説明

メディア再生装置

【課題】メディア再生装置のカスタマイズ状態に応じてゲーム要素の生成ができ、もってユーザの独自性を発揮すること。
【解決手段】保存されたメディアデータから、関連する属性情報を取得し、この属性情報に対応したオブジェクトをリストから選出してゲーム中に生成するメディア再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲再生やゲームをすることができるメディア再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば特許文献1の「メディアプレーヤー」のように、楽曲再生やゲームをすることができるメディア再生装置が知られている。また、ゲームについては、特許文献2にあるように、ゲーム中でのユーザの操作に応じてアイテムやキャラクタなどのゲーム要素を生成するものがあり、このような仕様は人気がある。そして、メディア再生装置においてもオブジェクト生成ができるようなゲームを行いたいという要望があった。
【0003】
【特許文献1】特表2006−524877号公報
【特許文献2】特開2008−142268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、メディア再生装置は、ユーザの個性に応じて好みの楽曲を選んで保存し、自分独自の楽曲リストを作るなどのカスタマイズで楽しむ方法がとられている。そこで、上述のように、メディア再生装置においてゲーム要素の生成をともなうゲームを行う場合も、メディア再生装置のカスタマイズ状態に応じてゲーム要素の生成がなされるような仕様が望ましい。しかし、従来の技術では、このような仕様を実現する具体的方法が存在していない。
【0005】
また、メディア再生装置のコンピュータ機能を生かして、本来のメディア再生装置の目的である楽曲の再生のみならず、ゲームをも行なえるように構成し、その際にキャラクタやアイテム等のゲーム要素を生成可能とするようにするためには、ゲーム要素の生成に必要なメディア再生装置の操作が可能な限り簡単で、また、通常の楽曲の再生操作と近似した操作であることが望ましい。即ち、通常の楽曲を選曲する感覚で、ゲーム要素を生成することを可能とすることが、メディア再生装置でゲームを遊ぶことに対するユーザの抵抗が少なく、ゲームを楽しんでもらえる機会を大きくすることが出来るからである。
【0006】
また、ユーザのメディア再生装置のカスタマイズ状態に応じてゲーム要素の生成がなされるような構成とするためには、ユーザの楽曲のメディア再生装置における格納状態、即ち、どのような楽曲が当該ユーザのメディア再生装置に格納されているかを判定して、当該楽曲に適合したゲーム要素を生成するためのプログラムを準備する必要があり、プログラムが複雑・大規模化してしまう不都合がある。このように、ゲーム要素を生成するためのプログラムが大規模化することは、本来楽曲が格納されるべきメモリ領域を狭めてしまうこととなるばかりか、メディア再生装置のような処理能力の小さなコンピュータではその処理に時間が掛かってしまい、メディア再生装置本来の再生機能を阻害する要因ともなる。
【0007】
そこで本発明は、これらの事情に鑑み、通常の選曲と同様な感覚でメディア再生装置のカスタマイズ状態に応じてゲーム要素の生成が簡単にでき、もってユーザの独自性を発揮することができるメディア再生装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の別の目的は、メディア再生装置のような小さなコンピュータであってもユーザのカスタマイズ状態に応じてゲーム要素の生成を、コンピュータに負担を掛けることなく可能とし、メディア再生装置本来の再生機能を極力阻害することのないメディア再生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するためになされた請求項1の発明は、画像表示可能な画像出力部15ないし液晶パネル3等のモニタと、楽曲データ、動画データ、静止画データ等のメディアデータを保存可能な記憶部と、該メディアデータを再生出力可能な音声出力部16ないしヘッドフォン5等の再生出力部と、操作盤4ないし入力部14等の入力操作部と、を有するメディア再生装置において、前記入力操作部を介して入力される入力コマンドに基づいて、前記モニタに画像を表示させつつ、ゲームを進行させるゲーム実行部17等のゲーム進行制御手段と、ゲーム中で使用可能なキャラクタやアイテム等のオブジェクトを保存するキャラクタ保存部19等のオブジェクト保存手段と、ゲーム進行中にオブジェクト生成を制御するキャラクタ生成部18等のオブジェクト生成制御手段と、を備え、前記オブジェクト生成制御手段は、前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該メディアデータに関連するヘッダー情報等の属性情報を取得するメディア管理部12等の属性情報取得手段と、前記属性情報に対応したオブジェクトを、前記オブジェクト保存手段から選出するキャラクタ生成部18等のオブジェクト選出手段と、選出したオブジェクトを前記モニタに表示出力してゲーム中に生成する画像出力部15ないし液晶パネル3等の表示出力手段とを有する、ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2及び請求項6の発明は、
前記記憶部は、前記属性情報に対応する前記オブジェクトの組み合わせを示した対照テーブルを格納しており、
前記オブジェクト選出手段は、前記属性情報取得手段が取得したあるメディアデータに関する属性情報に対応する前記オブジェクトを、前記対照テーブルを参照することで選出することを特徴として構成される。
【0011】
更に、請求項3及び請求項7の発明は、
前記対照テーブルの前記属性情報と前記オブジェクトの組み合わせを、時間の経過と共に変更して、新しい組み合わせの対照テーブルを生成するように制御する、対照テーブル生成手段を有することを特徴として構成される。
【0012】
更に、請求項4の発明は、
前記メディア再生装置は、更に、
前記記憶手段に保存された複数の前記メディアデータを、ユーザが選択可能に提示するメディアデータ提示手段を有し、
前記属性情報取得手段は、前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該コマンドにより選択された前記メディアデータに関連する属性情報を取得することを特徴として構成される。
【0013】
更に、請求項5の発明は、
画像表示可能なモニタと、メディアデータを保存可能な記憶部と、該メディアデータを再生出力可能な再生出力部と、入力操作部とを有し、
メディアデータの再生に際して、メディア再生装置により再生可能な、前記記憶部に保存された複数のメディアデータを、モニタに一覧として、ユーザが選択可能に表示する、メディアデータ提示手段及び、
前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記コマンドに応じたメディアデータを前記記憶部から読み出し、前記再生出力部を介して再生出力することが出来るメディア管理部を有するメディアデータ再生装置において、
前記入力操作部を介して入力される入力コマンドに基づいて、前記モニタに画像を表示させつつ、ゲームを進行させるゲーム進行制御手段と、
ゲーム中で使用可能なオブジェクトを保存するオブジェクト保存手段を有し、
前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該コマンドにより選択された前記メディアデータに関連する属性情報を取得する属性情報取得手段を設け、
前記属性情報取得手段により取得した前記メディアデータに関連する属性情報に対応したオブジェクトを、前記オブジェクト保存手段から選出するオブジェクト選出手段と、
選出したオブジェクトを前記モニタに表示出力してゲーム中に生成する表示出力手段とを有する、
ことを特徴として構成される。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成により、請求項1の発明によれば、メディアデータの属性情報に応じたオブジェクトがゲーム中に生成されることになるので、ユーザがメディア再生装置をカスタマイズする状態が反映され、ユーザの独自性を発揮することができる。
【0015】
また、請求項2及び請求項6の発明によれば、対照テーブルにより、属性情報に対応したオブジェクトを迅速に参照選出することが出来る。
【0016】
また、請求項3及び請求項7の発明によれば、対照テーブルの属性情報とオブジェクトの組み合わせを、時間の経過と共に変更するので、同じメディアデータであっても、時間がたつと異なるオブジェクトが選出されるように制御することが出来、複雑な選出プログラムを用いることなく、従ってメディア再生装置のコンピュータに負担を掛けることなく、簡単な構成で多様なオブジェクト選出結果を生み出すことが可能となる。
【0017】
更に、請求項4の発明によれば、ユーザは、メディアデータを、提示された複数のメディアデータの中から選択することが出来る。
【0018】
更に、請求項5の発明によれば、メディアデータ提示手段を、メディア再生装置の再生動作に使用するものと共用することが出来、機器構成を簡略化することが可能となる。また、メディア再生装置のコンピュータの負荷をそれだけ低減することが出来、メディア再生装置本来の再生機能を阻害することが極力防止される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一例であるメディア再生装置を示した模式図である。
【図2】メディア再生装置を機能的側面から説明したブロック図の一例である。
【図3】画面表示の一例を示した図である。
【図4】キャラクタ生成に関するフローチャートの一例である。
【図5】対照テーブルの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
1 メディア再生装置
18 ゲーム実行部
17 キャラクタ生成部
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
1.メディア再生装置の構成
本発明でいうメディア再生装置は、楽曲、動画、静止画像などのメディアデータを保存・再生することのできる装置のことで、その技術的実体は前記メディアデータを保存・再生できるコンピュータである。メディア再生装置の具体例としては、音楽プレーヤー、ゲーム機、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータなどがある。
【0022】
本実施形態のメディア再生装置1は、図1に示すように、手のひらサイズ箱型のケーシング2を有し、その表面側に露出して液晶パネル3が設置されている。さらに、ケーシング2の表面側にはモニタとしての液晶パネル3と並んで操作盤4が配置されている。ケーシング2内には簡易なコンピュータを構成する形で電子部品が装填され、当該コンピュータを動作させるためのオペレーティングシステムや種々のアプリケーションプログラム等が装備されている。ケーシング2の側部(図1で上側)には、コネクタ等を介して音声出力用のヘッドフォン5が着脱自在に接続されている。
【0023】
次に、メディア再生装置1の構成を、図2に示すように機能面から説明する。メディア再生装置1は、ハードウエアとソフトウエアが相まって形成される構成要素として、主制御部10、データ管理部11、メディア管理部12、記憶部13、入力部14、画像出力部15、音声出力部16、ゲーム実行部17、キャラクタ生成部18、キャラクタ保存部19等を有している。メディア再生装置1は、他のコンピュータ等である外部装置とケーブル接続やネットワーク接続することにより、あるいはCDや半導体メモリなどの記録媒体に直接アクセスすることによりプログラムやデータを授受できる。
【0024】
2.ゲームプログラムの構成
ゲームプログラムは、メディア再生装置などのコンピュータにゲームを行わせるプログラムであり、該ゲームの進行中にゲーム要素の生成を制御するプログラムのことでもある。ゲームの具体例としては、ロールプレイングゲーム、アドベンチャーゲーム、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、パズルゲーム、その他、様々な種類のゲームが適用可能である。またゲーム要素の具体例としては、ゲーム中で使用するアイテムや、キャラクタ、その他、様々な種類のオブジェクトが可能である。本実施形態のゲームプログラムは、後述するようにユーザの操作によってゲーム中で使用できるキャラクタの生成が可能なものである。ゲームプログラムの具体的構成については、説明および理解の便宜上、動作説明の箇所にて説明することとする。
【0025】
3.動作説明
3−1.メディアデータの保存と再生
メディア再生装置1のデータ管理部11は、図示しないケーブル接続での外部装置との接続、あるいはメモリーカードなどの記憶媒体を介することで、外部からデータを取り込み、ハードディスクドライブや半導体メモリなどでできた記憶部13に保存自在となっている。メディア管理部12は、記憶部13に保存されたデータのうち、楽曲データ、動画データ、静止画データ等のメディアデータを管理する。たとえば、ユーザが操作盤4を操作することで、操作盤4から入力部14に所定の選曲コマンドが出力され、入力部14が当該選曲コマンドを受取り、メディア管理部12はこのコマンドに基づいて、メディアデータの選択や再生などの処理を行う。この処理を行う際には、操作の指示や確認のための適宜な画面表示を画像出力部15を介して液晶パネル3に出力表示させる。また、メディアデータの再生の際には、楽曲や画像を、音声出力部16や画像出力部15を介してヘッドフォン5や液晶パネル3に出力させる。
【0026】
より具体的には、ユーザがメディア再生装置1を用いて、該メディア再生装置1に格納された楽曲を再生してヘッドフォン5などにより鑑賞する場合には、まず操作盤4を操作して、図3(a)に示すように(図3(a)は、後述するキャラクタ生成画面であるがメディアデータの選択画面も図中「キャラクタ生成」なる表示がないだけでそのほかは同一なので、便宜上同じ図面で説明する)、選曲ガイダンス画面を表示させる。この選曲ガイダンス画面は、選曲をユーザが操作盤4を操作してマニュアルで行なうか、メディア再生装置側で自動で行なうかを選択するものであり、図中「楽曲指定」とあるコマンドを操作盤4を操作することで選択すると、選曲をユーザが操作盤4を操作してマニュアルで行なうことが入力部14を介してメディア管理部12に指令され、「おすすめ」を選択すると、メディア管理部12が、所定の選曲プログラムに基づいて、自動的に楽曲を選択することが、メディア管理部12に指令される。
【0027】
ユーザが、「楽曲指定」とあるコマンドを選択して、マニュアルによる選曲をメディア管理部12に指令すると、メディア管理部12は、図3(b)に示すように、記憶部13に記録された後述するメディアデータから、ユーザが選曲可能な楽曲、従ってメディア再生装置1により再生可能な楽曲を、ユニークIDなどの楽曲識別番号と対応する曲名からなる再生楽曲データとして読み出し、液晶パネル3などの表示部3に画像出力部15を介して、ユーザが操作盤4を介してそれら各楽曲を選択可能な一覧の形で表示する。
【0028】
この状態で、図3(b)の図中矢印が示すように、ユーザが操作盤4を介して、表示部3に表示された再生可能な楽曲の一覧から、ある1曲を選択すると、対応する選曲コマンドがメディア管理部12に対して出力され、メディア管理部12は、当該選曲コマンドに示された、ユーザにより選択された楽曲のユニークIDを判定する。当該判定されたユニークIDから、該ユニークIDに対応する楽曲データを記憶部13から読み出して、音声出力部10を介してヘッドフォン5から楽曲データに対応する楽曲を出力し、ユーザに提供する。こうして、楽曲データの再生動作は行なわれる。
【0029】
なお、ユーザが、図3(a)で、「おすすめ」を選択した場合には、メディア管理部12が、所定の選曲プログラムに従って再生すべき楽曲を自動的に選択し、記憶部13から対応する楽曲データを読み出して、音声出力部16を介して、ヘッドフォン5から同様に再生することで、再生動作は行なわれる。
【0030】
なお、ここで、メディアデータとは、ユーザが外部のメモリ素子やコンピュータなどから取り込んだ楽曲データであり、記憶部13には、こうした楽曲データが、入力部14を介したユーザの指示により、選択的に再生自在な形で多数格納されている。このメディアデータには、それぞれヘッダー情報として、「ユニークID」、「名称」、「作成日」、「更新日」、「再生回数」、「サイズ」、「コーデック」その他諸々の情報が含まれている。メディア管理部12は、メディアデータに対する処理を行う際に、必要に応じて前記ヘッダー情報の書き換えを行う。具体例として、例えばある楽曲データのヘッダー情報は、[001、ABCD、20080801、20080808、012、1MB、MP3、・・・]となっており、その意味は、ユニークID(あるいはトラック番号、楽曲識別番号等)が001、名称(あるいは曲名やファイル名等)がABCD、作成日が2008年8月1日、更新日が2008年8月8日、再生回数が12回、サイズが1メガバイト、コーデックの種類がMP3というものである。そして例えば、この楽曲データの再生をさらに1回行って累計13回の再生回数となると、メディア管理部12は、前記ヘッダー情報のうち「再生回数」の数値012に1を加えて013として書き換える。
【0031】
3−2.ゲームプログラムの実行
メディア再生装置1のデータ管理部11は、外部からゲームプログラムを取り込み記憶部13に保存している。ゲーム実行部17は、ユーザによる操作盤4および入力部14を介して入力されたコマンドに基づいて、ゲームプログラムを実行する。すなわち、記憶部13からゲームプログラムを読み出し、当該ゲームプログラムの記載に基づいてゲームを実行する。本実施形態でのゲームの内容および実行方法については、本明細書で記載ない部分に関しては公知の手法を用いて行うものとする。
【0032】
本実施形態のゲームプログラムによるとゲーム中でキャラクタの生成を行うことができ、以下にその手順の一例を、図3の画像表示および図4のキャラクタ生成に関するフローチャートに基づいて説明する。まずキャラクタ生成部18は、画像出力部15および液晶パネル3を介して、図3(a)に示す操作案内の表示を行う(ST01)。ここでユーザが操作盤4および入力部14を介して「楽曲指定」を選択入力すると、それに応じてキャラクタ生成部18は、メディア管理部12を介して、記憶部13に保存されている楽曲データのヘッダー情報から、例えば図3(b)のように曲名をリスト形式にして表示出力する(ST02)。ユーザはこのリストに基づいて、操作盤4を操作して楽曲を選択する(ST03)。入力された選択コマンドに基づいて、キャラクタ生成部18は、メディア管理部12を介して当該楽曲の楽曲データを再生し(ST04)、音声出力部16およびヘッドフォン5を介して出力する。その際に選択され再生中の楽曲を示す画面表示が図3(c)のようになされる。なお、楽曲の選択方法としては、アーティストやアルバム等の階層カテゴリを順番に選択して所望の楽曲を検索表示させるなど、その他の手法をとってもよい。なお、図3(a)から図3(c)で示した、楽曲を指定して再生するステップは、すでに述べたように、通常のメディア再生装置1における楽曲再生手順と全く同じであり、ユーザは、ゲーム要素の生成に際しても、通常の楽曲を再生して聴く場合と同様の操作を行なうので、何ら違和感なく、キャラクタなどのゲーム要素の生成動作を開始することが出来る。また、この図3(a)から図3(c)、即ち図4のST01からST04までは、メディア再生装置1に内蔵されたファームウエア、即ちメディア再生装置固有の操作プログラムを殆どそのまま利用することが出来るので、ゲーム要素を生成するためのプログラム構成を簡略化することが出来る。
【0033】
楽曲の再生出力に基づいて、ユーザはこの楽曲でキャラクタの生成を行うかどうか判断し、行わない場合には(ST05)、その旨の入力(図3の「もどる」を選択)を行い、再びST03のステップに戻ることになる。この楽曲で生成を行うと判断した場合には、操作盤4および入力部14を介して決定コマンド(図3の「決定」を選択)を入力する(ST05)。これに応じてキャラクタ生成部18は、決定された楽曲の楽曲データのヘッダー情報からユニークIDを取得する。キャラクタ保存部19は、図5に示すようなメディアデータであるユニークIDとオブジェクトであるキャラクタとの組み合わせを示す対照テーブルをあらかじめ有しており、キャラクタ生成部18は、該参照テーブルを参照して、前記ユニークIDに基づいて対応するキャラクタを検出する。図5の例では1つのユニークIDに複数のキャラクタが対応している(例えばユニークID「001」に対してキャラクタ「A1」、「A2」、「A3」の3つが対応)。たとえば乱数等による抽選処理を行うことによりこれらのキャラクタのなかから1つのキャラクタを選出する。対照テーブル中のデータの配列は、ゲームプログラムの起動時あるいはゲームプログラムのインストール時等にメディア再生装置1の個体IDやユーザ情報等に基づいてシャッフルするようにしてもよく、こうすることで同じ楽曲でも装置が異なれば全く別のキャラクタが生成されるので面白い。
【0034】
図5に示す、ユニークIDとキャラクタとの対照テーブル、即ち、メディアデータの属性情報であるユニークIDとオブジェクトであるキャラクタの対照テーブルには、各楽曲毎に複数のキャラクタなどのゲーム要素が対応する形で格納されており、ユーザが入力部14を介して選択した(ST03)楽曲に応じて、対応するキャラクタがキャラクタ生成部18により複数選択され、更に、それら選択された複数のキャラクタ、例えば、キャラクタA1、A2,A3から、一つのキャラクタがランダムに、又は所定の選択基準に基づいて選択される。このユニークID(属性情報)とキャラクタ(オブジェクト)の組み合わせは、固定的なものではなく、時間の経過にもとなって(例えば、ゲームの所定プレイ時間、楽曲の所定再生時間、再生楽曲毎、メディア再生装置1の電源投入の度毎、ゲームを開始する度毎など)キャラクタ生成部18によりシャッフルされ、または、ゲームプログラムに予め格納された多数のオブジェクトから、ランダムに読み出して各ユニークID(属性情報)に割り当てる形で、常に新しい組み合わせのテーブルが生成されるように制御される。これにより、ゲーム要素の生成に際して、いつもの習慣で、ユーザが習慣的にお気に入りの楽曲を再生するように入力部14を操作しても、同じゲーム要素が生成される確率は少なく、簡単なプログラム構成で、ユーザの楽曲のカスタマイズ状態に適合した形で新たなゲーム要素を生成することが出来る。
【0035】
更に、ユーザが記憶部13に格納した楽曲の数に対応する形で、キャラクタ生成部18は、各楽曲に対して複数のゲーム要素を割り当てる形で図5に示すテーブルを生成するが、割り当てるべきキャラクタなどのゲーム要素は、予め記憶部13に格納されたゲームプログラムに格納されており、キャラクタ生成部18は、ユーザが記憶部12に格納した楽曲の数に対応する数のゲーム要素を読み出して、各楽曲に、図5に示すように複数個ずつ割り当てる形で、楽曲とゲーム要素の対照テーブルを生成する。
【0036】
従って、ユーザがメディア再生装置1に格納する楽曲の数が多くなればなるほど、割り当てられゲーム要素の数が増大することとなり、ユーザはそれだけ多くの種類のキャラクタなどを生成する機会に恵まれることとなり、ユーザのメディア再生装置1のカスタマイズ状態を反映した形のゲーム要素の生成が可能となる。
【0037】
キャラクタ生成部18は、図3(d)に示すように、決定によって選出したキャラクタの画像等を表示出力する(ST06)。画像等の情報はキャラクタ保存部19に保存されており、同じく該キャラクタ保存部19に保存されている所定のキャラクタデータテーブル(図示せず)によってキャラクタごとに対応設定されている。キャラクタ生成部18が選出したキャラクタに対応する画像等の情報はこのキャラクタデータテーブルに基づいて読み出し画像出力するものとする。ここで、ゲーム中でのキャラクタの属性や能力値を示すパラメータ(図では「HP76」のみ示しているが複数種類のパラメータがあってもよい。)も表示するようにする。パラメータはキャラクタごとに固定値としてキャラクタデータテーブルであらかじめ設定していてもよいし、キャラクタデータテーブルから取得した値を基に適宜なランダム係数を加味することで、所定値幅をもつランダム値で生成するようにしてもよい。
【0038】
以上のようにキャラクタ生成部18により生成されたキャラクタはキャラクタ保存部19においてゲーム中で使用できるように設定され、以降、ゲーム実行部17によってゲーム中で利用可能となる。これにより、ユーザがメディア再生装置1をカスタマイズする状態、具体的にはどのような楽曲を保存しているかなどの状態に応じてゲーム要素であるキャラクタの生成ができるので、ユーザの独自性を発揮することができる。
【0039】
次に、図3(a)に示す操作案内の表示により、ユーザが操作盤4および入力部14を介して「おすすめ」を選択する場合を説明する。この場合、図4のステップST01からステップST11へ進む。ステップST11では、「おすすめ」の選択に応じてキャラクタ生成部18が、記憶部13に保存されている楽曲データを選択する。この選択の際には、キャラクタ生成部18は、メディア管理部12を介して当該楽曲の楽曲データを再生し(ST12)、音声出力部16およびヘッドフォン5を介して出力する。その際に選択され再生中の楽曲を示す画面表示が図3(c)のようになされる。なお、楽曲の選択方法はランダムでもよいし、ゲームでのステータス情報、現在時刻、メディア再生装置の個体IDなどの、その他の情報に基づいて選択するようにしてもよい。ステップST12以降は、図3(c)の画面表示を介して「決定」または「もどる」の選択入力を判定し(ST13)、「もどる」ならステップST11へ戻り、「決定」ならキャラクタ生成部18は、決定された楽曲のユニークIDを取得し、対照テーブルより対応するキャラクタを検出し、そのキャラクタの画像等を表示出力する(ST14)。「おすすめ」によるとユーザの好みに偏らない楽曲の選択がなされるのでキャラクタ生成における意外性が楽しめる。
【0040】
また別の応用例として、キャラクタ生成に関する案内表示の際に(例えば図4のステップST01とST02の途中に位置するステップ等において)、選択すべき楽曲に対するヒントを画面表示しておくようにしてもよい。ユーザはこのヒントに関連した楽曲を選択することとなる。キャラクタ生成部18は、ステップST05において決定した楽曲データのヘッダー情報から例えば曲名を文字列検索してヒントと関連する文字列を発見した場合に、特定条件の成立と見なして、キャラクタ保存部19に保存されたレアなキャラクタを生成するようにしてもよい。レアなキャラクタとは、前記対照テーブル(これを通常対照テーブルという)とは別個の対照テーブル(特定対照テーブルという)に記載されているキャラクタのことで、特定対照テーブルに記載されているキャラクタは通常対照テーブルには記載されていない。具体的には、キャラクタ生成部18が、ヒントとして「LOVEな曲を指定しろ!」というヒントを液晶パネル3等の表示手段上に表示した場合、ユーザは図3(b)に示すように、表示手段上に選択可能に表示されるメディアデータの一覧から、タイトルに「LOVE」という文字列を含んだ楽曲を選んで、操作盤4を介して当該楽曲を選択する指令を、入力部14を介してメディア管理部12及びキャラクタ生成部18に対して出力する。メディア管理部12は、当該楽曲を音声出力部16を介して再生し、キャラクタ生成部18は、ユーザにより選択された楽曲のタイトルを検索して、「LOVE」という文字列がユーザが選択した楽曲のタイトルに含まれるか否かを判定する。例えばユーザが入力部14を介して指定した楽曲の曲名が「I LOVE YOU」であったとすると、「LOVE」という文字列が発見されるので、上記の特定条件が成立し、レアなキャラクタを生成することとなる。
【0041】
また別の応用例として、ゲーム実行部17は、ゲームプログラムを起動するたびに、キャラクタ生成部18により生成されてゲーム中で使用可能となっているキャラクタの情報を更新するようにしてもよい。例えば、キャラクタの情報として、当該キャラクタの生成時に指定された楽曲の情報(ユニークID等)と前回ゲームプログラム終了時点の当該楽曲の再生回数が含まれているものとする。そして、ゲームプログラムの起動時にゲーム実行部17は、この楽曲の現時点での再生回数を取得し、キャラクタ情報にある再生回数との差分を計算してその値を当該キャラクタのパラメータに反映させる。具体的には、生成時に楽曲の再生回数が12回であり、その後のゲームプログラムの起動時の当該楽曲の再生回数が15回であった場合、15−12=3と計算して、その差分値である3をパラメータ(たとえば能力値や経験値などと呼ばれる値)に追加する。たとえば図3(d)に示すようにゲームプログラムの起動前には「HP76」であった場合には、これに3を加えて「HP79」とする。もちろん、計算した差分の値をそのまま加えるのでなく、差分の値をもとにした別の演算方法でパラメータに反映することも可能である。このようにすることで、キャラクタを生成した際に指定した楽曲をたくさん再生するほどキャラクタが強くなる、といった仕様となり、音楽鑑賞と連携できるので面白い。もちろん、再生回数を参照する対象となるのは楽曲データの例に限らず、動画データや静止画データなど他のデータでも可能である。
【0042】
上で述べたキャラクタの生成は、ゲーム要素としてのオブジェクトの生成の一例であり、生成するものはキャラクタに限らず、ゲーム中で用いられる要素であれば、キャラクタの用いる装備品や武器、アイテム、パーツなど何でもよい。また、楽曲データに基づいて生成を行ったが、楽曲データでなくても動画データ、静止画データ、カレンダー情報、テキスト情報など、メディア再生装置において保存できる情報であれば何でもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示可能なモニタと、メディアデータを保存可能な記憶部と、該メディアデータを再生出力可能な再生出力部と、入力操作部と、を有するメディア再生装置において、
前記入力操作部を介して入力される入力コマンドに基づいて、前記モニタに画像を表示させつつ、ゲームを進行させるゲーム進行制御手段と、
ゲーム中で使用可能なオブジェクトを保存するオブジェクト保存手段と、
ゲーム進行中にオブジェクト生成を制御するオブジェクト生成制御手段と、を備え、
前記オブジェクト生成制御手段は、
前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該メディアデータに関連する属性情報を取得する属性情報取得手段と、
前記属性情報に対応したオブジェクトを、前記オブジェクト保存手段から選出するオブジェクト選出手段と、
選出したオブジェクトを前記モニタに表示出力してゲーム中に生成する表示出力手段とを有する、ことを特徴とするメディア再生装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記属性情報に対応する前記オブジェクトの組み合わせを示した対照テーブルを格納しており、
前記オブジェクト選出手段は、前記属性情報取得手段が取得したあるメディアデータに関する属性情報に対応する前記オブジェクトを、前記対照テーブルを参照することで選出することを特徴とする、
請求項1記載のメディア再生装置。
【請求項3】
前記対照テーブルの前記属性情報と前記オブジェクトの組み合わせを、時間の経過と共に変更して、新しい組み合わせの対照テーブルを生成するように制御する、対照テーブル生成手段を有することを特徴とする、
請求項2記載のメディア再生装置。
【請求項4】
前記メディア再生装置は、更に、
前記記憶手段に保存された複数の前記メディアデータを、ユーザが選択可能に提示するメディアデータ提示手段を有し、
前記属性情報取得手段は、前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該コマンドにより選択された前記メディアデータに関連する属性情報を取得することを特徴とする、
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のメディア再生装置。
【請求項5】
画像表示可能なモニタと、メディアデータを保存可能な記憶部と、該メディアデータを再生出力可能な再生出力部と、入力操作部とを有し、
メディアデータの再生に際して、メディア再生装置により再生可能な、前記記憶部に保存された複数のメディアデータを、モニタに一覧として、ユーザが選択可能に表示する、メディアデータ提示手段及び、
前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記コマンドに応じたメディアデータを前記記憶部から読み出し、前記再生出力部を介して再生出力することが出来るメディア管理部を有するメディアデータ再生装置において、
前記入力操作部を介して入力される入力コマンドに基づいて、前記モニタに画像を表示させつつ、ゲームを進行させるゲーム進行制御手段と、
ゲーム中で使用可能なオブジェクトを保存するオブジェクト保存手段を有し、
前記メディアデータ提示手段により提示された前記メディアデータから、何らかのメディアデータを選択するコマンドが前記入力操作部から入力された場合に、前記記憶部に保存されたメディアデータから、当該コマンドにより選択された前記メディアデータに関連する属性情報を取得する属性情報取得手段を設け、
前記属性情報取得手段により取得した前記メディアデータに関連する属性情報に対応したオブジェクトを、前記オブジェクト保存手段から選出するオブジェクト選出手段と、
選出したオブジェクトを前記モニタに表示出力してゲーム中に生成する表示出力手段とを有する、
ことを特徴とするメディア再生装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記属性情報に対応する前記オブジェクトの組み合わせを示した対照テーブルを格納しており、
前記オブジェクト選出手段は、前記属性情報取得手段が取得したあるメディアデータに関する属性情報に対応する前記オブジェクトを、前記対照テーブルを参照することで選出することを特徴とする、
請求項5記載のメディア再生装置。
【請求項7】
前記対照テーブルの前記属性情報と前記オブジェクトの組み合わせを、時間の経過と共に変更して、新しい組み合わせの対照テーブルを生成するように制御する、対照テーブル生成手段を有することを特徴とする、
請求項6記載のメディア再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−57888(P2010−57888A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14918(P2009−14918)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(308033283)株式会社スクウェア・エニックス (173)
【Fターム(参考)】