説明

モータ制御装置及び画像形成装置

【課題】 励磁パターンが切り替えられる際、ロータがどの位置に停止しても、脱調を生じさせることなく、切り替え後の励磁パターンでステッピングモータを立ち上げることを可能にする。
【解決手段】 第1の励磁パターンでステッピングモータの回転駆動を開始する前に第2の励磁パターンでステータが励磁されていた場合は、ステータを第1の励磁パターンでステッピングモータの自起動領域内となるような周波数の駆動パルスにより第1の励磁パターンの1周期分または複数周期分励磁してロータの位相合わせを行った後、ステータを第1の励磁パターンでステッピングモータの自起動周波数を超える目標周波数まで駆動パルスを変化させながら励磁しステッピングモータの回転駆動を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の励磁モードでステッピングモータを駆動するモータ制御装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置は様々な記録紙の種類や印刷モードに適した速度で記録紙の搬送を行う。例えば、厚紙を搬送するときは普通紙を搬送するときの半分の速度で搬送する。記録紙を搬送するローラの駆動にはステッピングモータが用いられることが多い。ステッピングモータを2相励磁で駆動すると高いトルクを得ることができるが、2相励磁で低速駆動すると振動が顕著に現れてしまう。そこで、ステッピングモータを高速駆動する場合は2相励磁で駆動し、低速駆動する場合は1−2相励磁で駆動することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−002895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ステッピングモータを高速駆動する場合は2相励磁で駆動し、低速駆動する場合は1−2相励磁で駆動するようにした場合、次のような課題が生じる。モータドライバがステッピングモータを駆動する場合、モータドライバは予め決められた励磁パターンでステータの励磁を開始する。ステッピングモータのロータが励磁パターンの初期位置に対応する角度に位置していない場合、予め決められた励磁パターンで励磁を開始すると、ロータはステータの励磁に追従できず、脱調や振動が発生してしまう。このような状況は、2相励磁から1−2相励磁への切り替えや、1−2相励磁から2相励磁への切り替えが任意のタイミングで行われる場合に起こり得る。励磁モードを切り替える前に必ず予め決められた励磁パターンの初期位置にロータを停止させるように制御するようにすればこのような問題は生じないが、モータドライバがロータの位置を把握しなければなければならないため、構成が複雑化する。また、励磁モードを切り替えた後にロータの停止位置に応じた励磁パターンで励磁すればこのような問題が生じないが、モータドライバがロータの位置を把握し、励磁パターンを切り替えなければなければならないため、構成が複雑化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題に鑑み、本発明は、ロータとステータを有するステッピングモータと、入力される駆動パルスに応じて変化する予め決められた少なくとも第1又は第2の励磁パターンに基づいて前記ステッピングモータの前記ステータの励磁を順次切り替えることにより前記ステッピングモータを回転させる制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの回転駆動を開始する前に前記第2の励磁パターンで前記ステータが励磁されていた場合は、前記ステータを前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの自起動領域内となるような周波数の駆動パルスにより前記第1の励磁パターンの1周期分または複数周期分励磁して前記ロータの位相合わせを行った後、前記ステータを前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの自起動周波数を超える目標周波数まで駆動パルスを変化させながら励磁し前記ステッピングモータの回転駆動を開始することを特徴とするモータ制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の励磁パターンでステッピングモータの回転駆動を開始する前に第2の励磁パターンでステータが励磁されていた場合は、ステータを第1の励磁パターンでステッピングモータの自起動領域内となるような周波数の駆動パルスにより第1の励磁パターンの1周期分または複数周期分励磁してロータの位相合わせを行った後、ステータを第1の励磁パターンでステッピングモータの自起動周波数を超える目標周波数まで駆動パルスを変化させながら励磁しステッピングモータの回転駆動を開始するので、励磁パターンが切り替えられる際、ロータがどの位置に停止しても、脱調を生じさせることなく、切り替え後の励磁パターンでステッピングモータを立ち上げることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の断面図である。
【図2】画像形成装置の給紙部の駆動ブロック図である。
【図3】画像形成装置の給紙部の制御ブロック図である。
【図4】ステッピングモータの構造図である。
【図5】本実施形態における位相合わせ動作のシーケンス図である。
【図6】給紙動作にかかるモータ制御のための制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態における画像形成装置100の断面図である。画像形成装置100は、原稿読取装置400、プリンタ401、ADF(自動原稿給送装置)500を有する。ADF500は、原稿を1枚ずつプラテンガラス402上に給送する。ランプ403及び走査ミラー405がプラテンガラス402上の原稿に沿って移動し、原稿からの反射光が走査ミラー405〜407及びレンズ408を介してイメージセンサ部409で結像されることにより、原稿が読み取られる。露光制御部410は、コントローラ部(CONT)で画像処理された画像データに応じた光ビームを感光体411に照射する。現像器412、413は、光ビームにより感光体411上に形成された静電潜像を所定色の現像剤(トナー)で現像する。
【0009】
記録紙収納部414、415に積載収納された記録紙Pは、ピックアップローラ421、431により1枚ずつ分離され、給紙ローラ422、432、433、434によりレジストローラ425まで給送される。そして、感光体411上に形成される画像の先端にタイミングを合わせて、記録紙Pはレジストローラ425により転写分離帯電器416へ送り込まれる。転写分離帯電器416は、感光体411上に現像されたトナー像を記録紙Pに転写した後、その記録紙Pを感光体411より分離する。定着部417は、搬送ベルト423により転写分離帯電器416から送られてきた記録紙Pにトナー像を定着させる。排紙ローラ418は、定着部417で定着処理された記録紙Pをトレー420上に排紙する。ここで、記録紙Pが普通紙(第1の記録紙)よりも厚い厚紙(第2の記録紙)であった場合には、普通紙(厚紙以外)の場合に対して半分の速度で画像形成が行われるように、半分の速度で感光体411を回転させ、記録紙Pも感光体411の周速と同じ速度で搬送する。厚紙を普通紙の半分の速度で搬送するのは、厚紙は定着処理する際に普通紙よりも多くの熱を必要とするからである。
【0010】
図2は、ピックアップローラ421、431及び給紙ローラ422、432、433、434の駆動ブロック図である。記録紙収納部414のピックアップローラ421及び給紙ローラ422はモータ601によって駆動される。記録紙収納部415のピックアップローラ431及び給紙ローラ432はモータ602によって駆動される。また、給紙ローラ433、434はモータ603によって駆動される。これら3つのモータ601、602、603はステッピングモータであり、独立して駆動(加速・減速・停止)させることが可能である。モータ601、602、603は2相励磁及び1−2相励磁のいずれかで駆動される。普通紙を搬送する場合、モータ601、602、603の励磁モードを2相励磁とし、厚紙を搬送する場合には、励磁モードを1−2相励磁とする。これにより、厚紙搬送時は普通紙搬送時の半分の速度で搬送するとともに低速駆動に伴う振動を低減し、普通紙搬送時は高速駆動に必要なトルクを確保する。クラッチ604、605は、モータの駆動力をピックアップローラ421、431へ伝達及び切断する。
【0011】
図3は、モータ601、602、603を含む給紙部の制御ブロック図である。モータドライバ611、612、613は、CPU700からの命令に従って、モータ601、602、603の各相の励磁を制御し、モータ601、602、603を回転駆動する。操作部710からは、使用者により、記録紙収納部の選択、動作モードの選択、画像形成動作の開始指示などがなされる。メモリ720は、操作部710で設定された記録紙収納部や動作モードなどを記憶する。CPU700は、操作部710で設定された記録紙収納部に従って、駆動制御すべきモータ及びクラッチを選択するとともに、設定された動作モードに従って、モータの励磁方法を選択する。また、CPU700は、操作部710から入力された開始指示に応じたタイミングでモータ及びクラッチを制御する。CPU700は、画像形成装置の記録紙搬送経路に設けられたセンサ620からの入力により、各モータの加速・減速タイミングを決定する。
【0012】
次に、図2及び図3を用いて、給紙部からの記録紙の給紙動作を説明する。記録紙収納部414からの給紙動作は、記録紙収納部414に積載された記録紙束の最上紙をピックアップローラ421によって分離し、給紙ローラ422に向けて送り出す。分離された記録紙の先端が給紙ローラ422に到達すると、次の記録紙が分離されないように、クラッチ604によってピックアップローラ421への駆動力が切り離され、ピックアップローラ421は停止する。給紙ローラ422で送られた1枚目の記録紙は、給紙後ローラ434により画像形成部へ向けて更に搬送される。記録紙収納部415からの給紙動作に関しても、上記と同様な動作で行われる。
【0013】
図4は、モータ601〜603に採用するステッピングモータの構造図である。シャフト801に接続されたロータ802の周囲を取り囲むように、ステータ803が配置されている。ステータ803はステータポール(以下、ポール)804(804−1〜804−8)を有し、ポール804−1〜804−8はロータ802に向けて突き出すように配置されている。ポール804−1〜804−8にはコイル805が巻かれている。ポール804−1、804−5にはA相コイルが、ポール804−3、804−7には*A相コイルが巻かれている。ポール804−2、804−6にはB相コイルが、ポール804−4、804−8には*B相コイルが巻かれている。A相に電流を流すとA相に相当するポール804−1及び804−5に励磁がかかり、A相に逆向きの電流を流すと*A相に相当するポール804−3及び804−7に励磁がかかる。B相についてもA相と同様である。
【0014】
図4(a)は、2相励磁モードにおけるロータ802の初期位置を示す図である。A相のポール804−1及びB相のポール804−2が励磁されてN極となり、ロータ802のS極の歯802−1がポール804−1及び804−2に引き寄せられ、その中間の位置で静止する。ロータ802の歯802−3についても同様に、ポール804−5及び804−6に引き寄せられ、その中間の位置で静止する。2相励磁モードでモータを駆動する場合、この状態からステータ804のA相及びB相、B相及び*A相、*A相及び*B相、*B相及びA相のコイルを順次励磁していく(励磁を順次切り替える)。この励磁パターンを2相励磁パターンと呼ぶ。このように、コイルを順次2相ずつ励磁することで、ロータ802の歯(802−1〜802−4)がステータ804のポール(804−1〜804−8)に順次吸引され、ロータ802及びシャフト801が時計回りに回転する。
【0015】
図4(b)は、1−2相励磁モードにおけるロータ802の初期位置を示す図である。A相のポール804−1及び804−5が励磁されてN極となり、ロータ802の歯802−1及び802−3がそれぞれに引き寄せられ、それぞれに対向する位置で静止する。1−2相励磁でモータを駆動する場合、この状態からステータ804のA相、A相及びB相、B相、B相及び*A相、*A相、*A相及び*B相、*B相、*B相及びA相のコイルを順次励磁していく(励磁を順次切り替える)。この励磁パターンを1−2相励磁パターンと呼ぶ。このように、2相と1相の励磁を交互に繰り返すことで、ロータ802の歯(802−1〜802−4)がステータ804のポール(804−1〜804−8)に順次吸引され、ロータ802及びシャフト801が時計回りに回転する。1−2相励磁の場合、ロータ802の所定クロック数あたりの進み量は2相励磁の半分となる。
【0016】
本実施形態では、2相励磁の場合は常に図4(a)の状態から回転駆動を開始し、1−2相励磁の場合は常に図4(b)の状態から回転駆動を開始する。このように、モータドライバ611〜613は、CPU700から指示された励磁モードに従って常に決まった励磁パターンで励磁すればよいので、モータドライバの構成が複雑化しない。その一方で、モータの駆動の停止や励磁モードの変更は、励磁パターンが一巡することを待たずに任意のタイミングで行うため、ロータ802のステータ804に対する位相は必ずしも一致しない。前述したように、モータドライバ611〜613は、モータの駆動停止後に再度モータの回転駆動を開始する際、ロータ802がどの位相で停止しているかにかかわらず、前述した励磁パターンでモータを励磁する。ステッピングモータの立ち上げは、励磁パターンを遷移させる駆動パルスの周波数を自起動周波数から線形的に増加させることにより行う。そのため、ロータ802の位相がずれた状態で立ち上げると、ロータ802はステータ804の励磁に追従できず、脱調や振動が発生することがある。このように、第1の励磁パターンから第2の励磁パターンに切り替える場合、すなわち、2相励磁から1−2相励磁へ切り替える場合や、1−2相励磁から2相励磁へ切り替える場合に、常に決まった励磁パターンで立ち上げると、脱調や振動が発生することがある。
【0017】
図4(c)は、モータを2相励磁で駆動し、任意のタイミングで停止したときのロータ802の位相の例を示す図である。この状態から上述した1−2相励磁の励磁パターンで時計回りに回転させるように駆動しようとすると、最初にポール804−1がN極となり、次にポール804−1及び804−2がN極となるため、ロータ802はステータ804の励磁に追従できない。この状態からの駆動開始だと、ポール804−1にロータ802の歯802−1が引き寄せられるため、ロータ802が反時計回りに動くこともある。従って、この状態から上述の励磁パターンで立ち上げを行うと、ロータ802はステータ804の励磁に追従できないまま、ステータ804の励磁バターンの駆動パルスの周波数が線形的に増加されてしまうため、脱調や振動が発生してしまう。この脱調や振動により記録紙搬送や画像形成に良くない影響を与えてしまう場合がある。
【0018】
これを防止するため、本実施形態では、ステッピングモータの励磁モードを切り替える場合(2相励磁から1−2相励磁、または1−2相励磁から2相励磁へ切り替える場合)、ステッピングモータの立ち上げを行う前に、ロータ802とステータ804の位相合わせ動作を行う。言い換えると、ステッピングモータの回転駆動を開始する前に、これから励磁する第1の励磁パターンとは異なる第2の励磁パターンでステータ804を励磁している場合、ロータ802とステータ804の位相合わせ動作を行う。ここで、位相合わせとは、これから行う励磁モードの励磁パターンを自起動領域内の一定周波数で一巡(励磁パターン1周期分)させることにより、これから行う励磁モード(励磁パターン)に対応した励磁開始位置にロータ802の位置を合わせることをいう。つまり、ロータ802とステータ804の位相合わせ動作は、自起動領域内の所定周波数(一定周波数)で変化する励磁パターン1周期分に基づいてステータを励磁することにより行う。この後、励磁パターンを変化させる周波数を自起動周波数を超える目標周波数まで変化させながら励磁パターンに基づいてステータ804を励磁することによりステッピングモータの回転駆動を開始する。
【0019】
図5は、励磁モードの切り替え及び位相合わせ動作時における、モータドライバ611に入力される信号(入力クロック(CLK))及びモータドライバ611から出力される信号(A相、B相、*A相、*B相)の状態を示したシーケンス図である。図5(a)は、2相励磁から1−2相励磁へ切り替える際の励磁制御を示す。モータドライバ611は、CPU700から指示された励磁モードに応じた励磁パターンでモータを励磁する。そして、モータドライバ611は、CPU700から入力クロックが入力される毎に励磁パターンを遷移させる。2相励磁から1−2相励磁へ切り替える場合、1−2相励磁でモータの立ち上げを行う前に、1−2相励磁の励磁パターンを自起動領域内の所定周波数で一巡させる位相合わせ動作を行う。CPU700は、2相励磁での搬送動作が終了した任意のタイミングで入力クロックを停止させ、モータドライバ611に1−2相励磁を指示し、自起動領域内の所定周波数の入力クロックをモータドライバ611に8パルス入力する。1−2相励磁では8ステップが励磁パターンの1周期分であるため、この8ステップ分の励磁パターンの遷移により、ロータ802は図4(b)の状態になり、1−2相励磁立ち上げ時の励磁パターンの位相と一致する。その後、CPU700は、入力クロックの周波数を自起動周波数から目標周波数まで線形的に増加させる。モータドライバ611は、2相励磁から1−2相励磁に切り替える指示があるまでは2相励磁でモータを駆動し、1−2相励磁に切り替える指示を受けた後は予め決められた1−2相励磁パターンでモータを駆動する。なお、モータドライバ611は、位相合わせ動作と立ち上げ動作の間、励磁状態を変化させることなく維持しておく。この例では、位相合わせ動作として、1−2相励磁パターンで1周期分励磁を行ったが、1−2相励磁パターンの初期位置にロータ802が位置すればよいので、1−2相励磁パターンで1周期の整数倍分励磁(複数周期分励磁)してもよい。
【0020】
図5(b)は、1−2相励磁での駆動から2相励磁の駆動へと切り替える際の励磁制御を示す。1−2相励磁から2相励磁へ切り替える場合、2相励磁でモータの立ち上げを行う前に、2相励磁の励磁パターンを自起動領域内の所定周波数で一巡させる位相合わせ動作を行う。CPU700は、1−2相励磁での搬送動作が終了した任意のタイミングで入力クロックを停止させ、モータドライバ611に2相励磁を指示し、自起動領域内の所定周波数の入力クロックをモータドライバ611に4パルス入力する。2相励磁では4ステップが励磁パターンの1周期分であるため、この4ステップ分の励磁パターンの遷移により、ロータ802は図4(a)の状態になり、2相励磁立ち上げ時の励磁パターンの位相と一致する。その後、CPU700は、入力クロックの周波数を自起動周波数から目標周波数まで線形的に増加させる。モータドライバ611は、1−2相励磁から2相励磁に切り替える指示があるまでは1−2相励磁でモータを駆動し、2相励磁に切り替える指示を受けた後は予め決められた2相励磁パターンでモータを駆動する。なお、モータドライバ611は、位相合わせ動作と立ち上げ動作の間も励磁状態を維持しておく。この例では、位相合わせ動作として、2相励磁パターンで1周期分励磁を行ったが、2相励磁パターンの初期位置にロータ802が位置すればよいので、2相励磁パターンで1周期の整数倍分励磁(複数周期分励磁)してもよい。
【0021】
図6は給紙動作にかかるモータ制御のためのCPU700の制御フローチャートである。画像形成装置100の電源が投入されると(S601)、CPU700はモータ601、602、603の励磁モードを2相励磁に設定する(S602)。厚紙設定の場合には、モータの回転速度を遅くすることによるモータ振動の低減を図るため、1−2相励磁でモータ駆動を行うこととしているが、普通紙に比べて使用頻度が圧倒的に少ない。そのため、普通紙の給紙動作を行う際の励磁モードである2相励磁をデフォルトとして設定する。続いて、初期状態でのステータ804とロータ802の位相が合うように2相励磁で位相合わせ動作を行う(S603)。その後、操作部710にて画像形成動作の指示があるまで待機する(S604)。この間に、使用者から操作部710を介して、画像形成動作のモードの設定等が行われ、設定内容はメモリ720に記憶される。
【0022】
操作部710で画像形成動作の開始指示がなされると(S605)、CPU700は、厚紙を給紙する設定が選択されているかどうかを判断し(S606)、厚紙が選択されていない場合には、指定された給紙部から記録紙を給紙する動作を2相励磁で行う(S615)。給紙動作(画像形成動作)が完了したら(S616)、ステップS604へ戻る。ステップS606で厚紙が選択されている場合には、モータの励磁モードを2相励磁から1−2相励磁に切り替えて(S607)、位相合わせ動作を行い(S608)、指定された給紙部から記録紙を給紙する動作を1−2相励磁で行う(S609)。給紙動作(画像形成動作)が完了したら(S610)、CPU700はメモリ720を参照して次の画像形成動作(次のジョブ)の設定が行われているかどうか判別する(S611)。ステップS611で、次の画像形成動作の設定があり、かつ厚紙が選択されている場合には(S612)、励磁モードは1−2相励磁のままでステップS609へ戻る。S611で次の画像形成動作が設定されていない場合、励磁モードを2相励磁に戻し(S613)、位相合わせ動作を行って(S614)、ステップS604へ戻る。また、S611で次の画像形成動作の設定がされていても、厚紙が選択されていない場合には、励磁モードを2相励磁に切り替え(S617)、位相合わせ動作を行って(S618)、ステップS609へ戻る。励磁モードを2相励磁に戻しておくのは、次の給紙動作が実施される際、通常多く使用される厚紙設定以外での動作における動作時間を最小限にするためである。
【0023】
以上のように、記録紙を搬送するローラをステッピングモータで駆動する画像形成装置において、電源オン時と励磁モード切り替え時に位相合わせ動作を行った後、ステッピングモータの立ち上げ動作を行うため、ステッピングモータを脱調や振動させることなく確実に立ち上げることができる。また、通常多く使用される励磁モードで位相合わせ動作を行っておき、画像形成動作の指示に応じて励磁モードの切り替えを行うかどうか判断し、励磁モードの切り替えが必要なときに位相合わせ動作を行うことで、位相合わせ動作による遅延時間の発生頻度を抑えることができる。
【符号の説明】
【0024】
601,602,603 ステッピングモータ
611 モータドライバ
700 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータを有するステッピングモータと、
入力される駆動パルスに応じて変化する予め決められた少なくとも第1又は第2の励磁パターンに基づいて前記ステッピングモータの前記ステータの励磁を順次切り替えることにより前記ステッピングモータを回転させる制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの回転駆動を開始する前に前記第2の励磁パターンで前記ステータが励磁されていた場合は、前記ステータを前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの自起動領域内となるような周波数の駆動パルスにより前記第1の励磁パターンの1周期分または複数周期分励磁して前記ロータの位相合わせを行った後、前記ステータを前記第1の励磁パターンで前記ステッピングモータの自起動周波数を超える目標周波数まで駆動パルスを変化させながら励磁し前記ステッピングモータの回転駆動を開始することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
前記第1の励磁パターンは2相励磁パターンで、前記第2の励磁パターンは1−2相励磁パターンであることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記第1の励磁パターンは1−2相励磁パターンで、前記第2の励磁パターンは2相励磁パターンであることとを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記位相合わせと前記ステッピングモータの回転駆動の開始の間、前記ステータの励磁状態を変化させることなく維持することを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項5】
請求項2または3記載のモータ制御装置を有し、画像形成すべき記録紙を搬送するローラを前記ステッピングモータにより駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、第1の記録紙を搬送する場合、前記ステータを前記2相励磁パターンに基づいて励磁し、前記第1の記録紙よりも厚い第2の記録紙を搬送する場合、前記ステータを前記1−2相励磁パターンに基づいて励磁することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成装置の電源がオンされたことに応じて、前記制御手段は、前記2相励磁パターンに基づいて前記位相合わせを行うことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成動作が完了し、次の画像形成動作がないことに応じて、前記制御手段は、前記2相励磁パターンに基づいて前記位相合わせを行うことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−35990(P2011−35990A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178016(P2009−178016)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】