説明

メモリコントローラを備える様々な異なる規格のカードとともに用いられる汎用不揮発性メモリカード

【課題】汎用ドーターメモリカードを、異なるタイプのマザーカードに取り外し可能に接続可能とする。
【解決手段】マザー/ドーターカード不揮発性メモリシステムは、メモリを含むドーターメモリカード11と、メモリコントローラおよびホストインタフェース回路を備えるマザーコントローラカード13、14、15とを備える。ドーターメモリカード11は、可能な限り少ないメモリセルアレイを備え、多くの異なる発行されたメモリカード規格または知的所有権下にあるメモリカード規格に従う物理的属性およびホストインタフェースを有するいろいろなマザーコントローラカード13、14、15と接続するためのインタフェースを有する。種々のタイプのドターメモリカード11内の保護された位置にメモリの動作パラメータが蓄積されるときに、マザーコントローラカード13、14、15はこれらのパラメータを読み出し、かつそれに応じてその動作を適応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に異なる機械的および/または電気的インタフェースを有する取り外し可能な電子回路カード、特に大容量不揮発性集積回路メモリを含む取り外し可能な電子回路カードの使用および構造に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリカードを備える電子回路カードは、いくつかの周知の規格に従って商業的に実施されてきた。メモリカードは、大量のデータを蓄積するために、パーソナルコンピュータ、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント、デジタルカメラ、ポータブルオーディオプレーヤーおよびその他のホスト電子デバイスとともに用いられている。このようなカードは、通常メモリセルアレイの動作およびそのカードが接続されるホストとのインタフェースを制御するコントローラと一緒に不揮発性半導体メモリセルアレイを備えている。同じタイプのカードのいくつかは、そのタイプのカードを受け入れるように設計されたホストカードスロットにおいて交換可能である。しかし、多くの電子カード規格の開発により、程度の差こそあれ互いに非互換性の種々のタイプのカードが作り出された。1つの規格に従って作られたカードは、別の規格のカードで動作するように設計されたホストとともに使用することは通常できない。
【0003】
1つのこのような規格であるPCカード規格は、3つのタイプのPCカードについての仕様を提供するものである。当初1990年に発行されたPCカード規格は、寸法が85.6mm×54.0mmであり、厚さが3.3mm(タイプI)、5.0mm(タイプII)および10.5mm(タイプIII)の矩形カードからなる3つの形態を現在想定している。カードが取り外し可能に挿入されるスロットのピンと嵌め合う電気コネクタが、カードの狭いエッジに沿って設けられている。PCカードスロットは、現在のノート形パーソナルコンピュータとともに他のホスト装置、特にポータブルデバイスに備えられている。PCカード規格は、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMCIA)の成果である。PCMCIAからのPCカード規格の最新のリリースは1995年2月であり、この規格は参照により本願明細書において援用されている。
【0004】
1994年、サンディスク コーポレーションは、PCカードと機能的には互換であるがずっと小さいコンパクトフラッシュ(登録商標)カード(CF(登録商標)カード)を導入した。CF(登録商標)カードは、寸法が43mm×36mm、厚さが3.3mmの矩形形状であり、1つのエッジに沿って雌ピンコネクタを有している。CF(登録商標)カードは、ビデオデータ蓄積のためにカメラとともに広く用いられている。CF(登録商標)カードがちょうど収まるパッシブアダプタカードが利用可能であり、このアダプタカードをホストコンピュータまたは他のデバイスのPCカードスロットに挿入することができる。CF(登録商標)カード内のコントローラは、そのカードのフラッシュメモリとともに動作して、そのコネクタにおいてATAインタフェースを提供する。すなわち、CF(登録商標)カードが接続されるホストは、このカードがあたかもディスクドライブであるかのようにこのカードとインタフェースする。カードについての仕様はコンパクトフラッシュ協会により開発され、これら仕様の現行バージョンは1.4であり、この規格は本願明細書において参照により援用されている。
【0005】
スマートメディア(登録商標)カードは、寸法が45.0mm×37.0mmとPCカードのサイズの約3分の1であり、厚さはわずか0.76mmと非常に薄い。接点は、カード表面上の領域として定義されたパターンで提供される。その仕様は、1996年に始まったソリッドステートフロッピーディスクカード(SSFDC)フォーラムにより定義されてきた。このカードは、特にNANDタイプのフラッシュメモリを備えている。スマートメディア(登録商標)カードは、大量のデータを蓄積するために、ポータブル電子デバイス、特にカメラおよびオーディオデバイスとともに使用するためのものである。メモリコントローラが、ホストデバイスかアダプタカード内のいずれかにPCカード規格に従う形式のような別の形式で備えられる。スマートメディア(登録商標)カードについての物理的および電気的仕様書は、SSFDCフォーラムにより発行され、この規格の現行バージョンは1.0であり、この規格は本願明細書において参照により援用されている。
【0006】
別の不揮発性メモリカードは、マルチメディアカード(MMC(登録商標))である。MMC(登録商標)についての物理的および電気的仕様は、マルチメディアカード協会(MMCA)によってその時々に更新および発行される「マルチメディアカードシステムの仕様書」に記載されている。2001年6月付のその仕様書のバージョン3.1は、本願明細書において参照により明確に援用されている。単一カードで最高128メガバイトまでの様々な記憶容量を有するMMC(登録商標)製品は、サンディスク コーポレーションから現在入手可能である。MMC(登録商標)カードは、郵便切手のサイズと同様なサイズを有する矩形形状である。このカードは、寸法が32.0mm×24.0mm、厚さが1.4mmであり、カットオフされた角部も含む狭いエッジに沿ってカード表面上に一列の電気接点を有する。これら製品は、サンディスク コーポレイションにより発行された2000年4月付の「マルチメディアカード製品マニュアル」第2改訂版に記載され、このマニュアルは本願明細書において参照により明確に援用されている。MMC(登録商標)製品の電気的動作の特定の態様も、両方とも出願人トーマス エヌ.トゥームおよびミッキー・ホルツマンにより出願され、サンディスク コーポレーションに譲渡された米国特許第6,279,114号(特許文献1)および1998年11月4日出願の特許出願第09/186,064号(特許文献2)に記載されている。物理的なカードの構造およびそのカードの製造方法は、サンディスク コーポレイションに譲渡された米国特許第6,040,622号(特許文献3)に記載されている。これらの特許および特許出願双方ともに本願明細書において参照により明確に援用されている。
【0007】
MMC(登録商標)カードの改良された変形例は、後のセキュアデジタル(SD)カードである。SDカードは、MMC(登録商標)カードと同じ矩形サイズであるが、追加のメモリチップが望まれるときにこれを収容するために増大された厚さ(2.1mm)となっている。これら2つのカード間の主要な違いは、SDカードには音楽データなどの所有権データを蓄積するのにこれを使用するためのセキュリティ特徴が含まれていることである。これら2つのカード間のもう一つの違いは、SDカードがカードとホストとの間のより速いデータ転送を可能にするために追加のデータ接点を備えていることである。SDカードを受け入れるように設計されたソケットがMMC(登録商標)カードも受け入れられるようにするために、SDカードの他の接点はMMC(登録商標)カードの接点と同じである。このことは、2000年8月17日にシダーらにより出願された米国特許出願第09/641,023号(特許文献4)に記載され、この出願は本願明細書において参照により援用されている。さらに、SDカードとの電気インタフェースは、両タイプのカードを収容するためにホストの動作変更をほとんどしなくてもよいように、多くはMMC(登録商標)カードと後方互換性があるようにされている。SDカードについての仕様は、会員会社がSD協会(SDA)から入手可能である。
【0008】
別のタイプのメモリカードは、サブスクライバ同一性モジュール(SIM)であり、これの仕様は、欧州電気通信標準化協会(ETSI)により発行されている。これら仕様の一部は、GSM 11.11として出され、最近のバージョンは、「デジタルセルラー通信システム(フェーズ2+);サブスクライバ同一性モジュール−移動式装置(SIM−ME)インタフェースの仕様」(GSM 11.11,バージョン8.3.0,1999年リリース)と表題が付けられた技術仕様書ETSI TS 100 977V8.3.0(200年8月)である。この仕様は、本願明細書において参照により援用されいている。2つのタイプのSIMカード、すなわちID−1 SIMおよびプラグインSIMが規定されている。
【0009】
ID−1 SIMカードは、国際標準化機構(ISO)および国際電気標準会議(IEC)のISO/IEC7810および7816規格に従う形式およびレイアウトを有する。ISO/IEC7810規格には、「識別カード−物理的特徴」(第2版,1995年8月)と表題が付けられている。ISO/IEC7816規格は、「識別カード−接触型集積回路カード」という一般的な表題を有し、1994年から2000年までの個別の日付を有する1〜10章からなる。これら規格は、スイス、ジュネーブのISO/IECからその写しが入手可能であり、本願明細書において参照により明確に援用されている。ID−1 SIMカードは、一般に85.60mm×53.98mmの寸法を有するクレジットカードサイズであり、角部が丸められ、0.76mmの厚さを有する。このようなカードは、メモリのみを有するか、或いはマイクロプロセッサも備えることができ、後者はしばしば「スマートカード」と称されることがよくある。スマートカードの1つの用途は、製品またはサービスを購入するのにカードを使用するたびに当初の預金残高が減らされるデビットカードとしてである。
【0010】
プラグインSIMは、非常に小さいカードであり、MMC(登録商標)およびSDカードよりも小さい。前に参照したGSM 11.11仕様書では、25mm×15mmの矩形であり、方向を示すために角部が1つカットオフされ、ID−1 SIMカードと同じ厚さを有することをこのカードに求めている。プラグインSIMカードの主要な使用は、盗難および/またはそのデバイスの不正使用に対するセキュリティのための移動電話およびその他のデバイスにおけるものであり、その場合、カードはそのデバイスの所有者またはユーザの個人的なセキュリティコードを蓄積する。両方のタイプのSIMカードにおいて、ホストレセプタクルによる接触のために、8つの電気接点(ただし、わずか5つが使用される)がカード表面に配置されることがISO/IEC 7816規格において規定されている。
【0011】
ソニー・コーポレーションは、メモリスティック(登録商標)として販売されている不揮発性メモリカードを開発したが、このメモリカードはさらに別の仕様のセットを有する。その形状は、その短辺の1つに隣接する表面に電気接点を有する細長い矩形形状である。このメモリスティックが接続されるホストとのこれら接点を介する電気インタフェースは独特である。
【0012】
主要な電子カード規格の前述した概要から明らかなように、サイズおよび形状を含むそれらの物理的特徴、電気接点の数、配置および構造、並びにカードがホストカードスロットに挿入されるときにそれら接点を介するホストシステムとの電気インタフェースにおいて多くの違いがある。電子カードを使用する電子デバイスは、通常1つのタイプのカードのみを用いて動作するようにされている。このようなホストデバイス間での電子カードのある程度の互換性を可能にするために、アクティブおよびパッシブ両方のタイプのアダプタが提供または提案されてきた。ハラリらの米国特許第6,266,724号(特許文献5)には、マザーメモリカードとドーターメモリカードの組み合わせの使用について記載され、この特許はその全体が本願明細書において参照により援用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,279,114号
【特許文献2】米国特許出願第09/186,064号
【特許文献3】米国特許第6,040,622号
【特許文献4】米国特許出願第09/641,023号
【特許文献5】米国特許第6,266,724号
【特許文献6】米国特許出願第09/633,089号
【発明の概要】
【0014】
本発明の主要な態様によれば、メモリ制御および一意のホストインタフェース機能がマザーカード上に残るのに対して、不揮発性メモリを含む非常に小さい(郵便切手サイズ未満の)サブカードまたはドーターカードは2つ以上の前述した非互換性規格の仕様のような異なる仕様によって作られた1つ以上の電子カードまたはマザーカードに取り外し可能に接続可能である。マザーカードは、前述したのと同じ方法でホストデバイスと機械的にも電気的にも個々にインタフェースする。ただし、各タイプのマザーカードの不揮発性メモリは取り外され、標準メモリインタフェースがマザーカード上で取り代わられる。汎用メモリドーターカードは、標準メモリカードインタフェースを介していくつかの異なるタイプのマザーカードのいずれにも取り外し可能に接続可能である。汎用メモリカードの利点は、そのサイズおよびコストが低減されていることである。というのは、メモリコントローラおよびホストのインタフェース電子機器回路がマザーカード上にあるからである。メモリ記憶セルのみが最初はメモリカード上に含まれているので、各々がメモリコントローラおよびホストインタフェースも備える前述したメモリカードよりもそのコストをかなり低くすることができる。マザーカードとドーターカードとの間のこの標準メモリインタフェースは、マザーカードとホストとの間のホストインタフェースとは区別される。そうでなければ、非互換性のメモリカードをいろいろなホストとの通信を可能にするために今日様々なアダプタを使用することができるけれども、本発明のこの態様の主題は、標準化された汎用インタフェースを用いるマザー/ドーターカードインタフェースである。
【0015】
本発明の別の態様によれば、このようなドーターメモリカードを、非常に小さいメモリドーターカードの流通、取り扱いおよび/または格納並びにアクセスのためのより大きい基板(クレジットカードサイズの基板など)により取り外し可能に保持することができる。メモリカードは、比較的安価なので、データの永久保存に使用することができる。写真などのビデオデータおよび音楽などのオーディオデータは、個人によるこのようなメモリカードの使用例である。ストレージカードは、好ましくはこのようなメモリカードを1つ以上保持し、かつユーザが手動で書き込んだり、或いはそれに取り付けられたメモリカードのデータ内容の記録を別の方法で一意に識別しまたは維持するための表面領域を備えている。メモリカードは、1つ以上のメモリカードが各々に取り付けられたストレージカードを販売することによって小売りルートを通して流通し、かつ販売することができる。メモリカードをストレージカードから取り外す必要なく、家庭またはオフィスのパーソナルコンピュータと接続された読取装置にストレージカードを挿入するなどにより、メモリカードに蓄積されたデータを読み出す目的のために、付属のメモリカードの接点がストレージカードを通して接続される電気接点をストレージカードは随意に備えることができる。代わりに、スマートカード(ID−1 SIM)などの前述したカードのうちの普及している1つのカードの規格に従ったサイズにストレージカードをすることができ、メモリカードはその同じ規格に従ってストレージカード上に接点および位置のパターンを有することにより、メモリカードが取り付けられたストレージカードを既存のまたは適宜に改造されたカード読取装置に挿入してメモリカード接点を介して読み出すことが可能になる。メモリカードにアクセスするために、ストレージカード上にそれ以上の接点を設ける必要はない。
【0016】
加えて、ドーターメモリカード用のストレージカードには、マザーカードについて前に概説されたいろいろな既存の形式を用いて既存のメモリカード読取装置と通信可能なインテリジェントコントローラを設けることができる。このコントローラは、一般的なUSBプロトコルを用いて通信することさえでき、この場合、ストレージカードはマザーカードと読取装置との組み合わせと機能的に等しくなり、USBコネクタの機械的規格を満たすパッシブアダプタにプラグインすることができる。
【0017】
さらに別の変形例において、ストレージカード上に備えられているドーターカードの同一性を非接触形RF識別モードを用いて読み出すことができる。適当なRF回路を、ドーターカード自体かストレージカードのいずれか一方に備えさせることができる。いずれの場合においても、ドーターカードの所定の部分に含まれるデータを読み出すために必要な電力は、到来するRF信号によって提供される。カードは、外部RFレシーバがコードを解釈し、ドーターカードを一意に識別することができるように到来するRF信号を変調することにより応答する。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、ドーターメモリカードは、既存のカード規格の1つに従って作られるが、マザーカードの標準メモリインタフェースと接続するために付加的な接点が追加される。これによりメモリカードは二重の機能を持つことが可能になる。すなわち、このメモリカードを、既存のカードと同じように直接ホストとともに用いたり、或いはドーターカードと同じようにマザーカードの1つとともに用いたりすることができる。一例として、接点は、ISO/IEC7816規格の一部として提供される既存の8つの接点を包囲するように前述した小さいプラグインSIMカードの表面に付加される。このカードは、ホストデバイスにおいて、プラグインSIMカードと同じように用いたり、或いは別の1つの規格に従ってマザーカードと結合されたときにメモリドーターカードと同じように用いたりすることができる。例えば、ISO/IEC7816プロトコルを用いる通信に必要とされる接点を、カードを識別し、かつホストまたはマザーカードによるカードのデータ内容へのアクセスのための認証を可能にするために、電源投入初期化の間に用いることができる。この通信は、標準化通信プロトコルを用いて付加的メモリインタフェース接点をずっと高速で使用するこができる。
【0019】
「電子システムにおけるいろいろなインタフェースでの小形電子回路カードの使用」というウォーレンスらの特許出願は、カード接点の単一のセットを共有する単一のメモリカード内の2つの異なる規格に従うメモリの組み合わせを記載している。2000年8月4日に出願されたこの米国特許出願第09/633,089号(特許文献6)は、本願明細書において参照により援用されている。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、ドーターカードメモリの将来的な変更が、マザーカードコントローラまたはホストコントローラが動作する必要がある方法に影響し得る場合、このような変更に対処するための対応がなされる。マザーカードコントローラがアクセス可能な(ただし、好ましくはユーザにはアクセス可能ではない)ドーターカードメモリの空間の専用部分がメモリの特定の動作パラメータのデータを含む。ひとたびドーターカードが検出されると、マザーカードコントローラは、初期化と同時に或いは新しいドーターメモリカードがマザーカードレセプタクルに挿入されるたびにこれらのパラメータを読み出し、カードおよびそれに応じてそのメモリを動作させるためにマザーカードコントローラ自体を構成する。この方法で設定することができるメモリシステムの動作パラメータとして、メモリへのデータの書き込み、メモリからのデータの読み出し、メモリのブロック消去、読み出しデータ中のエラー訂正およびファイルシステムの生成のためのアルゴリズムが含まれる。他のパラメータとして、ドーターメモリカードにより必要とされる電圧レベル、一緒に消去されるセルの最少数であるメモリセルブロックのサイズ、一緒にプログラムされるブロック内のメモリセルのページサイズおよび大きいメモリセルブロックの管理からなるその他の態様が含まれる。メモリ動作を制御するために蓄積されるべく選択されたパラメータは、メモリ技術が発展するにつれて将来変わることが予想されるパラメータである。その他のパラメータとして、コンテンツの保護のためのセキュリティ特徴についての情報、一意のドーターカード識別番号、ドーターカード上での記憶装置あたりに多数のビットをマザーカードがどのように取り扱うべきかについての情報、並びにドーターカードが「1度の書き込み」、多数の書き込み、読み出しのみまたは特定のホストにおけるドーターカードの最適化動作のための用途のような非メモリ機能として動作可能かどうかについての情報が含まれる。マザーカードコントローラ、場合によってはマザーカードおよびドーターカードが接続されるホストシステムは、接続されたドーターメモリカード内に蓄積されたパラメータに適応する。
【0021】
本発明の追加の特徴、態様および利点は、添付図面を参照して説明されるべきである以下の代表的な実施形態の説明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】非互換性の3つの仕様を有する3つの異なるマザーコントローラカードを用いる共通ドーターメモリカードの使用の特定例の概略図である。
【図2】ホストデバイス、マザーコントローラカードおよびドーターメモリカードに備えられる機能を示す電子ブロック図である。
【図3】ドーターメモリカードが取り外し可能に取り付けられるストレージカードおよびこれに取り付けられたメモリカードからデータを読み出すためにこのストレージカードを挿入することができるスロットを有する読取装置を例示する。
【図4】カメラで撮った写真のデータを取り込んで蓄積するためのドーターメモリカード、ストレージカードおよびマザーコントローラカードの応用例の概略図である。
【図5】カメラで撮った写真のデータを取り込んで蓄積するためのマザーコントローラカードを使用しないドーターメモリカードおよびストレージカードの応用例の概略図である。
【図6A】ドーターメモリカードの特定例の平面図である。
【図6B】図6Aの断面B−Bにおけるメモリカードの断面図である。
【図7】図6Aおよび6Bのメモリカードを受け入れるためのマザーコントローラカードまたはホストデバイス内のレセプタクルの一例を示す。
【図8】図6Aおよび6Bに示されているタイプの表面に取り付けられたドーターカードの取り付けの詳細例を示す。
【図9】図6Aの例とは異なって配置された表面接点を有するドーターメモリカードの別の例の平面図である。
【図10】図9のカードの製造業者においてあり得るリードフレームの平面図である。
【図11A】図10のリードフレームを用いる図9に示されているカードの第1の具体例の平面図である
【図11B】図11Aのメモリカードの端面図である。
【図11C】図11Bのメモリカードの側面図である。
【図12A】図10のリードフレームを用いる図9に示されているカードの第2の具体例の平面図である。
【図12B】図12Aのメモリカードの端面図である。
【図12C】図12Bのメモリカードの側面図である。
【図13】図6Aまたは9による取り外し可能に取り付けられたメモリカードを有するストレージカードの別の例であり、図3のストレージカードとは異なっている。
【図14】さらに別のメモリカードの例の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、3つの異なるマザーカード13,14および15とのドーターメモリカード11の共通使用を例示する。マザーカード13は、ホストデバイス18または19とではなく、ホストデバイス17とともに動作するように設計されている。一例として、マザーカード13はコンパクトフラッシュ(登録商標)カードと同じ物理的形状およびホスト電子インタフェースを有し、ホスト17はデジタルカメラとすることができる。同様に、マザーカード14はホストデバイス17または19とではなくホストデバイス18とともに動作するように設計され、マザーカード15はホストデバイス17または18とではなくホストデバイス19とともに動作するように設計される。また、一例として、マザーカード14は、MMC(登録商標)カードかSDカードのいずれか一方と同じ物理的形状およびホスト電子インタフェースを有し、ホスト18はパーソナルオーガナイザとすることができる。さらに、マザーカード15はメモリスティック(登録商標)カードと同じ物理的形状およびホスト電子インタフェースを有し、ホスト19はデジタルカムコーダまたはソニー・コーポレーションにより現在販売されている多数の製品のうちのいずれかとすることができる。ホスト17のカードスロット21は、マザーカード13の挿入および取り出しを可能にする物理的形状となっている。マザーカード13のコネクタ22は、カードスロット21内の一致するコネクタと嵌め合っている。同様に、ホスト18のカードスロット23はマザーカード14を受け入れ、ホスト19のカードスロット25はマザーカード15を受け入れる。マザーカード14上の表面接点24の列はホストカードスロット23の一致する導電要素のセット(図示せず)により接触され、マザーカード15上の表面接点26の列はホストカードスロット25の一致する導電要素のセットにより接触される。
【0024】
ドーターメモリカード11は、マザーカード13,14および15の各々にそれぞれの例示的な位置29,30および31にあることが示されている何らかの好都合な電気的/機械的配置により取り外し可能に受け入れられる。例えば、メモリカード11がマザーカードに設置されるときに、マザーカード13,14および15内の同様に配置された接点のセットと嵌め合うために、メモリカード11の表面に2つの接点の列33および35が示されている。平坦な表面の一方または両方の接触表面のセット或いは1つ以上の側面またはエッジに沿った複数の接点などのドーターカード上の他の接触配置を用いることもできる。例示した実施形態において、マザーカード13,14および15の各々は、ドーターカード11を実質的に密閉しているが、このことは必須ではない。スロット、ガイドレールまたはクリックインプレイス (click-in-place) 機構などのカードを嵌め合わせるための種々の方法を用いることができる。ドーターカードは、鉛筆の先または爪などの狭隘な物体を用いて取り外し可能にする様々な形状の窪みを備えることもでき、かつ確実な接触を保証するための保持節度機構を備えることもできる。代わりに、マザーカード13,14および15のうちの1つまたはすべてが、メモリカードと同形状の凹設された表面領域を有するなどによりメモリカードをその外表面に保持するための備えを有することができる。これらの例のいずれにおいても、電気的接触は、スロット、凹所または各マザーカードの他の物理的メモリカードレセプタクルのいずれかの内部の適切な電気コネクタによりメモリカード接点33および35によってなされる。多くの同一のメモリカード11が、一般的に一度に1つずつ、いずれか任意のマザーカードとともに用いられる。マザーカードが挿入されたホストからデータを格納するために、空のメモリカードをこのように用いることができ、またはデータが蓄積されたメモリカードをマザーカードに取り付け、そのマザーカードが動作可能に接続されたホストによりそのデータを読み出すことができる。
【0025】
この例において、マザーカード13は、メモリコントローラだけでなくコンパクトフラッシュ(登録商標)カードのすべての物理的属性および電気的ホストインタフェースを有するが、現在このようなカードに含まれる大容量不揮発性メモリ記憶装置は含まない。むしろ、その大容量メモリは、マザーカード13に接続可能なドーターメモリカード11に含まれている。さらに、この例において、マザーカード14は、その大容量メモリが取り去らわれるのではなく、メモリカード11を受け入れるためにレセプタクル30が設けられたMMC(登録商標)/SDカードに相当している。同様に、この例において、マザーカード15は、メモリスティック(登録商標)カードに対応しているが、その大容量メモリが取り去らわれるのではなく、メモリカード11を受け入れるためにレセプタクル31が設けられている。代わりに、コンパクトフラッシュ(登録商標)、MMC(登録商標)/SDおよびメモリスティック(登録商標)以外のカード規格に従う物理的および電気的インタフェース特性を有し、かつ背景技術およびその他の欄で前述した特性を含む他のタイプのメモリカードは、それら大容量メモリを別個のメモリカード11に移すように同様に改良することができる。
【0026】
メモリカード11は、8,16,32,64および128メガバイトまたはそれ以上の不揮発性メモリ、例えばフラッシュEEPROMタイプまたはアーカイバル蓄積の目的のために用いることができる1回だけプログラム可能なメモリ容量を持つことができる。事実、様々な容量のメモリカードがエンドユーザに売られることが予想されるので、特定の用途に所望されるメモリ量のみが購入される必要がある。メモリカードは、好ましくはカードの1つの面または両面全体にわたるある種の使いやすいパターンの電気接点を有するプラスチックケース入りである。メモリカード11は、好ましくは寸法が現在のMMC(登録商標)またはSDカードよりも小さい矩形形状であり、一例では既存のプラグインSIMカードと実質的に同じ寸法を有するカードである。
【0027】
マザー/ドーターカードの組み合わせは、いろいろなホストとともに用いることができる。ホストは、通常1つまたはおそらく2つのタイプのメモリカードを受け入れられる。従って、様々なホストと直接的にインタフェースするマザーカードとは別のメモリカード11の使用には、非互換性カードを受け入れる2つのホスト間でデータを容易に転送することができるという便利さが追加される。例えば、カード11は、ホストのカードスロットにより受け入れられるそれぞれのコンパクトフラッシュ(登録商標)カードおよびメモリスティック(登録商標)カードに写真のデータを保存するように設計された2台のカメラとともに動作することができる。ドーターメモリカード11を2台のカメラ間で移動させることができる。各カメラによって保存された個々の写真ファイルのデータ形式が同じものであり、それについて既存の規格が主流であれば、一方のカメラによりメモリカード11に格納されたファイルを他方のカメラにより読み出し、かつ加工することができる。2つのホストのうちの一方のみがカメラであり、他方が写真を加工または単に閲覧するパーソナルコンピュータなどの利用デバイスであるが、ここでこれら2つのホストが同じ形式のカードスロットを有していない場合でも、同じく容易な転送が可能となる。別の例では、これら2つのホストは、非互換性のカードスロットを有する2つのタイプのオーディオデバイスであってもよい。図1に示されているような非互換性のカードを受け入れる多数のホストを用いるドーターメモリカード11の使用の他の例は、すでに論じられている。
【0028】
メモリカード11の既存のカードからの分離には、非互換性のマザーカード間のデータ転送を越える使用を有する。1つのホストデバイスのみが使われる場合、或いは2つ以上のホストデバイスが単独の規格に従うカードスロットを有する場合でさえも、別個のメモリカードを使用することによりユーザにとっての保存のためのコストが低減される。ホストインタフェース回路およびメモリコントローラを備える単一のマザーカードにより、より安価な多くのメモリカード11での保存が可能になる。これらのメモリカードは、使い捨てと見なすことさえでき、1回ないし数回の使用後に廃棄することができるあたかも使い捨てのカミソリ刃のようであり、ここでコントローラおよびホストインタフェースユニットはカミソリと同様に機能する。前に背景技術の欄で論じたメモリカードが現在そうであるように、すべてのメモリカードの一部としてユニットを購入しなければならないのではなく、コントローラおよびホストインタフェースユニットは、マザーカードの形式である所定のホストデバイスについて1回だけ購入される必要がある。
【0029】
ホストおよびカードの電子機能は、図2に一般的に例示されている。個々のホスト41は、カードインタフェース回路45および電力回路47が接続されるコネクタ43を備えている。電力回路47は、ホストに接続されたカードを動作させるのに必要な電圧を提供する。インタフェース回路45は、接続されたカードの特定のプロトコルを用いてデータおよびコマンドをホストとカードとの間で受け渡しする。マザーカード49は、ホストコネクタ43と物理的および電気的に嵌め合う第1のコネクタ51を備える。ホストから受け取られた電力は、マザーカード49の様々な回路により使われるだけでなく、メモリドーターカード55内のメモリ回路を動作させるために必要な電圧を生成する電力回路53により受け取られる。マザーカードが直流1.8ボルトなどの低電圧をホストから普通受け取るのに対して、ドーターカード55上で使用されるメモリアレイは、経時的に種々の電圧を使用することがあり、ホストにより供給される電圧よりも高いか或いは低い電圧を必要とすることがあり、メモリがフラッシュEEPROMのように何度もプログラムすることができるタイプであれば、いっそう高い電圧が必要とされることがある。電力回路53は、通常1つ以上の電荷ポンプまたは電圧変換回路を用いてメモリカード55のコネクタ59と嵌め合うコネクタ57へこれら電圧を提供する。このようにして、マザーカードは、異なる電圧を必要とし得る異なる世代のドーターカード或いはおそらく異なる製造業者による異なるメモリ技術のドーターカードとインタフェースすることができる。これは、適切な電圧を提供するために電力回路53についての必要な情報をドーターカードがマザーカードへ提供することを必要とされる。
【0030】
マザーカード49は、データおよびコマンドをホストとインタフェースするためにコネクタ51と接続された回路61も備える。プログラム可能なメモリコントローラ63も、カード55内のメモリを管理するために、しばしば汎用マイクロプロセッサ/マイクロコントローラ65とともに備えられることがよくある。メモリは、1つ以上の集積回路メモリチップ67によりカード55内に設けられる。ドーターメモリカード55のコストを最小限にするために、このようなチップの各々は、メモリ記憶セルアレイに加えて、できるだけ少ない回路を備える。コネクタ57における物理的および電気的インタフェースは、マザーカードのすべての異なるタイプについて同じであるので、プログラム可能なコントローラ63もほぼ同じである。それに反して、マザーカードコネクタ51における物理的および電気的インタフェースは、ホストインタフェース回路61がそうであるように、各タイプのマザーカードについておそらく異なっている。マザーカードインタフェースは、背景技術の欄で説明した既存の規格の1つなどの規格にならう。これらの規格のうちの異なるものを満たすいくつかのこのようなマザーカードが検討されている。
【0031】
ドーターメモリカードのサイズおよびコストを最小限にするために、メモリ制御、アドレス指定、プログラミングおよび読み出し回路のできるだけ可能なかぎり多くを、ドーターメモリカード55内ではなくて、マザーカード49内に備える。好ましくは、メモリ制御機能を実行するためにマザーカードのマイクロプロセッサ/マイクロコントローラ65とともに働くどのような回路もマザーカード49内に備えられる。商業的に入手可能なフラッシュEEPROM集積回路チップ67が用いられれば、プログラミング、読み出しおよび消去シーケンスを制御する状態マシーンなどのいくつかの制御機能がおそらくメモリチップに含まれ得る。しかし、このようなシーケンスの起動および一般的な制御は、通常マザーカード上の小さいコードストア(ROM、SRAM、フラッシュメモリまたは示されていない他のコードストアメモリであり得る)に格納されたファームウェアを実行するマイクロプロセッサ/マイクロコントローラ65によって取り扱われる。ドーターカードはこのファームウェアのすべてまたは一部(通常書き込み保護された領域に)を備えることもでき、マイクロプロセッサ/マイクロコントローラ65はこのアドレス空間から直接実行することができ、或いはファームウェアをドーターカード55からマザーカード49上のコードストアの領域に転送することができる。さらに、マイクロプロセッサ/マイクロコントローラ65は、好ましくは欠陥ブロックまたは過剰使用されたブロックを回避するために必要になり得るようなメモリブロックを再割り当てしつつ、ホストから受け取られた論理アドレスのメモリチップ67内の物理アドレスへの変換を実行し、メモリ状態間にマージンを復旧させるための再プログラミング(スクラッビング)および大きいブロック内に蓄積されたデータページの圧縮(ガーベージ整理)などのバックグラウンド動作並びにある程度の知能レベルが必要とされる場合の同様なタイプの機能を実行する。
【0032】
適当なメモリチップ67は、サンディスク コーポレイションまたは他の会社から商業的に入手可能である。一例は、サンディスク コーポレイションから入手可能な「512MビットのNANDフラッシュ製品マニュアル」第1.5改訂版(2001年8月)に記載されているような512メガビットフラッシュメモリチップであり、このマニュアルは本願明細書において参照により援用されている。このようなチップを複数個ドーターカード55に備えることができる。このメモリチップは、従来の磁気ディスク駆動システムの代わりにコンピュータ大容量記憶装置の機能を果たすために、多数の再プログラミングサイクルを可能にするタイプのものである。しかし、1回のみまたは数回だけプログラムすることを必要とする用途を狙いとしているのであれば、より安価なフラッシュEEPROM集積回路チップまたはマスクROM、1回だけプログラム可能なROM、強誘電性RAM、オーボニックRAM、高分子RAM、磁気電子RAM、ヒューズRAM或いは他の形態のメモリなどの他のプログラム可能なメモリチップを代わりに用いることもできる。このような応用例として、アーカイバルまたは音楽などのオーディオデータおよび静止写真などのビデオデータの再生のみのための個人的な保存が含まれる。ドーターメモリカードが十分に安価になれば、消費者はこのようなデータを1回記録して、カードを取っておくことができる。多数のプログラム/消去サイクルが不要な場合には、メモリチップのコストを低減することができる。このような代替のメモリチップは、そのメモリセルの記憶素子として、標準のフローティングゲート、誘電体層またはプログラム可能なヒューズのいずれかを利用することができる。ドーターカードにおける種々のメモリ技術およびアーキテクチャの広範な使用が、必然的にこれら種々のカードの各々について種々のプログラム/消去/読み出し/ファイル管理/セキュリティアルゴリズムおよび種々の電圧/電力条件を必要とすることは明らかである。その結果、マザーカードは、様々なドーターカードにおけるこのようなアルゴリズムおよび動作条件を供給することができなければならず、従って各ドーターカードはその特定かつ一意な動作条件を含み、かつ要求があり次第これら動作条件をマザーカードに伝達しなければならない。ドーターカードがマザーカードに挿入され、かつマザーカードにより検出された後、ドーターカードの初期化(ブートアップ)の間にこれを実行するのが有利である。
【0033】
メモリ動作を制御するために異なるように動作することをプログラム可能なマザーコントローラカード49に要求することがある種々の形態のメモリチップ67を使用することができるように備えることも望ましい。存在し得るメモリチップ間の違いは、2進(2状態)対多状態(2を超える状態)のセル動作、メモリセル消去ブロックサイズ、1度にプログラムされるデータ量、動作電圧並びにデータのプログラミング、データの読み出し、ブロックの消去およびエラー訂正の実行のためのアルゴリズムである。ドーターカードに記憶されたデータがコピーから保護されるべきであれば、暗号化またはデータ保護のための特定のアルゴリズムも、メモリの予約ブロックについてのそれら要件とともに含まれ得る。このような動作パラメータのデータは、ホストシステムにはアクセスできないがメモリコントローラ63によりアクセス可能なメモリチップ67の一部に蓄積することができる。マザーカード49のメモリコントローラは、メモリシステムの初期化と同時および/または新しいメモリカード55がマザーカード49に接続されたときに、メモリチップ67からこの動作パラメータデータを読み出す。次いで、読み出されたデータは、メモリコントローラをメモリチップの動作パラメータに適応させる。この機能は、このようなパラメータが変更されるかもしれない将来的な改良または変更されたメモリチップの使用を可能にするのにも有用である。
【0034】
初期化の間、メモリコントローラ63がメモリICチップ67と少なくともその動作パラメータ(電圧および通信プロトコル)を決定するために通信できることが必要条件である。従って、初期通信の標準化された方法は、電力チップ53により供給される少なくとも1つの固定電圧を用いて共通の信号形式ですべてのメモリチップが通信される必要があるように定義される。例えば、すべてのメモリチップが、1.8ボルトで通信することおよび完全な動作のために、例えば3.0ボルト(または、0.9ボルト)をそれらチップが必要としていることをその後識別することを求められれば、マザーコントローラカードはさらなる通信を容易にするためにこのような電圧の供給をその電力ユニットに指示することができる。或いは、1本以上の専用ピンを、要求された通信電圧範囲を決定するためにコントローラが問い合わせることができるメモリサブカードに備えてもよい。初期通信を確立した後、データを転送するために必要とされる他のパラメータを決定することができる。前に参照したMMC(登録商標)の仕様には、これらの要件の充足に向けてのアプローチが記載されている。
【0035】
初期化のための単純化されたアプローチを以下の手順において説明する。電力が印加されると、マザーカード上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラが自身を初期化し、以下で詳細に説明するカード検出機能を監視しはじめる。ひとたびドーターカードが検出されると、マザーカードはそのドーターカードと前述した標準化されたプロトコル、タイミングおよび電圧レベルを用いて通信する(例えば、1MHzクロックレートおよび1.8ボルトの動作)。次いで、そのドーターカードの完全な動作に必要な他の様々なパラメータを含むドーターカードの所定の位置に置かれた予約セクタが読み出される。このような情報として、蓄積されたデータのデータ形式(セクタサイズおよび次のセクタを見つける方法)、ことによるとファイルアロケーションテーブル、最高クロックレート、一意なカード識別データ(セキュリティ特徴を含む)と、必要とされる外部供給電圧およびタイミング並びに書き込みまたは消去のためのアルゴリズムに関する情報が含まれる。予約セクタがマザーカードによって読み出されて処理された後、マザーカードとドーターカードとの間のデータ通信を行うことができる。
【0036】
前述したように、用途によっては、ドーターメモリカード上に記憶された内容へのアクセスが制限される必要がある。これは、いろいろな方法で達成することができる。ISO/IEC7816プロトコルを用いる1つのアプローチを、少なくともこのプロトコルを用いて通信するための接点をドーターメモリカードが備える様々な実施形態とともに以下で説明する。或いは、このようなデータにアクセスする権限を与えられているとして自身を識別するための認証手続をマザーメモリカード(または、ホストシステムに埋め込まれたメモリコントローラ)が完了しない限り、あらかじめ定義されたメモリ領域に蓄積されたデータの伝送を防止するようにドーターメモリカードを設計することができる。このような保護されたデータは、例えば、メモリカードの別の方法でアクセス可能な領域に蓄積された内容データを解読するために必要なキー或いは新しいデータを受け入れたり、既存データを上書きするメモリカードの能力を制限するロック保護機能を上書きする能力を含む。
【0037】
図3を参照すると、ほぼ標準的なクレジットカードサイズのストレージカード71は、メモリカードの輸送または蓄積の目的で、1つ以上のドーターメモリカード11−1〜11−5をそれらの容易な取り外しおよび交換を可能にするように保持している。メモリカード11は、ストレージカード71の1つ以上のエッジに沿って配置することができる。カード71は、好ましくは標準的なクレジットカードのように薄く光沢のあるプラスチックで作られるが、取り付けられたメモリカード11に隣接する大きな表面領域73は、ペンまたは鉛筆での書き込みを可能にする材料で被覆されている。ユーザは、保存しておきたい一組の写真、音楽またはその上でプログラムされた他のデータを有する特定のメモリカード11を保管することができる。データの種類は、ユーザによって領域73に書き込むことが可能である。このような方法で、多数のメモリチップが1つのストレージカードあたりに1個のメモリチップを格納すれば、各ストレージカード上のいくつかの領域73に書き込まれた情報によってこれらのメモリチップを編成し、整理し、かつ所望のデータを検索することができる。
【0038】
一例として、ストレージカード71は、矩形形状であり、長さが5〜12cmで、幅が3〜9cmである。好ましくは、カードは、薄いが適度な剛性を有するように、厚さ0.6〜3mmなどの十分な厚さに作られるのが望ましい。露出している接点75を、随意にストレージカード71の表面上に備え、かつストレージカードに取り付けられたメモリカード11−1〜11−5の接点33および35にストレージカードの一部として形成された導体およびコネクタ(図示せず)により接続できるが、これは必然的に伝導性ラインおよび付加的な絶縁層並びにドーターカード11−1〜11−5上の各接点へのそれぞれの接続ピンを収容するのに十分な厚さを有するカードという結果を生じることになる。いくつかのドーターカード11−1〜11−5の1つを一意に選択すると同時に、導体の数を低減するために解読集積回路(図示せず)もストレージカード71に含むことができる。これにより、メモリカードをストレージカード71から取り外す必要なく、いくつかのメモリカード11上でデータをアクセスすることが可能になる。ストレージカード71を受け入れるためのレセプタクル79を有するカード読取装置77は、図2のマザーカード49の機能も含んでいる。カード読取装置77の接点81は、図2のコネクタ57に対応する。他のコネクタ51の導体は、パーソナルコンピュータなどのホスト利用デバイス83と接続される。これにより、例えば、ストレージカード71からメモリカード11を取り外す必要なく、ホームコンピュータに接続することにより、ユーザはいくつかのメモリカード11上に格納された写真を便利に閲覧したり音楽を聞いたりすることが可能になる。
【0039】
或いは、ストレージカード71は、図2のマザーカードコントローラ49の機能性を提供できるコントローラチップをその中に埋め込むことができるので、このコントローラチップはドーターカード11の各々と直接通信することができる。このようなストレージカードコントローラチップまたは専用回路は、許可されたユーザのみによるドーターカード上の情報へのアクセスのためのスマートカードセキュリティも提供することができる。ISO7816の非接触または無線プロトコルによるストレージカードからの通信も提供することができる。
【0040】
埋め込まれたコントローラチップが利用デバイス83への接続のための適当なプロトコルを支持する場合、ストレージカードはメモリカードコントローラおよび読取装置双方としての機能を果たす。様々な通信プロトコルのいずれか1つを選択することができるが、USBプロトコルまたはIEEE1394(「ファイアワイヤ」)は、パーソナルコンピュータ(PC)への通信にとって特に魅力的である。ISO/IEC7816、非接触、(ブルートゥースまたは802.11などの)無線周波数無線などの他のプロトコルも、ストレージカード71に埋め込むことができる。この場合、カード読取装置77は単に機械式アダプタであり、能動回路を最小限備えるか或いは全く備えていない。
【0041】
図4は、デジタルカメラ85で撮った写真のための記憶媒体として、ストレージカード71により持ち運ばれるときのメモリカード11の取り扱いを例示する。カメラ85は、カメラの「フィルム」としてコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカードを受け入れる現在広範囲に使用されているタイプのものである。従って、マザーカード13(図1)は、コンパクトフラッシュカードの代わりに、マザーカード13と接続する別個のドーターメモリカード11とともに使用される。メモリカード11をカメラ85に装填するための一連の経緯は、図4において以下のように例示される。すなわち、メモリカード11をそのストレージカード71から取り外してマザーカード13に挿入し、続いてコンパクトフラッシュカードが通常挿入されるのと同じ方法でマザーカード13をカメラ85に挿入する。写真のデータがメモリカード11に格納された後、逆のことが生じることになる。すなわち、マザーカード13がカメラ85から取り外され、マザーカード13からメモリカード11が取り外され、メモリカード11がストレージカード71に戻される。
【0042】
図5は、マザーカードの別の使用例を示し、ここでマザーカードのメモリコントローラは別のタイプのカメラ87の固定部分として一体化されている。この場合、メモリカード11をストレージカード71から取り外し、カメラ87に直接取り付ける。写真を撮影した後、メモリカード11をカメラ87から取り外し、ストレージカード71へ戻す。このシステムは、マザーカードの必要性をなくすという利点があるが、メモリカード11を直接使用することができる前にデジタルカメラがコントローラ機能を備えることを必要としている。メモリカード11をカメラ87とともに使用するためにマザーカードが必要ないとしても、メモリコントローラが組み込まれていない他のホストとともにメモリカード11が使用されるためにはマザーカードが必要である。ドーターカードを直接支持するための適当な回路を備えるホストとしてカメラが例示されているが、携帯電話またはPDAなどの他のホストデバイスが確かに可能であることは明らかである。この場合、これらホストにより生成またはダウンロードされた情報を記録し、それを後に見直しまたは修正するために別のホストに転送することが望ましいことがある。例として、音楽または他のオーディオファイル(口述等)、ユーザにより開始されたコンピュータプログラムにより生成されたビデオ画像或いはインターネットを用いてホストによりダウンロードされたデータが含まれる。
【0043】
セキュリティデバイスの機能も含むドーターメモリカードのより詳細な一例を図6A(平面図)および6B(断面図)に示す。カードの外側は、物理的に前に背景技術の欄で論じたプラグインSIMカードと同じになるようにされている。電気接点(図6A)は、カード表面全体にわたって適切なパターンで配置され、1つのこのようなパターンが例として示してある。接点C1〜C8(121〜129)は、背景技術の欄で前述したISO/IEC7816規格の物理的仕様に準拠する。接点C1,C2,C3,C5,C6およびC7がドーターカード内のセキュリティ集積回路チップ89(図7)に接続される一方で、この規格は接点C4およびC8を将来の使用のために残している。チップ89をプラグインSIMカードにおいて現在使われているのと同じチップとすることができ、このような集積回路チップはインフィニオン、日立、STMマイクロエレクトロニクスまたはジェムプラスから入手可能である。同じくドーターカードに含まれる大容量メモリ集積回路チップ90との接続のために、必要な数の追加の接点91〜106が付加される。メモリ回路チップ90は、前述した512MビットNANDチップまたは他の適当な商業的に入手可能なチップとすることができる。複数のこのようなチップ(ことによると互いに積み重ねられる)がドーターメモリカードに含まれてもよい。メモリチップの接続ピンのために使用されるように、接点C1〜C8のうちの一定の接点が多重化される。供給電圧VCCを受け取るようにISO/IEC7816規格により指定された接点C1、接地されるように指定された接点C5および可変プログラミング電圧が印加される接点C6を、おそらくチップ89および90の両方により使用することができる。接点C2(リセット信号),C3(クロック信号)およびC7(データ入出力)を、ことによると両方のチップにより使用することができる。両方のチップにより使用することができる接点は、カード内で両方のチップに接続される。接点C4およびC8はセキュリティチップ89のために現在使用されていないので、これら接点をメモリチップ90のために使用することができる。カードがプラグインSIMカード規格と互換性であるとすれば、金属が接点C1〜C3およびC5〜C7の領域内に置かれ、セキュリティチップ89と接続される限り、接点の他のパターンが確かに可能である。
【0044】
図6Bの断面図を参照すると、ドーターメモリカードは、外部接点が取り付けられている硬質の基板109を備えている。チップ90の片側は、適切な接着剤層111により基板109の上面に取り付けられている。チップ89は、別の接着剤層113によりチップ90の反対側に取り付けられている。リード線はこれらチップのパッド間で基板109の上面の導電トレース(図示せず)に接続され、導電トレースは基板内の導電トレースおよびバイアホール(図示せず)を通ってパッケージ外側の接点に接続されている。2つのチップ上のパッドを、両方のチップについて同じ機能を供する電力接点のような同じ外側接点C1〜C3およびC5〜C7のうちの少なくともいくつかの接点と接続することができる。パッケージは、2つのチップおよび接合されたリード線を包む適切な樹脂または他の封入剤115により完成される。チップ90および89の一方または両方とドーターカードの外側接触面との間の電気的接続性を確立する他の方法が可能であることは明確である。例えば、接触パッドのいくつかまたはすべてを、基板109の上面または上下面或いは1つないし2つのエッジに沿って配置してもよい。例えば、サンプル接点145および146が基板109の反対側に図6Bでは示されている。
【0045】
図7は、図6Aおよび6Bのカードのためのレセプタクルの底面を示す。プラグインSIMカードの機能のみが使用されることになっている場合、カードが接点側を下にして図7の面上に設置されたときに、それぞれのカード接点C1〜C3およびC5〜C7と接触するためにピンC1’〜C3’(121’〜122’)およびC5’〜C7’(125’〜127’)のみが設けられる。ピンC1’〜C3’およびC5’〜C7’は、携帯電話に見られるようなプラグインSIMカード用の既存のレセプタクルにおけるのと同じパターンで配置される。次いで、これら6個のレセプタクルピンは、ISO/IEC7816規格に従ってチップ89と接続される。チップ89および90の両方との接続が望まれているのであれば、レセプタクルの底面全体にわたって導電ピンの完全なアレイが設けられる。いずれにしても、図7のレセプタクルベースは、図6Aおよび6Bのカードが、レセプタクル面を片側からスライドさせることによって、または上面挿入によりカチッとはめ込まれることにより挿入されるマザーコントローラカードまたは他のデバイスのスロットの底部に配置できる。代わりに、図7の面は上部開放とすることができ、その場合、カードを落とし込み、続いてカード上でカバーを閉じることにより或いは他の既知の保持機構を設けることによりレセプタクルピンに対してカード接点を押し付ける。
【0046】
ドーターカードレセプタクルの別の例を図8に示す。ドーターカード261は、マザーカードまたはストレージカード260の露出面262と嵌め合っている。適当な挿入ガイドは、1方向でのみカードが嵌め合えるように面取りされた角部263である。嵌め合う湾曲側面を有するレセプタクルに強制的に着座させたとき、カードが一緒に確実に保持されるように適当な丸められたエッジ断面264がカード261に設けられる。取り外し機構としてレセプタクルからドーターカード261を取り外すために鉛筆または他の尖った物体266を挿入することができるマザーカードまたはストレージカード本体を貫通する穴265が含まれる。代わりに、ドーターカードのエッジまたは角部は、マザーカードまたはストレージカードの上に張り出してもよく、それによりドーターメモリカードを取り外すために指または用具の使用が可能になる。
【0047】
図9は、代わりの接点配置を有するドーターメモリカードを示す。この場合、すべての接点は、カードの1つの面上にあり、マザーカード、ストレージカードまたは読取装置内のより小さいレセプタクルとの接触が可能になっている。図9は一端(短辺)に配置された接点を示しているが、接点をドーターカードの側部(長辺)または側壁に沿って配置することもできることが理解されよう。
【0048】
図11A,11Bおよび11Cは、図9のカードの特定の実施形態を隠れ破線により示す。このカードは、スタンピング、エッチングまたは当業者に周知の様々な他の手法により示されるパターンにより形づくられた金属リードフレーム190から構成されている。図10は、出発金属リードフレーム(金属は網掛け表示されている)を示す。もっとも、これらリードフレームのいくつかは、通常製造の無駄をなくすために金属の1つの固体部品として一緒に1つのストリップに取り付けられる。エポキシ樹脂または同様な接着剤を用いてメモリダイ191がリードフレームに取り付けられ、リード線がダイ表面192上のパッド開口部からリードフレーム190上の適当なパッド領域193までの間に超音波ワイヤボンディング194などの標準的な集積回路接合技法を用いて取り付けられる。もっとも、メッキバンプなどの他の技法も確かに可能である。リードフレームが、リードフレームの相互接続部分とは別の平面上に外部接点195が形成されるように、標準的な技法を用いて形成される。メモリダイ191およびリードフレームを機械的に保護するために適当な封入剤199を用いてカードが成形される。リードフレームは、形成動作前か成形動作後に、トリム線188および189(図10)に沿って切断されてリード線を電気的に絶縁し、元のリードフレームの外側部分は図11A〜Cに示す金属部分を残して廃棄される。
【0049】
このリードフレーム設計のユニークさは、プリント回路基板のパターンと同様に、メモリダイの1つ以上の側のボンディングパッドをリードフレームパターンを介してパッケージの1つ以上の異なる側に引き回すことができることである。しかし、この応用例についてのプリント回路基板に対するリードフレームの利点は、より安価で、かつ低減されたカードの厚さである。唯一の配線制限は、リードフレーム相互接続の唯一のレベルを用いてトレースを交差させることができないことである。もっとも、この制限は集積回路ダイを適当なパッケージに一致させる際の今日の共通使用における制限と同一であり、実際にはダイパッド位置とパッケージピン位置は集積回路の設計段階中に一緒に考慮される。先行技術において、ダイはこの配線柔軟性を妨げるリードフレームの堅固なパドル領域に取り付けられているが、この実施形態により既存のダイから種々のパッケージ位置へのダイ相互接続の配線設定をより自由なものにし、具体的にはメモリダイの両側のパッドをドーターカードの1つの辺へ配線設定することができる。相互接続を配線設定するためにメモリダイ下の領域を使用することができるので、この配線設定柔軟性が生じることになる。ダイは、通常使われるパドル領域ではなく、配線設定相互接続に直接取り付けられ支持される(しかし、この配線設定相互接続から電気的に絶縁されている)。リードフレーム190は、ドーターカード相互接続パッド位置193を(図11Cに示されているように)ダイ底面とは異なる垂直レベルにするために標準的な技法を用いて形成され、ダイおよびリードフレームを封入するために従来方法でプラスチック成形され、リードフレームのカード接点位置195のみを露出させることができ、この例では図9に示されているカード接点位置と同様にドーターカードの一辺に沿って上面においてのみ露出される。
【0050】
別の例のカード構造を図12A,12Bおよび12Cに示し、これらはそれぞれ図11A,11Bおよび11Cに対応し、同じ要素については同じ参照番号が用いられ、プライム符号(’)を付した参照番号はプライム符号のない参照番号により識別される要素に対応する追加的要素を示している。2つのカード間の主要な違いは、ダイ191と反対側のリードフレーム導体の側に第2のメモリまたは他の集積回路ダイ191’が取り付けられていることである。ワイヤ194’はメモリダイ191’のパッド192’とリードフレームの適当な導体190の下面との間に取り付けられ、この導体はメモリダイ191のパッド192からワイヤ194がそれら上面に取り付けられるリードフレーム導体190と共通であっても分離していてもよい。第2のダイが第1のダイと機能的に同一であり、しかも実質的に同じリードフレーム位置に接合することが望ましいことがよくある。これは、一般にウェハ製造の間に1つ以上のマスクを変えて表面相互接続パターンを内部回路からボンディングパッドに変更し、その結果としてボンディングパッドが第1のダイのボンディングパッドに関して鏡像位置にある第2のダイになるようにすることにより達成される。この例において、上部ダイ191上のボンディングパッド192Aはリードフレームパッド193Aに接合することが示され、下部ダイ191’上の対応するパッドはリードフレームパッド193Bに接合する。これら2つのパッドがそれらのそれぞれのチップ191および191’についてのイネーブル機能を実行すれば、リードフレーム導体193Aおよび193Bの2つの外部接点195の一方のみの選択は、他方の未選択ダイにすべての他の入力の無視およびその出力の切断双方をさせることになり、従って2つのダイ間の競合を回避し、それらダイが共通のリードフレーム導体および外部カード接点195を共有できるようにする。カードへのアクセスについてのセキュリティは、ダイ191または191’の1つにより提供することができる。
【0051】
取り外し可能なカードの実際的な実装例において、適切なカード挿入の容易さ、適切に装着されたカードの検出、挿入されている間のカードの確実な保持およびカードの取り外しの容易さなどの重要になるある一定の機械的詳細が存在する。これらは、図11A〜Cおよび図12A〜Cに示されている設計において対処され、ここで挿入時にユーザが平面性を維持するのを助け、適正な電気的接触をなさない方法での挿入を防止するように働くマザーカード上のガイドバーと一致するガイドスロット198が成形プロセスの間にドーターカードに設けられる。ひとたび挿入されると、マザーカードは、同じく成形プロセスの間にカード上に形成された適当な節度機構196と一致し、マザーカード内のドーターカードを確実に保持して連続的な電気的接続を保証する適当なばね押しロック機構を備えてもよい。取り外しを容易にするために、ドーターカード上に排出スロット197が備えられてもよい。この場合、ばね押し節度機構に打ち勝ち、カードを排出するために、指の爪または鉛筆などの他の適当な機械的物体を用いて利用できる細長いスロットが示されている。代わりに、嵌め合うエッジ形状を有するマザーカードおよびストレージカードのレセプタクルへの取り外し可能な嵌合のために、図8におけるカード61の湾曲エッジ形状を図11A〜Cのカードに持たせてもよい。
【0052】
適切に挿入されたカードの検出は、一般にいろいろな技法を用いてマザーカードにより達成される。1つのアプローチは、カードの物理的存在が機械的スイッチを動かし、マザーカード上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの割り込みを引き起こす専用回路を開くというものである。カード検出の別のアプローチは、挿入と同時に電流が流れるようにマザーカードインタフェースコネクタ上のさもなければ絶縁性の2本のピンの間に短絡をドーターカードが備えることである。カード検出プロセスは、ドーターカードとどのように通信するかを決定するための起動プロセスをマザーカードに開始させる。
【0053】
図3のストレージカード71の代替を図13に例示する。ストレージカード151は、これに取り外し可能に取り付けられたドーターメモリカード153および154と、取り付けられたメモリカードの内容の記録157をユーザがペンまたは鉛筆でその上に手書きできる表面を備える領域155とを有する。ストレージカード151のサイズは、最も便利にはスマートカード(背景技術の欄で前述したID−1 SIM)のサイズである。メモリカード153は、最も便利にはプラグインSIMカードのサイズであり、背景技術の欄で前に論じたGSM11.11仕様の付属書に従ってストレージカード151の表面に設置される。メモリカード153は、ストレージカード151に取り付けられ、その表面接点(図示せず)は外向きである。これらの接点は、図6Aおよび6B、図9のカードの接点パターンまたはそれ以外のパターンを有することができる。
【0054】
メモリカード153は、ストレージカード151に取り付けられている間は容易にアクセスすることができる。図3に示されているようなカード読取装置は、ストレージカード151を受け入れ、メモリカード153の接点パターンに一致する要素のパターンを含むレセプタクルを備えることができ、それによりストレージカード151がカード読取装置レセプタクル内に設置されるときに、電気的接続がメモリカード表面接点と直接なされる。これは、スマートカード用カード読取装置と同様である。カード71(図3)の付加的なエッジコネクタおよび内部ワイヤトレースは不要である。このような改良されたカード読取装置は、カード読取装置77の代わりに適当な利用デバイス83と接続される。
【0055】
図14は、図6Aのメモリカードおよび6Bの1つの変形例を示す。図14のカードの22個の接点の組は、このカードの長手方向に沿って延びる別の導体161をカード表面に追加することができるように接点間の間隔を増大するためにそれら接点がより短くされている以外、図6Aのカードおよび6Bの接点に対応している。22個の接点は、図6Aおよび6Bのカードの接点と同じ役割を果たすことができる。追加された導体161は、他の22個の接点と同じ金属層から形成することができる。この例において、導体161は、無線周波数アンテナを提供する。カード内にはトランシーバアナログ回路が備えられ、このアンテナに接続されている。このカードは無線周波数識別(RFID)タグとして機能することができる。アナログ回路をカード内のチップ89または90(図6B)の1つのチップ上に一体化したり、付加的な集積回路の形にしたりすることができる。
【0056】
アナログ回路は、近くの外部無線周波数(RF)源、典型的には使用される周波数に応じて10cm〜10m離れた外部無線周波数源からアンテナ161を介してその動作エネルギーを受信する。アナログ回路内の典型的には128ビットデータの小容量不揮発性メモリは、ユーザの一意キー、一意の製造業者カード番号またはその他のコードを格納する。このデータは、外部無線周波数源により回路が電力を増すときに読み出され、アンテナ161を介して返送される。次いで、RFトランスミッタと一体化させることができる外部RFレシーバは伝送されたコードを読み出す。必要とされる電圧供給がメモリカードの外部接点と接続されていないので、メモリパッケージ内のフラッシュメモリおよびセキュリティチップはこの動作の間は作動されない。
【0057】
メモリカード内にRFIDタグを設けることの1つの応用例は、盗難防止である。小売店において、例えば、そのメモリカードについての支払いを顧客から受領した後、レジ係は、一意なコードを記憶することによりまたはほかの方法でこのメモリの動作を起動することができる。RFトランスミッタおよびレシーバが設置された店舗出口を通過する際に、どのような未起動カードも警報を作動させる。
【0058】
このアナログ回路をコードメモリが起動されるときにのみ同じカード内のフラッシュメモリの動作を可能にするためにも使用することができる。従って、販売係によって販売時点で起動されなかったメモリカードは動作しない。さらに、RFIDタグ機能は、セキュリティチップ89(図6B)の使用の代替としてユーザキーのための保護された記憶装置の限定された形態としても使用できる。
【0059】
別の応用例は、メモリカードの在庫管理用である。製造業者により蓄積された一意のコードをこのために使用することができる。在庫に受け入れられるカードは、このコードを読み出すためにRFトランスミッタおよびレシーバを通過し、その後このコードは在庫管理データベースに蓄積される。カードが在庫から取り出される際に、そのコードは再度読み出され、在庫データベースにそのように記録される。
【0060】
代わりに、埋め込まれたコントローラを備える図3のストレージカード71にRFID機能を組み込んでもよい。この場合、RF信号は、所望のデータおよび埋め込まれたコントローラに通電するための電力源双方を供給する。次いで、コントローラは取り付けられたメモリドーターカードの各々に問い合わせし、ドーターカードのいずれかが所望の基準を満たしているかどうかを決定することができる。その結果として、各ストレージカードを読取装置に順次挿入することなく、取り付けられたメモリカードの集まりを含むストレージカードの集まりから所望のデータを捜し出すことができる。この実施形態は、ストレージカードに備えられる複数のドーターカードが多数の画像または多数の記録された歌を含む場合に特に有用になり得、ドーターカードの各々に問い合わせてどのカードがどの写真または歌を格納しているのかを電子的に識別するRFID機能によって電子写真アルバムまたは音楽ライブラリーを作成するのに有用である。
【0061】
本発明をその代表的な実施形態により説明してきたが、本発明が添付の特許請求の範囲全体の中でその権利の保護を受けることができることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードであって、
前記カード内に入れられ、チップの向かい合う第1および第2の側に沿って1つの表面上に複数の電気回路接点を有する少なくとも1つの不揮発性メモリ集積回路チップと、
前記集積回路チップと外部デバイスとの間の通信を可能にする外部アクセス可能な一組の電気接点と、を備え、
前記外部アクセス可能な電気接点は前記チップの第1の側に隣接するパターン成形されたリードフレームの導体の端部から形成され、第1の複数の前記導体はチップの下でその前記第1および第2の側の間を延び、かつチップのための物理的支持体となり、前記チップの第2の側に沿った接触領域は前記第1の複数の前記リードフレーム導体にチップの第2の側に隣接するその端部において電気的に接続され、前記チップの第1の側に沿った接触領域はチップの第1の側に隣接する第2の複数の前記リードフレーム導体と電気的に接続され、第2の複数の前記リードフレーム導体はチップの下でチップの前記第1および第2の側の間を延びていないことにより第1の複数の前記リードフレーム導体よりも短いメモリカード。
【請求項2】
請求項1記載のメモリカードにおいて、
前記外部アクセス可能な電気接点は、もっぱら1つの表面上にあり、メモリカードの1つのエッジに隣接するメモリカード。
【請求項3】
請求項1記載のメモリカードにおいて、
前記少なくとも1つの不揮発性メモリ集積回路チップおよび前記パターン成形されたリードフレームは、前記パターン成形されたリードフレームの前記外部アクセス可能な電気接触部分を除いて、プラスチック内に完全に封入されるメモリカード。
【請求項4】
請求項1記載のメモリカードにおいて、
前記パターン成形されたリードフレームの導体の端部は、複数の接点および第1の複数の導体を異なる平面内で配向させるように成形されるメモリカード。
【請求項5】
請求項1または3のいずれか記載のメモリカードにおいて、
前記外部デバイスを用いた機械的保持を容易にする形状が、前記プラスチック封入と一体的に形成されるメモリカード。
【請求項6】
請求項1または3のいずれか記載のメモリカードにおいて、
前記外部デバイスからの取り外しを容易にする形状が、前記プラスチック封入と一体的に形成されるメモリカード。
【請求項7】
請求項1または3のいずれか記載のメモリカードにおいて、
前記外部接点を介した外部デバイスとの通信を認証または阻止するセキュリティ機能をさらに含むメモリカード。
【請求項8】
請求項7記載のメモリカードにおいて、
前記セキュリティ機能は、前記少なくとも1つの不揮発性メモリ集積回路チップ内に含まれるメモリカード。
【請求項9】
請求項7記載のメモリカードにおいて、
前記セキュリティ機能は、前記カード内に入れられた第2の集積回路チップ内に含まれるメモリカード。
【請求項10】
メモリカードであって、
前記カード中に入れられ、各々が複数の電気回路接点をその1つの表面上にチップの向かい合う第1および第2の側に沿って有する第1および第2の不揮発性メモリ集積回路チップと、
第1および第2の集積回路チップと外部デバイスとの間の通信を可能にする外部アクセス可能な一組の電気接点と、を備え、
前記外部アクセス可能な電気接点はパターン成形されたリードフレームの導体の端部から形成され、前記リードフレームは前記第1および第2のチップ間に配置され、かつチップのための物理的支持体となる第1の複数の導体を備え、各々のチップの第2の側に沿った接触領域は第1および第2のチップの両方の第1の複数のリードフレーム導体に前記チップの第2の側に隣接するその端部において電気的に接続され、前記チップの第1の側に沿った接触領域はチップの第1の側に隣接する第2の複数の前記リードフレーム導体と電気的に接続され、第2の複数の前記リードフレーム導体はチップの前記第1および第2の側の間の第1および第2のチップ間を延びていないことにより第1の複数の前記リードフレーム導体よりも短いメモリカード。
【請求項11】
請求項10記載のメモリカードにおいて、
前記外部アクセス可能な電気接点は、もっぱら1つの表面上にあり、メモリカードの1つのエッジに隣接する請求項53記載のメモリカード。
【請求項12】
請求項10記載のメモリカードにおいて、
前記少なくとも1つの不揮発性メモリ集積回路チップおよび前記パターン成形されたリードフレームは、前記パターン成形されたリードフレームの前記外部アクセス可能な電気接触部分を除いて、プラスチック内に完全に封入されるメモリカード。
【請求項13】
請求項10記載のメモリカードにおいて、
前記パターン成形されたリードフレームの導体の端部は、複数の接点および第1の複数の導体を異なる平面内で配向させるように成形されるメモリカード。
【請求項14】
請求項10記載のメモリカードにおいて、
前記セキュリティ機能は、前記第1および第2のチップの一方にのみ設けられるメモリカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−23034(P2011−23034A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214753(P2010−214753)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2004−551786(P2004−551786)の分割
【原出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願人】(592012513)サンディスク コーポレイション (173)
【氏名又は名称原語表記】SanDisk Corporation
【Fターム(参考)】