説明

モールド及びモールドの製造方法

【課題】加工精度が高く、ローラー型として利用できるモールド及びモールドの製造方法を提供する。
【解決手段】モールド1は、円筒部5と、円筒部5の円筒面上に形成された凹凸のパターンを有するパターン部3から構成される。円筒部5の外側に円筒面に沿って複数のパターン部3が貼り付けられる。パターン部3はシリコンで形成され、基板11に凹凸のパターン15を形成した後、基板11を薄膜化して作製される。パターン転写の際には、円筒状のモールド1を、パターンを転写する対象に対し接触させ、軸を中心に回転させることによってインプリントを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリントに用いられるモールド、およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製造分野においては、微細なレジストパターンを効率よく作製する方法として、フォトリソグラフィが用いられている。また、現在のフォトリソグラフィ技術では難しいナノオーダーのパターンを正確に形成できる手法の確立が望まれている。しかしながら、従来のフォトリソグラフィを用いて、凹凸形状を有するパターンを形成する際には、工程数および使用材料の種類の多いプロセスを経る必要がある。
【0003】
そこで、レジストパターンの形成をインプリント用のモールド、すなわち型で行なう、ナノインプリントリソグラフィ(以下NILと称する。)が提案されている。
【0004】
NILでは、シリコンや石英等の基板にエッチングを施し、基板の表面に凹凸のパターンを形成した平板状のモールドによって転写が行われる。一方で、高いスループットが要求されるので、平板状のモールドではなく、円筒状(ローラー型)のモールドを用いて、モールドの回転によって短い時間でNILを行う仕組みが提案されている(例えば「特許文献1」参照。)。
【特許文献1】特開2005−5284号公報
【0005】
ローラー型モールドでは、円筒型に加工しやすいことから、ニッケル(Ni)や樹脂等の材料が用いられる。
【0006】
しかしながら、ニッケル(Ni)製や樹脂製のモールドは、NILの際に高い加工精度が得られにくいという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは加工精度が高く、ローラー型として利用できるモールド及びモールドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために第1の発明は、ナノインプリントに用いられる円筒または多角柱形状のモールドであって、円筒部又は多角柱部と、パターン部から構成されており、かつ前記円筒部又は前記多角柱部の外面に、表面に微小凹凸を有する前記パターン部を設けることを特徴とするモールドである。
【0009】
パターン部は、シリコンを材料とすることが望ましい。パターン部は、円筒部または多角柱部に、単数または複数のパターン部が接合されて設けられる。複数のパターン部同士の接合部では、継ぎ目が平滑ないし凹状となるように、隣接するパターン部同士が接合される。
【0010】
より具体的には、パターン部は、パターン形成層(基板)と補助層(接合層)とで構成される。パターン形成層は、シリコンからなり、凹凸で構成されたパターンを有する。補助層は、パターン形成層中のシリコン以外の層であるが、補助層は無いことが望ましい。
ここでパターンとは、シリコン上に形成された微細凹凸(凹凸パターン)の集合である。
【0011】
第2の発明は、ナノインプリントに用いられるモールドの製造方法であって、
パターン部となる材料の基板表面に微小凹凸からなるパターンを形成する工程(a)と、前記パターン部を薄膜化する工程(b)と、薄膜化された前記パターン部を、円筒部または多角柱部の外周に設ける工程(c)と、を具備することを特徴とするモールドの製造方法である。
【0012】
前記工程(a)は、例えば、基板の表面にパターン形成層を形成する工程と、前記パターン形成層に凹凸で構成されたパターンを形成する工程と、前記パターンの形成されたパターン形成層をマスクとして、前記基板をエッチングし、前記基板上に凹凸で構成されたパターンを形成し、パターン部とする工程から成る。
【0013】
前記工程(b)では、バックグラインド、エッチング、ブラスト、スライス、または基板が二層以上で構成されている場合、表面に凹凸を有している層以外を分離すること等により、パターン部を薄膜化する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加工精度が高く、ローラー型として利用できるモールド及びモールドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態に係るモールド1及びモールド1の製造方法について詳細に説明する。モールド1は、円筒形または多角柱形の形状をなす。ここでは、円筒形状のモールド1を例に挙げて説明を行う。
【0016】
図1はモールド1の概略図、図2はモールド1の、図1のN−Nによる断面図である。図1に示すように、モールド1は、円筒部5と、円筒部5の円筒面上に形成された凹凸のパターンを有するパターン部3から構成される。円筒部5は、モールド1の芯になる部分である。パターン部3は、モールド1の円筒形状を構成する板状の部材である。
図2に示すように、モールド1では、円筒部5の外周面に複数のパターン部3が接合される。モールド1はナノインプリントに用いられる。
【0017】
図3及び図4はモールド1の製造方法の各工程を示す図である。
【0018】
図3(a)は、モールド1のパターン部3を構成する基板11を示す。基板11には、凹凸パターンが形成される。基板11の材料は、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、石英、その他ガラス、クロム(Cr)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)等である。微細な凹凸パターンを形成するためには、ナノオーダーの加工装置が入手しやすいことから、基板11はシリコン(Si)であることが望ましい。なお、以下の説明においては基板11はシリコン(Si)を用いる。
【0019】
最初に、図3(b)に示すように、基板11の表面にレジスト等のパターン形成層13を形成する。パターン形成層13は、凹凸パターンを基板に作製するのに必要な層であり、最終的には除去される。例えばパターン形成層13がレジストの場合、スピン塗布、スプレー塗布等の方法でパターン形成層13が形成可能である。次に、パターン形成層13の形成したいパターンに対応した表面に電子ビーム等を照射し、露光する。露光の方法としては、電子ビームによる露光の他に、レーザー描画機を用いた露光、マスクを使った紫外光による露光等がある。
【0020】
次に、図3(c)に示すように、現像等の処理を行い、パターン形成層13の表面にパターン15aを形成する。さらに、パターン15aの形成されたパターン形成層13をマスクとして基板11にエッチングを施し、基板11、パターン形成層13上にパターン15bを形成する(図3(d))。
【0021】
エッチングは、ドライエッチング、ウェットエッチングのいずれでもよい。ドライエッチングの場合、エッチングガスとしては、一般にはCF、SF、CHF等のフッ素系ガス、Cl、CCl等の塩素系ガス、HBr等の臭素系ガス等が用いられる。
ウェットエッチングの場合、薬液としては、水酸化カリウム(KOH)、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸の混合液)が用いられる。ウェットエッチングの薬液としてKOH、TMAHを用いた場合、エッチングの対象となる基板が単結晶であるならエッチングによって現われた側壁はファセット面となる。その際、ファセット面は、用いた基板のもつ結晶方位、およびエッチングを行ったパターン15aの形状によって現われる面が異なる。また、深さは面方位およびエッチング時間によって異なる。
【0022】
次に、図3(e)に示すように、パターン形成層13を剥離すると、基板11上に微細な凹凸の集合であるパターン15cが形成される。
【0023】
次に、基板11上にコーティング材17の層を形成する(図3(f))。コーティング材17は、パターン15cの形成された基板11を薄膜化する際に、研磨や切削による基板11の損傷を防ぐためのものである。コーティング材17としては、例えばテープ、樹脂(例えばワックス)等があげられる。
テープは、例えば保護面側に接着剤のついた樹脂製のテープであり、これを基板11に貼り付けることによってパターン15cの形成された面を保護する。
樹脂は、基板11の、パターン15cの形成された面に塗布される。後述の工程で研磨に十分に耐えられるような性質の樹脂を、十分に厚みを持たせて塗布する必要がある。
また、基板11の、パターン15cの形成された面に鋼板等を貼り付けてもよい。鋼板を貼り付ける場合、樹脂等の接着剤を用いる。
【0024】
次に、基板11を薄膜化する(図4(a))。薄膜化は、基板11を湾曲させて曲面にしやすくするために行われる。即ち、基板11は、円筒部5の円筒面に貼り付けられるように十分に薄く加工される必要がある。薄膜化の方法としては、バックグラインド、エッチング、ブラスト、スライス、薄膜層の分離等があげられる。
【0025】
バックグラインドは、後述するように、基板11を、研磨剤によって研磨、切削する。エッチングはドライエッチング及びウェットエッチングであり、薬品やプラズマを用いて基板11を切削する方法である。ブラストは高圧の微粒子で物理的に基板11を切削する方法である。スライスは、基板11を物理的な切削によって薄くする方法である。
基板が二層以上で構成されている場合については、凹凸を有しているパターン部と、パターン部を支える支持基板とにより構成されているとみなすことができる。よってパターン部を支持基板と分離することで上述の他の方法と同様、基板を薄くしたのと同様の効果が得られる。即ち、基板11の代りに薄膜を用い、支持基板を用いて薄膜を固定して薄膜に凹凸加工を行う。凹凸を加工した後、支持基板を取り除き、薄膜部分のみを円筒化させる。
【0026】
薄膜化の方法としては、バックグラインドが望ましい。
薄膜化された基板11は、円筒部5の半径に対して十分薄く、曲げに耐えられることが必要である。
【0027】
次に図5を参照しながらバックグラインドによる基板11の薄膜化についてさらに詳細に説明を行う。
バックグラインドはグラインダ20を用いて行われる。図5に示すように、グラインダ20は回転部21と定盤25で構成される。コーティング材17を形成した基板11を回転部21に固定する。回転部21はA方向に回転する。定盤25と基板11の間には研磨剤23があり、この研磨剤23によって基板11の裏面、即ちパターン15cが形成された面と反対の面が研磨される。
【0028】
研磨剤23としては、例えば、ダイヤモンドの微粒子やスラリー(微小粒子状セラミック)が用いられる。尚、定盤25も回転する場合もある。また、定盤25と研磨剤23の代りに、表面に凹凸を有する研磨板を用いてもよい。
【0029】
以上のように、基板11は薄膜化加工され、円筒部5に貼り合わせる際の曲げに耐えられる十分な薄さの基板11となる。
【0030】
次に、図4(b)に示すように、コーティング材17を基板11から分離させ、パターン部3を得る。分離の方法は、コーティング材17の種類によって異なるが、コーティング材17を溶解する薬品にて除去するのが一般的である。またこれがテープの場合であると、UV光の照射により粘着力が弱まるものがある。
【0031】
ここで、必要であれば基板11の外形形状の加工を行う。即ち、例えば円形の基板11を四角に加工する等の処理である。外形形状の加工は、ダイシング、エッチング等の方法で行われる。ダイシングは、物理的に切断する切削方法であり、ブレードによる方法とレーザーによる方法がある。
【0032】
次に、図4(c)に示すように、薄膜化したパターン部3を円筒部5の円筒面に沿わせるように曲げて、円筒部5に接合させて貼り付ける。ここで、モールド1が熱インプリントに使用される場合、円筒部5の熱膨張係数を考慮する必要がある。
接合方法としては、例えば接着剤による接合、共晶をなす金属による接合、酸化膜を介したシロキサン結合、また界面活性化による直接接合などが挙げられる。
【0033】
パターン部3と円筒部5の間には、シリコン以外の材質からなる補助層を形成することもある。前述のような接合により接合層が形成され、補助層となる場合もある。補助層の有無は問わないが、補助層は無い方が好ましい。
【0034】
図2及び図4(c)の場合、複数のパターン部3を円筒部5に貼り合わせる。パターン部3同士の継ぎ目は平滑か、あるいは転写しようとするパターンよりも凹んでいることが望ましい。
【0035】
図6は、パターン部3の接合の状態を示す図である。図6(a)に示すように、パターン部3aとパターン部3bとを接合する際に、継ぎ目27が凸状であると、モールド1を回転させ、転写を行う場合に、継ぎ目27が転写面に圧力を加えてしまう。
【0036】
そのためパターン部3cとパターン部3dとを接合する際に、継ぎ目27を凹状とする。これにより、モールド1の回転で継ぎ目27が転写面に接するのを防ぐことができる。このように、複数のパターン部3を円筒部5に貼り合わせる際には、パターン部3同士の継ぎ目を平滑か、あるいは凹状とすることが望まれる。
また、図6(b)に示すように、パターン3e、3fの間にすき間を設けるようにしてもよい。
【0037】
以上のように、凹凸のパターンを有するパターン部3を円筒部5に貼り合わせることによって、図2に示すようなモールド1が作製される。
【0038】
図10は、補助層12がある場合の、モールド1aを示す図である。図10に示すように、円筒部5に補助層12を介して基板11が貼り付けられる。
ここでは、パターン部3は、基板11(パターン形成層)と補助層12を含むものとする。
【0039】
前述した実施の形態では、複数のパターン部3を、円筒部5に貼り付けるものであるが、1枚のパターン部3を円筒部5に貼り付けるようにしてもよい。
【0040】
尚、凹凸のパターンの形成と薄膜化の工程は順序を入れ替えてもよい。また、コーティング材17の分離はパターン部3を円筒部5に貼り付けた後で行うこともできる。
【0041】
本実施の形態によれば、モールド1を円筒状(ローラー型)にし、モールド1の回転によって凹凸で構成されたパターンを転写することができるので、高速でインプリントを行うことができる。
また、シリコンを使用することによって微細なパターンを転写することができる。
【0042】
モールド1は主に熱によるパターン転写、つまり熱インプリントに使用される。熱インプリントでは、円筒状のモールド1を、パターンを転写する対象に対し接触させ、軸を中心に回転させることによってインプリントを行う。これにより、従来の押し付けて離す方法に比べて、高速でインプリントを行うことができる。
【0043】
また、モールド1は、パターンを転写する対象の材料が透明であれば、光インプリントに使用することもできる。この場合は、転写する対象の裏側、即ちモールド1と反対の側から紫外光等をあててレジストを硬化させる。
【実施例】
【0044】
次に、図7、図8を参照しながら、本発明における実施例について説明を行う。図7、図8は実施例におけるモールド45の製造の工程を示す図である。
【0045】
図7(a)はモールド45の材料となる単結晶シリコン基板31の平面図、図7(b)は単結晶シリコン基板31の側面図である。
単結晶シリコン基板31は、直径200mm、厚さ725μmのものを2枚準備した。まず、単結晶シリコン基板31の表面にレジスト33を塗布した(図7(c))。次に電子ビームBを照射し(図7(d))、パターン35aを描画した(図7(e))。パターン35は300nmのホールとした。
次に、ドライエッチングにより基板31上にパターン35bを形成した(図7(f))。エッチングガスにはHBrとOの混合ガスを用いた。このときのエッチングの深さが200nmとなるように、エッチングの時間を設定した。
【0046】
次に、レジスト33を除去し、単結晶シリコン基板31上にコーティング材として、研磨専用のテープ37を貼り、パターン面を保護した(図7(g))。
次に、単結晶シリコン基板31を研磨し、厚さ100μm、50μmの2種類の単結晶シリコン基板31を得た(図8(a))。研磨にはバックグラインダを用いた。
【0047】
次に、図8(b)に示すように、単結晶シリコン基板31をパターン部41として、テープ37を貼ったままの状態で円筒部43に貼りつけた。基板円筒部43は半径32mm、長さ200mmのものを用いた。このとき、パターン部41の厚さが50μmのものは、円筒部43に対して貼り付けが可能であった。しかし、パターン部41の厚さが100μmのものは、曲げの途中で砕けた。以下に、シリコン製の基板の、曲げによる損傷や破損について、さらに詳細に示す。
【0048】
図9は、シリコン製の基板51の曲げ性に関するテストの概略を示すものである。使用したのはシリコン基板51で、表面の面方位は(100)、ノッチは〈110〉方向であった。
シリコン基板51は、前述と同様、直径200mm、厚さ50μmのものと、直径200mm、厚さ100μmのものと2種類、それぞれ3枚ずつ準備した。それぞれ、曲げ方向を〈110〉〈100〉〈−110〉とし、半径32mm、長さ200mmの円筒部53に巻きつけた。
【0049】
図9(a)はシリコン基板51を円筒部53に巻きつけた状態の正面図、図9(b)はその側面図である。図9(a)は、図9(b)のH方向からの矢視である。図9(a)、図9(b)に示すように、シリコン基板51を、矢印Dの向きに3種類の面方位〈110〉〈100〉〈−110〉を合わせ、円筒部53の円筒面に沿ってCのように曲げた。曲げ幅E、Eは同じ長さになるようにし、シリコン基板51が破損したときの曲げ幅E(=E)を記録した。以上のテストを行った結果を表1に示す。
【0050】
表1で、厚さは、シリコン基板51の厚さを示す。曲げ方向Dの面方位は、図9(a)に示す曲げ方向Dに合わせた基板51の面方位である。曲げ幅Eは、シリコン基板51が破損したときの曲げ幅Eを示す。曲げによって破損が生じなかった場合には、曲げ幅Eが0となる。
【0051】
【表1】

【0052】
表1の結果からもわかるように、厚さ50μm、曲げ方向〈100〉の場合は、破損が発生しなかった。即ち、シリコン基板51を半径32mmの円筒部53のまわりを1周巻きつけることができた。厚さ100μmのシリコン基板51では、すべて途中で破損し、巻きつけることができなかった。
以上のように、半径32mmの円筒部53に対し、厚さ50μmのシリコン基板51であれば、貼り付けが可能であるが、同一の材質、結晶性、厚みなどの外形形状を有する物体であっても、曲げの方向により破損のしやすさが異なるため、貼りつけの際には曲げ方向も考慮する必要がある。
【0053】
また、テストの際、シリコン基板51全体が一定の曲率ではなく、円筒部53付近に応力が加わるので、実際にはこの実験で用いた円筒部53より小さな半径の円筒部に巻きつけられる可能性はある。
【0054】
以上のテストの結果より、モールド1ではパターン部3の厚さは円筒部5の円周半径に対して十分に小さいことが必要である。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係るモールド及びモールドの製造方法等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、前述の例では、円筒状のモールド1について説明を行ったが、多角柱状のモールド1であってもよい。ただし、この場合は、モールドを用いて転写を行う場合、転写の対象物に対してモールド1の転写面が接する場合と多角形の角が接する場合とで回転中心となる軸が上下に移動する。従って、対象物に対して角が接する場合の圧迫や破損を防ぐために、回転の際に接触圧力を制御する必要がある。また、多角形の角が多いと、形状としては円形に近づき、軸のぶれは少なくなるが、パターン部3の1つあたりの面積が小さくなる。その場合には多角形の底面積を大きくする等の考慮が必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】モールド1の斜視図
【図2】モールド1の断面図
【図3】モールド1の製造方法における各工程を示す図
【図4】モールド1の製造方法における各工程を示す図
【図5】グラインダ20を示す図
【図6】複数のパターン部3の接合を示す図
【図7】実施例におけるモールド45の製造工程を示す図
【図8】実施例におけるモールド45の製造工程を示す図
【図9】実施例における単結晶シリコン基板51と円筒部53の配置を示す図
【図10】補助層12がある場合のパターン部3と円筒部5の接合を示す図
【符号の説明】
【0058】
1、1a………モールド
3………パターン部
5………円筒部
11………基板
12………補助層
13………パターン形成層
15………パターン
17………コーティング材
20………グラインダ
21………回転部
23………研磨剤
25………定盤
31………単結晶シリコン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインプリントに用いられる円筒または多角柱形状のモールドであって、
円筒部又は多角柱部と、パターン部から構成されており、かつ
前記円筒部又は前記多角柱部の外面に、表面に微小凹凸を有する前記パターン部を設けることを特徴とするモールド。
【請求項2】
少なくとも前記パターン部は、シリコンを材料とすることを特徴とする請求項1記載のモールド。
【請求項3】
前記円筒部または多角柱部に、単数または複数のパターン部が接合されて設けられることを特徴とする請求項1記載のモールド。
【請求項4】
前記複数のパターン部同士の接合部では、継ぎ目が平滑ないし凹状となるように、隣接するパターン部同士が接合されることを特徴とする請求項3記載のモールド。
【請求項5】
ナノインプリントに用いられるモールドの製造方法であって、
パターン部となる材料の基板表面に微小凹凸からなるパターンを形成する工程(a)と、
前記パターン部を薄膜化する工程(b)と、
薄膜化された前記パターン部を、円筒部または多角柱部の外周に設ける工程(c)と、
を具備することを特徴とするモールドの製造方法。
【請求項6】
前記工程(a)は、
基板の表面にパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層に凹凸で構成されたパターンを形成する工程と、
前記パターンの形成されたパターン形成層をマスクとして、前記基板をエッチングし、前記基板上に凹凸で構成されたパターンを形成し、パターン部とする工程と、
を具備することを特徴とする請求項5記載のモールドの製造方法。
【請求項7】
少なくとも前記パターン部はシリコンを材料とすることを特徴とする請求項5記載のモールドの製造方法。
【請求項8】
前記工程(b)は、バックグラインド、エッチング、ブラスト、スライス、または基板が二層以上で構成されている場合、表面に凹凸を有している層以外を分離することにより、パターン部を薄膜化することを特徴とする請求項5記載のモールドの製造方法。
【請求項9】
前記工程(c)は、前記円筒部または多角柱部の外周に、単数又は複数のパターン部が接合されて設けられることを特徴とする請求項5記載のモールドの製造方法。
【請求項10】
前記複数のパターン部同士の接合部では、継ぎ目が平滑ないし凹状となるように、隣接するパターン部同士が接合されることを特徴とする請求項9記載のモールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−73902(P2008−73902A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253774(P2006−253774)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】