説明

モータ

【課題】従来のモータはロータがインナーロータ、アウターロータの2つのロータで構成され、ステータコアのヨーク部に巻線が集中巻されているモータにおいて、ステータコアが一体に形成されているので、巻線の作業性が悪くなり、コストアップの要因になっていた。
【解決手段】上記課題を解決するために本発明は、ステータコアを分割することで巻線を容易に施すことができ、かつステータを樹脂にて成型することで空隙部の精度の良いモータを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側ロータと外側ロータの2つのロータを搭載するモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のトロイダル方式のブラシレスモータを示しており、ステータ10と内側ロータ20と外側ロータ30から構成されている。
【0003】
ステータ10は、ステータヨーク14と、ステータヨーク14に設けられた外側ティース12と内側ティース13とからなり、ステータヨーク14には3相コイル15が施されている。通常、コイル15はスターもしくはデルタ結線されている。
【0004】
内側ロータ20は、ステータ10の内側に回転自在に保持され、ロータヨーク21と永久磁石22とからなる。また、外側ロータ30は、ステータ10の外側に回転自在に保持され、ロータヨーク31と永久磁石32からなる。内側ロータ20及び外側ロータ30は、コイル15に流れる電流による磁界によって回転する。なお、図3はステータコアが一体に形成されている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−37133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術によれば、ステータコアを一体に形成しているため、ステータヨークへ施される巻線の作業性が悪くコストアップの要因となっていた。
【0006】
例えば、巻線をする際に、巻線を小さなボビンに巻き取った後に、巻き取った巻線をステータヨーク部へ巻く手法が取られていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明は、ステータコアを複数個に分割されたコアで形成し、巻線に施されたステータコアを樹脂で成型することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
ステータコアを複数個に分割されたコアで形成することにより、ステータヨーク部が環状でなくなり、ステータヨークへの巻線を容易に施すことができ、モータのコスト低減が可能となる。
【0009】
また、分割され巻線が施されたステータコアを組立後、樹脂にて成型固定することで空隙部の精度を向上させることができ、モータの低騒音化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に記載の発明は、略環状のヨークと、前記ヨークに設けた複数のティースとからなるステータコアの前記ヨークに、3相スターもしくはデルタ状に結線されトロイダル巻線を施した複数のコイルを有するステータと、前記ステータに対して回転自在に保持されたロータとからなり、前記ティースは、前記ヨークから外周方向に突出した外側ティースと、前記外側ティースと同数で前記ヨークから内周方向に突出した内側ティースからなり、前記ロータは、ステータの内径側に対向する内側ロータと、外径側に対向する外側ロータとで構成され、前記内側ロータと前記外側ロータの前記ティースに対向する位置に永
久磁石が配置されているモータにおいて、ステータコアを複数個に分割されたコアで形成することを特徴とするモータであり、ステータヨーク部が環状でなくなり、ステータヨークへの巻線を容易に施すことができ、モータのコスト低減が可能となる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、分割され巻線が施されたステータコアを組立後、樹脂にて成型固定することを特徴とするモータであり、空隙部の精度を向上させることができ、モータの低騒音化が可能となる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、ステータティース部に巻線が施されたモータであり、ステータコアを複数個に分割されたコアで形成することにより、ステータヨーク部が環状でなくなり、ステータヨークへの巻線を容易に施すことができ、モータのコスト低減が可能となる。また、分割され巻線が施されたステータコアを組立後、樹脂にて成型固定することで空隙部の精度を向上させることができ、モータの低騒音化が可能となる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ステータヨークのティースと交差する中央付近に軸方向貫通穴を有することを特徴とするモータであり、ステータコアを樹脂にて成型する際の樹脂通し穴として利用することで、樹脂成型金型構造を簡素化できる。なお、上記貫通穴位置をステータコアの磁束の低いステータヨークのティースと交差する中央付近とすることで、モータの特性を下げることなく樹脂通し穴を構成している。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例について、図を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明を適応したステータ巻線の実施例である。ステータコア11を分割することでステータヨーク14は円環状でなくなり、ステータヨーク14への巻線15を容易にすることが可能となる。また、ステータヨーク14の外側ティース12、及び内側ティース13と交差する中央付近に軸方向貫通穴16が設けられており、樹脂成型する際の樹脂通し穴として利用できる。
【0016】
図2は、ステータが樹脂にて成型されたモータの実施例である。図2に示すようにステータコア10の一端の樹脂17は貫通穴16を介して他端の樹脂18と繋がっている。このような構成にすることで樹脂成型時のゲート19を一端のみで形成することが可能となり、金型構造を簡素化できる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明のモータは、低コスト、低騒音化を求められるモータとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例のステータを示す部分正面図
【図2】(a)は同モータの一部内部構造を示す正面図、(b)は同断面図
【図3】従来のモータのステータ構造を開示した正面図
【符号の説明】
【0019】
10 ステータ
11 ステータコア
12 外側ティース
13 内側ティース
14 ヨーク
15 コイル
16 貫通穴
17 一端の樹脂
18 他端の樹脂
19 ゲート
20 内側ロータ
21 内側ロータヨーク
22 内側永久磁石
30 外側ロータ
31 外側ロータヨーク
32 外側永久磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略環状のヨークと、前記ヨークに設けた複数のティースとからなるステータコアの前記ヨークに、3相スターもしくはデルタ状に結線されトロイダル巻線を施した複数のコイルを有するステータと、前記ステータに対して回転自在に保持されたロータとからなり、前記ティースは、前記ヨークから外周方向に突出した外側ティースと、前記外側ティースと同数で前記ヨークから内周方向に突出した内側ティースからなり、前記ロータは、ステータの内径側に対向する内側ロータと、外径側に対向する外側ロータとで構成され、前記内側ロータと前記外側ロータの前記ティースに対向する位置に永久磁石が配置されているモータにおいて、ステータコアが複数個に分割されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記巻線を施されたステータコアが樹脂にて成型されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記巻線がステータティース部に施されている請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記ヨークの前記ティースと交差する中央付近に軸方向貫通穴を有する請求項2に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−61377(P2008−61377A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235222(P2006−235222)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】