説明

モラクセラ(ブランハメラ)カタラーリス抗原

【課題】予防、診断、及び/又は治療に有用であるポリペプチドを提供する。
【解決手段】ヒトの呼吸器感染症の起炎菌、幼児や子供の中耳炎の起炎菌、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)及びインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)に次ぐ第3の最も代表的な起炎菌、副鼻腔炎、慢性咳、成人の急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児(neonatorum)の結膜炎、及び免疫不全宿主の侵入性疾病を含む、他の何種類かの感染症にも関連があるモラクセラ(ブランハメラ)カタラーリスのポリペプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドに関し、より詳細にはモラクセラブランハメラカタラーリスMoraxella (Branhamella) catarrhalis)感染の予防、診断及び/又は治療に利用可能であるモラクセラブランハメラカタラーリスポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
モラクセラブランハメラカタラーリスは、グラム陰性双球菌であり、ヒトの呼吸器感染症の起炎菌である。M. カタラーリスは現在、幼児や子供の中耳炎の起炎菌として、肺炎球菌Streptococcus pneumoniae)及びインフルエンザ菌Haemophilus influenzae)に次ぐ第3の最も代表的な起炎菌と認められている。M. カタラーリスはまた、副鼻腔炎、慢性咳、成人の急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児(neonatorum)の結膜炎、及び免疫不全宿主の侵入性疾病を含む、他の何種類かの感染症にも関連がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
M. カタラーリス株の約90%は抗生物質に耐性があり(β‐ラクトース陽性)、また再発性中耳炎は高死亡率に結びつくため、宿主へのM. カタラーリス感染予防ワクチンの開発が必要とされている。M. カタラーリス感染は、細菌細胞表面の抗原に対する免疫反応を促す。しかしながら、これら表面蛋白の多くは未だ特徴づけられておらず、他の菌からの感染予防効果につながるような免疫反応も確認されていない。
【0004】
宿主へのM. カタラーリス感染予防ワクチンの開発には、主に、偏在性表面タンパク質A(UspA)という名の高分子・質量タンパクのような外膜タンパク質に集中した努力がなされてきた。このタンパク質は、マウスの肺-クリアランスモデルにおいて、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方が殺菌及び防御作用を示したため、ワクチンとして有望視されたものである。しかしながら、このタンパク質は、他のM. カタラーリスの株との間では非常に変動性が高かった。このタンパク質の他にも、別のM. カタラーリスタンパク質もワクチンの候補として関心を集めており、保存エピトープを有するトランスフェリン結合タンパクは、細菌表面に表れたものであった。しかしながら、ある株から他の株への、同タンパク質による抗体交叉反応の程度には開きがあった。また他の研究者も、45KDaのタンパク質CD(OMP CD)に焦点を当てていた。このタンパク質は、M. カタラーリスの株の中でも非常に保存性が高いが、慢性閉塞性肺疾患の成人の、このOMP CDに対する免疫反応には変動性が見られる。
【0005】
それ故に、モラクセラブランハメラカタラーリス感染の予防、診断及び/又は治療に利用可能であるM. カタラーリスポリペプチドの解明が、依然必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の概要)
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0007】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに関する。
【0008】
他の態様においては、本発明のポリヌクレオチドにコードされたポリペプチド、薬剤組成物、発現制御部位と機能が発現するように連結された本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、及び前記ベクターを用いて核酸注入(トランスフェクション、形質移入)された宿主細胞が提供され、また、発現に適した条件下において、前記宿主細胞を培養する工程を含むポリペプチドの作成方法が提供されている。
本出願の国際出願日の特許請求の範囲は以下のものである。
[請求項1]
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3、5、7、9、11、13に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチド。
[請求項2]
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3、5、7、9、11、13から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチド。
[請求項3]
前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
[請求項4]
前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
[請求項5]
前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
[請求項6]
前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
[請求項7]
厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号第2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるものである)のいずれかにハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド。
[請求項8]
厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号第2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるものである)のいずれかにハイブリダイズする、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
[請求項9]
厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるものである)のいずれかにハイブリダイズする、請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
[請求項10]
厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドからの、少なくとも10の連続するアミノ酸残基からなるものである)のいずれかにハイブリダイズする、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
[請求項11]
厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドからの、少なくとも10の連続するアミノ酸残基からなるものである)のいずれかにハイブリダイズする、請求項2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
[請求項12]
前記DNAを発現制御部位と機能が発現するように連結された、請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[請求項13]
前記DNAを発現制御部位と機能が発現するように連結された、請求項2に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[請求項14]
請求項12に記載のベクターを用いて核酸注入された宿主細胞。
[請求項15]
請求項13に記載のベクターを用いて核酸注入された宿主細胞。
[請求項16]
前記ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求項14に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、ポリペプチドの生成方法。
[請求項17]
前記ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求項15に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、ポリペプチドの生成方法。
[請求項18]
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗原を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチド。
[請求項19]
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗原を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチド。
[請求項20]
配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチド。
[請求項21]
配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチド。
[請求項22]
請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドと、
薬学的に受容可能な担体、希釈液、又はアジュバントを含む薬剤組成物。
[請求項23]
モラクセラMoraxella)感染を受けやすい宿主に、請求項22に記載の組成物を予防又は治療量投薬する工程を含む、モラクセラ感染の予防又は治療方法。
[請求項24]
前記宿主が新生児、幼児、又は子供である、請求項23に記載の方法。
[請求項25]
前記宿主が免疫不全宿主である、請求項23に記載の方法。
[請求項26]
前記宿主が成人である、請求項23に記載の方法。
[請求項27]
前記宿主に請求項22に記載の組成物を予防又は治療量投薬する工程を含む、中耳炎、副鼻腔炎、慢性咳、急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児(neonatorum)の結膜炎、侵入性疾病の予防又は治療方法。
[請求項28]
(a)宿主から生体サンプルを得る工程、
(b)請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
(c)モラクセラの存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する工程
を含む、モラクセラ感染を受けやすい宿主における、モラクセラ感染診断方法。
[請求項29]
(a)宿主から生体サンプルを得る工程、
(b)請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
(c)モラクセラの存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する工程
を含む、前記抗体を含むか又は含むと思われる生体サンプルにおける、モラクセラ抗原に特異的な抗体の検出方法。
[請求項30]
モラクセラ感染の予防又は治療処理用の薬剤を製造において、請求項22に記載の薬剤組成物を使用する方法。
[請求項31]
請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドを含む、モラクセラ感染の検出又は診断用のキット。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、精製かつ単離されたポリヌクレオチドにおいて、モラクセラ感染の予防、診断及び/又は治療に利用可能な、モラクセラのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供している。
【0012】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供している。
【0013】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供している。
【0014】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供している。
【0015】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供している。
【0016】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに関する。
【0017】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14を含むアミノ酸配列により特徴付けられたポリペプチドに関する。
【0018】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープに関する。
【0021】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープに関する。
【0022】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0024】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも90%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドに関する。
【0027】
一態様において、本発明は、
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3、5、7、9、11、13に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0028】
一態様において、本発明は、
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3、5、7、9、11、13から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
一態様において、本発明は、
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0030】
一態様において、本発明は、
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0031】
当業者であれば、本発明には、本願に記載のDNA分子、すなわち突然変異体や、変異体や、相同物や、それらポリペプチドの誘導体のような類似体をコードするポリヌクレオチドや、それらの相補的配列が含まれることが理解できよう。また、本発明には、本発明のDNA分子に対応するRNA分子も含まれる。DNAやRNA分子以外にも、本発明には、対応するポリペプチドや、かかるポリペプチドに特異的に結合する単一特異性抗体が含まれる。
【0032】
さらなる一実施例おいて、本発明のポリペプチドは抗原性を示す。
【0033】
さらなる一実施例において、本発明のポリペプチドは免疫原性を示す。
【0034】
さらなる一実施例において、本発明のポリペプチドは、宿主内で免疫反応を引き起こすことができる。
【0035】
さらなる一実施例において、本発明は、上記の本発明のポリペプチドに対して結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドにも関連がある。
【0036】
“結合特異性を有する”抗体は、選択されたポリペプチドを認識して結合するけれども、サンプル、例えば生体サンプル内の他の分子を明らかに認識せず結合もしない抗体であり、その生体サンプルには当然にその選択されたペプチドが含まれる。結合特異性は、固相酵素免疫検定法を用いて測定することができるが、それにおいては、選択されたポリペプチドを抗原として使用する。
【0037】
本発明において、生物学の研究上の“予防”とは、生存曲線や、生存率や、生存期間の顕著な増加によって規定されるものである。生存曲線を比較するためのログランク検定や、生存率及び死亡までの日数を比較するためのフィッシャーの正確確率検定を用いた統計分析は、それぞれ、P値を算出して2グループ間に統計上の顕著な相違があるかを判断するのに有用であろう。P値の0.05は、顕著ではないとみなされる。
【0038】
本発明の他の態様においては、本発明のポリペプチドの抗原性/免疫原性を有する断片や、それらの類似体が提供されている。
【0039】
本発明の断片は、かかる抗原決定部位を1又はそれ以上含むか、あるいはそれらの抗原性/免疫原性特性を維持するのに十分な程、かかる部位に類似したものでなければならない。従って、本発明の断片は、本明細書に記載のポリペプチドや類似体の特定部位と100%の同一性を有するかもしれないので、本発明の断片に関して、同一性の程度はおそらく無関係なものであろう。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列からの、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を有する断片を提供する。一態様においては、少なくとも15の連続するアミノ酸残基である。一態様においては、少なくとも20の連続するアミノ酸残基である。
【0040】
当業者であれば、本発明を再検討する中で、本発明のポリペプチド類似体が利用可能であること、すなわち抗原性/免疫原性を有する材料として利用可能であることが理解できよう。従って、本発明には、例えば付加、欠失、又は置換等を1又はそれ以上含むタンパク質やポリペプチドが含まれる。
【0041】
本明細書で用いる、本発明のポリペプチドの“断片”、“類似体”、又は“誘導体”には、アミノ酸残基の1又はそれ以上が、保存されるか又は保存されていないアミノ酸残基(好ましくは保存されたもの)で置換されたポリペプチドが含まれ、それらは天然のものかもしでないし又はそうでないかもしれない。一態様においては、本発明のポリペプチドの誘導体や類似体は、図面に表示の配列か又はそれらの断片に対して、約80%の同一性を有する。すなわち、残基の80%が同一である。他のさらなる態様では、ポリペプチドは80%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは85%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは90%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは95%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは99%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様においては、本発明のペプチド類似体の、約20より少ないアミノ酸残基が置換、修飾又は欠失されており、好ましくは10より少ないものがそうである。
【0042】
これら置換基は、ペプチドの二次構造や疎水性度(hydropathic nature)に最小限の影響しか与えないものである。好ましい置換基は、保存されているとして従来から知られているもの、すなわち、疎水性、大きさ、電荷、又は官能基などの物理的又は化学的特性を共有する置換残基である。前記置換基には、デイホフ.Mが“Atlas of Protein Sequence and Structure 5(1989年)”中で記載した置換基、又はアルゴス.Pが“EMBO J.(8、第779-785頁、1989年)”中に記載した置換基などが含まれる。例えば、天然のものであろうが又はそうでなかろうが、下記グループ:
ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr、val;
cys、ser、tyr、thr;
val、ile、leu、met、ala、phe;
lys、arg、orn、his; 及び、
phe、tyr、trp、his
の1つに属するアミノ酸は、保存的置換を代表するものである。好ましい置換基は、対応するL-アミノ酸のD-光学異性体の置換基も含む。
【0043】
従来とは異なるアプローチでは、類似体を、例えば効果的に所望のポリペプチドにタグを付けることによって、精製をより簡単にするための部分を組み込んだ融合ポリペプチドとすることができる。“タグ”は、取り除く必要があるかもしれないし、又は融合ポリペプチド自体が使用に十分な抗原性を維持する場合もあるかもしれない。
【0044】
相同性のパーセンテージは、同一性のパーセンテージと、アミノ酸のタイプの類似性や、又は保存のパーセンテージの、合計パーセンテージとして定める。
【0045】
一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図面に記載の配列又はそれらの断片に対して、約70%の同一性を有する。すなわち、残基の70%が同一である。さらなる一態様において、ポリペプチドは80%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは85%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは90%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは95%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは99%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20より少ないアミノ酸残基、好ましくは10より少ないものが置換、修飾又は欠失されている。
【0046】
一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図面に記載の配列又はそれらの断片に対して、約70%の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは80%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは85%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは90%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは95%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは99%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20より少ないアミノ酸残基、好ましくは10より少ないものが置換、修飾又は欠失されている。
【0047】
アミノ酸配列を比較するためには、CLUTALプログラムのようなプログラムを用いることができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較して、必要に応じてどちらかの配列にスペースを挿入することにより、最適配列を探し出すというものである。最適配列について、同一性や相同性を求めることもできる。BLASTxのようなプログラムは、類似配列を最も長くなるように一直線に配列し、適合値を定める。従って、それぞれ異なる値を有するとして見付かったいくらかの類似する部位を、比較することが可能となる。本発明では、両タイプの同一性分析の検討がなされている。
【0048】
従来とは異なるアプローチでは、類似体又は誘導体は、例えば効果的に所望のタンパク質又はポリペプチドにタグを付けることによって、精製をより簡単にするための部分を組み込んだ融合ポリペプチドとすることができる。“タグ”は、取り除く必要があるかもしれないし、又は融合ポリペプチドが使用に十分な抗原性を維持する場合があるかもしれない。
【0049】
抗原決定部位、すなわちポリペプチドの抗原性又は免疫原性を担う抗原決定部位を特定するための抗原性ポリペプチドを選別できることは既知である。かかる選別を行なう方法は、従来から知られている。従って、本発明の断片は、かかる抗原決定部位を1又はそれ以上含むか、又はそれらの抗原性/免疫原性特性を維持できる程十分にかかる部位に類似していなければならない。
【0050】
従って、本発明の断片は、本明細書に記載のポリペプチドや類似体の特定部位と100%の同一性を有するかもしれないので、本発明の断片に関して、同一性の程度はおそらく無関係なものであろう。
【0051】
従って、類似体、誘導体、及び断片としては、それらが、少なくともそれらの誘導前のタンパク質又はポリペプチド程度の抗原性/免疫原性特性を有することが重要である。
【0052】
また、ポリペプチドの生物学上又は薬学上の特性を変える他の化合物、すなわち半減期を長期化するポリエチレングリコール(PEG)、精製を簡略化するリーダー又は分泌アミノ酸配列、プレプロ及びプロ配列、及び(ポリ)サッカリドと融合されたポリペプチドも含まれる。
【0053】
さらに、アミノ酸部位が多型性であると分かっている場合には、特定のアミノ酸1又はそれ以上を変えて、異なるモラクセラ株の異なるエピトープに、より効果的に似せるようにすることが望ましい。
【0054】
さらに、本発明のポリペプチドは、末端のNH2基のアシル化により(例えば、アンモニアやメチルアミンを用いた、アセチル化、又はチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシル基のアミド化により)修飾して、安定性を与え、かつ、担体や他の分子への結合又は連結に関する疎水性を高めることができる。
【0055】
また、ポリペプチドの断片及び類似体の、ヘテロ及びホモポリペプチドマルチマーについても検討する。これらのポリマー型のものには、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒド、又はジメチルスーパーイミデイトなどの架橋剤によって架橋された、1又はそれ以上のポリペプチドが含まれる。それらポリマー型のものには、組換えDNA技術によって生み出された、マルチシストロニック(multicistronic)mRNAから生成された2つ又はそれ以上の直列又は反転した隣接配列を含むポリペプチドも含まれる。
【0056】
さらなる一態様において、本発明は、本願の図面に記載のポリペプチド、又はそれらの断片か若しくは類似体を1又はそれ以上含むキメラポリペプチドにも関連する。
【0057】
さらなる一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチドにも関連する。
【0058】
さらなる一態様において、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列から選択された配列からなるポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチドにも関連する。
【0059】
好ましくは、本発明のポリペプチドの断片、類似体、又は誘導体は、抗原部位を少なくとも1つ、すなわち抗原決定部位を少なくとも1つ含むものであろう。
【0060】
抗原性ポリマー(すなわち合成マルチマー)の形成を完成させるために、ポリペプチドには、ビスハロアセチル基を有するものか、又はニトロアリルハロゲン化物等を用いることができるが、ここで試薬は、チオ基に対して特異性を有するものである。従って、異なるポリペプチドの2つのメルカプト基間の連結は、1重結合であるかもしれないし、又は炭素数が少なくとも2、典型的には炭素数が少なくとも4、そして炭素数が多くても16の結合基から成るものであるかもしれないけれども、通常炭素数は14以下である。
【0061】
ある特定の態様においては、本発明のポリペプチド断片及び類似体は、メチオニン(Met)やバリン(Val)のような開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドは、リーダー又は分泌配列(シグナル配列)を組み込まないものであろう。本発明のポリペプチドのシグナル部分は、確立された分子生物学技術に従い、判断することができる。通常は、興味のあるポリペプチドをモラクセラ菌株から単離して、続いて配列決定を行ない、成熟タンパク質の最初の残基を定めて、それに従い成熟ポリペプチドの配列を定める。
【0062】
ポリペプチドは、組換えポリペプチドの生成や精製を助ける開始コドン(メチオニン又はバリン)やリーダーペプチドの両方又はその一方を用いずに、生成及び/又は使用できることが分かっている。リーダーペプチドをコードする配列を有さないクローン遺伝子は、ポリペプチドを大腸菌の細胞質に限定して、その回復を促すことが分かっている(グリック,G.R.及びパスタ−ナック,J.J.の“Manipulation of gene expression in prokaryotes” (1998年)、ワシントンDC、ASMプレスの“Molecular biotechnology:Principles and applications of recombinantDNA”(第2版、第109−143頁))。
【0063】
本発明の他の態様においては、(i)本発明のポリペプチドを担体、希釈剤、又はアジュバントと共に含む組成物、(ii)本発明のポリペプチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含む薬剤組成物、(iii)本発明のポリペプチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含むワクチン、(iv)免疫反応の誘引に効果的な免疫量の本発明のポリペプチド、例えばモラクセラに対する免疫反応予防剤を宿主に投与することにより、その宿主内で、モラクセラに対する免疫反応を誘発させる方法、及び、特には(V)予防又は治療量の本発明のポリペプチドを、必要とする宿主に投与することにより、モラクセラ感染を予防及び/又は治療する方法も提供されている。
【0064】
本発明の他の態様によれば、(i)本発明のポリヌクレオチドを担体、希釈剤、又はアジュバントと共に含む組成物、(ii)本発明のポリヌクレオチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含む薬剤組成物、(iii)免疫反応の誘引に効果的な免疫量の本発明のポリヌクレオチド、例えばモラクセラに対する免疫反応予防剤を宿主に投与することにより、その宿主内で、モラクセラに対する免疫反応を誘発させる方法、及び、特には(iv)予防又は治療量の本発明のポリペプチドを、必要とする宿主に投与することにより、モラクセラ感染を予防及び/又は治療する方法も提供されている。
【0065】
本発明のポリペプチドは、免疫化の前に、テタナス毒素、ジフテリア毒素、B型肝炎ウイルス表面抗原、ポリオウイルスVP1抗原や、他のウイルス性か細菌性の毒素、抗原、又は、任意の適当なタンパク質のような運搬体タンパク質に結合又は共役させて、より強い免疫反応を促すこともできる。この結合又は共役は、化学的に又は遺伝子学的に行なうことができる。ペプチド-担体の共役は、ヴァン・レゲンモーテル,M.H.V、ビリアンド J.P.、ミューラー S.による生化学及び分子生物学の実験技術の“Synthetic Polypeptides as antigens”第19巻(1998年、ニューヨーク、エルゼビアのバードウ R.H.及びヴァン・ニッペンベルグ P.H.出版)でより詳細な説明を得ることができる。
【0066】
他の態様では、薬学的に受容可能なアジュバントの混合物中に、本発明のモラクセラポリペプチドを1又はそれ以上含む薬剤組成物が提供されている。適当なアジュバントは、(1)MF59(登録商標)、SAF(登録商標)、Ribi(登録商標)のような水中油エマルジョン形成物、(2)フロインドの完全な又は不完全なアジュバント、(3)AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、Al(OH)3、AlPO4、シリカ、カオリン等の塩、(4)スティミュロン(登録商標)のようなサポニン誘導体、又はそれらから生成されたISCOMsのような粒子(免疫刺激性複合体)、(5)インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン、(6)カーボンポリヌクレオチドのような他の物質、すなわちポリICやポリAU、解毒コレラ毒素(CTB)と、大腸菌の粘膜免疫の誘発のための熱不安定性毒素を含むものである。アジュバントのより詳細な説明は、M.Z.Iカーン等による総説“Pharmaceutical Research”第11巻、第1号(1994年)の第2−11頁や、グプタ等による他の総説“Vaccine”第13巻、第14号の第1263−1276頁(1995年)や、WO99/24578で得ることができる。好ましいアジュバントは、QuilA(登録商標)、QS21(登録商標)、Alhydrogel(登録商標)及びAdjuphos(登録商標)を含むものである。
【0067】
本発明の薬剤組成物は、注射、急速注入、鼻咽吸込、皮膚吸込により非経口で投与されるか、又は口腔内か経口で投与される。
【0068】
本発明の薬剤組成物は、P.R.ムライ(編集長)、E.J.バロン、M.A.ファレー、F.C.テノヴァー及びR.H.ヨルケンの“Manual of Clinical Microbiology”(ASMプレス、ワシントンD.C.)第7版(1999年)の第1773頁に記載のように、モラクセラ感染の予防及び/又はモラクセラ感染により生じた疾病及び症状に対して用いられる。一態様においては、本発明の薬剤組成物は、中耳炎、副鼻腔炎、慢性咳、急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児の結膜炎の治療又は予防に用いられる。一態様においては、本発明のワクチンの組成物は、モラクセラ感染の治療又は予防及び/又はモラクセラ感染により生じた疾病及び症状に対して用いられる。さらなる態様においては、モラクセラ感染はモラクセラカタラーリスである。
【0069】
さらなる一態様において、本発明は、モラクセラ感染を受けやすい宿主に、本発明の予防又は治療量の組成物を投薬する工程を含む、前記宿主のモラクセラ感染の予防又は治療方法を提供する。
【0070】
本発明で用いる“宿主”には、哺乳動物が含まれる。さらなる一態様においては、哺乳動物は人間である。
【0071】
ある特定の態様において、薬剤の組成物は、新生児、幼児、子供、高齢者、及び免疫不全宿主のような、モラクセラ感染の危険性のある宿主に投与される。
【0072】
ある特定の態様において、薬剤の組成物は、成人のような、モラクセラ感染の危険性のある宿主に投与される。
【0073】
薬剤組成物は、好ましくは約0.001〜100μg/kg(抗原/体重)、より好ましくは、0.01〜10μg/kg、最も好ましくは0.1〜1μg/kgの投薬形態を単位として、免疫化の間に約1〜6週間の間隔をおいて1〜3回投与する。
【0074】
薬剤組成物は、好ましくは約0.1μg〜10mg、より好ましくは1μg〜1mg、最も好ましくは10〜100μgを投与形態の単位として、免疫化の間に約1〜6週間の間隔をおいて1〜3回投与する。
【0075】
別の態様においては、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14号に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるアミノ酸配列により特徴付けられたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供されている。
【0076】
一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含むことができる、配列番号第1、3、5、7、9、11、13に記載のものである。
【0077】
図中に示されたポリヌクレオチド配列は、縮重コドンで変化を受けるかもしれないけれども、それでもなお、本発明のポリペプチドをコードする、ということが理解できるであろう。従って、本発明はさらに、上記のポリヌクレオチド配列(又は、それらの相補配列)とハイブリダイズするポリヌクレオチドにおいて、配列間の同一性が70%であるものを提供する。一態様では、配列間の同一性は少なくとも80%である。一態様では、配列間の同一性は少なくとも85%である。一態様では、配列間の同一性は少なくとも90%である。さらなる一態様では、ポリヌクレオチドは、厳しい条件下、すなわち少なくとも95%の同一性で、ハイブリダイズする。さらなる一態様では、同一性は97%以上である。
【0078】
ハイブリダイゼーションにとって最適の厳しい条件は、当業者であれば直ちに分かる(例えば、サンブローク等(Sambrook et al.)の“Molecular cloning”(1989年):ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバーの“Laboratory Manual”第2版、ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ、オースベルF.M.等(Ausubel F.M. et al.,John Wiley & Sons, Inc. N.Y.)出版の“Molecular Biology”(1999年)を参照)。
【0079】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるものである)のいずれかをハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0080】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるものである)のいずれかをハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0081】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、14に記載の配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドからの、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を含むものである)のいずれかをハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0082】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4、6、8、10、12、又は14から選択された配列からなるポリペプチドからの、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を含むものである)のいずれかをハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0083】
さらなる一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする、配列番号1、3、5、7、9、11、13に記載の配列、又はそれらの断片か若しくは類似体に記載のものである。
【0084】
さらなる一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする、配列番号1、3、5、7、9、11、又は13に記載のものである。
【0085】
当業者であれば直ちに分かるように、ポリヌクレオチドにはDNAとRNAの両方が含まれる。
【0086】
本発明には、本願に記載のポリポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドも含まれる。
【0087】
さらなる態様においては、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又はそれらの断片か、配列か、若しくは誘導体は、DNAの免疫化法に用いることができる。つまり、注入すると複製可能かつ発現可能となるベクターにそれらを組み込んで、インビボで抗原性ポリペプチドを生成することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、真核細胞内で活性化するCMVプロモーターの制御下にある、プラスミドベクターに組込むことができる。好ましくは、前記ベクターは、筋肉注射で注入する。
【0088】
他の態様においては、宿主内でポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させて、その発現ポリペプチド生成物を回収することによる、組換え技術を用いた本発明のポリペプチドの生成方法が提供されている。別の方法としては、ポリペプチドは、確立された合成化学技術に基づいて、すなわち液相合成法又は固相合成法により、連結させて全ポリペプチドを生成する(ブロック・ライゲーション)ことにより、生成することができる。
【0089】
ポリヌクレオチド及びポリペプチドを入手及び鑑定するための通常の方法は、以下の参考文献:サンブローク等の“Molecular Cloning” :ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバーの“A Laboratory Manual”第2版(1989年);ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ社、オースベルF.M.等出版の“Current Protocol in Molecular Biology”;ニュージョージー、トトワ、ヒューマンプレス、ホワイト B.A.出版の“PCR Cloning Protocols, from Molecular Cloning to Genetic Engineering”(1997年)の490頁;ニューヨーク、シュプリンガー、スコープス R.K.(Scopes R.K.)出版の“Protein Purification, Principles and Practices”第3版(1993年)の380頁;ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ社出版の“Current Protocol in Immunology”に記載されたとおりである。
【0090】
本発明は、ポリペプチドの発現に適した条件下において、本発明の宿主を培養する工程を含む、前記ポリペプチドの生成方法を提供する。
【0091】
組換え体の生成においては、本発明のポリペプチドをコードするベクターを用いて宿主に核酸注入し、その後、プロモーターの活性化か、形質転換細胞の選択か、又は遺伝子の増殖に適するように加減した培養液中でそれ培養する。適したベクターは、選択されたベクター内で生存かつ複製可能であり、かつ染色体性、非染色体性、及び合成DNA配列からなるものであり、例えば、細菌性プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、イースト菌プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせから生成したベクターなどがある。ポリペプチド配列は、発現制限部位に機能が作動するように連結された制限酵素を用いて、プロモーターと、リボソーム結合部位(共通部位又はシャイン・ダルガルノ配列)と、任意にオペレーター(制御要素)から成るベクターの適切な部位に組込むことができる。所定の宿主とベクターに適する発現制御部位の個々の構成部位は、確立された分子生物学の原理(サンブローク等の“分子クローニング”:ニューヨークのコールド・スプリング・ハーバー“実験マニュアル”第2版(1989年);ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ、オースベルF.M.等出版の“分子生物学”)に従い、選択することができる。適したプロモーターは、LTR又はSV40プロモーターと、大腸菌ラクトースと、tac又はtrpプロモーターと、ファージラムダPLプロモーターとを含むものであるが、それらに制限されない。ベクターは、好ましくは選択マーカー、すなわちアンピシリン抵抗性遺伝子だけでなく、複製起点も組込んだものである。適した細菌性ベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5、と真核ベクターpBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLを含むものである。宿主は細菌性のもの、すなわち大腸菌枯草菌ストレプトミセス;カビ、すなわちアスペルギルスニガーアスペルギルスニダランス;、酵母菌、すなわちサッカロミケス;又は真核性のもの、すなわちCHO、COSとすることができる。
【0092】
培養液中にポリペプチドが発現すれば、細胞を通常遠心分離で分離し、その後(発現したポリペプチドが媒体中に分泌されていなければ)物理的又は化学的手法を用いて破砕し、その結果生じた粗抽出物を保持して興味の対象であるポリペプチドを単離する。培養液又は溶解液からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの特性に応じて確立された技術を用い、すなわち硫酸アンモニウム又はエタノール析出、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロース・クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィー、及びレクチン・クロマトグラフィーを用いて行なうことができる。最終精製は、HPLCを用いて行なうことができる。
【0093】
ポリペプチドは、リーダー又は分泌配列の有無にかかわらず発現することができる。過去の方法においては、リーダーは翻訳後処理を用いて取り除く(米国第4431739号、同第4425437号、及び同第4338397号)か、又は発現したポリペプチドの精製後に化学的に取り除く。
【0094】
さらなる観点によれば、本発明のモラクセラポリペプチドは、モラクセラ感染、詳細にはモラクセラカタラーリス感染の診断検査に使用することができる。いくつかの診断方法が可能であるが、例えば、生体サンプルにおけるモラクセラ菌の検査において、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のモラクセラポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラの存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する工程
に従った方法がある。
【0095】
その他には、モラクセラ抗原に特異的な抗体を含むか、又は含むと思われる生体サンプル内における、前記抗体の検出方法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のモラクセラポリペプチドの1又はそれ以上、あるいはその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラに特異的な抗体の存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出する工程
に従い実施することができる。
【0096】
当業者であれば、この診断検査には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫測定法、又はラテックス凝集反応法のような免疫検査を含んだ、原則としてそのタンパク質に特異的な抗体が菌中に存在するか否かを調べるための、様々な方法があると分かるであろう。
【0097】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、モラクセラを含むと思われる生体サンプル中の、同菌の存在有無の検出に用いるDNAプローブの構築にも用いることができる。本発明の検出法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のポリペプチドをコードするDNA配列を有するDNAプローブの1又はそれ以上、又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラ菌の存在を示す混合物中で、特異的に結合したDNAプローブを検出する工程
を含む。
【0098】
本発明に従うDNAプローブも、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いた、循環モラクセラ、すなわちサンプル中のモラクセラ核酸の検出に、モラクセラ感染の診断方法として用いることができる。そのプローブは、従来技術を用いて合成することができ、固相に固定するか、又は検出可能なラベルを付すことができる。本願の好ましいDNAプローブは、本発明のモラクセラペプチドの少なくとも約6の連続するヌクレオチドに相補的な配列からなるオリゴマーである。さらなる態様では、好ましいDNAプローブは、本発明のモラクセラペプチドの少なくとも約15の連続するヌクレオチドに相補的な配列からなるオリゴマーである。さらなる態様では、好ましいDNAプローブは、本発明のモラクセラペプチドの少なくとも約30の連続するヌクレオチドに相補的な配列からなるオリゴマーである。さらなる態様では、好ましいDNAプローブは、本発明のモラクセラペプチドの少なくとも約50の連続するヌクレオチドに相補的な配列からなるオリゴマーである。
【0099】
宿主中のモラクセラを検出する他の診断方法は、下記工程:
a)本発明のポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片に、検出可能なラベルを付す工程、
b)ラベルを付した抗体又はラベルを付した断片を宿主に投与する工程、及び
c)モラクセラの存在を示す宿主中で、特異的に結合したラベルを付した抗体またはラベルを付した断片を検出する工程
を含む。
【0100】
他に、モラクセラ抗原に特異的な抗体を含むか、又は含むと思われる生体サンプル内で、前記抗体を検出する方法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のモラクセラポリペプチドの1又はそれ以上、あるいはその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラに特異的な抗体の存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出する工程
に従って実施することができる。
【0101】
当業者であれば、この診断検査には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫測定法、又はラテックス凝集反応法のような免疫検査を含んだ、原則としてそのタンパク質に特異的な抗体が菌中に存在するか否かを調べるための、様々な方法があると分かるであろう。
【0102】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、モラクセラを含むと思われる生体サンプル中の、同菌の存在有無の検出に用いるDNAプローブの構築にも用いることができる。本発明の検出法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のポリペプチドをコードするDNA配列を有するDNAプローブの1又はそれ以上、又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラ菌の存在を示す混合物中で、特異的に結合したDNAプローブを検出する工程
を含む。
【0103】
一態様において、本発明は、モラクセラ感染の治療及び/又は予防に用いる抗体の使用方法を提供している。
【0104】
本発明のさらなる態様は、モラクセラ感染の診断と、特にはその治療に特有の抗体の生成に用いるイムノゲンとして、本発明のモラクセラポリペプチドを使用する方法である。適当な抗体は、適切なスクリーニング法を用いて、例えば試験モデル内においてモラクセラ感染を受動的に防御するある特有の抗体の能力を測ることにより、測定することができる。動物モデルの一例は、本明細書の実施例に記載のマウスモデルである。前記抗体は、完全な抗体であるか、又は抗原に結合性のある断片でもよく、かつ免疫グロブリンの任意の部類に属するものとすることができる。前記抗体又は断片は、動物のものとすることができ、詳細には、哺乳動物のもの、より詳細には、マウス、ラット、又はヒトのものとすることができる。天然の抗体やその断片とすることもでき、あるいは必要に応じて、組換え抗体や抗体の断片とすることもできる。組換え抗体や抗体の断片という用語は、分子生物学の技術を用いて生成された抗体又は抗体の断片を意味する。前記抗体又は抗体の断片は、ポリクローナルか、又は好ましくはモノクローナルのものとすることができる。それは、モラクセラポリペプチドと結合したエピト−プの数に特有のものでもよいが、好ましくは、1つのものに特有のものとすることができる。
【0105】
一態様において、本発明は、モラクセラ感染の予防及び/又は治療に用いる抗体の使用方法を提供している。
【0106】
本発明のさらなる態様は、モラクセラ感染の診断と、特にはその治療に特有の抗体の生成に用いるイムノゲンとして、本発明のモラクセラポリペプチドを使用する方法である。適当な抗体は、適切なスクリーニング法を用いて、例えば試験モデル内においてモラクセラ感染を受動的に防御するある特有の抗体の能力を測ることにより、測定することができる。動物モデルの一例は、本明細書の実施例に記載のマウスモデルである。前記抗体は、完全な抗体であるか、又は抗原に結合性のある断片でもよく、かつ免疫グロブリンの任意の部類に属するものとすることができる。前記抗体又は断片は、動物のものとすることができ、詳細には、哺乳動物のもの、より詳細には、マウス、ラット、又はヒトのものとすることができる。天然の抗体やその断片とすることもでき、あるいは必要に応じて、組換え抗体や抗体の断片とすることもできる。組換え抗体や抗体の断片という用語は、分子生物学の技術を用いて生成された抗体又は抗体の断片を意味する。前記抗体又は抗体の断片は、ポリクローナルか、又は好ましくはモノクローナルのものとすることができる。それは、モラクセラポリペプチドと結合したエピト−プの数に特有のものでもよいが、好ましくは、1つのものに特有のものとすることができる。
【0107】
本発明のさらなる態様は、受動免疫に用いる、本発明のポリペプチドを対象とした抗体の使用方法である。本願に記載の抗体を使用することができる。
【0108】
本発明のさらなる態様は、本発明のポリペプチドから生成された抗体の、受動免疫に十分な量を宿主に投与することによる免疫法である。
【0109】
さらなる態様において、本発明は、モラクセラ感染の予防又は治療用の薬剤の製造における、本発明の薬剤組成物の使用方法を提供している。
【0110】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドを含む、モラクセラ感染の検出又は診断用のキットを提供している。
【0111】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術又は科学用語の全ては、本発明の分野における当業者に通常理解されているものと同様の意味を有する。ここに記載の公報、特許出願、特許、及びその他のここで言及された参考文献の全ては、参考文献としてそのまま盛りこまれる。論争時には、定義も含めて本明細書が支配をする。さらに、材料や方法や実施例は実例であるが、それらに制限されることはない。
【実施例】
【0112】
(例1)
BVH−MC2遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニング及び分子特性を、以下実施例で説明する。
【0113】
M. カタラーリスBVH−MC2(配列番号:1)遺伝子のコード領域を、PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステムを使用)により、M. カタラーリス株のETSUC−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)の付加によって伸張した塩基を含む下記オリゴ:DMAR544(5’-CATCAGTGCATATGAATACGACACACCATCACACG−3’);DMAR545(5’-GAGTTATTCTCGAGTTTGTCCAAATTTGGCTTAGTTTTAC−3’)を用いた。PCR産物を、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キットを用いて、その製品使用説明書(カリフォルニア、チャッツワース)に従って、アガロースゲルから精製し、NdeI及びXhoI(カナダ、ベー・ドゥルフェ、アマシャム ファルマシア バイオテク社)により消化した。pET21b(+)ベクター(ウィスコンシン州、マディソン、ノヴァゲン)をNdeI及びXhoIにより消化し、QIAgen社(カリフォルニア、チャッツワース)のQIAquickゲル抽出キットを用いて、アガロースゲルから精製した。NdeI−XhoI PCR産物を、NdeI−XhoI pET21b(+)発現ベクターに連結させた。その連結した産物により、シマニス(Simianis)(Hanahaによる“D.DNAクローニング”(1985年)、D.M.グローバー出版、第109−135頁)の方法に従い、大腸菌DH5α[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF)U169 endA1 racA1 hsdR17 (rK-mK+)deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](メリーランド州、ゲーサーズバーグ、ギブコBRL)を形質転換させた。BVH-MC2遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミド(rpET21b(+))からQIAgenキット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いて精製し、DNA挿入物の配列決定を行なった(カリフォルニア、フォスター シティ、エー・ビー・アイ、タック・ダイ・デオキシターミネ−ター配列キット)。
【0114】
【表1−1】

【0115】
【表1−2】

【0116】
BVH-MC2のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は1467‐bpを含み、予測pI6.08と予測分子量53754.35Daを有するアミノ酸残基488個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予測アミノ酸残基配列(配列番号:2)の分析では、30個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MDTDMKHLTKHRLSAAIIGVLLFISPSVQA)の存在が示されたが、それは、アラニンとアスパラギン残基との間にある開裂部位を末端としていた。
【0117】
PCR増幅法によりBVH-MC2(配列番号:1)遺伝子の存在を確認するために、次の4種の別個のM. カタラーリス株:イースト・テネシー州立大学提供のM. カタラーリスETSU C-2と、ETSU T-25と、ETSU658の臨床単離株;ラバル大学病院本部感染病研究センター提供のM. カタラーリス株M-12を用いた。これら実験には、負のコントロールとして、大腸菌XL1−Blue MRF’を用いた。PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)により、オリゴヌクレオチド・プライマーDMAR544及びDMAR545(表1)を用いて、BVH-MC2(配列番号:1)遺伝子を、前記4種のM. カタラーリス株のゲノムDNAと、コントロールの大腸菌株から増幅させた。PCRは、94℃で30秒間と、51℃で30秒間と、72℃で1分20秒のサイクルを30回と、最終伸長期間7分を72℃で行なった。PCR産物は、1%アガロースゲル中でサイズ分別し、エチジウムブロマイド染色で視覚化した。これらPCR増幅の結果は、表2に示すとおりである。増幅産物の分析から、テストした4種のM. カタラーリス株の全てのゲノム中に、BVH−MC2(配列番号:1)遺伝子が存在することが明らかになった。コントロールである大腸菌DNAに、前記オリゴヌクレオチド・プライマーを用いた同様のPCR増幅法を行なっても、そのような産物は検出されなかった。
【0118】
さらに他の菌からのBVH-MC2遺伝子を配列決定することにより、M.カタラーリス株中においてこの遺伝子が高度に分子保護されていることが明らかになった。菌ETSU659(配列番号:3)と、ETSU T-25(配列番号:5)と、M-12(配列番号:7)の菌からのM.カタラーリスBVH-MC2遺伝子のコード部位をそれぞれ、上記オリゴヌクレオチド・プライマーDMAR544及びDMAR545を用いて、PCRにより増幅させた。PCR産物は、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キットを用いて、製品使用説明書(カリフォルニア、チャッツワース)に従い、アガロースゲルから精製し、DNA挿入物の配列決定を行なった(カリフォルニア、フォスター シティ、エー・ビー・アイ、タック・ダイ・デオキシターミネ−ター配列キット)。実験1と同様の方法で、全配列を得ることができた。ETSUC-2(配列番号:2)と、ETSU658(配列番号:4)と、ETSUT-25(配列番号:6)と、ETSUT-25(配列番号:6)と、M‐12(配列番号:8)の菌の予想アミノ酸配列は、それぞれ、下記表2、4、6及び8に示す通りである。図15及び16は、M.カタラーリスBVH-MC2について確立された共通ヌクレオチド配列と予想アミノ酸配列をそれぞれ表したものである。BVH-MC2の予想ポリペプチド配列を二つ一組で比較したところ、同一性が100%であることが分かった。この後者の結果は、M.カタラーリスの分離株中でBVH-MC2ポリペプチドが高度に分子保存されていることを明確に示すものである。
【0119】
【表2】


(例2)
【0120】
BVH−MC3遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニング及び分子特性を、以下実施例で説明する。
【0121】
M. カタラーリスBVH−MC3(配列番号:9)遺伝子のコード領域を、PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステムを使用)により、M. カタラーリス株のETSUC−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)の付加によって伸張した塩基を含む下記オリゴ: 表1に記載のDMAR592及びDMAR593を用いた。BVH-MC3の発現ベクターへのクローニングとその解読には、実験1に記載のものと同様の方法を用いた。
【0122】
BVH-MC3のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は1656‐bp を含み、予想pI4.68と予想分子量58910.13Daを有するアノ酸残基551個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予想アミノ酸残基配列(配列番号:10)の分析では、46個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MSLINKLNER ITPHVLTSIKNQDGDNADKSNLLTAFYTIFAGRLSN)の存在が示されたが、それは、アスパラギンとグルタミン酸残基との間にある開裂部位を末端としていた。
【0123】
試験した4種のM.カタラーリス株(表2)について、オリゴヌクレオチド・プライマーDMAR592及びDMAR593を用いてPCR増幅を行なったところ、BVH-MC3遺伝子の存在が示された。BVH-MC3遺伝子のPCR増幅には、実験1に記載の方法と同様の方法を用いた。これらオリゴヌクレオチド・プリマーを用いた同様のPCR増幅を、コントロール大腸菌DNAについて行なったが、上記のような産物は検出されなかった。
(例3)
【0124】
BVH−MC4遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニング及び分子特性を、以下実施例で説明する。
【0125】
M. カタラーリスBVH−MC4(配列番号:11)遺伝子のコード領域を、PCR法(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社、DNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)により、M. カタラーリス株のETSUC−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)の付加によって伸張した塩基を含む下記オリゴ:表1に記載のRIOS71及びRIOS72を用いた。BVH-MC4の発現ベクターへのクローニングとその解読には、実験1に記載の方法と同様の方法を用いた。
【0126】
BVH-MC4をコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は1251‐bpを含み、予想pI4.84と予想分子量46125.11Daを有するアミノ酸残基416個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予想アミノ酸残基配列(配列番号:12)の分析では、42個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MDTKHIQQNWLLPDGVADVLFTDAQKQESLRDALLFVLTAHG)の存在が示されたが、それは、グリシンとチロシン残基との間にある開裂部位を末端としていた。
【0127】
試験した4種のM.カタラーリス株(表2)について、オリゴヌクレオチド・プライマーRIOS71及びRIOS72を用いてPCR増幅を行なったところ、BVH-MC4遺伝子の存在が示された。BVH-MC4遺伝子のPCR増幅には、実験1に記載の方法と同様の方法を用いた。これらオリゴヌクレオチド・プリマーを用いた同様のPCR増幅を、コントロール大腸菌DNAについて行なったが、上記のような産物は検出されなかった。
(例4)
【0128】
BVH−MC5遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニングと分子特性を、以下実施例で説明する。
【0129】
M. カタラーリスBVH−MC5(配列番号:13)遺伝子のコード領域を、PCR法(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社、DNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)により、M. カタラーリス株のETSUC−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)の付加によって伸張した塩基を含む下記オリゴ:表1に記載のRIOS59及びRIOS60を用いた。BVH-MC5の発現ベクターへのクローニングとその解読には、実験1に記載の方法と同様の方法を用いた。
【0130】
BVH-MC5をコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は639‐bpを含み、予想PI7.45と予想分子量24020.08Daを有するアミノ酸残基212個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予想アミノ酸残基配列(配列番号:14)の分析では、60個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MNNFVYQLQSFWYELNQVNRHTIAQSPKYIQLTVLGLIVMIIGIFGWLLAILPTIQKLNA)の存在が示されたが、それは、アラニン残基2つとの間にある開裂部位を末端としていた。
【0131】
4種のM.カタラーリス株(表2)について、オリゴヌクレオチド・プライマーRIOS59及びRIOS60を用いてPCR増幅を行なったところ、BVH-MC5遺伝子の存在が示された。BVH-MC5遺伝子のPCR増幅には、実験1に記載の方法と同様の方法を用いた。これらオリゴヌクレオチド・プライマーを用いた同様のPCR増幅を、コントロール大腸菌DNAについて行なったが、上記のような産物は検出されなかった。
(例5)
【0132】
CMVプラスミドpCMV-GHにおけるM.カタラーリス遺伝子のクローニングを、以下実施例で説明する。
【0133】
M.カタラーリスポリペプチドのDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV−GHのサイトメガロウイルス(CMV)転写調節下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流相に挿入した(タング等の“Nature”(1992年)356:152)。CMVプロモーターは、大腸菌細胞内では機能しないプラスミドであるけれども、真核細胞へのプラスミド投与により活性化する。前記ベクターは、アンピシリン耐性遺伝子も組込んだものとした。
【0134】
BVH-MC2(配列番号:1)、BVH-MC3(配列番号:9)、BVH-MC4(配列番号:11)及びBVH-MC5(配列番号:13)遺伝子の、リーダーペプチド部位を有さないコード領域を、PCR法(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社、DNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)によりM. カタラーリス株のETSUC−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、表1に記載の制限部位BamHI(GGATCC)及びBglII(AGATCT)、SalI(GTCGAC)、又はHindIII(AAGCTT)の付加によって伸張した塩基を含むオリゴヌクレオチド・プライマーを用いた。PCR産物は、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いてアガロースゲルから精製し、制限酵素(カナダ、ベー・ドゥルフェ、アマシャム ファルマシア バイオテク社)により消化した。pCMVベクター(テキサス州、ダラス、テキサス大学、生化学部、ステファン・A・ジョンストン博士研究室)をBamHI、BglII、SalI、又はHindIIIにより消化し、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いてアガロースゲルから精製した。消化したDNA断片を、CMVポリモーターの制御下で、hGH-BVH-MC2、hGH-BVH-MC3、hGH-BVH-MC4、及びhGH-BVH-MC5の融合ポリペプチドを生成できるように、消化したpCMV-GHベクターに連結させた。その連結産物を、シマニスの方法(ハナハン、D.DNAクローニング、1985年、D.M.グローバー出版、pp.109-135)に従って、大腸菌株[φ80dlacZΔM15Δ(lacZYA-argF)U169 endA1racA1 hsdR17 (RK-mK+)deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](メリーランド州、ゲーサーズバーグ、ギブコBRL)を形質転換させた。組換えpCMVプラスミドをQIAgenキット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いて精製し、DNA配列決定により、挿入物のDNAのヌクレオチド配列を確認した。
(例6)
【0135】
M.カタラーリスポリペプチド抗原に対して免疫反応を誘発するDNAの使用法を、以下実施例で説明する。
【0136】
雌のBALB/cマウス8匹(カナダ国ケベック州、セントコンスタント、チャールズリバー)のグループに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)発現プラスミドpCMV−GH−GM-CSF(テキサス州、ダラス、テキサス大学、生化学部、ステファン・A・ジョンストン博士研究室)50μgの存在下に、BVH−MC2(配列番号:1)、BVH−MC3(配列番号:9)、BVH−MC4(配列番号:11)、及びBVH−MC5(配列番号:13)遺伝子をコードする組換えpCMV-GH50μgを、2〜3週間の間隔をあけて100μl3回筋肉注射することにより、免疫性を与えた。コントロールとしては、マウスのグループに、pCMV-GH−GM-CSF50μgの存在下に、pCMV-GH50μgを注射した。各免疫注射の実施前と三度目の注射の7日後に、眼窩洞から血液サンプルを採取して、対応するHis標識ラベルを付したM.カタラーリス組換えポリペプチドを皮膜抗原として用いて、ELISA法により、血清の抗体反応を調べた。これらHis標識ラベルを付したM.カタラーリス組換えポリペプチドの生成及び精製法については、実験7に示す。
(例7)
【0137】
M.カタラーリス組換えポリペプチドの生成及び精製法を、以下実施例で説明する。
【0138】
BVH−MC2(配列番号:1)、BVH−MC3(配列番号:9)、BVH−MC4(配列番号:11)、及びBVH−MC5(配列番号:13)遺伝子を組込んだ組換えpET21b(+)を用いて、電気穿孔法(カナダ国ミシサーガ、バイオラッド研究室、ジェーンパルサーIIアパレイタス)により、大腸菌株AD494(DE3)[Δara-leu7697ΔlacX74ΔphoA PvuII phoRΔmalF3 F’[lac+(lacIq)pro] trxB::Kan(DE3)](ウィスコンシン州マディソン、ノヴァゲン)を形質転換させた。大腸菌のこの菌株において、組換えポリペプチドの発現を制御するT7プロモーターは、イソプロピル-β-d-チオ-ガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導が可能であるラクトース・プロモーターの制御下にある遺伝子であるT7RNAポリメラーゼ(λDE3プロファージ上に存在)によって特異的に認識される。形質転換細胞AD494(DE3)/rpET21b(+)を、1mlにつき100μgのカルベニシリン(カナダ国オークビル、シグマ-オールドリッチ・カナダ社)を含むLB培養液(ペプトン10g/L、イースト菌抽出物5g/L、NaCl10g/L)中で250rpmで攪拌しながら、A600値が0.5になるまで、37℃で培養した。His標識を付したM.カタラーリス組換えポリペプチドの生成を促進するために、最終濃度1mMのIPTGと共に、細胞をさらに3時間インキュベートした。500ml培養液から誘導された細胞を遠心分離でペレット化して、-70℃で凍結させた。
【0139】
His結合金属キレート樹脂に固定された2価のカチオン(Ni2+)へのHis標識配列(連続する6個のヒスチジン残基)の結合特性に基づいたアフィニティー・クロマトグラフィーを用いて、IPTGに誘導されたAD494(DE3)/rpET21b(+)の可溶性細胞質画分から、組換えポリペプチドの精製を行なった。大略すると、IPTGにより誘導された500mLの培養液から得られたペレット化した細胞を、PMSF1mL を含む溶解緩衝液(20mLトリス、500mMNaCl、10mMイミダゾ-ル、pH7.9)中に再び懸濁させ、超音波処理して12000Xgで20分間遠心分離処理して、沈殿物を取り除いた。その上清をNi-NTAアガロースカラム(カナダ国オンタリオ、ミシサーガ、チャゲン)にかけた。His標識ラベルを付したM. カタラーリス組換えポリペプチドを、イミダゾ-ル250mMと、NaCl500mLと、pH7.9のトリス20mLで溶出した。4℃でPBSに対して透析して、サンプルから塩とイミダゾ-ルを取り除いた。大腸菌の可溶部分から得られた組換えポリペプチド量は、MicroBCA(イリノイ州、ロックフォード、ピース)で測定した。
(例8)
【0140】
His標識M. カタラーリス組換えポリペプチドを、ヒト口蓋扁桃と、M. カタラーリス抗原調整物による免疫化後のマウスから採取した血清と反応させた場合のその反応性を、以下実施例で説明する。
【0141】
表3に示すように、ヒト口蓋扁桃内に存在する抗体を用いた免疫ブロット法において、BVH-MC2BVH-MC3、及びBVH-MC4のHis標識組換えポリペプチドの存在が認められた。このことは、ヒトは普通にM. カタラーリスと接触し、そのポリペプチドに特異的な抗体を作成することを示している。これらの特別なヒトの抗体は、M. カタラーリス感染の予防に関与するかもしれない。さらに、免疫ブロット法から、M. カタラーリス抗原調整物によって免疫化されたマウスから採取され、マウスモデルにおいて著しく肺のクリアランスを促す膜ポリペプチドに富んだ血清も、BNH-MC2のHis標識組換えポリペプチドを認識する抗体を作成することが明らかになった。これらの結果は、このポリペプチドが、マウスを感染から防御すべくM.カタラーリス抗原の調整物中に存在し、それにより、対応するBVH-MC2のHis標識組換えポリペプチドと反応する抗体が誘発されたことを示している。
【0142】
【表3】

【0143】
M. カタラーリス株表面上のBVH-MC2BVH-MC3BVH-MC4、及びBVH-MC5ポリペプチドの抗体への接近の可能性を、以下実施例で説明する。
【0144】
細菌を、37℃、8%二酸化炭素ガス中で、0.25%デキストロースを含む脳心臓輸液(BHI)培養液中で培養して、OD490nmが0.650(〜10CFU/ml)となるようにした。その後、抗BVM-MC2、抗BVM-MC3、抗BVM-MC4、抗BVM-MC5、又はコントロール血清の希釈物を添加して細胞に結合させ、回転させながら4℃で2時間インキュベートした。サンプルをブロッキング緩衝液(2%ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS))で4回洗浄し、その後、ブロッキング緩衝液で特異的に希釈したヤギ標識(FITC)−結合抗マウスIgG Fc(ガンマ)の断片1mlを加えた。さらに暗室中で回転させながら、室温で60分間インキュベートした後、サンプルをブロッキング緩衝液で4回洗浄し、4℃で18時間、0.25%ホルムアルデヒド含有PBS緩衝液で固定化した。細胞をPBS緩衝液で2回洗浄し、PBS緩衝液0.5ml中に再懸濁させた。細胞は、フローサイトメトリー(ベックマン・コールター社、Epics(登録商標)XL)で分析するまで、4℃の暗室に放置した。フローサイトメトリー分析から、BVM-MC2BVM-MC3BVM-MC4、及びBVM-MC5に特異的な抗体が、試験した同質の(ETSU C-2)(表4)M. カタラーリス株上の、それらに対応する表面エピトープを、効率的に認識することが明らかになった。分析されたモラクセラ細胞10000のうちの70%以上が、特定の血清中において存在する抗体によりラベル化されていることが示された。これら観察では、これらのポリペプチドが、抗体に認識され易い表面に接近可能であることが明確に示されている。抗M.カタラーリス抗体は、M.カタラーリス感染の予防に重要な役割を果すことが明らかになった。
【0145】
【表4】

【0146】
BVH-MC2マウス血清の細菌活性を、以下実施例で説明する。
【0147】
細菌をチョコレート寒天プレートに載せ、8%二酸化炭素ガス中、37℃で18時間、インキュベートした。その後、OD490nmが0.25となるように溶菌緩衝液(10%ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)及び1%カゼイン加水分解物、pH7.3)中に細菌細胞を再懸濁させ、8×104CFU/mlに希釈した。細菌懸濁液25μlと、熱で不活化した希釈試験用血清50μl及びHBSS15μlとを混合して、攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中、37℃で15分間インキュベートすることにより、細菌検定を行なった。その後、ウサギの捕体成分含有血清を最終濃度が10%となるように添加して、その混合物を攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中37℃で、さらに60分間インキュベートした。インキュベート終了時に、チョコレート寒天プレートに検定混合物10μlをのせ、生存細菌数を測定した。そのプレートを8%二酸化炭素中、37℃で18〜24時間インキュベートした。コントロールは、免疫化前のマウスとウサギ捕体から採取した熱不活化血清と共にインキュベートした細菌を含むものとした。
【0148】
溶菌の%は、下記数式を用いて算出した。
【0149】
【数1】

【0150】
M. カタラーリス株ETSU658を用いて、血清の細菌活性を検定した。精製した組換えBVH-MC2ポリペプチド(配列番号:2)による免疫化の後に採取したマウス血清の溶菌のパーセンテージは、71.3であった(表5)。
【0151】
【表5】

【0152】
BVH-MC3マウス血清の細菌活性を、以下実施例で説明する。
【0153】
細菌をチョコレート寒天プレートに載せ、8%二酸化炭素ガス中で、37℃で18時間、インキュベートした。その後、OD490nmが0.25となるように溶菌緩衝液(10%ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)及び1%カゼイン加水分解物、pH7.3)中に細菌細胞を再懸濁させ、8×104CFU/mlに希釈した。細菌懸濁液25μlと、熱で不活化した希釈試験用血清50μl及びHBSS15μlとを混合して、攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中、37℃で15分間インキュベートして、細菌検定法を行なった。その後、ウサギの捕体成分含有血清を最終濃度が10%となるように添加して、その混合物を攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中、37℃でさらに60分間インキュベートした。インキュベートの終了時に、チョコレート寒天プレートに検定混合物10μlをのせ、生存細菌数を測定した。そのプレートを8%二酸化炭素中、37℃で18〜24時間インキュベートした。コントロールは、免疫化前のマウスとウサギ捕体から採取した熱不活化血清と共にインキュベートした細菌を含むものとした。M. カタラーリス株ETSU658を用いて、血清の細菌活性を検定した。溶菌の%は、下記数式を用いて算出した。
【0154】
【数2】

【0155】
精製した組換えBVH−MC3ポリペプチドで免疫化したマウス7匹から採取した血清中には、細菌性抗体が存在することが分かった(表6)。コントロールのマウスから採取した血清中では、細菌活性は示されなかった(該当データなし)。
【0156】
【表6】

【0157】
精製した組換えBVH−MC3ポリペプチドの免疫化により誘発されたM. カタラーリス感染に対するマウスの予防を、以下実施例で説明する。
【0158】
雌のBALB/cマウス(チャールズリバー)のグループに、10%のQuilaアジュバント(カナダ国、ホーンビー、シーダーレーン・ラボラトリーズ社)の存在下で、アフィニティ精製されたHis標識M.カタラーリス組換えBVH-MC3ポリペプチド20μgを、2週間毎に5回、皮下に投与して免疫化するか、又は、コントロールとして、PBS中にQuilaアジュバントのみを投与した。血液サンプルは、それぞれ免疫化前の0、14、28、42、56日目と、5度目の注射から14日後(70日目)に、眼窩洞から採取した。1週間後、M. カタラーリス株ETSU658約1×106CFUを用いて、マウスに肺内疾患を患わせた。M.カタラーリス疾患の接種材料をチョコレート寒天にのせ、CFUを測定して、疾患の投与量を確認した。マウスは、ペントバルビタール・ナトリウム(Euthanyl(登録商標))の腹腔内投与により、感染後5時間で死亡した。無傷の肺を摘出して、組織ホモゲナイザーで均質化した。CFU測定用の連続希釈法により、肺ホモジェネートについて細菌クリアランスを測定した。クリアランス%は、下記数式を用いて算出した。
【0159】
【数3】

【0160】
表7に示すように、コントロールグループのマウスと比較して、BVH-MC3ポリペプチドで免疫化したマウスに関して、生存細菌数に54%の減少が見られた。このように、組換えBVH-MC3ポリペプチドによる免疫化は、マウスの肺から、M.カタラーリスの異種菌のクリアランスを急速に促進していた。
【0161】
【表7】




【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC2遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:1)であり、前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図2】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC2ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:2)であり、下線部の配列は、30のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図3】M. カタラーリス株ETSU 658のBVH-MC2遺伝子の部分DNA配列を示したものである(配列番号:3)。
【図4】M. カタラーリス株ETSU 658のBVH-MC2ポリペプチドの部分アミノ酸配列を示したものである(配列番号:4)。
【図5】M. カタラーリス株ETSU T‐25のBVH-MC2遺伝子の部分DNA配列を示したものである(配列番号:5)。
【図6】M. カタラーリス株ETSU T‐25のBVH-MC2ポリペプチドの部分アミノ酸配列のを示したものである(配列番号:6)。
【図7】M. カタラーリス株ETSU M-12のBVH-MC2遺伝子の部分DNA配列を示したものである(配列番号:7)。
【図8】M. カタラーリス株ETSU M-12のBVH-MC2ポリペプチドの部分アミノ酸配列を示したものである(配列番号:8)。
【図9】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC3遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:9)であり、前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図10】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC3ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:10)であり、下線部の配列は、46のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図11】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC4遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:11)であり、前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図12】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC4ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:12)であり、下線部の配列は、42のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図13】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC5遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:13)であり、前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図14】M. カタラーリス株ETSU C-2のBVH-MC5ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:14)であり、下線部の配列は、60のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図15A】MacVector配列決定分析ソフトウエア(バージョン6.5)のプログラムClustal Wによる、M. カタラーリス株ETSU C-2、ETSU658、ETSU T-25、及びM‐12由来のBVH-MC2遺伝子の部分ヌクレオチド配列を比較したものであり、配列の下部に示す共通ラインにおいて、*と空欄のスペースはそれぞれ、配列間のヌクレオチドが同一な箇所と異なる箇所を示している。
【図15B】MacVector配列決定分析ソフトウエア(バージョン6.5)のプログラムClustal Wによる、M. カタラーリス株ETSU C-2、ETSU658、ETSU T-25、及びM‐12由来のBVH-MC2遺伝子の部分ヌクレオチド配列を比較したものであり、配列の下部に示す共通ラインにおいて、*と空欄のスペースはそれぞれ、配列間のヌクレオチドが同一な箇所と異なる箇所を示している。
【図15C】MacVector配列決定分析ソフトウエア(バージョン6.5)のプログラムClustal Wによる、M. カタラーリス株ETSU C-2、ETSU658、ETSU T-25、及びM‐12由来のBVH-MC2遺伝子の部分ヌクレオチド配列を比較したものであり、配列の下部に示す共通ラインにおいて、*と空欄のスペースはそれぞれ、配列間のヌクレオチドが同一な箇所と異なる箇所を示している。
【図16】MacVector配列決定分析ソフトウエア(バージョン6.5)のプログラムClustal Wによる、M. カタラーリス株ETSU C-2、ETSU658、ETSU T-25、及びM‐12由来のBVH-MC2遺伝子のオープン・リーディング・フレームの一部の予想アミノ酸配列を比較したものであり、配列の下部に示す共通ラインにおいて、*の印はそれぞれ、アミノ酸が同一であることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離されたポリヌクレオチドであって、次の、即ち
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも70%同一性を持つポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%同一性を持つポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%同一性を持つポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4、6、8、10、12、14に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3、5、7、9、11、13に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド
から選ばれるポリヌクレオチドを備える、ポリヌクレオチド。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−289480(P2008−289480A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126155(P2008−126155)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【分割の表示】特願2002−589508(P2002−589508)の分割
【原出願日】平成14年5月15日(2002.5.15)
【出願人】(505113687)アイディー バイオメディカル コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】