説明

モジュール化電池装置

本発明は、少なくとも2つの電池1,4、これらの電池1,4の間に設けられかつこれらの電池の側方に密着する冷却体8、及び冷却体に設けられる2つの覆い蓋11,12を持つモジュール化電池装置に関し、冷却体が冷媒を通され、一方では電池に生じる熱を適当に放出し、他方では電池を支持し、冷却体の第1の端面を閉鎖する第1の覆い蓋11及び冷却体の第2の端面を閉鎖する第2の覆い蓋12、冷媒用の入口及び出口が設けられ、冷媒の入口が第1及び/又は第2の覆い蓋11に設けられ、冷媒の出口が第1及び/又は第2の覆い蓋に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの電池及び適当な冷却体を持つモジュール化電池装置、複数のモジュール化電池装置から形成される電池システム、及び電池システムを構造空間特に車両にあわせる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電池装置の構成は欧州特許第0917239号明細書から公知であり、円形電池が適当な温度調節装置により包囲されている。
複数の電池を持つ電池装置の別の構成も欧州特許第1508182号明細書から公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、簡単な構造、特に自動車の存在する空間への最適な適合、及びできるだけ効率的な冷却の点ですぐれている、請求項1の上位概念に記載のモジュール化電池装置を開発することである。
電池装置は、それが電池の可変な配置でできるだけ簡単かつ安価に製造可能であり、すべての電池に対してできるだけ均一な温度分布を保証するように、構成されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この課題は請求項1に記載の電池装置によって解決される。
【0005】
本発明による装置の実施形態によれば、少なくとも2つの電池、これらの電池の間に設けられかつこれらの電池の側方に密着する冷却体を持つモジュール化電池装置が設けられ、冷却体が冷媒を通され、一方では電池に生じる熱を適当に放出し、他方では電池を支持する。更に冷却体に2つの覆い蓋が設けられ、冷却体の第1の端面を閉鎖する第1の覆い蓋及び冷却体の第2の端面を閉鎖する第2の覆い蓋、冷媒用の入口及び出口が設けられ、冷媒の入口及び/又は出口が第1又は第2の覆い蓋に設けられている。
【0006】
本発明による装置の好ましい実施形態によれば、覆い蓋が覆い板として構成されている。更に冷却体の冷却通路を適当に閉鎖できる限り、覆い蓋の別の任意の形状も使用可能である。
【0007】
本発明による装置の好ましい実施形態によれば、冷却体の縦方向がその最大延長の方向として定義されている。本発明による装置の特別な構成によれば、冷却体の通路も同様に縦方向に向けられている。
【0008】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷媒の入口が第1の覆い蓋に設けられ、冷媒の出口が第2の覆い蓋に設けられている。
【0009】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷媒の出口及び入口が第1の覆い蓋に設けられている。
【0010】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷媒が隣接する通路を通って互いに逆の方向に流れる。
【0011】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷媒が隣接する通路を通って同じ方向に流れる
【0012】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷媒が、第1の範囲において連接する通路を第1の方向に流れ、第2の範囲において隣接する通路を第1の方向とは逆の第2の方向に流れる。
【0013】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体の縦方向に複数の電池が連続して設けられている。
【0014】
本発明による装置の別の実施形態によれば、少なくとも1つの覆い蓋特に両方の覆い蓋がダイカスト部品として構成され、冷却体に適当に取付けられ、特に冷却体に溶接されている。
【0015】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体が押出し部品であり、通路がその内部で押出し異形材の適当な壁により形成される。
【0016】
本発明による装置の別の実施形態によれば、2つの隣接する通路の接続部が、冷却体の両方の端面から交互に始まる壁の消失により形成される。
【0017】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体の2つの隣接する通路を接続するため、押出し異形材の特に管状の壁が冷却体の縦方向に除去されている。
【0018】
本発明による装置の別の実施形態によれば、電池を収容するため、冷却体が背中あわせにかつ横に並んで円弧状凹所を持ち、それぞれ4つの凹所の間に管を形成する第1の異形部分が設けられ、この異形材部分から中間壁が星状に出ている。
【0019】
本発明による装置の特別な実施形態によれば、少なくとも1つの電池が冷却体に圧着されかつ/又は接着されている。これにより電池と冷却体との間に良好な熱伝達が保証される。
【0020】
本発明による装置の別の実施形態によれば、覆い蓋が、管を形成する異形材部分と合同なそれぞれ1つの穴を持ち、したがって両方の覆い蓋が第1の引張り素子により互いに結合されている。
【0021】
本発明による装置の別の実施形態によれば、冷却体を形成する押出し異形材が、電池を収容するため、背中合わせに横に並んで円弧状凹所を持ち、背中合わせに設けられる一番上と一番下の2つの凹所と異形材の横部分との間に、管を形成する第2の異形材部分が設けられて、3つの中間壁を形成している。
【0022】
本発明による装置の別の実施形態によれば、管を形成する第2の異形材部分が、一方では冷媒の入口又は出口に接続されている。
【0023】
本発明による装置の別の実施形態によれば、電池及び冷却体の包囲体が設けられている。この包囲体が電池に冷却体から遠い方の外側で巻付く外側引張り素子により形成されている。特別な実施形態によれば、外側引張り素子と冷却体に当接しない電池の部分との間の空間が、三角縦異形材で満たされている。
【0024】
本発明による装置の別の実施形態によれば、三角縦異形材が中空である。
【0025】
本発明による装置の別の実施形態によれば、モジュール化電池装置がハウジング内に適当に隣接して設けられ、電池装置の入口及び出口が互いに接続されている、請求項1〜17の1つに記載の複数のモジュール化電池装置を持つ電池システムにより特徴づけられている。
【0026】
本発明による電子システムの別の特徴によれば、各冷却体が冷却体の縦方向に沿って垂直な中間面を持ち、電池装置が側方で冷却体の垂直な中間面に対して直角な方向に順次設けられている。
【0027】
本発明は、別の実施形態によれば、電池システムを構造空間なるべく車両に合わせる方法によって特徴づけられ、電池システムが請求項1〜17の1つに記載の少なくとも1つのモジュール化電池装置から形成され、モジュール化電池装置の冷却体が所定の幅及び高さ及び可変な長さを持ち、冷却体の長さが構造空間において利用可能な構造空間長さに応じて選ばれる。
【0028】
本発明による方法の別の実施形態によれば、モジュール化電池装置の冷却体が、押出し異形材から選ばれた長さに切断される。
【0029】
本発明の実施形態によれば、電池装置の冷却体が押出しにより製造される。
【0030】
本発明の特別な実施形態によれば、冷却体又は支持板が軽金属から成る押出し部品として構成され、押出し部品の異形材がその内部に、中間壁により隔離されて押出し部品の縦方向に延びる通路を持ち、液体が隣接する通路内を互いに逆方向に流れ、支持板を形成する押出し異形材がその両端面をそれぞれ覆い板により閉鎖されている。
【0031】
本発明の特別な実施形態によれば、押出しによる異形材の製造が、凹所の表面に関して充分一定な壁厚を持つ多数の平行な冷却通路、及び特に互いに逆の流通方向を持って隣接する多数の冷却通路を構成するために利用される。それにより各方向において均一な温度分布が得られる。当然押出し異形材の両側で開く冷却通路を閉鎖する端板又は覆い蓋は冷却液の接続部を形成するので、押出し異形材自体が最少の加工で使用される。
【0032】
更にこの使用の際押出し異形材は、任意の長さに切断できるので、異なる数の電池を順次設けることができるという利点を生じる。それにより電池の組込み寸法を、そのつど利用な組込み空間に合わせることができる。それにより、支持板を形成する押出し異形材の両端面を、異形材に一致する単一の覆い板で閉鎖することも可能である。
【0033】
本発明の特別な実施形態によれば、通路の接続部は覆い板にある凹所により形成される。しかし好ましい構成では、それぞれの端面から始まる中間壁の切込みによって形成されるので、そのために覆い板を特別に加工する必要がなく、同じ構造にすることができる。切込みの代わりに、入口及び出口を持つ管状壁部分を縦方向に除去することができる。
【0034】
支持板を形成する押出し異形材は、本発明の特別な実施形態によれば、その外側輪郭に、電池を少なくとも2つの平行な列で収容するための円弧状凹所を形成しているので、電池用凹所が対をなして背中合わせであり、凹所の対は横に並んでいる。
【0035】
好ましい構成では、それぞれ4つの凹所の間に、管を形成する第1の異形材が設けられ、この異形材から中間壁が星状に出ている。支持板の最大幅の所にあるこれらの異形材部分により冷媒の通らない区域及びこの区域の周りにあって冷媒流用のほぼ同じ断面の通路が形成される。それにより熱伝達のために重要な流速が充分不変である。
【0036】
別の構成では、覆い板がそれぞれ1つの管を形成するそれぞれ1つの異形材部分と合同なそれぞれ1つの穴を持ち、この穴により両方の覆い板が、その中間区域においても第1の引張り素子により一緒に保持される。引張り素子はなるべくボルトであり、覆い板を支持板へ漏れのないように押付ける。
【0037】
同様に別の好ましい実施形態によれば、一番上及び一番下の2つの背中合わせに設けられる1列の凹所と異形材の横部分との間に、管を形成するそれぞれ1つの第2の異形材部分が設けられて、それ自体3つの中間壁を形成している。これらの異形材部分は一方では液体冷却回路に接続されている。その他端は液密に閉鎖されている。そのため覆い板は、冷却回路への接続部の側に開口を持ち、この開口を通って冷却液体が導入又は導出される。
【0038】
別の好ましい実施形態による電池装置の展開では、電池装置の外側包囲体が、支持体から遠い方の側で電池に巻付く外側引張り素子により形成され、場合によっては第2の引張り素子と支持板に当接しない電池の部分との間の空間が、三角形縦異形材により満たされている。こうしてすべての電池が支持板の凹所に当接するのを保証されている。別の好ましい実施形態によれば、縦異形材は三角形の中空異形材である。これらの中空異形材を通って冷却液体が流れると、電池の周囲においても温度分布が改善される。
【0039】
例として示されるが限定的でない図により、本発明が以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】 本発明による電池装置を軸測投影図で示す。
【図2】 図1と同様であるが蓋なしの図を示す。
【図3】 図2のA方向に見た正面図を示す。
【図4】 図2のB方向にみた背面図を示す。
【図5】 図3及び4のV−V線による縦断面図を示す。
【図6】 本発明による電池装置の別の可能な実施例を示す。
【図7】 図6の冷却体を縦断面図で示す。
【図8】 図6による複数の電池装置から構成される電池システムを示す。
【図9】 電池装置の別の可能な実施例を示す。
【図10】 冷却体の別の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1において、2つの平行な列で設けられる電池は符号1〜6を付けられており、電池1〜3は第1列を形成し、電池4〜6は第2列を形成している。電池は任意の構造で化学的動作方式の高出力電池である。それらは円筒状で、電池の全長にわたって延びるか、又は図示した実施例におけるように前後に設けられる5つの個別電池から構成されている。電気接続は本発明にとって重要でないので、それに立入る必要はない。電池の2つの列の間に、全長にわたって、まだ説明しないやり方で冷媒を通される冷却体8又は支持板が延びている。冷却体は、なるべく軽金属又は他の適当な材料から成る押出し異形材である。押出しによる冷却体の製造は、複雑な断面を持ち両側で開く中空体を僅かな製造費で製造するのを可能にする。こうして製造された電池装置の長さを持つ片に切断される異形材は、こうして形成されるその両方の端面9,10を、覆い板又は覆い蓋11又は12(図5参照)で閉鎖されている。覆い蓋11,12は、それらが電池1〜6を特にその縦方向に保持しかつ/又は固定するように、構成されている。
【0042】
両方の覆い蓋11,12は第1の引張り素子13(例えば長いボルト)によりまとめられる。そのため覆い蓋11,12は縁に穴18を備え、支持板8の中央区域に穴19を備えている。すべての電池1〜6は、第2又は外側引張り素子14ここでは締付け帯により冷却体8へ押付けられかつまとめられる。第2又は外側引張り素子14と冷却体8から遠い方にある電池1〜6の輪郭との間に、それぞれ1つのほぼ三角形の中空異形材15が設けられている。近似的に、その2つの側面は円筒面を形成して、2つの電池に当接している。その覆い蓋11には、冷却回路への接続のため2つの穴16,17が設けられ、下の穴16は流入用であり、上の穴17は流出用である。
【0043】
図2は、前の覆い蓋11を取外された同じ電池装置を示しているので、押出し異形材の端面9従ってその断面が観察者に示される。
【0044】
図3には押出し異形材のみの前の端面9が示され、図4には後の端面10が示されている。押出し異形材の全体を20で示す外壁は、電池1〜6用の円弧状凹所21〜26を形成し、これらの凹所は対をなして背中合わせに横に並んで設けられている。更に外壁20は下の横壁28及び上の横壁29を形成している。凹所から横壁28,29への移行部に、別の第1の引張り素子用の穴18が設けられている。
【0045】
この外壁20内に、種々の壁により、縦方向に延びる多数の通路44〜53が形成されている。こうして下の横壁28と凹所23,26を形成する部分との間において、3つの外側壁部分に接触する第1の管状異形材部分31が、いわば内接円を形成している。このような第1の管状異形材部分は、上の横壁29と凹所21,24を形成する外壁20の部分との間にも設けられている。
【0046】
ここで凹所21,22,25及び24を形成する壁部分の間で、稜27の高さにある最も幅広い個所に、第2の管状異形材部分33が形成されている。この異形材部分33から星状に、中間壁37,38が、凹所を形成する外側壁部分へ出ている。同様に凹所22,23,24,25の間に、中間壁35,36を持つ第2の管状異形材部分32が形成されている。押出し異形材の最も幅狭い個所の所に、隔壁39,40,41がある。
【0047】
これらの中間壁35〜38及び隔壁39〜41は互いに隔離された流れ通路を形成し、実施例ではこれらの流れ通路において、隣接する流れ通路の間で流れ方向が変わる。流れ方向は図3に通常のように示されている。即ち中心に点を持つ円は、観察者の眼の方へ向く矢印を表わし、十字を持つ円は観察者から離れる矢印を表わす。後の端面10を示す図4では、流れ方向の符号は、同じ通路に対して図3の符号とは逆である。
【0048】
こうして次の通路が形成されている。即ち後の端面10の方へ流れを通される2つの対称な第1の通路44、前の端面9の方へ流れを通される1つの第2の通路45、後の端面10の方へ流れを通される1つの第3の通路46、前の端面9の方へ流れを通される2つの対称な第4の通路47、後の端面10の方へ流れを通される1つの第5の通路48;前の端面9の方へ流れを通される1つの第6の通路49、後の端面10の方へ流れを通される2つの対称な第7の通路50、前の端面9の方へ流れを通される1つの第8の通路51、後の端面10の方へ流れを通される1つの第9の通路52、前の端面9の方へ流れを通される2つの対称な第10の通路53。
【0049】
端面における流れの迂回のために、覆い蓋11,12の内側に適当な迂回通路を形成することができる。しかし本発明によれば、迂回通路は、端面9,10から始まる押出し異形材8の中間壁及び隔壁の切込みにより形成される。これらすべての切込みは両方の端面9,10の1つから始まっているので、僅かな製造費で例えばフライス削りによって形成される。
【0050】
図3には、前の端面9から始まる切込みが次の符号をつけられている。即ち流入口16を第1の通路44に接続するため管状異形材部分31にある63、第2の通路45を第3の通路46に接続するため隔壁39にある63,2つの第4の通路47を第5の通路48に接続するため中間壁35にある65、第6の通路49を2つの第7の通路50に接続するため中間壁37にある67、第8の通路51を第9の通路52に接続するため隔壁にある69,2つの第10の通路53を流出口17に接続するための72。切込み60,62,70,71の代わりに、管状壁部分31,34を除去することもできる。
【0051】
図4は後の端面10にある切込みを示している。即ち2つの第1の通路44を第2の通路45に接続するための61及び62、第3の通路46を2つの第4の通路47に接続するため中間壁35にある64、第5の通路48を第6の通路49に接続するため隔壁40にある66、第7の通路50を第8の通路51に接続するため中間壁38にある68、第9の通路52を2つの第10の通路53に接続するため管状異形材部分34にある71。
【0052】
第1の管状異形材部分31,34にある切込みにより、図5により説明される特徴が生じる。
【0053】
図5においてわかるように、冷媒の流入口16に接続されている第1の管状異形材部分31は、前の覆い蓋11の近く及び後の覆い蓋12の近くにそれぞれ1つの栓75,76を持っている。これらの栓75,76は一方の側にある入口空間78及び他方の側にある通過空間79を、両方の栓75,76の間にあって流れを通さないように閉鎖される空間77から隔離している。こうして流入口16を通って入る冷媒は入口空間8へ流入し、この入口空間から切込み(60(図3参照)を通って、図5において画面の前及び後にありまた図3では第1の管状異形材部分の両側にある2つの第1の通路44へ流れる。第1の通路44の他方の端部で、冷媒は切込み61を通って通過空間79へ入り、この通過空間から切込み62を経て第2の通路45へ入る。それから前の端面9で冷媒は切込み63を通って第3の通路46へ流れる。
【0054】
同じようにただし逆の方向へ、第1の管状異形材部分34にある流れが流出口17へ導かれる。
【0055】
ここまでは1つの実施例であるが、これとは異なり本発明の範囲内で、電池を3列以上にかつ/又は互いにずらして設け、支持板をそれに応じて適当に異なるように形成することもできる。その場合も内側壁の適当な配置で、隣接する通路における流れ方向を互いに逆にすることができる。それにより簡単かつ安価な製造で、支持板の表面における均一な温度分布が得られる。
【0056】
図6は本発明によるモジュール化電池装置80の別の可能な実施例を示す。ここでは複数の電池81,82,83,84が1つの冷却体85に設けられている。電池は冷却体85に接着されるか又は圧着されるか、又は別のやり方で冷却体に接触せしめられているので、作動中に電池により発生される熱が冷却体85へ伝達される。図6からわかるように、複数の電池81,82,83は冷却体85の縦辺に沿って順次にこれに設けられる。これは、特に冷却体がたとえば押出し異形材から形成され、その長さを利用可能な空間に会わされる場合に有利である。そのため押出し異形材を必要な長さに裁断することができる。電池は大抵の場合標準の大きさでのみ利用可能なので、冷却体の全長又は利用可能な構造空間をできるだけよく利用するため、複数の一層短い電池が順次に設けられる。
【0057】
図7には、中心面に沿う冷却体85の垂直断面図が示されている。そこには冷却体85に形成される通路86,87が認められる。更に図7の概略図において、通路86,87内の適当な矢印88,89により、冷媒の流れ方向が示されている。第1の上の範囲において、入口90aを経て第1の覆い蓋91へ導入される冷媒が、覆い蓋91内の仕切られる分配空間92において分配され、それから冷却体85の通路86,87を経て冷却体85の反対側へ、第2の覆い蓋94の仕切られる分配空間93へ導かれることがわかる。この分配空間93から冷媒は、続いて再び反対側へ第1の覆い蓋91の集合空間又は分配空間92へ導かれる。この集合空間92から冷媒は、覆い蓋91に設けられる出口90bを経て電池装置から導出される。したがって冷却体は垂直に二等分され、第1の上の範囲で冷媒が第1の側から第2の側へ流れ、第2の下の範囲において冷媒が第2の側から第1の側へ戻る。
【0058】
図8では複数のモジュール化電池装置95,96,97が1つの電池システムとなるように組合わされている。この目的のため出入口98は、なるべく統合された密封片例えばOリングを持つ適当な分配条片98,99により互いに接続されている。図8からわかるように、入口に接続するための上の分配条片98及び出口に接続するための下の分配条片99が設けられている。
【0059】
別の実施例において、入口及び出口の位置を交換することもできる。各電池装置が分配条片98,99の一部を持ち、従って図6に概略的に示すように、その覆い蓋85に第1及び第2の分配条片素子100,101を備えているのがよく、それにより分配条片を電池装置の分配条片素子の差し合わせによって形成することができる。
【0060】
モジュール化電池装置の本発明による構成の利点は、利用可能な構造空間へのその簡単な適合である。冷却体は一般に押出し異形材から製造されているので、それをほぼ任意の長さに裁断又ははめ込むことができる。従って構造空間に応じて、図9に単純化して示すように、任意の長さの電池装置102,103を製造することができる。冷却体の長さに応じて、冷却体の全長をできるだけ利用するため、適当な電池が使用されるか、又は複数の電池が順次に設けられる。そのため図9において上の範囲に電池装置の第1の構成が示され、ここでは3列の電池が順次に冷却体に設けられ、下の範囲では第1の構成において、垂直に配置される4列の電池が順次に冷却体に設けられている。両方の構成はその長さ及び冷却体の長さにおいて相違しているが、冷却体の輪郭は一致しており、特に単一の押出し異形材から製造されている。使用される電池も両実施例において相違していない。
【0061】
本発明の別の好ましい実施例によれば、電池装置は順次に設けられ、場合によってはその入口に接続され、またその出口に接続される。こうして適当に大きい出力を持つ大きい電池システムを実現することができる。
【0062】
冷却体104の別の可能な構成が図10に概略的に示されている。図7と同様に、ここでも冷却体の可能な実施例の垂直な縦断面が示されている。この実施例は、図示された他の実施例とは、第1の覆い蓋106に入口105が設けられ、反対側の第2の覆い蓋108に出口107が設けられている点において相違している。更に図10からわかるように、冷媒は、冷媒の流れ方向を特徴づける矢印109によって示すように、ほぼ平行な通路110内で同じ方向に、冷却体104を通って導かれる。覆い蓋106,108には、いわゆる分配空間又は集合空間111,112があって、冷媒を入口105から個々の通路110から出口107へ集める。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電池、これらの電池の間に設けられかつこれらの電池の側方に密着する冷却体、及び冷却体に設けられる2つの覆い蓋を持つモジュール化電池装置であって、冷却体が冷媒を通され、一方では電池に生じる熱を適当に放出し、他方では電池を支持し、冷却体の第1の端面を閉鎖する第1の覆い蓋及び冷却体の第2の端面を閉鎖する第2の覆い蓋、冷媒用の入口及び出口が設けられ、冷媒の入口が第1及び/又は第2の覆い蓋に設けられ、冷媒の出口が第1及び/又は第2の覆い蓋に設けられていることを特徴とする、モジュール化電池装置。
【請求項2】
冷媒の入口が第1の覆い蓋に設けられ、冷媒の出口が第2の覆い蓋に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化電池装置。
【請求項3】
冷媒の出口及び入口が第1の覆い蓋に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化電池装置。
【請求項4】
冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷媒が隣接する通路を通って互いに逆の方向に流れることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化電池装置。
【請求項5】
冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷媒が隣接する通路を通って同じ方向に流れることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化電池装置。
【請求項6】
冷却体が、冷却体の縦方向において、第1の覆い蓋と第2の覆い蓋との間に延びる別々の通路を持ち、冷却体が2つの別々の特に水平に別々の範囲を持ち、冷媒が、第1の範囲において隣接する通路を第1の方向に流れ、第2の範囲において第1の方向とは逆の第2の方向に流れることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール化電池装置。
【請求項7】
冷却体の縦方向に複数の電池が連続して設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項8】
少なくとも1つの覆い蓋特に両方の覆い蓋がダイカスト部品として構成され、冷却体に適当に取付けられ、特に冷却体に溶接されていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項9】
冷却体が押出し部品であり、通路がその内部で押出し異形材の適当な壁により形成されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項10】
2つの隣接する通路の接続部が、冷却体の両方の端面から交互に始まる壁の消失により形成されることを特徴とする、請求項9に記載のモジュール化電池装置。
【請求項11】
冷却体の2つの隣接する通路を接続するため、押出し異形材の特に管状の壁が冷却体の縦方向に除去されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載のモジュール化電池装置。
【請求項12】
電池を収容するため、冷却体が背中合わせにかつ横に並んで円弧状凹所を持ち、それぞれ4つの凹所の間に管を形成する第1の異形材部分が設けられ、この異形材部分から中間壁が星状に出ていることを特徴とする、請求項9〜11の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項13】
覆い蓋が、管を形成する異形材部分と合同なそれぞれ1つの穴を持ち、従って両方の覆い蓋が第1の引張り素子により互いに結合されていることを特徴とする、請求項12に記載のモジュール化電池装置。
【請求項14】
冷却体を形成する押出し異形材が、電池を収容するため、背中合わせに横に並んで円弧状凹所を持ち、背中合わせに設けられる一番上と一番下の2つの凹所と異形材の横部分との間に、管を形成する第2の異形材部分が設けられて、3つの中間壁を形成していることを特徴とする、請求項7〜12の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項15】
管を形成する第2の異形材部分が、一方では冷媒の入口又は出口に接続されていることを特徴とする、請求項14に記載のモジュール化電池装置。
【請求項16】
電池及び冷却体の包囲体が設けられ、この包囲体が電池に冷却体から遠い方の外側で巻付く外側引張り素子により形成され、外側引張り素子と冷却体に当接しない電池の部分との間の空間が、三角縦異形材で満たされていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載のモジュール化電池装置。
【請求項17】
三角縦異形材が中空であることを特徴とする、請求項16に記載のモジュール化電池装置。
【請求項18】
モジュール化電池装置がハウジング内に適当に隣接して設けられ、電池装置の入口が互いに接続され、電池装置の出口が互いに接続されている、請求項1〜17の1つに記載の複数のモジュール化電池装置を持つ電池システム。
【請求項19】
各冷却体が冷却体の縦方向に垂直な中間面を持ち、電池装置が側方で冷却体の垂直な中間面に対して直角な方向に順次設けられていることを特徴とする、請求項18に記載の電池システム。
【請求項20】
電池システムを構造空間なるべく車両に合わせる方法であって、電池システムが請求項1〜17の1つに記載の少なくとも1つのモジュール化電池装置から形成され、モジュール化電池装置の冷却体が所定の幅及び高さ及び可変な長さを持ち、冷却体の長さが構造空間において利用可能な構造空間長さに応じて選ばれることを特徴とする、方法。
【請求項21】
モジュール化電池装置の冷却体が、押出し異形材から選ばれた長さに切断されかつ/又は合わされることを特徴とする請求項20に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−503976(P2010−503976A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531728(P2009−531728)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008117
【国際公開番号】WO2008/034584
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(503211264)マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (18)
【Fターム(参考)】