説明

メータ

【課題】オーソドックスなスタイルのイメージを損ねることなく、一つのメータのスペースで二つの指針により別々の目盛を指示させることができるメータを提供すること。
【解決手段】第1指針軸5によって回転される第1指針9により、その背後の文字板3に第1指針9の回転許容範囲に合わせて配設された第1目盛13の計測量に応じた箇所を指示させるメータ1に、第1指針9の回転許容範囲外を回転許容範囲とし、第1指針軸5と異なる第2指針軸7により回転される第2指針11と、第2指針11の回転許容範囲に合わせて文字板3に配置され、第2指針11により計測量に応じた箇所が指示される第2目盛15と、第2指針11の指示部分11b以外の部分を覆い、第1指針9、第1目盛13、及び、第2目盛15を前方に露出させる見返し板17とを備え、第2指針軸7が第1指針軸5よりも第2目盛15側に位置をずらして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針軸によって回転される指針により、指針の背後の文字板に指針の回転許容範囲に合わせて配設された目盛のうち、計測量に応じた目盛箇所を指示させるメータに係り、特に、一つのメータのスペースで二つの指針により別々の目盛を指示させるメータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の運転席に広く配設されているコンビネーションメータ内には、速度計、エンジン回転計、フューエルゲージ、ラジエータの水温計等の計器が配設されている。
【0003】
上述した各計器の大きさは、個々の重要度や、速度の常時表示を規定した法令、意匠上の見栄え等に応じて異なる場合があるが、いずれにしてもこれらの計器は、コンビネーションメータ内にそれぞれ独立して配設されるのが通常である。
【0004】
しかし、コンビネーションメータ内の限られたスペースの中に各計器を独立してそれぞれ配設するには、それぞれの計器どうしの文字板の大きさを一定の大きさに統一したり、文字板をある程度の大きさに制約する等の手当てを講じなければならない等の不具合がある。
【0005】
そこで従来より、上述したように法令によって常時表示が義務付けられている速度計のスペースに他の計器を一体化し、一つのメータのスペースで二つの計器の機能を果たすメータが提案されている。
【0006】
その一つとして、指針軸を挟んで一直線上に長針及び短針を延設し、指針軸から下半分の文字板部分を見返し板で隠すと共に、長針の指示位置に応じた目盛と短針の指示位置に応じた目盛とを上半分の文字板部分に同心円状に配置して、長針による指示値の指示と短針による指示値の指示とを選択して行わせる、本出願人が過去に出願したものがある(例えば特許文献1)。
【0007】
他には、文字板の裏側に大小の円弧状ケースを取り付けて、各ケース内にそれぞれ配設したブロックを、モータ駆動のプーリによりケース内で周回される無端ベルトに取り付けて各ケース内でそれぞれスライドさせ、各ケースに沿って文字板にそれぞれ形成された円弧状のスリットから各ブロックの一部を露出させてポインタとし、各スリットの周縁の文字板部分に形成した目盛を各ブロックのポインタによりそれぞれ指示させるようにしたものがある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−105651号公報
【特許文献2】特開2005−98751号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した本出願人の過去の出願に係るものは、二つの指示値を同時に指示することが構造上不可能であることから使用できる状況に大きな制約があり、もう一つのものは、二つの指針により同時に二つの指示値を指示することができるので、使用できる状況についての制約は少ないが、指針として機能するブロックのポインタを目盛の指示値に移動させるための構成が大がかりであるため、折角一つのメータのスペースで二つの指針により別々の目盛を指示させる構成としても、省スペース化を十分に図ることができない。
【0009】
また、指針により指示値を指示するアナログタイプのメータの分野では、文字板のセンターの指針軸に取り付けた指針が指針軸を中心とする円弧状にレイアウトされた目盛の計測値に応じた箇所を指示するという、オーソドックスなスタイルのものに根強い人気があり、その点、指針として機能するブロックのポインタが目盛に沿って円弧上に移動する従来のメータは意匠的に違和感のあるものとなってしまう。
【0010】
かといって、二つの指針を独立してそれぞれ回転させるようにしただけでは、指針軸が中心にレイアウトされてその周囲に円弧状の目盛がレイアウトされるという、オーソドックスなスタイルのメータのイメージを醸し出すことが困難である。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、指針軸が中心にレイアウトされてその周囲に円弧状の目盛がレイアウトされるという、オーソドックスなスタイルのメータのイメージを損ねることなく、一つのメータのスペースで二つの指針により別々の目盛を指示させることができるメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために請求項1に記載した本発明のメータは、指針軸によって回転される指針により、該指針の背後の文字板に前記指針の回転許容範囲に合わせて配設された目盛のうち、計測量に応じた目盛箇所を指示させるメータであって、前記文字板の前方に配設されて前記指針の回転許容範囲外の文字板部分を回転許容範囲とし、前記指針軸とは異なる第2指針軸により回転される第2指針と、前記第2指針の回転許容範囲に合わせて前記文字板の前記目盛以外の部分に配置され、前記第2指針により計測量に応じた箇所が指示される第2目盛と、前記第2指針の前方に配置され、該第2指針の少なくとも回転中心部分を覆うと共に、前記指針、前記目盛、及び、前記第2目盛を前方に露出させるカバーとを備え、前記第2指針軸が前記指針軸よりも前記第2目盛側に位置をずらして配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載した本発明のメータは、請求項1に記載した本発明のメータにおいて、前記目盛及び前記第2目盛が、前記文字板の、前記指針軸を中心とする同一の円弧上に配設されている構成とした。
【0014】
さらに、請求項3に記載した本発明のメータは、請求項1又は2に記載した本発明のメータにおいて、前記目盛が、前記指針軸を中心とする同心円状の外縁及び内縁を有する等幅の円弧状領域のうち、前記指針の回転許容範囲と重複する部分に配設されており、前記カバーが、前記第2指針の回転中心部分を含む該第2指針の回転許容範囲を覆う目隠し部と、該目隠し部に形成された窓部とを有しており、該窓部が、前記目盛が配設される部分と協働して前記円弧状領域を構成する形状で形成されており、前記窓部を通して前記第2目盛と該第2目盛を指示する前記第2指針の先端よりも第2指針軸寄りの指示部分とが、前記カバーの前方に露出されている構成とした。
【0015】
また、請求項4に記載した本発明のメータは、請求項3に記載した本発明のメータにおいて、前記指示部分が前記第2指針の延在方向において該延在方向と直交する幅方向の寸法が一定となるように形成されている構成とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した本発明のメータによれば、第2指針が指針の回転許容範囲外の文字板部分を回転許容範囲とするので、指針と第2指針とが互いに緩衝することなく、しかも、第2目盛が文字板の目盛以外の部分に配置されるので、第2目盛が目盛と重なってレイアウトされることもなく、よって、指針と目盛とによって構成される一つのメータのスペース内に、第2指針と第2目盛とによって構成されるもう一つのメータが、支障なくレイアウトされることとなる。
【0017】
そして、目盛が指針の回転許容範囲に合わせて配設されることから、指針軸を中心としその周囲に目盛が円弧状にレイアウトされることになり、一方、指針軸よりも第2目盛側に位置をずらして配置された第2指針軸による第2指針の回転中心部分は、少なくともカバーによって覆われることから、指針軸が中心にレイアウトされてその周囲に目盛が円弧状にレイアウトされるという、オーソドックスなスタイルのメータのイメージを損ねることなく、一つのメータのスペースで二つの指針により別々の目盛を指示させるというメータを実現することができる。
【0018】
また、請求項2に記載した本発明のメータによれば、請求項1に記載した本発明のメータにおいて、第2目盛が目盛と重なることなく指針軸を中心とする同一の円弧上に配設されることから、個別の指針(指針及び第2指針)によりそれぞれ指示される目盛と第2目盛とがあたかも一つのメータの目盛のようにレイアウトされるようにして、二つのメータの一体感を高め、オーソドックスなスタイルのメータのイメージをより高めることができる。
【0019】
さらに、請求項3に記載した本発明のメータによれば、請求項1又は2に記載した本発明のメータにおいて、カバーの窓部を通して第2指針の第2目盛と重なる部分のみカバーの前方から視認され、それ以外の第2指針部分はカバーに覆われてその前方からは視認されないので、第2指針による第2目盛上での計測値の指示というメータとしての機能を確保しつつ、計測値の指示に不要な第2指針部分をカバーで覆って、指針及び目盛によるメータには本来的に存在しない第2指針の露出を極力抑え、指針及び目盛によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針及び第2目盛によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【0020】
また、第2指針軸が指針軸よりも第2目盛側に位置をずらして配置されていることから、回転に伴う第2指針の先端の軌跡は、指針軸を中心とする円弧上に配設される目盛とは異なる曲率の円弧を描くことになるので、第2指針の先端がカバーの前方に露出しているとすると、第2指針がその回転時に、指針及び目盛により構成されるメータの要素として視覚的な違和感を与えることになってしまう。
【0021】
しかし、第2指針の指示部分よりも先端側や第2指針軸側の部分はカバーに覆われてその前方から視認されず、残る第2指針の指示部分のみが、指針軸を中心とする同心円状の外縁及び内縁を有する等幅の円弧状領域を目盛と協働して構成するカバーの窓部を通して、カバーの前方から視認されることになるので、カバーの前方から視認される第2指針部分(=第2指針の指示部分)が常に、指針軸からその径方向に等しい距離をおいた箇所に位置されるようにして、第2指針がその回転時に、指針及び目盛により構成されるメータの要素として視覚的な違和感を与えることがないようにし、その意味でも、指針及び目盛によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針及び第2目盛によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【0022】
また、請求項3に記載された本発明のメータにおいては、第2指針の指示部分をカバーの前方に露出させる窓部が指針軸を中心とする円弧状領域の一部を構成するようにレイアウトされているのに対して、指針軸よりも第2目盛側に位置をずらして第2指針軸が配置されていることから、第2指針が一般的なメータの指針のように先細り形状で形成されているとすると、窓部を通してカバーの前方から視認される第2指針の指示部分の幅方向寸法が、第2目盛のどの目盛箇所を指示しているかによって異なるので、視覚的な違和感を与えることになってしまう。
【0023】
しかし、請求項4に記載された本発明のメータによれば、カバーの窓部を通してカバーの前方から視認される第2指針の指示部分が、その幅方向において一定の寸法で形成されていることから、第2目盛のどの目盛箇所を指示していても常に、窓部を通してカバーの前方から視認される第2指針の指示部分の幅方向寸法が一定になるようにして、視覚的な違和感を与えないようにすることができし、指針及び目盛によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針及び第2目盛によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明のメータの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明の一実施形態に係るメータの正面図であり、図1中引用符号1で示す本実施形態のメータは、文字板3と、文字板3を貫通してその前方に突出する第1及び第2の指針軸5,7と、第1指針軸5(請求項中の指針軸に相当)に取り付けられてこれにより回転される第1指針9(請求項中の指針に相当)と、第2指針軸7に取り付けられてこれにより回転される第2指針11とを有しており、第2指針11の回転許容範囲は第1指針9の回転許容範囲外に設定されている。
【0026】
また、本実施形態のメータ1は、文字板3上に形成されて第1指針9により指示される第1目盛13(請求項中の目盛に相当)と、同じく文字板3上に形成されて第2指針9により指示される第2目盛15と、第2指針11の前方に配置された見返し板17(請求項中のカバーに相当)とを有している。
【0027】
前記文字板3は、図2にメータ1の分解斜視図で示すように、メータ1のケース1aの前面1bに一体に形成されており、第1指針9より若干長めの半径による円形の輪郭を有している。
【0028】
文字板3の外周縁には、第1指針軸5を中心とする同心円状の外縁3b及び内縁3cにより区画された円環状領域3aが形成されており、この円環状領域3aに、第1指針9の回転許容範囲に合わせた前記第1目盛13と、第2指針11の回転許容範囲に合わせた前記第2目盛15とが、第1指針軸5を中心とする同一円周上に位置するように配置されていて、円環状領域3aの内側の文字板3部分には、第1目盛13の目盛値13aが形成されている。
【0029】
尚、第2指針軸7は、第1指針軸5よりも若干第2目盛15側に位置をずらして配置されており、この第2指針軸7によって回転される第2指針11は、その回転許容範囲のどの回転位置にあっても、先端11aが文字板3の外側(円環状領域3aの外縁3b)の外側に位置するように形成されている。
【0030】
また、第2指針11の先端11a側には、図3に要部拡大平面図で示すように、第2指針11の延在方向のいずれの箇所においても幅方向(延在方向と直交する方向)の寸法が一定である指示部分11bが形成されており、この指示部分11bは、図2に示すように、第2指針11の指示部分11bとそれよりも第2指針軸7側の部分との境界が、第2指針11が第2目盛15のどの箇所を指示しているかに拘わらず、常に円環状領域3aの内縁3cよりも内側(第2指針軸7側)に位置するように形成されている。
【0031】
前記ケース1aには、前記第1指針9及び前記第2指針11の上から外蓋部材1cが取り付けられ、外蓋部材1cの係止片1dをケース1aの係止孔1eに係止することで、ケース1aの前面1bに対して外蓋部材1cの前面1fが、前記第1指針9及び前記第2指針11の回転を妨げないだけの十分な間隔をおいて平行に配置される。
【0032】
そして、外蓋部材1cの前面1fには、外蓋部材1cをケース1aに取り付けた状態で、図1に示すように文字板3を外蓋部材1cの外部に露出させる開口窓1gが形成されており、外蓋部材1cの前面からこの開口窓1gの内側に前記見返し板17が膨出形成されている。
【0033】
見返し板17には、外蓋部材1cをケース1aに取り付けた状態で、文字板3の円環状領域3aのうち第2目盛15が配置された部分を外蓋部材1cの外部に露出させる扇状の窓部17aが形成されており、この窓部17aは、第1指針軸5の軸線上に位置する外蓋部材1cの前面1f箇所を中心とし、窓部17aの外縁17b及び内縁17cが文字板3の円環状領域3aの外縁3b及び内縁3cと同一の曲率半径となるように構成されている。
【0034】
このため、見返し板17の窓部17aは、外蓋部材1cをケース1aに取り付けた状態で、開口窓1gを通して外蓋部材1cの外部に露出する円環状領域3aの見返し板17部分によって覆われる部分を、これに代わって構成するように、ケース1aの前面1b側の外部から視認される。
【0035】
尚、見返し板17の窓部17a以外の部分である目隠し部17bには、第2目盛15の目盛値15aが形成されている。
【0036】
前記ケース1の内部には、図1のA−A線断面図で示すように、第1指針軸5や第2指針軸7をそれぞれ回転させるモータ19,21、第1指針9及び第2指針11や第1目盛13及び第2目盛15、それらの目盛値13a,15aの透過照明用の光源23a〜23d及び導光板25が、文字板3の裏側の基板27に実装されて収容されている。
【0037】
このように構成された本実施形態のメータ1では、第2指針11が第1指針9の回転許容範囲外の文字板3部分を回転許容範囲とするので、第1指針9と第2指針11とが互いに緩衝することなく、しかも、第2目盛15が文字板3の円環状領域3aの第1目盛13以外の部分に配置されるので、第2目盛15が第1目盛9と重なってレイアウトされることもなく、よって、第1指針9と第1目盛13とによって構成される一つのメータのスペース内に、第2指針11と第2目盛15とによって構成されるもう一つのメータが、支障なくレイアウトされることとなる。
【0038】
そして、第1目盛13が第1指針9の回転許容範囲に合わせて配設されることから、第1指針軸5を中心としその周囲に第1目盛13が円弧状にレイアウトされることになり、一方、第1指針軸5よりも第2目盛15側に位置をずらして配置された第2指針軸7による第2指針11の指示部分11b以外の部分(先端11aや、指示部分11bよりも第2指針軸7側の部分)は、少なくとも見返し板17の目隠し部17bによって覆われることから、第1指針軸5が中心にレイアウトされてその周囲に第1目盛13が円弧状にレイアウトされるという、オーソドックスなスタイルのメータのイメージを損ねることなく、一つのメータのスペースで第1及び第2の二つの指針(第1指針9及び第2指針11)により別々の目盛(第1目盛13及び第2目盛15)を指示させるというメータを実現することができる。
【0039】
また、本実施形態のメータ1によれば、第2目盛15が第1目盛13と重なることなく第1指針軸5を中心とする同一の円弧上に配設されることから、個別の指針(第1指針9及び第2指針11)によりそれぞれ指示される第1目盛13と第2目盛15とがあたかも一つのメータの目盛のようにレイアウトされるようにして、二つのメータの一体感を高め、オーソドックスなスタイルのメータのイメージをより高めることができる。
【0040】
さらに、見返し板17の窓部17aを通して第2指針11の第2目盛15と重なる部分のみ見返し板17の前方から視認され、それ以外の、先端11aや、指示部分11bよりも第2指針軸7側の第2指針11部分は見返し板17に覆われてその前方からは視認されないので、第2指針11による第2目盛15上での計測値の指示というメータとしての機能を確保しつつ、計測値の指示に不要な第2指針11の先端11aや指示部分11bよりも第2指針軸7側の部分をカバーで覆って、第1指針9及び第1目盛13によるメータには本来的に存在しない第2指針15の露出を極力抑え、第1指針9及び第1目盛13によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針11及び第2目盛15によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【0041】
また、第2指針軸7が第1指針軸5よりも第2目盛15側に位置をずらして配置されていることから、回転に伴う第2指針11の先端11aの軌跡は、第1指針軸5を中心とする円弧上に配設される第1目盛13とは異なる曲率の円弧を描くことになるので、第2指針11の先端11aが見返し板17の前方に露出しているとすると、第2指針11がその回転時に、第1指針9及び第1目盛13により構成されるメータの要素として視覚的な違和感を与えることになってしまう。
【0042】
しかし、第2指針11の指示部分11bよりも先端11a側や第2指針軸7側の部分は見返し板17の目隠し部17bに覆われてその前方から視認されず、残る第2指針11の指示部分11bのみが、第1指針軸5を中心とする同心円状の外縁3b及び内縁3cを有する等幅の円弧状領域3aを第1目盛9と協働して構成するように視認される見返し板17の窓部17aを通して、見返し板17の前方から視認されることになるので、見返し板17の前方から視認される第2指針11の指示部分11bが常に、第1指針軸5からその径方向に等しい距離をおいた箇所に位置されるようにして、第2指針11がその回転時に、第1指針9及び第1目盛13により構成されるメータの要素として視覚的な違和感を与えることがないようにし、その意味でも、第1指針9及び第1目盛13によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針11及び第2目盛15によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【0043】
また、第2指針11の指示部分11bを見返し板17の前方に露出させる窓部17aが第1指針軸5を中心とする円弧状領域3aの一部を構成するようにレイアウトされているのに対して、第1指針軸5よりも第2目盛15側に位置をずらして第2指針軸7が配置されていることから、第2指針11が一般的なメータの指針のように先細り形状で形成されているとすると、窓部17aを通して見返し板17の前方から視認される第2指針11の指示部分11bの幅方向寸法が、第2目盛15のどの目盛箇所を指示しているかによって異なるので、視覚的な違和感を与えることになってしまう。
【0044】
しかし、本実施形態のメータ1によれば、見返し板17の窓部17aを通して見返し板17の前方から視認される第2指針11の指示部分11bが、その幅方向において一定の寸法で形成されていることから、第2目盛15のどの目盛箇所を指示していても常に、窓部17aを通して見返し板17の前方から視認される第2指針11の指示部分11bの幅方向寸法が一定になるようにして、視覚的な違和感を与えないようにすることができし、第1指針9及び第1目盛13によるメータの視覚的イメージを崩すことなく第2指針11及び第2目盛15によるもう一つのメータを一体的に合体させた構成とすることができる。
【0045】
尚、第2指針11の指示部分11bの形状は、本実施形態で示したような一定の幅方向でなく、従来から一般的な先細り形状であってもよく、また、見返し板17は、第2指針11の第2指針軸7部分を最低限覆うことのできる形状であれば、窓部17aの有無を含めて、任意の形状とすることができる。
【0046】
また、第2目盛15は、第1目盛13と同じく、第1指針軸5を中心とする文字板3の円弧状領域3aに配設されているものとしたが、円弧状領域3aとは異なる、例えば第2指針軸7を中心とする円弧上に第2目盛15が配設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るメータの正面図である。
【図2】図1に示すメータの分解斜視図である。
【図3】図2に示す第2指針の要部拡大平面図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 メータ
3 文字板
3a 円弧状領域
3b 外縁
3c 内縁
5 第1指針軸(指針軸)
7 第2指針軸
9 第1指針(指針)
11 第2指針
11a 先端
11b 指示部分
13 第1目盛(目盛)
15 第2目盛
17 見返し板
17a 窓部
17b 目隠し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針軸によって回転される指針により、該指針の背後の文字板に前記指針の回転許容範囲に合わせて配設された目盛のうち、計測量に応じた目盛箇所を指示させるメータであって、
前記文字板の前方に配設されて前記指針の回転許容範囲外の文字板部分を回転許容範囲とし、前記指針軸とは異なる第2指針軸により回転される第2指針と、
前記第2指針の回転許容範囲に合わせて前記文字板の前記目盛以外の部分に配置され、前記第2指針により計測量に応じた箇所が指示される第2目盛と、
前記第2指針の前方に配置され、該第2指針の少なくとも回転中心部分を覆うと共に、前記指針、前記目盛、及び、前記第2目盛を前方に露出させるカバーとを備え、
前記第2指針軸は前記指針軸よりも前記第2目盛側に位置をずらして配置されている、
ことを特徴とするメータ。
【請求項2】
前記目盛及び前記第2目盛は、前記文字板の、前記指針軸を中心とする同一の円弧上に配設されている請求項1記載のメータ。
【請求項3】
前記目盛は、前記指針軸を中心とする同心円状の外縁及び内縁を有する等幅の円弧状領域のうち、前記指針の回転許容範囲と重複する部分に配設されており、前記カバーは、前記第2指針の回転中心部分を含む該第2指針の回転許容範囲を覆う目隠し部と、該目隠し部に形成された窓部とを有しており、該窓部は、前記目盛が配設される部分と協働して前記円弧状領域を構成する形状で形成されており、前記窓部を通して前記第2目盛と該第2目盛を指示する前記第2指針の先端よりも第2指針軸寄りの指示部分とが、前記カバーの前方に露出されている請求項1又は2記載のメータ。
【請求項4】
前記指示部分は前記第2指針の延在方向において該延在方向と直交する幅方向の寸法が一定となるように形成されている請求項3記載のメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−212409(P2007−212409A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35455(P2006−35455)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】