説明

モンテルカストの製造方法およびそれに用いられる中間体

本発明は、モンテルカスト、ロイコトリエンの阻害剤、およびそれに用いられる中間体化合物の製造方法を提供する。本発明の製造方法によれば、高純度のモンテルカストおよびそのナトリウム塩を高収率で製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モンテルカスト(montelukast)を製造するための改善された方法およびそれに用いられる中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコトリエン(leukotriene)は、生体内でアラキドン酸から産生される一種の局部作用性ホルモンであり、主要なロイコトリエンとしては、ロイコトリエンB4 (LTB4)、C4(LTC4)、D4(LTD4)およびE4(LTE4)が挙げられる。これらロイコトリエンの生合成は、5−リポキシゲナーゼの作用によってアラキドン酸からロイコトリエンA4(LTA4)として知られているエポキシドを生成し、次いでLTA4は一連の酵素段階を経て多様なロイコトリエンに変換される(非特許文献1参照)。
【0003】
最近、モンテルカストまたはその薬剤学的に許容可能な塩は、ロイコトリエンに対する拮抗剤および生合成阻害剤として作用することが知られており、モンテルカストナトリウムがぜん息治療用として「シングレア(登録商標)(Singulair(登録商標))」(米メルク(Merck)社製)という商品名で市販されている。
【0004】
前記モンテルカストナトリウムの製造方法は、ヨーロッパ特許第480,717号に開示されている(特許文献1参照)。詳しくは、反応式1で表されるように、化(B)の1−(メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸メチルエステルを化(A)の化合物とカップリング(coupling)反応させることによって中間体として化(C)の化合物を得、次いで前記化(C)の化合物を加水分解してその遊離酸を得た後、該遊離酸をNaOHで処理した。しかし、前記方法は収率が低く、コストが高いという問題がある。
反応式1
【化1】

THP:テトラヒドロピラニル
PPTS:ピリジニウムpトルエンスルホネート
【0005】
前述の問題を解決するために、ヨーロッパ特許第737,186号は反応式2で表される方法を提示している(特許文献2参照)。この方法は、THPで保護された化(A)の化合物の代わりに保護されていないヒドロキシ基を有する化(A´)のメタンスルホニル化合物を用いている。また、この方法は、化(B)の1−(メルカプトエチル)シクロプロピル酢酸メチルエステルの代わりに化(B´)の1−(メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸ダイリチウムを用いることで、後続の脱保護反応が不要となった。得られたジシクロヘキシルアミンを化(C´)の化合物に添加して化(D)の化合物を製造し、次いでこれを目的のナトリウム塩に変換させる。
反応式2
【化2】

【0006】
しかし、前記工程において出発物質として用いられる化(A´)のメタンスルホニル化合物は非常に不安定であるため、全工程が非常に複雑になる。即ち、化(A´)の化合物を製造するためには、約−30℃の低温で反応を行わなければならず、また、その生成物を約−15℃で保管しなければならない。また、このようにして製造された化(A´)の化合物は水分および空気に対して不安定であるため、制御された条件下で迅速にその反応を行わなければならない。さらに、化(B´)の化合物を合成するためには、水分および空気の存在下で爆発し易くかつ不安定なn−ブチルリチウムを用いなければならない。従って、この方法は大量生産に適しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第480,717号
【特許文献2】ヨーロッパ特許第737,186号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Leukotrienes and Lipoxygenases,ed.J.Rokach,Elsevier,Amsterdam,1989
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、大量生産に好適であり、高純度のモンテルカストおよびそのナトリウム塩を高収率で製造するための有効な方法を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、前記モンテルカストの製造に用いられる新規なリン酸塩中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための本発明の態様によれば、
(a)化(V)のハロゲン化リン酸塩(halophosphate)化合物と化(IV)のジオール化合物を塩基の存在下で溶媒中で反応させて化(III)のリン酸化合物を製造する段階;および
(b)前記化(III)のリン酸化合物と化(II)のチオカルボン酸化合物を塩基の存在下で溶媒中でカップリング反応させる段階を含む、
化(I)のモンテルカストまたはそのナトリウム塩の製造方法を提供する。
【化3】

前記式中、Rは水素またはナトリウム;Rは水素、メチルまたはエチル;Rはメチル、エチルまたはフェニル;Xはハロゲン;Yは硫黄または酸素である。
【0012】
本発明の他の態様によれば、本発明は、前記モンテルカストの製造に中間体として用いられる化(III)のリン酸化合物を提供する。
【化4】

前記式中、Rはメチル、エチルまたはフェニル;Yは硫黄または酸素である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるモンテルカストの製造方法は、従来の製造方法で用いられたメタンスルホン酸誘導体の代わりに新規なリン酸塩中間体化合物を用いることによって、安定性を非常に向上させ、不純物を顕著に減少させ得る。従って、モンテルカストの量産に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、化(I)の化合物は反応式3の手順によって製造され得る。
反応式3
【化5】


前記式中、Rは水素またはナトリウムであり;Rは水素、メチルまたはエチルであり;Rはメチル、エチルまたはフェニルであり;Xはハロゲンであり;Yは硫黄または酸素である。
【0015】
前記反応段階(a)において、前記化(IV)の化合物と化(V)のハロゲン化リン酸化合物とをカップリング反応させて、リン酸脱離基を有する前記化(III)のリン酸化合物を製造する。化(V)のハロゲン化リン酸塩化合物は、市販のものを用いるか、従来の方法を用いて容易に合成し得る。化(V)のハロゲン化リン酸塩化合物は、Xがクロロ、Yが酸素、Rがフェニルであることが好ましい。また、リン酸脱離基はリン酸ジフェニル基であることが最も好ましい。
【0016】
さらに、前記段階(a)において、化(V)のハロゲン化リン酸塩化合物は、化(IV)のジオール化合物に対して1.1〜1.5当量で用いられ得る。
【0017】
前記段階(a)中に生成される酸は、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジンおよびこれらの混合物から選ばれる塩基を用いて除去することができ、特にトリエチルアミンが好ましい。ここで、塩基は、化(IV)のジオール化合物に対して1.2〜2.0当量で用いられ得る。また、必要に応じて、前記段階(a)において、4−ジメチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンを触媒として用い得る。
【0018】
前記反応段階(a)は、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチルおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒中で行われ得、トルエンと塩化メチレンとの混合溶媒中で−25〜50℃の温度で行うことが好ましい。
【0019】
前記段階(a)で得られる化(III)のリン酸化合物は、酢酸メチル、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、エーテル、イソプロピルエーテルおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒から結晶化され得、酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒を用いることが好ましい。
【0020】
化(III)のリン酸化合物は、従来の方法で製造されたメタンスルホニル化合物とは異なり、優れた安定性を有する。従来の方法においては、一般的に、メタンスルホニル化合物を製造するために約−30℃で反応を行うとともに、生成物を約−15℃で保管しなければならない。これと対比的に本発明で得られる化(III)のリン酸化合物は、室温で保管してもよく、40℃で乾燥しても分解しない。しかも、化(III)のリン酸化合物は、不純物をほとんど含有しないで純度が高い。
【0021】
前記反応段階(b)において、化(III)のリン酸化合物は、化(II)のチオカルボン酸誘導体とカップリング反応される。ここで、前記化(II)の化合物の代表的な例としては、1−(メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸とそのアルキルエステルなどが挙げられる。
また、前記段階(b)で用いられる塩基は、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物から選ばれ得、特に水素化ナトリウムが好ましい。前記段階(b)で用いられる溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、メタノールおよびこれらの混合物から選ばれ得、ジメチルホルムアミドを用いることが好ましい。
【0022】
1−(メルカプトメチル)−シクロプロピル酢酸が前記段階(b)の反応において化(II)の化合物として用いられる場合、1−(メルカプトメチル)−シクロプロピル酢酸および前記塩基は、前記化(III)の化合物に対してそれぞれ2〜4当量および3〜5当量の量で用いられ得る。
【0023】
これに対し、1−(メルカプトメチル)−シクロプロピル酢酸メチルエステルを前記化(II)の化合物として用いる場合、1−(メルカプトメチル)−シクロプロピル酢酸メチルエステルおよび前記塩基は、前記化(III)の化合物に対してそれぞれ1〜3当量および1〜2当量で用いられ得る。
【0024】
このようにして得られたモンテルカスト生成物は、水酸化ナトリウムのような塩基の存在下で加水分解してその塩を得ることができる。高純度のモンテルカストナトリウム塩を製造するためには、モンテルカストの遊離酸を除去した後、水酸化ナトリウムなどで処理することが好ましい。
【0025】
前述したように、本発明によるモンテルカストの製造方法は、従来の方法で用いられたメタンスルホン酸誘導体の代わりに新規なリン酸中間体化合物を用いることによって、非常に向上した安定性及び顕著に減少された不純物を含む、目的の生産物の製造に有用であるため、モンテルカストの量産に好適である。
【0026】
(実施例)
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明を例示するだけであり、本発明を制限しない。
【実施例1】
【0027】
2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−ジフェニルリン酸オキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールの製造
20gの2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールを240mlの塩化メチレンおよびトルエンの混合物(2:1)に溶解させた後、これにトリエチルアミン(7.31ml、1.2eq.)を徐々に添加した。この混合溶液に13.6mlのジフェニルクロロリン酸塩溶液および1.06gの4−ジメチルアミノピリジンを順次に滴加した。約1時間後に薄層クロマトグラフィー(TLC)で反応終了を確認した。前記反応混合物を100mlの塩化メチレンおよび200mlの蒸留水で処理し、有機層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。このように得られた残渣を酢酸エチルおよびn−ヘキサンの混合物(1:3)(60ml)に溶解させた後、再結晶化させた。結晶化された生成物をろ過して蒸留水40mlで洗浄した後、乾燥して黄色固相の標題化合物29.5g(97.8%)を得た。
融点:127℃
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.4(1H,d),7.94(1H,d),7.75 (3H,m),6.97−7.35(20H,m),5.70−5.72(1H,m),3.02−3.09(2H,m),2.29−2.34(2H,m),1.65(3H,s),1.59(3H,s).
【実施例2】
【0028】
1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸の製造
12.7gの1−(メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸を90mlのジメチルホルムアミドに溶解させた後、これを、6.26gの60%水素化ナトリウムを90mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液に0〜5℃で徐々に添加した。この混合溶液に、前記実施例1で得られた30gの2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)−エテニル)フェニル)−3−リン酸ジフェニルオキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールを120mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を徐々に滴加した。室温に徐々に昇温させた後、18〜20時間反応させた。次いで、反応溶液を、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和させて酢酸エチルおよび蒸留水で処理し、有機層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。このように得られた残渣を270mlのシクロヘキサンに溶解させた後、再結晶化させた。結晶化された生成物をろ過、洗浄および乾燥して黄色固相の標題化合物22.2g(87.1%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDOD):δ8.27(1H,d),7.98(1H,s), 7.78(2H,d),7.73(2H,d),7.38−7.56(6H,m),7.07−7.14(3H,m),4.84(1H,t),3.30−3.33(1H,m),2.84−2.87(1H,m),2.52(2H,s),2.41(2H,s),2.18−2.23(2H,m),1.55(6H,s),0.37−0.52(4H,m).
【実施例3】
【0029】
1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸ナトリウム塩の製造
段階1:1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸メチルエステルの製造
2.1gの1−(アセチルチオメチル)シクロプロピル酢酸メチルエステルを35mlのジメチルホルムアミドに溶解させた後、これを、0.71gの60%水素化ナトリウムを35mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液に0〜5℃の温度範囲で徐々に添加した。この混合溶液に、前記実施例1で得られた7.73gの2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−リン酸ジフェニルオキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールを35mlのジメチルホルムアミドに溶解させた溶液を0〜5℃の温度範囲で徐々に滴加した。約1時間後に前記反応混合物を酢酸エチルおよび蒸留水で処理し、有機層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去して黄色液相の標題化合物5.68g(84.5%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.12(2H,d),7.66−7.74(4H,m),7.37−7.48(6H,m),7.12−7.20(3H,m),3.96(1H,t),3.14−3.16(1H,m),2.88(1H,m),2.53(2H,s),2.43(2H,s),1.62(6H,d),0.41−0.54(4H,m).
【0030】
段階2:1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸の製造
前記段階1で得られた12gの1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸メチルエステルを、60mlのテトラヒドロフランと30mlのメチルアルコールとの混合液に溶解させた。温度を10〜15℃に調節した後、この混合溶液に24gの10%水酸化ナトリウム溶液を徐々に添加した。次いで、室温(24〜27℃)に徐々に昇温させて、前記反応混合物を20時間攪拌した。反応終了後、有機層を分離して乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。このように得られた残渣を水層とさらに混合し、これにトルエン120mlを添加した。次いで、前記反応生成物に300mlの酢酸を添加してpH4に調節した。有機層をさらに分離して硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。このように得られた残渣を96mlのイソプロパノールおよび蒸留水の混合物(2:1)に溶解させた後、再結晶化させた。結晶化された生成物をろ過して黄色固相の標題化合物9.82g(83%)を得た。
H−NMR(300MHz,CD3OD):δ8.27(1H,d),7.98(1H,s),7.78(2H,d),7.73(2H,d),7.38−7.56(6H,m),7.07−7.14(3H,m),4.84(1H,t),3.30−3.33(1H,m),2.84−2.87(1H,m),2.52(2H,s),2.41(2H,s),2.18−2.23(2H,m),1.55(6H,s),0.37−0.52(4H,m).
融点:154℃、純度>99%
【0031】
段階3:1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸ナトリウム塩の製造
前記段階2で得られた5gの1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸と10mlのトルエンとを混合した後、減圧下で溶媒を留去した。このように得られた残渣に14.5mlのトルエンおよび13mlの0.5NのNaOH/MeOH溶液を順次に添加した。その結果、得られた混合溶液を30分間攪拌した後、減圧下で溶媒を留去した。前記残渣を10mlのトルエンおよび50mlのn−ヘキサンに溶解させた後、再結晶化させた。結晶化された生成物をろ過して淡黄色固相の標題化合物5.1g(98%)を得た。
H−NMR(300MHz,CDOD):δ8.29(1H,d),7.99(1H,s),7.83−7.91(3H,m),7.72(1H,s),7.49−7.52(2H,m),7.38−7.44(4H,m),7.10−7.15(3H,m),4.04(1H,t),3.08(1H,m),2.82(1H,m),2.66(1H,d),2.52(1H,d),2.43(1H,d),2.29(1H,d),2.16−2.24(2H,m),1.52(6H,s),0.33−0.52(4H,m)
【0032】
(比較例)
1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸ジシクロヘキシルアミン塩の製造
段階1:2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−メタンスルホニルオキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールの製造
10gの2−(2−(3−(S)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−ヒドロキシプロピル)フェニル)−2−プロパノールを、窒素雰囲気下で28.5mlのトルエンと71.3mlのアセトニトリルとの混合液に添加した。この混合溶液に4.41mlのジイソプロピルエチルアミンを添加した。−25℃に降温させた後、4.41mlの塩化メタンスルホニルを前記混合溶液に30分間滴加して約2.5時間攪拌した。−35℃に降温させた後、反応混合物をさらに2時間攪拌して結晶を生成した。次いで、得られた結晶を迅速にろ過した後、残渣を−30℃のアセトニトリルおよび5℃のn−ヘキサンで洗浄した。得られた生成物を窒素雰囲気下で乾燥して標題化合物8.97g(76.7%)を得た。このように得られた化合物を−18℃でポリプロピレン製の二重小袋に入れた。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.11(m,2H),7.69(m,5H),7.41(m,5H),7.19(m,3H),5.70(dd,1H),3.25(m,1H),3.04(m,1H),2.76(s,3H),2.45(m,1H),1.92(s,1H),1.65(s,6H).
【0033】
段階2:1−(((1−(R)−(3−(2−(7−クロロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロピル酢酸ジシクロヘキシルアミン塩の製造
1gの1−(メルカプトメチル)シクロプロピル酢酸を23mlのテトラヒドロフランに添加した。10分間攪拌した後、反応混合物を−15±2℃に冷却させた。次いで、これに10.6mlのn−ブチルリチウムヘキサン溶液を−5℃未満の温度で30分間添加してスラリーを得た。得られたスラリーを−5±2℃で30分間放置した。その後、前記段階1で得られた3.11gのメタンスルホン酸塩を0〜5℃の温度範囲で14mlのテトラヒドロフランに溶解させて透明な淡黄色の溶液を得た。得られた溶液を30分にわたって前記スラリーに移転して−5±2℃の温度で8.5時間保持した。この反応混合物に、42mlの酢酸エチルと42mlの10%塩化ナトリウム溶液との混合液を添加して反応を終えた。30分間攪拌して有機層を分離し、27mlの0.5Mの酒石酸および30mlの水で順次に2回洗浄した後、真空下で濃縮した。得られた8mlの生成物を38mlの酢酸エチルに溶解させた。温度を室温(20±2℃)に調節し、1.4mlのジシクロヘキシルアミンを前記混合溶液に添加した。得られた混合溶液をジシクロヘキシルアミン塩でシード(seeding)した後、1時間放置して濃厚なスラリーを得た。得られたスラリーに、85mlのn−ヘキサンを2時間攪拌しながら徐々に添加した。得られたスラリーを20±2℃で一晩中放置してろ過した。このように得られたケーキを0±2℃の25mlの酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合液(1:2)で洗浄した後、真空下で40℃で乾燥して標題化合物1.63g(43%)を得た。
H−NMR(CDOD):δ8.25(d.1H),7.95(d.1H),7.86(d,1H),7.83(d,1H),7.77(d,1H),7.70(bs,1H),7.54(d,1H),7.49(d,1H),7.46−7.35(m,4H),7.12−7.03(m,3H),4.87(s,活性 H),4.03(dd,1H),3.11−3.05(m,3H),2.84−2.81(m,1H),2.64(d,1H),2.52(d,1H),2.38(d,1H),2.29(d,1H),2.23(m,1H),2.00(m,4H),1.82(m,4H),1.66(m,2H),1.51(2s,6H),1.37−1.14(m,10H),0.53−0.32(m,4H).
【0034】
以上、本発明は前記特定の実施例に関連付けて説明されたが、添付した請求範囲によって定義される本発明の範疇内で当該分野における熟練者は本発明を多様に変形および変化させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化(I)のモンテルカスト(montelukast)またはそのナトリウム塩の製造方法であって、
(a)化(V)のハロゲン化リン酸(halophosphate)化合物と化(IV)のジオール化合物を塩基の存在下で溶媒中で反応させて化(III)のリン酸化合物を製造する段階;および
(b)前記(III)のリン酸化合物と化(II)のチオカルボン酸化合物を塩基の存在下で溶媒中でカップリング反応させる段階を含む方法。
【化1】

[前記式中、Rは水素またはナトリウム;Rは水素、メチルまたはエチル;Rはメチル、エチルまたはフェニル;Xはハロゲン;Yは硫黄または酸素である]
【請求項2】
前記段階(a)で用いられる塩基が、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、メチルピペリジンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基がトリエチルアミンであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記段階(a)において、前記化(V)のハロゲン化リン酸塩化合物が、前記化(IV)のジオール化合物に対して当量またはそれ以上の量で用いられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記段階(a)において、4−ジメチルアミノピリジンまたは4−ピロリジノピリジンが触媒としてさらに用いられることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化(V)のハロゲン化リン酸塩化合物は、XがCl、Yが酸素、Rがフェニルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記段階(a)で用いられる溶媒が、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチルおよびこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記段階(b)で用いられる塩基が、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、トリエチルアミン、ピリジンおよびこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記段階(b)で用いられる溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、メタノールおよびこれらの混合物からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒がジメチルホルムアミドであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載のモンテルカストまたはそのナトリウム塩の製造に中間体として用いられる化(III)のリン酸化合物。
【化2】

[前記式中、Rはメチル、エチルまたはフェニル;Yは硫黄または酸素である]

【公表番号】特表2010−512309(P2010−512309A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540174(P2009−540174)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/KR2007/006424
【国際公開番号】WO2008/072872
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(599139534)ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー. (56)
【Fターム(参考)】