説明

メロキシカムを含む組成物のための容器

容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群の1つ以上の構成要素及び、場合により1つ以上の非ポリマー成分から選択される、安息香酸もしくは誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩及びオキシカム型COX−インヒビター又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容するプラスチック容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロキシカムを含有する組成物の貯蔵、投薬及び保存のための容器に関する。
【0002】
発明の背景
例えば注射用組成物としての医薬組成物の中には、投与の前に滅菌することを必要とするものがある。これらの医薬組成物は、滅菌条件下で製造され、貯蔵されなければならない。滅菌されるか又はされないかの化学組成物の貯蔵のための多層プラスチックポリマー容器が、WO2008/152122に開示されている。ここで開示されているボトルは、50ml〜500mlの容量を有する。安息香酸ナトリウム及びセフジニルの組成物を貯蔵し、保存するための、クロージャー装置の付いたポリエチレンナフタラート(polyethylene naphthylate)製のプラスチック容器が、WO2007/087214に開示されている。
【0003】
容器の材料が、それが医薬組成物に干渉するべきでも、組成物の品質を変化させるべきでもないという意味において、薬学的に許容されうるものであることことが、きわめて重要である。その逆(医薬組成物が容器の性質又は組成に干渉するべきでも、それらを変化させるべきでもない)もまた真でなければならない。生じうる如何なる変化も、容器の材料及び/又は医薬組成物からの、そして容器の材料及び/又は医薬組成物への、化学物質の移動を招きうる。溶液と混ざり得る、容器の材料に由来する如何なる化学物質も、組成物を分解することによって溶液に影響し得るか又はその他の如何なる点においても許容されない、溶液内の不純物となる。分解はまた、酸素、光及び/又は温度の作用下でも、時間ともに生じうる。容器及び/又は溶液が、例えば放射線照射により滅菌されている場合、これがまた次にいずれかの材料の分解をも招き得る。有効成分の安定性といった医薬組成物の化学特性は、如何なる相互作用によっても時間ともに変化する可能性があり、それにより、製剤の有効期間を短縮し得る。避けるべきもう1つの相互作用は、溶液内の如何なる成分、とりわけ安息香酸ナトリウムのボトルの材料への吸着である。
【0004】
メロキシカムを含む医薬組成物は、例えば、疼痛、術後の疼痛、炎症、発熱、下痢、跛行、運動器官の障害、呼吸症状(respiratory complaints)、骨関節炎の処置のための獣医学用に非常に頻繁に使用されている薬剤である。これは、医薬組成物をいろいろな動物種のために使用するために最適化される、様々な製剤のみならず、様々な剤形でも入手できる。
【0005】
濃度1.5mg/mlのメロキシカムの経口懸濁剤は、イヌの処置用に確立されて、10年を超た。この製剤は、特許出願WO99/49845号に明らかにされている。
【0006】
加えて、この薬剤は、ネコの処置にも適していることが見出された。イヌ及びネコの両方におけるこの製剤の受容性は格別なものであり、そのため薬剤処置のすばらしい順応性を確保している。ネコ用には、メロキシカム0.5mg/mlを有する経口懸濁剤が開発されており、これにより動物の体重に応じた正確な投薬が可能となっている。
【0007】
長期的処置のためのメロキシカム0.5mg/mlの経口懸濁剤が承認されている。この懸濁液は、懸濁液15mlが充填された高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル25mlで入手できる。1.5mg/ml及び0.5mg/mlの両懸濁液に関して、安息香酸ナトリウム含有量の経時的な減少が観察され得る。この保存剤の損失は、化学分解によってではなく、安息香酸ナトリウムのボトル壁への吸着によって説明されることが証明され得る。安息香酸ナトリウムは、保存剤として使用され、溶液の唯一の物質であり、これは保存剤として活性であり得るが、その吸着のため、製品の有効保存期間にわたって製剤が依然適切に保存されているかどうかを評価する必要がある。製剤0.15mg/mlというラベルクレームの安息香酸ナトリウム70%の含有量で、保存効果に関するヨーロッパ薬局方のすべての要件を依然満たしていることを実証し得る。製剤の潜在的有効保存期間を延長するために保存剤を増やすというこの手法は、保存剤が過敏又はアレルギー反応を招き得ることを完全に排除することができないため、望ましくない。それは動物に与えられる不要な量の保存剤となろう。
【0008】
ネコにおける急性の処置用には、最長5日間までの処置用に十分な薬剤溶液が入った小さめのボトルが必要である。メロキシカム0.5mg/mlを含む経口懸濁剤約3mlが入った容器は、これらの要件を満たすであろう。加えて、このような組成物は、小型のイヌ(体重0.5kg〜最大5kgまで)、ウサギ及びモルモットのような他のいくつかの種の処置を可能にするであろう。したがって、本発明の根底にある課題は、安息香酸もしくはその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩及びオキシカム型のCOX−インヒビター又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容し、貯蔵の間に安息香酸又はその誘導体の著しい損失を防止するプラスチック容器を提供することである。さらに、本発明の根底にある課題は、安息香酸ナトリウム及びメロキシカムを含む医薬組成物を収容し、貯蔵の間に安息香酸ナトリウムの著しい損失を防ぐプラスチック容器を提供することである。
発明の簡単な概要
【0009】
本発明は、安息香酸もしくはその誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩及びオキシカム型のCOX−インヒビター又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容し、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群の1つ以上の構成要素及び、場合により非ポリマー成分から選択されるプラスチック容器に関する。この容器は、安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を貯蔵及び/又は保存し、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタラート(PET)から構成される、すなわち、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群及び、場合により非ポリマー成分から選択される。容器はまた、医薬組成物の貯蔵及び保存のためのクロージャー装置をも含み、これを投薬装置(dispensing device)に接続することも可能である。
【0010】
安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を貯蔵、保存及び/又は投薬するためのプラスチック容器は、液体組成物の総容量2ml〜10mlとともに、3〜11mlの容量を有する。
【0011】
ボトル内に貯蔵及び保存される医薬組成物は、メロキシカムの濃度が2mg/ml〜20mg/mlであるメロキシカム含有組成物である。医薬組成物はまた、安息香酸ナトリウムを0.8mg/ml〜2.0mg/mlの濃度範囲で含む。
【0012】
驚くべきことに、本発明による容器とメロキシカム及び安息香酸ナトリウムを含む医薬組成物との組み合わせは、組成物を、18箇月にわたって、又は少なくとも18箇月間、実質的に安定に保つことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】PETボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図2】ガラスボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図3】PCボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図4】PPボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図5】HDPEボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図6】LDPEボトル − 貯蔵時間にわたる安息香酸ナトリウム含有量
【図7】25℃/相対湿度60%での貯蔵 − PP、HDPE及びガラス製ボトルに関するメロキシカム含有量(TW=薄壁HDPEボトル)
【図8】一体型アダプターを有するドロッパー
【図9】ボトル − プラグイン装置−経口/投薬シリンジ
【図10】経口/投薬シリンジ
【0014】
本発明の詳細な説明
本発明は、安息香酸、その誘導体もしくは薬学的に許容される塩及びオキシカム又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容するプラスチック容器であって、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタラート(PET)であることを特徴とするプラスチック容器に関する。プラスチック容器は、PP又はPETのようなプラスチック/ポリマーと、場合により1つ以上、好ましくは1つ又は2つ、最も好ましくは1つの非ポリマー成分とを含有する容器材料から作られている。さらに、本発明は、安息香酸、その誘導体又は薬学的に許容される塩及びオキシカム型のCOX−インヒビター又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容し、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群の1つ以上の構成要素、好ましくは1つの構成要素及び、場合により1つ以上の非ポリマー成分から選択される、プラスチック容器に関する。本発明はまた、安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容し、容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群の1つ以上の構成要素、好ましくは1つの構成要素及び、場合により1つ以上の非ポリマー成分から選択されるプラスチック容器に関する。容器は、医薬組成物の貯蔵及び保存用のクロージャー装置を備える。容器は、18箇月間又は少なくとも18箇月間、該組成物の安定な保存を可能にする。明細書全体を通して、用語ポリプロピレン(PP)は、ホモポリマー、1つ以上のコポリマー又はそれらの組み合わせ、とりわけランダムコポリマーを意味する。明細書全体を通して、用語ポリエチレンテレフタラート(PET)は、ホモポリマー、1つ以上のコポリマー又はそれらの組み合わせ、とりわけランダムコポリマーを意味する。
【0015】
例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、又はあらゆるその他のポリオレフィンのような非常に多様なポリマー製材料が、医薬組成物を収容する容器又は梱包用に一般に使用されている。高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリカーボナート(PC)又はガラスのような様々なポリマーからできている様々な種類の容器は、本発明における使用に適切ではない。本発明による材料(ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタラート(PET))のみが使用可能であり、本発明の目的を満たす。Purell RP270G white (Basell)、RB845MO (Borealis)、PPM R021 (Total Atofina)のような(但し、これらに限定されない)様々な種類のPPは、意図した目的に適する。驚くべきことに、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタラート、しかし特にポリプロピレンが、溶液からボトル壁への保存剤の吸着を一切生じず、そのために溶液の安定性の増大をもたらすことが見出された。このように本発明は、安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容するプラスチック容器であって、容器の材料が、医薬組成物の貯蔵及び/又は保存を目的とするポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタラート(PET)であるプラスチック容器に関する。容器は、さらに医薬組成物の貯蔵及び保存のためのクロージャー装置を含む。適切なクロージャーは、例えば、2つの部品からなる勝手に開封できない及びチャイルド・レジスタント(子どもが開けられない)のクロージャーである。適切な型は、例えば、Gerresheimer Boleslawiec S.A., Boleslawiec, Poland製のキャップ型LT.9171である。
【0016】
本発明はまた、容器に接続することができ、医薬組成物の正確な投与を可能にする医薬組成物の経口投薬装置(ディスペンサー)にも関する。本発明によるボトルは、したがって、ディスペンサーをボトルの開口部に接続するのに適している。処置対象の動物の体重に応じた正確でありながら柔軟な投薬の必要性から、ボトルからの特定量の製剤の投与のため経口ディスペンサーが第1の選択肢である。この目的に関しては、容器が僅かに折りたためるので、ボトルから一定容量の液体を取り出すことによる圧力差を無視することができることから、プラスチック材料がより適している。この投薬器具の材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、低密度ポリエチレン(LDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)のいずれかを含んでよい。ディスペンサーは、医薬組成物の投与のために接続され、使用後に接続を外されうる。このように、プラスチック容器は、投薬装置に接続されうる。
【0017】
上記のような投薬系は、プラスチックアダプター及び投薬シリンジからなる。プラスチックアダプターは、底の部分でボトルに押し込まれる。アダプターは、円筒形かつわずかに円錐形の形状を有する。一例を図8に示す。アダプターはまた、プラスチック部分の内側に穴を有するプレートか、又は漏斗の底にボトル方向に穴を有する漏斗状のデザインのいずれかにより得られるドロッパー機能を有してもよい。ドロッパー機能を有するアダプターを付けたボトルを水平な状態から垂直な状態に持ち替えることにより、ボトル内の懸濁液が、重力により穴に向かって流れ、液滴が形成され、落下する。その他の場合及び投薬スキームによって必要がない場合は、ドロッパーは、穴がなく、そのため円筒形のアダプターから液体が常に流れるように設計することができる。この種のドロッパーアダプター又は先端部に適した材料は、例えば、LDPEである。例えば、Gerresheimerが供給しているもののように、適切なアダプターが市販されている。
【0018】
ドロッパー機能が必要ない場合、代わりにプラグイン装置を使用することができる。一例を図9に示す。プラグイン装置は、プラスチック部品であり、これもまた、その底部分によりボトルに押し込まれる。上部は平坦で、その中心に穴を有し、ここに投薬シリンジの先端が適合して気密な接続が可能になり、プラグインに合体させた(docked)シリンジの付いたボトルを逆さにし、懸濁液を投薬シリンジに印付けされた必要な目印まで引き込む。このようなプラグインは、例えば、LDPEからなる。適切な供給元は、Hubert De Backer、Sint-Niklaas、Belgiumであり得る。適切な投薬シリンジの例を図10に示す。適切な供給元は、Baxa又はHubert De Backerであり得る。
【0019】
安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、貯蔵、保存及び/又は投薬するためのプラスチック容器であって、液体組成物が、2ml〜10ml、2.5ml〜8ml、2.5ml〜5ml、好ましくは3.5ml〜4.5ml、さらに好ましくは3ml〜4.5mlの容量を有するプラスチック容器。
【0020】
医薬組成物を貯蔵、保存及び/又は投薬するためのプラスチック容器であって、該容器が、3ml〜11ml、3ml〜10ml、3ml〜8ml、3ml〜5ml、好ましくは3.5〜4.5の容量を有し、さらに好ましくは、3ml〜4mlの容量を含有するプラスチック容器。
【0021】
容器は、例えば、8mlの容量を有することができ、そして5mlの容量の液体を収容することができるが、3mlの容量の投薬を確実にするために、実際には液体容量3.5〜4mlが充填される。
【0022】
投薬容量は、利用可能性及びそれによる投薬のために保証されなければならない容量であり得る。
【0023】
本発明の容器は、メロキシカム及び安息香酸ナトリウムを含む溶液又は懸濁液を収容し得る。医薬組成物におけるメロキシカムの好適な濃度は、0.2mg/ml〜20mg/ml、好ましくは0.5mg/ml〜15mg/ml、より好ましくは0.5mg/ml、1.5mg/ml又は15.0mg/mlである。医薬組成物における安息香酸ナトリウムの好適な濃度は、0.8mg/ml〜2.0mg/ml、好ましくは1.5mg/mlである。
【0024】
有効成分は、任意の非ステロイド系の抗炎症薬剤であることができ、それは、メロキシカム、ピロキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、好ましくはメロキシカムのような、オキシカム型のシクロオキシゲナーゼ(COX)インヒビターである。
【0025】
本発明により使用される製剤は、塩基としてのオキシカム化合物又はその薬学的に許容される塩を含有してもよい。好ましくは、メロキシカムの塩は、メグルミン、ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩からなる群より選択され、最も好ましくはメロキシカムメグルミン塩である.
【0026】
溶液又は懸濁液剤の他の成分は、懸濁化剤、保存剤、香料、pH調整剤のような、一般に知られている、懸濁液又は溶液剤用の薬剤及び、例えば、前記製剤用に使用される水のような溶媒を含む。典型的な懸濁液の具体的な例を表1に表示する。
【0027】
使用される懸濁化剤は、例えば有機親水コロイド形成剤、例えば、セルロースエーテル及び/もしくは二酸化ケイ素、好ましくはヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/もしくは二酸化ケイ素、又はコロイド状無水シリカ、好ましくはコロイド状無水シリカ及び/もしくはヒドロキシエチルセルロースである。
【0028】
使用される保存剤は、例えば、安息香酸又はその任意の誘導体又は塩であってよく、好ましくは安息香酸ナトリウムである。
【0029】
使用される香料は、例えば、糖アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、あるいは人工甘味料、例えば、サッカリンもしくは任意のその塩、シクラメート、アスパルテーム、スクラロース、ソーマチン(taumatin)又は任意のそれらの塩、アセサルフェーム(acesulfam)−カリウム、それらの水溶液又はそれらの混合物、好ましくはソルビトール、グリセロールサッカリン又はナトリウムサッカリン及びグリセリンである。他の香料は、例えば蜂蜜、イチゴ、ラズベリー又は牛肉もしくは魚風味(好ましくは蜂蜜)のような、人工の果物のもしくは肉の風味のような人工の芳香剤であってよい。
【0030】
使用するpH調整剤は、例えば、リン酸二水素ナトリウム二水和物/クエン酸一水和物緩衝液、グリシン/HCl、K−水素フタル酸塩/HCl、クエン酸/リン酸塩、クエン酸塩−リン酸塩(phophate)−ホウ酸塩/HClもしくはブリトン−ロビンソン緩衝液、それらの混合物、あるいは、グリセリンのような他の生理学的に許容可能な液体物又は場合により糖アルコール水溶液との混合物でありえ、好ましくはリン酸二水素ナトリウム二水和物及びクエン酸一水和物でありうる。
【0031】
さらなる実施態様において、プラスチック容器は、0.5mg/mlの濃度のメロキシカム及び1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む、8mlの容量を有するPP又はPET製である。更に具体的には、該プラスチック容器は、8mlの容量を有し、0.5mg/mlの濃度のメロキシカム及び1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む、3.5ml〜4mlの容量を有する医薬組成物を収容する。
【0032】
さらなる実施態様において、プラスチック容器は、1.5mg/mlの濃度のメロキシカム及び0.8mg/ml〜2.0mg/mlの濃度、好ましくは1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む3.5ml〜4mlの容量の医薬組成物を収容する、8mlの容量を有するPP又はPET製である。
【0033】
さらなる実施態様において、プラスチック容器は、15.0mg/mlの濃度のメロキシカム及び0.8mg/ml〜2.0mg/ml、好ましくは1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む3.5ml〜4mlの容量を有する医薬組成物を収容する、8mlの容量を有するPP又はPET製である。
【0034】
異なる型の梱包で作られている容器に充填された好適な医薬組成物を、VICHガイドライン3に記載された条件に従い、長期安定性プログラムに付した。貯蔵の条件は、25℃/相対湿度60%(r.h.= 相対湿度)、30℃/相対湿度70%、及び40℃/相対湿度75%であった。
【0035】
懸濁液3ml及び4mlを5mlのHDPEボトルに充填して、0.5mg/mlの懸濁液の安定性調査を実施した。時間の経過とともに安息香酸ナトリウムの減少は、驚くほど高く、容器に充填した直後ですら、吸着による保存剤の著しい損失が観察された(図5を参照されたい)。これは、懸濁液(1.5mg/mlもしくは0.5mg/ml)又は異なる充填容量のいずれにおいてもそれ以前には観察されなかった。1.5mg/ml懸濁液の充填量10ml(25mlボトル中)の有効保存期間は、例えば少なくとも18箇月である。数日間(最長5日間)のネコの処置のための容量サイズを有する製品の商業的利用のために許容されうる有効保存期間は、HDPEを容器の材料として使用することによっては、確保されえない。0.5mg/mlを、ポジティブな参照例、すなわち、ガラス製ボトルに貯蔵した場合、安息香酸ナトリウムの時間の経過による減少は示されなかった(図2を参照)。
【0036】
【表1】

【0037】
驚くべきことに、18箇月の期間にわたる、又は少なくとも18箇月間での安息香酸ナトリウム含有量の減少は、HDPE又はLDPEのいずれかで作られているボトルに比べて、PPボトルでは著しく低いことがわかった(図6を参照)。このように、ポリプロピレンは、メロキシカム及び保存剤として安息香酸ナトリウムを含む少量の経口懸濁剤の保持に適切な材料である。PPの適切性は、PET及びPC製の適切でないネガティブな参照例との比較によりさらに示される。図1、3、及び4を参照されたい。
【0038】
メロキシカムアッセイは、時間の経過に対し非常に安定であり、梱包材料の種類は、メロキシカムには影響しないことが証明される。図7を参照されたい。
【0039】
ボトルは、不透明又は透明であってよく、好ましくは不透明である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の材料が、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー、ポリプロピレン(PP)のコポリマー、ポリエチレンテレフタラート(PET)のホモポリマー及びポリエチレンテレフタラート(PET)のコポリマーからなる群の1つ以上の構成要素及び、場合により1つ以上の非ポリマー成分から選択されることを特徴とする、安息香酸もしくは誘導体又はそれらの薬学的に許容される塩及びオキシカム型のCOX−インヒビター又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容するプラスチック容器。
【請求項2】
安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容する、請求項1記載のプラスチック容器。
【請求項3】
医薬組成物の貯蔵及び保存のためのクロージャー装置を有する、請求項1又は2のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項4】
投薬装置に接続されている、請求項1〜3のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項5】
2ml〜10mlの容量の医薬組成物を収容する、請求項1〜4のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項6】
3ml〜11mlの容量を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項7】
医薬組成物が懸濁液である、請求項1〜6のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項8】
0.2mg/ml〜20mg/mlの濃度のメロキシカムを含む、安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容する、請求項1〜7のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項9】
0.5mg/ml〜15mg/mlの濃度のメロキシカムを含む、請求項8記載のプラスチック容器。
【請求項10】
1.5mg/mlの濃度のメロキシカムを含む、請求項8記載のプラスチック容器。
【請求項11】
15mg/mlの濃度のメロキシカムを含む、請求項8記載のプラスチック容器。
【請求項12】
安息香酸ナトリウムを0.8mg/ml〜2.0mg/mlの濃度範囲で含む、安息香酸ナトリウム及びメロキシカム又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を収容する、請求項1〜11のいずれか一項記載のプラスチック容器。
【請求項13】
1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む、請求項12記載のプラスチック容器。
【請求項14】
その医薬組成物が18箇月の期間にわたって実質的に安定なままである、請求項1〜13記載のプラスチック容器。
【請求項15】
0.5mg/mlの濃度のメロキシカム及び1.5mg/mlの濃度の安息香酸ナトリウムを含む3.5ml〜4mlの容量の医薬組成物を収容する、8mlの容量を有する、請求項1〜7及び12のいずれか一項記載のプラスチック容器。

【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−507440(P2013−507440A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534260(P2012−534260)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/052128
【国際公開番号】WO2011/046853
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(504225895)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (34)
【Fターム(参考)】