説明

メンテナンス装置、液体噴射装置及びメンテナンス方法

【課題】クリーニングに伴う液体の消費を抑制しつつ、液体噴射ヘッドのノズルから気泡を確実に除去することができるメンテナンス装置を提供する。
【解決手段】ノズル形成面19aに形成されたノズル開口21aからインクを噴射可能なノズル21を有する記録ヘッド19を備えたプリンターに設けられ、ノズル21内の気泡を除去するメンテナンス装置29であって、ノズル21内のインクをノズル開口21aから排出される方向に加圧する加圧ポンプと、ノズル開口21aを覆うようにノズル形成面19aに当接する上面43aを有すると共に前記ノズルよりも圧力損失が大きい流路であって且つ上面43a側からの気体の通過は許容する流路44が形成された当接部材43と、を備え、当接部材43をノズル形成面19aに当接させた状態で加圧ポンプによりノズル21内のインクを加圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス装置、液体噴射装置及びメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に対して液体を噴射する液体噴射装置の一種として、インクジェット式プリンターが広く知られている。このプリンターは、液体噴射ヘッドに形成されたノズルからインク(液体)を噴射することにより、記録用紙に記録を施すようになっている。
【0003】
このようなプリンターでは、記録ヘッド内のノズルに気泡が混入すると、ドット抜けを生じて良好なインクの噴射ができなくなるため、記録品質が低下してしまう。そのため、記録ヘッドのノズルからインクや気泡を強制的に吸引して排出するクリーニングが実行されるようになっている。
【0004】
ところで、気泡が混入したノズル内からインクや気泡を吸引するためには、良好にインクを噴射する正常なノズルからインクを吸引するのに足りる吸引力よりも大きな吸引力が必要となる。そのため、吸引によるクリーニング時には、正常なノズルから大量のインクが排出されることになり、多くのインクが無駄に消費されてしまうという問題があった。そこで、例えば特許文献1に記載されるように、クリーニング時におけるインクの消費を抑制するメンテナンス装置が提案されている。
【0005】
すなわち、この特許文献1のプリンターでは、気体を透過するとともに所定の圧力で吸引することにより液体を透過可能な多孔性の膜を記録ヘッドのノズル形成面に密着させた状態で吸引クリーニングを行う。そして、記録ヘッドに付与する圧力を制御することによって吸引クリーニング時におけるインクの排出量を制限し、インクの消費量を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−138313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のメンテナンス装置では、ノズル形成面に密着させる膜に形成された孔の径が記録ヘッドのノズル径よりも大きい場合には、膜の圧力損失がノズルの圧力損失よりも小さくなる。そのため、膜を介して記録ヘッドのノズル形成面に付与された吸引圧力は全てのノズルに均等にかかることによって正常なノズルからもインクが排出されてしまい、無駄なインク消費量が大きくなる。
【0008】
一方、膜に形成された孔の径がノズル径よりも小さい場合には、吸引されたインクにより膜が濡れることによって膜の圧力損失がノズルの圧力損失よりも大きくなる。そのため、膜を介してノズル形成面に付与される吸引圧力が低下することによって気泡が混入したノズルから気泡を排出することが困難になるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、クリーニングに伴う液体の消費を抑制しつつ、液体噴射ヘッドのノズルから気泡を確実に除去することができるメンテナンス装置、液体噴射装置及びメンテナンス方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のメンテナンス装置は、ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に設けられ、前記ノズル内の気泡を除去するメンテナンス装置であって、前記ノズル内の前記液体を前記ノズル開口から排出される方向に加圧する加圧手段と、前記ノズル開口を覆うように前記ノズル形成面に当接する当接面を有すると共に前記ノズルよりも圧力損失が大きい流路であって且つ前記当接面側からの気体の通過は許容する流路が形成された流路形成部材と、を備え、前記流路形成部材を前記ノズル形成面に当接させた状態で前記加圧手段により前記ノズル内の前記液体を加圧する。
【0011】
この構成によれば、ノズル形成面に流路形成部材の当接面を当接させた状態でノズル内の液体を加圧手段により排出方向に加圧すると、まず正常なノズルから流路形成部材に液体が排出される一方で、気泡混入したノズルからは気泡の分、排出が遅れる。しかし、流路形成部材の流路は液体が流入することによりノズル開口よりも圧力損失が大きくなるので、正常なノズルと対応する流路の液体の流れは規制される。そして、気泡が混入したノズル内の圧力損失の方が小さくなるのでノズル内の気泡と液体が排出されるようになる。すなわち、気泡が混入したノズル内の液体に対して加圧手段からの加圧力を集中させることができる。また、流路形成部材に形成された流路は気体の通過を許容する流路のため、気泡は通過し、液体は流路形成部材に付着して圧力損失が大きくなる。つまり、気泡が排出されると液体の流れは規制される。したがって、クリーニングに伴う液体の消費を抑制しつつ、液体噴射ヘッドのノズルから気泡を確実に除去することができる。
【0012】
本発明のメンテナンス装置は、前記流路形成部材の前記流路内から前記液体を吸引する吸引手段を更に備えた。
加圧手段では液体の流れは規制された状態となり流路形成部材に付着した液体を排出することができない。その点、この構成によれば、流路形成部材の流路内に残存する液体を吸引により容易に排出して流路形成部材をメンテナンスすることができる。
【0013】
本発明のメンテナンス装置は、前記ノズル開口を囲うように前記液体噴射ヘッドに当接することにより前記ノズル形成面との間に閉空間域を囲み形成するキャップ部材を更に備え、該キャップ部材内に前記流路形成部材が配置される。
【0014】
この構成によれば、流路形成部材がキャップ部材内に配置されているため、流路内に液体を含んだ流路形成部材を液体噴射ヘッドのノズル形成面に当接させた状態で、キャップ部材を液体噴射ヘッドに当接させて閉空間域を形成することができる。そのため、流路形成部材の流路内に含まれた液体によりノズル内を保湿でき、ノズルの乾燥を抑制することができる。
【0015】
本発明のメンテナンス装置において、前記流路形成部材の前記当接面は、前記ノズル形成面との当接時に前記ノズル形成面との間に形成される隙間空間域の圧力損失が前記ノズルの圧力損失よりも大きくなるように構成されている。
【0016】
この構成によれば、液体噴射ヘッドのノズル形成面と流路形成部材の当接面との間に隙間空間域が形成される場合であっても、液体噴射ヘッドのノズルから排出された液体が隙間空間域に入ることで圧力損失が大きくなり、隙間空間域を通過することを規制することができる。したがって、正常なノズルから加圧されて排出された液体を、隙間空間域から漏出させることなく、無駄に液体を消費することを抑制することができる。また、液体噴射ヘッドのノズル形成面や流路形成部材は、それらに僅かな変形があっても、それらを当接させたときには完全に当接せずに両者間には液体が入ると圧力損失が大きくなる隙間が許容されるので、成形不良で使用できなくなることもない。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドと、上記構成のメンテナンス装置と、を備える。
【0018】
この構成によれば、液体噴射装置において、上記メンテナンス装置の場合と同様の作用効果を得ることができる。
上記目的を達成するために、本発明のメンテナンス方法は、ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドにおける前記ノズル内の前記液体を前記ノズル開口から排出される方向に加圧する加圧手段と、前記ノズルよりも圧力損失が大きい流路であって且つ気体の通過は許容する一方で前記液体の通過は規制する流路を有する流路形成部材とを備えたメンテナンス装置を用いる液体噴射装置のメンテナンス方法であって、前記ノズル開口を覆うように前記流路形成部材をノズル形成面に当接させる当接段階と、前記液体噴射ヘッドの駆動により前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出段階と、該吐出段階の後に、前記加圧手段によって前記ノズル内の前記液体を加圧して前記ノズルから前記流路形成部材へ前記液体を排出させる液体排出段階と、を備えた。
【0019】
この構成によれば、加圧手段によるノズルからの液体の排出が行われる前段階で液体噴射ヘッドの駆動により液体を吐出可能なノズルから液体を吐出させることにより、流路形成部材における正常なノズルに対応する流路の流路抵抗を高めることができる。したがって、正常なノズルからの液体の消費を更に抑制しつつ、大きな圧力を加えることなく液体噴射ヘッドのノズルから気泡を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態におけるプリンターの概略平面図。
【図2】(a),(b)は加圧ポンプの動作を説明するための概略断面図であり、(a)は加圧前の状態を示す加圧ポンプの概略断面図、(b)は加圧時の状態を示す加圧ポンプの概略断面図。
【図3】(a)はメンテナンス装置の構成を示す概略断面図、(b)は図3(a)におけるA−A線矢視平面図。
【図4】(a)〜(c)は記録ヘッドに対するメンテナンス装置の作用を説明するための断面模式図であり、(a)は当接部材が記録ヘッドに当接した状態を示す断面模式図、(b)は正常なノズルからのみインクが排出された状態を示す断面模式図、(c)は内部に気泡が混入したノズルからインクが排出された状態を示す断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンターに具体化した実施形態を図1〜図4に従って説明する。なお、以下の説明において、「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいう場合は、特に説明がない限り、各図において矢印で示す「前後方向」、「上下方向」及び「左右方向」をいうものとする。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのプリンター11は、略矩形箱状を成す本体ケース12を備えている。この本体ケース12内の前方下部には、プラテン13が主走査方向となる本体ケース12の長手方向(図1において左右方向)に沿って設けられているとともに、このプラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録媒体としての記録用紙Pが副走査方向となる前後方向に沿って搬送されるようになっている。また、本体ケース12内においてプラテン13の上方には、プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に延びる棒状のガイド軸14が架設されている。
【0023】
このガイド軸14には、キャリッジ15が主走査方向(左右方向)に往復移動可能に支持されている。キャリッジ15は、本体ケース12の後側面に設けられた一対のプーリー16間に掛装された無端状のタイミングベルト17を介して、本体ケース12の背面に設けられたキャリッジモーター18に駆動連結されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモーター18の駆動により、ガイド軸14に沿って主走査方向に往復移動されるようになっている。
【0024】
キャリッジ15におけるプラテン13と対向する下面側には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド19が搭載されている。一方、キャリッジ15上には、液体としてのインクを一時貯留して記録ヘッド19に供給するインク室20が、プリンター11に使用されるインクの種類(色など)に対応して複数個(本実施形態では4個)備えられている。
【0025】
また、記録ヘッド19の下面は、インクを噴射する複数のノズル21(図3参照)のノズル開口21aが開口する水平なノズル形成面19a(図3参照)になっている。ノズル形成面19aには、記録用紙Pの搬送方向である副走査方向(前後方向)に沿ってインクを噴射する複数のノズル開口21aが等間隔に離間した状態で配置されてなる複数のノズル列(図3参照)が、記録ヘッド19の長手方向である主走査方向(左右方向)に一定間隔をおいて並列するように配置されている。そして、記録ヘッド19は、プラテン13上に給送された記録用紙Pが記録ヘッド19の下方を通過するのにあわせてインクを噴射することにより、記録用紙Pの表面に対して記録を施すようになっている。
【0026】
本体ケース12内の一端側(図1において右端側)には、箱状のカートリッジホルダー22が設けられている。カートリッジホルダー22には、互いに異なる種類(色など)のインクを収容した複数個(本実施形態では4個)のインクカートリッジ23が着脱可能に装着されるようになっている。
【0027】
また、カートリッジホルダー22には、一端がキャリッジ15上の各インク室とそれぞれ接続された複数本(本実施形態では4本)のインク供給チューブ24の他端がそれぞれ接続されている。カートリッジホルダー22に各インクカートリッジ23を装着した状態では、各インクカートリッジ23がインク供給チューブ24を介して各インク室20と連通するようになっている。そして、記録などによる記録ヘッド19からのインクの消費により、各インクカートリッジ23内のインクが各インク供給チューブ24及び各インク室20を介して記録ヘッド19に供給されるようになっている。
【0028】
また、カートリッジホルダー22の上方には、各インクカートリッジ23に加圧空気を供給するためのポンプ25が載置されている。このポンプ25には、カートリッジホルダー22に装着可能なインクカートリッジと同数(本実施形態では4本)の空気供給チューブ26の一端が接続されているとともに、各空気供給チューブ26の他端はカートリッジホルダー22に接続されている。
【0029】
各インク供給チューブ24の途中位置には、加圧手段としての加圧ポンプ27と開閉弁28とがそれぞれ設けられている。開閉弁28は、任意に開閉操作を行うことができる弁であるとともに、加圧ポンプ27のすぐ上流側に設けられている。なお、開閉弁28としては、電磁弁や機械的に動作する弁を採用することができる。
【0030】
カートリッジホルダー22とプラテン13との間は、プリンター11の電源オフ時や記録ヘッド19をメンテナンスする場合にキャリッジ15の待機場所となるホームポジションになっている。また、キャリッジ15がホームポジションに配置されたときの下方となる位置には、記録ヘッド19のクリーニングを行うためのメンテナンス装置29が設けられている。メンテナンス装置29は、記録ヘッド19におけるノズル21の乾燥を防止するとともに、インク供給チューブ24内のインクを加圧ポンプ27で加圧することでノズル21から気泡などを排出させる加圧クリーニングを実行する際に用いられる。
【0031】
まず、加圧ポンプ27について説明する。
図2に示すように、加圧ポンプ27は、定形性を有する流路部材31を有している。流路部材31の左端には上流側のインク供給チューブ24と接続される第1接続部32が設けられる一方、流路部材31の右端には下流側のインク供給チューブ24と接続される第2接続部33が設けられている。また、流路部材31の上面側には、平面視円形状の凹部31aが形成されている。そして、第1接続部32内には、上流側のインク供給チューブ24と凹部31a内とを連通させる流入路32aが形成されている。一方、第2接続部33内には、下流側のインク供給チューブ24と凹部31a内とを連通させる流出路33aが形成されている。
【0032】
流路部材31の上面側には、可撓性を有するフィルム部材34が凹部31aの開口を封止するように撓みを有した状態で固着されている。また、フィルム部材34の外面側の略中央部には、凹部31aの開口面積よりも小さい円板状の押圧板35が固着されている。そして、フィルム部材34と凹部31aとによって、圧力室36が囲み形成されている。
【0033】
圧力室36内には、圧力室36の内容積を拡大する方向にフィルム部材34を付勢する付勢部材37が配設されている。付勢部材37は、例えばコイルばねや板ばねなどから構成することができる。また、押圧板35の上方には、押圧板35に当接するカム部材38が配置されている。カム部材38は回転軸39を介して支持されているとともに、第1モーター40の駆動に伴って回転軸39とともに回動するようになっている。
【0034】
したがって、図2(a)に示す状態で第1モーター40を正方向に駆動すると、カム部材38が付勢部材37の付勢力に抗して同図における反時計回り方向に回動する。これにより、図2(b)に示すように、フィルム部材34が圧力室36の内容積を減少させる方向に変位するため、圧力室36から押し出されたインクによって、インク供給チューブ24内のインクが加圧される。そして、加圧ポンプ27が加圧を行う際には、すぐ上流側に位置する開閉弁28を閉弁状態とすることで、加圧の影響が開閉弁28よりも下流側にのみ及ぶようにする。
【0035】
次に、メンテナンス装置29について説明する。
図3に示すように、メンテナンス装置29は、上側が開口した有底略四角箱状のキャップ部材41を備えている。キャップ部材41の周壁41aの上面全体には、可撓性材料からなる四角枠状のシール部材42が配置されている。
【0036】
また、図3(a),(b)に示すように、キャップ部材41の内部には、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して上下方向で対向するように、ゴムなどの弾性部材により形成された平面視略矩形板状の当接部材43が配置されている。当接部材43の上面43aには、断面矩形状をなす複数の流路44が記録ヘッド19のノズル列と交差する方向(すなわち、主走査方向である左右方向)に沿って直線状に形成されている。すなわち、流路44は当接部材43において左右方向の両端が開口する溝状に形成されている。
【0037】
そして、本実施形態では、各流路44の流路断面積はノズル21のノズル開口21aの開口面積よりも小さくなっている。つまり、流路44の圧力損失とノズル21の圧力損失とを比較した場合、流路44の圧力損失の方がノズル21の圧力損失よりも大きくなっている。したがって、ノズル21から排出されて流路44に流入したインクは、流路44内においてノズル21内を流動した場合よりも大きな流動抵抗を受けることになる。なお、そのように圧力損失を大きく設定された流路44であっても、気体の通過は許容する。ちなみに、本実施形態の場合、ノズル開口21aの大きさは20〜50μmであり、流路44はこれより小さい溝なので、流路44内にインクが流入しても溝にそって広がることはなく、細い溝に保持される。
【0038】
また、当接部材43は、キャップ部材41の底壁41b上にコイルばね45を介して支持されている。そして、本実施形態では、当接部材43の上面43aはキャップ部材41におけるシール部材42の先端部よりも低い位置に配置されるように、コイルばね45の非収縮状態時(通常時)の長さが設定されている。
【0039】
さらに、図3(b)に示すように、当接部材43における長手方向(左右方向)の寸法は、キャップ部材41の長手方向(左右方向)の寸法よりも短くなっている。そして、当接部材43をキャップ部材41内に配置した場合には、キャップ部材41の周壁41aと当接部材43の左右両側面とが離間している。すなわち、当接部材43の左右両側面に開口している流路44の両端が開放された状態になっている。
【0040】
そして、当接部材43は、記録ヘッド19のノズル形成面19aに対して当接(接触)した状態では、記録ヘッド19のノズル形成面19aに形成されている全てのノズル21それぞれの開口を覆蓋するようになっている。なお、請求項の記載において「ノズル開口を覆う」とは、この状態を示している。ここで、記録ヘッド19や当接部材43が僅かに変形している場合には、記録ヘッド19のノズル形成面19aと当接部材43の上面43aとは密着した面接触状態とならず、ノズル形成面19aと上面43aとの間には隙間空間域CS(図4参照)が形成される。そして、この隙間空間域CSはインクが流入した場合の圧力損失が、ノズル21がインクを流動させる場合の圧力損失よりも大きくなるように、当接部材43の上面43aが形成されている。このように、当接部材43の上面43aは、ノズル形成面19aと当接する当接面として機能する。
【0041】
また、キャップ部材41における底壁41bの略中央部には、キャップ部材41からインクを排出するため排出管46が下方に向かって突設されている。排出管46には、吸引手段としてのチューブポンプ51を構成する可撓性部材からなる排出チューブ47の一端側(上流側)が接続されている。一方、排出チューブ47の他端側(下流側)は廃インクタンク48内に挿入されている。また、廃インクタンク48内には、多孔質材料からなる廃インク吸収材49が収容されている。
【0042】
キャップ部材41と廃インクタンク48との間には、チューブポンプ51が配置されている。チューブポンプ51は、略円筒状をなすケース52内に、排出チューブ47の中間部と、ケース52の軸線を中心に回転する回転体53と、回転体53の回転時にケース52の内周面に沿って移動しながら排出チューブ47を押圧可能な一対の押圧ローラー54とを収容している。そして、回転体53を正方向(図3(a)に実線矢印で示す時計回り方向)に回動させると、押圧ローラー54が排出チューブ47の中間部をキャップ部材41側(上流側)から廃インクタンク48側(下流側)へ順次押し潰しながら回動する。この回動により排出チューブ47内の空気が追い出されて、チューブポンプ51より上流側の排出チューブ47の内部が減圧される。そして、キャップ部材41内のインクが吸引される。また、回転体53を逆方向(図2における反時計回り方向)に回動させると、排出チューブ47内の減圧状態が解消されるようになっている。
【0043】
また、メンテナンス装置29は、キャップ部材41を上下方向に昇降移動させるための昇降機構61を備えている。昇降機構61は、キャップ部材41に下方から当接するカム部材62と、カム部材62を回動させるための第2モーター63と、動力伝達機構64とを備えている。そして、第2モーター63を正方向に駆動させると、動力伝達機構64を介してカム部材62が回動されて、キャップ部材41が上昇して当接部材43がノズル形成面19aに当接するようになっている。
【0044】
次に、上記のように構成されたプリンター11の作用について、特に記録ヘッド19のノズル21から気泡を除去する場合の作用に着目して説明する。
プリンター11においては、インクカートリッジ23の交換時にインク供給チューブ24内に気泡が混入したり、ノズル21の開口からノズル21内に気泡が混入したりすることによりドット抜けが生じたりする。こうしたドット抜けに起因する記録品質の低下を抑制するため、プリンター11ではメンテナンス装置29を用いて加圧クリーニングが実行される。
【0045】
まず、加圧クリーニングが開始されると、プリンター11は、キャリッジ15をメンテナンス装置29の上方域のホームポジションまで移動させて停止させる。そして次に、昇降機構61がキャップ部材41を上昇させてキャップ部材41におけるシール部材42の先端部をノズル形成面19aに対して当接させる。すると、ノズル形成面19aとキャップ部材41との間に閉空間域Sが形成される。そして、その状態から昇降機構61がキャップ部材41を更に上昇させると、シール部材42の先端部がノズル形成面19aに対して強く圧接するようになる。
【0046】
すると、キャップ部材41におけるシール部材42がノズル形成面19aによって押し潰されるように上下方向に圧縮されるため、キャップ部材41の底壁41bがノズル形成面19aに対して接近する。その結果、図4(a)に示すように、当接部材43がキャップ部材41の底壁41b上にコイルばね45を介して支持された状態で、ノズル形成面19aに形成されたノズル21のノズル開口21aを覆うように、ノズル形成面19aに対して当接する(当接段階)。ここで、記録ヘッド19や当接部材43に僅かに変形がある場合には、記録ヘッド19のノズル形成面19aと当接部材43の上面43aとの間に隙間空間域CSが形成される。
【0047】
そして次に、当接部材43が記録ヘッド19のノズル形成面19aに当接した状態で、記録ヘッド19を駆動させる。すると、内部に気泡が混入していない正常なノズル21(図4において両端のノズル)からそれぞれ対向する流路44に向かってインクが吐出される(吐出段階)。このとき、流路44はノズル21よりも断面積が小さいので、正常なノズル21から排出されたインクは、そのノズル21が対応する流路44を通過して排出されずに、その流路44内に残留する。一方、気泡が混入しているノズルは記録ヘッド19を駆動してもインクは吐出されないので、流路44にはインクは流入しない。そのため、吐出されたインクが存在する流路44における流路抵抗は、インクが存在していない流路44における流路抵抗よりも大きくなる。
【0048】
そして次に、開閉弁28を閉弁状態にするとともに、加圧ポンプ27を駆動して圧力室36のインクを排出方向に押し出す。加圧ポンプ27によって圧力室36から押し出されたインクは、上流側へと流れることが抑制されて下流側となる記録ヘッド19側に向かって流れる。そして、圧力室36から押し出されたインクにより、インク供給チューブ24及びインク室20を介してノズル21内のインクに対して圧力を付与する。すると、図4(b)に示すように、まず、記録ヘッド19に形成されたノズル21のうちインクが排出されやすい正常なノズル21(図4において両端のノズル)から、対向する各流路44に向かってインクが排出される。
【0049】
正常なノズル21から排出されたインクは、各ノズル21に対向する各流路44内を両端の開口に向かって左右両方向に流れよう(通過しよう)とするが、その流路44内は先の吐出段階で流入したインクが残留しているために流路44の圧力損失が大きくなっている。そのため、この流路44内を流動しようとするインクは流路44の流路抵抗を受けるため、流路44内を流れる(通過する)インク量が規制される。そのため、正常なノズル21からのインクの排出が抑制される。
【0050】
また、記録ヘッド19のノズル形成面19aと当接部材43の上面43aとの間に隙間空間域CSが形成されている場合には、正常なノズル21から排出されたインクは、隙間空間域CSを、各ノズル21を中心として円形状に流れて広がろうとする。しかし、この場合の隙間空間域CSも、流路44の場合と同様に、ノズル21よりも隙間空間域CSの圧力損失が大きくなるため、隙間空間域CSを流れるインク量が規制されることにより正常なノズル21からのインクの排出が抑制される。
【0051】
ここで、ノズル21内への加圧方法は定量加圧であるため、正常なノズル21からのインクの排出が抑制されると、より圧力損失の小さい流路、すなわちまだインクを排出していない内部に気泡が混入したノズル21(図4において真ん中のノズル)に対して加圧ポンプ27により付与された加圧力が相乗的に集中する。その結果、図4(c)に示すように、気泡が混入したノズル21に対して高い圧力がかかるため、内部の気泡がインクとともに排出される(液体排出段階)。そして、ノズル21から排出された気泡(気体)は、流路44を通過して当接部材43外に排出される。これらの点で、当接部材43は、ノズル開口21aを覆うようにノズル形成面19aに当接する上面(当接面)43aを有するとともにノズル21よりも圧力損失が大きい流路であって且つ気体の通過は許容する流路44が形成された流路形成部材として機能する。排出されたインクは流路44に流入するので、圧力損失が大きくなり全ノズルに亘ってインクの排出が抑制される。そして、開閉弁28を開弁状態として、加圧クリーニングが終了する。
【0052】
以上のように、記録ヘッド19におけるノズル21の加圧クリーニングが終了すると、昇降機構61はキャップ部材41を元の位置まで降下させる。その後、チューブポンプ51を駆動させることにより、キャップ部材41の内部空間域を空吸引する。すると、当接部材43の各流路44内に流入して残留したインクは、各流路44の開口した両端から吸引されて廃インクタンク48内に排出される。
【0053】
また、記録ヘッド19におけるノズル21の加圧クリーニングが終了したのち、記録処理を開始(再開)するまでに時間が空く場合には、当接部材43の各流路44内にインクを残留させた状態でキャップ部材41を記録ヘッド19のノズル形成面19aに当接させる。各流路44内にインクが存在することにより、そのインクの保湿作用でノズル21内のインクの乾燥を抑制することができる。
【0054】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ノズル形成面19aに当接部材43の上面43aを当接させた状態でノズル21内のインクを加圧ポンプ27により排出方向に加圧すると、まず正常なノズル21から当接部材43にインクが排出される一方で、気泡混入したノズル21からは気泡の分、インクの排出が遅れる。しかし、当接部材43の流路44はインクが流入することによりノズル開口21aよりも圧力損失が大きくなるので、正常なノズル21と対応する流路44のインクの流れは規制される。そして、気泡が混入したノズル21内の圧力損失の方が小さくなるのでノズル21内の気泡とインクが排出される。すなわち、気泡が混入したノズル21内のインクに対して加圧ポンプ27からの加圧力を集中させることができる。また、当接部材43に形成された流路44は気体の通過を許容する流路のため、気泡は通過し、インクは当接部材43に付着して圧力損失が大きくなる。つまり、気泡が排出されるとインクの流れは規制される。したがって、クリーニングに伴うインクの消費を抑制しつつ、記録ヘッド19のノズル21から気泡を確実に除去することができる。
【0055】
(2)加圧ポンプ27ではインクの流れは規制された状態となり当接部材43に付着したインクを排出することはできない。しかし、当接部材43の流路44内に残存するインクをチューブポンプ51による吸引によって容易に排出して当接部材43をメンテナンスすることができる。
【0056】
(3)当接部材43がキャップ部材41内に配置されているため、流路44内にインクを含んだ当接部材43を記録ヘッド19のノズル形成面19aに当接させた状態で、キャップ部材41を記録ヘッド19に当接させて閉空間域Sを形成することができる。そのため、当接部材43の流路44内に含まれたインクによりノズル21内を保湿でき、ノズル21の乾燥を抑制することができる。
【0057】
(4)ノズル形成面19aと当接部材43の上面43aとの間に形成される隙間空間域CSの圧力損失はノズル21が有する圧力損失よりも大きくなっている。そのため、記録ヘッド19のノズル形成面19aと当接部材43の上面43aとの間に隙間空間域CSが形成される場合であっても、記録ヘッド19のノズル21から排出されたインクが隙間空間域CSに入ることで圧力損失が大きくなり、隙間空間域CSを通過することを抑制することができる。したがって、正常なノズル21から加圧されて排出されたインクを、隙間空間域CSから漏出させることなく、無駄にインクを消費することを抑制することができる。また、記録ヘッド19のノズル形成面19aや当接部材43は、それらに僅かな変形があっても、それらを当接させたときには完全に当接せずに両者間にはインクが入ると圧力損失が大きくなる隙間が許容されるので、成形不良で使用できなくなることもない。
【0058】
(5)加圧ポンプ27によるノズル21からのインクの排出が行われる前段階で記録ヘッド19の駆動によりインクを吐出可能なノズル21からインクを吐出させることにより、当接部材43における正常なノズル21に対応する流路44の流路抵抗を高めることができる。したがって、正常なノズル21からのインクの消費を更に抑制しつつ、大きな圧力を加えることなく記録ヘッド19のノズル21から気泡を確実に除去することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・プリンター11は、長尺の液体噴射ヘッドを備えるフルラインタイプのラインヘッド式プリンターや、ラテラル式プリンターとして実現してもよい。
【0060】
・開閉弁28を備えなくてもよい。
・流路44は直線状のものに限らず湾曲していてもよい。また、流路44はノズル列と交差する方向に形成されたものに限らず、ノズル列に沿って形成されてもよい。その場合には、ノズル21の開口に対応する位置には形成しないことが望ましい。
【0061】
・流路44の形状は、断面矩形状のものに限らず、例えば断面U字状や断面V字状、断面半円形状など異なる形状であってもよい。
・流路44は当接部材43の上面に沿って形成される溝に限らず、メッシュ状やノズル径より小さい孔など当接部材43の内部を透過するものであってもよい。また、当接部材43は、ゴムなどの弾性部材に限らず、スポンジ、焼結樹脂、金属、メラミンフォーム、膜などで形成されていてもよい。
【0062】
・加圧手段は加圧ポンプ27に限らず、チューブポンプや電磁クラッチを利用したポンプなどであってもよい。
・当接部材43は、コイルばね45を介してキャップ部材41内に配置されるものに限らず、コイルばね45を介さずにキャップ部材41内に配置されてもよい。また、当接部材43をキャップ部材41における開口の先端部に設けてもよい。
【0063】
・昇降機構61をメンテナンス装置29の構成要素としなくてもよい。
・キャップ部材41をメンテナンス装置29の構成要素としなくてもよい。
・チューブポンプ51をメンテナンス装置29の構成要素としなくてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる
【符号の説明】
【0065】
CS…隙間空間域、P…記録用紙、S…閉空間域、11…液体噴射装置としてのプリンター、19…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19a…ノズル形成面、21…ノズル、21a…ノズル開口、27…加圧手段としての加圧ポンプ、29…メンテナンス装置、41…キャップ部材、43…流路形成部材としての当接部材、43a…当接面としての上面、44…流路、51…吸引手段としてのチューブポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に設けられ、前記ノズル内の気泡を除去するメンテナンス装置であって、
前記ノズル内の前記液体を前記ノズル開口から排出される方向に加圧する加圧手段と、
前記ノズル開口を覆うように前記ノズル形成面に当接する当接面を有すると共に前記ノズルよりも圧力損失が大きい流路であって且つ前記当接面側からの気体の通過は許容する流路が形成された流路形成部材と、を備え、
前記流路形成部材を前記ノズル形成面に当接させた状態で前記加圧手段により前記ノズル内の前記液体を加圧する
ことを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
前記流路形成部材の前記流路内から前記液体を吸引する吸引手段を更に備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記ノズル開口を囲うように前記液体噴射ヘッドに当接することにより前記ノズル形成面との間に閉空間域を囲み形成するキャップ部材を更に備え、該キャップ部材内に前記流路形成部材が配置される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記流路形成部材の前記当接面は、前記ノズル形成面との当接時に前記ノズル形成面との間に形成される隙間空間域の圧力損失が前記ノズルの圧力損失よりも大きくなるように構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドと、
請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載のメンテナンス装置と、を備えた
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
ノズル形成面に形成されたノズル開口から液体を噴射可能なノズルを有する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドにおける前記ノズル内の前記液体を前記ノズル開口から排出される方向に加圧する加圧手段と、前記ノズルよりも圧力損失が大きい流路であって且つ気体の通過は許容する一方で前記液体の通過は規制する流路を有する流路形成部材とを備えたメンテナンス装置を用いる液体噴射装置のメンテナンス方法であって、
前記ノズル開口を覆うように前記流路形成部材をノズル形成面に当接させる当接段階と、
前記液体噴射ヘッドの駆動により前記ノズルから前記液体を吐出させる吐出段階と、
該吐出段階の後に、前記加圧手段によって前記ノズル内の前記液体を加圧して前記ノズルから前記流路形成部材へ前記液体を排出させる液体排出段階と、を備えた
ことを特徴とするメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−255538(P2011−255538A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130047(P2010−130047)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】