説明

メモリカード

【課題】 大容量化が可能なメモリカードを提供することである。
【解決手段】 複数の接続パッドを有する配線基板と、それぞれ一方の短辺に沿って複数の電極パッドを有し該電極パッドが露出するように該一方の短辺を階段状にずらして該配線基板上に積層した複数のメモリチップと、該メモリチップの書き込み及び読み出し領域を制御するコントローラチップとを備え、該配線基板上の接続パッドと該メモリチップの電極パッドが金属ワイヤーで接続されているメモリカードであって、該コントローラチップは、該メモリチップが階段状に積層された階段裏の該配線基板上に配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SDメモリカード、スマートメディア、メモリスティック、USBメモリ等のメモリカードに関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリ等を内蔵するメモリカードは、急速に小型化と大容量化が進められている。小型化されたメモリカードを実現するために、メモリチップやコントローラチップ等の半導体チップは配線基板上に積層して搭載される。
【0003】
半導体チップの電極パッドはワイヤーボンディングにより配線基板の接続パッドと電気的に接続される。メモリカードの更なる大容量化を測るために、メモリチップを配線基板上に多段に積層するようになってきている。
【0004】
メモリチップの積層数は増加傾向にあり、メモリカードの記憶容量に応じて8段、更にはそれ以上に積層することが検討されている。多段に積層されたメモリチップに対してワイヤーボンディングを行うためには、例えば片側の短辺に沿って配列された複数の電極パッドをそれぞれ露出させるように、複数のメモリチップをずらして階段状に次々と粘着フィルムを介在して積層する構造が一般的に採用されている。
【0005】
メモリチップはNAND型フラッシュメモリから一般的に構成されており、NAND型フラッシュメモリでは、セルを駆動するのに必要な導線を複数のセルで共有している。このため、データの書き込み及び読み出しは、ページと呼ばれる例えば2112バイトの複数ビット単位で、消去はブロックと呼ばれる複数のページ単位(例えば64ページ)で一括して行われる。即ち、NAND型フラッシュメモリでは、その制御方法として、ページ読み出し、ページ書き込み及びブロック消去が採用されている。
【0006】
書き込み領域及び読み出し領域を複数のメモリチップから選択して制御するためにコントローラチップが採用されており、従来のメモリカードでは、最上段のメモリチップ上にコントローラチップが配設され、全体が規格で定められた外形となるようにカード状に樹脂封止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−158739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、最上段のメモリチップ上にコントローラチップを積層する構造では、更なるメモリカードの大容量化が図れないという問題がある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、メモリチップの積層数を増加可能なメモリカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、複数の接続パッドを有する配線基板と、それぞれ一方の短辺に沿って複数の電極パッドを有し該電極パッドが露出するように該一方の短辺を階段状にずらして該配線基板上に積層した複数のメモリチップと、該メモリチップの書き込み及び読み出し領域を制御するコントローラチップとを備え、該配線基板上の接続パッドと該メモリチップの電極パッドが金属ワイヤーで接続されているメモリカードであって、該コントローラチップは、該メモリチップが階段状に積層された階段裏の該配線基板上に配設されていることを特徴とするメモリカードが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、複数のメモリチップが階段状に積層された階段裏の配線基板上にコントローラチップを配設してメモリカードを構成したので、コントローラチップの厚みが実質的に0になり、コントローラチップの厚み分メモリチップの積層枚数を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】樹脂封止を除去した状態の本発明実施形態に係るメモリカードの斜視図である。
【図2】図2(A)は配線基板上にコントローラチップを搭載する様子を示す分解斜視図、図2(B)はコントローラチップが搭載された状態の配線基板の斜視図である。
【図3】配線基板上に複数のメモリチップを積層する状態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る樹脂封止を除去した状態のメモリカード10の斜視図が示されている。メモリカード10は、例えば小型フラッシュメモリカードであり、デジタル家電情報を蓄えるメディアとして、SDメモリカード、スマートメディア、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(登録商標)等種々提案されており、それぞれ規格でその仕様及び外形寸法等が規定されている。
【0014】
図2を参照すると、配線基板12の斜視図が示されている。配線基板12は、例えば絶縁性樹脂基板の内部や表面に配線部を設けたものであり、具体的にはガラス‐エポキシ樹脂やBT樹脂(ビスマレイミド・トリアジン樹脂)等を使用したプリント配線板が採用される。
【0015】
配線基板12は概略矩形状の外形を有しており、配線基板12の裏面12aにはメモリカードの入出力端子となる図示しない外部接続端子が形成されている。尚、配線基板12の裏面12aがメモリカード10の表面に相当する。更に、配線基板12の裏面12aには、外部接続端子の形成領域を除く領域に第1の配線網が設けられている。
【0016】
配線基板12の表面12bはチップ搭載部13と一方の短辺12cに隣接したパッド領域15とを有しており、パッド領域15には複数の接続パッド16と第2の配線網が形成されている。接続パッド16を含む第2の配線網は、配線基板の内部に形成された内部配線(スルーホール等)を介して、配線基板12の裏面12aに形成された外部接続端子や第1の配線網と電気的に接続されている。
【0017】
図2(A)に示すように、配線基板12の他方の短辺12dに隣接して複数の接続パッド18が形成されており、接続パッド18と配線基板12の他方の短辺12dとの間の配線基板12上にコントローラチップ20をダイアタッチフィルム(DAF)等の粘着フィルムを介して接着し、図2(B)に示すように、コントローラチップ20の電極パッド22と配線基板12の接続パッド18とAuワイヤー等の金属ワイヤー23で接続する。
【0018】
図1を参照すると、14‐1乃至14‐6はメモリチップであり、それぞれNAND型フラッシュメモリから形成されている。各メモリチップ14の一方の短辺14aに沿って複数の電極パッド24が形成されている。
【0019】
図3に示すように、最下段(一段目)のメモリチップ14‐1は電極パッド24を有する電極形成面を上方に向け、配線基板12のチップ搭載部13上に接着層(図示せず)を介して接着されている。
【0020】
接着層には一般的なポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を主成分とするダイアタッチフィルム(DAF)等の粘着フィルムが用いられる。一段目のメモリチップ14‐1は、電極パッド24が配線基板12の接続パッド16に重ならないように配線基板12上に接着される。
【0021】
二段目のメモリチップ14‐2は、電極パッド24を有する電極形成面を上方に向け、一段目のメモリチップ14‐1の電極パッド24と重ならないように少しずらして一段目のメモリチップ14‐1上にDAF等の粘着フィルムを介して接着される。
【0022】
同様に、残りの4個のメモリチップ(3〜6段目のメモリチップ)14‐3〜14‐6は、下段側のメモリチップの電極パッド24が露出するように階段状にずらし、それぞれDAF等の粘着フィルムを介して順に接着される。
【0023】
メモリカード10の複数のメモリチップ14‐1〜14‐6は階段状の積層構造を有するため、各メモリチップ14の電極パッド24は、何れも上方に向けて露出した状態でパッド領域15の近傍に位置している。
【0024】
メモリチップ14‐1〜14‐6の電極パッド24は、それぞれパッド領域15に配置された接続パッド16とAuワイヤー等の金属ワイヤー26を介して電気的に接続されている。
【0025】
各電極パッド24の電気特性や信号特性等が等しい場合には、金属ワイヤー26で順にボンディング接続することができる。各電極24間のワイヤーボンディングは個別に実施してもよいし、一本の金属ワイヤーで各電極パッド24間を順に接続してもよい。
【0026】
メモリカード10の複数のメモリチップ14‐1〜14‐6は階段状の積層構造を有するため、図1に示すように、配線基板12の他方の短辺12dに隣接した階段裏のスペース17に配線基板12に搭載されたコントローラチップ20が収容される。
【0027】
このように、複数のメモリチップ14‐1〜14‐6を配線基板12上に階段状に積層し、コントローラチップ20を階段裏のスペース17に収容したメモリカード10は、図示しないエポキシ樹脂等により樹脂封止され、メモリカード10の規格に合った外形に成形される。
【0028】
上述した本実施形態のメモリカード10では、コントローラチップ20を他方の短辺12dに隣接した配線基板12上に搭載し、階段状に積層した複数のメモリチップ14の階段裏のスペース17に収容したので、コントローラチップ20の厚みが実質的に0になり、コントローラチップ20の厚み相当分のメモリチップ14を余分に積層することができ、メモリカード10の大容量化を図ることが出来る。
【符号の説明】
【0029】
10 メモリカード
12 配線基板
14‐1〜14‐6 メモリチップ
16,18 接続パッド
20 コントローラチップ
22,24 電極パッド
23,26 金属ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接続パッドを有する配線基板と、それぞれ一方の短辺に沿って複数の電極パッドを有し該電極パッドが露出するように該一方の短辺を階段状にずらして該配線基板上に積層した複数のメモリチップと、該メモリチップの書き込み及び読み出し領域を制御するコントローラチップとを備え、該配線基板上の接続パッドと該メモリチップの電極パッドが金属ワイヤーで接続されているメモリカードであって、
該コントローラチップは、該メモリチップが階段状に積層された階段裏の該配線基板上に配設されていることを特徴とするメモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−93942(P2012−93942A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240436(P2010−240436)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】