説明

モニタリングシステム

【課題】本発明の目的は、カメラ映像とそのカメラが写している場所のレイアウト図表示画面での位置関係を明確にすることである。
【解決手段】モニタリング対象の場所のレイアウト図をカメラ映像と同時に表示し、レイアウト図の上にカメラの位置と当該カメラが写している映像の範囲を表示している映像枠を表示することにより、監視対象の移動が起きて、当該カメラが写している映像の範囲を外れた場合に、レイアウト図の上で、外れた方向にあるカメラが写している映像範囲が判るので、次に監視すべきカメラを特定することができ、監視対象を追跡するモニタリングが容易にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで監視するモニタリングシステムに関わり、特に遠隔地にある監視場所をセンターで集中監視する遠隔モニタリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の監視場所や複数のカメラがある場合、それらに対して区別をするのに名前を付けていた。この名前で、監視したいカメラを特定して、その映像をモニタリングするのが普通であった。これに対して、「特開平11−66276号公報」では、モニタリングを容易に行うために、監視する場所のレイアウト図とその図の上にカメラの位置(視点)を表示する方法のモニタリングを考案していた。
【特許文献1】特開平11−66276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数のカメラを使って監視するモニタリングでは、カメラに写った監視対象の物体(人など)を追跡しようとする場合、監視対象の移動に応じて、当該カメラが写している映像の範囲から外れた場合に、次にどのカメラの映像をモニタリングすればよいかが問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
モニタリング対象の場所のレイアウト図をカメラ映像と同時に表示し、レイアウト図の上にカメラの位置と当該カメラが写している映像の範囲を表示している映像枠を表示することにより、監視対象の移動が起きて、当該カメラが写している映像の範囲を外れた場合に、レイアウト図の上で、外れた方向にあるカメラが写している映像範囲が判るので、次に監視すべきカメラを特定することができ、監視対象を追跡するモニタリングが容易にできる。
【発明の効果】
【0005】
レイアウト図の上で、設置されたカメラの映像がどこを写しているかが判り、カメラ間の位置関係も判るので、監視対象の追跡や死角が容易にわかるため、問題が発生したときの対応が迅速にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、多数のカメラ映像のモニタリングを離れた場所のセンターで集中して行う遠隔モニタリングに適したものである。
【実施例1】
【0007】
図1、図4、図5を用いて、本発明の一実施例を説明する。図4は、本発明を実施するためのシステム構成を示したものである。モニタリング対象場所400には、カメラ401とカメラの映像信号404を伝送用の信号406に変換して送信する処理装置403がある。伝送用の信号406は、ネットワーク410を通じて、離れた場所にある監視センター420に送られる。監視センター420には、送られてきた伝送用の信号424を受信し、映像データに変換する処理装置421と処理装置421を操作する操作機器423と変換された映像データを表示するディスプレイ422がある。
【0008】
処理装置421には、図5に示す、モニタリング対象場所400のレイアウト図のファイル501とレイアウト図の上に表示されるカメラの位置(X,Y)と当該カメラが写している映像がレイアウト図の上でどの範囲かを示す映像枠の中心位置(XC,YC)と大きさ(L,M)を示すデータ502〜513を含む表データ500が取り込まれている。これらの表データ500は、カメラをモニタリング対象場所400に設置し、その映像を見て、レイアウト図のどの範囲かを調べて設定するものである。図4のディスプレイ422は、図1では2画面ディスプレイ100に相当するものである。
【0009】
2画面ディスプレイ100では、一方の画面にはレイアウト図表示画面101、もう一方の画面にはカメラが写すカメラ映像表示画面121を表示している。レイアウト図表示画面101のレイアウト図は、場所400のレイアウト図データのファイル501を処理装置421で処理してディスプレイ100に表示したものである。図1ではレイアウト図表示画面101の例として、実線で売り場の棚やレジ等を長方形で表示している。カメラ映像表示画面121には、複数のカメラの映像を表示してもよい。図1では、表データ500を基にして、4つのカメラの位置と当該カメラが写している映像がレイアウト図の上で示す場所の映像枠とそれぞれに対応したカメラ映像を表示する表示領域を表示している。
【0010】
図5においてカメラaの位置データ502と映像枠の中心位置データ503と映像枠の大きさデータ504は、図1のレイアウト図表示画面101では、カメラaの位置102,映像枠の中心位置103,映像枠(中心位置データ503と大きさデータ504から計算される)104を破線で表示する。カメラ映像表示画面121では、カメラaの映像は表示領域122に表示される。カメラaの映像枠104はレイアウト図表示画面101における大まかな位置関係と大きさが判れば、監視目的に十分であるので、図1に示すように矩形で定義してもよい。その場合には、矩形の映像枠104は、大きさデータ(La,Ma)から矩形を作り、矩形の中心を中心位置データ503(XCa,YCa)に配置するのである。
【0011】
カメラb、c、dについても同様である。レイアウト図表示画面101上の映像枠の数が、カメラ映像表示画面121の表示領域数より多い場合には、映像枠を操作機器423で選択することにより、その選択された情報を元に、カメラ映像を選択して表示することもできる。例えば、表示映像の表示領域として122しかない場合、映像枠104を選択したらカメラaの映像を、映像枠107を選択したらカメラbの映像を、映像枠110を選択したらカメラcの映像を、映像枠113を選択したらカメラdの映像を表示することもできる。映像枠104、107、110、113の位置と大きさのデータは、実際に写されている表示領域122〜125の映像を見て、操作機器423で、位置と大きさを指定することで修正や追加・削除もすることができる。
【実施例2】
【0012】
図3を使って実施例2を説明する。図3は、レイアウト図301の上に表示されるカメラの映像枠の中に、カメラ映像を表示する1画面ディスプレイ300の例である。図3におけるカメラ映像の表示領域304にはカメラaの映像を、表示領域307にはカメラbの映像を、表示領域310にはカメラcの映像を、表示領域313にはカメラdの映像を表示するものである。図3では太い実線で映像枠を表示している。表示領域は、映像枠と同じ大きさにしてもよく、また、見やすさを考えて、図3に示すように同じ大きさの映像枠を表示してもよい。
【実施例3】
【0013】
図2,図4,図6を使って実施例3を説明する。図4に示すカメラ401は、パン及びチルト及びズームができるPTZカメラである。監視センター420にある処理装置421に対してディスプレイ422に表示される画面を見て、操作機器423で操作すると、その制御信号424は処理装置421から送信され、ネットワーク410を経由して、処理装置403で受信され、制御信号405は制御機器402に伝えられ、カメラ401のパン及びチルト及びズームを制御する。図2を使って、映像枠204がカメラ401を制御することにより、映像枠206に移動することを説明する。
【0014】
図2のカメラ映像表示画面211は、映像表示領域212とカメラ向きの移動(パン及びチルト)アイコン213とズームアイコン214を操作する画面で構成される。操作機器423で移動アイコン213とズームアイコン214を操作することにより、カメラ401は制御される。カメラ401が制御されると、それと連動してカメラ401映像の映像枠の位置も大きさも変化させなければならない。操作機器423で移動アイコン213を操作すると、パン値603とチルト値604が変化する。その変化に応じてカメラ映像の中心位置を定義した表610〜612から映像枠の中心位置を求める。
【0015】
この表を作るには、パン値603とチルト値604の2つの変数を変えて、カメラの映像の中心位置がレイアウト図表示画面201のどの位置になるかを調べなければならない。その作業は大変となるので、それぞれをいくつかの代表点で表す。図6の例では、パン値の代表点の列610とチルト値の代表点の行611は、それぞれ5つで、映像枠の中心位置612を調べた表である。現在のパン値603に最も近い値の代表点をパン値の列610から調べ、現在のチルト値604に最も近い代表点をチルト値の行611から調べ、対応する映像枠の中心位置を表612から求めるのである。
【0016】
大きさについては、ズーム値605が対応している。ズームアイコン215を操作すると、ズーム値605が変化する。その変化に応じてカメラ映像の大きさを定義した表620,621から映像枠の大きさを処理装置421で求める。図6の例では、ズーム値も5つの代表点620に対応した映像枠の大きさ621として表したものである。現在のズーム値605に最も近い値の代表点をズーム値の列620から調べ、対応する映像枠の大きさを表621から求めるのである。これらの処理を処理装置421で行い、レイアウト図表示画面201上の映像枠204を映像枠206に位置と大きさを変化させて表示する。
【0017】
映像枠204,206はレイアウト図表示画面201における大まかな位置関係と大きさが判れば、監視目的に十分であるので、矩形で定義してもよい。図2の例では、代表点の数として、5つであったが、これに限定されるものではない。目的に応じて任意の数を設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、カメラを使った映像の遠隔モニタリングで監視対象の追跡や死角が容易に把握できるため、迅速な対応ができる。そのため、映像の遠隔モニタリングを行う監視センターで利用される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】カメラの映像枠を表示したレイアウト図表示画面とカメラ映像表示画面の2画面ディスプレイ。
【図2】PTZカメラの映像枠を表示したレイアウト図表示画面とカメラ映像及びその操作画面を表示する2画面ディスプレイ。
【図3】レイアウト図表示画面の上にカメラ映像を表示した1画面ディスプレイ。
【図4】遠隔モニタリングシステムの構成。
【図5】レイアウト図表示画面とカメラ映像枠を表示するための表データ。
【図6】レイアウト図表示画面とPTZカメラ映像枠を表示するための表データ。
【符号の説明】
【0020】
100…2画面ディスプレイ
101…レイアウト図表示画面
102、105、108、111…カメラの位置
103、106、109、112…カメラが写している映像枠の中心位置
104、107、110、113…カメラが写している映像枠
121…カメラ映像表示画面
122〜125…カメラ映像の表示領域(カメラ映像)

200…2画面ディスプレイ
201…レイアウト図表示画面
202…カメラの位置
203、205…カメラが写している映像枠の中心位置
204、206…カメラが写している映像枠
211…カメラ映像表示画面
212…カメラ映像の表示領域(カメラ映像)
213…カメラ向きを移動のアイコン(パン及びチルト)
214…カメラのズームアイコン
300…ディスプレイ
301…レイアウト図及びカメラ映像表示画面
302、305、308、311…カメラの位置
303、306、309、312…カメラ映像表示領域の中心位置
304、307、310、313…カメラ映像表示領域(カメラ映像)
400…モニタリング対象場所
401…カメラ
402…カメラの制御装置
403…カメラ映像の変換・伝送装置
404…カメラの映像信号
405…カメラの制御信号
406…伝送用の信号
410…ネットワーク
420…監視センター
421…処理装置
422…ディスプレイ
423…操作機器
424…伝送用の信号
500…カメラの位置、映像枠等データの表
600…PTZカメラの位置、パラメータ値の表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場所を写すカメラと、前記カメラの映像を送信する手段と、前記カメラからの映像を受信する手段と、受信した映像を表示する手段と、前記場所のレイアウト図を取り込む手段と、取り込んだ前記レイアウト図を表示する手段と、前記レイアウト図の上に前記カメラの位置と前記カメラが写している場所の位置と大きさを示す映像枠を重ねて表示することを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項2】
前記レイアウト図にカメラが写している場所を示す映像枠が複数あるシステムにおいて、前記映像枠を指定する手段と、指定された前記映像枠の映像を表示することを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項3】
請求項1のレイアウト図のカメラが写している場所を示す映像枠内に、当該カメラ映像を表示することを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項4】
請求項1のカメラとして、少なくともパン及びチルト及びズーム機能を有するシステムにおいて、それらを制御することに応じて、当該映像枠の位置及び大きさを変更することを特徴とするモニタリングシステム。
【請求項5】
前記システムにおいて、前記映像枠を指定・移動・拡大/縮小する手段と、当該手段を用いることにより、当該カメラのパン、チルト、ズームを行うことを特徴とするモニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−148406(P2006−148406A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334179(P2004−334179)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000233136)株式会社日立アドバンストデジタル (76)
【Fターム(参考)】