説明

モータ

【課題】本発明は、記録ディスクを回転させる記録ディスク駆動装置に適用されることができるモータに関する。
【解決手段】本発明の一実施例によるモータは、回転駆動力を発生させるコイルが巻線されるコアを備える固定部材と、及び上記固定部材に対して回転できるよう上記コイルに対面するマグネットを備える回転部材と、を含み、上記回転部材は、上記コイルに電源が印加されると、上記回転部材に発生する軸方向下側へのスラスト動圧によって下降して回転することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータに関し、さらに詳しくは、記録ディスクを回転させる記録ディスク駆動装置に適用されることができるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報保存装置の一つであるハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)は、記録再生ヘッド(read/write head)を使用してディスクに保存されたデータを再生、またはディスクにデータを記録する装置である。
【0003】
このようなハードディスクドライブは、ディスクを駆動させるためのディスク駆動装置が必要であり、上記ディスク駆動装置には小型のモータが使用される。
【0004】
これら小型のモータには流体動圧軸受アセンブリーが利用されており、上記流体動圧軸受アセンブリーの回転部材の一つであるシャフトと固定部材の一つであるスリーブとの間にはオイルが介在し、上記オイルから発生する流体圧力によってシャフトを支持するようになる。
【0005】
このような従来の小型モータは、回転部材を回転させるために所定の浮上力を必要とするが、この場合、回転部材の回転に必要な浮上力以上の力が発生し過浮上することを防止するために、マグネットと対応する領域にプリングプレートを結合して浮上力を抑制していた。
【0006】
しかしながら、工程の特性上、シャフトを中心に一定のプリング力を提供するには限界があるため、回転部材が固定部材から偏心して回転する現象を完全に解決することはできなかった。
【0007】
また、回転部材の過浮上を防止するために提供されるプリングプレートは、外部からの衝撃などでベースから離脱することがあり、モータの性能に致命的な問題を起こした。
【0008】
さらに、プリングプレートの結合によってベースの厚さが減少し、ベースの剛性にも影響を与えるようになった。
【0009】
上記の状況から、記録ディスク駆動装置のモータにおいて、回転部材の過浮上を抑制して性能及び寿命を向上させる新しい軸系構造についての研究が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、別途の部材を設けることなく回転部材の過浮上を防止でき、固定部材の剛性を高めて性能及び寿命を向上させる新しい軸系構造に対するモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によるモータは、回転駆動力を発生させるコイルが巻線されるコアを備える固定部材と、上記固定部材に対して回転できるよう上記コイルに対面するマグネットを備える回転部材と、を含み、上記回転部材は、上記コイルに電源が印加されると、上記回転部材に発生する軸方向下側へのスラスト動圧によって下降して回転することができる。
【0012】
本発明の一実施例によるモータの上記回転部材は、シャフトと上記シャフトの下側に結合されるスラストプレートとを含み、上記固定部材は、上記シャフトを支持するスリーブと上記コアが結合されるベースとを含み、上記スラストプレートと上記スリーブは、上記回転部材の停止時の接触状態を維持することができる。
【0013】
本発明の一実施例によるモータの上記マグネットは、上記コアとの関係において、上記回転部材の重量より大きく形成される軸方向上側への磁気的引力によって、上記回転部材の停止時における上記スラストプレートと上記スリーブの接触状態を維持することができる。
【0014】
本発明の一実施例によるモータの上記マグネットの中心は、上記コアの中心より軸方向下側に配置されることができる。
【0015】
本発明の一実施例によるモータの上記回転部材は、シャフトと上記シャフトの下側に結合されるスラストプレートとを含み、上記固定部材は、上記シャフトを支持するスリーブと上記コアが結合されるベースとを含み、上記回転部材は、上記スラストプレートと上記スリーブとの隙間に充填されるオイルにより上記スラストプレートに作用する軸方向下側へのスラスト動圧によって下降して回転することができる。
【0016】
本発明の一実施例によるモータの上記スラストプレートに作用するスラスト動圧は、上記スラストプレートの上面、または上記スラストプレートの上面と対応する上記スリーブの底面のうち少なくとも一方に形成されるスラスト動圧部によって形成されることができる。
【0017】
本発明の一実施例によるモータの上記スラスト動圧部は、上記スラストプレートと上記スリーブとの隙間に充填される上記オイルを半径方向内側にポンピングすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるモータによると、回転部材が過度に下降して回転することを別途の部材を設けることなく防止することができ、かつ上記回転部材が軸中心から偏心して回転することを防止できる。
【0019】
また、固定部材であるベースの剛性を向上させることで、モータの駆動が安定となり、さらにモータの寿命が極大化される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【図2】本発明の一実施例によるモータの停止状態を示した概略断面図である。
【図3】本発明の一実施例によるモータに提供されるコアとマグネットの位置関係を示した概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるモータの回転状態を示した概略断面図である。
【図5】本発明の一実施例によるモータに提供されるスリーブを切開して示した概略底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に限らず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などを通して退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0022】
また、各実施例の図面に示す同一または類似する思想の範囲内で機能が同一の構成要素は同一または類似する参照符号を用いて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施例によるモータを示した概略断面図である。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施例によるモータ300は、スリーブ110及びベース120を含む固定部材100と、上記固定部材100に対して下降して回転可能な回転部材200とを含むことができる。
【0025】
上記固定部材100は、シャフト210を支持するスリーブ110と、コイル130が巻線されるコア140が結合されるベース120とを含むことができ、下降して回転する回転部材200以外の構成要素を全て含むことができる。
【0026】
スリーブ110は、回転部材200の一構成であるシャフト210を支持する構成要素であり、上記シャフト210の上端が軸方向上側に突出するように上記シャフト210を支持することができ、CuまたはAlを鍛造するか、または、Cu−Fe系合金粉末またはSUS系粉末を焼結することで形成されることができる。
【0027】
上記スリーブ110は、シャフト210が挿入されて上記シャフト210と微細な隙間を有する軸孔を備えることができ、上記微細な隙間にはオイルOが充電され、上記オイルOによるラジアル動圧によって上記シャフト210を安定的に支持することができる。
【0028】
このとき、上記オイルOによるラジアル動圧は、スリーブ110の内周面に凹溝状に形成されるラジアル動圧部114によって発生することができ、上記ラジアル動圧部114はヘリングボーン状、スパイラル状または、ねじ山状のいずれかであってもよい。
【0029】
但し、上記ラジアル動圧部114は、上述したように、スリーブ110の内周面に限定されず、回転部材200であるシャフト210の外周面に形成されてもよく、その個数も自由に設定可能である。
【0030】
また、上記スリーブ110の底面には、後述するスラストプレート220との隙間に充填されるオイルOを半径方向内側にポンピングさせて、回転部材200である上記スラストプレート220に軸方向下側へのスラスト動圧TPを発生させるスラスト動圧部116(図5を参照)が形成されてもよい。
【0031】
上記スラスト動圧部116は、上記ラジアル動圧部114と同様に、ヘリングボーン状、スパイラル状または、ねじ山状のいずれかであってもよい。
【0032】
但し、上記スラスト動圧部116は、上記スリーブ110の底面に限定されず、回転部材200であるスラストプレート220の上面に形成されてもよい。
【0033】
ここで、上記スリーブ110の軸方向下部には隙間を維持した状態で上記スリーブ110と結合し、上記隙間にはオイルOを収容するベースカバー150が結合されてもよい。
【0034】
上記ベースカバー150は、上記スリーブ110との隙間にオイルOを収容し、それ自体で上記シャフト210の下面を支持する軸受としての機能を行うことができる。
【0035】
また、上記オイルOは、上記シャフト210と上記スリーブ110との隙間、後述するハブ230と上記スリーブ110との隙間、及び上記ベースカバー150と上記シャフト210及び後述するスラストプレート220との隙間に連続的に充填され、全体的にフルフィル(FULL−FILL)構造を形成してもよい。
【0036】
ベース120は、スリーブ110と結合して回転部材200の回転を支持する構成要素であり、コイル130が巻線されるコア140が結合されてもよい。
【0037】
即ち、上記ベース120は、本発明によるモータ300の軸系であるシャフト210を支持するスリーブ110が結合されるよう挿入孔が形成される固定部材100であってもよく、電源の印加時に一定の大きさの電磁気力を発生させるコイル130が巻線されるコア140が結合されてもよい。
【0038】
上記ベース120と上記スリーブ110及び上記コア140の結合方式は、接着剤によるボンディング、溶接及び圧入のいずれかの方法が使用される。
【0039】
ここで、上記ベース120に結合される上記コア140の中心C1は、ハブ230に結合されるマグネット240の中心C2より軸方向上側に配置されることができ、これにより、ハブ230は、上記マグネット240の中心C2が上記コア140の中心C1に一致しようとする磁気的引力によって軸方向上側に向かう力Fが発生するようになる。
【0040】
上記力Fは、本発明によるモータ300が停止状態の場合、シャフト210に結合されるスラストプレート220とスリーブ110が接触状態を維持させることができ、これによって、回転部材200が下降して回転するようになる。
【0041】
これについては、図2から図5を参照して詳細に後述する。
【0042】
回転部材200は、シャフト210、ハブ230及びスラストプレート220を含むことができ、上記固定部材100に対して下降して回転する全ての構成要素を含むことができる。
【0043】
まず、シャフト210は、スリーブ110の軸孔に微細な隙間を有するように挿入されて上記スリーブ110の内部で回転することができ、上記シャフト210の上側にはハブ230が結合されることができる。
【0044】
上記ハブ230は、ベース120を含む固定部材100に対して回転可能に備えられる回転構造物であり、コイル130が巻線されるコア140と所定の間隔を隔てて互いに対応する環状のマグネット240を内周面に備えることができる。
【0045】
ここで、上記ハブ230の構造について具体的に説明すると、上記ハブ230は、シャフト210の上端に固定させる第1円筒状壁部231と、上記第1円筒状壁部231の端部から半径方向外側に延設される円板部232と、上記円板部232の半径方向外側端部から下向きに突出する第2円筒状壁部233とを含むことができ、上記第2円筒状壁部233の内周面には上記マグネット240が結合されることができる。
【0046】
上記マグネット240の中心C2は、コイル130が巻線されるコア140の中心C1より軸方向下側に位置することができ、このような構造により、上記ハブ230には軸方向上側に向かう力Fが発生することができる。
【0047】
これについては、図2から図5を参照して後述する。
【0048】
スラストプレート220は、シャフト210の下側に結合され、回転部材200が下降して回転されるようにする。
【0049】
上記スラストプレート220は、上記シャフト210と接着剤によるボンディング、溶接または圧入などによって結合されてもよく、別途の部材ではなく上記シャフト210と一体に形成されてもよい。
【0050】
ここで、上記スラストプレート220は、停止時にスリーブ110の底面と接触状態を維持することができ、接触状態を維持する力は、上述したコア140の中心C1とハブ230に結合されたマグネット240の中心C2との高さの差G(図3を参照)によって発生することができる。
【0051】
即ち、ハブ230に結合されたマグネット240の中心C2がコア140の中心C1より下側に配置されるため、上記ハブ230にはマグネット240とコア240の磁気的引力によって軸方向上側に向かう力Fが常に発生することができる。
【0052】
したがって、本発明によるモータ300の停止時における上記スラストプレート220とスリーブ110は接触状態を維持することができ、軸方向上側に向かう磁気的引力による力Fはシャフト210及びハブ230を含む回転部材200全体の重量より大きく形成されなければならないことは明らかである。
【0053】
また、上記スラストプレート220は、コイル130に電源が印加されると、スラスト動圧部116によって上記スラストプレート220とスリーブ110との間に充填されるオイルOを半径方向内側にポンピングし、上記スラストプレート220を含む回転部材200が下降して回転されるようにする。
【0054】
ここで、スラスト動圧部116は、図1に示されたように、スリーブ110の底面に形成されてもよいが、これに限定されず、スラストプレート220の上面に形成されてもよい。
【0055】
即ち、本発明によるモータ300の回転部材200の回転のためにコイル130に電源が印加されると、スラストプレート220を含む回転部材200が回転するようになる。
【0056】
このとき、スラストプレート220とスリーブ110の間に充填されるオイルOは、上記スラストプレート220の上面及びスリーブ110の底面のうち少なくとも一方に形成されたスラスト動圧部116によって半径方向内側にポンピングされ、結局、上記スラストプレート220には軸方向下側に向かうスラスト動圧TPが提供されるようになる。
【0057】
したがって、シャフト210、スラストプレート220及びハブ230を含む回転部材200は、コイル130に電源が印加されると、上記スラストプレート220に作用する軸方向下側に向かう力であるスラスト動圧TPによって下降して回転できるようになる。
【0058】
ここで、本発明によるモータ300の回転時、コア130とマグネット240の中心C1、C2の位置差G(図3を参照)によって軸方向上側に発生する力Fは、回転部材200が過度に下降して回転することを防止する機能をすることができる。
【0059】
図2は、本発明の一実施例によるモータの停止状態を示した概略断面図であり、図3は、本発明の一実施例によるモータに提供されるコアとマグネットの位置関係を示した概略断面図である。
【0060】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施例によるモータ300は、停止時に回転部材200であるスラストプレート220の上面と固定部材100であるスリーブ110の底面とは接触状態を維持することができる。
【0061】
ここで、上記スラストプレート220とスリーブ110の接触状態を維持する力は、ベース120に結合されたコア140の中心C1とハブ230に結合されたマグネット240の中心C2との高さの差Gによって形成されることができる。
【0062】
即ち、マグネット240の中心C2はコア140の中心C1より下側に配置され、本発明によるモータ300の駆動時または停止時に常に軸方向上側に向かう力Fが発生することができ、上記力Fは回転部材200の重量より大きく形成されることができる。
【0063】
ここで、上記回転部材200の重量は、シャフト210、スラストプレート220、ハブ230及びディスク(図示せず)と上記ディスク(図示せず)を固定させるためのクランプ(図示せず)といった回転する全ての構成要素を含む概念であることができ、上記コア140と上記マグネット240との間の磁気的引力の大きさは上記コア140の中心C1と上記マグネット240の中心C2との距離に比例するようになる。
【0064】
したがって、本発明によるモータ300が停止状態の場合は、スラストプレート220の上面とスリーブ110の底面が接触状態を維持するようになり、スリーブ110の上面とハブ230の底面との隙間は回転時に比べて大きな隙間を形成するようになる。
【0065】
また、上記マグネット240の中心C2と上記コア140の中心C1との高さの差Gによって、本発明によるモータ300が回転する場合でも磁気的引力が継続的に作用することができ、上記磁気的引力による上記ハブ230の軸方向上側への力Fは回転部材200の過度な下降を防止することができる。
【0066】
一般的に、ハードディスクドライブに提供されるモータは、回転部材が軸方向上側に浮上して回転し、その場合、過度な浮上を防止するために、ベースに別途の部材であるプリングプレートを結合するようになる。
【0067】
このようなプリングプレートは、別途の部材で形成されるため、モータのコスト上昇を招く原因となり、プリングプレートをベースに結合する場合、ベースに結合部分を形成しなければならないため、ベースの剛性にも悪影響を及ぼすようになった。
【0068】
しかし、本発明によるモータ300は、シャフト210を含む回転部材200の回転を、浮上ではなく下降して回転する構造を採択しており、過度に下降して回転することを防止するためにプリングプレートのような別途の部材を必要としない。
【0069】
即ち、回転部材200の過度な下降は、コア140の中心C1とマグネット240の中心C2の位置を調節するだけでこれらを解決しているため、生産コスト及びベース120の剛性にも優れた効果がある。
【0070】
図4は、本発明の一実施例によるモータの回転状態を示した概略断面図であり、図5は、本発明の一実施例によるモータに提供されるスリーブを切開して示した概略底面斜視図である。
【0071】
図4及び図5を参照すると、本発明の一実施例によるモータ300は、回転部材200が下降して回転することができる。
【0072】
上記回転部材200の回転のために外部からコイル130に電源が印加されると、コイル130とマグネット240との電磁気的相互作用によってハブ230が回転するようになり、これによって、ハブ230に結合されたシャフト210及びスラストプレート220も回転するようになる。
【0073】
この場合、スラストプレート220の上面とスリーブ110の底面との間に充填されるオイルOは、スラスト動圧部116によって半径方向内側にポンピングされることがある。
【0074】
ここで、スラスト動圧部116は、図5に示されたように、スリーブ110の底面に形成されてもよいが、これに限定されず、スラストプレート220の上面に形成されてもよい。
【0075】
また、上記スラスト動圧部116は、スリーブ110の底面とスラストプレート220の上面に同時に形成されてもよく、上記スラスト動圧部116の形成位置及び個数はスラスト動圧TPの大きさに応じて設計者の意図に従って様々な変形が可能である。
【0076】
ここで、本発明によるモータ300の回転部材200が下降して回転する原理について詳細に説明すると、シャフト210及びスリーブ110の少なくとも一方に形成されるラジアル動圧部114によって、上記シャフト210は、ラジアル動圧の提供と同時に、スラストプレート220は軸方向下側に向かう力を受けるようになる。
【0077】
また、スラストプレート220とスリーブ110との間に充填されるオイルOがスラスト動圧部116によって半径方向内側にポンピングされ、結局、スラストプレート220には軸方向下側に向かうスラスト動圧TPが発生するようになる。
【0078】
これにより、スラストプレート220の上面はスリーブ110の底面から離隔して回転し、結局、回転部材200が下降して回転するようになる。
【0079】
このとき、上記回転部材200の過度な下降は、上述したように、コア130の中心C1とマグネット240の中心C2との位置関係、即ち、上記マグネット240の中心C2が上記コア130の中心C1より低く配置される構造にすることで解決することができる。
【0080】
また、上記マグネット240の中心C2が上記コア140の中心C1より低く配置され、軸方向上側に向かう力Fが上記マグネット240に全体的に作用するため、固定部材100が回転部材200をより安定して支持できるようになる。
【0081】
したがって、上記回転部材200が軸中心から偏心して回転することを防止し、安定的なモータ300の駆動が可能となる。
【0082】
以上の実施例により、回転部材200が下降して回転する新規な軸系構造及びマグネット240の中心C2とコア140の中心C1との位置構造により、回転部材200が過度に下降して回転することを別途の部材を設けることなく防止できる。なお、文中においては、図面に表されている実施例に合わせて、相対的に固定部材が配置される側を「下」と表現し、相対的に回転部材が配置される側を「上」と表現している。したがって、文中において「上」及び「下」を含む語句で表現されている事項は、必ずしも天地方向の「上」及び「下」でなくてはならないわけではない。
【0083】
また、上記回転部材200が軸中心から偏心して回転することを防止すると共に、同時にベース120の剛性を向上させることで、より安定的な駆動が可能となる。
【0084】
上述では本発明による実施例を基準に本発明の構成と特徴について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明の思想と範囲内で多様な変更又は変形が可能であることは本発明が属する技術分野の当業者には自明であり、これも添付された特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0085】
100:固定部材
110:スリーブ
114:ラジアル動圧部
116:スラスト動圧部
120:ベース
130:コイル
140:コア
200:回転部材
210:シャフト
220:スラストプレート
230:ハブ
300:モータ
TP:スラスト動圧
C1:コアの中心
C2:マグネットの中心
G:コア中心とマグネット中心との高さの差
F:ハブが軸方向上側に作用する力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力を発生させるコイルが巻線されるコアを備える固定部材と、
前記固定部材に対して回転できるよう前記コイルに対面するマグネットを備える回転部材と
を含み、
前記コイルに電源電圧が印加されると、前記回転部材には回転軸方向下側へ向かうスラスト動圧が発生し、前記回転部材は前記スラスト動圧によって下降して回転する、モータ。
【請求項2】
前記回転部材は、シャフトと前記シャフトの下側に結合されるスラストプレートとを含み、前記固定部材は、前記シャフトを支持するスリーブと前記コアが結合されるベースとを含み、
前記スラストプレートと前記スリーブは、前記回転部材の停止時の接触状態を維持する請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記マグネットは、前記コアとの関係において、前記回転部材の重量より大きく形成される回転軸方向上側への磁気的引力によって、前記回転部材の停止時における前記スラストプレートと前記スリーブの接触状態を維持する請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記マグネットの中心は、前記コアの中心より回転軸方向下側に配置される請求項1から請求項3の何れか一項に記載のモータ。
【請求項5】
前記回転部材は、シャフトと前記シャフトの下側に結合されるスラストプレートとを含み、前記固定部材は、前記シャフトを支持するスリーブと前記コアが結合されるベースとを含み、
前記回転部材は、前記スラストプレートと前記スリーブとの隙間に充填されるオイルにより前記スラストプレートに作用する回転軸方向下側へのスラスト動圧によって下降して回転する請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記スラストプレートに作用するスラスト動圧は、前記スラストプレートの上面または前記スラストプレートの上面と対応する前記スリーブの底面のうち少なくとも一方に形成されるスラスト動圧部によって形成される請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記スラスト動圧部は、前記スラストプレートと前記スリーブとの隙間に充填される前記オイルを回転半径方向内側にポンピングする請求項6に記載のモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−253997(P2012−253997A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193681(P2011−193681)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】