説明

メモリーカード用コネクタ

【課題】メモリーカード用コネクタにおいて、ハウジングからカバープレートが外れにくい構造とする。
【解決手段】メタルプレート3には縦横が異なる長さを有する回動軸突部34を形成し、ハウジング2には回動軸突部34の短径幅となる第1孔及び長径幅からなる第2孔を有する回動軸孔25を穿設する。ホールドダウンプレート5は、回動軸孔25を穿設した端部間を連結するようにハウジング2幅に渡り連接し、回動軸孔25と対向するように回動軸孔補強孔を穿設して回動軸孔25を補強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、メモリーカード用コネクタに係り、詳細には、ハウジング本体に回動自在な金属カバーを回動させてハウジングと金属カバーとの間にメモリーカードを収納可能なメモリーカード用コネクタに係る。
【背景技術】
【0002】
メモリーカード用のコネクタには、開口からメモリーカードを手動にて脱抜するタイプのものや、挿入後所定のボタンを押圧することでイジェクト可能であったり収納したメモリーカードを更に押圧してイジェクトするものがあった。さらには、この発明にかかるメモリーカード用コネクタのように、ハウジング上面の所定の位置にメモリーカードを載置させた後に、ハウジングと回動自在な金属カバーによりハウジング上面を被覆してメモリーカードをカバーするタイプのものがあった。
【0003】
メモリーカードを回動させた金属カバーによって被覆する従来例を以下に示す。
図6に表すように、100はメモリーカード用コネクタの従来例である。メモリーカード用コネクタ100は、複数の導電性接点を有するメモリーカードMCを収容可能であり、絶縁性ハウジング132には複数の導電性端子134を設けてある。更に、絶縁性ハウジング132の端部には、金属カバー138を回動自在に設けてある。
金属カバー138は、メモリーカードMCを収容する差込口を有し、メモリーカードMCを金属カバー138上に収容することを可能にする開位置とメモリーカードMCの接点を絶縁性ハウジング132上のコンタクト134と係合させる閉位置とを取ることが出来るように形成してある。そして、金属カバー138は、この閉位置と開位置との間で回動させて開閉枢動することができるように形成する。
また、金属カバー138を取付けるために、回動係止部140が金属カバー138と絶縁性ハウジング132との間に回動自在に、且つ、スライド可能に設けてある。回動係止部140は、絶縁性ハウジング132の一端にある受けアーム142と、金属カバー138の一端に設けるプレート側アーム144とによって形成されている。
プレート側アーム144には、絶縁性ハウジング132のそれぞれの受けアーム142に向かって内側に突出する枢動突起170が形成されている。更に、第2の枢動突起としてタブ172が、プレート側アーム144と対向するように金属カバー138の枢動端に形成され、各枢動突起70の方へ突出させてある。従って、金属カバー138の枢動端の角に2対の枢動突起が設けられ、各対は、内方に向いた枢動突起170と外方に向いたタブ172とからなっている。
【0004】
金属ブラケット180は、図7に示した状態で絶縁性ハウジング132の受けアーム142周囲に取付けられる。そして金属製ブラケット180は、固定タブ180dを貫通取付穴190に穴の下側から差込むことによって、それぞれの受けアーム142に下側から取付けられる。そして金属ブラケット180の内側壁180bの摺動ソケット182aと開口部182bが、受けアーム142の内側面の枢動凹部176aと開口部176bと位置合わせされる。ブラケットの外側壁180cの枢動ソケット184aは、受けアーム142の外側面の枢動凹部174aとラッチ凹部74bと位置合わせされる。枢動ソケット184aは、長孔状に穿設されており、枢動突起170は枢動ソケット184a内で移動可能である。又、金属ブラケット180には、枢動ソケット184aと対向するように開口部182bを設けた摺動ソケット182aを設けてある。そして、摺動ソケット182aの開口上端部にはY字ラッチ部182cを備える。この摺動ソケット182aには、金属カバー138を回動させた後に摺動させると、開口部182bからタブ172が入り込み、タブ172が摺動ソケット182a内で係止して金属カバー138が回動するのを阻止する。
このように形成する回動係止部140は、金属ブラケット180を介在させて金属カバー138を回動自在、且つ摺動自在に形成させている。
【0005】
上記のように形成される金属カバー138の回動及び摺動の動作は、金属ブラケット180に穿設する枢動ソケット184aと金属カバー138側に設ける枢動突起170とが枢支状態をとる。
そして、絶縁性ハウジング132の上面にメモリーカードMCを装着する。装着時には、メモリーカードMCの導電性接点が、絶縁性ハウジング132に設ける複数のコンタクト134と対向するように載置される。
この状態で金属カバー138を、絶縁性ハウジング132の上面を被覆するように回動させる。この時、金属カバー138のプレート側アーム144に設け枢動ソケット184aに回動自在に係止されている枢動突起170が回動中心となり回動される。
金属カバー138が回動して絶縁性ハウジング132上面を被覆したときには、作業者が金属カバー138を絶縁性ハウジング132側へ押圧することで、図示しない押圧部がばね力を持ってメモリーカードMCをコンタクト134側へ押圧している。
この時、タブ172は、開口部182bに位置している。
【0006】
更に、金属カバー138が絶縁性ハウジング132上面を被覆した状態で、金属カバー138を、タブ172が開口部182bから枢動ソケット184a内へ入り込むように摺動移動させる。すると、タブ172が開口部182bから枢動ソケット184a内へ入り込み枢動ソケット184a内で係止される。
この状態では、金属カバー138が回動を阻止されるので、メモリーカードMCは絶縁性ハウジング132と金属カバー138との間に位置されており、しかもメモリーカードMCの導電性接点がコンタクト134と押圧接触されている。
【特許文献1】特開2007−026918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、金属カバー138を回動させる枢軸である受けアーム142部分が絶縁性ハウジング132の両端に形成されており、一対の受けアーム142間が絶縁性ハウジング132であるため、メモリーカード用コネクタ100を小型化する際には合成樹脂によって形成される絶縁性ハウジング132が薄くなるため、図5に表すように、金属カバー138が持ち上げられる等して受けアーム142部分に外力が加わると絶縁性ハウジング132が変形して金属カバー138が外れてしまうという問題点を有していた。従って、絶縁性ハウジング132を強固にするために、小型化を図れないという問題点を有した。更には、金属カバー138を回動させた際に勢い余って、受けアーム142部分に大きな余分な外力が加わると、絶縁性ハウジング132自体に割れを生じたり、破壊してしまう虞があるという問題点を有した。
【0008】
そこで上記問題点を鑑み、小型化及び薄型化が可能であり、ヒンジ部分に充分な機械強度を有するメモリーカード用コネクタの提供をこの発明で可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこでこの発明は、カバーとなる金属カバーが外れにくい構造のメモリーカード用コネクタの提供を可能にするため、ハウジングの構造を見直し、
【0010】
コンタクトの接続端子部を露出させて成形した合成樹脂製のハウジングと、
ハウジングの一端部に設けた回動軸孔で回動自在に支持され、ハウジングと共にメモリーカードを収納する金属プレートとからなり、
接続端子部にメモリーカードの接点部が当接するようにメモリーカードを載置し、金属プレートをハウジングに向けて回転させ閉蓋することでメモリーカードの接続部と接続端子部とが電気的に接続されるメモリーカード用コネクタにおいて、
金属プレートの一対の回動軸形成腕部に相互に対向するよう突出させて楕円形状又は長円形状の回動軸突部を形成し、
前記回動軸孔は、前記回動軸突部の短径幅とほぼ同じ幅の第1孔及び長径幅からなる第2孔を有する長孔であり、
回動軸突部は、第1孔内で回動を阻害されて回動出来ず、第2孔内では回動自在であり、第1孔及び第2孔間を摺動移動可能であり、第1孔に位置したときにハウジングを被覆するよう閉蓋状態を取ることを特徴とするメモリーカード用コネクタ、
【0011】
を提供する。このメモリーカード用コネクタでは、金属プレートが回動する際には、ハウジングに穿設した回動軸孔の第2孔に金属プレートの回動軸突部が位置して回動自在となり、この開状態で、メモリーカードをハウジング上面に載置し、金属プレートを回動させてハウジングに被さった状態とさせてから金属プレートを摺動移動させて回動軸突部を回動軸孔の第1孔へと移動させる。すると回動軸突部は、第2孔内では短径幅が第2孔の幅方向と一致しているので摺動移動は可能であるが、その場での回動が阻害されるので、金属プレートはハウジング上面に被さった状態を維持することとなる。
そして、メモリーカードを取外すときには、金属プレートを回動軸突部を回動軸孔の第2孔側へ摺動移動させる。すると第2孔では回動軸突部が回動可能となるため、金属プレートが回動自在となり、開状態を取るように回動させてメモリーカードを取外す。
又、補強プレートがメモリーカード用コネクタをプリント基板等の他の電子部材と接続させるホールドダウンを兼ねる構成として、
【0012】
コンタクトの接続端子部を露出させ、プリント基板固着用のホールドダウンプレートの一部を埋設して成形した合成樹脂製のハウジングと、
ハウジングの一端部に設けた回動軸孔で回動自在に支持され、ハウジングと共にメモリーカードを収納する金属プレートとからなり、
接続端子部にメモリーカードの接点部が当接するようにメモリーカードを載置し、金属プレートをハウジングに向けて回転させ閉蓋することでメモリーカードの接続部と接続端子部とが電気的に接続されるメモリーカード用コネクタにおいて、
金属プレートの一対の回動軸形成腕部に相互に対向するよう突出させて楕円形状又は長円形状の回動軸突部を形成し、
前記回動軸孔は、前記回動軸突部の短径幅とほぼ同じ幅の第1孔及び長径幅からなる第2孔を有する長孔であり、
ホールドダウンプレートは、ハウジング幅に渡り連接され、回動軸孔を穿設した端部で回動軸孔周囲部を補強するよう折曲されて軸部補強プレートを形成し、中間部がハウジングを補強するよう一体的に形成し、
回動軸突部は、第1孔内で回動を阻害されて回動出来ず、第2孔内では回動自在であり、第1孔及び第2孔間を摺動移動可能であり、第1孔に位置したときにハウジングを被覆するよう閉蓋状態を取ることを特徴とするメモリーカード用コネクタ、
【0013】
を提供する。このメモリーカード用コネクタでは、ホールドダウンプレートの中間部がハウジングと一体的に埋設されて形成されている。又、他の部位がハウジング表面(底面)に露出されてホールドダウンを形成する。
【発明の効果】
【0014】
従って、この発明によれば、補強プレートがハウジングの底面側で金属プレートの回動軸間に渡り連結されるので、薄く形成されたハウジングが補強プレートによって補強され、金属プレートが引っ張られた際にハウジングが変形しようとするのを、補強プレートの物理的な剛性により防止可能であるという効果を有する。又、回動軸孔を第1孔及び第2孔から形成し、回動軸突部が第1孔内では回動不能であり摺動のみが可能に構成され、第2孔内では回動自在となるので、メタルプレートによる閉蓋時にメタルプレートが容易に開状態とならず、閉蓋時にメタルプレートの剛性によってメモリーカード用コネクタ自体が補強される構造にできる。
【0015】
又、補強プレートがホールドダウンプレートからなる場合では、前記効果に加え、中間部がハウジングと一体的に埋設されて形成されるので、更に剛性が増すという効果を有すると共に、ホールドダウンプレートを別途設けることなく剛性を増すことが可能となるという効果を有する。
【実施例1】
【0016】
以下にこの発明の実施例を図面に基づき説明する。図1はこの発明の実施例を説明する図であり、(a)は閉状態としたときの斜視説明図、(b)は開状態にしたときの斜視説明図、(c)は下方からの斜視説明図であり、図2はコンタクト及びホールドダウンプレートの配置を表す斜視説明図であり、図3はハウジングを表す斜視説明図であり、図4はこの発明の実施例の部品を表し(a)は平面説明図、(b)は側面説明図、(c)は正面説明図、(d)は底面説明図、(e)は(a)の中央縦断面説明図である。
【0017】
1は、この発明の実施例であるメモリーカード用コネクタである。
メモリーカード用コネクタ1は、図1に表すように、ハウジング2の端部にて回動自在なメタルプレート3を設けてなり、図1(b)に表す開状態において、ハウジング2の上面2aにメモリーカードMCを載置し、メタルプレート3を閉状態にしてメモリーカードMCを電気的にメモリーカード用コネクタ1へ接続し用いる。図1は、メモリーカード用コネクタ1を閉状態としたときの斜視説明図であり、図1(b)は、メモリーカード用コネクタ1を開状態にしたときの斜視説明図である。
また、メモリーカード用コネクタ1の上面2aでメモリーカードMCの接点部(図示せず)と対向する位置には、ばね力を持って上面2aから突出するようコンタクト4の一部を露出させて設ける。
【0018】
以下、メモリーカード用コネクタ1の各部を説明する。
ハウジング2は、絶縁性を有する樹脂で成形され、上面2aに露出されるコンタクト4及びホールドダウンプレート5と共に一体的に形成される。コンタクト4は、ハウジング2と一体的に成形されるコンタクト4及びホールドダウンプレート5の配置を表す図2に示すとおり、ハウジング2の中央に複数並設され、一端がハウジング2の下面2bから稍突出するように露出されてプリント基板(図示せず)の所定箇所と半田付け等によって固定される。
【0019】
メタルプレート3は、薄板状の金属板をプレス加工して形成する。メタルプレート3は、閉状態でハウジング2の上面を覆うように方形状にプレート本体31を設け、プレート本体3の対向する一対の側縁をハウジング2被覆時にハウジング2の下面側となる同じ側へ折曲してハウジング2の側面24a、24bの外側で対向するようにプレート側部32を設ける。従ってメタルプレート3は、下方を開口した断面形状コ字状の薄板金属プレートからなる。そして、プレート本体31には、折曲したプレート側部32から回動軸形成腕部33を延設する。従って、一対のプレート側部32に設けた回動軸形成腕部33は相互に対向して形成されることとなる。更に、この回動軸形成腕部33の先端側には、相互に対向するように回動突部34を形成する。従って、回動突部34はそれぞれの回動軸形成腕部33に相互に対向するように内側へ突設される。この回動突部34がハウジング2との枢軸となる。また、回動突部34は、回動軸形成腕部33の長手方向、即ちハウジング2の側面24に沿う方向に長く形成される。従って、回動突部34の形状は、長方形形状の短辺を円弧状に丸めた形状で突出されており、短辺側となる短径と、長辺側となる長径とによって形成されるので、長径より幅広の孔に入り込んだときには回動自在となるが、同形状あるいは短径側が入り込む幅が長径より小さい孔に入り込んでいるときには回動することができない。
【0020】
また、メタルプレート3には、ホールドダウンプレート5と係止して電気的な接続を形成すると共に機械的な係止を行うための係止接続孔35を穿設する。係止接続孔35は、プレート側部32それぞれに、プレート側部32の略中央に対向させて穿設する。更にプレート側部32には、係止接続孔35の回動軸形成腕部33とは反対側に、コ字状の溝部36を穿設して形成する。この溝部36は、プレート側部32のプレート本体31とは反対側となる端部にまで抜けるように穿設することで、ホールドダウンプレート5に設ける係止突部が入り込めるようにしてある。
【0021】
ハウジング2は、図3に表すように、方形の板状からなりその中央を切欠した形状からなり、絶縁性を有する樹脂により形成される。そして、ハウジング2の周囲部である枠部21は、内周に沿って段差部22を設けることで、ハウジング2の内部が一段低くなるように形成される。また、ハウジング2の端縁の一方には段差部22を設けず、段差部22の底部と同じレベルとなるように低く形成し、この端縁の側面視では、ハウジングが上方に開口したコ字状となるように形成し、上部を覆うメタルプレート3とハウジング2の該端縁との間にメモリーカードMCを挟み込めるスペース23を形成する。
更にまた、スペース23を設けた端縁と対向する回動端26側にはメタルプレート3が回動自在に接続される。即ち、ハウジング2は、スペース23を設けた端部とこれに対向する端部との間に有る側面24a、24bに、メタルプレート3が回動自在に係止される回動軸孔25を設ける。回動軸孔25は、側面24a、24bのスペース23とは反対の端部側にそれぞれ対向するよう同形状に穿設して設ける。ここでは、側面24aに穿設する回動軸孔25を例に説明する。
【0022】
回動軸孔25は、L字状に折曲した凹形状に設ける。即ち、回動軸孔25は、ハウジング2のメタルプレート3と回動自在に係止される回動端26側に、スペース23側から回動端26側へ側面24aの長手方向に沿って長孔状に設ける第1孔25aと、第1孔25aの回動端26側に下面2b側へ折曲して設ける第2孔25bとからなる。そして、第1孔25aは、上面2a及び下面2b方向の幅がメタルプレート3に設ける回動突部33の短径より幅広であり長径より幅狭に設けるので、メタルプレート3の回動突部33が第1孔25a内で回動することが出来ない構造となっている。また、回動軸孔25は、第1孔25aからこれに続く第2孔25bまでを回動突部34の長径よりも長く穿設しているので、メタルプレート3に設ける回動突部34が第1孔25a内に位置しているときにはメタルプレート3は回動はできないものの、第1孔25a及び第2孔25b内で摺動移動可能となっている。
【0023】
このように、メタルプレート3の回動突部34が回動軸孔25内を摺動移動可能に形成することで、回動突部34が第1孔25aに位置している場合にはメタルプレート3が回動突部34を中心として回転することが出来ないが、回動突部34が第2孔25bに位置している場合には回動突部34を中心としてメタルプレート3を回転させることが出来てメモリーカードMCの出し入れが可能となる。
【0024】
ハウジング2に固定されるコンタクト4は従来同様の構造であり、細長い良導体金属板を折曲及び湾曲させて形成され、複数本が同時にプレス加工により製造されてハウジング2の型による成型時に同時に一体的にハウジング2に取付け固定される。コンタクト4は、図2等に表すように、中間部41がハウジング2へ一体的に形成され、一方の端部がハウジング2のスペース23側で下面2b側へ位置されてプリント基板(図示せず)等の他の電子部材と電気的に接続されると共に固定される半田固定部42を形成する。この半田固定部42は、ハウジング2の下面2bと同レベルかほんの僅か突出するように位置される。またコンタクト4は、半田固定部42と反対側の端部が接続端子部43を形成する。接続端子部43は、メモリーカードMCがハウジング2へ装着されてメモリーカードMCの接点部(図示せず)と良好な接触圧をもって電気的に接続可能なばね力を持つように、ハウジング2の上面2aから突出するように湾曲させて形成する。そしてコンタクト4は、メモリーカードMCとの接続に必要な数をハウジング2形成時に一体的に形成されて固着される。尚、コンタクト4は、従来から実施されているコンタクト4と何ら変わるものではなく適宜形状のものが適宜数設けられれば足りる。
【0025】
ハウジング2には、コンタクト4と同様に、ホールドダウンプレート5が一体的に固設される。ホールドダウンプレート5は、金属プレートをプレス加工して形成し、ハウジング2の周囲に沿って配置可能なように枠部21形状に合わせて形成され、所定箇所をハウジング2内部に位置させた状態で一体的に成形されることで、ホールドダウンプレート5の金属剛性をハウジング2に寄与させ、更に所定箇所を下面2bから稍突出するように露出させて半田付け等によりプリント基板(図示せず)と電気的に接続可能であると共に接続固定可能である。ホールドダウンプレート5は、図1や図2等に表すように、ハウジング2の枠部21に沿って配置された側部を、ハウジング2の側面24a、24bに設ける回動軸孔25部分では、側面24a、24bに沿うように下面2b側から折曲して軸部補強プレート51を形成する。軸部補強プレート51は、ハウジング2の回動軸孔25の外側に嵌合可能に補強孔52を穿設してある。従ってこの補強孔52は、回動軸孔25より稍大きく開口され、ハウジング2には回動軸孔25の周囲部を側面24a、24bから突出させてフランジ状に縁部27をフランジ状に形成し、縁部27と補強孔52とが嵌合して補強孔52が縁部27周囲部を補強するように形成してなる。このようにハウジング2の縁部27とホールドダウンプレート5の補強孔52とを嵌合させることで、ホールドダウンプレート5の金属特性である機械的強度を、その強度の劣るハウジング2の回動軸孔25周囲に付与することで、メタルプレート3の回動突部34と回動軸孔25と枢支によるメタルプレート3の回動時に、回動軸孔25が破壊することなく補強可能となる。
【0026】
またホールドダウンプレート5は、ハウジング2の側面24a、24bそれぞれの中間位置で、軸部補強プレート51同様に側面24a、24bに沿うように下面2b側から折曲してプレート固定部53を形成する。プレート固定部53は、メタルプレート3がハウジング2の上面2aを覆うように閉状態となった時にメタルプレート3の係止接続孔35と対向する位置となるように設ける。このプレート固定部53は、プレート固定部53の位置するハウジング2の側面24a、25b部分が凹状に形成されており、側面24a、24b表面に露出されるように設けられる。更にプレート固定部53には、その中央に突部を設ける。このようにプレート固定部53を設けることで、メタルプレート3の係止接続孔35に入り込んでメタルプレート3の係止接続孔35を設けた部分プレート側部32が有するばね力により係止可能であると共に電気的に接続される。
【0027】
更に、ホールドダウンプレート5は、複数の所定箇所がハウジング2の下面2b側へ露出されてプリント基板(図示せず)等の電子部品とのアースを取るホールドダウン部54を形成する。このホールドダウン部54は、この実施例では、軸部補強プレート51が立設される下面2b側と、補強プレート51、51間の略中央部と、枠部21のスペース23側とに、それぞれ枠部21の下面2bに露出するように設けてある。従って、ホールドダウンプレート5は、ホールドダウン部54が下面2bと同レベルか稍突出するようにホールドダウン部54を下面側へ折曲して形成し、ハウジング2と一体的に形成される。尚、この実施例では、ホールドダウン部54を上記のように形成したが、実施する形状に合わせて適宜位置に設ければ足りる。
【0028】
また、ホールドダウンプレート5は、側面24a、24bを形成している枠部21内の全長に渡ってハウジング2の側面と並行となるようにL字状に折曲させた補強折曲部(図示せず)を形成し、更に枠部21の回動端26側にも同様に補強折曲部(図示せず)を形成し、枠部21の内部にL字状のハウジング補強部を形成することで、ハウジングは更に補強される。尚、ホールドダウンプレート5は、少なくとも枠部21の回動軸孔25間に両側に設けた補強孔52相互を連結するように枠形状に金属プレートを設ければ、メタルプレート3を回動させた際に、回動軸孔25部分を上方へ引っ張るような力が働いても、ハウジング2はホールドダウンプレート5によって補強されているので容易に変形せず、メタルプレート3の回動突部34が回動軸孔25から離脱してしまうという問題を解消できる。
【0029】
メモリーカード用コネクタ1は、上記実施例ではコンタクト4及びホールドダウンプレート5をハウジング2と一体成形してハウジング2に固定したが、ハウジング2への係止部を設けてハウジング2へ嵌合固定するように形成しても良い。
【0030】
上記のように形成するメモリーカード用コネクタ1は、メタルプレート3の回動突部34がハウジング2に設ける回動軸孔25の第2孔25bに位置する状態で回動させ、スペース23側を大きく開放し、ハウジング2の上面2aを露呈させて該上面2aにメモリーカードMCを載置する。この時、メモリーカードMCの接点部(図示せず)はコンタクト4の接続端子部43に位置するようにハウジング2の段差部22が上面2aにメモリーカードMCの位置決めを行っている。
所定位置にメモリーカードMCを載置したところで、メモリーカードMCとコンタクト4とを良好な電気的接続を完了させるため、メモリーカードMCを上方からコンタクト4側へ押圧すべくメタルプレート3を閉状態となるように回動させる。この時、メタルプレート3の回動突部34は回動軸孔25の第2孔25b内に位置しているので回動可能である。
【0031】
メタルプレート3を回動させてハウジング2上面を被覆するようにすると、回動突部34の長径方向が第1孔25aの長径方向と一致し回動突部34の短径方向が第1孔25aの短径方向と一致するので、回動突部34が第1孔25a内へ入り込むことが可能な位置となっている。
また、回動突部34が回動軸孔25の第2孔25bに位置しているときにはメタルプレート3に設けた溝部36は、ハウジング2の側面24a、24bに位置しているホールドダウンプレート5のプレート固定部53に位置しており、ハウジング2上面2aを被覆したときにプレート固定部53が溝部36に入り込む。
この状態で、メタルプレート3をハウジング2の上面2aに沿ってスペース23側へ摺動移動させる。この時、回動突部34は短径方向及び長径方向が第1孔25aの短径方向及び長径方向と一致しているので、摺動可能な状態となっている。
【0032】
回動突部34が第1孔25a内に入り込むと、メタルプレート3の溝部36も移動するので、やがてホールドダウンプレート5のプレート固定部53がメタルプレート3のプレート側部32を押し上げるようにして下側(プレート側部32のハウジング側面24a側)に入り込み、更に摺動が進むことでホールドダウンプレート5のプレート固定部53が係止接続孔35に入り込むこととなる。この時、プレート固定部53と接続端子部43との接続は、プレート固定部53がメタルプレート3のプレート側部32の若干の撓みによるばね力により押圧接続されて電気的にも良好な接続がなされる。勿論、メタルプレート3が容易にスライドして回動突部34が回動軸孔25の第2孔25b側へ移動しないように物理的にも係止される。
そして、メタルプレート3は、ホールドダウンプレート5のプレート固定部53と電気的に接続されているので、メモリーカードMCとコンタクト4との情報の授受に際し良好なシールド効果を発揮することが可能となる。
【0033】
メモリーカードMCを取り除くときには、メタルプレート3を回動端26側へスライドさせてプレート固定部53が溝部36に位置するようにしてプレート固定部53と係止接続孔35との接続を解除させる。この時、回動突部34が回動軸孔25の第2孔25bに入り込むので、メタルプレート3が回動自在な状態となる。
そこで、メタルプレート3の回動軸形成腕部33と反対側である自由端側を上面2aから遠ざかるよう回動させて開状態とする。この時、作業者が力を入れすぎて回動されても、ホールドダウンプレート5が回動軸孔25周囲部を補強すると共に左右の回動軸孔25間に渡って連結して補強されていない従来例では、図5に表すように、A部が撓みハウジング2の両回動軸孔25間が歪んでしまい回動突部34が回動軸孔25から離脱してしまうという問題が生じた。しかしながらこの実施例では、ホールドダウンプレート5が回動軸孔25周囲部を補強すると共に左右の回動軸孔25間に渡って連結されており、ハウジング2を補強しているので、図5によるような撓みは発生せず、メタルプレート3がハウジング2から離脱してしまうというような問題が発生することは少ない。
【0034】
尚、回動突部34が回動軸孔25の第1孔25a内に入り込んでメモリーカードMCをハウジング2との間に収納した状態では、メタルプレート3のプレート本体31がメモリーカードMCをハウジング2側へ押圧するので、コンタクト4の接続端子部43とメモリーカードMCの接点部(図示せず)とが良好な接触圧をもって電気的に接続可能となっているが、このような構造も従来と同じであり、プレート本体31の一部をコ字状に切欠してハウジング2側へ折り曲げ、プレート本体31を形成する金属板の有するばね力を持ってメモリーカードMCをハウジング2側へ押圧する等他の方法によっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、メタルプレートの開閉動作によってメモリーカードの着脱を行うメモリーカード用コネクタに実施可能であり、特に機械的強度の得難い小型のメモリーカード用コネクタに実施することでより効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の実施例を説明する図であり(a)は閉状態としたときの斜視説明図(b)は開状態にしたときの斜視説明図、(c)は下方からの斜視説明図
【図2】部品の配置を表す斜視説明図
【図3】この発明の実施例の部品を表す斜視説明図
【図4】この発明の実施例の部品を表し(a)は平面説明図、(b)は側面説明図、(c)は正面説明図、(d)は底面説明図、(e)は(a)の中央縦断面説明図
【図5】従来例の撓みの状態を表す断面説明図
【図6】従来例を表す説明図
【図7】従来例を表す説明図
【符号の説明】
【0037】
1 メモリーカード用コネクタ
2 ハウジング
2a 上面
2b 下面
21 枠部
22 段差部
23 スペース
24a 側面
24b 側面
25 回動軸孔
25a 第1孔
25b 第2孔
26 回動端
27 縁部
3 メタルプレート
31 プレート本体
32 プレート側部
33 回動軸形成腕部
34 回動突部
35 係止接続孔
36 溝部
4 コンタクト
41 中間部
42 半田固定部
43 接続端子部
5 ホールドダウンプレート
51 軸部補強プレート
52 補強孔
53 プレート固定部
54 ホールドダウン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト(4)の接続端子部(43)を露出させて成形した合成樹脂製のハウジング(2)と、
ハウジング(2)の一端部に設けた回動軸孔(25)で回動自在に支持され、ハウジング(2)と共にメモリーカードを収納する金属プレート(3)とからなり、
接続端子部(43)にメモリーカードの接点部が当接するようにメモリーカードを載置し、金属プレート(3)をハウジング(2)に向けて回転させ閉蓋することでメモリーカードの接続部と接続端子部(43)とが電気的に接続されるメモリーカード用コネクタ(1)において、
金属プレート(3)の一対の回動軸形成腕部(33)に相互に対向するよう突出させて楕円形状又は長円形状の回動軸突部(34)を形成し、
前記回動軸孔(25)は、前記回動軸突部(34)の短径幅とほぼ同じ幅の第1孔(25a)及び長径幅からなる第2孔(25b)を有する長孔であり、
回動軸突部(34)は、第1孔(25a)内で回動を阻害されて回動出来ず、第2孔(25b)内では回動自在であり、第1孔(25a)及び第2孔(25b)間を摺動移動可能であり、第1孔(25a)に位置したときにハウジング(2)を被覆するよう閉蓋状態を取ることを特徴とするメモリーカード用コネクタ。
【請求項2】
コンタクト(4)の接続端子部(43)を露出させ、プリント基板固着用のホールドダウンプレート(5)の一部を埋設して成形した合成樹脂製のハウジング(2)と、
ハウジング(2)の一端部に設けた回動軸孔(25)で回動自在に支持され、ハウジング(2)と共にメモリーカードを収納する金属プレート(3)とからなり、
接続端子部(43)にメモリーカードの接点部が当接するようにメモリーカードを載置し、金属プレート(3)をハウジング(2)に向けて回転させ閉蓋することでメモリーカードの接続部と接続端子部(43)とが電気的に接続されるメモリーカード用コネクタ(1)において、
金属プレート(3)の一対の回動軸形成腕部(33)に相互に対向するよう突出させて楕円形状又は長円形状の回動軸突部(34)を形成し、
前記回動軸孔(25)は、前記回動軸突部(34)の短径幅とほぼ同じ幅の第1孔(25a)及び長径幅からなる第2孔(25b)を有する長孔であり、
ホールドダウンプレート(5)は、ハウジング(2)幅に渡り連接され、回動軸孔(25)を穿設した端部で回動軸孔(25)周囲部を補強するよう折曲されて軸部補強プレート(51)を形成し、中間部がハウジング(2)を補強するよう一体的に形成し、
回動軸突部(34)は、第1孔(25a)内で回動を阻害されて回動出来ず、第2孔(25b)内では回動自在であり、第1孔(25a)及び第2孔(25b)間を摺動移動可能であり、第1孔(25a)に位置したときにハウジング(2)を被覆するよう閉蓋状態を取ることを特徴とするメモリーカード用コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−102971(P2010−102971A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273707(P2008−273707)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】