説明

メモリーカード用コネクタ

【課題】2種類の大きさのメモリーカードを同時に接続可能とするメモリーカード用コネクタで、プリント配線基板上へ実装する実装面積を拡大させずに、低背化させたメモリーカード用コネクタを提供する。
【解決手段】第2コンタクト4の第2接触部4aが突出する第2カード収容凹部6の接続領域9を、第1カード収容凹部7に収容される第1メモリーカード50の鉛直方向のハウジング本体2の部位に形成し、第2カード収容凹部6を、第2カード収容凹部6に収容される第2メモリーカード60と、第1コンタクト3の第1接触部3aが突出する接続領域8とが鉛直方向で重ならないハウジング本体2の部位に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、デジタルカメラ等の携帯電子機器に搭載されるメモリーカード用コネクタに関し、特に、2種類の大きさのメモリーカードと同時に接続するメモリーカード用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、ゲーム機、デジタルカメラ等の携帯電子機器には、使用者の個人情報等が記憶された情報管理用のメモリーカードと、カメラで撮像した画像などの種々の情報を記憶する記録用のメモリーカードとを接続することが要望され、携帯電子機器に搭載するコネクタとして、2種類のメモリーカードをそれぞれ同時に接続可能なメモリーカード用コネクタが知られている。
【0003】
このメモリーカード用コネクタは、2種類のメモリーカードを挿入するために、それぞれ独立した2種類のカード収容凹部がハウジング本体に形成されるが、コネクタを実装するプリント配線基板側の実装面積を拡大することなく、また、小型化が望まれる携帯電子機器内内に搭載されるものであることから、従来、2種類のカード収容凹部は、ハウジング本体のプリント配線基板の実装面に直交する鉛直方向の2段に分けて重ねて形成されている(特許文献1)。
【0004】
図7の左側の図及び図9乃至図12は、この従来のメモリーカード用コネクタ100を示し、情報管理用のメモリーカードである図13(a)に示すSIM(Subscriber Identity Module)カード50と、記録用のメモリーカードである同図(b)に示すMicroSD(Secure Digital)カード60とが同時に接続可能となっている。
【0005】
メモリーカード用コネクタ100のハウジング本体は、絶縁プレート101と、絶縁プレート101の表面側に平行に取り付けられる第1カバー102及び第2カバー103とにより構成され、図8に示すように、絶縁プレート101の表面と第1カバー102との間に、前方から挿入するSIMカード50を収容する第1カード収容凹部104が、第1カバー102の側方で、絶縁プレート101の表面と第2カバー103との間に、図中左方から挿入するMicroSDカード60を収容する第2カード収容凹部105がそれぞれ鉛直方向の2段に形成されている。
【0006】
絶縁プレート101には、自由端側の第1接触部106aが第1カード収容凹部104内に突出する8本のL字コンタクト106と、自由端側の第2接触部107aが第2カード収容凹部105内に突出する8本の細長帯状コンタクト107が一体に片持ち支持され、それぞれ第1カード収容凹部104に収容されるSIMカード50の6個の電極51と、第2カード収容凹部105に収容されるMicroSDカード60の8個の電極61に弾性接触するようにしている。
【0007】
MicroSDカード60の8個の電極61は、図13(b)に示すように、その一面の一辺に沿って直線上に露出し、8本の細長帯状コンタクト107は、その長手方向に沿って折り曲げ形成することにより、互いのコンタクト107間が接触することなく、絶縁プレート101との固定端から第2接触部107aまで充分なバネスパンを得て、電極61に弾性接触する。
【0008】
一方、SIMカード50の一面に露出する6個の電極51は、1列3個毎の2列で平面状に分散して露出しているので、絶縁プレート101に固定される固定端から前方(カード挿入方向)に片持ち支持されるL字コンタクト106は、互いのコンタクト106間が接触しないように、図11に示すように、第1接触部106aをSIMカード50の挿入方向に直交する方向から支持して、電極51へ弾性接触させている。その結果、L字コンタクト106の第1接触部106aには、支持方向に対して直交する方向にSIMカード50の挿入力が加わるので、カード挿入方向の力によるL字コンタクト106の変形を防止するとともに、第1接触部106aを鉛直方向に撓ませ、SIMカード50の電極51へ弾性接触させるため、各第1接触部106aには、図12に示すように、カード挿入方向に対して上方に傾斜する傾斜面106bが形成されている。
【0009】
このように構成されたメモリーカード用コネクタ100は、図10に示すように、下段側の第1カード収容凹部104に前方からSIMカード50を収容すると、その背面に平面上に分散して露出する6個の電極51に、対応部位に突出する8本のL字コンタクト106の各第1接触部106aが弾性接触する。また、SIMカード50が収容された第1カード収容凹部104の上段の第2カード収容凹部105へ、第1カバー102の表面に沿って図中左方からMicroSDカード60を収容すると、その背面に直線上に露出する8個の電極61が、対応部位に突出する8本の細長帯状コンタクト107の各第2接触部107aが弾性接触する。これにより、メモリーカード用コネクタ100の鉛直方向の外形は、SIMカード50の外形よりわずかに大きいだけのものとなり、プリント配線基板110上へ実装する実装面積を拡大せず、2種類のメモリーカード50、60を同時に接続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−173943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記メモリーカード用コネクタ100に備えられる各L字コンタクト106の第1接触部106aは、平面上に分散して露出するSIMカード50の各電極51に弾性接触し、かつ、互いに接触せずに絶縁プレート101から引き出す必要があることから、SIMカード50の挿入方向に直交する方向から支持して、傾斜面106bに沿って挿入するSIMカード50を当接させている。従って、L字コンタクト106の第1接触部106aに、SIMカード50が当接している間に、所定の接触圧を得るための鉛直方向の変位δを生じさせる傾斜面106bを形成する必要があり、また、第1接触部106aは、曲げ応力に加えて捩り応力が加わる第1接触部106aの塑性変形を防止する為に、高さがδ以上の大型形状となっていた。
【0012】
このため、絶縁プレート101には、SIMカード50を第1カード収容凹部104へ収容した際に、第1接触部106aが退避するために充分な、少なくともδより長い所定高さhの退避スペース108を形成する必要があり、このことが、上下2段の収容凹部104、105に収容されるSIMカード50とMicroSDカード60の高さを加えたメモリーカード用コネクタ100全体の低背化の障害となっていた。
【0013】
また、図9に示すように、細長帯状コンタクト107の第2接触部107aが突出する第2カード収容凹部105を、第2カード収容凹部105から退避する第2接触部107aがSIMカード50と干渉しないように、第1カード収容凹部104の側方に形成していて、その分、鉛直方向の外形も拡大し、プリント配線基板110への実装面積が増加するものとなった。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、2種類の大きさのメモリーカードを同時に接続可能とするメモリーカード用コネクタで、プリント配線基板上へ実装する実装面積を拡大させずに、更に低背化させたメモリーカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するため、請求項1のメモリーカード用コネクタは、第1メモリーカードを収容する第1カード収容凹部と、第1メモリーカードより小型の第2メモリーカードを収容する第2カード収容凹部とが、互いに平行に鉛直方向の2段に分けて形成されたハウジング本体と、前記ハウジング本体に片持ち支持され、第1メモリーカードの一面に平面状に分散して露出する複数の第1電極にそれぞれ弾性接触するように、自由端側の第1接触部が第1カード収容凹部内に突出する複数の第1コンタクトと、前記ハウジング本体に支持され、第2メモリーカードに直線状に露出する複数の第2電極にそれぞれ接触するように、第2接触部が第2カード収容凹部内に突出する複数の第2コンタクトとを備えたメモリーカード用コネクタであって、
第2コンタクトの第2接触部が突出する第2カード収容凹部の接続領域は、第1カード収容凹部に収容される第1メモリーカードの鉛直方向のハウジング本体の部位に形成されるとともに、第2カード収容凹部は、第2カード収容凹部に収容される第2メモリーカードと、第1コンタクトの第1接触部が突出する第1カード収容凹部の接続領域とが鉛直方向で重ならないハウジング本体の部位に形成されていることを特徴とする。
【0016】
第2コンタクトの第2接触部が突出する第2カード収容凹部の接続領域を、第1カード収容凹部に収容される第1メモリーカードの鉛直方向のハウジング本体の部位に形成するので、鉛直方向の投影面積が拡大しない。
【0017】
第2メモリーカードは第1メモリーカードより小型であるので、第2カード収容凹部に収容される第2メモリーカードと、第1コンタクトの第1接触部が突出する第1カード収容凹部の接続領域とが鉛直方向で重ならないハウジング本体の部位に第2カード収容凹部が形成でき、第1接触部が退避しても第2メモリーカードと干渉しない。
【0018】
また、直線上に露出する第2メモリーカードの複数の第2電極に対してそれぞれ接触する第2コンタクトは、細長帯状の長手方向に沿って折り曲げることにより互いに接触することなく充分に長いバネスパンが得られ、第2接触部に第2電極に向けた凸部を形成する必要がない。従って、第2接触部が退避する退避スペースの高さは、細長帯状の厚さ分で充分であり、第1接触部が退避するハウジング本体の厚み内に、第2接触部が退避する退避スペースと第2メモリーカードを収容する第2メモリーカード収容凹部の少なくとも一部を形成できる。
【0019】
請求項2のメモリーカード用コネクタは、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトは、第1接触部と第2接触部が、鉛直方向の一面と他面から互いに反対方向に突出して、一枚の絶縁プレートに片持ち支持され、第1接触部が突出する前記絶縁プレートの一面と、前記絶縁プレートに取り付けられた第1カバーとの間に第1カード収容凹部が形成され、第2接触部が突出する前記絶縁プレートの他面と、前記絶縁プレートに取り付けられた第2カバーとの間に第2カード収容凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
同一の絶縁プレートに複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトを片持ち支持するので、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとを絶縁プレートの成型の際にインサート成形し、一工程で第1コンタクトと第2コンタクトが片持ち支持された絶縁プレートを形成できる。
【0021】
第1カード収容凹部と第2カード収容凹部は、絶縁プレートの一面側と他面側に分かれて形成されるので、第1メモリーカードと第2メモリーカードが互いに干渉されることなく、同時に接続でき、第1接触部が退避する絶縁プレートの厚み内に、第2接触部が退避する退避スペースと第2メモリーカードを収容する第2メモリーカード収容凹部の少なくとも一部を形成できる。
【0022】
請求項3のメモリーカード用コネクタは、第1メモリーカードがSIMカードであり、第2メモリーカードがmicroSDカードであることを特徴とする。
【0023】
microSDカードは、SIMカードより小型であり、複数の第2電極は直線状に露出するので、第2電極に第2コンタクトの第2接触部が接触する接続領域を、第1カード収容凹部に収容されるSIMカードの鉛直方向のハウジング本体の部位に形成することができるとともに、第2カード収容凹部を、第2カード収容凹部に収容されるmicroSDカードと、SIMカードの第1電極に第1コンタクトの第1接触部が突出する接続領域とが鉛直方向で重ならないハウジング本体の部位に形成できる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、第2カード収容凹部の接続領域を、第1カード収容凹部に収容される第1メモリーカードの鉛直方向投影面内に形成するので、鉛直方向をプリント配線基板への実装面とする実装面積が拡大しない。
【0025】
また、第1接触部が退避しても第2メモリーカードと干渉することなく、第1接触部を退避させるハウジング本体の厚み内に、第2接触部が退避する退避スペースと第2メモリーカードを収容する第2メモリーカード収容凹部の少なくとも一部を形成できるので、全体を低背化させ小型化できる。
【0026】
請求項2の発明によれば、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとを、絶縁プレートの成型の際にインサート成形することにより、絶縁プレートの成型工程で同時に複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとを絶縁プレートに片持ち支持できる。このインサート成形の成型工程で、第1コンタクトの第1接触部が突出する第1カード収容凹部の接続領域と、第2コンタクトの第2接触部が突出する第2カード収容凹部の接続領域は、鉛直方向で重ならないので、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとを、鉛直方向で重ならない部位で片持ち支持することにより、スライド金型を用いない簡易構造の金型で、一枚の絶縁プレートに第1コンタクトと第2コンタクトを一体成形できる。
【0027】
請求項3の発明によれば、低背化させたメモリーカード用コネクタへ、情報管理用のSIMカードと記録用のmicroSDカードとを同時に接続できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1へ、SIMカード50とmicroSDカード60を接続した状態を示す斜視図である。
【図2】金属カバー5の斜視図である。
【図3】6本のL字コンタクト3と8本の細長帯状コンタクト4が片持ち支持された絶縁プレート2の斜視図である。
【図4】絶縁プレート2に取り付けられるL字コンタクト3と細長帯状コンタクト4の配置位置を示す平面図である。
【図5】金属カバー5の図示を省略したメモリーカード用コネクタ1へ、microSDカード60を接続した状態を示す斜視図である。
【図6】SIMカード50の挿入方向に直交する方向に沿って切断したメモリーカード用コネクタ1の縦断面図である。
【図7】本発明に係るメモリーカード用コネクタ1と従来のメモリーカード用コネクタ100の大きさを比較した模式図である。
【図8】他の実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ20の縦断面図である。
【図9】SIMカード50の挿入方向に直交する方向で切断した従来のメモリーカード用コネクタ100の縦断面図である。
【図10】従来のメモリーカード用コネクタ100へ、SIMカード50とmicroSDカード60を接続した状態を示す斜視図である。
【図11】従来のメモリーカード用コネクタ100の斜視図である。
【図12】SIMカード50の挿入方向に沿って切断したメモリーカード用コネクタ100の要部縦断面図である。
【図13】2種類のメモリーカードを示し、(a)は、SIMカード50、(b)は、microSDカード60の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1を、図1乃至図7を用いて説明する。このメモリーカード用コネクタ100に挿入して接続する2種類のメモリーカードは、前述した従来のメモリーカード用コネクタ1に接続する同一のSIMカード50とmicroSDカード60であるので、同一番号を付してメモリーカード用コネクタ1の説明に用いる。また、メモリーカード用コネクタ1の各部は、図4において、下方、上方を前方及び後方と、左右方向を左右方向と、図4の紙面に直交する奥行き方向を下方と、同手前方向を上方として説明する。
【0030】
メモリーカード用コネクタ1は、絶縁プレート2と、絶縁プレート2にそれぞれ片持ち支持された6本のL字コンタクト3及び8本の細長帯状コンタクト4と、一対のスイッチコンタクト10と、絶縁プレート2の周囲を覆う金属カバー5とからなっている。
【0031】
絶縁プレート2は、絶縁プラスチックにより外形が長方形薄板状に形成され、その上面に、MicroSDカード60の側面を囲う上枠部2aと、下面に、SIMカード50の側面を囲う下枠部2bとが、それぞれ前方側を開口させたコの字状に一体に形成されている。メモリーカード用コネクタ1のハウジング本体は、このように形成された絶縁プレート2と、長方形薄板状の絶縁プレート2の前面と後面を除く周囲を覆うように、図2に示す角筒状に折り曲げ形成された金属カバー5とから構成される。
【0032】
金属カバー5は、絶縁プレート2の前方から装着され、前面に沿って折り曲げられたストッパー片5aが絶縁プレート2の前面に当接する位置で、左右の側面から内側に切り起こされた切り起こし片5bが絶縁プレート2の両側面の凹溝に嵌入して、絶縁プレート2に固定される。金属カバー5を絶縁プレート2に固定することにより、上枠部2aで囲われる絶縁プレート2の上面と金属カバー5との間にMicroSDカード60を収容する上カード収容凹部6が、下枠部2bで囲われる絶縁プレート2の下面と金属カバー5との間にSIMカード50を収容する下カード収容凹部7が、絶縁プレート2を介した上下二段に形成される。
【0033】
6本の各L字コンタクト3は、図4に示すように、幅広で下面が突曲面となった凸面接触部3aと、凸面接触部3aの左側に連結し、後方L字状に屈曲する支持部3bと、支持部3bから絶縁プレート2の後方に引き出され、プリント配線基板110のパターンに接続する脚部3cと、凸面接触部3aの右側に接続する位置決め片3dとが、ここでは、りん青銅からなる導電性薄肉金属板を鉛直方向に打ち抜いて形成される。支持部3b、脚部3c、位置決め片3dは、同一の細幅帯状に打ち抜いて形成され、凸面接触部3aは、幅広に打ち抜いた帯状部分の中央を下方に向けて打ち出し、所定の接触圧を得るために高さをδ以上とした下方に突出する凸面接触部3aが形成される。
【0034】
図3に示すように、絶縁プレート2の上カード収容凹部6を避けた左側には、前後方向に沿って長方形の輪郭の第1コンタクト収容孔2cが2列に分けて形成され、インサート成形により、互いに絶縁して絶縁プレート2に片持ち支持される6本の各L字コンタクト3は、3本毎に各第1コンタクト収容孔2cに支持部3bの中間が右方に突出するように片持ち支持される。
【0035】
片持ち支持される支持部3bとその自由端側の凸面接触部3aは、固定端から下方に傾斜するようにプレストレスが付与され、凸面接触部3aが第1コンタクト収容孔2cの下方で下カード収容凹部7内に突出した状態で、先端の位置決め片3dが第1コンタクト収容孔2cの周縁に当接し、位置決めされる。凸面接触部3aの前方下面側は、後方に向かって下方に傾斜する傾斜面となり、後方に向かって挿入されるSIMカード50が凸面接触部3a当接すると、支持部3bがδ撓み、上方の第1コンタクト収容孔2c内に退避する。従って、絶縁プレート2の厚みに相当する第1コンタクト収容孔2cの高さは、少なくとも撓み量δより高いhとなっている。
【0036】
6本の各L字コンタクト3の各凸面接触部3aは、SIMカード50の6個の電極51の露出位置に対応する下カード収容凹部7内に突出させたものであり、図13(a)に示すSIMカード50の上面の左側で3行2列のマトリックス状に分散して露出する6個の電極51の露出位置と、下カード収容凹部7内に各凸面接触部3aが突出するSIM接続領域8が個々に対応している。各凸面接触部3aのSIM接続領域8が平面上に分散するL字コンタクト3は、同一方向の後方に引き出されるが、支持部3bをL字状として、凸面接触部3aをSIMカード50の挿入方向に対して直交する左右方向で支持するので、各L字コンタクト3を互いに絶縁し、鉛直方向で重ねずに、絶縁プレート2に配置できる。
【0037】
8本の細長帯状コンタクト4は、それぞれ図4に示すように、全体が細幅帯状に形成され、後方の先端に向かって上方に傾斜して支持される板バネ接触部4aと、板バネ接触部4aの前方に連結し、U字状に後方に折り返された支持部4bと、支持部4bから絶縁プレート2の後方に引き出され、プリント配線基板110のパターンに接続する脚部4cが、同様に、りん青銅からなる導電性薄肉金属板を鉛直方向に打ち抜いて形成される。
【0038】
8本の細長帯状コンタクト4は、L字コンタクト3とともに絶縁プレート2にインサート成形され、図3に示すように、絶縁プレート2に片持ち支持されるもので、上枠部2aで囲われる絶縁プレート2の上面に横長長方形の輪郭で形成される第2コンタクト収容孔2dの前縁で支持部4bを片持ち支持し、その先端側に連結する板バネ接触部4aを後方に向かって上方に傾斜させて、上カード収容凹部6内に突出させている。
【0039】
8本の細長帯状コンタクト4の各板バネ接触部4aは、直線上に露出するMicroSDカード60の8個の電極61の露出位置に対応する上カード収容凹部6内に突出させたものであり、図13(b)に示すMicroSDカード60の下面の一辺に沿って直線状に露出する8個の電極61の露出位置と、上カード収容凹部6内に各板バネ接触部4aが突出するSD接続領域9が個々に対応している。これにより、SD接続領域9において、上カード収容凹部6に挿入されるMicroSDカード60の各電極61に8本の細長帯状コンタクト4の各板バネ接触部4aが弾性接触する。
【0040】
絶縁プレート2に一体成形される6本の各L字コンタクト3及び8本の細長帯状コンタクト4は、それぞれの脚部3c、4cを絶縁プレート2の後端面の異なる位置へ引き出しているが、図4に示すように、鉛直方向で互いに重なる箇所がないように各コンタクト3、4を配列しているので、鉛直方向に分割する金型のみでインサート成形が可能となり、複雑構造の金型を用いずに一体成形できる。
【0041】
尚、上カード収容凹部6へMicroSDカード60が挿入されたことを検知する為の一対の板バネ片からなるスイッチコンタクト10は、上記L字コンタクト3及び細長帯状コンタクト4をインサート成形した絶縁プレート2に対して、図示する位置へ圧入して取り付けている。
【0042】
このように構成されたメモリーカード用コネクタ1に、図1に示すように、SIMカード50を前方から下カード収容凹部7へ挿入すると、SIM接続領域8において、下カード収容凹部7内に突出する6本のL字コンタクト3の各凸面接触部3aの傾斜面にSIMカード50が当接し、支持部3bが上方に撓むことにより、各凸面接触部3aは、第1コンタクト収容孔2c内に退避しながら、SIMカード50の対応する各電極51に弾性接触する。
【0043】
また、SIMカード50を挿入して接続したメモリーカード用コネクタ1の上カード収容凹部6に、更に、MicroSDカード60を前方から挿入すると、SD接続領域9において、上カード収容凹部6内で後方に向かって上方に傾斜する8本の細長帯状コンタクト4の各板バネ接触部4aにMicroSDカード60が当接し、各板バネ接触部4aは、第2コンタクト収容孔2d内の下方に撓みながら、MicroSDカード60の対応する各電極61に弾性接触する。これにより、同一方向から挿入されるSIMカード50及びMicroSDカード60は、上下の2段に分けて収容され、各カード50、60の電極51、61が対応するコンタクト3、4に電気接続する。
【0044】
上述の実施の形態によれば、SIMカード50を挿入する下カード収容凹部7の鉛直方向領域内に、MicroSDカード60を挿入する上カード収容凹部6を形成し、SD接続領域9を下カード収容凹部7に収容されるSIMカード50の鉛直方向領域内に形成するので、2種類のメモリーカード50、60をそれぞれ同時に接続可能なメモリーカード用コネクタ1であっても、SIMカード50の外形よりわずかに大きいだけであり、鉛直方向に実装するプリント配線基板110上の実装面積が拡大しない。
【0045】
また、L字コンタクト3の凸面接触部3aは、所定の高さδ以上の高さで突状に形成され、SIMカード50が挿入されている間にこの凸面接触部3aを退避させる第1コンタクト収容孔2cの高さは、少なくともδ以上のhの高さとなっているが、上カード収容凹部6が、凸面接触部3aが突出するSIM接続領域8と鉛直方向で重ならない絶縁プレート2の部位に形成されているので、凸面接触部3aが第1コンタクト収容孔2c内に退避しても上カード収容凹部6に収容されるMicroSDカード60と干渉しない。
【0046】
図7は、上述した従来のメモリーカード用コネクタ100と本実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1の外形を比較して示すものであり、従来のメモリーカード用コネクタ100が、細長帯状コンタクト107の第2接触部107aが突出する第2カード収容凹部105が、第1カード収容凹部104の側方に形成されているのに対し、本実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1では、細長帯状コンタクト4の板バネ接触部4aが突出する上カード収容凹部6は、下カード収容凹部7の鉛直方向領域内に形成されているので、鉛直方向投影面積が拡大しない。
【0047】
また、従来のメモリーカード用コネクタ100の実装基板面からの高さは、MicroSDカード60を収容する上カード収容凹部6を形成する金属カバー5の厚みd1、上カード収容凹部6の高さd2、SIMカード50を収容する下カード収容凹部7を形成する金属カバー5の厚みd3、下カード収容凹部7の高さd4、凸面接触部3aを退避させる第1コンタクト収容孔2cの高さに等しい絶縁プレート2の厚みd5の和となっている。
【0048】
一方、本実施の形態に係るメモリーカード用コネクタ1では、MicroSDカード60を収容する上カード収容凹部6を、凸面接触部3aを退避させる第1コンタクト収容孔2cの高さに等しい絶縁プレート2の厚み内に形成するので、実装基板面からの高さは、上カード収容凹部6を形成する金属カバー5の厚みd1、凸面接触部3aを退避させる絶縁プレート2の厚みd5、下カード収容凹部7の高さd4、下カード収容凹部7を形成する金属カバー5の厚みd3との和となり、上カード収容凹部6の高さd2分が低背化される。尚、図7から明らかなように、メモリーカード用コネクタ1を実装するプリント配線基板110の実装面で下カード収容凹部7の一面を覆うことができれば、本実施の形態で下カード収容凹部7の下面を覆う金属カバー5が不要となり、更に低背化が可能となる。
【0049】
上述の実施の形態では、絶縁ハウジングの上方に、MicroSDカード60を収容する上カード収容凹部6を、下方にSIMカード50を収容する下カード収容凹部7を形成しているが、上下2段に分けた収容凹部は、対応構成を同一番号で付して示す図8のメモリーカード用コネクタ20のように、上下逆であってもよい。
【0050】
また、細長帯状コンタクト4は、上カード収容凹部6内に板バネ接触部4aを突出させるものであれば、絶縁プレート2側で片持ち支持せず、上カード収容凹部6を囲う金属カバー5を絶縁カバーで形成し、この絶縁カバー側で支持してもよい。
【0051】
更に、2種類のメモリーカードは、上述のSIMカード50及びMicroSDカード60に限らず、他方のメモリーカードに比較して、大型のメモリーカードの電極が、2次元平面に分散して露出するメモリーカードであれば、他の種類であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、2種類の大きさのメモリーカードと同時に接続するメモリーカード用コネクタに適している。
【符号の説明】
【0053】
1 メモリーカード用コネクタ
2 絶縁プレート(ハウジング本体)
3 L字コンタクト(第1コンタクト)
3a 凸面接触部(第1接触部)
4 細長帯状コンタクト(第2コンタクト)
4a 板バネ接触部(第2接触部)
5 金属カバー(ハウジング本体)
6 上カード収容凹部(第2カード収容凹部)
7 下カード収容凹部(第1カード収容凹部)
8 SIM接続領域(第1カード収容凹部の接続領域)
9 SD接続領域(第2カード収容凹部の接続領域)
50 SIMカード(第1メモリーカード)
51 第1電極
60 SDカード(第2メモリーカード)
61 第2電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メモリーカードを収容する第1カード収容凹部と、第1メモリーカードより小型の第2メモリーカードを収容する第2カード収容凹部とが、互いに平行に鉛直方向の2段に分けて形成されたハウジング本体と、
前記ハウジング本体に片持ち支持され、第1メモリーカードの一面に平面状に分散して露出する複数の第1電極にそれぞれ弾性接触するように、自由端側の第1接触部が第1カード収容凹部内に突出する複数の第1コンタクトと、
前記ハウジング本体に支持され、第2メモリーカードに直線状に露出する複数の第2電極にそれぞれ接触するように、第2接触部が第2カード収容凹部内に突出する複数の第2コンタクトとを備えたメモリーカード用コネクタであって、
第2コンタクトの第2接触部が突出する第2カード収容凹部の接続領域は、第1カード収容凹部に収容される第1メモリーカードの鉛直方向のハウジング本体の部位に形成されるとともに、
第2カード収容凹部は、第2カード収容凹部に収容される第2メモリーカードと、第1コンタクトの第1接触部が突出する第1カード収容凹部の接続領域とが鉛直方向で重ならないハウジング本体の部位に形成されていることを特徴とするメモリーカード用コネクタ。
【請求項2】
複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトは、第1接触部と第2接触部が、鉛直方向の一面と他面から互いに反対方向に突出して、一枚の絶縁プレートに片持ち支持され、
第1接触部が突出する前記絶縁プレートの一面と、前記絶縁プレートに取り付けられた第1カバーとの間に第1カード収容凹部が形成され、
第2接触部が突出する前記絶縁プレートの他面と、前記絶縁プレートに取り付けられた第2カバーとの間に第2カード収容凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメモリーカード用コネクタ。
【請求項3】
第1メモリーカードが、SIMカードであり、第2メモリーカードがmicroSDカードである請求項1又は請求項2に記載のメモリーカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−205523(P2010−205523A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48798(P2009−48798)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】