モータ
【課題】ロータコアに埋め込まれた永久磁石の冷却性能を向上させ得るモータを提供する。
【解決手段】ロータシャフト(12)と、ロータコア(31)と、これらを連結支持する支持部材(21)とを有するロータ(11)を備えるモータにおいて、支持部材(21)は、ロータコアの内周面に固定される外筒部(22)と、この外筒部(22)をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体(23)とからなり、支持体(23)によって仕切られる一方の側の外筒部内周面(22a)にオイルを供給するオイル供給手段(14、15)を有し、支持体(23)の外筒部(22)への取り付け面に支持体(23)を貫通する貫通孔(24)を設けた。
【解決手段】ロータシャフト(12)と、ロータコア(31)と、これらを連結支持する支持部材(21)とを有するロータ(11)を備えるモータにおいて、支持部材(21)は、ロータコアの内周面に固定される外筒部(22)と、この外筒部(22)をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体(23)とからなり、支持体(23)によって仕切られる一方の側の外筒部内周面(22a)にオイルを供給するオイル供給手段(14、15)を有し、支持体(23)の外筒部(22)への取り付け面に支持体(23)を貫通する貫通孔(24)を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はモータ、特にロータの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、ロータシャフト(11)、ロータコア(24)及びこれらロータシャフト(11)、ロータコア(24)を連結支持する支持部材を有するロータを備えている。そして、支持部材を、ロータコア(24)の内周面に固定される外筒部(27)と、この外筒部(27)をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体(25)とから構成している。このような構成のモータにおいて、特許文献1の技術は、ロータコア(24)に埋め込まれた永久磁石を冷却するため、支持体(25)によって仕切られる一方の側の外筒部内周面(27c)にオイルを供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−28979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面が冷却されるのみである。つまり、支持体によって仕切られる他方の側の外筒部内周面は冷却されないので、ロータコアに埋め込まれた永久磁石を十分に冷却することができず、冷却性能が低下する。
【0005】
そこで本発明は、ロータコアに埋め込まれた永久磁石の冷却性能を向上させ得るモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
モータは、ロータシャフトと、ロータシャフトの外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコアと、これらロータシャフト及びロータコアを連結支持する支持部材とを有するロータを備えている。そして、支持部材は、ロータコアの内周面に固定される外筒部と、この外筒部をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体とからなっている。本発明のモータは、支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面にオイルを供給するオイル供給手段を有し、支持体の外筒部への取り付け面に支持体を貫通する貫通孔を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持体によって仕切られているためにオイルが供給されない側の外筒部内周面にも、貫通孔を介しオイルを供給して冷却することが可能となるため、ロータコアに埋め込まれた永久磁石の冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態のモータの概略断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第2実施形態のモータの概略断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】第3実施形態のモータの概略断面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】第4実施形態のモータの概略断面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】第5実施形態のモータの概略断面図である。
【図10】図9に丸で囲った部分の拡大図である。
【図11】図10のA矢視図及びB矢視図である。
【図12】第6実施形態のモータの概略断面図である。
【図13】図12の一部拡大図である。
【図14】第6実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図15】第7実施形態のモータの概略断面図である。
【図16】図12の一部拡大図である。
【図17】第7実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図18】第8実施形態のモータの概略断面図である。
【図19】図12の一部拡大図である。
【図20】第8実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図21】第9実施形態のモータの概略断面図である。
【図22】図21のA−A線断面図である。
【図23】第10実施形態のモータの概略断面図である。
【図24】図23のA−A線断面図である。
【図25】スパイダ支持体のスパイダ外筒部への取り付け面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の一実施形態のモータ1の概略断面図、図2は図1のA−A線断面図である。ただし、図2にはスパイダ21のみを示している。
【0011】
図1においてモータケース2は、左右のリング状端板2a、2bと、各端板2a、2bの外周部に固定される円筒状の筐体2cとを備えている。左右のリング状端板2a、2bの内周面に設けられている2つのベアリング3、4によって、左右方向に走るロータシャフト12及び減速機軸6が回転可能に支持されている。また、ロータシャフト12と減速機軸6とは同軸上に配置され、両者は減速機5を介して連結されている。
【0012】
上記の減速機5は、ロータシャフト12の駆動力を調整(増大)して減速機軸6に伝達する遊星歯車装置から構成されている。この遊星歯車装置にはロータシャフト12の外周13に固定されるピニオンギヤ7を含んでいる。
【0013】
筐体2cの内壁には、珪素鋼板を多数積層して構成した環状のステータコア9が固定されている。ステータコア9にはコイル10が設けられている。ステータコア9及びコイル10によりステータ8を構成している。
【0014】
ステータ8の内側には、ロータシャフト12、スパイダ21及びロータコア31からなるロータ11が、ステータ8の内周との間に所定のギャップをおいて配置されている。すなわち、図1において左右方向に延長されるロータシャフト12の外周13には、ロータコア支持部材としてのスパイダ21が嵌合固定され、さらにスパイダ21の外周には、例えば珪素鋼板を多数積層して構成した環状のロータコア31が嵌合固定されている。
【0015】
ロータコア31には、ロータシャフト12の径方向外周側に、磁化された部材である永久磁石(図22参照)が埋設されると共に、ロータシャフト12の軸方向(左右方向)の端部に図示しないエンドプレートを備えている。
【0016】
鉄などの磁性材料から構成される上記のスパイダ21は、ロータコア31の内周31aに挿入されて固定される円筒状のスパイダ外筒部22と、このスパイダ外筒部22をロータシャフト12の軸方向に2つに仕切る円盤状のスパイダ支持体23とからなっている。
【0017】
ロータシャフト12内には、冷却オイルが供給される軸方向のオイル流路14及びこのオイル流路14からロータシャフト12の径方向に向かい、ロータシャフト12の外周13に開口する径方向オイル流路15が形成されている。この径方向オイル流路15の開口端15aには、減速機5を構成するピニオンギヤ7を対向させている。このため、モータケース2の外部に設けられているオイルポンプからのオイルがロータシャフト12内に設けられたオイル流路14、15を通ってピニオンギヤ7に供給され、ピニオンギヤ7を含む減速機5が潤滑されることとなる。つまり、オイルポンプ、オイル流路14、15からオイル供給手段が構成されている。
【0018】
さて、ロータコア31に埋め込まれた永久磁石は発熱する。この発熱する永久磁石を、減速機5を潤滑した後のオイルで冷却するため、ロータシャフト12が回転しているときに、ピニオンギヤ7を潤滑した後のオイルが遠心力によりスパイダ外筒部22の内周面やスパイダ支持体23の減速機5側の側面23aに噴射(供給)されるようにしている。
【0019】
しかしながら、スパイダ支持体23のロータシャフト12軸方向の厚さは、スパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の厚さより薄くされると共に、スパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向のほぼ中央にスパイダ支持体23が配置されている。しかも支持体23の側面の全体に孔は設けられていない。つまり、減速機5からのオイルはスパイダ支持体23により遮られる構成である。このため、減速機5からのオイルが供給されるのは減速機5側のスパイダ外筒部内周面(この減速機5側のスパイダ外筒部内周面を以下「減速機側内周面」という。)22aのみであり、減速機5と反対側のスパイダ外筒部内周面(この減速機5と反対側のスパイダ外筒部内周面を以下「減速機反対側内周面」という。)22bにオイルが供給されることはない。なお、減速機側内周面22aの内径と減速機反対側内周面22bの内径とは同じである。
【0020】
そこで本実施形態では、減速機5からのオイルを減速機反対側内周面22bにも供給するため、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔24を設ける。図2にも示したようにロータシャフト12の周方向には貫通孔24を等間隔で6個設ける。貫通孔24の断面は円状であるが、これに限られるものでない。
【0021】
ここで、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面とは、図25(a)にモデルで示したようにスパイダ支持体23とスパイダ外筒部22との間に、水平方向の境界面(一点鎖線参照)を想定したとき、この境界面がスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面である。この場合、水平方向の境界面はスパイダ支持体23の減速機側側面23aと減速機側内周面22aとの交線(曲線)と、スパイダ支持体23の減速機反対側側面23bと減速機反対側内周面22bとの交線(曲線)とを結んでできる曲面のことである。
【0022】
減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bの両方の内径が同じである場合には、貫通孔24はロータシャフト12の軸方向に形成される。このため、貫通孔24の減速機側開口部24a、減速機反対側開口部24bともロータシャフト12の軸方向(図1で左右方向)に開口している。
【0023】
ここで、第1実施形態の作用効果を説明する。
【0024】
第1実施形態では、減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされてスパイダ支持体23の減速機側側面23aや減速機側内周面22aに衝突する。特に、スパイダ支持体23の減速機側側面23aに衝突したオイルは、減速機側側面23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に流れ、変速機側内周面22aにぶつかってロータシャフト12の軸方向の流れが生じる。このロータシャフト12の軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれる。このうち、減速機5と反対側に流れる流れは貫通孔24を通って減速機反対側内周面22bに到達し、減速機反対側内周面22bの全体に流れてゆく。つまり、貫通孔を介して、スパイダ支持体23の向こうの外筒部内周面である減速機反対側内周面22bにもオイルを供給することが可能となった。
【0025】
このように、第1実施形態では、ロータシャフト12と、ロータシャフト12の外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコア31と、これらロータシャフト12及びロータコア31を連結支持するスパイダ21(支持部材)とを有するロータ11を備えるモータ1において、スパイダ21は、ロータコア31の内周面に固定されるスパイダ外筒部22(外筒部)と、このスパイダ外筒部22をロータシャフト12の軸方向に2つに仕切る円盤状のスパイダ支持体23(支持体)とからなり、減速機側内周面22a(スパイダ支持体23によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)にオイルを供給するオイル供給手段(14、15)を有し、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔24を設けている。これによれば、スパイダ支持体23によって仕切られているためにオイルが供給されることがなかった側である減速機反対側内周面22bにも、オイルを供給することが可能となっている。この減速機反対側内周面22bに供給されるオイルにより、永久磁石の発熱で高温となっている減速機反対側のロータコア31を冷却できる(永久磁石の冷却性能を向上させることができる)。
【0026】
また、第1実施形態では、ロータシャフト12の回転速度を減速して取り出す減速機5をロータシャフト12と同軸に有しかつ減速機5の少なくとも一部がロータコア12の内周側に有し、オイル供給手段が供給するオイルは、この減速機5を潤滑した後のオイルである。減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされてスパイダ支持体23に衝突し、このスパイダ支持体23表面をロータシャフト12の径方向外側に流れるオイルがスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にぶつかってロータシャフト12軸方向の流れが生じる。このロータシャフト12軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれるが、減速機5と反対側に流れる流れは貫通孔24を通ることにより、スパイダ支持体23の向こうの外筒部内周面22bにもオイルを供給することができる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態のモータ1の概略断面図、図4は図3のA−A線断面図で、第1実施形態の図1、図2と置き換わるものである。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。ただし、図4にはスパイダ21のみを示している。
【0028】
第2実施形態は、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔25を設けたものである。図4にも示したようにロータシャフト12の周方向には貫通孔25を等間隔で6個設けている。
【0029】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2が大きい場合には、図25(b)にモデルで示したようにスパイダ支持体23とスパイダ外筒部22との間に斜め方向の境界面(一点鎖線参照)を想定でき、この境界面がスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面である。この場合、斜め方向の境界面はスパイダ支持体23の減速機側側面23aと減速機側内周面22aとの交線(曲線)と、スパイダ支持体23の減速機反対側側面23bと減速機反対側内周面22bとの交線(曲線)とを結んでできる曲面のことである。
【0030】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2のほうが大きい場合には、貫通孔25の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図3で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔25の減速機側開口部25a、減速機反対側開口部25bともロータシャフト12の軸方向(図3で左右方向)に開口している。
【0031】
スパイダ支持体23の減速機側側面23aに衝突し、減速機側側面23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に流れ、変速機側内周面22aにぶつかったオイルは、ロータシャフト12の軸方向に流れる。ロータシャフト12軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれるが、第2実施形態では貫通孔25が、減速機側開口部25aよりロータシャフト12の径方向外側に向けて傾斜している。これによって、減速機5側に流れるオイルよりも減速機5と反対側に流れるオイルのほうが多くなり、減速機反対側内周面22bに供給される油量が第1実施形態の場合より増加する。
【0032】
このように第2実施形態によれば、減速機側内周面22a、減速機反対側内周面22b(支持体23で仕切られた2つの外筒部内周面)のうち、減速機側内周面22a(支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)の内径D1よりも減速機反対側内周面22b(支持体によって仕切られる一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面)の内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔25を設けるので、減速機反対側内周面22bに供給される油量を第1実施形態の場合より増加させることができる。
【0033】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態のモータ1の概略断面図、図6(a)は図5の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図6(b)は図6(a)のA−A線断面図である。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。
【0034】
第2実施形態は貫通孔25の減速機側開口部25aがロータシャフト12の軸方向(図3で右方)に開口している。これに対して、第3実施形態は貫通孔26の減速機側開口部26aが図6(a)に示したようにロータシャフト12の径方向内側(図5で上下方向)に向けて開口するようにしたものである。このため、スパイダ支持体23の減速機側側壁23aをロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルの先に貫通孔26の減速機側開口部26aが開口することとなる。このように、ロータシャフト12の径方向内側(図5で上下方向)に向けて貫通孔26の減速機側開口部26aが開口していると、減速機側側壁23aをロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルのほぼ全てが貫通孔26の減速機側開口部26aに供給されることとなる(図6(a)の矢印参照)。
【0035】
減速機側開口部26aが第2実施形態と相違する以外は、第2実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔26を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔26を等間隔で6個設けている。
【0036】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔26の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図5で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔26の減速機反対側開口部26bはロータシャフト12の軸方向(図5で左方)に開口している。
【0037】
第3実施形態によれば、スパイダ支持体23で仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔26を設け、かつ貫通孔26の減速機側開口部26aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにしたので、第2実施形態の場合に比べて減速機反対側内周面22bに供給するオイル流量を多くすることができる。
【0038】
(第4実施形態)
図7は第4実施形態のモータ1の概略断面図、図8は図7のA−A線断面図で、第1実施形態の図1、図2と置き換わるものである。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。ただし、図8にはスパイダ21のみを示している。
【0039】
第4実施形態は、スパイダ外筒部内周面22の内径をスパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の両端からロータシャフト12の軸方向内側に向かうほど小さくし、かつスパイダ外筒部内周面22の内径が最小となる部分のロータシャフト12軸方向位置がスパイダ支持体23の減速機5側にくるようにするものである。
【0040】
ここでは、スパイダ外筒部22をロータシャフト12軸方向(図7で左右方向)の2つの部分41、42に分割し減速機側の部分41を「第1スパイダ外筒部」、減速機反対側の部分42を「第2スパイダ外筒部」として扱うとする。このうち、第1スパイダ外筒部41の内周面41aの内径が、ロータシャフト12軸方向の減速機側端41b(図7で右端)より、ロータシャフト12の軸方向の減速機反対側(図7で左方)に向かうほど小さくなるように形成する。一方、第2スパイダ外筒部42の内周面42aの内径が、ロータシャフト12軸方向の減速機反対側端42b(図7で左端)より、ロータシャフト12軸方向の減速機側(図7で右方)に向かうほど小さくなるように形成する。この場合に、スパイダ外筒部内周面22(41a、42a)の内径が最小径Dminとなる部分のロータシャフト12の軸方向位置は、スパイダ支持体23よりも減速機5側にくるようにする。このため、第1スパイダ外筒部41の内周面41aのロータシャフト12軸方向幅より、第2パイダ外筒部42の内周面42aのロータシャフト12軸方向幅のほうが大きくなっている。
【0041】
このように、第1、第2のスパイダ外筒部41、42を形成したとき、スパイダ支持体23は第2スパイダ外筒部41に接続される。ここで、スパイダ支持体23によって仕切られる減速機5側の第2スパイダ外筒部内周面42aを「減速機側内周面42aa」として、スパイダ支持体23によって仕切られる減速機5反対側の第2スパイダ外筒部内周面42aを「減速機反対側内周面42ab」として区別する。
【0042】
そして、このように形成されたスパイダ外筒部22(41、42)に対しても、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22(41、42)への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔27を設ける。図8にも示したように周方向には貫通孔27を等間隔で6個設ける。
【0043】
減速機側内周面42aaの内径より減速機反対側内周面42abの内径のほうが大きいので、貫通孔27の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図7で上下方向)に対し所定の角度β(0°<β<90°)を有している。貫通孔27の減速機側開口部27a、減速機反対側開口部27bともロータシャフト12の軸方向(図7で左右方向)に開口している。
【0044】
減速機側内周面42aaが、減速機反対側に向かうほどロータシャフト12の径方向外側に傾いていると、減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされて減速機側内周面42aaに衝突したオイルのほぼ全てが、貫通孔27の減速機側開口部27aに供給される。さらに、スパイダ支持体23の減速機側側壁23aに衝突し減速機側側壁23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルのほぼすべても、貫通孔27の減速機側開口部27aに供給されることとなる。
【0045】
第4実施形態では、スパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12の軸方向位置が減速機5側にくるほど、減速機反対側内周面42abへと供給する油量が多くなる。また、スパイダ外筒部内周面の最小径Dminを大きくするほど、減速機反対側内周面42abへと供給する油量が多くなる。すなわち、スパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12の軸方向位置及びスパイダ外筒部内周面の最小径Dminによって、減速機反対側内周面42abへと供給する油量を調節することができる。
【0046】
第4実施形態によれば、スパイダ外筒部内周面の内径をスパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の両端41b、42bからロータシャフト12の軸方向内側に向かうほど小さくし、かつスパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12軸方向位置がスパイダ支持体23より減速機5側(支持体よって仕切られる一方の側)にくるようにすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22(41、42)への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔27を設けるので、第2実施形態の場合に比べ 減速機反対側内周面22bに供給するオイル流量を多くすることができる。
【0047】
(第5実施形態)
図9は第5実施形態のモータ1の概略断面図、図10は図9の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図11(a)は図10のA矢視図、図11(b)は図10のB矢視図である。第2実施形態の図3、図4と同一部分には同一番号を付している。ただし、図11(a)、(b)にはスパイダ21のみを示している。
【0048】
第5実施形態は、図3、図4に示した第2実施形態を前提として、貫通孔28の減速機側開口部28aと貫通孔28の減速機反対側開口部28bとの形状を両者で相違させ、減速機反対側開口部28bの出口形状をラッパ状にするものである。すなわち、図10(a)、(b)に示したように、貫通孔28の減速機反対側開口部28bのロータシャフト12周方向幅Wr2を、貫通孔28の減速機側開口部28aのロータシャフト12周方向幅Wr1よりも相対的に大きくしている。かつ貫通孔28の減速機反対側開口部28bのロータシャフト12径方向幅Wd2を、貫通孔28の減速機側開口部28aのロータシャフト12径方向幅Wd1よりも相対的に小さくしている。
【0049】
減速機側開口部28a、減速機反対側開口部28bが第2実施形態と相違する以外は、第2実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔28を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔28を等間隔で6個設けている。
【0050】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2のほうが大きいので、貫通孔28の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図9で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔28の減速機側開口部28a、減速機反対側開口部28bともロータシャフト12の軸方向(図9で左右方向)に開口している。
【0051】
このように、第5実施形態によれば、減速機側内周面22a、減速機反対側内周面22b(支持体によって仕切られた2つの外筒部内周面)のうち、減速機側内周面22a(一方の側の外筒部内周面)の内径D1よりも減速機反対側内周面22b(一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面)の内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔28を設け、かつ貫通孔28の減速機反対側開口部28b(一方の側とは反対側である他方の側への開口部)を貫通孔28の減速機側開口部28a(一方の側への開口部)よりもロータシャフト12の周方向に長く、ロータシャフト12の径方向に短くしている。減速機反対側開口部28bの出口形状をラッパ状にすることによって、減速機反対側開口部28bから減速機反対側内周面22bに流れ出るオイルが、減速機反対側内周面22bに第2実施形態の場合よりも大きく広がる。減速機反対側内周面22bの広い範囲とオイルが接することになり、永久磁石の冷却性能を向上することができる。
【0052】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態のモータ1の概略断面図、図13(a)は図12の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図13(b)は図13(a)のA−A線断面図である。図14は図13(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔29に沿って展開した展開図である。第3実施形態の図5、図6と同一部分には同一番号を付している。
【0053】
第6実施形態は、第3実施形態を前提として、貫通孔29の減速機側開口部29aと貫通孔29の減速機反対側開口部29bとをロータシャフト12の周方向(図14で上下方向)にずらした位置に設けたものである。このため、図14に示したように貫通孔29の中心軸Cはロータシャフト12の周方向に対して所定の角度θ(0°<θ<90°)を有している。比較のため、図14には第3実施形態の貫通孔26を破線で重ねて示している。第3実施形態では、貫通孔26の中心軸はロータシャフト12の周方向に対して90°の角度を有している。
【0054】
貫通孔29の開口部29a、29bの位置が第3実施形態と相違する以外は、第3実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔29を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔29を等間隔で6個設けている。
【0055】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔29の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図12で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔29の減速機側開口部29aはロータシャフト12の径方向内側(図12で上下方向)に開口し、貫通孔29の減速機反対側開口部29bはロータシャフト12の軸方向(図12で左方)に開口している。
【0056】
第6実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔29を設け、かつ貫通孔29の減速機側開口部29aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部29b(貫通孔の一方の側とは反対側である他方の側への開口部)と、減速機反対側開口部29a(貫通孔の一方の側への開口部)とをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設けている。これにより、オイルが貫通孔29に入る際のフリクションを低減できるため、貫通孔29にオイルが入りやすくなり、減速機反対側内周面22bに供給されるオイルの量を第3実施形態の場合より増やすことができる。
【0057】
(第7実施形態)
図15は第7実施形態のモータ1の概略断面図、図16(a)は図15の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図16(b)は図16(a)のA−A線断面図である。図17は図16(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔30に沿って展開した展開図である。第3実施形態の図5、図6と同一部分には同一番号を付している。
【0058】
第7実施形態は、第3実施形態を前提として、図17に示したように、貫通孔30を一方の側の第1貫通孔45と一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔46とから構成し、このうち第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1(0°<θ1<90°)を、第2貫通孔46の中心線C2がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ2(0°<θ2<90°)より小さくするものである。
【0059】
貫通孔30の位置が第3実施形態と相違する以外は、第3実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔30(45、46)を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔30(45、46)を等間隔で6個設けている。
【0060】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、第1、第2の貫通孔45、46の中心線C1、C2はロータシャフト12の径方向(図15で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔30(第1貫通孔45)の減速機側開口部30aはロータシャフト12の径方向内側(図15で上下方向)に開口し、貫通孔30(第2貫通孔46)の減速機反対側開口部30bはロータシャフト12の軸方向(図15で左方)に開口している。
【0061】
第7実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔30を設け、かつ貫通孔30の減速機側開口部30aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔30を一方の側の第1貫通孔45と一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔46とから構成し、このうち第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1を、第2貫通孔46の中心線C2がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ2より小さくしている。これにより、第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1が、第6実施形態において貫通孔29の中心線Cがロータシャフト12の周方向に対してなす角度θより小さくなる。このようにロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1が第6実施形態より小さくなると、オイルが第1貫通孔45(貫通孔30)に入りやすくなり、その分だけ減速機反対側内周面22bに供給されるオイルの量を第6実施形態の場合より増やすことができる。
【0062】
また、第6実施形態で貫通孔29の減速機反対側開口部29bと、減速機反対側開口部29aとをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設けることは、貫通孔29の長さが、第3実施形態の貫通孔26より長くなることを意味する(図14参照)。このため、貫通孔を加工する点に関しては、第6実施形態の方が第3実施形態より不利となる。一方、第7実施形態によれば、貫通孔を折れ曲がった2つの貫通孔45、46から構成するので、各貫通孔45、46の長さは、第6実施形態の貫通孔29より短くなる。これによって、貫通孔が長くなることによる加工の困難さを防止できる。
【0063】
(第8実施形態)
図18は第8実施形態のモータ1の概略断面図、図19(a)は図18の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図19(b)は図19(a)のA−A線断面図である。図20は図19(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔29に沿って展開した展開図である。第6実施形態の図12、13(a)、(b)、図14と同一部分には同一番号を付している。
【0064】
第8実施形態は、図12、13(a)、(b)、図14に示した第6実施形態を前提として、貫通孔29の減速機反対側開口部39aの付近に、図20に示したように貫通孔29の減速機反対側開口部29bから出てくるオイルの流れを乱す障害物48を設けたものである。
【0065】
障害物48を設けた以外は第6実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔29を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔29を等間隔で6個設けている。
【0066】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔29の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図18で上下方向)方向に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔29の減速機側開口部29aはロータシャフト12の径方向内側(図18で上下方向)に開口し、貫通孔29の減速機反対側開口部29bはロータシャフト12の軸方向(図18で左方)に開口している。
【0067】
第8実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔29を設け、かつ貫通孔29の減速機側開口部29aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部29b(貫通孔の一方の側とは反対側である他方の側への開口部)と、減速機反対側開口部29a(貫通孔の一方の側への開口部)とをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設け、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部39a(貫通孔の一方の側とは反対側ある他方の側への開口部)の付近にオイルの流れを乱す障害物48を設けている。これにより、減速機反対側開口部29bより出てくるオイルは、障害物48に衝突して2方向に分かれるので、減速機反対側内周面22bとオイルとが接する面積が第6実施形態の場合より大きくなる。これによって、永久磁石の冷却性能を第6実施形態の場合より向上することができる。
【0068】
(第9実施形態)
図21は第9実施形態のモータ1の概略断面図、図22は図21のA−A線断面図である。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。
【0069】
図22に示したように、ロータコア31には、ロータシャフト12の周方向に8個の永久磁石51が等分に埋め込まれて配置されている。この場合に、第9実施形態は、永久磁石51の近くで永久磁石51のロータシャフト12径方向内側に、つまり永久磁石51の裏側に断面が半円状の貫通孔52を設けるものである。永久磁石51の個数が8個であるので、貫通孔52の個数も8個とする。
【0070】
貫通孔52の断面形状及び個数以外は第1実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔52を設けている。
【0071】
減速機側内周面22aの内径と減速機反対側内周面22bの内径とは等しいので、貫通孔52の減速機側開口部52a、減速機反対側開口部52bともロータシャフト12の軸方向(図21で左右方向)に開口している。
【0072】
第9実施形態によれば、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔52を設けると共に、永久磁石51の近くで永久磁石51のロータシャフト12径方向内側に貫通孔52を設けている。永久磁石51は渦電流損失による発熱が大きく、また温度が上がると減磁する可能性があることから、永久磁石21の近くに貫通孔52を設けてオイルを流すことにより、永久磁石51を効果的に冷却することができる。
【0073】
(第10実施形態)
図23は第10実施形態のモータ1の概略断面図、図24は図23のA−A線断面図である。第2実施形態の図3と同一部分には同一番号を付している。ただし、図24にはオイルガイド55のみを示している。
【0074】
第10実施形態は、第2実施形態を前提として、さらにピニオンギヤ7を潤滑した後のオイルのほとんどを減速機反対側内周面22bに供給するため、オイルガイド55を設けたものである。すなわち、減速機5の外周を被覆する円筒状のオイルガイド55を右側のリング状端板2bに固定すると共に、オイルガイド55のスパイダ支持体23側開口端55bをスパイダ外筒部22に嵌り込む位置まで延設している。
【0075】
ピニオンギヤ7から遠心力によりオイルガイド55の内周面55aやリング状端板2bに衝突したオイルは、内周面55aやリング状端板2bを伝って重力によりオイルガイド55下部の内周面55aに集まってくる。この集まってくるオイルをスパイダ支持体23に設けている貫通孔25に向けて供給するため、オイルガイド55の下部に、減速機側内周面22aに向かって延び減速機側内周面22aと接触する部位55cを設け、この部位55cに溝55d(図24参照)を形成している。
【0076】
第10実施形態によれば、減速機5の外周を被覆する円筒状のオイルガイド55を設けているので、ピニオンギヤ7から、スパイダ21より離れる側に飛び散ったオイルは、オイルガイド55により集められ、スパイダ支持体23に設けている貫通孔25に向けて流される。これにより減速機反対側内周面22bの冷却に用いるオイル量を最大にできる。
【0077】
実施形態では、減速機5が設けられている場合で説明したが、減速機5はなくてもかまわない。減速機側内周面22a(支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)にオイルを供給するオイル供給手段があればよい。
【符号の説明】
【0078】
1 モータ
2 モータケース
5 減速機
7 ピニオンギヤ
8 ステータ
11 ロータ
12 ロータシャフト
21 スパイダ(支持部材)
22 スパイダ外筒部(外筒部)
23 スパイダ支持体(支持体)
24〜30 貫通孔
52 貫通孔
【技術分野】
【0001】
この発明はモータ、特にロータの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、ロータシャフト(11)、ロータコア(24)及びこれらロータシャフト(11)、ロータコア(24)を連結支持する支持部材を有するロータを備えている。そして、支持部材を、ロータコア(24)の内周面に固定される外筒部(27)と、この外筒部(27)をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体(25)とから構成している。このような構成のモータにおいて、特許文献1の技術は、ロータコア(24)に埋め込まれた永久磁石を冷却するため、支持体(25)によって仕切られる一方の側の外筒部内周面(27c)にオイルを供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−28979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面が冷却されるのみである。つまり、支持体によって仕切られる他方の側の外筒部内周面は冷却されないので、ロータコアに埋め込まれた永久磁石を十分に冷却することができず、冷却性能が低下する。
【0005】
そこで本発明は、ロータコアに埋め込まれた永久磁石の冷却性能を向上させ得るモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
モータは、ロータシャフトと、ロータシャフトの外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコアと、これらロータシャフト及びロータコアを連結支持する支持部材とを有するロータを備えている。そして、支持部材は、ロータコアの内周面に固定される外筒部と、この外筒部をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体とからなっている。本発明のモータは、支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面にオイルを供給するオイル供給手段を有し、支持体の外筒部への取り付け面に支持体を貫通する貫通孔を設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持体によって仕切られているためにオイルが供給されない側の外筒部内周面にも、貫通孔を介しオイルを供給して冷却することが可能となるため、ロータコアに埋め込まれた永久磁石の冷却性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態のモータの概略断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第2実施形態のモータの概略断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】第3実施形態のモータの概略断面図である。
【図6】図5の一部拡大図である。
【図7】第4実施形態のモータの概略断面図である。
【図8】図7のA−A線断面図である。
【図9】第5実施形態のモータの概略断面図である。
【図10】図9に丸で囲った部分の拡大図である。
【図11】図10のA矢視図及びB矢視図である。
【図12】第6実施形態のモータの概略断面図である。
【図13】図12の一部拡大図である。
【図14】第6実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図15】第7実施形態のモータの概略断面図である。
【図16】図12の一部拡大図である。
【図17】第7実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図18】第8実施形態のモータの概略断面図である。
【図19】図12の一部拡大図である。
【図20】第8実施形態の貫通孔に沿っての展開図である。
【図21】第9実施形態のモータの概略断面図である。
【図22】図21のA−A線断面図である。
【図23】第10実施形態のモータの概略断面図である。
【図24】図23のA−A線断面図である。
【図25】スパイダ支持体のスパイダ外筒部への取り付け面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の一実施形態のモータ1の概略断面図、図2は図1のA−A線断面図である。ただし、図2にはスパイダ21のみを示している。
【0011】
図1においてモータケース2は、左右のリング状端板2a、2bと、各端板2a、2bの外周部に固定される円筒状の筐体2cとを備えている。左右のリング状端板2a、2bの内周面に設けられている2つのベアリング3、4によって、左右方向に走るロータシャフト12及び減速機軸6が回転可能に支持されている。また、ロータシャフト12と減速機軸6とは同軸上に配置され、両者は減速機5を介して連結されている。
【0012】
上記の減速機5は、ロータシャフト12の駆動力を調整(増大)して減速機軸6に伝達する遊星歯車装置から構成されている。この遊星歯車装置にはロータシャフト12の外周13に固定されるピニオンギヤ7を含んでいる。
【0013】
筐体2cの内壁には、珪素鋼板を多数積層して構成した環状のステータコア9が固定されている。ステータコア9にはコイル10が設けられている。ステータコア9及びコイル10によりステータ8を構成している。
【0014】
ステータ8の内側には、ロータシャフト12、スパイダ21及びロータコア31からなるロータ11が、ステータ8の内周との間に所定のギャップをおいて配置されている。すなわち、図1において左右方向に延長されるロータシャフト12の外周13には、ロータコア支持部材としてのスパイダ21が嵌合固定され、さらにスパイダ21の外周には、例えば珪素鋼板を多数積層して構成した環状のロータコア31が嵌合固定されている。
【0015】
ロータコア31には、ロータシャフト12の径方向外周側に、磁化された部材である永久磁石(図22参照)が埋設されると共に、ロータシャフト12の軸方向(左右方向)の端部に図示しないエンドプレートを備えている。
【0016】
鉄などの磁性材料から構成される上記のスパイダ21は、ロータコア31の内周31aに挿入されて固定される円筒状のスパイダ外筒部22と、このスパイダ外筒部22をロータシャフト12の軸方向に2つに仕切る円盤状のスパイダ支持体23とからなっている。
【0017】
ロータシャフト12内には、冷却オイルが供給される軸方向のオイル流路14及びこのオイル流路14からロータシャフト12の径方向に向かい、ロータシャフト12の外周13に開口する径方向オイル流路15が形成されている。この径方向オイル流路15の開口端15aには、減速機5を構成するピニオンギヤ7を対向させている。このため、モータケース2の外部に設けられているオイルポンプからのオイルがロータシャフト12内に設けられたオイル流路14、15を通ってピニオンギヤ7に供給され、ピニオンギヤ7を含む減速機5が潤滑されることとなる。つまり、オイルポンプ、オイル流路14、15からオイル供給手段が構成されている。
【0018】
さて、ロータコア31に埋め込まれた永久磁石は発熱する。この発熱する永久磁石を、減速機5を潤滑した後のオイルで冷却するため、ロータシャフト12が回転しているときに、ピニオンギヤ7を潤滑した後のオイルが遠心力によりスパイダ外筒部22の内周面やスパイダ支持体23の減速機5側の側面23aに噴射(供給)されるようにしている。
【0019】
しかしながら、スパイダ支持体23のロータシャフト12軸方向の厚さは、スパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の厚さより薄くされると共に、スパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向のほぼ中央にスパイダ支持体23が配置されている。しかも支持体23の側面の全体に孔は設けられていない。つまり、減速機5からのオイルはスパイダ支持体23により遮られる構成である。このため、減速機5からのオイルが供給されるのは減速機5側のスパイダ外筒部内周面(この減速機5側のスパイダ外筒部内周面を以下「減速機側内周面」という。)22aのみであり、減速機5と反対側のスパイダ外筒部内周面(この減速機5と反対側のスパイダ外筒部内周面を以下「減速機反対側内周面」という。)22bにオイルが供給されることはない。なお、減速機側内周面22aの内径と減速機反対側内周面22bの内径とは同じである。
【0020】
そこで本実施形態では、減速機5からのオイルを減速機反対側内周面22bにも供給するため、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔24を設ける。図2にも示したようにロータシャフト12の周方向には貫通孔24を等間隔で6個設ける。貫通孔24の断面は円状であるが、これに限られるものでない。
【0021】
ここで、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面とは、図25(a)にモデルで示したようにスパイダ支持体23とスパイダ外筒部22との間に、水平方向の境界面(一点鎖線参照)を想定したとき、この境界面がスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面である。この場合、水平方向の境界面はスパイダ支持体23の減速機側側面23aと減速機側内周面22aとの交線(曲線)と、スパイダ支持体23の減速機反対側側面23bと減速機反対側内周面22bとの交線(曲線)とを結んでできる曲面のことである。
【0022】
減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bの両方の内径が同じである場合には、貫通孔24はロータシャフト12の軸方向に形成される。このため、貫通孔24の減速機側開口部24a、減速機反対側開口部24bともロータシャフト12の軸方向(図1で左右方向)に開口している。
【0023】
ここで、第1実施形態の作用効果を説明する。
【0024】
第1実施形態では、減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされてスパイダ支持体23の減速機側側面23aや減速機側内周面22aに衝突する。特に、スパイダ支持体23の減速機側側面23aに衝突したオイルは、減速機側側面23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に流れ、変速機側内周面22aにぶつかってロータシャフト12の軸方向の流れが生じる。このロータシャフト12の軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれる。このうち、減速機5と反対側に流れる流れは貫通孔24を通って減速機反対側内周面22bに到達し、減速機反対側内周面22bの全体に流れてゆく。つまり、貫通孔を介して、スパイダ支持体23の向こうの外筒部内周面である減速機反対側内周面22bにもオイルを供給することが可能となった。
【0025】
このように、第1実施形態では、ロータシャフト12と、ロータシャフト12の外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコア31と、これらロータシャフト12及びロータコア31を連結支持するスパイダ21(支持部材)とを有するロータ11を備えるモータ1において、スパイダ21は、ロータコア31の内周面に固定されるスパイダ外筒部22(外筒部)と、このスパイダ外筒部22をロータシャフト12の軸方向に2つに仕切る円盤状のスパイダ支持体23(支持体)とからなり、減速機側内周面22a(スパイダ支持体23によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)にオイルを供給するオイル供給手段(14、15)を有し、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔24を設けている。これによれば、スパイダ支持体23によって仕切られているためにオイルが供給されることがなかった側である減速機反対側内周面22bにも、オイルを供給することが可能となっている。この減速機反対側内周面22bに供給されるオイルにより、永久磁石の発熱で高温となっている減速機反対側のロータコア31を冷却できる(永久磁石の冷却性能を向上させることができる)。
【0026】
また、第1実施形態では、ロータシャフト12の回転速度を減速して取り出す減速機5をロータシャフト12と同軸に有しかつ減速機5の少なくとも一部がロータコア12の内周側に有し、オイル供給手段が供給するオイルは、この減速機5を潤滑した後のオイルである。減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされてスパイダ支持体23に衝突し、このスパイダ支持体23表面をロータシャフト12の径方向外側に流れるオイルがスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にぶつかってロータシャフト12軸方向の流れが生じる。このロータシャフト12軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれるが、減速機5と反対側に流れる流れは貫通孔24を通ることにより、スパイダ支持体23の向こうの外筒部内周面22bにもオイルを供給することができる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態のモータ1の概略断面図、図4は図3のA−A線断面図で、第1実施形態の図1、図2と置き換わるものである。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。ただし、図4にはスパイダ21のみを示している。
【0028】
第2実施形態は、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔25を設けたものである。図4にも示したようにロータシャフト12の周方向には貫通孔25を等間隔で6個設けている。
【0029】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2が大きい場合には、図25(b)にモデルで示したようにスパイダ支持体23とスパイダ外筒部22との間に斜め方向の境界面(一点鎖線参照)を想定でき、この境界面がスパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面である。この場合、斜め方向の境界面はスパイダ支持体23の減速機側側面23aと減速機側内周面22aとの交線(曲線)と、スパイダ支持体23の減速機反対側側面23bと減速機反対側内周面22bとの交線(曲線)とを結んでできる曲面のことである。
【0030】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2のほうが大きい場合には、貫通孔25の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図3で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔25の減速機側開口部25a、減速機反対側開口部25bともロータシャフト12の軸方向(図3で左右方向)に開口している。
【0031】
スパイダ支持体23の減速機側側面23aに衝突し、減速機側側面23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に流れ、変速機側内周面22aにぶつかったオイルは、ロータシャフト12の軸方向に流れる。ロータシャフト12軸方向の流れは、減速機5側に流れる流れと、減速機5と反対側に流れる流れとに分かれるが、第2実施形態では貫通孔25が、減速機側開口部25aよりロータシャフト12の径方向外側に向けて傾斜している。これによって、減速機5側に流れるオイルよりも減速機5と反対側に流れるオイルのほうが多くなり、減速機反対側内周面22bに供給される油量が第1実施形態の場合より増加する。
【0032】
このように第2実施形態によれば、減速機側内周面22a、減速機反対側内周面22b(支持体23で仕切られた2つの外筒部内周面)のうち、減速機側内周面22a(支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)の内径D1よりも減速機反対側内周面22b(支持体によって仕切られる一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面)の内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔25を設けるので、減速機反対側内周面22bに供給される油量を第1実施形態の場合より増加させることができる。
【0033】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態のモータ1の概略断面図、図6(a)は図5の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図6(b)は図6(a)のA−A線断面図である。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。
【0034】
第2実施形態は貫通孔25の減速機側開口部25aがロータシャフト12の軸方向(図3で右方)に開口している。これに対して、第3実施形態は貫通孔26の減速機側開口部26aが図6(a)に示したようにロータシャフト12の径方向内側(図5で上下方向)に向けて開口するようにしたものである。このため、スパイダ支持体23の減速機側側壁23aをロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルの先に貫通孔26の減速機側開口部26aが開口することとなる。このように、ロータシャフト12の径方向内側(図5で上下方向)に向けて貫通孔26の減速機側開口部26aが開口していると、減速機側側壁23aをロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルのほぼ全てが貫通孔26の減速機側開口部26aに供給されることとなる(図6(a)の矢印参照)。
【0035】
減速機側開口部26aが第2実施形態と相違する以外は、第2実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔26を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔26を等間隔で6個設けている。
【0036】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔26の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図5で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔26の減速機反対側開口部26bはロータシャフト12の軸方向(図5で左方)に開口している。
【0037】
第3実施形態によれば、スパイダ支持体23で仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔26を設け、かつ貫通孔26の減速機側開口部26aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにしたので、第2実施形態の場合に比べて減速機反対側内周面22bに供給するオイル流量を多くすることができる。
【0038】
(第4実施形態)
図7は第4実施形態のモータ1の概略断面図、図8は図7のA−A線断面図で、第1実施形態の図1、図2と置き換わるものである。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。ただし、図8にはスパイダ21のみを示している。
【0039】
第4実施形態は、スパイダ外筒部内周面22の内径をスパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の両端からロータシャフト12の軸方向内側に向かうほど小さくし、かつスパイダ外筒部内周面22の内径が最小となる部分のロータシャフト12軸方向位置がスパイダ支持体23の減速機5側にくるようにするものである。
【0040】
ここでは、スパイダ外筒部22をロータシャフト12軸方向(図7で左右方向)の2つの部分41、42に分割し減速機側の部分41を「第1スパイダ外筒部」、減速機反対側の部分42を「第2スパイダ外筒部」として扱うとする。このうち、第1スパイダ外筒部41の内周面41aの内径が、ロータシャフト12軸方向の減速機側端41b(図7で右端)より、ロータシャフト12の軸方向の減速機反対側(図7で左方)に向かうほど小さくなるように形成する。一方、第2スパイダ外筒部42の内周面42aの内径が、ロータシャフト12軸方向の減速機反対側端42b(図7で左端)より、ロータシャフト12軸方向の減速機側(図7で右方)に向かうほど小さくなるように形成する。この場合に、スパイダ外筒部内周面22(41a、42a)の内径が最小径Dminとなる部分のロータシャフト12の軸方向位置は、スパイダ支持体23よりも減速機5側にくるようにする。このため、第1スパイダ外筒部41の内周面41aのロータシャフト12軸方向幅より、第2パイダ外筒部42の内周面42aのロータシャフト12軸方向幅のほうが大きくなっている。
【0041】
このように、第1、第2のスパイダ外筒部41、42を形成したとき、スパイダ支持体23は第2スパイダ外筒部41に接続される。ここで、スパイダ支持体23によって仕切られる減速機5側の第2スパイダ外筒部内周面42aを「減速機側内周面42aa」として、スパイダ支持体23によって仕切られる減速機5反対側の第2スパイダ外筒部内周面42aを「減速機反対側内周面42ab」として区別する。
【0042】
そして、このように形成されたスパイダ外筒部22(41、42)に対しても、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22(41、42)への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔27を設ける。図8にも示したように周方向には貫通孔27を等間隔で6個設ける。
【0043】
減速機側内周面42aaの内径より減速機反対側内周面42abの内径のほうが大きいので、貫通孔27の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図7で上下方向)に対し所定の角度β(0°<β<90°)を有している。貫通孔27の減速機側開口部27a、減速機反対側開口部27bともロータシャフト12の軸方向(図7で左右方向)に開口している。
【0044】
減速機側内周面42aaが、減速機反対側に向かうほどロータシャフト12の径方向外側に傾いていると、減速機5を潤滑した後に遠心力により吹き飛ばされて減速機側内周面42aaに衝突したオイルのほぼ全てが、貫通孔27の減速機側開口部27aに供給される。さらに、スパイダ支持体23の減速機側側壁23aに衝突し減速機側側壁23aの表面をロータシャフト12の径方向外側に向けて流れるオイルのほぼすべても、貫通孔27の減速機側開口部27aに供給されることとなる。
【0045】
第4実施形態では、スパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12の軸方向位置が減速機5側にくるほど、減速機反対側内周面42abへと供給する油量が多くなる。また、スパイダ外筒部内周面の最小径Dminを大きくするほど、減速機反対側内周面42abへと供給する油量が多くなる。すなわち、スパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12の軸方向位置及びスパイダ外筒部内周面の最小径Dminによって、減速機反対側内周面42abへと供給する油量を調節することができる。
【0046】
第4実施形態によれば、スパイダ外筒部内周面の内径をスパイダ外筒部22のロータシャフト12軸方向の両端41b、42bからロータシャフト12の軸方向内側に向かうほど小さくし、かつスパイダ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト12軸方向位置がスパイダ支持体23より減速機5側(支持体よって仕切られる一方の側)にくるようにすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22(41、42)への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔27を設けるので、第2実施形態の場合に比べ 減速機反対側内周面22bに供給するオイル流量を多くすることができる。
【0047】
(第5実施形態)
図9は第5実施形態のモータ1の概略断面図、図10は図9の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図11(a)は図10のA矢視図、図11(b)は図10のB矢視図である。第2実施形態の図3、図4と同一部分には同一番号を付している。ただし、図11(a)、(b)にはスパイダ21のみを示している。
【0048】
第5実施形態は、図3、図4に示した第2実施形態を前提として、貫通孔28の減速機側開口部28aと貫通孔28の減速機反対側開口部28bとの形状を両者で相違させ、減速機反対側開口部28bの出口形状をラッパ状にするものである。すなわち、図10(a)、(b)に示したように、貫通孔28の減速機反対側開口部28bのロータシャフト12周方向幅Wr2を、貫通孔28の減速機側開口部28aのロータシャフト12周方向幅Wr1よりも相対的に大きくしている。かつ貫通孔28の減速機反対側開口部28bのロータシャフト12径方向幅Wd2を、貫通孔28の減速機側開口部28aのロータシャフト12径方向幅Wd1よりも相対的に小さくしている。
【0049】
減速機側開口部28a、減速機反対側開口部28bが第2実施形態と相違する以外は、第2実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔28を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔28を等間隔で6個設けている。
【0050】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2のほうが大きいので、貫通孔28の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図9で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔28の減速機側開口部28a、減速機反対側開口部28bともロータシャフト12の軸方向(図9で左右方向)に開口している。
【0051】
このように、第5実施形態によれば、減速機側内周面22a、減速機反対側内周面22b(支持体によって仕切られた2つの外筒部内周面)のうち、減速機側内周面22a(一方の側の外筒部内周面)の内径D1よりも減速機反対側内周面22b(一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面)の内径D2を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔28を設け、かつ貫通孔28の減速機反対側開口部28b(一方の側とは反対側である他方の側への開口部)を貫通孔28の減速機側開口部28a(一方の側への開口部)よりもロータシャフト12の周方向に長く、ロータシャフト12の径方向に短くしている。減速機反対側開口部28bの出口形状をラッパ状にすることによって、減速機反対側開口部28bから減速機反対側内周面22bに流れ出るオイルが、減速機反対側内周面22bに第2実施形態の場合よりも大きく広がる。減速機反対側内周面22bの広い範囲とオイルが接することになり、永久磁石の冷却性能を向上することができる。
【0052】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態のモータ1の概略断面図、図13(a)は図12の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図13(b)は図13(a)のA−A線断面図である。図14は図13(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔29に沿って展開した展開図である。第3実施形態の図5、図6と同一部分には同一番号を付している。
【0053】
第6実施形態は、第3実施形態を前提として、貫通孔29の減速機側開口部29aと貫通孔29の減速機反対側開口部29bとをロータシャフト12の周方向(図14で上下方向)にずらした位置に設けたものである。このため、図14に示したように貫通孔29の中心軸Cはロータシャフト12の周方向に対して所定の角度θ(0°<θ<90°)を有している。比較のため、図14には第3実施形態の貫通孔26を破線で重ねて示している。第3実施形態では、貫通孔26の中心軸はロータシャフト12の周方向に対して90°の角度を有している。
【0054】
貫通孔29の開口部29a、29bの位置が第3実施形態と相違する以外は、第3実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔29を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔29を等間隔で6個設けている。
【0055】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔29の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図12で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔29の減速機側開口部29aはロータシャフト12の径方向内側(図12で上下方向)に開口し、貫通孔29の減速機反対側開口部29bはロータシャフト12の軸方向(図12で左方)に開口している。
【0056】
第6実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔29を設け、かつ貫通孔29の減速機側開口部29aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部29b(貫通孔の一方の側とは反対側である他方の側への開口部)と、減速機反対側開口部29a(貫通孔の一方の側への開口部)とをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設けている。これにより、オイルが貫通孔29に入る際のフリクションを低減できるため、貫通孔29にオイルが入りやすくなり、減速機反対側内周面22bに供給されるオイルの量を第3実施形態の場合より増やすことができる。
【0057】
(第7実施形態)
図15は第7実施形態のモータ1の概略断面図、図16(a)は図15の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図16(b)は図16(a)のA−A線断面図である。図17は図16(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔30に沿って展開した展開図である。第3実施形態の図5、図6と同一部分には同一番号を付している。
【0058】
第7実施形態は、第3実施形態を前提として、図17に示したように、貫通孔30を一方の側の第1貫通孔45と一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔46とから構成し、このうち第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1(0°<θ1<90°)を、第2貫通孔46の中心線C2がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ2(0°<θ2<90°)より小さくするものである。
【0059】
貫通孔30の位置が第3実施形態と相違する以外は、第3実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔30(45、46)を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔30(45、46)を等間隔で6個設けている。
【0060】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、第1、第2の貫通孔45、46の中心線C1、C2はロータシャフト12の径方向(図15で上下方向)に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔30(第1貫通孔45)の減速機側開口部30aはロータシャフト12の径方向内側(図15で上下方向)に開口し、貫通孔30(第2貫通孔46)の減速機反対側開口部30bはロータシャフト12の軸方向(図15で左方)に開口している。
【0061】
第7実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔30を設け、かつ貫通孔30の減速機側開口部30aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔30を一方の側の第1貫通孔45と一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔46とから構成し、このうち第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1を、第2貫通孔46の中心線C2がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ2より小さくしている。これにより、第1貫通孔45の中心線C1がロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1が、第6実施形態において貫通孔29の中心線Cがロータシャフト12の周方向に対してなす角度θより小さくなる。このようにロータシャフト12の周方向に対してなす角度θ1が第6実施形態より小さくなると、オイルが第1貫通孔45(貫通孔30)に入りやすくなり、その分だけ減速機反対側内周面22bに供給されるオイルの量を第6実施形態の場合より増やすことができる。
【0062】
また、第6実施形態で貫通孔29の減速機反対側開口部29bと、減速機反対側開口部29aとをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設けることは、貫通孔29の長さが、第3実施形態の貫通孔26より長くなることを意味する(図14参照)。このため、貫通孔を加工する点に関しては、第6実施形態の方が第3実施形態より不利となる。一方、第7実施形態によれば、貫通孔を折れ曲がった2つの貫通孔45、46から構成するので、各貫通孔45、46の長さは、第6実施形態の貫通孔29より短くなる。これによって、貫通孔が長くなることによる加工の困難さを防止できる。
【0063】
(第8実施形態)
図18は第8実施形態のモータ1の概略断面図、図19(a)は図18の丸(破線参照)で囲った部分の拡大図、図19(b)は図19(a)のA−A線断面図である。図20は図19(a)、(b)のB−B線に沿って、つまり貫通孔29に沿って展開した展開図である。第6実施形態の図12、13(a)、(b)、図14と同一部分には同一番号を付している。
【0064】
第8実施形態は、図12、13(a)、(b)、図14に示した第6実施形態を前提として、貫通孔29の減速機反対側開口部39aの付近に、図20に示したように貫通孔29の減速機反対側開口部29bから出てくるオイルの流れを乱す障害物48を設けたものである。
【0065】
障害物48を設けた以外は第6実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する直管状の貫通孔29を設けている。ロータシャフト12の周方向には貫通孔29を等間隔で6個設けている。
【0066】
減速機側内周面22aの内径D1より減速機反対側内周面22bの内径D2’のほうが大きいので、貫通孔29の中心線Cはロータシャフト12の径方向(図18で上下方向)方向に対し所定の角度α(0°<α<90°)を有している。貫通孔29の減速機側開口部29aはロータシャフト12の径方向内側(図18で上下方向)に開口し、貫通孔29の減速機反対側開口部29bはロータシャフト12の軸方向(図18で左方)に開口している。
【0067】
第8実施形態によれば、スパイダ支持体23によって仕切られた減速機側内周面22aと減速機反対側内周面22bのうち、減速機側内周面22aの内径D1よりも減速機反対側内周面22bの内径D2’を大きくすると共に、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔29を設け、かつ貫通孔29の減速機側開口部29aがロータシャフト12の径方向内側に向けて開口するようにし、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部29b(貫通孔の一方の側とは反対側である他方の側への開口部)と、減速機反対側開口部29a(貫通孔の一方の側への開口部)とをロータシャフト12の周方向にずらした位置に設け、かつ貫通孔29の減速機反対側開口部39a(貫通孔の一方の側とは反対側ある他方の側への開口部)の付近にオイルの流れを乱す障害物48を設けている。これにより、減速機反対側開口部29bより出てくるオイルは、障害物48に衝突して2方向に分かれるので、減速機反対側内周面22bとオイルとが接する面積が第6実施形態の場合より大きくなる。これによって、永久磁石の冷却性能を第6実施形態の場合より向上することができる。
【0068】
(第9実施形態)
図21は第9実施形態のモータ1の概略断面図、図22は図21のA−A線断面図である。第1実施形態の図1、図2と同一部分には同一番号を付している。
【0069】
図22に示したように、ロータコア31には、ロータシャフト12の周方向に8個の永久磁石51が等分に埋め込まれて配置されている。この場合に、第9実施形態は、永久磁石51の近くで永久磁石51のロータシャフト12径方向内側に、つまり永久磁石51の裏側に断面が半円状の貫通孔52を設けるものである。永久磁石51の個数が8個であるので、貫通孔52の個数も8個とする。
【0070】
貫通孔52の断面形状及び個数以外は第1実施形態と同様の構成である。すなわち、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔52を設けている。
【0071】
減速機側内周面22aの内径と減速機反対側内周面22bの内径とは等しいので、貫通孔52の減速機側開口部52a、減速機反対側開口部52bともロータシャフト12の軸方向(図21で左右方向)に開口している。
【0072】
第9実施形態によれば、スパイダ支持体23のスパイダ外筒部22への取り付け面にスパイダ支持体23を貫通する貫通孔52を設けると共に、永久磁石51の近くで永久磁石51のロータシャフト12径方向内側に貫通孔52を設けている。永久磁石51は渦電流損失による発熱が大きく、また温度が上がると減磁する可能性があることから、永久磁石21の近くに貫通孔52を設けてオイルを流すことにより、永久磁石51を効果的に冷却することができる。
【0073】
(第10実施形態)
図23は第10実施形態のモータ1の概略断面図、図24は図23のA−A線断面図である。第2実施形態の図3と同一部分には同一番号を付している。ただし、図24にはオイルガイド55のみを示している。
【0074】
第10実施形態は、第2実施形態を前提として、さらにピニオンギヤ7を潤滑した後のオイルのほとんどを減速機反対側内周面22bに供給するため、オイルガイド55を設けたものである。すなわち、減速機5の外周を被覆する円筒状のオイルガイド55を右側のリング状端板2bに固定すると共に、オイルガイド55のスパイダ支持体23側開口端55bをスパイダ外筒部22に嵌り込む位置まで延設している。
【0075】
ピニオンギヤ7から遠心力によりオイルガイド55の内周面55aやリング状端板2bに衝突したオイルは、内周面55aやリング状端板2bを伝って重力によりオイルガイド55下部の内周面55aに集まってくる。この集まってくるオイルをスパイダ支持体23に設けている貫通孔25に向けて供給するため、オイルガイド55の下部に、減速機側内周面22aに向かって延び減速機側内周面22aと接触する部位55cを設け、この部位55cに溝55d(図24参照)を形成している。
【0076】
第10実施形態によれば、減速機5の外周を被覆する円筒状のオイルガイド55を設けているので、ピニオンギヤ7から、スパイダ21より離れる側に飛び散ったオイルは、オイルガイド55により集められ、スパイダ支持体23に設けている貫通孔25に向けて流される。これにより減速機反対側内周面22bの冷却に用いるオイル量を最大にできる。
【0077】
実施形態では、減速機5が設けられている場合で説明したが、減速機5はなくてもかまわない。減速機側内周面22a(支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面)にオイルを供給するオイル供給手段があればよい。
【符号の説明】
【0078】
1 モータ
2 モータケース
5 減速機
7 ピニオンギヤ
8 ステータ
11 ロータ
12 ロータシャフト
21 スパイダ(支持部材)
22 スパイダ外筒部(外筒部)
23 スパイダ支持体(支持体)
24〜30 貫通孔
52 貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフトと、
ロータシャフトの外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコアと、
これらロータシャフト及びロータコアを連結支持する支持部材と
を有するロータを備えるモータにおいて、
前記支持部材は、
ロータコアの内周面に固定される外筒部と、
この外筒部をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体と
からなり、
前記支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面にオイルを供給するオイル供給手段を有し、
前記支持体の前記外筒部への取り付け面に支持体を貫通する貫通孔を設けたことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記支持体によって仕切られた2つの外筒部内周面のうち、前記一方の側の外筒部内周面の内径よりも前記一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面の内径を大きくすることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記外筒部内周面の内径を前記外筒部のロータシャフト軸方向の両端からロータシャフト軸方向内側に向かうほど小さくし、かつ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト軸方向位置が前記スパイダ支持体より前記一方の側にくるようにすることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部を、前記貫通孔の前記一方の側への開口部よりもロータシャフト周方向に長く、ロータシャフト径方向に短くすることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部と、前記貫通孔の前記一方の側への開口部とをロータシャフトの周方向にずらした位置に設けることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項6】
前記貫通孔を前記一方の側の第1貫通孔と前記一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔とから構成し、このうち第1貫通孔の中心線がロータシャフト周方向に対してなす角度を、第2貫通孔の中心線がロータシャフト周方向に対してなす角度より小さくすることを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部の付近にオイルの流れを乱す障害物を設けたことを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項1】
ロータシャフトと、
ロータシャフトの外周側に離れて位置し永久磁石が装着される円筒状のロータコアと、
これらロータシャフト及びロータコアを連結支持する支持部材と
を有するロータを備えるモータにおいて、
前記支持部材は、
ロータコアの内周面に固定される外筒部と、
この外筒部をロータシャフト軸方向に2つに仕切る円盤状の支持体と
からなり、
前記支持体によって仕切られる一方の側の外筒部内周面にオイルを供給するオイル供給手段を有し、
前記支持体の前記外筒部への取り付け面に支持体を貫通する貫通孔を設けたことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記支持体によって仕切られた2つの外筒部内周面のうち、前記一方の側の外筒部内周面の内径よりも前記一方の側とは反対側である他方の側の外筒部内周面の内径を大きくすることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記外筒部内周面の内径を前記外筒部のロータシャフト軸方向の両端からロータシャフト軸方向内側に向かうほど小さくし、かつ外筒部内周面の内径が最小となる部分のロータシャフト軸方向位置が前記スパイダ支持体より前記一方の側にくるようにすることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部を、前記貫通孔の前記一方の側への開口部よりもロータシャフト周方向に長く、ロータシャフト径方向に短くすることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部と、前記貫通孔の前記一方の側への開口部とをロータシャフトの周方向にずらした位置に設けることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項6】
前記貫通孔を前記一方の側の第1貫通孔と前記一方の側とは反対側である他方の側の第2貫通孔とから構成し、このうち第1貫通孔の中心線がロータシャフト周方向に対してなす角度を、第2貫通孔の中心線がロータシャフト周方向に対してなす角度より小さくすることを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記貫通孔の前記一方の側とは反対側である他方の側への開口部の付近にオイルの流れを乱す障害物を設けたことを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−100477(P2012−100477A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247571(P2010−247571)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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