説明

メモリカード

【課題】メモリカードの汎用性を高める。
【解決手段】レデュースサイズの半導体メモリカード1のキャップ3に断面凸状のアダプタ装着部を設け、そのアダプタ装着部にアダプタ側の凹部を嵌め合わせることにより、レデュースサイズの半導体メモリカード1をフルサイズの半導体メモリカード対応機器にも使用可能にした。この半導体メモリカード1のベース基板4の主面には、メモリ用の半導体チップ5aおよびコントローラ用の半導体チップ5bが実装されている。これら半導体チップ5a,5bは、封止樹脂11によって覆われている。また、ベース基板4の主面には、テストパッド8が封止樹脂11から露出された状態で形成されている。テストパッド8はベース基板4の配線を通じてメモリ用の半導体チップ5aに電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード技術に関し、例えば半導体メモリカード(以下、単にメモリカードという)に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マルチメディアカード(米サンディスク社)やSDカード(パナソニック、東芝、サンディスク)等のようなメモリカードは、その内部の半導体メモリチップに情報を記憶する記憶装置の1つである。このメモリカードでは、半導体メモリチップに形成された不揮発性メモリに対して情報を直接的、かつ、電気的にアクセスすることから、機械系の制御が無い分、他の記憶装置に比べて書込み、読出しの時間が速い上、記憶媒体の交換が可能である。また、形状が比較的小型で軽いことから、主に携帯型パーソナルコンピュータ、携帯電話またはデジタルカメラ等のような可搬性が要求される機器の補助記憶装置として使用されている。近年は、当該機器の小型化が進められており、それに伴ってメモリカードのさらなる小型化が要求されている。また、メモリカードは、新しい技術でもあり、その寸法上の規格が完全に統一されていない。
【0003】
メモリモジュールを有するICカードについては、例えば米国特許第5272374号(特許文献1)に開示がある。また、パネル、電子部品等を有するICチップについては、例えば米国特許第5541452号(特許文献2)に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5272374号(対応日本出願 特開平4-82799号公報)
【特許文献2】米国特許第5541452号(対応日本出願 特開平7-214957号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、メモリカードのサイズを小さくする場合あるいは国によってサイズが異なる場合には、如何にして、既存のメモリカードとの寸法上の互換性を保ち、既存のメモリカード対応機器に対して使用できるようにするかが重要な課題となる。
【0006】
本発明の目的は、メモリカードの汎用性を高めることのできる技術を提供することにある。
【0007】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
すなわち、本発明は、表側および裏側を有する基板と、前記基板の裏側に配置され、且つ、CLK端子、DAT端子およびCMD端子を含む複数の外部端子と、前記基板の表側に搭載された第1フラッシュメモリチップと、前記基板の表側に搭載され、前記複数の外部端子と電気的に接続された前記第1フラッシュメモリチップ用のコントローラチップとを有するメモリカード本体と、前記メモリカード本体に装着されたアダプタを有するメモリカードにおいて、前記メモリカード本体の外形寸法は、前記アダプタを装着しない状態において、マルチメディアカード規格又はSDカード規格におけるフルサイズのメモリカードの外形寸法より小さく、前記メモリカードの外形寸法は、前記アダプタが装着された状態において、前記フルサイズのメモリカードの外形寸法に等しくなるように構成されており、前記第1フラッシュメモリチップおよび前記コントローラチップは、前記基板の表側において一体的に封止樹脂で覆われ、前記基板の表側には、前記封止樹脂から露出するように構成され、且つ、前記基板の配線を通じて前記封止樹脂内の前記第1フラッシュメモリチップと電気的に接続された複数の接続端子が設けられているものである。
【0010】
また、本願において開示される発明のうち、他のものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本発明は、半導体チップを内蔵する樹脂製のケース本体の平面寸法を変換するための金属製の補助器具の凹部を嵌め合わせることで、前記ケース本体に前記補助器具を着脱自在の状態で装着することが可能な断面凸状の装着部を前記ケース本体に設けたものである。
【0012】
また、本発明は、半導体チップが搭載された基板の部品搭載面を覆うように被せられた樹脂製のケース本体の平面積の半分またはそれ以下の面積の基板を有するものである。
【0013】
また、本発明は、下型のキャビティ深さが、上型のキャビティ深さよりも大きなモールド金型を用いて、半導体チップが搭載された基板の部品搭載面を覆うためのケース本体を成型する工程を有するものである。
【0014】
また、本発明は、ケース本体と、前記ケース本体の一面に形成された溝と、前記溝内に部品搭載面を向けた状態で取り付けられた基板と、前記部品搭載面に搭載された複数の半導体チップとを有し、前記溝および前記基板において前記ケース本体の長手方向に沿う長さは、前記ケース本体の長手方向の全長よりも短くなるように形成されており、前記基板および前記溝において、ケース本体中央側に位置する角部を面取りしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
すなわち、メモリカードの汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体装置および補助器具の斜視図である。
【図2】(a)は図1の半導体装置の表面側の外観を示す斜視図であり、(b)はその半導体装置の裏面側の外観を示す斜視図である。
【図3】(a)は図1の半導体装置の表面側の平面図、(b)は(a)の半導体装置の側面図、(c)は(a)の半導体装置の背面図、(d)は(a)の半導体装置の裏面側の平面図である。
【図4】(a)は図1の半導体装置の長手方向における補助器具装着部の要部拡大断面図、(b)は図1の半導体装置の短方向における補助器具装着部の要部拡大断面図である。
【図5】(a)は図3(a)A−A線の断面図、(b)は(a)の要部拡大断面図である。
【図6】図1の半導体装置のベース基板の平面図である。
【図7】(a)は図1の補助基部の表面側の平面図、(b)は(a)の補助器具の側面図、(c)は(a)の補助器具の背面図、(d)は(a)の補助器具の裏面側の平面図、(e)は(a)の補助器具の爪部および支持部の要部拡大断面図である。
【図8】(a)は図1の半導体装置および補助器具の表面の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の裏面の平面図である。
【図9】(a)は既存のフルサイズの半導体装置の表面の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の裏面の平面図である。
【図10】(a)は、図8の状態の半導体装置の補助器具爪装着部と、補助器具の爪部との接合部の要部拡大断面図、(b)は図8の状態の半導体装置の補助器具装着部と、補助器具の凹部との接合部の要部拡大断面図である。
【図11】図1の半導体装置の一部材を成形するための金型の断面図である。
【図12】(a)〜(c)は図11の要部拡大断面図である。
【図13】(a)は半導体装置の全体平面図、(b)は(a)の半導体装置の基板をフルサイズの半導体装置に組み込んで使用した場合の全体平面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態である半導体装置および補助器具の斜視図である。
【図15】(a),(b)は、図14の半導体装置の表面側および裏面側の外観を示す斜視図である。
【図16】(a)は図14の半導体装置の表面側の平面図、(b)は(a)の半導体装置の側面図、(c)は(a)の半導体装置の背面図、(d)は(a)の半導体装置の裏面側の平面図である。
【図17】(a)は図14の半導体装置および補助器具の表面の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の裏面の平面図である。
【図18】本発明のさらに他の実施の形態である半導体装置の裏面側の平面図である。
【図19】本発明者が検討した半導体装置のベース基板の表面の平面図である。
【図20】図19のベース基板の裏面の平面図である。
【図21】本発明者が検討したフルサイズの半導体装置用のキャップの表面の平面図である。
【図22】図21のキャップにおける裏面の平面図である。
【図23】図19および図20に示したベース基板を、図21および図22のキャップの溝に取り付けた後のフルサイズの半導体装置の裏面の平面図である。
【図24】本発明の一実施の形態における半導体装置を構成するベース基板の表面の平面図である。
【図25】図24のベース基板における裏面の平面図である。
【図26】図24および図25に示したベース基板を搭載するフルサイズの半導体装置用のキャップにおける表面の平面図である。
【図27】図26のキャップにおける裏面の平面図である。
【図28】図24および図25に示したベース基板を、図26および図27のキャップに取り付けた後のフルサイズの半導体装置における裏面の平面図である。
【図29】図28のA1−A1線の断面図である。
【図30】図23に示した半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図31】図23に示した半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図32】図23に示した半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図33】本発明の一実施の形態である半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図34】本発明の一実施の形態である半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図35】本発明の一実施の形態である半導体装置の曲げ強度試験の結果の説明図である。
【図36】本発明の一実施の形態である半導体装置のキャップにおける裏面の平面図である。
【図37】本発明の一実施の形態である半導体装置の要部拡大断面図である。
【図38】図26〜図29等に示した半導体装置のキャップを成形する金型の一例の断面図である。
【図39】本発明の一実施の形態である半導体装置のチップの配置例を示すベース基板の表面の平面図である。
【図40】本発明の一実施の形態である半導体装置のチップの配置例を示すベース基板の表面の平面図である。
【図41】本発明の一実施の形態である半導体装置の組立工程のフロー図である。
【図42】図41の半導体装置の組立工程中におけるベース基板の表面の平面図である。
【図43】図42に続く半導体装置の組立工程中におけるベース基板の表面の平面図である。
【図44】図43に続く半導体装置の組立工程中におけるベース基板の表面の平面図である。
【図45】図44に続く半導体装置の組立工程中におけるベース基板の表面の平面図である。
【図46】図45に続く半導体装置の組立工程中におけるベース基板の表面の平面図である。
【図47】本発明の他の実施の形態であるフルサイズの半導体装置における裏面の平面図である。
【図48】図47の領域Z1の拡大平面図である。
【図49】本発明の他の実施の形態であるフルサイズの半導体装置における裏面の平面図である。
【図50】図49の領域Z2の拡大平面図である。
【図51】本発明の他の実施の形態であるフルサイズの半導体装置における裏面の平面図である。
【図52】本発明の他の実施の形態であるハーフサイズの半導体装置の表面における平面図である。
【図53】図52の半導体装置の裏面における平面図である。
【図54】本発明の他の実施の形態であるハーフサイズの半導体装置の裏面における平面図である。
【図55】本発明のさらに他の実施の形態であるハーフサイズの半導体装置の裏面における平面図である。
【図56】本発明の他の実施の形態であるフルサイズの半導体装置の断面図である。
【図57】図56の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0019】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0021】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
また、本実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置および補助器具の斜視図、図2(a),(b)は、図1の半導体装置の表面側および裏面側の外観を示す斜視図、図3(a)は図1の半導体装置の表面側の平面図、図3(b)は(a)の半導体装置の側面図、図3(c)は(a)の半導体装置の背面図、図3(d)は(a)の半導体装置の裏面側の平面図、図4(a)は図1の半導体装置の長手方向における補助器具装着部の要部拡大断面図、図4(b)は図1の半導体装置の短方向における補助器具装着部の要部拡大断面図、図5(a)は図3(a)の半導体装置の短方向(A−A線)の断面図、図5(b)は図5(a)の要部拡大断面図、図6はこの半導体装置のベース基板の平面図を示している。
【0026】
本実施の形態の半導体装置は、例えば情報機器または通信機器等のような電子装置の補助記憶装置として使用可能なメモリカード1である。このメモリカード1は、例えば平面矩形状の小さな薄板からなり、その外形寸法は、例えば長辺が24mm程度、短辺が18mm程度、厚さが1.4mm程度である。このままの外形寸法であれば、例えば携帯電話やデジタル・カメラ等のような小型の電子装置に使用可能であるが、金属製のアダプタ(補助器具)2を装着することにより、携帯型パーソナルコンピュータ等のような相対的に大型の電子装置にも使用可能な構造になっている。なお、上記大型の電子装置にそのまま使用可能なメモリカードをフルサイズのメモリカードといい、上記小型の電子装置に使用可能な本実施の形態のメモリカード1をハーフサイズのメモリカードともいう。
【0027】
このメモリカード1の外形を形成するキャップ(ケース本体)3は、例えば軽量化、加工容易性および柔軟性を図る観点からABS樹脂やPPE(Poly Phenylen Ether;ポリフェニレンエーテル)等のような絶縁性を有する樹脂からなり、ベース基板4において半導体チップ(以下、単にチップという)5a,5a,5bが実装された部品搭載面側を覆うように被せられている。キャップ3において、メモリカード1の背面側の両角部の2箇所には、断面凸状のアダプタ装着部3aが形成されている。このアダプタ装着部3aは、アダプタ2の凹部2aが嵌め合わされる箇所であり、キャップ3の表面、側面および裏面を、キャップ3におけるアダプタ装着部3a以外の部分の表面、側面および裏面よりも、アダプタ2の板厚分だけ窪ませることによって形成されている。すなわち、アダプタ装着部3aは、その厚さがメモリカード1の厚さよりも若干薄くなるように形成されている。
【0028】
本実施の形態においては、メモリカード1のキャップ3に形成されたアダプタ装着部3aを断面凸状としたことにより、アダプタ装着部3aを凹状とした場合に比べて、アダプタ装着部3aの機械的な強度を2倍またはそれ以上に向上させることが可能となっている。
【0029】
アダプタ装着部3aを断面凹状とした場合には、凸部をメモリカード1の厚さ方向に2個設けなければならない。しかし、メモリカード1の厚さには上限があることから、その各々の凸部の厚さをあまり確保することができない。キャップ3は、軽量化、加工容易性および柔軟性等を図る観点から樹脂で構成されているので、アダプタ装着部を構成する凹部の各々の凸部の厚さがあまりに薄いと機械的強度を保てない。一方、その凹部の各々の凸部をあまりに厚くしてしまうと凹部自体の形成が困難となってしまう。これに対して、本実施の形態のようにアダプタ装着部3aを断面凸状とした場合には、アダプタ装着部3をメモリカード1の厚さ方向に1個設ければ良い。すなわち、アダプタ装着部3を凹部で形成した場合の各々の凸部を一箇所に纏め、相対的に厚い凸部を形成することができる。ここでは、断面凸状のアダプタ装着部3aの厚さの半分(d1/2)を、窪み厚さd2と同等まで厚くすることができる。すなわち、Max(d1/2)=d2とすることができる(図3(a)〜(c)、図4(a)参照)。したがって、アダプタ装着部3aを比較的厚くすることができるので、樹脂製のキャップ3の一部で構成されるアダプタ装着部3aであっても機械的な強度を確保することができる。また、アダプタ装着部3aは、断面凸状であることから形成も容易である。また、アダプタ2をキャップ3と同一の樹脂で形成した場合を考慮すると、d1=d2の同程度強度を確保して、d1=d/3まで薄くできる。
【0030】
また、本実施の形態においては、アダプタ装着部3aをメモリカード1の背面側の両角部の2箇所に設けたことにより、メモリカード1の背面側の長手方向両端部にアダプタ2がしっかりと嵌め合わされるので、アダプタ2をメモリカード1に装着した際の安定性を向上させることができる。
【0031】
また、本実施の形態においては、キャップ3において、上記両角部のアダプタ装着部3a,3aに挟まれた箇所、すなわち、メモリカード1の背面側の長手方向中央は、メモリカード1の厚さとほぼ同等に形成され、アダプタ装着部3aよりも厚くなっている。これにより、メモリカード1の背面側をメモリカード1の長手方向に沿って全て薄くしてしまった場合に比べて、キャップ3とアダプタ2との接合箇所における機械的強度を向上させることができる。
【0032】
また、本実施の形態においては、アダプタ装着部3aを断面凸状としたことにより、アダプタ装着部3aの長さ(メモリカード1の短方向の長さ)L1、すなわち、アダプタ2の凹部2aをアダプタ装着部3aに嵌合させる方向の長さであって、その凹部2aがアダプタ装着部3aに平面的に重なる長さを充分に確保することができる。アダプタ装着部3aを断面凹状とした場合には、上記したように、その凹部の各々の凸部の強度を確保することを考慮すると、上記長さL1をあまり長くすることができない。これに対して、本実施の形態では、アダプタ装着部3aの厚さを確保でき、アダプタ装着部3aの機械的強度を確保できるのでるので、上記長さL1をある程度長くすることができる。ここでは、長さL1は、アダプタ装着部2aの厚さd1よりも大きくなっている。すなわち、L1>d1とすることができる。このように、アダプタ装着部3の長さL1を長くすることにより、メモリカード1のアダプタ装着部3aがアダプタ2の凹部2aでしっかりと抑えることができるので、メモリカード1とアダプタ2との結合部における剛性を確保できる。したがって、しなり等に起因してメモリカード1とアダプタ2との結合部が折れてしまうといった不具合を低減または防止することができる。
【0033】
また、本実施の形態においては、メモリカード1の表面と裏面とでアダプタ装着部3aの状態が非対称となっている。具体的には、アダプタ装着部3aの幅(メモリカード1の長手方向の長さ)W1,W2が非対称となっており、その各々の幅W1,W2の寸法が異なっている(図3参照)。ここでは、例えば表面側の幅W1の方が、裏面側の幅W2よりも広く形成されている。これは、アダプタ2の装着方向を間違えないようにするためである。すなわち、アダプタ装着部3aの幅W1,W2の寸法が異なっているので、アダプタ2の装着方向を間違えるとアダプタ2を装着できないようになっている。これにより、アダプタ2の装着間違えに起因してメモリカード1に損傷または破壊が生じるのを防止できる。また、アダプタ2の装着方向の正誤について特に注意しないで済むので、アダプタ2をメモリカード1に気楽に取り付けることができるとともに、カード装着機器への安定した取り扱いが可能となる。
【0034】
また、本実施の形態においては、メモリカード1の裏面の背面側近傍において、メモリカード1の長手方向中央には、アダプタ爪装着部3bが形成されている。このアダプタ爪装着部3bは、アダプタ2の爪部2bを引っ掛ける箇所であり、窪み部3b1と溝部3b2とを有している。窪み部3b1は、メモリカード1の背面から溝部3b2に渡ってキャップ3の裏面がアダプタ2の板厚分だけ窪むことで形成されている。また、溝部3b2は、窪み部3b1よりもさらに深い窪みで形成されている。この溝部3b2内に、アダプタ2の爪部2bが入り込むことにより、メモリカード1とアダプタ2とがしっかりと結合固定されるようになっている。
【0035】
また、メモリカード1の表面の背面側近傍において、メモリカード1の長手方向中央には、カード取り出し溝3cが形成されている。このカード取り出し溝3cは、メモリカード1を上記電子装置から取り出す際に、それを補助するものである。すなわち、そのカード取り出し溝3cに指を当てた状態で、指をキャップ2の表面に平行に引っ張ることにより、メモリカード1を上記電子装置から引き出すことが可能になっている。上記メモリカード1の裏面の溝部3b2の深さd2は、メモリカード1の表面のカード取り出し溝3cの深さd3よりも深く形成されている(図5(b)参照)。
【0036】
なお、メモリカード1の前面側の角は、メモリカード1の装着方向を認識し易くする等の観点から切り欠かれている。また、メモリカード1のキャップ3の表面においてメモリカード1の前面近傍側には、メモリカード1を上記電子装置に装着する際の挿入方向を示す平面三角形状のマーク3dが形成されている。
【0037】
上記メモリカード1のベース基板4上に実装された2枚のチップ5a,5aは、同一の外形寸法を有し、同一記憶容量のフラッシュメモリ(EEPROM)が形成されている。これらチップ5a,5aは、一方の上部に他方を重ね合わせた状態でベース基板4上に実装されている。下層のチップ5aは、ベース基板4の上面に接着剤等で接合されており、上層のチップ5aは、下層のチップ5aの上面に接着剤等で接合されている。一方、コントローラ用のチップ5bは、メモリ用のチップ5aの近傍のベース基板4上に実装されており、同じく接着剤等によってベース基板4の上面に接合されている。これら3枚のチップ5a,5a,5bは、いずれもその主面(素子形成面)を上に向けた状態でベース基板4に実装されている。
【0038】
フラッシュメモリ(EEPROM)が形成された2枚のチップ5a,5aのそれぞれの主面には、その一辺に沿って複数のボンディングパッドが一列に形成されている。すなわち、メモリ用のチップ5aは、素子形成面の周辺部にボンディングパッドを形成し、かつ、これらのボンディングパッドの一辺に沿って一列に配置する片辺パッド方式を採用している。一方、コントローラ用のチップ5bの主面には、例えば対向する2つの長辺に沿って複数のボンディングパッドが一列ずつ形成されている。
【0039】
2枚のチップ5a,5aは、互いに同一方向を向いた状態で重ね合わされており、一方のチップ5aのボンディングパッドと他方のチップ5aのボンディングパッドとが近接して配置されている。また、上層のチップ5aは、その一部が下層のチップ5aの一辺に平行な方向(X方向)およびこれと直交する方向(Y方向)にずれた状態で配置されている。
【0040】
上記チップ5a,5bの近傍のベース基板4上には、複数の電極が形成されており、それぞれのチップ5a,5a,5bのボンディングパッドと対応する電極とが金(Au)等からなるボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。チップ5aのボンディングパッドには、上記電極および電極に電気的に接続されたベース基板4の配線を介して、ベース基板4の一主面の一端に形成された接続端子7および他端に形成されたテストパッド8に電気的に接続されている。接続端子7は、このメモリカード1を上記電子機器に装着する際の接続端子として使用され、ベース基板4の下面の外部接続端子9にスルーホール10を介して電気的に接続されている。また、テストパッド8は、このメモリカード1の組立工程等において、電気的特性を測定するために使用される。このようなチップ5a,5b、ボンディングワイヤ6およびベース基板4の部品搭載面の大半(接続端子7およびテストパッド8およびその配置領域の周辺を除く)は、例えばエポキシ系の樹脂等からなる封止樹脂11によって被覆されている。
【0041】
次に、上記アダプタ2について説明する。図7(a)はアダプタ2の表面側の平面図、(b)は(a)のアダプタ2の側面図、(c)は(a)のアダプタ2の前面図、(d)は(a)のアダプタ2の裏面側の平面図、(e)は(a)のアダプタ2の爪部2bおよび支持部2cの要部拡大断面図を示している。
【0042】
アダプタ2は、樹脂材料でも形成可能であるが、さらに剛性の高い、例えばステンレス、チタン(Ti)、鉄(Fe)または鉄を含む合金等のような金属板によって構成されている。アダプタ2の材料としてステンレスを選択した場合は耐腐食性が高いので、その表面にメッキ等のような表面処理を施す必要がない。したがって、形成が容易である。また、コストを低減できる。一方、アダプタ2の材料として鉄等を選択した場合には、その表面にメッキ処理を施すことにより、耐腐食性を向上させることができる。
【0043】
また、アダプタ2の凹部2aは、アダプタ2の長手方向の両端が断面略U字状となるように折り曲げられことで形成されている。このため、アダプタ2は、その厚さ方向にある程度の空いた領域を有している。アダプタ2を中空状に形成することもできる。
【0044】
このように、本実施の形態において、アダプタ2は、1枚の金属板を折り曲げたり、その金属板に溝2dや孔2eを形成したりすることで形成されている。すなわち、精密加工が必要な金属の切削技術等を用いない。また、部品点数が少ない。したがって、アダプタ2のコストを低減することができる。
【0045】
アダプタ2には、その前面からアダプタの短方向(図7(a),(d)の上下方向)に沿ってその短方向の途中平面位置まで平行に延びる2本の上記溝2dが帯状に形成されている。この2本の溝2dに平面的に挟まれた部分(アダプタ2の長手方向中央)に、上記支持部2cが形成されている。支持部2cの始端は、アダプタ2と一体的になって接合されている。支持部2cの他端には、上記爪部2aが一体になって形成されている。支持部2cは、板ばね(弾性体)としての機能を有しており、平面的には矩形状に形成され、また、断面的にはアダプタ2の表面から裏面に向かって次第に折れ曲がるように、すなわち、撓みを持たせた状態で成形されている。このように、支持部2cに撓みを持たせることにより弾性力の向上と、弾性体としての耐久性の向上とを図っている。このように、支持部2cは、その長さが、適度な弾性を持たせるための長さに設計されていることが好ましい。
【0046】
また、アダプタ2の背面側近傍には、孔2eが開口されている。上記メモリカード1にアダプタ2を装着した状態で、これを電子装置に装着した後、そのメモリカード1を電子装置から取り出す際に、その取り出しが上手くいかない時などは、この孔2eに爪あるいは工具を引っ掛けてメモリカード1を取り出すと良い。孔2eは、孔の代わりに溝等のしぼり形状でも可能である。
【0047】
図8は、上記メモリカード1に、上記アダプタ2を装着した状態を示している。図8(a)はそのメモリカード1およびアダプタ2の表面の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の裏面の平面図をそれぞれ示している。また、図9は、比較のために、上記フルサイズのメモリカード50を示している。図9(a)はメモリカード50の表面の平面図、(b)はその側面図、(c)はその裏面の平面図をそれぞれ示している。さらに、図10(a)は、メモリカード1のアダプタ爪装着部3bと、アダプタ2の爪部2bとの接合部の断面図を示し、(b)はメモリカード1のアダプタ装着部3aと、アダプタ2の凹部2aとの接合部の断面図を示している。
【0048】
アダプタ2は、その凹部2a内にメモリカード1のアダプタ装着部3aが嵌合され、かつ、アダプタ2の支持部2cの先端の爪部2bがメモリカード1のアダプタ爪装着部3bの溝部3b2内に嵌合された状態で、メモリカード1に装着されている。特に、アダプタ2の支持部2cは、メモリカード1の表面側から裏面側に入り込むような状態で、メモリカード1に装着されている。メモリカード1にアダプタ2を装着することにより、フルサイズのメモリカード50と同等の寸法(例えば32mm×24mm×1.4mm)にすることができる。したがって、上記小型電子装置に使用可能なハーフサイズのメモリカード1を、フルサイズのメモリカード50用の上記大型の電子装置に使用することができる。すなわち、ハーフサイズのメモリカード1の汎用性を高めることが可能となっている。
【0049】
アダプタ2の爪部2bは、図10(a)の上方向、すなわち、キャップ3に対向する方向に弾性力を持った状態で、メモリカード1のアダプタ爪装着部3aの溝部3b2内にしっかりと嵌り込んでいる。これにより、メモリカーと1とアダプタ2とを確実に結合することが可能となっている。また、アダプタ2の凹部2aには、メモリカード1のアダプタ装着部3aが嵌り込んでいる。これにより、メモリカード1とアダプタ2とを安定性良く結合することが可能となっている。
【0050】
メモリカード1からアダプタ2を取り外す際には、アダプタ2の支持部2cを、アダプタ2の表面側から裏面の方向に押し下げ、支持部2cの先端の爪部2bをメモリカード1のアダプタ爪装着部3bから外せば良い。したがって、片手でも簡単にアダプタ2を取り外すことができ、その取り外し作業を極めて容易に行うことができる。このため、この装着時にメモリカード1の表面から観察される支持部2cの長さは、人の指が入る程度が好ましい。なお、支持部2cは、上記のように弾性を有しているので、アダプタ2の取り外し後は元の形状に戻るようになっている。
【0051】
次に、上記メモリカード1のキャップ3の形成する際に用いる金型の一例を説明する。図11は、その金型15の断面図であって、図5と同じ箇所の断面図を示している。また、図12は、図11の要部拡大断面図であって、(a)はキャップ3の背面側における図5(b)と同じ箇所の断面図、(b)はキャップ3の背面側におけるアダプタ装着部3aに対応する箇所の断面図、(c)はキャップ3の前面側における図5と同じ箇所の断面図を示している。
【0052】
下型15aと上型15bとが重なった部分に、キャップ3を成型するためのキャビティ15cが形成されている。本実施の形態では、このキャビティ15cに面する金型15(下型15aおよび上型15b)の角部の角度α1〜α11等が90°またはそれ以上となっている(図12参照)。これにより、キャップ3の成形を容易にすることができる。仮に、上記角部α1〜α11等が90°より小さいと、キャップ3の成形後、金型15からキャップ3を剥離するのが難しくなり、キャップ3を1個ずつ形成するか、特別な金型構造が必要となるので、コストが高くなる。これに対して、本実施の形態では、角度α1〜α11等を90°またはそれ以上としたことにより、そのような不具合が生じないので、量産が可能となっている。また、特別な金型構造も必要ない。したがって、メモリカード1のコストを低減することができる。このような金型15で成形されたキャップ3の表面、側面および裏面の角部の角度は、90°またはそれ以上となる。
【0053】
また、本実施の形態では、キャップ3の内側面を形成する下型15a側でのキャビティ15cの深さ(ほぼ厚さd5+d6)の方が、キャップ3の外側表面を形成する上型15b側でのキャビティ15cの深さ(ほぼ厚さd7と同等)よりも深くなっている。そして、厚さd6に相当する部分に、大半が下型15a側に樹脂流入用のゲートが形成される。下型15a側のキャビティ15cの深さの方が深いのは、下型15a側のキャビティ15c内側(底面側)の方が凹凸および段差が多く、ある程度の容量がないと樹脂を上手く充填できないからである。また、厚さd5〜d7では、厚さd6が最も寸法が大きい。これは、ゲートからキャビティ15c内への樹脂の充填性を向上させるためである。すなわち、この厚さd6が、あまり薄いとゲートを通じてキャビティ15c内に樹脂を流入させることができなくなってしまうからである。ここでは、厚さd5は、例えば0.5mm程度、厚さd6は、例えば0.6mm程度、厚さd7は、例えば0.3mm程度とされている。
【0054】
本実施の形態では、このような金型15のキャビティ内に樹脂を充填することでキャップ3を成形した後、そのキャップ3を、チップ5a,5bの搭載されたベース基板4の部品搭載面を覆うように被せて、上記したメモリカード1を製造する。
【0055】
次に、本実施の形態の半導体装置の組立方法の一例を説明する。図13は、これを説明するための図であって、(a)はメモリカード1の全体平面図、(b)はメモリカード1のベース基板4をフルサイズのメモリカードに組み込んで使用した場合の全体平面図をそれぞれ示している。網かけのハッチング部分がベース基板4の平面を示している。
【0056】
本実施の形態においては、ハーフサイズのメモリカード1の組立に使用したベース基板4(チップ5a等が既に実装された状態のベース基板4)を、フルサイズのメモリカード1Aに、そのまま使用する。すなわち、平面サイズの異なるメモリカード1,1Aの部分を共有させるようにする。
【0057】
メモリカードのコストの大半はベース基板4のコストで占められるので、ベース基板4のコストを低減することがメモリカード1のコストを低減する上で効果的である。しかし、ベース基板4をハーフサイズのメモリカード1とフルサイズのメモリカード1Aとで別々に製造した場合、それぞれ別々の製造工程、製造装置および人員等が必要となるので、ベース基板4のコストの増大を招き、メモリカードのコストが高くなる。これに対して、メモリカード1,1Aのベース基板4を共有させることにより、ハーフサイズとフルサイズとで、ベース基板4の製造工程や製造装置あるいは人員を別個に設ける必要がなくなるで、メモリカード1,1Aのコストを大幅に低減することが可能となる。
【0058】
このような組立方法を採用した場合、図13(b)に示すように、フルサイズのメモリカード1Aには、そのキャップ16の平面積の半分またはそれ以下の平面積のベース基板4が装着される。
【0059】
(実施の形態2)
図14は、本発明の他の実施の形態である半導体装置および補助器具の斜視図、図15(a),(b)は、図14の半導体装置の表面側および裏面側の外観を示す斜視図、図16(a)は図14の半導体装置の表面側の平面図、図16(b)は(a)の半導体装置の側面図、図16(c)は(a)の半導体装置の背面図、図16(d)は(a)の半導体装置の裏面側の平面図、図17(a)は図14の半導体装置および補助器具の表面の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の裏面の平面図をそれぞれ示している。
【0060】
本実施の形態は、メモリカード1とアダプタ2との結合箇所の形状が前記実施の形態1と異なる以外は、前記実施の形態1と同じである。すなわち、メモリカード1のアダプタ装着部3aの側面がメモリカード1の側面と同一平面になるように形成されている。すなわち、アダプタ装着部3aの側面部分が窪んでいない。また、このアダプタ装着部3aに嵌合されるアダプタ2の凹部2aの部分には、メモリカード1の側面にも上記アダプタ装着部3aの側面部分が入り込めるような溝2a1が部分的に形成されている。
【0061】
このような場合でも、図17に示すように、メモリカード1とアダプタ2との結合側面に凹凸や不具合を生じることなくすっきりした状態で、メモリカード1にアダプタ2を装着することができる。
【0062】
このような本実施の形態においても前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(実施の形態3)
図18は、本発明のさらに他の実施の形態である半導体装置の裏面側の平面図を示している。本実施の形態においては、メモリカード1の背面側においてアダプタ装着部3aの近傍に、複数の接続端子17がメモリカード1の長手方向に沿って規則的に並んで配置されている。接続端子17は、ベース基板4の裏面側に設けられており、ベース基板4の配線を通じてベース基板4上に形成されたメモリ回路と電気的に接続されている。この接続端子17は、上記メモリ回路のテスト用または機能追加用の端子である。
【0064】
(実施の形態4)
まず、本発明者が検討した技術において本発明者が初めて見出した課題について図19〜図23によって説明する。
【0065】
図19および図20は、前記ベース基板4の表面(部品搭載面)および裏面(外部接続端子形成面)の平面図をそれぞれ示している。ベース基板4は、平面矩形状に形成されており、その1つの角部該当箇所は角が取られて面取り部(第3面取り部)4aが形成されている。面取り部4aは、メモリカードの前面先端(装着端)に形成されたインデックス用の面取りに沿うように形成されている。
【0066】
図21および図22は、本発明者が検討した前記フルサイズのメモリカード用のキャップ(第1ケース本体)16の表面および裏面の平面図をそれぞれ示している。このキャップ16は、前記ハーフサイズ用のキャップ3と同様の樹脂等により形成されている。キャップ16においてメモリカードの前面側角部の一方には、上記インデックス用の面取り部(第2面取り部)16aが形成されている。この面取り部16aは、フルサイズのメモリカードの装着方向を認識し易くする等の観点から設けられている。
【0067】
また、キャップ16の裏面において上記メモリカードの前面側には溝16bが形成されている。この溝16bは、ベース基板4をキャップ16に取り付けるための溝であり、キャップ16の先端近傍からキャップ16の長手方向の半分よりも若干短い位置までを占有するように形成されている。溝16bの平面的な形状および寸法は、ベース基板4を収まり良く嵌め合わせることが可能なようにベース基板4と同一平面形状で、かつベース基板4よりも若干大きな平面寸法で形成されている。したがって、溝16bにおいて、キャップ16の前面側の一方の角部は、キャップ16の面取り部16aに沿うように角が取られて面取り部16b1が形成されている。また、溝16bの2つの長辺のうちのキャップ16の長手方向中央側に形成されている長辺と、溝16bの2つの短辺とが直角に交わっている。なお、溝16bの領域内において外周には、その内側よりも若干厚く、かつ、溝16bの外側よりは若干薄い段差部16eが形成されている。この段差部16eに刻まれた複数のピン跡16fは、キャップ16を金型で成形した後に金型から取り出す際にエジェクターピンが接触した跡を示している。
【0068】
また、このキャップ16の表面および裏面において背面側近傍には、カード取り出し溝16c1,16c2が形成されている。このカード取り出し溝16c1,16c2は、前記実施の形態1で説明したカード取り出し溝3c(図1等参照)と同様の機能を有する溝である。裏面側の溝部16c2の深さは、表面側のカード取り出し溝16c1よりも深く形成されている。このカード取り出し溝16c1,16c2は、いずれか一方を設けるだけでも良い。また、キャップ16の表面において前面近傍側には、フルサイズのメモリカードを前記電子装置に装着する際の挿入方向を示す平面三角形状のマーク16dが形成されている。また、キャップ16の表面の大半部分は、平面角丸の長方形状の浅い窪み16gが形成されている。この窪み16gは、メモリカードの分類等を書き示す等、種々の情報を記載するためのシール等を貼り付けるためのものである。
【0069】
図23は、図19および図20に示したベース基板4を、図21および図22のキャップ16の溝16bに取り付けた後のフルサイズのメモリカード1Aの裏面の平面図を示している。ベース基板4は、キャップ16の長手方向のほぼ片側半分の領域に収まり良く取り付けられている。
【0070】
ところで、本発明者は、図23に示したフルサイズのメモリカード1Aに対して曲げ強度試験を行った。この曲げ強度試験は、例えば次のようにする。まず、メモリカード1Aの裏面を試験台の上面に向けた状態でメモリカード1Aを試験台上に載せる。この時、メモリカード1Aの長手方向の両端近傍の2箇所において、メモリカード1Aの裏面と試験台の上面との間に支持部材を介在させ、メモリカード1Aの裏面と、試験台の上面との間に所定寸法の間隙が形成されるようにする。この状態で、メモリカード1Aの表面において長手方向中央に所定量の荷重を加えることにより、メモリカード1Aを反らせて破壊強度を評価する。
【0071】
本発明者は、この試験の結果、図23に示したようなメモリカード1Aは、フルサイズのメモリカードにおいてベース基板とキャップとの平面寸法が同程度とされる構造のものに比べて曲げ強度が弱く、メモリカード1Aの裏面中央においてキャップ16とベース基板4との境界部(隙間部)においてベース基板4が剥離したり、キャップ16の溝16bの長辺のうちのキャップ16の長手方向中央側に形成されている長辺と溝16bの2つの短辺とが直角に交わる部分を起点としてキャップ16にクラックが生じたりする等のような不具合が生じることを初めて見出した。
【0072】
そこで、本実施の形態においては、ベース基板の平面寸法がキャップの平面寸法の半分程度とされるフルサイズのメモリカードにおいて、上記曲げ強度が向上するような構造とした。具体的には、例えば以下のようにする。
【0073】
図24および図25は、本実施の形態4のベース基板4の表面(部品搭載面)および裏面(外部接続端子形成面)の平面図をそれぞれ示している。本実施の形態4のベース基板4においては、上記面取り部4aの他に、2つの角部該当箇所の角が取られて面取り部(第1面取り部)4b,4cが形成されている。この面取り部4b,4cは、面取り部4aよりは小さく面取りされてなり、互いに左右対称となるように同一の大きさおよび形状で形成されている。これ以外は、前記実施の形態1、図19および図20等で説明したのと同じである。
【0074】
図26および図27は、図24および図25に示したベース基板4を搭載するフルサイズのメモリカード用のキャップ16における表面および裏面(ベース基板装着面)の平面図をそれぞれ示している。本実施の形態4のキャップ16は、ベース基板4を装着する溝(第1溝)16bの形状が前記したのと異なる。それ以外の構成は、前記実施の形態1、図21および図22で説明したのと同じである。すなわち、本実施の形態4においては、溝16bの平面的な形状および寸法は、図24および図25に示したベース基板4を収まり良く嵌め合わせることが可能なようにそのベース基板4と同一平面形状で、かつベース基板4よりも若干大きな平面寸法で形成されている。したがって、この場合の溝16bの2つの長辺のうちのキャップ16の長手方向中央側に形成されている長辺16b2と、溝16bの2つの短辺16b3,16b3とは直角に交わっておらず、その本来直交する部分は角が取られて面取り部(第1面取り部)16b4,16b5が形成されている。すなわち、溝16bは、その長辺16b2および短辺16b3の相互間が、これらに対して斜めに交差するように配置された面取り部16b4,16b5を介して次第に切りかわるような構造とされている。あるいは溝16bにおいてキャップ16の長手方向中央側に本来形成される2つの角部に直角二等辺三角形状の補強部16h1,16h2が、直角部を合わせた状態で配置されているような構造とされている。この面取り部16b4,16b5は、面取り部16aよりは小さく面取りされてなり、互いに左右対称となるように同一の大きさおよび形状で形成されている。
【0075】
図28は、図24および図25に示したベース基板4を、図26および図27のキャップ16に取り付けた後のフルサイズのメモリカード1Aにおける裏面の平面図を示し、図29は図28のA1−A1線の断面図を示している。本実施の形態4においてベース基板4は、その表面をキャップ16の裏面の溝16b側に向け、かつ、ベース基板4の面取り部4b,4cを、それぞれ溝16bの面取り部16b4,16b5に対向させた状態で溝16b内に装着されている。ベース基板4は、その表面外周部がキャップ16の溝16b内における段差部16eに接触した状態で支えられている。
【0076】
本実施の形態4においては、ベース基板4と溝16bとの接触長さを図23に示した場合よりも長くすることができるので、ベース基板4とキャップ16との接合強度を向上させることができる。また、ベース基板4に面取り部4b,4cを設け、また、溝16bに面取り部16b4,16b5を設け、応力集中し易い直角部を無くしたことにより、応力を分散させることができる。これらにより、上記曲げ強度試験に際して、ベース基板4の剥離を抑制または防止でき、また、キャップ16にクラックが生じるのを抑制または防止できる。
【0077】
また、上記曲げ強度を向上させる構造は、他の新たな部材を追加するわけではなく、ベース基板4の角部およびキャップ16の溝16bの角部を面取りするだけの単純な構造であり、その形成が容易である。したがって、生産性を阻害することなく信頼性の高いフルサイズのメモリカード1Aを提供できる。
【0078】
また、本実施の形態4のフルサイズのメモリカード1Aは、静電破壊試験においても有利な構造とされている。この静電破壊試験では、メモリカード1Aを試験装置に装着した状態で、背面側から静電気を印加するものである。フルサイズのメモリカードにおいて、ベース基板とキャップとの平面寸法が同程度とされる構造では、メモリカードの背面側の近傍までベース基板が設けられているので、メモリカードの背面側から前面側のチップまでの導電経路の距離が短い。これに対して、本実施の形態4のメモリカード1Aでは、その背面から長手方向のほぼ半分程度までは絶縁性のキャップ16で形成されており、その背面側から前面側のチップまでの導電経路の距離が長いので、静電破壊試験において破壊が生じ難い構造となっている。
【0079】
さらに、フルサイズのメモリカード1Aにおいて、ベース基板4の平面寸法がキャップ16の平面寸法の半分程度とされる構造においては、ベース基板とフルサイズのキャップとの平面寸法が同程度とされる構造に比べて、ベース基板4の面積および封止樹脂11の体積を小さくすることができるので、フルサイズのメモリカード1Aを軽くすることができる。特に、本実施の形態4のメモリカード1Aでは上記のようにベース基板4の角部をさらに面取りしているので、軽量化を推進できる。したがって、フルサイズのメモリカード1Aの携帯性を向上させることが可能となる。
【0080】
図30〜図32は、図23に示したメモリカード1Aの曲げ強度試験の結果の説明図を示している。この構造のメモリカード1Aにおいては、キャップ16の長手方向のほぼ中央におけるベース基板4とキャップ16との境界箇所(位置b3,b4)において曲げ強度が急激にしかも矩形状に大きく落ち込んでいることが分かる。なお、符号b1〜b4は、図30〜図32において相互間の位置関係が分かるように位置を示している。
【0081】
一方、図33〜図35は、本実施の形態4の図28等に示したメモリカード1Aの曲げ強度試験の結果の説明図を示している。本実施の形態4のメモリカード1Aにおいては、キャップ16の長手方向のほぼ中央におけるベース基板4とキャップ16との境界箇所(位置b5,b6,b4)において曲げ強度の落ち込みが比較的なだらかであるとともに、その最低値が図31および図32の場合よりも高い値になっていることが分かる。すなわち、フルサイズのメモリカード1Aの曲げ強度を向上させることができる。
【0082】
次に、本実施の形態4のフルサイズのメモリカード1Aの寸法上の定義等について図36および図37により説明する。
【0083】
図36は、本実施の形態4のキャップ16の裏面の平面図を示している。溝16bの短方向の長さ(すなわち、ほぼベース基板4の短方向の寸法)X1は、キャップ16の長手方向における全長X2の半分よりも小さい(X1<X2/2)。これは、ベース基板4をフルサイズとハーフサイズとの両方で使用可能とするためである。すなわち、幅X1を全長X2の半分かそれより長くしてしまうと、そのベース基板を前記実施の形態1で説明したハーフサイズのメモリカード1に使用できなくなってしまうからである。長さX1は、例えば14.5mm程度、全長X2は、例えば32mm程度である。
【0084】
また、本実施の形態4においては、面取り部16b4,16b5において、キャップ16の長手方向の長さX3と、キャップ16の短方向の長さY1とを等しくしている(X3=Y1)。したがって、角度θは、45°程度である。理論的には、この場合が角部領域での曲げ強度を全体的に向上させることができるからである。また、本発明者の検討によれば、Y1>X3としても曲げ強度上の良い結果が得られた。長さX3,Y1は、例えば2mm程度である。
【0085】
また、面取り部16aの長さL2は、長さX3,Y1よりも長い(L2>X3,Y1)。これは、長さX3,Y1をあまり大きくしてしまうと、ベース基板4の面積が小さくなりすぎて、チップを搭載できなくなってしまうからである。長さL2は、例えば5.66mm程度である。
【0086】
また、この長さX3,Y1は、厚さd8,d9,d10よりも大きい(X3,Y1>d8,d9,d10)。これは、長さX3,Y1が厚さd8〜d10より小さいと面取り量が小さすぎて上記曲げ強度を充分に得ることができないからである。厚さd8は、例えば1mm程度、厚さd9,d10は、例えば0.6mm程度である。
【0087】
また、図37は、本実施の形態4のメモリカード1Aの要部拡大断面図を示している。メモリカード1Aの総厚は、キャップ16の厚さd11に相当する。この厚さd11は、厚さd12と同じか、それ以上である(d11≧d12)。厚さd12は、キャップ16の表面からベース基板4の裏面までの厚さである。上記の寸法規定の理由は、この厚さd12が、厚さd11よりも厚くなるとメモリカードの規格に合わなくなるからである。深さd13は、溝16bの深さを示している。厚さd11は、例えば1.4mm程度である。厚さd12は、例えば1.4mm程度またはそれ以下である。深さd13は、例えば1.04mm程度、厚さd14は、例えば0.28mm程度である。
【0088】
次に、図26〜図29等に示したフルサイズ用のキャップ16の形成する際に用いる金型の一例を図38により説明する。図38は、その金型15の断面図である。その構造は、前記実施の形態1の図11および図12(a),(c)で説明したのとほぼ同じである。異なるのは、キャビティ15cの長手方向の長さが、図15で説明したものよりも長いことである。すなわち、キャビティ15cの長手方向のほぼ中央からキャップ16の背面部を形成する部分までの長さが、図11および図12で示したものよりも長い。
【0089】
次に、本実施の形態4のベース基板4におけるチップの配置例を図39および図40により説明する。図39および図40は、本実施の形態4におけるベース基板4の表面(部品搭載面)の平面図を示している。
【0090】
本実施の形態4においては、ベース基板4の表面に、1つのメモリ用のチップ5aおよび1つのコントローラ用のチップ5b等が搭載されている。この2つのチップ5a,5bは、ベース基板4の長手方向(すなわち、複数の外部接続端子9(図25,図28参照)が配置される方向)に沿って並んで配置されている。相対的に大きなメモリ用のチップ5aは、インデックス側の面取り4aから遠い位置に離れて配置されている。一方、相対的に小さなコントローラ用のチップ5bは、インデックス側の面取り部4aに近い側に配置されている。このような配置により、コンパクトで大容量のメモリカードを実現することができる。
【0091】
上記メモリ用のチップ5aには、例えば16M、32バイトのメモリ容量のメモリ回路が形成されている。メモリ用のチップ5aの方がコントローラ用のチップ5bよりも正方形に近い形状をしている。メモリ用のチップ5aの一辺の長さL3は、コントローラ用のチップ5bの長手方向に延びる一辺の長さL4よりも長く形成されている。メモリ用のチップ5aの主面において一辺の近傍には、その一辺に沿って複数のボンディングパッド20aが配置されている。メモリ用のチップ5aは、その複数のボンディングパッド20aが配置されている一辺が、ベース基板4の長手方向中央側、すなわち、コントローラ用のチップ5b側に配置されるように搭載されている。このボンディングパッド20aは、ボンディングワイヤ6を通じてベース基板4の表面の配線と電気的に接続されている。
【0092】
一方、コントローラ用のチップ5bの主面において、2つの長辺の近傍には、その長辺に沿って複数のボンディングパッド20bが配置されている。コントローラ用のチップ5bは、その長辺が、メモリ用のチップ5aの複数のボンディングパッド20aが配置されている一辺に対してほぼ平行となるようにベース基板4の表面上に搭載されている。このボンディングパッド20bは、ボンディングワイヤ6を通じてベース基板4の表面の配線と電気的に接続されている。このようなチップ5a,5bの配置は、前記実施の形態1〜3にも適用できる。
【0093】
なお、ベース基板4の表面の長手方向の先端側(面取り部4aが形成された側)には、金メッキ等により形成されたメタル層21が形成されている。このメタル層21は、チップ5a,5bを封止する際に金型のゲートが配置される部分である。すなわち、封止樹脂11(図29等参照)の形成に際しては、そのメタル層21側からコントローラ用のチップ5bの配置領域を介してメモリ用のチップ5aの配置領域へ向かって樹脂が流れるようになっている。
【0094】
次に、本実施の形態4の半導体装置の組立方法の一例を説明する。この組立工程は、前記実施の形態1の図13で説明したのと同じである。ここでは、その組立工程を図41のフロー図に沿って図42〜図46により説明する。なお、図42〜図46はその組立工程中におけるベース基板4の表面の平面図である。
【0095】
まず、図42に示すようなベース基板形成体22を用意する。このベース基板形成体22の枠体22aには、既に複数のベース基板4が各ベース基板4の2つの短辺中央に接続された微細な連結部22bを介して接続されている。この段階では、枠体22a、連結部22bおよびベース基板4は一体的に形成されている。また、ベース基板4の面取り部4b,4cも既に形成されている。続いて、図43に示すように、ベース基板形成体22の各ベース基板4の表面上にチップ5a,5bを搭載する(図41の工程100)。この時、相対的に大きなメモリ用のチップ5aを面取り部4aから離れた箇所に搭載し、相対的に小さなコントローラ用のチップ5bを面取り部4aに近い箇所に搭載する。その後、ベース基板4およびチップ5a,5bの配線、電極(ボンディングパッド20a,20bを含む)の表面を清浄化すべく、例えばプラズマクリーニング処理を施す(図41の工程101)。この工程は、薄く形成されている金メッキ層の表面を清浄にすることで、この工程に続くボンディングワイヤ工程時にワイヤと金メッキ層との接続状態を良好にすることを主目的としている。
【0096】
次いで、図44に示すように、各ベース基板4において、チップ5a,5bのボンディングパッド20a,20bとベース基板4の配線や電極とをボンディングワイヤ6を通じて電気的に接続する(図41の工程102)。続いて、図45に示すように、各ベース基板4において、チップ5a,5bおよびボンディングワイヤ6等をトランスファモールド法によって封止する(図41の工程103)。上記ワイヤボンディング工程後、モールド工程前に、封止樹脂11の接着性を向上させる観点から上記クリーニング処理をベース基板4に施しても良い。その後、図46に示すように、連結部22bを切断することにより、ベース基板4をベース基板形成体22から分離する(図41の工程104)。このようにしてベース基板4を形成する。
【0097】
次いで、フルサイズ(FS)のメモリカード1Aを製造する場合は、上記ベース基板4を図26および図27に示したキャップ16の溝16b内に取り付けて接着剤等で固定する(図41の工程105A)。一方、ハーフサイズ(HS)(またはレデュースサイズ(RS))のメモリカード1を製造する場合は、ベース基板4を、前記実施の形態1の図1〜図5等で説明したキャップ3の裏面の溝(ここでの溝の平面形状は、図27〜図29で説明した形状に形成されている)内に取り付けて接着剤等で固定する(図41の工程105B)。
【0098】
このように本実施の形態においては、1つのベース基板4でフルサイズとハーフサイズとの2種類のメモリカード1,1Aを製造できる。すなわち、フルサイズとハーフサイズとのメモリカード1,1Aの製造工程および部材を一部共通化できるので、別々に製造した場合に比べて製造工程の簡略化、製造時間の短縮および製造コストの低減が可能となる。
【0099】
(実施の形態5)
本実施の形態5においては、ベース基板の平面寸法がキャップの平面寸法の半分程度とされるフルサイズのメモリカードにおいて、前記曲げ強度を向上させる構造の変形例を説明する。
【0100】
図47は、本実施の形態5のフルサイズのメモリカード1Aにおける裏面の平面図を示し、図48は、図47の領域Z1の拡大平面図を示している。本実施の形態5においては、ベース基板4において、フルサイズのキャップ16の長手方向中央側に位置する両角部の近傍に微細な長方形状の凹凸4dが形成され、これに対応するキャップ16の溝16bの角部近傍にもベース基板4の微細な凹凸4dに上手く嵌め合わされるように微細な長方形状の凹凸16b7が形成されている。この微細な凹凸4d,16b7は、図47において左右対称となるように形成されている。これ以外は、前記実施の形態1〜4で説明したのと同じである。上記凹凸4d,16b7は、溝16bの長辺16b2およびこれに対応するベース基板4の長辺側に設けても良い。
【0101】
本実施の形態5においても、相対的に強度の弱い角部において、ベース基板4とキャップ16との接触面積を増大させることができるので、キャップ16のクラックやベース基板4の剥離を抑制または防止でき、前記曲げ強度を向上させることが可能となっている。
【0102】
(実施の形態6)
本実施の形態6においては、ベース基板の平面寸法がキャップの平面寸法の半分程度とされるフルサイズのメモリカードにおいて、前記曲げ強度を向上させる構造の他の変形例を説明する。
【0103】
図49は、本意実施の形態6のフルサイズのメモリカード1Aにおける裏面の平面図を示し、図50は、図49の領域Z2の拡大平面図を示している。本実施の形態6においても、前記実施の形態5と同様に、ベース基板4の角部近傍およびそれに対応するキャップ16の溝16bの角部近傍に微細な凹凸4d,16b7が形成されている。前記実施の形態5と異なるのは、各々の微細な凹凸4d,16b7の側面にテーパが形成されていることである。この場合、ベース基板4の微細な凹凸4dと、キャップ16の溝16bの微細な凹凸4dとを前記実施の形態5の場合よりも嵌め込み易い。これ以外は、前記実施の形態1〜5で説明したのと同じである。上記凹凸4d,16b7は、溝16bの長辺16b2およびこれに対応するベース基板4の長辺側に設けても良い。
【0104】
(実施の形態7)
本実施の形態7においては、ベース基板の平面寸法がキャップの平面寸法の半分程度とされるフルサイズのメモリカードにおいて、前記曲げ強度を向上させる構造のさらに他の変形例を説明する。
【0105】
図51は、本実施の形態7のフルサイズのメモリカード1Aにおける裏面の平面図を示している。本実施の形態7においては、ベース基板4において、フルサイズのキャップ16の長手方向中央側に位置する長辺およびこれに直交する短辺の両角部の近傍に鋸の刃状の微細な凹凸4dが形成され、これに対応するキャップ16の溝16bの長辺および短辺にもベース基板4の微細な凹凸4dに上手く嵌め合わされるように鋸の刃状の微細な凹凸16b7が形成されている。これ以外は、前記実施の形態1〜4で説明したのと同じである。そして、本実施の形態7においても前記実施の形態4〜6と同様の曲げ強度上の効果を得ることができる。
【0106】
(実施の形態8)
本実施の形態8においては、前記実施の形態4において図24および図25等で示したベース基板を用いたハーフサイズのメモリカードについて説明する。
【0107】
図52および図53は、本実施の形態8のハーフサイズのメモリカード1の表面および裏面の平面図をそれぞれ示している。メモリカード1のキャップ(第2ケース本体)3の前面において一方の角部は角が取られて上記インデックス用の面取り部3eが形成されている。この面取り部3eは、メモリカード1の装着方向を認識し易くする等の観点から設けられている。また、キャップ3の表面において、面取り部3e側には、メモリカード1の背面から前面に向かって延びる矢印状のマーク3d2が形成されている。このマーク3d2は、メモリカード1を前記電子装置に装着する際の挿入方向を示すものである。本実施の形態8のハーフサイズのメモリカード1においては、その短方向の先端を前面にして電子装置に装着するが、一般的にメモリカードは、その長手方向の先端を前面にして電子装置に装着するという固定観念があるので、間違えが生じないようにマーク3d2を大きめに表示している。また、キャップ3の表面において面取り部3eから離れた領域には、平面四角形状の浅い溝3fが形成されている。この浅い溝3fは、メモリカード1の記録データの内容等を書き印すシールを貼り付ける領域である。
【0108】
また、本実施の形態8のキャップ3の裏面には、図24および図25に示したベース基板4を収まり良く嵌め合わせることが可能なようにそのベース基板4と同一平面形状で、かつベース基板4よりも若干大きな平面寸法の溝(第2溝)3gが形成されている。したがって、この場合の溝3gにおいてメモリカード1の背面近傍側の長辺3g1と、溝3gの2つの短辺3g2,3g2とは直角に交わっておらず、その本来直交する部分は角が取られて面取り部(第1面取り部)3g3,3g4が形成されている。この溝3gについての構造(面取り部3g3,3g4を含む)は、前記実施の形態4で説明したフルサイズのキャップ16の溝16bと同じである。これにより、ベース基板4をフルサイズにもハーフサイズにも適用できる。また、溝3gへのベース基板4の取り付け状態も前記実施の形態4で説明したのと同じである。また、キャップ3の裏面における前記溝部3b2は、メモリカード1を電子装置から取り出すときの引っかかり溝としても機能する。
【0109】
(実施の形態9)
本実施の形態9においては、メモリカードの規格により裏面の外部接続端子9の数が変わった場合の対応例を説明する。
【0110】
図54は、本実施の形態9のメモリカード1における外部接続端子9の数を、SDカード(パナソニック、東芝、サンディスク)の外部接続端子の数に合わせた場合を例示している。メモリカード1の裏面(ベース基板4の裏面)には、全部で9個の外部接続端子9が配置されている。また、図55は、本実施の形態9のメモリカード1における外部接続端子9の数を、ICカードの外部接続端子の数に合わせた場合を例示している。メモリカード1の裏面(ベース基板4の裏面)には、全部で13個の外部接続端子9が一部2行になって配置されている。いずれの場合も特に問題なく対応できる。
【0111】
(実施の形態10)
本実施の形態10においては、ベース基板の平面寸法がキャップの平面寸法の半分程度とされるフルサイズのメモリカードにおいて、前記曲げ強度を向上させる構造のさらに他の変形例を説明する。
【0112】
図56は、本実施の形態10のフルサイズのメモリカード1Aの断面図を示し、図57は、図56の要部拡大断面図を示している。本実施の形態10においては、キャップ16の溝16bの長辺16b2に庇部16iを一体的に設けた。庇部16iは、長辺16b2に沿って延在されていても良いし、長辺16b2の一部に分散して形成されていても良い。このように庇部16iを設けたことにより(すなわち、補強部材を設けたことにより)、溝16bの長辺16b2側の側面に凹部16jが形成されている。そして、この凹部16j内に、ベース基板4の背面側の一部を嵌め合わすことにより、ベース基板4をしっかりと固定することが可能な構造となっている。ここでは、ベース基板4を凹部16jに嵌め合わすため、ベース基板4の背面側の一部は、ハーフエッチングされて薄くなっている。このような構造とすることにより、前記曲げ強度を向上させることができるので、ベース基板4の剥離やキャップ16の破壊を抑制または防止できる。本実施の形態10の構造を採用した場合は、溝16bに面取り部16b4,16b5を設けなくても良いが、面取り部16b4,16b5を設けることでより曲げ強度を向上させることが可能となる。また、その場合に庇部16iをその面取り部16b4,16b5の箇所に設けても良い。
【0113】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0114】
例えばアダプタの支持部の形状や数は前記実施の形態に限定されるものではなく種々変更可能である。
【0115】
また、チップはワイヤボンディング方式による接続の他に、バンプ電極を使用した接続方式を採用することもできる。
【0116】
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるフラッシュメモリ(EEPROM)を内蔵するメモリカードに適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、FRAM(Ferroelectric Random Access Memory)またはMRAM(Magnetic Random Access Memory)等のような他のメモリ回路を内蔵するメモリカードにも適用できる。また、メモリ回路を有しないIC(Integrated circuit)カードにも適用できる。
【0117】
本発明の一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば、以下の通りである。
【0118】
すなわち、半導体チップを内蔵するケース本体の一部に、前記ケース本体の平面寸法を大きくするための金属製の補助器具の凹部を嵌め合わせることが可能な断面凸状の装着部を設けたことにより、半導体装置の汎用性を高めることが可能となる。
【0119】
また、基板およびこれを取り付けるケース本体の溝において、ケース本体中央側に位置する角部を面取りしたことにより、半導体装置の曲げ強度を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は、メモリカード産業に適用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 半導体メモリカード(半導体装置)
1A 半導体メモリカード(半導体装置)
2 アダプタ(補助器具)
2a 凹部
2b 爪部
2c 支持部
2d 溝
2e 孔
3 キャップ(ケース本体)
3a アダプタ装着部
3b アダプタ爪装着部
3b1 窪み部
3b2 溝部
3c カード取り出し溝
3d マーク
3e 面取り部
3f 浅い溝
3g 溝
3g1 長辺
3g2 短辺
3g3,3g4 面取り部
4 ベース基板
4a〜4c 面取り部
4d 凹凸
5a,5b 半導体チップ
6 ボンディングワイヤ
7 接続端子
8 テストパッド
9 外部接続端子
10 スルーホール
11 封止樹脂
15 金型
15a 下型
15b 上型
15c キャビティ
16 キャップ
16a 面取り部
16b 溝
16b1 面取り部
16b2 長辺
16b3 短辺
16b4,16b5 面取り部
16b7 凹凸
16c1,16c2 カード取り出し溝
16d マーク
16e 段差部
16f ピン跡
16g 浅い窪み
16h1,16h2 補強部
16i 庇部
16j 凹部
17 接続端子
20a,20b ボンディングパッド
21 メタル層
22 ベース基板形成体
22a 枠体
22b 連結部
50 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表側および裏側を有する基板と、
前記基板の裏側に配置され、且つ、CLK端子、DAT端子およびCMD端子を含む複数の外部端子と、
前記基板の表側に搭載された第1フラッシュメモリチップと、
前記基板の表側に搭載され、前記複数の外部端子と電気的に接続された前記第1フラッシュメモリチップ用のコントローラチップとを有するメモリカード本体と、
前記メモリカード本体に装着されたアダプタと、を有するメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体の外形寸法は、マルチメディアカード規格又はSDカード規格におけるフルサイズのメモリカードの外形寸法より小さく、
前記メモリカードの外形寸法は、前記アダプタが装着された状態において、前記フルサイズのメモリカードの外形寸法に等しくなるように構成されており、
前記第1フラッシュメモリチップおよび前記コントローラチップは、前記基板の表側において一体的に封止樹脂で覆われ、
前記基板の表側には、前記封止樹脂から露出するように構成され、且つ、前記基板の配線を通じて前記封止樹脂内の前記第1フラッシュメモリチップと電気的に接続された複数の接続端子が設けられていることを特徴とするメモリカード。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の表側に設けられた前記複数の接続端子は、前記第1フラッシュメモリチップのテスト用の端子であることを特徴とするメモリカード。
【請求項3】
請求項1に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の表側に設けられた前記複数の接続端子は、前記第1フラッシュメモリチップの電気的特性を測定するための端子であることを特徴とするメモリカード。
【請求項4】
請求項1に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の表側に設けられた前記複数の接続端子の数は、前記外部端子の数よりも多いことを特徴とするメモリカード。
【請求項5】
表側および裏側を有する基板と、
前記基板の裏側に配置され、且つ、CLK端子、DAT端子およびCMD端子を含む複数の外部端子と、
前記基板の表側に搭載された第1フラッシュメモリチップと、
前記基板の表側に搭載され、前記複数の外部端子と電気的に接続された前記第1フラッシュメモリチップ用のコントローラチップを有するメモリカード本体と、
前記メモリカード本体に装着されたアダプタを有するメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体の外形寸法は、マルチメディアカード規格又はSDカード規格におけるフルサイズのメモリカードの外形寸法より小さく、
前記メモリカードの外形寸法は、前記アダプタが装着された状態において、前記フルサイズのメモリカードの外形寸法に等しくなるように構成されており、
前記第1フラッシュメモリチップおよび前記コントローラチップは、前記基板の表側において一体的に封止樹脂で覆われ、
前記基板の裏側には、前記複数の外部端子とは別に、前記基板の配線を通じて前記封止樹脂内の前記第1フラッシュメモリチップと電気的に接続された複数の接続端子が設けられていることを特徴とするメモリカード。
【請求項6】
請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の裏側に設けられた前記複数の接続端子は、前記第1フラッシュメモリチップのテスト用の端子であることを特徴とするメモリカード。
【請求項7】
請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の裏側に設けられた前記複数の接続端子は、前記メモリカードの機能追加用の端子であることを特徴とするメモリカード。
【請求項8】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体は樹脂で構成されており、前記アダプタは金属を含んで構成されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項9】
請求項8に記載のメモリカードにおいて、
前記アダプタはステンレスで構成されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項10】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記基板の表面側において、前記メモリカード本体に、ラベルを貼るための領域が設けられていることを特徴とするメモリカード。
【請求項11】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体に、前記メモリカードの挿入方向を示すマークが設けられていることを特徴とするメモリカード。
【請求項12】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体の角の1つは、切り欠かれていることを特徴とするメモリカード。
【請求項13】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記複数の外部端子の数は、7であることを特徴とするメモリカード。
【請求項14】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記複数の外部端子の数は、9であることを特徴とするメモリカード。
【請求項15】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記複数の外部端子の数は、13であることを特徴とするメモリカード。
【請求項16】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記複数の外部端子は、2列に配置されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項17】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記第1フラッシュメモリチップの平面寸法は、前記コントローラチップの平面寸法よりも大きいことを特徴とするメモリカード。
【請求項18】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体は更に、第2フラッシュメモリチップを有することを特徴とするメモリカード。
【請求項19】
請求項18に記載のメモリカードにおいて、
前記第2フラッシュメモリチップは前記第1フラッシュメモリチップ上に積層されていることを特徴とするメモリカード。
【請求項20】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記マルチメディアカード規格またはSDカード規格で定義されるフルサイズのメモリカードの外形寸法は、32mm×24mmであることを特徴とするメモリカード。
【請求項21】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前メモリカード本体の平面寸法は、24mm×18mmであることを特徴とするメモリカード。
【請求項22】
請求項1または請求項5に記載のメモリカードにおいて、
前記メモリカード本体の厚さは、1.4mmであることを特徴とするメモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図17】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2009−151815(P2009−151815A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36042(P2009−36042)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【分割の表示】特願2006−109408(P2006−109408)の分割
【原出願日】平成13年12月28日(2001.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
2.FRAM
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】