合成に起因する場合でも、筋量の減少と筋肉疲労をもたらす。筋肉疲労は、慢性、神経性、遺伝性又は伝染性の、病状、疾病、疾患又は状態と関連している。それらの病状としては、筋ジストロフィー(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーや、筋強直緊張性ジストロフィー)、筋萎縮(例えば、ポリオ後筋萎縮。Post-Polio Muscle Atrophy:PPMA)、悪液質(例えば、心臓悪液質や、エイズ悪液質及び癌悪液質)、栄養失調、ハンセン病、糖尿病、腎臓病、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)、癌、末期腎不全、気腫、骨軟化症、HIV感染、エイズ、及び心筋症がある。さらに、他の環境や状況が筋肉疲労と関係あり、筋肉疲労の原因となる。それらは、慢性的な腰痛、老化、中枢神経系の損傷、末梢神経の損傷、脊髄の損傷、化学的損傷、中枢神経系の傷害、末梢神経の傷害、脊髄の傷害、化学的傷害、熱傷、手足が固定化されたときに生じる廃用症、病気又は負傷のための長期間の入院、及びアルコール依存症などがある。筋肉疲労を治療しないまま放置すると、悲惨な健康状態となる。例えば、筋肉疲労の間に起こる変化は、健康状態を悪化させ個人の健康に害を及ぼす。その結果、感染症にかかりやすくなり、一般状態不良をもたらし、負傷しやすくなる。
【0013】
次の(a)〜(g)に有効である化合物を開発するために、基礎科学と臨床レベルの両方において新規で革新的なアプローチが緊急に必要とされている。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変調、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent : ARTA)を提供する。この物質は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator : SARM)化合物の新しいサブクラスを定義する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及び同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、単独で使用しても組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるADAMに関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、疲労、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)ADIFに関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0015】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Iで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0016】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0017】
ある実施形態では、化学構造式IにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式IにおけるXはCHである。ある実施形態では、化学構造式IにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IにおけるYはメタ位置にある。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Iで定義したとおりである。

【0019】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Iで定義したとおりである。

【0020】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIa又はIIbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0021】
ある実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるYはメタ位置にある。
【0022】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式IIIで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0023】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0024】
ある実施形態では、化学構造式IIIにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるXはCHである。ある実施形態では、化学構造式IIIにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるQはFである。
【0025】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式IIIで定義したとおりである。

【0026】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式IIIで定義したとおりである。

【0027】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IVa又はIVbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0028】
ある実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIVa又はIVbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるQはFである。
【0029】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Vで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Xは、結合部又はCHであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHである。
【0030】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0031】
ある実施形態では、化学構造式VにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式VにおけるXはCHである。他の実施形態では、化学構造式IVにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるYはCFである。ある実施形態では、化学構造式VにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるQはFである。
【0032】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Vで定義したとおりである。

【0033】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Vで定義したとおりである。

【0034】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIa又はVIbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0035】
ある実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるYはCFである。ある実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるQはFである。
【0036】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0037】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0038】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIa又はVIIbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0039】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0040】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0041】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIa又はVIIIbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0042】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0043】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0044】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IXa又はIXbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0045】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0046】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0047】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Xa又はXbの化合物の類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0048】
ある実施形態では、化学構造式I〜XのいずれかのSARM化合物は、アンドロゲン受容体作動薬である。他の実施形態では、化学構造式I〜XのいずれかのSARM化合物は、生体内でのアンドロゲン拮抗薬である。
【0049】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式I〜XのいずれかのSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又な希釈液とを含んでいる組成物を提供する。
【0050】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式I〜XのいずれかのSARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、医薬品、水和物、N酸化物又はそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又な希釈液とを含んでいる医薬組成物を提供する。
【0051】
他の実施形態では、本発明は、選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法を提供する。この方法は、アンドロゲン受容体に、選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物をアンドロゲン受容体に結合させるのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0052】
他の実施形態では、本発明は、患者の精子形成を抑制する方法を提供する。この方法は、患者のアンドロゲン受容体に、精子形成を抑制するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0053】
他の実施形態では、本発明は、男性患者の避妊方法を提供する。この方法は、患者に、精子形成を抑制するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0054】
他の実施形態では、本発明は、ホルモン療法を提供する。このホルモン療法は、アンドロゲン依存症の患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0055】
他の実施形態では、本発明は、ホルモン補充療法を提供する。このホルモン補充療法は、患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせとを接触させる過程を含んでいる。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、ホルモンに関連する病気の患者を治療する方法を提供する。この方法は、患者に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌を予防する方法を提供する。この方法は、患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅延させるのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0060】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の再発を予防する方法を提供する。この方法は、患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、前立腺癌の再発を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0062】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを治療する方法を提供する。この方法は、ドライアイの患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0063】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを予防する方法を提供する。この方法は、患者に、ドライアイを予防するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0064】
他の実施形態では、本発明は、癌細胞のアポトーシスを誘導する方法を提供する。この方法は、細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量の化学構造式I〜Xのいずれかの選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0065】
本発明に係る新規である選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物は、単独で使用しても医薬組成物として使用しても、次の(a)〜(g)に有効である。(a)男性避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるADAMに関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、疲労、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、肥満、筋肉減少症、骨減少症、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調などがある。(c)ADIFに関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0066】
本発明に係るSARM化合物は、ステロイド性アンドロゲン治療を大幅に進歩させる。本発明に係る選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及び同化作用を示す。本発明に係るその他の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を示す。このように、本発明に係るSARM化合物を用いた治療は、深刻な副作用、投与の不便さ、又はコストの高さなどの欠点はない。そして、経口による生物学的利用能、他のステロイド受容体との交差反応の欠如、及び長期間の生化学的半減期といった長所も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
ある実施形態では、本発明は、新しい種類のアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent : ARTA)を提供する。この物質は、選択的アンドロゲン受容体調節剤(selective androgen receptor modulator : SARM)化合物の新しいサブクラスを定義する。このSARM化合物のいくつかは、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬアンドロゲン活性及び同化作用を有することが分った。別のSARM化合物は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしての予期せぬ抗アンドロゲン活性を有することが分った。これらのSARM化合物は、単独で使用しても組成物として使用しても、次の(a)〜(h)に有効である。(a)男性避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるADAMに関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、疲労、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)ADIFに関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変化、うつ病、貧血、脱毛症、肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0068】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Iで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0069】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Iの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0070】
ある実施形態では、化学構造式IにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式IにおけるXはCHである。ある実施形態では、化学構造式IにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IにおけるYはメタ位置にある。
【0071】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Iで定義したとおりである。

【0072】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0073】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Iで定義したとおりである。

【0074】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0075】
ある実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはFである。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるQはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるZはパラ位置にある。他の実施形態では、化学構造式IIa又はIIbにおけるYはメタ位置にある。
【0076】
置換基Z及びYは、それらの置換基を有する環(以下、「環A」という)のどの位置にあってもよい。ある実施形態では、置換基Zは、環Aのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基Yは、環Aのメタ位置にある。他の実施形態では、置換基Zは環Aのパラ位置にあり、置換基Yは環Aのメタ位置にある。
【0077】
置換基Qは、その置換基を有する環(以下、「環B」という)のどの位置にあってもよい。ある実施形態では、置換基Qは、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはNHCOCHであり、環Bのパラ位置にある。他の実施形態では、置換基QはFであり、環Bのパラ位置にある。
【0078】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式IIIで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【0079】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IIIの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0080】
ある実施形態では、化学構造式IIIにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるXはCHである。ある実施形態では、化学構造式IIIにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IIIにおけるQはFである。
【0081】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式IIIで定義したとおりである。

【0082】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0083】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、G、T、R、Z、Y、Qは、上記した化学構造式IIIで定義したとおりである。

【0084】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IVbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0085】
ある実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるGはOである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるTはOHである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるRはCHである。他の実施形態では、化学構造式IIVa又はIVbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるYはCFである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式IVa又はIVbにおけるQはFである。
【0086】
ある実施形態では、本発明は、次の化学構造式Vで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

ただし、Xは、結合部又はCHであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHである。
【0087】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Vの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0088】
ある実施形態では、化学構造式VにおけるXは結合部である。他の実施形態では、化学構造式VにおけるXはCHである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるYはCFである。ある実施形態では、化学構造式VにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式VにおけるQはFである。
【0089】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Vで定義したとおりである。

【0090】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。なお、Z、Y、Qは、上記した化学構造式Vで定義したとおりである。

【0092】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0093】
ある実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるZはNOである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるZはCNである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるYはCFである。ある実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるQはNHCOCHである。他の実施形態では、化学構造式VIa又はVIbにおけるQはFである。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0095】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0096】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0097】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0098】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0099】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0101】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式VIIIbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0102】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0103】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0104】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0105】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式IXbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0106】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0107】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xaの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0108】
他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbで表される選択的アンドロゲン受容体作調節剤(SARM)化合物を提供する。

【0109】
ある実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の類似体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の誘導体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の異性体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の代謝産物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の薬学的に許容される塩を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の医薬品を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の水和物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物のN酸化物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の不純物を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物のプロドラッグを提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の多形体を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の結晶を提供する。他の実施形態では、本発明は、化学構造式Xbの化合物の類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、不純物、プロドラッグ、多形体、結晶の任意の組み合わせを提供する。
【0110】
《定義》
ここでは、置換基Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、ハロゲン、アルケニル、又はヒドロキシル(OH)基と定義する。
【0111】
“アルキル”基は、直鎖型、分枝型及び環状の飽和脂肪族炭化水素である。ある実施形態では、アルキル基は、1〜12個の炭素を有する。他の実施形態では、アルキル基は、1〜7個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜6個の炭素を有する。ある実施形態では、アルキル基は、1〜4個の炭素を有する。アルキル基は、ハロゲン基、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、 チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。
【0112】
“ハロアルキル”基は、先に定義したアルキル基を一つ又は複数のハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br又はI)で置換したものである。
【0113】
“アリル”基は、少なくとも一つの炭素環式芳香族基又は複素環式芳香族基を有する芳香族基である。アリル基は、ハロゲン基、ハロアルキル基、水酸基、アルコキシ・カルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボニル基、チオ基、及びチオアルキル基から成る群より選択される一つ又は複数の基と置換又は無置換される。アリル環としては、例えば、フェニル、ナフチル、ピラニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピリジニル、フラニル、チオフェニル、チアゾリル、イミダゾリル、イソオキサゾリルなどがある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0114】
“ヒドロキシル”基は、OH基である。“アルケニル”基は、少なくとも一つの炭素間二重結合を有する基である。ハロゲン基は、F、Cl、Br又はIである。
【0115】
“アリルアルキル”基は、アリル基と結合したアルキル基である。なお、アルキル基とアリル基は、先に定義したとおりである。アリルアルキル基としては、例えば、ベンジル基がある。
【0116】
ここに定義するように、本発明は、SARM化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物又はそれらいずれかの組み合わせの使用に関するものである。ある実施形態では、本発明は、SARM化合物の類似体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の誘導体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の異性体の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の代謝産物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の薬学的に許容される塩の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の医薬品の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物の水和物の使用に関する。他の実施形態では、本発明は、SARM化合物のN酸化物の使用に関する。
【0117】
ここで定義される“異性体”という用語は、光学異性体とその類似体、構造異性体とその類似体、及び配座異性体とその類似体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0118】
ある実施形態では、本発明は、SARMの様々な光学異性体の使用を含む。本発明に係るSARMが少なくとも一つのキラル中心を有していることは、当業者にとって周知である。したがって、本発明に係る方法で使用されるSARMは、光学的活性体又はラセミ体内で、存在しており、単離されている。ある化合物は、多形性を示す。当然のことながら、本発明は、前述したアンドロゲンに関連する病気の治療に有効である特性を有する、任意のラセミ体、光学活性体、多形型、立体異性形状、又はそれらの混合物を含む。ある実施形態では、SARMは、純粋な(R)異性体である。他の実施形態では、SARMは、純粋な(S)異性体である。他の実施形態では、SARMは、(R)異性体と(S)異性体との混合物である。他の実施形態では、SARMは、同量の(R)異性体と(S)異性体とを含むラセミ混合物である。当該技術分野では、光学活性体を生成する方法は周知である(例えば、再結晶法によるラセミ体の分解、光学体活体開始物質の合成、キラル合成、又はキラル固定相を使用したクロマトグラフ分離など)。
【0119】
本発明は、例えばクエン酸や塩酸のような有機酸又は無機酸を有するアミノ置換化合物の“薬学的に許容される塩”を含む。また、本発明は、ここに記載した化合物のアミノ置換基のN酸化物を含む。薬学的に許容される塩は、例えば水酸化ナトリウムのような無機塩基を処理することにより、フェノール化合物から生成することもできる。また、フェノール化合物のエステルは、脂肪酸カルボン酸と芳香族カルボン酸(例えば、酢酸エステルと安息香酸エステル)から生成することもできる。
【0120】
本発明は、さらに、SARM化合物の誘導体を含む。“誘導体”という用語は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミノ誘導体、エステル誘導体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。さらに、本発明は、SARM化合物の水和物を含む。“水和物”という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0121】
本発明は、さらに、SARM化合物の代謝産物を含む。“代謝産物”という用語は、代謝作用又は代謝過程によって、別の物質から生成された物質を意味する。
【0122】
本発明は、さらに、SARM化合物の医薬品を含む。“医薬品”という用語は、医薬品としての使用に適した組成物を意味する。
【0123】
本発明は、さらに、SARM化合物のプロドラッグを含む。“プロドラッグ”という用語は、加水分解、エステル化、ジエステル化、活性化、塩生成などの反応によりインビボで生物活性物質に変換される物質を意味する。
【0124】
本発明は、さらに、SARM化合物の結晶を含む。さらに、本発明は、SARM化合物の多形体を提供する。“結晶”という用語は、結晶状態の物質を意味する。“多形体”という用語は、特別な物理的性質(例えば、X線回折、IRスペクトル、融点など)を有する、物質の特別な結晶状態を意味する。
【0125】
《選択型アンドロゲン調節剤化合物の生物活性》
選択型アンドロゲン調節剤化合物は、前述した次の(a)〜(g)に有効なアンドロゲン受容体標的物質(androgen receptor targeting agent:ARTA)の新しい種類である。(a)男性の避妊。(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。ADAMに関連する病気としては、例えば、疲労、うつ病、性欲減退、生殖機能不全、インポテンツ、性腺機能低下症、骨粗鬆症、脱毛症、貧血、肥満、筋肉減少症、骨減少症、オステオポローシス、前立腺肥大症、気分及び認識力の変調、及び前立腺癌などがある。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。ADIFに関連する病気としては、例えば、生殖機能不全、性欲減退、性腺機能低下症、筋肉減少症、骨減少症、骨粗鬆症、認識及び気分の変調、貧血、脱毛症 肥満、子宮内膜症、乳ガン、子宮癌、及び卵巣癌などがある。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。
【0126】
ここで使用される、細胞外シグナル伝達分子の受容体は、まとめて“細胞シグナル伝達受容体”と呼ばれている。多くの細胞シグナル伝達受容体は、細胞表面上の膜貫通タンパク質である。それらの受容体は、細胞外シグナル伝達分子(すなわちリガンド)と結合すると活性化し、細胞の行動を変える細胞内シグナル伝達のカスケードを生成する。その一方、ある場合では、受容体は細胞の内部にあり、それらの受容体を活性化するためには、シグナル伝達リガンドは細胞内に進入しなければならない。そのため、それらのシグナル伝達分子は、細胞の血漿膜を透過して拡散できるように、充分に小さく、疎水性である必要がある。
【0127】
ステロイドホルモンは、小さな疎水性分子の一例であって、標的細胞の血漿膜を透過して直接的に拡散し、細胞内細胞シグナル伝達受容体と結合する。これら受容体は、構造的に関連しており、細胞内受容体スーパーファミリー(又はステロイドホルモン受容体スーパーファミリー)を構成する。ステロイドホルモン受容体としては、プロゲステロン受容体、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、グルーコルチノイド(glueocorticoid)受容体、及び硬質コルチノイド受容体がある。ある実施形態では、本発明は、特に、アンドロゲン受容体を対象とする。
【0128】
リガンドが受容体に結合するのに加えて、リガンド結合を妨げるべく受容体をブロックすることもできる。物質が受容体に結合する場合、ボール及びソケット立体配置において、3次元受容体構造物質によって作成された空間に、物質の3次元構造が適合する。ボールがソケットに巧く適合すればするほど、それは堅固に保持される。この現象は、親和性と呼ばれる。物質の親和性がオリジナルのホルモンと比較して高ければ高いほど、ホルモンと競合し、より頻繁に結合部位と結合する。一度結合すると、信号は受容体を介して細胞内へと送信され、何らかの方法で細胞を反応させる。このことを活性化と呼ぶ。活性化すると、活性化された受容体は、その後、特定遺伝子の転写を直接的に調整する。ただし、細胞を活性化するために、物質及び受容体は、親和性以外のいくつかの特性を有している。物質の原子と、受容体の原子との間には、化学結合が生ずる。ある場合には、これは、活性化プロセスを開始する(シグナル伝達と呼ばれる)のに充分な受容体の立体配置の変化を導く。
【0129】
ある実施形態では、本発明は、アゴニスト化合物としての選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を対象とする。アゴニスト受容体は、受容体に結合しそれらを活性化させる物質である。したがって、ある実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、ステロイド性ホルモン受容体に結合して活性化するのに有効である。ある実施形態では、本発明に係るアゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に結合するアゴニストである。他の実施形態では、アゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に対して高い親和性を有する。また、他の実施形態では、アゴニスト化合物は、同化作用を有する。他の実施形態では、本発明は、アンドロゲン受容体に対する非ステロイド性リガンドとしてのアゴニスト活性及び同化作用を有する選択的アンドロゲン調節剤化合物を提供する。
【0130】
他の実施形態では、本発明は、アンタゴニスト化合物である他の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を対象とする。アンタゴニスト受容体は、受容体に結合して、それらを不活性にする物質である。したがって、ある実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、ステロイドホルモン受容体に結合し不活性にするのに有効である。ある実施形態では、本発明に係るアンタゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に結合するアンタゴニストである。他の実施形態では、アンタゴニスト化合物は、アンドロゲン受容体に対して高い親和性を有する。
【0131】
さらに他の実施形態では、本発明に係るSARM化合物は、部分的ARアゴニスト/アンタゴニストとして分類することもできる。SARMはある組織内ではアゴニストであり、AR反応遺伝子の転写を増加させる(例えば、筋肉同化効果)。他の組織内では、SARM化合物はARにおいて阻止因子して機能し、天然アンドロゲンのアゴニスト効果を予防する。
【0132】
本発明に係る化合物がARアゴニストかアンタゴニストかを判断するための分析方法は、当該技術分野では周知である。例えば、ARアゴニスト活性は、SARM化合物のARを含んでいる組織(例えば、前立腺や精嚢)の成長を維持及び/又は刺激する能力を、重量測定によりモニタリングすることで測定できる。ARアンタゴニスト活性は、AR含有組織の成長を阻害するSARM化合物の能力を、モニタリングすることで測定できる。
【0133】
本発明に係る化合物は、アンドロゲン受容体と可逆的又は不可逆的に結合する。ある実施形態では、アンドロゲン受容体は、哺乳類のアンドロゲン受容体である。他の実施形態では、アンドロゲン受容体は、ヒトのアンドロゲン受容体である。ある実施形態では、SARM化合物は、哺乳類(例えば、ヒト)のアンドロゲン受容体に可逆的に結合する。受容体に対する化合物の可逆的な結合は、結合後に化合物が受容体から脱離できることを意味する。
【0134】
他の実施形態では、SARM化合物は、哺乳類(例えば、ヒト)のアンドロゲン受容体と不可逆的に結合する。したがって、ある実施形態では、本発明に係る化合物は、アンドロゲン受容体(すなわち共有結合構造)のアルキル化が可能な、官能基(例えば、親和性標識)を有していても良い。その場合、SARM化合物は、受容体に対し不可逆的に結合する(したがって、内在性リガンドDHTやテストステロンなどのステロイドによって置換されない)アルキル化因子である。ここでは、“アルキル化因子”という用語は、DNA、RNA及び酵素などの細胞成分をアルキル化する(共有結合を形成する)因子と定義する。アルキル化因子は高い反応性を有する化学物質であり、アルキル・ラジカルを生物学的に活性な分子内に取り込むことによりその正常な機能を阻害する。アルキル化成分は、細胞成分の求核性成分と相互作用する親電子基である。
【0135】
本発明のある実施形態では、本発明に係るSARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法を提供する。この方法は、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させるのに効果的な条件で、アンドロゲン受容体に、SARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。アンドロゲン受容体にSARM化合物を結合させることによって、本発明に係る化合物が男性避妊と多くのホルモン療法に有効になる。アゴニスト化合物はアンドロゲン受容体と結合し、アンドロゲン受容体を活性化する。アンタゴニスト化合物はアンドロゲン受容体と結合し、アンドロゲン受容体を不活性にする。アゴニスト又はアンタゴニスト化合物の結合は、可逆的であってもよいし、不可逆的であってもよい。
【0136】
本発明の他の実施形態では、患者の精子形成を抑制する方法を提供する。この方法は、患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及び精子形成を抑制するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、男性患者の避妊方法を提供する。この方法は、患者に、精子形成を抑制するに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、ホルモン療法を提供する。このホルモン療法は、アンドロゲン依存症の患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0139】
本発明の他の実施形態では、ホルモン補充療法を提供する。このホルモン補充療法は、アンドロゲン依存症の患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0140】
本発明の他の実施形態では、ホルモンに関連する病気の患者(アンドロゲン依存症の患者)を治療する方法を提供する。この治療方法は、前記患者のアンドロゲン受容体に、SARM化合物をアンドロゲン受容体に結合させる及びアンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0141】
本発明によって治療することができるアンドロゲン依存症としては、例えば、性腺機能低下症、筋肉減少症、赤血球新生、骨粗鬆症、アンドロゲン(例えば、テストステロン)のレベルが低いことが原因である他の症状などの高齢に関連する病気が挙げられる。
【0142】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌を治療する方法を提供する。この治療方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0143】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌を予防する方法を提供する。この予防方法は、患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0144】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の進行を遅延させる方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅延させるのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0145】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の再発を予防する方法を提供する。この方法は、患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0146】
本発明の他の実施形態では、前立腺癌の再発を治療する方法を提供する。この方法は、前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0147】
さらには、アンドロゲン受容体を刺激することによって涙の生成が促進されるので、本発明に係るSARM化合物はドライアイの治療に用いることができる。そのため、本発明の他の実施形態では、ドライアイを治療する方法を提供する。この方法は、ドライアイの患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0148】
他の実施形態では、本発明は、ドライアイを予防する方法を提供する。この方法は、患者に、患者のドライアイを予防するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含んでいる。
【0149】
他の実施形態では、本発明は、癌細胞のアポトーシスを促進する方法を提供する。この方法は、細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量のSARM化合物、及び/又はその類似体、異性体、代謝産物、誘導体、薬学的に許容される塩、医薬品、N酸化物、水和物、プロドラッグ、結晶、多形体、又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含んでいる。
【0150】
ここで定義されている“接触”という用語は、本発明に係るSARMが、試験管、フラスコ、組織培養、チップ、アレイ、プレート、マイクロプレート、毛細管などの内部にある、酵素を含有するサンプル内に導入され、SARMが酵素に結合可能な温度又は時間で培養することを意味する。サンプルに、SARM又は他の特異結合成分を接触させる方法は、当業者に周知であり、実施する分析方法の種類に応じて選択することができる。また培養方法は標準的なものであり、当業者に周知である。
【0151】
他の実施形態では、“接触”という用語は、本発明に係るSARM化合物が治療対象の患者に投与され、インビボでSARM化合物がアンドロゲン受容体と接触可能であることを意味する。
【0152】
ここで使用される“リビドー”という用語は、性的衝動を意味する。
【0153】
ここで使用される“勃起”という用語は、勃起可能であることを意味する。勃起組織は、大きく拡張可能で、多くの血管が膨張することによって硬直する組織のことである。
【0154】
“性腺機能低下症”は、生殖腺の機能活性の異常低下により生じる又は特徴付けられる病気であり、性的な成長及び発育の遅滞を伴う。“骨減少症”は、石灰化の減少又は骨密度の減少である。これは、そのような病気が顕著である骨格系すべてを含む用語である。
【0155】
“骨粗鬆症”は、カルシウムや骨タンパク質の不足に起因する骨質量の減少を伴う、骨が薄くなることである。骨粗鬆症は、骨折しやすくなる。また、骨折すると、治るのが遅くなったり、うまく治らなかったりする。検査されていない骨粗鬆症は、姿勢の変化、身体の異常、及び可動性の減少をもたらす。
【0156】
“BPH(benign prostatic hyperplasia:前立腺肥大症)”という用語は、良性の前立腺肥大を意味する。BPHは、任意の臓器に見られる最も一般的な良性の増殖異常であり、成人男性における疾病率の主たる原因である。BPHは、50歳の男性の75%以上に発生し、90歳代迄には有病率は88%にも達する。BPHは、しばしば、前立腺を横切る尿道(尿道前立腺部)の一部を段階的に圧迫する。このことは、膀胱が完全に空にならないので、患者に頻繁に尿意を覚えさせる。尿流の妨げは、排尿の制御不能(所望時に排尿開始することの障害を含む)、残留尿による失禁防止の困難をもたらす。溢流性尿失禁は、尿路閉塞と排尿の失敗をもたらす。
【0157】
“認識(cognition)”という用語は、知るプロセス、とりわけ、気づいている、知っている、考えている、学んでいる、及び判断しているなどのプロセスを意味する。認識とは、心理学、言語学、コンピュータサイエンス、神経科学、数学、動物行動学、及び哲学の分野に関連する。“気分”という用語は、気質又は気持ちの状態である。ここに定義するように、変化は、認識及び/又は気分におけるポジティブ又はネガティブな任意の変化を意味する。
【0158】
“うつ病”という用語は、肉体、気分、及び意識を含めた病気のことであり、その人が食事をしたり睡眠を取ったり、自己確認したり、物事について考察する行動に影響を与える。うつ病の兆候及び症候としては、活動に対する興味の消失、過食又は拒食、感情の消失、無気力、絶望感、悲観、罪悪感又は孤独感、社会逃避、疲労、睡眠障害、集中力低下、記憶障害、決断障害、情動不安、頭痛、消化不良、又は慢性的痛みがある。
【0159】
“脱毛症”という用語は、医学的には脱毛(alopecia)として知られており、とても一般的なタイプの男性型脱毛症のことである。脱毛症は、一般的には、頭皮の部分的な脱毛より始まり、その後、完全な脱毛状態になることもあり、体毛脱毛を伴うこともある。脱毛症とは男性及び女性の双方に生じる。
【0160】
“貧血”という用語は、血液中で、赤血球数通常数よりも少ない、又はヘモグロビン含有量が通常よりも少ない状態を意味する。このとき、血液の酸素運搬量は、減少する。貧血の人は、すぐに疲労感を覚え、蒼白となり、動悸を覚え、息切れする。貧血は次の4つの主要な原因(a〜d)によって引き起こされる。a)出血(失血)、b)溶血(赤血球の過剰破壊)、c)赤血球生成不足、及びd)異常ヘモグロビン。貧血には様々なタイプがあり、再生不良性貧血、ベンゼン中毒、ファンコーニ貧血、新生児溶血性疾患遺伝性球状赤血球症、鉄欠乏性貧血、大理石骨病、悪性貧血、鎌状細胞貧血、地中海貧血症、脊髄形成異常症候群、及び様々な骨髄疾患などがある。ここに定義するように、本発明のSARM化合物は、上記した貧血の一つ又は複数のタイプの貧血の予防及び/又は治療に有効である。
【0161】
“肥満”という用語は、正常な体重を大きく超過した状態を意味する。従来、理想的な体重を20%超過すると肥満であると考えられてきた。肥満は、肥満度指数(Body to Mass Index:BMI)が30以上であるとして国立衛生研究所(National Institute of Health:NIH)によってより正確に定義されてきた。肥満は、しばしば多因子性であり、遺伝的及び行動的な要素の双方に起因する。肥満による体重超過は、健康に大きく関係する。例えば、次のような様々な病気となるリスクを増大させる。2型(成人)糖尿病、高血圧、脳卒中(脳血管障害すなわちCVA(cerebrovascular accident))、心臓麻痺(心筋梗塞すなわちMI(myocardial infarction))、心不全(うっ血性心不全)、癌(前立腺、大腸、直腸癌など)、胆石及び胆嚢の病気(胆嚢炎)、痛風及び痛風関節炎、膝、臀部及び下背の骨関節炎(変性性関節炎)、睡眠時無呼吸(睡眠時の呼吸不全、血中酸素濃度の低下)、及びピックウィック症候群(肥満、赤面、呼吸低下、及び傾眠)など。ここに定義するように、“肥満”という用語は、上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つを含む。従って、本発明に係るSARM化合物は、肥満及び上述した肥満に関連する状態及び病気のいずれか一つの予防及び/又は治療に有効である。
【0162】
“前立腺癌”という用語は、米国の男性に最も頻繁に発生する癌の一つであり、毎年、数百から数千人の新規患者が前立腺癌であると診断されている。前立腺癌であると診断された新規患者の60%以上が病理的に進行しており、不治であり予後は思わしくないことが分っている。50歳以上の全男性の3分の1は、生命にかかわる臨床的な前立腺癌の形態を活性化させる潜在性の前立腺癌を有している。潜在性の前立腺腫瘍の発生頻度は、50代(5.3〜14%)から90代(40〜80%)までの間で、10年間毎に大幅に増加することが知られている。全ての文化、民族及び人種の間で潜在性の前立腺癌を有している人が同じように増えているが、臨床的に悪性な癌の発生頻度は著しく異なっている。これは、潜在性の前立腺癌を活性化させる上で、環境の要因が重要な役割を果たしていることを示唆している。
【0163】
《医薬品組成物》
本発明に係る治療方法は、一実施形態では、SARM化合物及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶或いはこれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体と又は希釈液を含んでいる医薬品組成物を投与する過程を含む。
【0164】
本明細書中の“医薬品組成物”は、薬学的に許容される担体又は希釈液と共に、「効果的な量」の活性化成分(すなわちSARM化合物)を含んでいる組成物である。
【0165】
本明細書中における“効果的な量”は、与条件及び投薬計画について治療効果を与える量を意味する。本明細書中で用いられるSARM化合物の“効果的な量”は、1〜500mg/日の範囲である。一実施形態では、用量は1〜100mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は100〜500mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は45〜60mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は15〜25mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は55〜65mg/日の範囲である。他の実施形態では、用量は45〜60mg/日の範囲である。SARM化合物は、1日1回の投与してもよいし(その場合、1回で、1日分投与する)、1日2回、1日3回など毎日複数回に分けて投与してもよい。また、SARM化合物は、1日おき、週に3日、週に4日、週に5日など断続的に投与してもよい。
【0166】
ここで使用される“治療”という用語は、疾患を軽減する治療は勿論のこと、予防をも含んでいる。ここで使用される“減少”、“抑止”及び“抑制”という用語は、一般的な解釈では、「低下」又は「減少」の意味である。ここで使用される“促進(facilitating)”という用語は、一般的な解釈では、割合の増加を意味する。ここで使用される“助長(promoting)”という用語は、増加を意味する。ここで使用される“進行”という用語は、範囲や重傷度の増大、進行、成長、又は悪化を意味する。
【0167】
ここで使用される“投与”という用語は、患者に、本発明に係るSARM化合物を接触させることを意味する。ここで使用される投与は、インビトロ(すなわち試験管内)又はインビボ(すなわち、例えばヒトなどの生体の細胞又は組織内)で実施される。ある実施形態では、患者は、哺乳類である。他の実施形態では、患者は、ヒトである。
【0168】
SARM薬剤を含んでいる医薬品組成物は、当業者に周知の方法(例えば、非経口、側癌的(paracanceraly)、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹膜内、脳室内、脳内、膣内又は腫瘍内)によって、患者に投与される。
【0169】
一実施形態では、医薬品組成物は、経口投与されるので、経口投与に適した形状(すなわち、固体又は液体製剤)に形成される。適切な固形の経口製剤としては、錠剤、カプセル、ピル、顆粒、ペレットなどがある。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などなどがある。本発明の一実施形態では、SARM化合物はカプセル状に形成される。この実施形態では、本発明に係る組成物は、SARM活性化合物及び不活性担体(又は希釈液)に加えて、硬ゲル化カプセルを含む。
【0170】
さらに、他の実施形態では、医薬品組成物は、液体製剤の静脈内注射、動脈内注射又は筋肉内注射によって投与される。適切な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳濁液、油などがある。一実施形態では、医薬品組成物は、静脈内投与に適した形状に形成され、静脈内に投与される。他の実施形態では、医薬品組成物は、動脈内投与に適した形状に形成され、動脈内に投与される。他の実施形態では、医薬品組成物は、筋肉内投与に適した形状に形成され、筋肉内に投与される。
【0171】
さらに、他の実施形態では、医薬品組成物は、局所性投与に適した形状に形成され、体の表面に局所的に投与される。適切な局所性製剤としては、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、液滴などがある。局所的な投与のためには、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)が調製され、薬品担体を用いて、又は用いることなく、生理学的に認容されている希釈液として、水溶液、懸濁液、又は乳状液として投与される。
【0172】
さらに、他の実施形態では、医薬品組成物は、直腸座薬や尿道座薬などの座薬として投与される。さらに、他の実施形態では、医薬品組成物は、ペレットの皮下埋め込みによって投与される。さらなる実施形態では、ペレットは、長時間にわたるSARM薬剤の徐放をもたらす。
【0173】
他の実施形態では、活性化合物は、小胞(特にリポソーム)に送達してもよい(Langer, Science 249:1527-1533 (1990)、Treat et al., in Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler (eds.), Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, ibid, pp. 317-327)。
【0174】
本明細書中における「薬学的に許容される担体又は希釈液」は、当業者に周知である。担体又は希釈液としては、固体製剤のための固体担体又は希釈液、液体製剤のための液体担体又は希釈液、又はその混合物がある。
【0175】
固体担体/希釈液として、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、予めゲル化された(pregeletanized)デンプン)、糖(例えば、乳糖、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖)、セルロース系材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリル酸塩(例えば、ポリメチルアクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、滑石、又はこれらの混合物がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0176】
液体製剤の場合、薬学的に許容される担体としては、水溶性又は非水性の溶液、懸濁液、乳濁液、又は油がある。非水溶媒の例としては、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールや、オレイン酸エチルなどの注射用有機エステルがある。水溶性担体としては、水、アルコール性/水溶性の溶液、乳濁液、又は生理食塩水及び緩衝培地を含む懸濁液がある。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0177】
非経口賦形剤(皮下注射、静脈内注射、動脈内注射、又は筋肉内注射用)としては、塩化ナトリウム溶液、リンガーブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガーオイル及び固定油がある。経静脈賦形剤としては、液体及び栄養補充薬、電解質補充薬(例えば、リンガーブドウ糖に基づくもの)などがある。一例としては、界面活性剤及び他の薬学的に許容されるアジュバントを添加した、又は添加しない、水や油などの無菌液がある。一般に、水、生理食塩水、水溶性ブドウ糖や関連糖液、及びプロピレン・グリコール又はポリエチレン・グリコールなどのグリコールは、特に、注射用溶液に適した液体担体である。油の例としては、石油、動物性、植物性、又は合成されたものがある(例えば、ラッカセイ油、大豆油、鉱油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油)。
【0178】
また、組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、澱粉グリコール酸エステルナトリウム)、種々のpH及びイオン強度の緩衝液(例えば、トリス−HCI、アセテート、リン酸塩)、界面に対する吸収を予防するためのアルブミン又はゼラチンのような添加物、洗剤(例えば、トウィーン20、トウィーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼインヒビター、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透エンハンサー、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、粘度上昇剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアールガム)、甘味料(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸エステル類)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン・グリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)、被覆及び膜形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩)、及び/又はアジュバントをさらに含むことができる。
【0179】
一実施形態では、ここで提供される医薬品組成物は、投与後にSARM化合物を長時間に渡って放出する徐放組成物である。徐放又は持続放出組成物としては、脂溶性の持続性薬剤(例えば、脂肪酸、ワックス、オイル)がある。他の実施形態では、医薬品組成物は、投与後の全てのSARM化合物を直ちに放出する即放組成物である。
【0180】
さらに他の実施形態では、医薬品組成物は、徐放システムによって送達される。例えば、薬剤は、静脈内注入、植込型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与形態により投与される。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Langer, supra; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987)、Buchwald et al., Surgery 88:507 (1980); Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321:574 (1989))。他の実施形態では、高分子材料を使用することができる。さらに他の実施形態では、徐放システムは、治療ターゲットすなわち脳に近接して設けられることが可能である。その場合、必要とされるのは全身投与量のほんの一部である(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp.115-138 (1984)を参照)。他の徐放システムは、Langer(Science 249:1527-1533 (1990))によるレビューに記載されている。
【0181】
また、組成物は、ポリマー化合物、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなどの粒子状製剤や、リポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層又は多層状の小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロプラストへの活性物質を取り込むことができる。そのような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでの排出速度に影響を与える。
【0182】
本発明は、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)で被覆された粒子状組成物を含む。また、組織特異受容体、リガンド又は抗原に対する抗体と結合した、或いは組織特異受容体のリガンドと結合した化合物も本発明に含まれる。
【0183】
また、本発明は、水溶性ポリマー(例えば、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・グリコールとポリプロピレン・グリコールのコポリマー、カルボキシメチル・セルロース、デキストラン、ポリビニル・アルコール、ポリビニルピロリドン又はポリプロリン)の共有結合によって修飾された化合物を含む。なお、修飾化合物は、対応する無修飾化合物の場いと比較して、静脈注射後、血液中において著しく長い半減期を示すことが知られている(Abuchowski et al., 1981; Newmark et al., 1982; and Katre et al., 1987)。また、そのような修飾は、水溶液中における化合物の溶解度を高め、凝集を予防し、化合物の物理的及び化学的安定性を向上させ、化合物の免疫原性及び反応性を著しく低下させる。そのため、無修飾化合物の場合よりも低い頻度又は少ない投与量でポリマー化合物付加物を投与することにより、インビボでの望ましい生物学的活性が得られる。
【0184】
活性化要素を有する医薬組成物の作成は、当該技術分野で周知である(例えば、混合、顆粒化又は錠剤形成によって作成する)。活性治療成分はしばしば、薬学的に許容され活性化成分と適合する賦形剤と混合される。経口投与の場合、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、この目的に使用されることが慣例となっている添加物(例えば、賦形剤、安定剤又は不活性希釈液など)と混合され、慣例的な方法によって投与に適した形状(例えば、錠剤、コート錠、硬又は軟ゼラチンカプセル、水溶性、アルコール性又は油性溶液)に変更される。非経口投与の場合は、SARM薬剤又はその誘導体であって生理学的に耐容性を示すもの(例えば、塩、エステル、N酸化物など)は、所望であればこの目的に用いられることが慣例になっている適切な物質(例えば、可溶化剤など)によって、溶液、懸濁液又は乳濁液に変更される。
【0185】
活性化要素は、中和された薬学的に許容される塩の形で、医薬組成物内に配合することができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸)や有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸)によって形成される酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基で形成される)がある。遊離カルボキシル基から形成された塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム又は水酸化第二鉄や、有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなど)などからも得られる。
【0186】
医学的に使用するために、SARMの塩は、薬学的に許容される塩になり得る。また、他の塩は、本発明に係る化合物又はその薬学的に許容される塩の作成に使用される。本発明に係る化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば、本発明に係る化合物の溶液と、薬学的に許容される酸(例えば、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸)の溶液とを混合することによって形成した酸付加塩がある。
【0187】
ある実施形態では、本発明に係る方法は、唯一の活性化成分としてSARM化合物を投与する過程を含む。また一方、1つ又は複数の治療薬と一緒にSARM化合物を投与する過程を含む、次の(a)〜(h)の方法も本発明の範囲に含まれる。(a)男性の避妊、(b)様々なホルモンに関連する病気(例えば、高齢男性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Aging Male:ADAM)に関連する病気)の治療。(c)女性におけるアンドロゲン減少(Androgen Decline in Female:ADIF)に関連する病気の治療。(d)急性及び/又は慢性の筋萎縮症の治療及び/又は予防。(e)ドライアイの治療及び/又は予防。(f)経口アンドロゲン補充療法。(g)前立腺癌の発病率の減少、又は前立腺癌の停止又は退行。(h)癌細胞のアポトーシスの促進。前記治療薬としては、HRH類似体、可逆的抗アンドロゲン、抗エストロゲン、抗癌剤、5−αレダクターゼ阻害剤、アロマターゼ阻害剤、プロゲスチン、又は別の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0188】
したがって、ある実施形態では、本発明は、LHRH類似体と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、可逆的抗アンドロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗エストロゲンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、抗癌剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、5−αレダクターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、アロマターゼ阻害剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、プロゲスチンと一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、他の核ホルモン受容体を介して作用する薬剤と一緒に投与される、選択的アンドロゲン受容体修飾化合物を含んでいる組成物及び医薬組成物を提供する。
【0189】
当業者であれば、本発明は上記した内容に限定されるものではないことは容易に理解できるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学構造式Iで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項2】
次の化学構造式Iで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Gは、O又はSであり、
Xは、結合部又はCHであり、
Tは、OH、OR、−NHCOCH又はNHCORであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHであり、
は、CH、CHF、CHF、CF、CHCH又はCFCFである。
【請求項3】
Xは、結合部であることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項4】
Xは、CHであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項5】
Gは、Oであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項6】
Zは、NOであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項7】
Zは、CNであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項8】
Yは、CFであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項9】
Qは、NHCOCHであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項10】
Qは、Fであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項11】
Tは、OHであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項12】
R1は、CHであることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項13】
Qは、パラ位置にあることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項14】
Zは、パラ位置にあることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項15】
Yは、メタ位置にあることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項16】
次の化学構造式IIaで表されることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項17】
次の化学構造式IIbで表されることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項18】
アンドロゲン受容体作動薬であることを特徴とする請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項19】
請求項1記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする組成物。
【請求項20】
効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする医薬組成物。
【請求項21】
選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法であって、
前記アンドロゲン受容体に、前記選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を前記アンドロゲン受容体に結合させるのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
患者の精子形成を抑制する方法であって、
前記患者のアンドロゲン受容体に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
男性患者の避妊方法であって、
前記患者に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
ホルモン療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
ホルモン補充療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
ホルモンに関連する病気の患者を治療する方法であって、
前記患者に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前立腺癌を治療する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
前立腺癌を予防する方法であって、
患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
前立腺癌の進行を遅らせる方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅らせるのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
前立腺癌の再発を予防する方法であって、
患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前立腺癌の再発を治療する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
ドライアイを治療する方法であって、
ドライアイの患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
ドライアイを予防する方法であって、
患者に、ドライアイを予防するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
癌細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、
前記細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量の請求項1に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
次の化学構造式Vで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

ただし、Xは、結合部又はCHであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHである。
【請求項36】
次の化学構造式Vで表される選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせ。

ただし、Xは、結合部又はCHであり、
Zは、NO、CN、COOH、COR、NHCOR又はCONHRであり、
Yは、CF、F、I、Br、Cl、CN、CR又はSnRであり、
Qは、アルキル、F、Cl、Br、I、CF、CN、CR、SnR、NR、NHCOCH、NHCOCF、NHCOR、NHCONHR、NHCOOR、OCONHR、CONHR、NHCSCH、NHCSCF、NHCSR、NHSOCH、NHSOR、OR、COR、OCOR、OSOR、SOR又はSRである。或いは、Qは、次の構造式A、B又はCで表される縮合環システムのベンゼン環と結合するようなものからなる。

Rは、アルキル、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、CHF、CHF、CF、CFCF、アリル、フェニル、F、Cl、Br、I、アルケニル又はOHである。
【請求項37】
Xは、結合部であることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項38】
Zは、NOであることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項39】
Zは、CNであることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項40】
Yは、CFであることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項41】
Qは、NHCOCHであることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項42】
Qは、Fであることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項43】
次の化学構造式VIaで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項44】
次の化学構造式VIbで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項45】
次の化学構造式VIIaで表されることを特徴とする請求項35に記載の化合物。

【請求項46】
次の化学構造式VIIbで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項47】
次の化学構造式VIIIaで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項48】
次の化学構造式VIIIbで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項49】
次の化学構造式IXaで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項50】
次の化学構造式IXbで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項51】
次の化学構造式Xaで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項52】
次の化学構造式Xbで表されることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。

【請求項53】
アンドロゲン受容体作動薬であることを特徴とする請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物。
【請求項54】
請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせと、適切な担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする組成物。
【請求項55】
効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせと、薬学的に許容される担体又は希釈液とを含んでいることを特徴とする医薬組成物。
【請求項56】
選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物をアンドロゲン受容体に結合させる方法であって、
前記アンドロゲン受容体に、前記選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物を前記アンドロゲン受容体に結合させるのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項57】
患者の精子形成を抑制する方法であって、
前記患者のアンドロゲン受容体に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項58】
男性患者の避妊方法であって、
前記患者に、精子形成を抑制するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項59】
ホルモン療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項60】
ホルモン補充療法であって、
患者のアンドロゲン受容体に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項61】
ホルモンに関連する病気の患者を治療する方法であって、
前記患者に、アンドロゲン依存状態に変化をもたらすのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
前立腺癌を治療する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌を治療するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項63】
前立腺癌を予防する方法であって、
患者に、前立腺癌を予防するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項64】
前立腺癌の進行を遅延させる方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の進行を遅延させるのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項65】
前立腺癌の再発を予防する方法であって、
患者に、前立腺癌の再発を予防するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項66】
前立腺癌の再発を治療する方法であって、
前立腺癌の患者に、前立腺癌の再発を治療するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項67】
ドライアイを治療する方法であって、
ドライアイの患者に、ドライアイを治療するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
ドライアイを予防する方法であって、
患者に、ドライアイを予防するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを投与する過程を含むことを特徴とする方法。
【請求項69】
癌細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、
前記細胞に、癌細胞のアポトーシスを促進するのに効果的な量の請求項35に記載の選択的アンドロゲン受容体調節剤化合物、及び/又はその類似体、誘導体、異性体、代謝産物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N酸化物、プロドラッグ、多形体、結晶又はそれらの任意の組み合わせを接触させる過程を含むことを特徴とする方法。

【公表番号】特表2006−506369(P2006−506369A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544890(P2004−544890)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2003/032511
【国際公開番号】WO2004/035738
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(504326686)ユニバーシティ・オブ・テネシー・リサーチ・ファウンデーション (22)
【Fターム(参考)】