モリブデン金属粉末およびその製造
モリブデン金属粉末10、およびこれを製造するための方法80。モリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。さらに、モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性によって特徴づけることができる。モリブデン粉末10を製造する方法80は、モリブデン酸アンモニウム24の供給物を用意すること(82)、モリブデン酸アンモニウム24を還元ガス30の存在下で最初の温度において加熱して(84)中間生成物74を生成させること、および中間生成物74を還元ガス30の存在下で最終温度において加熱して(86)、それによりモリブデン金属粉末10を生成させること(88)を含むであろう。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は概してモリブデンに関し、より具体的にはモリブデン金属粉末とその製造に関する。
【0002】
背景技術
モリブデン(Mo)は銀白色または白金色の金属化学元素で、硬質であることや可鍛性、展延性および高い融点を有するという特性を、その他の望ましい特性とともに有している。モリブデンは自然界では純粋な形態ではなく化合物の状態で見出される。モリブデン鉱石は自然界では輝水鉛鉱(二硫化モリブデン、MoS2)として存在する。
【0003】
モリブデン鉱石は焙焼することによって加工処理されて酸化モリブデン(MoO3)が形成され、これをさらに加工処理して純粋なモリブデン(Mo)の金属粉末を形成することができる。その純粋な状態において、モリブデン金属は靭性と延性が高く、また適度の硬度、高い熱伝導率、高い耐食性および低い膨張率によって特徴づけられる。モリブデン金属は電気加熱ガラス炉における電極、核エネルギーへの適用、およびミサイル、ロケットや航空機において用いられる鋳造部品のために用いることができる。またモリブデン金属はX線管、電子管および電気炉など、高温に晒される様々な電気用途において用いることもできる。
【0004】
発明の開示
モリブデン金属粉末は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比(surface-area-to-mass-ratio)を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるい(standard Tyler mesh sieve)よりも大きい粒度となるような粒度を有する。モリブデン金属粉末はさらに、ホール流量計(Hall Flowmeter)で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性によって特徴づけることができる。モリブデン金属粉末はまた、その比較的低い焼結温度によって特徴づけることができて、このときモリブデン金属粉末は約950℃で焼結し始める。モリブデン金属粉末は約0.2%未満の酸素の最終重量パーセントを有する。
【0005】
モリブデン金属粉末を製造するための方法は、i)モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること、ii)モリブデン酸アンモニウムを水素などの還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること、iii)中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱すること、およびiv)BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比および粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させることを含むであろう。
【0006】
発明を実施するための様式
新規なモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。加えて、モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性;焼結が始まる温度;および最終製品中に存在する酸素の重量パーセントによってさらに特徴づけることができる。
【0007】
比較的高い表面積対質量比を有するモリブデン金属粉末10は、比較的大きな粒度および優れた流動性と相俟って、その後の粉末冶金プロセスにおける利点をもたらす。例えば、本発明に従って製造されるモリブデン金属粉末10の低いホール流動性(すなわち、非常に流動性の高い材料)は、このモリブデン金属粉末10が金型の空隙部に容易に充填される故に、焼結プロセスにおいて有利である。従来のモリブデン金属粉末についての約1500℃と比較してかなり低い焼結温度(すなわち約950℃)は、本明細書中で説明するさらなる利点をもたらす。
【0008】
新規なモリブデン金属粉末10は、図1に例示する装置12によって製造することができる。装置12は、最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18を有する炉14を備えているだろう。場合により、炉14は最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18の間に配置される中間の加熱帯域20を備えていてもよい。プロセスチューブ22が炉14を通して延びていて、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に導入して、図1において矢印26で示すように、炉14の加熱帯域16、18、20を通して移動させることができる。図1において矢印32で示すように、水素還元ガス30などのプロセスガス28をプロセスチューブ22の中に導入することができる。従って、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は還元されて、モリブデン金属粉末10が形成または生成される。
【0009】
モリブデン金属粉末10を製造するための方法80もここで開示される(図2)。モリブデン金属粉末10はモリブデン酸アンモニウム先駆物質24から製造される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の例としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)、ジモリブデン酸アンモニウム(ADM)およびオクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)がある。モリブデン金属粉末10を製造するための方法(80)は、i)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給物を用意すること(82)、ii)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24を水素などの還元ガス30の存在下で最初の温度において(例えば、炉14の最初の加熱帯域16の中で)加熱して中間生成物74を生成させること(84)、iii)中間生成物74を還元ガス30の存在下で最終温度において(例えば、炉14の最終の加熱帯域18の中で)加熱すること(86)、およびiv)モリブデン金属粉末10を生成させること(88)を含むであろう。
【0010】
モリブデン金属粉末10、装置12、および粉末を製造するための方法80、さらには本発明の重要な態様と利点の幾つかを概略的に説明したが、次に本発明の様々な態様をさらに詳細に説明する。
【0011】
新規なモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。加えて、モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性;焼結が始まる温度;および最終製品中に存在する酸素の重量パーセントによってさらに特徴づけることができる。図4、図7および図10で容易にわかるように、これらの独特な性質の組合わせにより、非常に多孔質の表面を伴う概ね丸いボール状の概観であって丸いスポンジの外観に類似している新規なモリブデン金属粉末10の粒子が実現している。
【0012】
モリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有するだろう。特に、モリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.32m2/gと約2.56m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有するだろう。粒度が比較的大きい(すなわち約60μmまたは60000nm)にもかかわらず、この高いBETの結果が得られる。比較的高いBETの結果は一般的には、1μm(1000nm)よりもかなり小さなサイズのナノ粒子と関係づけられる。この点でモリブデン金属粉末10の粒子は、この粒子がかなり大きくて約60μm(60000nm)のサイズを有していて、それとともに約1.32m2/gと約2.56m2/gの間の高いBETの値を有しているために、極めて新規なものである。
【0013】
モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。特に、モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。さらに、モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも20%がサイズ−325の標準タイラーメッシュふるいよりも小さい粒度となるような粒度を有する。ここでの結果を得るために、8インチの直径を有する標準タイラー網目ふるいが用いられた。
【0014】
高いBETと大きな粒度の特有の組合わせは図3〜11で容易にわかるが、これらは多孔質の粒子の表面を例証していて、外観はスポンジのものに類似している。モリブデン金属粉末10の粒子の多孔質な表面は粒子の表面積対質量比を増大させ、このため高いBETの値がもたらされる。これに対して、先行技術のプロセスによって製造されるであろうモリブデン金属粉末10の粒子は概ね滑らかな表面を有し(すなわち非孔質)、そのため比較的低い表面積対質量比がもたらされる(すなわち低いBETの値)。
【0015】
比較的大きな粒度とほぼ球形の粒子の組合わせは、低いホール流動性に寄与し、モリブデン金属粉末10を非常に流動性の高い材料にして、従ってその後の焼結とその他の粉末冶金への適用のために良好な材料にする。モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有する。特に、ホール流量計によって約58s/50gと約63s/50gの間の流動性が測定された。
【0016】
また、モリブデン金属粉末10は酸素の最終の重量パーセントによっても特徴づけることができる。モリブデン金属粉末10は約0.2%未満の最終重量パーセントの酸素を含む。約0.2%未満の最終重量パーセントの酸素というのは特に低い酸素含有量であり、このことは多くの理由から望ましい。酸素の重量パーセントが比較的低いことは、その後の焼結プロセスを増進させる。酸素の重量パーセントが比較的高いと、しばしばそれは焼結炉中で用いられる水素ガスと悪く反応することがあり、水を生成し、あるいは大きな収縮および/または空孔などの組織上の問題を導く。モリブデン金属粉末10がそのような有利な重量パーセントの酸素を有することは、製造効率の向上に寄与する。
【0017】
さらに、モリブデン金属粉末10は、焼結が始まる温度によって特徴づけることができる。モリブデン金属粉末10は約950℃で焼結し始め、これはモリブデン金属を焼結するためには著しく低い温度である。典型的に、従来の方法で製造されたモリブデン金属粉末は約1500℃までは焼結を開始しない。モリブデン金属粉末10が流動性が高くてそのような低い温度で焼結し始める能力は、例えば製造費用の低下、製造効率の向上および収縮の減少などの顕著な利益をもたらす。
【0018】
モリブデン金属粉末10は、このモリブデン金属粉末10を製造するために用いられるモリブデン酸アンモニウム先駆物質24に応じて、上で特に限定した特性(例えば表面積対質量比、粒度、流動性、酸素含有量および焼結温度)とはわずかに異なる特性を有しているかもしれない。モリブデン金属粉末10を製造するために良好な結果を伴って用いられたモリブデン酸アンモニウム先駆物質24としては、ジモリブデン酸アンモニウム (NH4)2Mo2O7(ADM)、ヘプタモリブデン酸アンモニウム (NH4)6Mo7O24(AHM)およびオクタモリブデン酸アンモニウム (NH4)4Mo8O26(AOM)がある。
【0019】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAHMを用いたときに最良の結果が得られたが、ADMと AOMを用いた場合も良好な結果が得られた。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる。
【0020】
図3〜5は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はAHMであった。AHMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:12054-85-2)。
【0021】
一般に、所望の最終製品が比較的低い酸素含有量を有していて、例えば焼結などへの適用のために流動性が高くなければならない場合、AHMは有利なモリブデン酸アンモニウム先駆物質24であろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAHMを用いると一般に、図3と図4に示すように、より球形のモリブデン金属粉末10が得られる。モリブデン金属粉末10が球形であることは、高い流動性(すなわち、それは非常に流動性の物質である)と優れた焼結性に寄与する。AHMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図5において容易に理解できる。一般に、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10は、AOM またはADMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも流動性が高く、また低い酸素含有量を有する。
【0022】
図6〜8は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はADMであった。ADMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:27546-07-2)。
【0023】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてADMを用いると一般に、図6と図7でわかるように、AHMから製造されるものよりも粗いモリブデン金属粉末10が得られる。ADMから製造されるモリブデン金属粉末10はまた、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも高い酸素含有量と低い流動性を有する(実施例13において示される)。ADMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図8において容易に理解できる。一般に、ADMから製造されるモリブデン金属粉末10は高いBET(すなわち表面積対質量比)と大きな粒度の組合せを有する。
【0024】
図9〜11は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はAOMであった。AOMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:12411-64-2)。
【0025】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAOMを用いると一般に、図9と図10でわかるように、AHMから製造されるものよりも粗いモリブデン金属粉末10が得られる。AOMから製造されるモリブデン金属粉末10はまた、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも高い酸素含有量と低い流動性を有する(実施例14において示される)。AOMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図11において容易に理解できる。一般に、AOMから製造されるモリブデン金属粉末10は高いBET(すなわち表面積対質量比)と大きな粒度の組合せを有する。
【0026】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、(限定するものではないが)最終的なモリブデン金属粉末10の所望の特性(例えば、表面積対質量比、粒度、流動性、焼結性、焼結温度、酸素の最終の重量パーセント、純度、その他)などの様々な設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0027】
図1はモリブデン金属粉末10を製造するために用いられる装置12の態様の概略図である。装置12のこの説明は、モリブデン金属粉末10を製造するために用いられる方法80の説明についての主旨を与える。
【0028】
装置12は、少なくとも最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18を有する回転式の管の炉14を備えているだろう。場合により、炉14は最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18の間に配置される中間の加熱帯域20を備えていてもよい。プロセスチューブ22が炉14を通して延びていて、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に導入して、図1において矢印26で示すように、炉14の加熱帯域16、18、20を通して移動させることができる。図1において矢印32で示すように、水素還元ガス30などのプロセスガス28をプロセスチューブ22の中に導入することができる。
【0029】
好ましくは、炉14はその内部に形成されたチャンバー34を有する。チャンバー34は、炉14の内部でプロセスチューブ22を囲んでいる幾つかの制御される加熱帯域16、18、20を画定している。プロセスチューブ22は、加熱帯域16、18、20のそれぞれを通してほぼ等しい部分にわたっている。加熱帯域16、18、20は耐熱物質の障壁36、38によって境界が画定されている。炉14は任意の適当な温度制御装置(図示せず)を用いて所望の温度に維持されるだろう。炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれの内部に配置された加熱要素40、42、44が熱源を与える。
【0030】
プロセスガス28は還元ガス30と不活性キャリヤーガス46を含んでいてもよい。還元ガス30は水素ガスであってもよく、また不活性キャリヤーガス46は窒素ガスであってもよい。図1に示すように、還元ガス30と不活性キャリヤーガス46は、プロセスチューブ22の末端の近くの別個のガスボンベ30、46の中に貯蔵することができる。プロセスガス28はガス入口72を通してプロセスチューブ22の中に導入され、そして炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して先駆物質24が移動する方向とは反対の方向に(すなわち、矢印32で示すように向流方向に)、冷却帯域48(図1において破線の輪郭で示される)および加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して送られる。
【0031】
プロセスガス28はプロセスチューブ22の内部を実質的に一定の圧力に維持するために用いてもよい。本発明の一つの態様において、プロセスチューブ22を約8.9〜14cm(約3.5〜5.5in)の水圧に維持してもよい。プロセスガス28をプロセスチューブ22の中に予め決められた速度または圧力で導入し、そして全ての未反応のプロセスガス28を予め決められた速度または圧力でプロセスチューブから排出し、それによりプロセスチューブ22の内部を所望の平衡圧力にすることによって、プロセスチューブ22を実質的に一定の圧力に維持することができる。排出ガスを水スクラバー(図示せず)を通して気泡化し、それにより炉14の内部を約11.4cm(4.5in)の水圧に維持してもよい。
【0032】
装置12は移動装置50を有していてもよい。また、移動装置50は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に供給するための供給装置52と、プロセスチューブ22の中で製造されるモリブデン金属粉末10を収集するためのプロセスチューブ22の末端における排出ホッパー54を備えていてもよい。
【0033】
プロセスチューブ22は、適当な駆動装置56を有する移動装置50によって炉14のチャンバー34の内部で回転することができる。駆動装置56は、図1において矢印58で示すように、プロセスチューブ22を時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に回転させるために運転することができる。プロセスチューブ22は炉14のチャンバー34の内部に勾配60をもって配置してもよい。
【0034】
プロセスチューブ22はプラットフォーム62に組み付けることができ、そしてプラットフォーム62は、このプラットフォーム62が軸66の回りで旋回できるように台座64に蝶番式に据え付けることができる。昇降装置68もプラットフォーム62に係合していてもよい。昇降装置68は、プラットフォーム62の一端を台座64に対して上昇または下降させるように操作することができる。プラットフォーム62、ひいてはプロセスチューブ22は、平面70に対して所望の勾配になるように調節することができる。
【0035】
装置12の一つの態様が図1で示され、そして上のように説明されたが、装置12の他の態様も本発明の範囲内のものであると考えられる。
装置12(上で説明したもの)を用いてモリブデン金属粉末10(上で説明したもの)を製造するための方法80がここで開示され、そして図2に示されている。本発明に従ってモリブデン金属粉末10を製造するための方法80の態様は、図2に示す流れ図における工程として示すことができる。
【0036】
方法80は通常、プロセスチューブ22の中に導入されて炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれを通って移動する(このときプロセスチューブ22の内部にある)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24を用いて開始される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24とプロセスガス28の移動と混合を促進させるために、プロセスチューブ22は回転(58)および/または傾斜(60)していてもよい。プロセスガス28は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24がプロセスチューブを通って移動している方向(矢印26で示される方向)とは反対すなわち向流の方向に(矢印32で示される方向に)、プロセスチューブ22を通って流れる。これは方法80の概略を簡単に説明したものであるが、次に方法80をもっと詳細に説明する。
【0037】
この方法は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給物を用意すること(82)によって開始される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24については後にもっと詳細に説明する。次いで、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はプロセスチューブ22の中に導入される(すなわち供給される)だろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給速度は、用いられる装置(すなわち炉14)の大きさに対応するだろう。
【0038】
図2に示すように、方法80は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスガス28の存在下で最初の温度において加熱すること(84)によって続けられる。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24が最初の加熱帯域16を通って移動するとき、それはプロセスガス28と混合して反応し、それにより中間生成物74が形成される(図1に示される)。中間生成物74は、未反応のモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、中間の反応生成物およびモリブデン金属粉末10の混合物であってもよい。中間生成物74はプロセスチューブ22の中に留まっていて、加熱帯域16、18、20を通って移動するときにプロセスガス28と反応し続ける。
【0039】
より具体的には、最初の帯域16における反応は、プロセスガス28の中の還元ガス30(例えば水素ガス)によってモリブデン酸アンモニウム先駆物質24が還元されて、それにより中間生成物74が形成されることであろう。還元ガス30が水素ガスであるとき、還元反応により水蒸気および/または気体のアンモニアも生成するかもしれない。最初の帯域16においてモリブデン酸アンモニウム先駆物質24と還元ガス30の間で起こる化学反応は、十分には知られていない。しかし、最初の帯域16において起こる化学反応には60%〜70%の気体アンモニアの減少または発煙分離(fuming-off)とそれによる水素ガスおよび窒素ガスへの還元が含まれると一般に考えられていて、その結果、より多くの利用可能な水素ガスが生じ、そのためプロセスチューブ22の中に送り込むのに必要な新しい水素ガスの量は少なくなる。
【0040】
最初の帯域16における温度は約600℃の一定の温度に維持されるだろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は最初の帯域16において約40分間加熱されるだろう。最初の帯域16の温度は中間の帯域20と最終の帯域18の温度よりも低い温度に維持されるだろう。というのは、最初の帯域16におけるモリブデン酸アンモニウム先駆物質24と還元ガス30の間の反応は発熱反応だからである。特に、最初の帯域16における反応の間に熱が放出され、そして最初の帯域16において600℃未満の温度に維持することは三酸化モリブデン(MoO3)の発煙分離(fuming-off)を防ぐのを助ける。
【0041】
場合により、最初の帯域16と最終の帯域18の間の移行帯域として中間の帯域20が提供されてもよい。中間の帯域20における温度は最初の帯域16よりも高い温度に維持されるが、しかし最終の帯域18よりも低い温度に維持される。中間の帯域20における温度は約770℃の一定の温度に維持されるだろう。中間生成物74は中間の帯域20において約40分間加熱されるだろう。
【0042】
中間の帯域20は、それよりも低い温度にある最初の帯域16と高い温度にある最終の帯域18の間の移行帯域を提供し、これはモリブデン金属粉末生成物10の大きさの良好な制御を与える。一般に、還元ガス30が水素ガスであるとき、中間の帯域20における反応は還元反応を含み、水蒸気、気体アンモニアまたは気体酸素の発煙分離(fuming-off)が形成されると考えられる。
【0043】
方法80は、中間生成物74を還元ガス30の存在下で最終温度において加熱すること(86)によって続けられる。中間生成物74が最終の帯域18の中に移動すると、それはプロセスガス28(これは還元ガス30を含む)と混合し続けて、それと反応してモリブデン金属粉末10が形成される。還元ガス30が水素ガスであるとき、最終の帯域18における反応は還元反応であり、固体のモリブデン金属粉末(Mo)10と水または気体の水素と窒素が形成されると考えられる。
【0044】
最終の帯域18における中間生成物74と還元ガス30の間の反応は吸熱反応であり、モリブデン金属粉末生成物10の生成(88)が起こる。従って、最終の帯域18における吸熱反応によって必要とされる追加の熱を与えるために、最終の帯域18のエネルギーの投入が適宜に調節されるだろう。最終の帯域18における温度は約950℃に維持され、明確には、約946℃〜約975℃の温度に維持されるだろう。中間生成物74は最終の帯域18において約40分間加熱されるだろう。
【0045】
一般に、モリブデン金属粉末10の(BET分析で測定した)表面積対質量比は、最終の帯域18の温度が増大するのに伴って減少する。一般に、最終の帯域18の温度が増大すると、生成するモリブデン金属粉末10の凝集(すなわち「集合すること」)は増大する。最終の帯域18について比較的高い温度を用いてもよいが、様々なその後の焼結やその他の粉末冶金への適用の目的で材料を分解させるために、モリブデン金属粉末10の粉砕またはジェット粉砕が必要であろう。
【0046】
加工処理を行う間に凝集した(すなわち「集合した」)であろう生成物から過大な粒子を取り除くために、モリブデン金属粉末10をふるい分けしてもよい。モリブデン金属粉末10がふるい分けされるかどうかは、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の最終的な用途およびモリブデン酸アンモニウム先駆物質24の純度および/または粒度などの設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0047】
上で説明した反応によって生成したモリブデン金属粉末10がまだ高温のうちに(例えば最終の帯域18を出た直後に)直ちに大気環境中に導入される場合は、それは大気中の酸素と反応して再酸化するかもしれない。従って、モリブデン金属粉末10は最終の帯域18を出た後に、密閉された冷却帯域48を通して移動されるだろう。プロセスガス28は冷却帯域48を通しても流れ、それにより高温のモリブデン金属粉末10は還元雰囲気中で冷却され、モリブデン金属粉末10の再酸化(例えばMoO2および/またはMoO3を形成すること)は減少するかあるいは無くなるだろう。さらに、取扱いの目的からモリブデン金属粉末10を冷却するためにも、冷却帯域48を設けてもよい。
【0048】
上の反応は、加熱帯域16、18、20のそれぞれにおいて約2時間の合計時間にわたって起こってもよい。モリブデン金属粉末10の幾分かは最初の帯域16および/または中間の帯域20において形成されるかもしれない、ということが理解されよう。同様に、未反応のモリブデン酸アンモニウム先駆物質24の幾分かは中間の帯域20および/または最終の帯域18の中に導入されるかもしれない。さらに、幾つかの反応は冷却帯域48においても依然として起こるかもしれない。
【0049】
炉14におけるプロセスチューブ22の様々な部分における反応について説明したが、プロセスパラメーターを下の表1に示す範囲の値に設定したときに、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24のモリブデン金属粉末10への最適な転化が起こることが観察されたことに特に言及しなければならない。
【0050】
【表1】
【0051】
下の実施例1〜14を検討した後に明らかになるであろうが、表1で概説しそして上で説明したプロセスパラメーターは、所望のモリブデン金属粉末10の特性を最適にするために変えることができる。同様に、これらのパラメーターは、モリブデン金属粉末10の所望の特性をさらに最適にするために、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択と組合わせて変えることができる。所望のモリブデン金属粉末10の特性は、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の最終的な用途、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の純度および/または粒度などの設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0052】
実施例1および2
これらの実施例において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。この実施例においてモリブデン酸アンモニウム先駆物質24として用いられるAHMの粒子はClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる。
【0053】
これらの実施例のために次の装置が用いられた:Brabenderからモデル番号H31-FW33/50として入手できる重量減少式(loss-in-weight)供給装置52(C.W. Brabender Instruments, Inc.(South Hackensack、ニュージャージー州)から商業的に入手できる);およびHarper International Corporation(Lancaster、ニューヨーク州)からモデル番号HOU-6D60-RTA-28-Fとして入手できる回転式管炉14である。回転式管炉14は独立して制御される50.8cm(20in)の長さの加熱帯域16、18、20を有していて、またこれら加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して延びる305cm(120in)のHT合金のチューブ22を備えていた。従って、この実施例においては、合わせて152cm(60in)の加熱と152cm(60in)の冷却が与えられた。
【0054】
これらの実施例において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は、重量減少式供給装置52を用いて回転式管炉14のプロセスチューブ22の中に供給された。回転式管炉14を通しての先駆物質24の移動を促進し、また先駆物質24とプロセスガス28の混合を促進するために、プロセスチューブ22は(下の表2に明示するように)回転され(58)そして勾配がつけられた(60)。プロセスガス28は、先駆物質24がプロセスチューブ22を通って移動している方向とは反対の方向すなわち向流方向(32)に、プロセスチューブ22を通して導入された。これらの実施例において、プロセスガス28は還元ガス30としての水素ガスおよび不活性キャリヤーガス46としての窒素ガスを含んでいた。排出ガスは水スクラバー(図示せず)を通して気泡化され、それにより炉14の内部が約11.4cm(4.5in)の水圧に維持された。
【0055】
回転式管炉14のパラメーターは下の表2に示す値に設定された。
【0056】
【表2】
【0057】
これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は図3〜5に示され、そしてこれらについては先に説明した。特に、これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、その表面積対質量比、およびこれと組合わせたその粒度および流動性によって特徴づけられる。具体的には、これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して、実施例1については2.364m2/gm、また実施例2については2.027m2/gmの表面積対質量比を有する。これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、実施例1については63s/50g、また実施例2については58s/50gの流動性を有する。実施例1および2について得られ、そして上で説明した結果は下の表3にも詳述する。
【0058】
【表3】
【0059】
実施例1の結果(上で表3に記載したもの)は、10の別個の試験を平均することによって得られた。実施例1についての詳細な試験データを下の表4に記載する。実施例1における酸素の最終の重量パーセントは、10の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、10の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0060】
実施例2の結果(上で表3に記載したもの)は、16の別個の試験を平均することによって得られた。実施例2についての詳細な試験データも下の表4に記載する。実施例2における酸素の最終の重量パーセントは、16の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、16の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
実施例3〜6
実施例3〜6において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。実施例3〜6においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、同じ装置、および同じプロセスパラメーターの設定を用いた。実施例3〜6においては最終の帯域の温度だけを変えた。実施例3〜6について得られた結果を下の表5に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
実施例3の結果(上で表5に記載したもの)は、一つの独立した試験から得られた。実施例3についての詳細な試験データを上の表4に記載する。酸素の最終の重量パーセント、表面積対質量比、および粒度分布の結果は、一つの試験からの試験データを試験した後に得られた。
【0066】
実施例4の結果(上で表5に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例4についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例4における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0067】
実施例5の結果(上で表5に記載したもの)は、5つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例5についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例5における酸素の最終の重量パーセントは、5つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、5つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0068】
実施例6の結果(上で表5に記載したもの)は、5つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例6についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例6における酸素の最終の重量パーセントは、5つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、5つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0069】
実施例7〜12
実施例7〜12において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。実施例7〜12においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、同じ装置、および同じプロセスパラメーターの設定を用いた。実施例7〜12においては中間の帯域と最終の帯域の温度を変えた。中間の帯域と最終の帯域の温度および実施例7〜12について得られた結果を下の表6に示す。
【0070】
【表7】
【0071】
実施例7の結果(上で表6に記載したもの)は、9つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例7における酸素の最終の重量パーセントは、9つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、9つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0072】
実施例8の結果(上で表6に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例8における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0073】
実施例9の結果(上で表6に記載したもの)は、8つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例9における酸素の最終の重量パーセントは、8つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、8つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0074】
実施例10の結果(上で表6に記載したもの)は、17の別個の試験を平均することによって得られた。実施例10における酸素の最終の重量パーセントは、17の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、17の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0075】
実施例11の結果(上で表6に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例11における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0076】
実施例12の結果(上で表6に記載したもの)は、16の別個の試験を平均することによって得られた。実施例12における酸素の最終の重量パーセントは、16の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、16の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0077】
実施例13
実施例13において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はジモリブデン酸アンモニウム(ADM)であった。実施例13においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じ装置とプロセスパラメーターの設定を用いたが、ただし最初の加熱帯域、中間の加熱帯域および最終の加熱帯域の温度は600℃に維持された。実施例13について得られた結果を下の表7に示す。
【0078】
【表8】
【0079】
実施例13の結果(上で表7に記載したもの)は、4つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例13における酸素の最終の重量パーセントは、4つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、4つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0080】
実施例14
実施例14において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はオクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)であった。実施例14においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じ装置とプロセスパラメーターの設定を用いたが、ただし中間の加熱帯域と最終の加熱帯域の温度を変えた。実施例14において、中間の加熱帯域は750℃〜800℃の間に設定され、そして最終の加熱帯域は900℃〜1000℃の間に設定された。実施例14について得られた結果を下の表8に示す。
【0081】
【表9】
【0082】
実施例14の結果(上で表8に記載したもの)は、11の別個の試験を平均することによって得られた。実施例14における酸素の最終の重量パーセントは、11の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、11の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0083】
当業者であれば以上の実施例を検討した後に理解するであろうが、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、モリブデン金属粉末10についての意図された用途に依存するだろう。先に説明したように、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の所望の特性(例えば、表面積対質量比、粒度、流動性、焼結性、焼結温度、酸素の最終の重量パーセント、純度、その他)などの様々な設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0084】
ここで説明したモリブデン金属粉末10は大きな粒度と組合わせた比較的大きな表面積対質量比を有することが、容易に明らかである。同様に、ここで説明したモリブデン金属粉末10を製造するための装置12と方法80がモリブデン金属粉末10を製造するために用いることができることは、明らかである。従って、権利請求された発明はモリブデン金属粉末の技術における重要な進歩を示している。
【0085】
本発明の例示的で現在において好ましい態様がここで詳細に説明されたが、本発明の概念は他にも様々に具現されそして用いられうること、また、添付した特許請求の範囲は先行技術によって限定されているもの以外のそのような変形を含むと解釈されることが意図されている、と理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は本発明に従うモリブデン金属粉末を製造するための装置の一つの態様の概略断面図である。
【図2】図2は本発明に従うモリブデン金属粉末を製造するための方法の態様を説明する流れ図である。
【図3】図3は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図4】図4は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図5】図5は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図6】図6は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図7】図7は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図8】図8は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図9】図9は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【図10】図10は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【図11】図11は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は概してモリブデンに関し、より具体的にはモリブデン金属粉末とその製造に関する。
【0002】
背景技術
モリブデン(Mo)は銀白色または白金色の金属化学元素で、硬質であることや可鍛性、展延性および高い融点を有するという特性を、その他の望ましい特性とともに有している。モリブデンは自然界では純粋な形態ではなく化合物の状態で見出される。モリブデン鉱石は自然界では輝水鉛鉱(二硫化モリブデン、MoS2)として存在する。
【0003】
モリブデン鉱石は焙焼することによって加工処理されて酸化モリブデン(MoO3)が形成され、これをさらに加工処理して純粋なモリブデン(Mo)の金属粉末を形成することができる。その純粋な状態において、モリブデン金属は靭性と延性が高く、また適度の硬度、高い熱伝導率、高い耐食性および低い膨張率によって特徴づけられる。モリブデン金属は電気加熱ガラス炉における電極、核エネルギーへの適用、およびミサイル、ロケットや航空機において用いられる鋳造部品のために用いることができる。またモリブデン金属はX線管、電子管および電気炉など、高温に晒される様々な電気用途において用いることもできる。
【0004】
発明の開示
モリブデン金属粉末は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比(surface-area-to-mass-ratio)を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるい(standard Tyler mesh sieve)よりも大きい粒度となるような粒度を有する。モリブデン金属粉末はさらに、ホール流量計(Hall Flowmeter)で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性によって特徴づけることができる。モリブデン金属粉末はまた、その比較的低い焼結温度によって特徴づけることができて、このときモリブデン金属粉末は約950℃で焼結し始める。モリブデン金属粉末は約0.2%未満の酸素の最終重量パーセントを有する。
【0005】
モリブデン金属粉末を製造するための方法は、i)モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること、ii)モリブデン酸アンモニウムを水素などの還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること、iii)中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱すること、およびiv)BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比および粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させることを含むであろう。
【0006】
発明を実施するための様式
新規なモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。加えて、モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性;焼結が始まる温度;および最終製品中に存在する酸素の重量パーセントによってさらに特徴づけることができる。
【0007】
比較的高い表面積対質量比を有するモリブデン金属粉末10は、比較的大きな粒度および優れた流動性と相俟って、その後の粉末冶金プロセスにおける利点をもたらす。例えば、本発明に従って製造されるモリブデン金属粉末10の低いホール流動性(すなわち、非常に流動性の高い材料)は、このモリブデン金属粉末10が金型の空隙部に容易に充填される故に、焼結プロセスにおいて有利である。従来のモリブデン金属粉末についての約1500℃と比較してかなり低い焼結温度(すなわち約950℃)は、本明細書中で説明するさらなる利点をもたらす。
【0008】
新規なモリブデン金属粉末10は、図1に例示する装置12によって製造することができる。装置12は、最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18を有する炉14を備えているだろう。場合により、炉14は最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18の間に配置される中間の加熱帯域20を備えていてもよい。プロセスチューブ22が炉14を通して延びていて、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に導入して、図1において矢印26で示すように、炉14の加熱帯域16、18、20を通して移動させることができる。図1において矢印32で示すように、水素還元ガス30などのプロセスガス28をプロセスチューブ22の中に導入することができる。従って、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は還元されて、モリブデン金属粉末10が形成または生成される。
【0009】
モリブデン金属粉末10を製造するための方法80もここで開示される(図2)。モリブデン金属粉末10はモリブデン酸アンモニウム先駆物質24から製造される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の例としては、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)、ジモリブデン酸アンモニウム(ADM)およびオクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)がある。モリブデン金属粉末10を製造するための方法(80)は、i)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給物を用意すること(82)、ii)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24を水素などの還元ガス30の存在下で最初の温度において(例えば、炉14の最初の加熱帯域16の中で)加熱して中間生成物74を生成させること(84)、iii)中間生成物74を還元ガス30の存在下で最終温度において(例えば、炉14の最終の加熱帯域18の中で)加熱すること(86)、およびiv)モリブデン金属粉末10を生成させること(88)を含むであろう。
【0010】
モリブデン金属粉末10、装置12、および粉末を製造するための方法80、さらには本発明の重要な態様と利点の幾つかを概略的に説明したが、次に本発明の様々な態様をさらに詳細に説明する。
【0011】
新規なモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有し、これと組合わせて粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。加えて、モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29秒/50グラム(s/50g)と約64s/50gの間の範囲の流動性;焼結が始まる温度;および最終製品中に存在する酸素の重量パーセントによってさらに特徴づけることができる。図4、図7および図10で容易にわかるように、これらの独特な性質の組合わせにより、非常に多孔質の表面を伴う概ね丸いボール状の概観であって丸いスポンジの外観に類似している新規なモリブデン金属粉末10の粒子が実現している。
【0012】
モリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.0メートル2/グラム(m2/g)と約3.0m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有するだろう。特に、モリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して約1.32m2/gと約2.56m2/gの間の範囲の表面積対質量比を有するだろう。粒度が比較的大きい(すなわち約60μmまたは60000nm)にもかかわらず、この高いBETの結果が得られる。比較的高いBETの結果は一般的には、1μm(1000nm)よりもかなり小さなサイズのナノ粒子と関係づけられる。この点でモリブデン金属粉末10の粒子は、この粒子がかなり大きくて約60μm(60000nm)のサイズを有していて、それとともに約1.32m2/gと約2.56m2/gの間の高いBETの値を有しているために、極めて新規なものである。
【0013】
モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。特に、モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有する。さらに、モリブデン金属粉末10の粒子は、粒子の少なくとも20%がサイズ−325の標準タイラーメッシュふるいよりも小さい粒度となるような粒度を有する。ここでの結果を得るために、8インチの直径を有する標準タイラー網目ふるいが用いられた。
【0014】
高いBETと大きな粒度の特有の組合わせは図3〜11で容易にわかるが、これらは多孔質の粒子の表面を例証していて、外観はスポンジのものに類似している。モリブデン金属粉末10の粒子の多孔質な表面は粒子の表面積対質量比を増大させ、このため高いBETの値がもたらされる。これに対して、先行技術のプロセスによって製造されるであろうモリブデン金属粉末10の粒子は概ね滑らかな表面を有し(すなわち非孔質)、そのため比較的低い表面積対質量比がもたらされる(すなわち低いBETの値)。
【0015】
比較的大きな粒度とほぼ球形の粒子の組合わせは、低いホール流動性に寄与し、モリブデン金属粉末10を非常に流動性の高い材料にして、従ってその後の焼結とその他の粉末冶金への適用のために良好な材料にする。モリブデン金属粉末10は、ホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有する。特に、ホール流量計によって約58s/50gと約63s/50gの間の流動性が測定された。
【0016】
また、モリブデン金属粉末10は酸素の最終の重量パーセントによっても特徴づけることができる。モリブデン金属粉末10は約0.2%未満の最終重量パーセントの酸素を含む。約0.2%未満の最終重量パーセントの酸素というのは特に低い酸素含有量であり、このことは多くの理由から望ましい。酸素の重量パーセントが比較的低いことは、その後の焼結プロセスを増進させる。酸素の重量パーセントが比較的高いと、しばしばそれは焼結炉中で用いられる水素ガスと悪く反応することがあり、水を生成し、あるいは大きな収縮および/または空孔などの組織上の問題を導く。モリブデン金属粉末10がそのような有利な重量パーセントの酸素を有することは、製造効率の向上に寄与する。
【0017】
さらに、モリブデン金属粉末10は、焼結が始まる温度によって特徴づけることができる。モリブデン金属粉末10は約950℃で焼結し始め、これはモリブデン金属を焼結するためには著しく低い温度である。典型的に、従来の方法で製造されたモリブデン金属粉末は約1500℃までは焼結を開始しない。モリブデン金属粉末10が流動性が高くてそのような低い温度で焼結し始める能力は、例えば製造費用の低下、製造効率の向上および収縮の減少などの顕著な利益をもたらす。
【0018】
モリブデン金属粉末10は、このモリブデン金属粉末10を製造するために用いられるモリブデン酸アンモニウム先駆物質24に応じて、上で特に限定した特性(例えば表面積対質量比、粒度、流動性、酸素含有量および焼結温度)とはわずかに異なる特性を有しているかもしれない。モリブデン金属粉末10を製造するために良好な結果を伴って用いられたモリブデン酸アンモニウム先駆物質24としては、ジモリブデン酸アンモニウム (NH4)2Mo2O7(ADM)、ヘプタモリブデン酸アンモニウム (NH4)6Mo7O24(AHM)およびオクタモリブデン酸アンモニウム (NH4)4Mo8O26(AOM)がある。
【0019】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAHMを用いたときに最良の結果が得られたが、ADMと AOMを用いた場合も良好な結果が得られた。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる。
【0020】
図3〜5は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はAHMであった。AHMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:12054-85-2)。
【0021】
一般に、所望の最終製品が比較的低い酸素含有量を有していて、例えば焼結などへの適用のために流動性が高くなければならない場合、AHMは有利なモリブデン酸アンモニウム先駆物質24であろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAHMを用いると一般に、図3と図4に示すように、より球形のモリブデン金属粉末10が得られる。モリブデン金属粉末10が球形であることは、高い流動性(すなわち、それは非常に流動性の物質である)と優れた焼結性に寄与する。AHMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図5において容易に理解できる。一般に、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10は、AOM またはADMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも流動性が高く、また低い酸素含有量を有する。
【0022】
図6〜8は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はADMであった。ADMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:27546-07-2)。
【0023】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてADMを用いると一般に、図6と図7でわかるように、AHMから製造されるものよりも粗いモリブデン金属粉末10が得られる。ADMから製造されるモリブデン金属粉末10はまた、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも高い酸素含有量と低い流動性を有する(実施例13において示される)。ADMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図8において容易に理解できる。一般に、ADMから製造されるモリブデン金属粉末10は高いBET(すなわち表面積対質量比)と大きな粒度の組合せを有する。
【0024】
図9〜11は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末10の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質24はAOMであった。AOMはClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる(CAS番号:12411-64-2)。
【0025】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24としてAOMを用いると一般に、図9と図10でわかるように、AHMから製造されるものよりも粗いモリブデン金属粉末10が得られる。AOMから製造されるモリブデン金属粉末10はまた、AHMから製造されるモリブデン金属粉末10よりも高い酸素含有量と低い流動性を有する(実施例14において示される)。AOMから製造されるモリブデン金属粉末10の多孔質の表面は表面積対質量比を増大させ、これは図11において容易に理解できる。一般に、AOMから製造されるモリブデン金属粉末10は高いBET(すなわち表面積対質量比)と大きな粒度の組合せを有する。
【0026】
モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、(限定するものではないが)最終的なモリブデン金属粉末10の所望の特性(例えば、表面積対質量比、粒度、流動性、焼結性、焼結温度、酸素の最終の重量パーセント、純度、その他)などの様々な設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0027】
図1はモリブデン金属粉末10を製造するために用いられる装置12の態様の概略図である。装置12のこの説明は、モリブデン金属粉末10を製造するために用いられる方法80の説明についての主旨を与える。
【0028】
装置12は、少なくとも最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18を有する回転式の管の炉14を備えているだろう。場合により、炉14は最初の加熱帯域16と最終の加熱帯域18の間に配置される中間の加熱帯域20を備えていてもよい。プロセスチューブ22が炉14を通して延びていて、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に導入して、図1において矢印26で示すように、炉14の加熱帯域16、18、20を通して移動させることができる。図1において矢印32で示すように、水素還元ガス30などのプロセスガス28をプロセスチューブ22の中に導入することができる。
【0029】
好ましくは、炉14はその内部に形成されたチャンバー34を有する。チャンバー34は、炉14の内部でプロセスチューブ22を囲んでいる幾つかの制御される加熱帯域16、18、20を画定している。プロセスチューブ22は、加熱帯域16、18、20のそれぞれを通してほぼ等しい部分にわたっている。加熱帯域16、18、20は耐熱物質の障壁36、38によって境界が画定されている。炉14は任意の適当な温度制御装置(図示せず)を用いて所望の温度に維持されるだろう。炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれの内部に配置された加熱要素40、42、44が熱源を与える。
【0030】
プロセスガス28は還元ガス30と不活性キャリヤーガス46を含んでいてもよい。還元ガス30は水素ガスであってもよく、また不活性キャリヤーガス46は窒素ガスであってもよい。図1に示すように、還元ガス30と不活性キャリヤーガス46は、プロセスチューブ22の末端の近くの別個のガスボンベ30、46の中に貯蔵することができる。プロセスガス28はガス入口72を通してプロセスチューブ22の中に導入され、そして炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して先駆物質24が移動する方向とは反対の方向に(すなわち、矢印32で示すように向流方向に)、冷却帯域48(図1において破線の輪郭で示される)および加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して送られる。
【0031】
プロセスガス28はプロセスチューブ22の内部を実質的に一定の圧力に維持するために用いてもよい。本発明の一つの態様において、プロセスチューブ22を約8.9〜14cm(約3.5〜5.5in)の水圧に維持してもよい。プロセスガス28をプロセスチューブ22の中に予め決められた速度または圧力で導入し、そして全ての未反応のプロセスガス28を予め決められた速度または圧力でプロセスチューブから排出し、それによりプロセスチューブ22の内部を所望の平衡圧力にすることによって、プロセスチューブ22を実質的に一定の圧力に維持することができる。排出ガスを水スクラバー(図示せず)を通して気泡化し、それにより炉14の内部を約11.4cm(4.5in)の水圧に維持してもよい。
【0032】
装置12は移動装置50を有していてもよい。また、移動装置50は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスチューブ22の中に供給するための供給装置52と、プロセスチューブ22の中で製造されるモリブデン金属粉末10を収集するためのプロセスチューブ22の末端における排出ホッパー54を備えていてもよい。
【0033】
プロセスチューブ22は、適当な駆動装置56を有する移動装置50によって炉14のチャンバー34の内部で回転することができる。駆動装置56は、図1において矢印58で示すように、プロセスチューブ22を時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に回転させるために運転することができる。プロセスチューブ22は炉14のチャンバー34の内部に勾配60をもって配置してもよい。
【0034】
プロセスチューブ22はプラットフォーム62に組み付けることができ、そしてプラットフォーム62は、このプラットフォーム62が軸66の回りで旋回できるように台座64に蝶番式に据え付けることができる。昇降装置68もプラットフォーム62に係合していてもよい。昇降装置68は、プラットフォーム62の一端を台座64に対して上昇または下降させるように操作することができる。プラットフォーム62、ひいてはプロセスチューブ22は、平面70に対して所望の勾配になるように調節することができる。
【0035】
装置12の一つの態様が図1で示され、そして上のように説明されたが、装置12の他の態様も本発明の範囲内のものであると考えられる。
装置12(上で説明したもの)を用いてモリブデン金属粉末10(上で説明したもの)を製造するための方法80がここで開示され、そして図2に示されている。本発明に従ってモリブデン金属粉末10を製造するための方法80の態様は、図2に示す流れ図における工程として示すことができる。
【0036】
方法80は通常、プロセスチューブ22の中に導入されて炉14の加熱帯域16、18、20のそれぞれを通って移動する(このときプロセスチューブ22の内部にある)モリブデン酸アンモニウム先駆物質24を用いて開始される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24とプロセスガス28の移動と混合を促進させるために、プロセスチューブ22は回転(58)および/または傾斜(60)していてもよい。プロセスガス28は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24がプロセスチューブを通って移動している方向(矢印26で示される方向)とは反対すなわち向流の方向に(矢印32で示される方向に)、プロセスチューブ22を通って流れる。これは方法80の概略を簡単に説明したものであるが、次に方法80をもっと詳細に説明する。
【0037】
この方法は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給物を用意すること(82)によって開始される。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24については後にもっと詳細に説明する。次いで、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はプロセスチューブ22の中に導入される(すなわち供給される)だろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の供給速度は、用いられる装置(すなわち炉14)の大きさに対応するだろう。
【0038】
図2に示すように、方法80は、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24をプロセスガス28の存在下で最初の温度において加熱すること(84)によって続けられる。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24が最初の加熱帯域16を通って移動するとき、それはプロセスガス28と混合して反応し、それにより中間生成物74が形成される(図1に示される)。中間生成物74は、未反応のモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、中間の反応生成物およびモリブデン金属粉末10の混合物であってもよい。中間生成物74はプロセスチューブ22の中に留まっていて、加熱帯域16、18、20を通って移動するときにプロセスガス28と反応し続ける。
【0039】
より具体的には、最初の帯域16における反応は、プロセスガス28の中の還元ガス30(例えば水素ガス)によってモリブデン酸アンモニウム先駆物質24が還元されて、それにより中間生成物74が形成されることであろう。還元ガス30が水素ガスであるとき、還元反応により水蒸気および/または気体のアンモニアも生成するかもしれない。最初の帯域16においてモリブデン酸アンモニウム先駆物質24と還元ガス30の間で起こる化学反応は、十分には知られていない。しかし、最初の帯域16において起こる化学反応には60%〜70%の気体アンモニアの減少または発煙分離(fuming-off)とそれによる水素ガスおよび窒素ガスへの還元が含まれると一般に考えられていて、その結果、より多くの利用可能な水素ガスが生じ、そのためプロセスチューブ22の中に送り込むのに必要な新しい水素ガスの量は少なくなる。
【0040】
最初の帯域16における温度は約600℃の一定の温度に維持されるだろう。モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は最初の帯域16において約40分間加熱されるだろう。最初の帯域16の温度は中間の帯域20と最終の帯域18の温度よりも低い温度に維持されるだろう。というのは、最初の帯域16におけるモリブデン酸アンモニウム先駆物質24と還元ガス30の間の反応は発熱反応だからである。特に、最初の帯域16における反応の間に熱が放出され、そして最初の帯域16において600℃未満の温度に維持することは三酸化モリブデン(MoO3)の発煙分離(fuming-off)を防ぐのを助ける。
【0041】
場合により、最初の帯域16と最終の帯域18の間の移行帯域として中間の帯域20が提供されてもよい。中間の帯域20における温度は最初の帯域16よりも高い温度に維持されるが、しかし最終の帯域18よりも低い温度に維持される。中間の帯域20における温度は約770℃の一定の温度に維持されるだろう。中間生成物74は中間の帯域20において約40分間加熱されるだろう。
【0042】
中間の帯域20は、それよりも低い温度にある最初の帯域16と高い温度にある最終の帯域18の間の移行帯域を提供し、これはモリブデン金属粉末生成物10の大きさの良好な制御を与える。一般に、還元ガス30が水素ガスであるとき、中間の帯域20における反応は還元反応を含み、水蒸気、気体アンモニアまたは気体酸素の発煙分離(fuming-off)が形成されると考えられる。
【0043】
方法80は、中間生成物74を還元ガス30の存在下で最終温度において加熱すること(86)によって続けられる。中間生成物74が最終の帯域18の中に移動すると、それはプロセスガス28(これは還元ガス30を含む)と混合し続けて、それと反応してモリブデン金属粉末10が形成される。還元ガス30が水素ガスであるとき、最終の帯域18における反応は還元反応であり、固体のモリブデン金属粉末(Mo)10と水または気体の水素と窒素が形成されると考えられる。
【0044】
最終の帯域18における中間生成物74と還元ガス30の間の反応は吸熱反応であり、モリブデン金属粉末生成物10の生成(88)が起こる。従って、最終の帯域18における吸熱反応によって必要とされる追加の熱を与えるために、最終の帯域18のエネルギーの投入が適宜に調節されるだろう。最終の帯域18における温度は約950℃に維持され、明確には、約946℃〜約975℃の温度に維持されるだろう。中間生成物74は最終の帯域18において約40分間加熱されるだろう。
【0045】
一般に、モリブデン金属粉末10の(BET分析で測定した)表面積対質量比は、最終の帯域18の温度が増大するのに伴って減少する。一般に、最終の帯域18の温度が増大すると、生成するモリブデン金属粉末10の凝集(すなわち「集合すること」)は増大する。最終の帯域18について比較的高い温度を用いてもよいが、様々なその後の焼結やその他の粉末冶金への適用の目的で材料を分解させるために、モリブデン金属粉末10の粉砕またはジェット粉砕が必要であろう。
【0046】
加工処理を行う間に凝集した(すなわち「集合した」)であろう生成物から過大な粒子を取り除くために、モリブデン金属粉末10をふるい分けしてもよい。モリブデン金属粉末10がふるい分けされるかどうかは、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の最終的な用途およびモリブデン酸アンモニウム先駆物質24の純度および/または粒度などの設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0047】
上で説明した反応によって生成したモリブデン金属粉末10がまだ高温のうちに(例えば最終の帯域18を出た直後に)直ちに大気環境中に導入される場合は、それは大気中の酸素と反応して再酸化するかもしれない。従って、モリブデン金属粉末10は最終の帯域18を出た後に、密閉された冷却帯域48を通して移動されるだろう。プロセスガス28は冷却帯域48を通しても流れ、それにより高温のモリブデン金属粉末10は還元雰囲気中で冷却され、モリブデン金属粉末10の再酸化(例えばMoO2および/またはMoO3を形成すること)は減少するかあるいは無くなるだろう。さらに、取扱いの目的からモリブデン金属粉末10を冷却するためにも、冷却帯域48を設けてもよい。
【0048】
上の反応は、加熱帯域16、18、20のそれぞれにおいて約2時間の合計時間にわたって起こってもよい。モリブデン金属粉末10の幾分かは最初の帯域16および/または中間の帯域20において形成されるかもしれない、ということが理解されよう。同様に、未反応のモリブデン酸アンモニウム先駆物質24の幾分かは中間の帯域20および/または最終の帯域18の中に導入されるかもしれない。さらに、幾つかの反応は冷却帯域48においても依然として起こるかもしれない。
【0049】
炉14におけるプロセスチューブ22の様々な部分における反応について説明したが、プロセスパラメーターを下の表1に示す範囲の値に設定したときに、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24のモリブデン金属粉末10への最適な転化が起こることが観察されたことに特に言及しなければならない。
【0050】
【表1】
【0051】
下の実施例1〜14を検討した後に明らかになるであろうが、表1で概説しそして上で説明したプロセスパラメーターは、所望のモリブデン金属粉末10の特性を最適にするために変えることができる。同様に、これらのパラメーターは、モリブデン金属粉末10の所望の特性をさらに最適にするために、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択と組合わせて変えることができる。所望のモリブデン金属粉末10の特性は、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の最終的な用途、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の純度および/または粒度などの設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0052】
実施例1および2
これらの実施例において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。この実施例においてモリブデン酸アンモニウム先駆物質24として用いられるAHMの粒子はClimax Molybdenum Company(Fort Madison、アイオワ州)によって製造されていて、そこから商業的に入手できる。
【0053】
これらの実施例のために次の装置が用いられた:Brabenderからモデル番号H31-FW33/50として入手できる重量減少式(loss-in-weight)供給装置52(C.W. Brabender Instruments, Inc.(South Hackensack、ニュージャージー州)から商業的に入手できる);およびHarper International Corporation(Lancaster、ニューヨーク州)からモデル番号HOU-6D60-RTA-28-Fとして入手できる回転式管炉14である。回転式管炉14は独立して制御される50.8cm(20in)の長さの加熱帯域16、18、20を有していて、またこれら加熱帯域16、18、20のそれぞれを通して延びる305cm(120in)のHT合金のチューブ22を備えていた。従って、この実施例においては、合わせて152cm(60in)の加熱と152cm(60in)の冷却が与えられた。
【0054】
これらの実施例において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24は、重量減少式供給装置52を用いて回転式管炉14のプロセスチューブ22の中に供給された。回転式管炉14を通しての先駆物質24の移動を促進し、また先駆物質24とプロセスガス28の混合を促進するために、プロセスチューブ22は(下の表2に明示するように)回転され(58)そして勾配がつけられた(60)。プロセスガス28は、先駆物質24がプロセスチューブ22を通って移動している方向とは反対の方向すなわち向流方向(32)に、プロセスチューブ22を通して導入された。これらの実施例において、プロセスガス28は還元ガス30としての水素ガスおよび不活性キャリヤーガス46としての窒素ガスを含んでいた。排出ガスは水スクラバー(図示せず)を通して気泡化され、それにより炉14の内部が約11.4cm(4.5in)の水圧に維持された。
【0055】
回転式管炉14のパラメーターは下の表2に示す値に設定された。
【0056】
【表2】
【0057】
これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は図3〜5に示され、そしてこれらについては先に説明した。特に、これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、その表面積対質量比、およびこれと組合わせたその粒度および流動性によって特徴づけられる。具体的には、これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、BET分析で測定して、実施例1については2.364m2/gm、また実施例2については2.027m2/gmの表面積対質量比を有する。これらの実施例に従って製造されたモリブデン金属粉末10は、実施例1については63s/50g、また実施例2については58s/50gの流動性を有する。実施例1および2について得られ、そして上で説明した結果は下の表3にも詳述する。
【0058】
【表3】
【0059】
実施例1の結果(上で表3に記載したもの)は、10の別個の試験を平均することによって得られた。実施例1についての詳細な試験データを下の表4に記載する。実施例1における酸素の最終の重量パーセントは、10の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、10の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0060】
実施例2の結果(上で表3に記載したもの)は、16の別個の試験を平均することによって得られた。実施例2についての詳細な試験データも下の表4に記載する。実施例2における酸素の最終の重量パーセントは、16の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、16の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
実施例3〜6
実施例3〜6において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。実施例3〜6においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、同じ装置、および同じプロセスパラメーターの設定を用いた。実施例3〜6においては最終の帯域の温度だけを変えた。実施例3〜6について得られた結果を下の表5に示す。
【0064】
【表6】
【0065】
実施例3の結果(上で表5に記載したもの)は、一つの独立した試験から得られた。実施例3についての詳細な試験データを上の表4に記載する。酸素の最終の重量パーセント、表面積対質量比、および粒度分布の結果は、一つの試験からの試験データを試験した後に得られた。
【0066】
実施例4の結果(上で表5に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例4についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例4における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0067】
実施例5の結果(上で表5に記載したもの)は、5つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例5についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例5における酸素の最終の重量パーセントは、5つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、5つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0068】
実施例6の結果(上で表5に記載したもの)は、5つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例6についての詳細な試験データも上の表4に記載する。実施例6における酸素の最終の重量パーセントは、5つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比および粒度分布の結果は、5つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0069】
実施例7〜12
実施例7〜12において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)であった。実施例7〜12においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じモリブデン酸アンモニウム先駆物質24、同じ装置、および同じプロセスパラメーターの設定を用いた。実施例7〜12においては中間の帯域と最終の帯域の温度を変えた。中間の帯域と最終の帯域の温度および実施例7〜12について得られた結果を下の表6に示す。
【0070】
【表7】
【0071】
実施例7の結果(上で表6に記載したもの)は、9つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例7における酸素の最終の重量パーセントは、9つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、9つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0072】
実施例8の結果(上で表6に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例8における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0073】
実施例9の結果(上で表6に記載したもの)は、8つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例9における酸素の最終の重量パーセントは、8つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、8つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0074】
実施例10の結果(上で表6に記載したもの)は、17の別個の試験を平均することによって得られた。実施例10における酸素の最終の重量パーセントは、17の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、17の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0075】
実施例11の結果(上で表6に記載したもの)は、6つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例11における酸素の最終の重量パーセントは、6つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、6つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0076】
実施例12の結果(上で表6に記載したもの)は、16の別個の試験を平均することによって得られた。実施例12における酸素の最終の重量パーセントは、16の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、16の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0077】
実施例13
実施例13において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はジモリブデン酸アンモニウム(ADM)であった。実施例13においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じ装置とプロセスパラメーターの設定を用いたが、ただし最初の加熱帯域、中間の加熱帯域および最終の加熱帯域の温度は600℃に維持された。実施例13について得られた結果を下の表7に示す。
【0078】
【表8】
【0079】
実施例13の結果(上で表7に記載したもの)は、4つの別個の試験を平均することによって得られた。実施例13における酸素の最終の重量パーセントは、4つの試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、4つの別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0080】
実施例14
実施例14において、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24はオクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)であった。実施例14においては、実施例1および2において上で詳細に説明したものと同じ装置とプロセスパラメーターの設定を用いたが、ただし中間の加熱帯域と最終の加熱帯域の温度を変えた。実施例14において、中間の加熱帯域は750℃〜800℃の間に設定され、そして最終の加熱帯域は900℃〜1000℃の間に設定された。実施例14について得られた結果を下の表8に示す。
【0081】
【表9】
【0082】
実施例14の結果(上で表8に記載したもの)は、11の別個の試験を平均することによって得られた。実施例14における酸素の最終の重量パーセントは、11の試験の各々を数学的に平均することによって計算された。表面積対質量比、流動性および粒度分布の結果は、11の別個の試験からのモリブデン粉末生成物を混合し、そして試験した後に得られた。
【0083】
当業者であれば以上の実施例を検討した後に理解するであろうが、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、モリブデン金属粉末10についての意図された用途に依存するだろう。先に説明したように、モリブデン酸アンモニウム先駆物質24の選択は、(限定するものではないが)モリブデン金属粉末10の所望の特性(例えば、表面積対質量比、粒度、流動性、焼結性、焼結温度、酸素の最終の重量パーセント、純度、その他)などの様々な設計上考慮すべき事柄に依存するだろう。
【0084】
ここで説明したモリブデン金属粉末10は大きな粒度と組合わせた比較的大きな表面積対質量比を有することが、容易に明らかである。同様に、ここで説明したモリブデン金属粉末10を製造するための装置12と方法80がモリブデン金属粉末10を製造するために用いることができることは、明らかである。従って、権利請求された発明はモリブデン金属粉末の技術における重要な進歩を示している。
【0085】
本発明の例示的で現在において好ましい態様がここで詳細に説明されたが、本発明の概念は他にも様々に具現されそして用いられうること、また、添付した特許請求の範囲は先行技術によって限定されているもの以外のそのような変形を含むと解釈されることが意図されている、と理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は本発明に従うモリブデン金属粉末を製造するための装置の一つの態様の概略断面図である。
【図2】図2は本発明に従うモリブデン金属粉末を製造するための方法の態様を説明する流れ図である。
【図3】図3は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図4】図4は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図5】図5は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAHMである。
【図6】図6は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図7】図7は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図8】図8は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はADMである。
【図9】図9は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【図10】図10は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【図11】図11は本発明の一つの態様に従って製造することのできるモリブデン金属粉末の走査型電子顕微鏡画像であり、このときモリブデン酸アンモニウム先駆物質はAOMである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
ホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項2】
表面積対質量比がBET分析で測定して約1.32m2/gと2.56m2/gの間である、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項3】
ホール流量計で測定して約58s/50gと約63s/50gの間の流動性を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項4】
モリブデン金属粉末は約950℃で焼結し始める、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項5】
約0.2%未満の酸素の重量パーセントを有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項6】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項7】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度を有する、請求項6に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項8】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも20%がサイズ−325の標準タイラーメッシュふるいよりも小さい粒度を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項9】
モリブデン金属粉末を製造する方法であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項10】
モリブデン金属粉末の表面積対質量比がBET分析で測定して約1.32m2/gと約2.56m2/gの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
モリブデン金属粉末の流動性がホール流量計で測定して約58s/50gと約63s/50gの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することと中間生成物を最終温度において加熱することは、約2時間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することは、約600℃において加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
中間生成物を最終温度において加熱することは、約950℃において加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
中間生成物を最終温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
中間生成物を最終温度において加熱する前に中間生成物を中間の温度において加熱することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
中間生成物を中間の温度において加熱することは、約750℃において加熱することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
中間生成物を中間の温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、ジモリブデン酸アンモニウム(ADM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
モリブデン金属粉末を製造するための方法であって:
先駆物質を還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項24】
モリブデン金属粉末の生成物であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
のプロセスによって得られる前記モリブデン金属粉末の生成物。
【請求項25】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項26】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項27】
モリブデン金属粉末を製造する方法であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項28】
モリブデン金属粉末を製造するための方法であって:
先駆物質を還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項29】
モリブデン金属粉末の生成物であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
のプロセスによって得られる前記モリブデン金属粉末の生成物。
【請求項1】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
ホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項2】
表面積対質量比がBET分析で測定して約1.32m2/gと2.56m2/gの間である、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項3】
ホール流量計で測定して約58s/50gと約63s/50gの間の流動性を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項4】
モリブデン金属粉末は約950℃で焼結し始める、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項5】
約0.2%未満の酸素の重量パーセントを有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項6】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項7】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度を有する、請求項6に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項8】
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも20%がサイズ−325の標準タイラーメッシュふるいよりも小さい粒度を有する、請求項1に記載のモリブデン金属粉末。
【請求項9】
モリブデン金属粉末を製造する方法であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項10】
モリブデン金属粉末の表面積対質量比がBET分析で測定して約1.32m2/gと約2.56m2/gの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
モリブデン金属粉末の流動性がホール流量計で測定して約58s/50gと約63s/50gの間である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することと中間生成物を最終温度において加熱することは、約2時間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することは、約600℃において加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
モリブデン酸アンモニウムを最初の温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
中間生成物を最終温度において加熱することは、約950℃において加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
中間生成物を最終温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
中間生成物を最終温度において加熱する前に中間生成物を中間の温度において加熱することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
中間生成物を中間の温度において加熱することは、約750℃において加熱することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
中間生成物を中間の温度において加熱することは、約40分間にわたって加熱することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、ジモリブデン酸アンモニウム(ADM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項21】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、ヘプタモリブデン酸アンモニウム(AHM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項22】
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意することは、オクタモリブデン酸アンモニウム(AOM)の供給物を用意することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項23】
モリブデン金属粉末を製造するための方法であって:
先駆物質を還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項24】
モリブデン金属粉末の生成物であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびホール流量計で測定して約29s/50gと約64s/50gの間の流動性を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
のプロセスによって得られる前記モリブデン金属粉末の生成物。
【請求項25】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項26】
モリブデン金属粉末であって、
BET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比;および
モリブデン金属粉末粒子の少なくとも40%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度;
を有する前記モリブデン金属粉末。
【請求項27】
モリブデン金属粉末を製造する方法であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項28】
モリブデン金属粉末を製造するための方法であって:
先駆物質を還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
を含む前記方法。
【請求項29】
モリブデン金属粉末の生成物であって:
モリブデン酸アンモニウムの供給物を用意すること;
モリブデン酸アンモニウムを還元ガスの存在下で最初の温度において加熱して中間生成物を生成させること;および
中間生成物を還元ガスの存在下で最終温度において加熱し、それによってBET分析で測定して約1.0m2/gと約3.0m2/gの間の表面積対質量比およびモリブデン金属粉末粒子の少なくとも30%がサイズ+100の標準タイラーメッシュふるいよりも大きい粒度となるような粒度を有するモリブデン金属粉末を生成させること;
のプロセスによって得られる前記モリブデン金属粉末の生成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−518095(P2008−518095A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537984(P2007−537984)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/037496
【国際公開番号】WO2007/011397
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(506032048)クライマックス・エンジニアード・マテリアルズ・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/037496
【国際公開番号】WO2007/011397
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(506032048)クライマックス・エンジニアード・マテリアルズ・エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】
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